特許第6499101号(P6499101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6499101無線通信システム、無線通信装置、位置検出方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499101
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信装置、位置検出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20190401BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20190401BHJP
【FI】
   G01S5/14
   H04W64/00 110
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-39049(P2016-39049)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-156195(P2017-156195A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年7月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】乗松 良樹
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−154645(JP,A)
【文献】 特開2009−243988(JP,A)
【文献】 特開平11−178042(JP,A)
【文献】 特開2008−249396(JP,A)
【文献】 特開2009−017321(JP,A)
【文献】 特開2015−087356(JP,A)
【文献】 特開2007−201921(JP,A)
【文献】 特開2010−135938(JP,A)
【文献】 特開2003−319443(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0323161(US,A1)
【文献】 特表2012−527849(JP,A)
【文献】 特開2013−050325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00− 5/14
G01S 19/00−19/55
H04W 64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能で移動可能な複数の無線通信装置と、
前記複数の無線通信装置と通信可能で位置が判明している位置情報管理装置とを備え
前記位置情報管理装置は、前記複数の無線通信装置の中で位置が判明している無線通信装置の位置を記憶しており、
前記複数の無線通信装置の中の任意の第1の無線通信装置は、自機の位置の変化を検知すると、前記位置情報管理装置に対し位置情報要求信号を無線送信し、
前記位置情報管理装置は、前記第1の無線通信装置から前記位置情報要求信号を受信すると、前記位置が判明している無線通信装置の中から第2の無線通信装置と第3の無線通信装置を選択して前記第1の無線通信装置に伝え、
記第1の無線通信装置は、前記位置情報管理装置と前記第2と前記第3の無線通信装置に対して電波を送信し、
前記第2と前記第3の無線通信装置は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を前記位置情報管理装置に無線送信し、
前記位置情報管理装置は、前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出し、その結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に無線送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記位置の変化は、移動を開始すること、移動開始後所定の時間移動が継続すること、および移動開始後停止したことの何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
移動可能な第1の無線通信装置が自機の位置の変化を検知すると、位置が判明している位置情報管理装置に対し位置情報要求信号を無線送信し、
前記位置情報管理装置は、前記第1の無線通信装置から前記位置情報要求信号を受信すると、前記第1の無線通信装置と通信可能で移動可能な複数の無線通信装置の中で位置が判明している第2の無線通信装置と第3の無線通信装置を選択して前記第1の無線通信装置に伝え、
記第1の無線通信装置は、前記位置情報管理装置と前記第2と前記第の無線通信装置に対して電波を送信し、
前記第2と前記第3の無線通信装置は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を前記位置情報管理装置に無線送信し、
前記位置情報管理装置は、前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出し、その結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に無線送信することを特徴とする位置検出方法。
【請求項4】
前記位置の変化は、移動を開始すること、移動開始後所定の時間移動が継続すること、および移動開始後停止したことの何れか1つであることを特徴とする請求項3に記載の位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信装置、位置検出方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やスマートホン等の移動無線機は、GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)機能を搭載して、位置情報を取得することが一般的に行われている。通常、移動無線機は電池で動作しており、GPS機能を動作させる電子回路の消費電力は電池での駆動時間に影響するため、GPSの動作による消費電力を極力小さくすることが望ましい。
【0003】
また、GPS衛星からの電波が届きにくい場所では、GPSによる位置情報の取得が困難である。
【0004】
特許文献1の移動端末は、移動端末の物理的な動きを端末に搭載したセンサで検知して、端末の動きのパターンに基づいてGPSによる位置情報の取得頻度を変化させることで、GPSの動作による消費電力を抑制する方法が示されている。
【0005】
また、特許文献2では、無線機能を搭載したプリンタが、他の位置情報が判明しているプリンタと無線で交信し、他のプリンタの位置情報と他のプリンタから受信する電波の電界強度とから、自身のプリンタの位置情報を取得する方法が示されている。この特許文献2で示されるプリンタは、GPSを搭載している必要は無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−267886号
【特許文献2】特開2015−152565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示される移動端末は、間欠的ではあるがGPS通信を用いているため、GPS通信時の消費電力は無視できない。また、GPS電波が届かない場所では位置情報の取得が出来ない。
【0008】
また、特許文献2に示されるプリンタは、他の装置(プリンタ)からの特定の要求を受け入れると、自身の位置情報を更新する。この位置情報の更新は、他の3つ以上の装置との交信を必要とし、自身の装置の状況に関わらず他の装置からの要求があると行われるため、そのつど電力が消費される。
【0009】
本発明の目的は、無線通信装置の位置情報を低消費電力で取得可能な無線通信システム、無線通信装置、位置検出方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、互いに通信可能な第1乃至第3の無線通信装置と、前記第1乃至第3の無線通信装置と通信可能で位置が判明している位置情報管理装置とを備え、前記第1の無線通信装置が自機の位置の変化を検知すると、前記第1の無線通信装置は、前記位置情報管理装置と位置が判明している前記第2と前記第3の無線通信装置に対して電波を送信し、前記第2と第3の無線通信装置は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を前記位置情報管理装置に無線送信し、前記位置情報管理装置は前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出した結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に送信する。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の無線通信装置は、第1の無線通信装置から前記第1の無線通信装置の位置を要求する信号を受信すると、前記第1の無線通信装置から送信された電波の受信電力と受信した無線通信装置の位置を関連づけた受信電力信号を第2と第3の無線通信装置から受信し、前記第1の無線通信装置の位置を要求する信号の受信電力値と自機の位置、および前記第2と第3の無線通信装置から受信した受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出した結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に送信する。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の位置検出方法は、第1の無線通信装置が自機の位置の変化を検知すると、前記第1の無線通信装置は、位置が判明している位置情報管理装置と位置が判明している前記第2と前記第3の無線通信装置に対して電波を送信し、前記第2と前記第3の無線通信装置は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を前記位置情報管理装置に無線送信し、前記位置情報管理装置は前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出した結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に送信する。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明のプログラムは、第1の無線通信装置が自機の位置の変化を検知すると、前記第1の無線通信装置は、位置が判明している位置情報管理装置と位置が判明している前記第2と前記第3の無線通信装置に対して電波を送信し、前記第2と前記第3の無線通信装置は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を前記位置情報管理装置に無線送信し、前記位置情報管理装置は前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置の位置を算出した結果を含む信号を前記第1の無線通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無線通信システム、無線通信装置、位置検出方法、およびプログラムによれば、無線通信装置の位置情報が低消費電力で取得可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態の動作例を説明する図である。
図3】第1の実施形態の動作例を示す図である。
図4】第1の実施形態の動作例を示す図である。
図5】第1の実施形態の動作例を示す図である。
図6】第1の実施形態の動作例を説明する図である。
図7】第1の実施形態の動作例を説明する図である。
図8】第2の実施形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
次に、本発明の実施の形態について図1図7を参照して詳細に説明する。
[構成の説明]
図1に第1の実施形態の構成を示す。
【0017】
本実施形態の無線通信システム10は、無線通信装置101a、無線通信装置101b、無線通信装置101c、および位置情報管理装置108によって構成される。無線通信装置101a、無線通信装置101b、および無線通信装置101cは、それぞれ移動体100a、移動体100b、および移動体100cに搭載、或いは保持されている。
【0018】
移動体100a〜100cは、自動車の様な車両であっても良いし、人であっても良い。また、移動体100a〜100cはいずれも同じ形態であっても良いし、互いに異なる形態、例えば2つの移動体が自動車で、1つの移動体が人であっても良い。
【0019】
尚、図1に示す構成では、移動体および無線通信装置は3つとしているが、移動体および無線通信装置は4つ以上であっても良い。
【0020】
無線通信装置101a〜101cは何れも同じ内部構成であり、図1では無線通信装置101aの構成を図示している。
【0021】
無線通信装置101aは、内蔵電池部102、モーションセンサ部103、記憶部104、アンテナ105、受信通信部106、および制御部107によって構成される。
【0022】
内蔵電池部102は、無線通信装置101aの各回路や部品を動作させるための電池である。モーションセンサ部103は、加速度センサやジャイロセンサ(gyro sensor)等の、無線通信装置101aの移動と停止を検出可能なセンサである。記憶部104はメモリであり、制御部107の指示に従って自装置の位置情報や受信電力などの情報を記憶する。
【0023】
アンテナ105は、無線通信装置101b、無線通信装置101c、および位置情報管理装置108と電波をやりとりするアンテナである。無線通信部106は、無線通信により信号の送信および受信を行うための無線回路である。この無線通信部106は、受信電力を数値として検知する電子回路である受信電力測定部106aを含む。
【0024】
制御部107は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)であり、無線通信装置101aのハードウェアの制御とプログラム処理を行う。
【0025】
次に、位置情報管理装置108の構成を説明する。
【0026】
位置情報管理装置108は、アンテナ109、無線通信部110、記憶部111、制御部112によって構成される、無線通信装置の一種である。
【0027】
アンテナ109は、無線通信装置101a〜101cと電波をやりとりするアンテナである。無線通信部110は、無線通信により信号の送信および受信を行うための無線回路である。この無線通信部110は、受信電力を検知して数値情報とする電子回路である、受信電力測定部110aを含む。
【0028】
記憶部111はメモリであり、制御部112の指示に従って、自装置の位置情報や受信電力などの情報を記憶する。
【0029】
制御部112は、CPUであり、位置情報管理装置108のハードウェアの制御とソフトウェア処理を行う。
【0030】
尚、全ての無線通信装置101a〜101cの移動範囲は限定されていて、位置情報管理装置108は、全ての無線通信装置101a〜101cとの通信が常に可能である。また、無線通信装置101a、無線通信装置101b、および無線通信装置101c同士の通信も常に可能である。
[動作の説明]
次に本実施形態の動作の説明を図1図7を参照して説明する。
【0031】
図2は、位置情報管理装置108と無線通信装置101a〜101cの最初の位置を示した例である。位置情報管理装置108の位置はLz、無線通信装置101aの位置はLa、無線通信装置101bの位置はLb、無線通信装置101cの位置はLcとして示されている。
【0032】
図3は、無線通信装置101aの動作例を説明する図である。
【0033】
また、図4は、位置情報管理装置108の動作例を説明する図である。
【0034】
まず、図3を参照して、無線通信装置101aの動作を説明する。
【0035】
はじめに、無線通信装置101aは電源が投入される(S101)。
【0036】
続いて、無線通信装置101aは、自装置の位置情報(位置=La)を記憶部104に記憶する(S102)。この位置情報は、何らかの手段により装置へ記憶できれば良い。例えば、位置情報の測位が可能な測定器などを用いて得た位置情報を、測定器と無線通信装置101aを接続して初期位置情報として記憶部104へ記憶する。または、測定器で得た位置情報を人手で入力して記憶部104に記憶する。若しくは、予め位置が判明している場所に装置を設置することが出来れば、その位置情報を人手で入力して記憶部104へ記憶するなどが考えられる。
【0037】
ステップS102に続いて、制御部107は、無線通信部106を動作させて、無線通信装置の識別符号を含む識別信号を位置情報管理装置108に送信する(S103)。
【0038】
ここで、本実施形態において、ステップS103に限らず、無線通信装置101a〜101c、および位置情報管理装置108は他の装置に信号を送信すると、相手先が信号を受信したことを確認することとする。そして、この確認方法は、TCP(Transmission Control Protocol)で使われている、ACK(acknowledgement)による到達確認を用いても良い。
ステップS101からステップS103までは、無線通信装置101aの識別情報を位置情報管理装置108に記憶するための初期登録のプロセスである。
【0039】
ステップS103に続いてステップS104では、制御部107は、モーションセンサ部103が無線通信装置101aの移動開始を検知したかどうかを判断する(S104)。
【0040】
ここで、モーションセンサ部103が加速度センサであるとすると、加速度センサが加速度を検知すれば、無線通信装置101aが移動開始したと判断される。また、加速度センサが加速度を検知しなければ、無線通信装置101aは移動開始していないと判断される。
【0041】
また、移動開始の判断は、加速度の検知が一定時間続く場合や、加速度の値が一定値以上の場合などとすることも出来る。
【0042】
ステップS104で、無線通信装置101aが移動開始したと判断されると(S104でY)、制御部107は、無線通信部106が後述の受信電力要求信号を受信しても無視する設定として、ステップS105へすすむ。また、ステップS104で、無線通信装置101aが移動開始していないと判断されると(S104でN)、ステップS113にすすむ。
【0043】
ステップS105では、モーションセンサ部103が無線通信装置101aの移動停止を検知したかどうかを判断する(S105)。
【0044】
ここで、モーションセンサ部103が前述同様に加速度センサであるとすると、加速度センサが予め決められた時間を超えて、加速度を検知しなければ、無線通信装置101aが移動停止したと判断される。また、加速度センサが予め決められた時間以内に加速度を検知すれば無線通信装置101aは移動停止していないと判断される。
【0045】
ステップS105で、無線通信装置101aが移動停止したと判断されると(S105でY)、制御部107は、無線通信部106が後述の受信電力要求信号を受信しても無視する設定を解除して、ステップS106へすすむ。また、ステップS105で、無線通信装置101aが移動停止していないと判断されると(S105でN)、ステップS105に戻る。
【0046】
ステップ106では、制御部107は無線通信部106を動作させて、無線通信装置101aの識別符号を含む無線通信装置101aの移動後の位置情報を要求する信号を、位置情報管理装置108に対して送信する(S106)。
【0047】
続いて、制御部107は、無線通信部106が受信電力要求先を含む信号を受信したかどうかを判断する(S107)。
【0048】
そして、ステップS107で受信電力要求先を含む信号を受信したと判断されれば(S107でY)、ステップS108にすすむ。また、ステップS107で受信電力要求先を含む信号を受信していないと判断されれば(S107でN)、ステップS107に戻る。
【0049】
ここで、受信電力要求先は、図2の例では無線通信装置101b、および無線通信装置101cである。
【0050】
ステップS108では、制御部107は、無線通信部106を動作して、ステップS107で受信した受信電力要求先のそれぞれに対して、無線通信装置101aの識別符号を含む受信電力要求信号を送信する(S108)。
【0051】
続いて、ステップS109で、制御部107は、無線通信部106がステップS108で送信した受信電力要求信号の全ての送信先と、通信を確立したかどうかを判断する(S109)。
【0052】
そして、ステップS109で通信を確立したと判断されると(S109でY)、ステップS110にすすむ。
【0053】
また、ステップS109で通信を確立しないと判断されるとステップS112にすすむ。
【0054】
ステップS112では、制御部107は、無線通信部106を動作して、通信を確立出来なかった無線通信装置、即ち、移動中の無線通信装置を除いて、受信電力要求先を再度送信するように受信電力要求先再要求信号を送信する(S112)。この受信電力要求先再要求信号には、通信を確立出来なかった無線通信装置の識別符号を含む。
【0055】
ステップS112の後、ステップS107に戻る。
【0056】
ステップS110では、制御部107は、無線通信部106が位置情報管理装置108から無線通信装置101aの位置情報を受信したかどうかを判断する(S110)。
【0057】
ステップS110で無線通信装置101aの位置情報を受信したと判断されると(S110でY)、ステップS111にすすむ。また、ステップS110で無線通信装置101aの位置情報を受信していないと判断されると(S110でN)、ステップS110に戻る。
【0058】
そして、ステップS111で制御部107は、記憶部104に無線通信装置101aの位置情報を記憶する(S111)。
【0059】
ステップS111の後、ステップS104に戻る。
【0060】
一方、ステップS113では、制御部107は、無線通信部106が無線通信装置101a以外の無線通信装置から受信電力要求信号を受信したかどうかを判断する(S113)。
【0061】
ステップS113で、受信電力要求信号を受信したと判断されると(S113でY)、ステップS114にすすむ。また、ステップS113で、受信電力要求信号を受信していないと判断されると(S113でN)、ステップS104に戻る。
【0062】
ステップ114では、受信電力測定部106aは受信電力要求信号の受信電力値を測定する(S114)。
【0063】
続いて、ステップS115で、制御部107は、ステップS114で受信電力測定部106aが測定した受信電力要求信号の受信電力値を、無線通信装置101aの識別符号、および位置情報と関連付けて受信電力信号を生成する。そして、制御部107は、無線通信部106を動作させて、受信電力信号を位置情報管理装置108に対して送信する(S115)。
【0064】
ステップS115の後はステップS104に戻る。
【0065】
以上が、無線通信装置101aの動作の説明である。
【0066】
尚、無線通信装置101b、および無線通信装置101cも、上述の無線通信装置101aと同様に動作する。
【0067】
次に、位置情報管理装置108の動作について、図4を参照して説明する。
【0068】
はじめに、位置情報管理装置108の電源が投入される(S201)。
【0069】
続いて、制御部112は、自装置の位置情報(位置=Lz)を記憶部111に記憶する(S202)。ここで、初期位置情報は、何らかの手段により装置へ記憶できれば良く、前述の無線通信装置101aの動作のステップS102と同様に行われれば良いので説明を省略する。
【0070】
続いて、ステップS203で、制御部112は、無線通信部110が無線通信装置101a〜101cの何れかから無線通信装置の識別符号を含む識別信号を受信したかどうかを判断する(S203)。
【0071】
ステップS203で識別信号を受信していないと判断されると(S203でN)、ステップS206にすすむ。また、ステップS203で識別信号を受信したと判断されると(S203でY)、ステップS204にすすむ。
【0072】
ステップS204では、制御部112は、ステップS203で受信した識別信号に含まれる無線通信装置の識別符号を、記憶部111に記憶する(S204)。
【0073】
ステップS204の後、ステップ203に戻る。
【0074】
新たな無線通信装置が識別信号を発信するたびに、ステップS203からステップS204のプロセスによって、無線通信装置の識別符号が記憶部111に記憶される。
【0075】
ステップS205では、制御部112は、無線通信部110が無線通信装置101a〜101cの何れかから位置情報要求信号を受信したかどうかを判断する(S205)。
【0076】
ここで、位置情報要求信号は、無線通信装置101a〜101cの何れかが移動して停止すると、移動した無線通信装置から送信される信号である(図3のステップS106)。
【0077】
ステップS205で、位置情報要求信号を受信したと判断されると(S205でY)、ステップS206にすすむ。また、ステップS205で、位置情報要求信号を受信していないと判断されると(S205でN)、ステップS203に戻る。
【0078】
ステップS206では、受信電力測定部110aは位置情報要求信号の受信電力値を測定する。そして、制御部112は、この位置情報要求信号の受信電力値と位置情報要求信号に含まれる無線通信装置の識別符号とを関連付けて、記憶部111に記憶する(S206)。
【0079】
続いて、制御部112は、ステップS205で受信した位置情報要求信号の発信元の無線通信装置以外で、かつ記憶部111に記憶される無線通信装置の中で、後述の移動中装置ではない無線通信装置の内の2台を任意に選択する。そして、制御部112は、無線通信部110を動作させて、選択した2台の無線通信装置の識別符号を伝える信号を、位置情報要求信号の発信元の無線通信装置に送信する(S207)。
【0080】
続いて、制御部112は、無線通信部110が一定時間内に位置情報要求信号の発信元の無線通信装置から受信電力要求先再要求信号(以下、再要求信号)を受信したかどうかを判断する(S208)。
【0081】
この一定時間とは、位置情報管理装置108と受信電力要求先を送信した無線通信装置とが通信を確立後から、受信電力要求先を送信した無線通信装置が受信電力要求先と通信確立を確認できる時間以上に設定される。
【0082】
そして、ステップS208で、再要求信号を受信したと判断されると(S208でY)、ステップS214にすすむ。
【0083】
また、ステップS208で再要求信号を受信しないと判断されると(S208でN)、ステップS209にすすむ。
【0084】
ステップS214では、制御部112は、ステップS208で受信した再要求信号に含まれる無線通信装置の識別符号に対応する無線通信装置を、移動中装置として記憶部111に記憶する(S214)。ステップS214の後、ステップS207に戻る。
【0085】
また、ステップS209では、制御部112は、無線通信部110がステップS207で伝えた2台の無線通信装置の何れかから受信電力信号を受信したかどうかを判断する(S209)。
【0086】
そして、ステップS209で受信電力信号を受信したと判断されると(S209でY)、制御部112は、受信した受信電力信号に含まれる受信電力値と無線通信装置の識別符号とを関連づけて記憶部111に記憶して、ステップS210にすすむ。
【0087】
また、ステップS209で受信電力信号を受信していないと判断されると(S209でN)、ステップS208に戻る。
【0088】
ステップS210では、制御部112は、無線通信部110がステップS207で伝えた2台の無線通信装置の全部から、受信電力値を含む信号を受信したかどうかを判断する(S210)。
【0089】
そして、ステップS210で全部の無線通信装置から受信したと判断されると(S210でY)、ステップS211にすすみ、ステップS210で全部の無線通信装置から受信していないと判断されると(S210でN)、ステップS208に戻る。
【0090】
ステップS211では、制御部112は、位置情報要求信号発信元の無線通信装置の位置情報を算出し、更に制御部112は、算出結果を無線通信装置101bの識別符号と関連づけて、記憶部111に記憶する(S211)。
【0091】
ここで、位置情報の算出について説明する。
【0092】
無線通信装置101bの位置情報は、位置情報管理装置108、無線通信装置101a、および無線通信装置101cの3つが、それぞれ無線通信装置101bから受信した電波の受信電力値に基づいて算出する。
【0093】
図6は、位置情報管理装置108、および無線通信装置101a〜101cのそれぞれの間の距離と受信電力値との関係を表すグラフである。図6のグラフの対応関係は、位置情報管理装置108の記憶部111に記憶されている。
【0094】
また、図7は無線通信装置101bが移動後に停止して位置情報要求信号を発信し、無線通信装置101bの位置を、位置情報管理装置108、無線通信装置101a、および無線通信装置101cの受信電力値から計算する例の説明図である。
【0095】
まず、制御部112は、位置情報管理装置108、無線通信装置101a、および無線通信装置101cのそれぞれの受信電力値が、b、a、およびcであることを認識する。。
【0096】
次に、制御部112は、位置情報管理装置108、無線通信装置101a、および無線通信装置101cのそれぞれの受信電力値から、記憶部111に記憶されている図6のグラフの対応関係に従って距離を求める。
【0097】
その結果、位置情報管理装置108から移動後の無線通信装置101bの距離はB、無線通信装置101aから移動後の無線通信装置101bの距離はA、無線通信装置101cから移動後の無線通信装置101bの距離はCであると求められる。
【0098】
次に、位置情報管理装置108の位置Lzの座標を(lz(x),Lz(y))、無線通信装置101cの位置Lcの座標を(lc(x),Lc(x))、無線通信装置101aの位置Laの座標を(la(x),La(x))とする。
【0099】
そして、移動後の無線通信装置101bの座標を(ly(x),Ly(y))とする。
【0100】
すると、3平方の定理により次式が成り立つ。尚、A^2は、Aの2乗を表わす。
A^2=(Ly(x)-La(x))^2+(ly(y)-la(y))^2
B^2=(Ly(x)-Lz(x))^2+(ly(y)-lz(y))^2
C^2=(Ly(x)-Lc(x))^2+(ly(y)-lc(y))^2
上式で変数は、Ly(x)とLy(y)の2つであり、他の代数は全て定数である。
【0101】
上式を解くことにより、Ly(x)とLy(y)の値が求められる。
【0102】
このようにして、移動後の無線通信装置101bの座標が算出され、無線通信装置101bの位置が特定される。
【0103】
ステップS211に続き、ステップS212では制御部112は、無線通信部110を動作させて、ステップS213で算出した無線通信装置101bの位置情報を、無線通信装置101bに送信する(S212)。
【0104】
そして、制御部112は、記憶部104の移動中装置の情報を消去する(S213)。
【0105】
ステップS213を終えるとステップS203に戻る。
【0106】
以上が、位置情報管理装置108の動作の説明である。
【0107】
上記の無線通信装置101a〜101c、および位置情報管理装置108が互いに関連して動作する一例を、図5の説明図を参照して説明する。
【0108】
はじめに、各無線通信装置101a〜101cは、各装置に自機の位置が記憶され、また、位置情報管理装置108は、無線通信装置101a〜101cの識別符号が記憶された状態であるとする。この状態で、位置情報管理装置108、および無線通信装置101a〜101cは待機している。
【0109】
そして、ステップS501で、無線通信装置101bは移動を開始し、無線通信装置101bは移動開始を検出する(S501)。無線通信装置101bは、後述の受信電力要求信号を受信しても無視する設定とする(S502)。
【0110】
次に、無線通信装置101bが移動を停止したことを検出すると(S503)、無線通信装置101bは受信電力要求信号の受信を無視する設定を解除する(S504)。
【0111】
次に、無線通信装置101bは位置情報要求信号を位置情報管理装置108に送信する(S505)。
そして、位置情報管理装置108は、無線通信装置101bから位置情報要求信号を受信すると(S506)、位置情報要求信号の受信電力を測定する(S507)。
【0112】
続いて、位置情報管理装置108は、無線通信装置101bに対して受信電力要求先を含む信号を送信する(S508)。ここでは、受信電力要求先は、無線通信装置101aと無線通信装置101cとする。
【0113】
無線通信装置101bは、受信電力要求先を含む信号を受信すると(S509)、受信した受信電力要求先の無線通信装置の1つである無線通信装置101aに対して、受信電力要求信号を送信する(S510)。
【0114】
無線通信装置101aは、受信電力要求信号を受信すると(S511)、受信電力要求信号の受信電力を測定する(S512)。そして、無線通信装置101aは、位置情報管理装置108に対して、受信電力と無線通信装置101aの識別符号を含む受信電力信号を送信し(S513)、待機状態となる。位置情報管理装置108は、無線通信装置101aから受信電力信号を受信する(S514)。
【0115】
次に、無線通信装置101aは、S509で受信した無線通信装置101aと異なるもう1つの受信電力要求先である、無線通信装置101cに対して、受信電力要求信号を送信する(S515)。
【0116】
無線通信装置101aは、受信電力要求信号を受信すると(S516)、受信電力要求信号の受信電力を測定する(S517)。そして、無線通信装置101cは、位置情報管理装置108に対して、受信電力と無線通信装置101cの識別符号を含む受信電力信号を送信し(S518)、待機状態となる。位置情報管理装置108は、無線通信装置101cから受信電力信号を受信する(S519)。
【0117】
ステップS520で、位置情報管理装置108は、無線通信装置101bの位置を算出する(S520)。ここで、位置は次の3つの情報から算出される。1つ目は、ステップS507で位置情報管理装置108が測定した受信電力と、位置情報管理装置108の既知の位置である。2つ目は、ステップS514で受信した信号に含まれる、無線通信装置101aの受信電力と、無線通信装置101aの既知の位置である。更に3つ目は、ステップS519で受信した信号に含まれる、無線通信装置101cの受信電力の3つの受信電力と、無線通信装置101cの既知の位置である。位置の算出方法については、前述の図4の説明の、ステップS213で示した通りである。
【0118】
ステップS520に続いて、位置情報管理装置108は、無線通信装置101bに対して、ステップS520で算出した無線通信装置101bの位置情報を送信し(S521)、待機状態となる。
【0119】
そして、無線通信装置101bは、位置情報管理装置108から無線通信装置101bの位置情報を受信する(S522)。続いて、無線通信装置101bは、ステップS522で受信した位置情報を自身の装置に記憶する(S523)。
【0120】
以上説明した様に、無線通信装置101bは自装置が移動して停止したことを検知してから無線通信装置101bの位置の測定を行う。一方、特許文献2に示される関連技術では、自装置が移動していなくても、他の装置から要求を受け入れると、不必要な位置の測定を行う。
【0121】
従って、本実施形態の無線通信システム10によれば、無線通信装置101a〜101cは、特許文献2に示される技術を用いた無線通信装置と比べて低い消費電力で、自機の位置情報を取得可能である。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図8を参照して説明する。
【0122】
本実施形態の無線通信システム20は、互いに通信可能な第1乃至第3の無線通信装置(符号21〜23)と、第1乃至第3の無線通信装置(符号21〜23)と通信可能で位置が判明している位置情報管理装置24とを備える。そして、第1の無線通信装置21が自機の位置の変化を検知すると、第1の無線通信装置21は、位置情報管理装置24と位置が判明している第2の無線通信装置22と第3の無線通信装置23に対して電波を送信する。すると、第2の無線通信装置22と第3の無線通信装置23は、それぞれの無線通信装置の位置と前記電波の受信電力値を関連づけた情報を含む受信電力信号を位置情報管理装置24に無線送信する。また、位置情報管理装置24は前記電波の受信電力値と前記位置情報管理装置24の位置、および前記受信電力信号に含まれる受信電力値とそれに関連づけられた位置に基づいて、前記第1の無線通信装置21の位置を算出する。そして、前記位置情報管理装置24は、前記算出した結果を含む信号を前記第1の無線通信装置21に送信する。
【0123】
この様にすることで、本実施形態の無線通信システム20によれば、第1の無線通信装置31は、特許文献2に示される技術を用いた無線通信装置と比べて低い消費電力で、自機の位置情報を取得可能である。
【0124】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように拡張または変形できる。
【0125】
第1の実施形態の無線通信装置は、移動開始した後に移動停止を検出すると位置情報要求信号を発信していたが、移動開始を検出すると位置情報要求信号を発信する様にしても良い。
【0126】
また、第1の実施形態の無線通信装置は、移動開始した後に移動停止を検出すると位置情報要求信号を発信していたが、移動開始後、移動状態が一定時間継続して検知されると位置情報要求信号を発信する様にしても良い。
【0127】
第1の実施形態で、位置の算出は、位置を算出する無線通信装置以外の3つの装置の位置情報とそれに対応する受信電力値に基づいて行った。しかし、3つ以上の装置の位置情報とそれに対応する受信電力値に基づいて位置を算出することで、3つの装置の情報に基づく計算と比べて、精度を高くするなどしても良い。
【0128】
また、第1の実施形態の動作では、無線通信装置101aが移動を開始すると(図3のステップS104でY)、制御部107は、無線通信部106が受信電力要求信号を受信しても無視する設定とした。しかし、この様な無線通信装置101a側の設定を行わずに、無線通信装置101aから位置情報管理装置108に対して移動開始を示す信号を送信しても良い。更に、無線通信装置101aが移動を停止すると、移動を停止した信号を送信する。また、位置情報管理装置108は、無線通信装置101aから移動開始および移動停止を示す信号を受信することで、移動中の無線通信装置を認識出来る。この様にしても、位置情報管理装置108は、図4のステップS207で、移動中でない無線通信装置を選択することが可能である。
【0129】
また、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給される場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 :無線通信システム
20 :無線通信システム
21 :第1の無線通信装置
22 :第2の無線通信装置
23 :第3の無線通信装置
24 :位置情報管理装置
100a :移動体
100b :移動体
100c :移動体
101a :無線通信装置
101b :無線通信装置
101c :無線通信装置
101d :無線通信装置
102 :内蔵電池部
103 :モーションセンサ部
104 :記憶部
105 :アンテナ
106 :無線通信部
106a :受信電力測定部
107 :制御部
108 :位置情報管理装置
109 :アンテナ
110 :無線通信部
110a :受信電力測定部
111 :記憶部
112 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8