(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499191
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】インターカム通信範囲を拡張する方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
H04W 76/14 20180101AFI20190401BHJP
H04W 36/14 20090101ALI20190401BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20190401BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20190401BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20190401BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W36/14
H04W88/06
H04W84/10 110
H04W92/18
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-551108(P2016-551108)
(86)(22)【出願日】2014年11月2日
(65)【公表番号】特表2017-500827(P2017-500827A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】IL2014050943
(87)【国際公開番号】WO2015063771
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年8月29日
(31)【優先権主張番号】229215
(32)【優先日】2013年11月3日
(33)【優先権主張国】IL
(31)【優先権主張番号】230346
(32)【優先日】2014年1月6日
(33)【優先権主張国】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】512016951
【氏名又は名称】カード・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】グレザーマン アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】モアト アブラハム
【審査官】
石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07844295(US,B1)
【文献】
米国特許第07065367(US,B2)
【文献】
特開平10−248088(JP,A)
【文献】
特開2002−165270(JP,A)
【文献】
特表2013−509781(JP,A)
【文献】
特表2012−519422(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/065039(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイク−トゥ−バイクのインターカム通信範囲を拡張する方法であって、
a.第1のヘッドセット通信装置と第2のヘッドセット通信装置とのペアリング処理時に、共通のブルートゥース(登録商標)要求パラメータに加えて、各ヘッドセット通信装置のメモリモジュールに記憶される、セルラー関連パラメータを提供するステップであって、前記第1のヘッドセットの前記セルラー関連パラメータは、前記第2のヘッドセットと関連付けられたセルラーフォン番号を含み、逆もまた同様である、ステップと、
b.ブルートゥースチャネルを介した両方のヘッドセット間のインターカム通信を確立するステップと、
c.前記インターカム通信時に、前記ブルートゥースチャネル又は利用不可能なブルートゥースリンクでのインターカム通信損失を検出すると、別のセルラー通信チャネルを使用する前記第2のヘッドセットの記憶された前記セルラーフォン番号を用いて前記第1及び第2のヘッドセット間のセルラーコールを開始することにより、前記ブルートゥースチャネルが再び利用可能になるまで前記インターカム通信を前記別のセルラー通信チャネルへ一時的にルーティングするステップと、
前記ヘッドセットの各ユーザが前記セルラーコールを受け入れるか又は拒否するかを選択することを可能にするために、通信がブルートゥースからセルラーへ媒体を変更したときに、アラートを発生するステップと、
前記ヘッドセット通信装置のメモリにコンタクトのリストを記憶するステップであって、記憶されたコンタクトの各名称は、ヘッドセット通信装置のパラメータ又は電話番号と関連付けられ、したがって、他のヘッドセット通信装置へブルートゥースチャネルを介して、又は前記関連付けられた電話番号へのセルラーコールを確立することにより、前記第1のヘッドセット通信装置から各記憶されたコンタクトへハンズフリーコールを開始することを可能にする、ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第2のヘッドセットが、前記セルラーコールを自動的に受け入れることを可能にして、シームレスな通信の継続を可能にするステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セルラーチャネルを介した通信時に、前記ヘッドセットは、ワイヤレスイヤフォン機器として用いられる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ペアリング処理時に、前記ヘッドセットのメモリに前記セルラーフォン番号を記憶するステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セルラーフォン番号は、前記ペアリング処理に付随され、ウェブサーバ、ウェブアプリケーション、モバイル/スマートフォン/タブレットアプリケーション又はその組み合わせを介して行われるカップリング処理を介して前記ヘッドセット通信装置のメモリに記憶される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ヘッドセット通信装置の前記メモリにコンタクトのリストを記憶することを可能にするステップを更に備え、記憶された前記コンタクトの各名称は、前記ヘッドセット通信装置のパラメータ又は電話番号と関連付けられうる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
他のヘッドセット通信装置へのブルートゥースチャネルを介して、又は関連付けられた前記電話番号へのセルラーコールを確立することにより、前記第1のヘッドセット通信装置から各記憶されたコンタクトへのハンズフリーコールを開始することを可能にするステップを更に備える請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のヘッドセット通信装置から前記第2のヘッドセット通信装置へのハンズフリーコールを開始することを可能にするステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のヘッドセットの記憶された前記セルラーフォン番号は、前記第2のヘッドセット内に含まれるセルラー通信モジュールと関連付けられる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のヘッドセットの記憶された前記セルラーフォン番号は、前記第2のヘッドセットと関連付けられたセルラーモバイル装置と関連付けられる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のヘッドセットは、前記第1のヘッドセットとペアリングされるセルラーモバイル装置へのハンズフリー装置として機能し、前記第1のヘッドセットは、ブルートゥースを介して、ペアリングされた前記セルラーモバイル装置のセルラー機能を用いて前記インターカム通信を再確立するためにセルラーコールを開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のヘッドセットは、セルラー通信モジュールを含み、前記第1のヘッドセットは、前記セルラー通信モジュールのセルラー機能を用いて前記インターカム通信を再確立するために前記セルラーコールを開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記インターカム通信は、前記ブルートゥースチャネルが再び利用可能になるまで、別のセルラー通信チャネルへ一時的にルーティングされる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項にしたがって前記方法を実行するように構成され、ブルートゥースチャネルを介してインターカム通信の損失を検出すると、セルラーチャネルを介して遮断された又は低品質インターカム通信を一時的に再確立するように構成されるセルラーモジュールを備える、ヘッドセット通信装置。
【請求項15】
ユーザが、前記ヘッドセット通信装置を介して別のユーザへのハンズフリーコールを開始することを可能にするためのハンズフリーコールモジュールとして機能するセルラー通信モジュールを更に備える請求項14に記載のヘッドセット通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドセット通信装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヘッドセット装置間の伝送サービスを改善するためのインターカム範囲拡張に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的に近接したヘッドセット通信装置のグループは、ブルートゥース(登録商標)チャネルを介してインターカム通信の態様で互いに通信する機能を有する。ブルートゥースは、“ピコネット(piconets)”として知られるローカルネットワークへの、物理的に近接したヘッドセット(又は他のワイヤレスデバイス)のグルーピングを可能にする。このようなピコネットは、“ピア・ツー・ピア(peer−to−peer)”(互いに直接的にそれぞれ通信する)で動作する、又は“マスター・スレーブ(master−slave)”関係を用い、その1つの装置は、ネットワークの中心点として機能し、それを介して他のネットワーク装置のそれぞれと通信する。
【0003】
しかし、このようなヘッドセット装置は、制限された範囲のみに対してブルートゥースインターカム通信を提供する。これは、伝送範囲が、典型的には、低電力(クラス3)ブルートゥースデバイスに対して約10メートルを超えて拡張しない一方で、高電力(クラス1)デバイスは、約100メートルの伝送範囲に対して、100mWまでの出力を生じることを意味する。コスト及び消費電力(バッテリ寿命)の考慮について、ブルートゥースを実装している多くのヘッドセット装置は、クラス3の装置である。
【0004】
一部のヘッドセット装置は、Cardo Systems Inc.によるScala Rider G9のようなエンハンストインターカムブルートゥース通信機能を提供し、これは、約1.5kmまでのバイク‐トゥ‐バイクのインターカム通信を提示するモータサイクルインターカムブルートゥース通信システムである。
【0005】
このようなヘッドセット装置の携帯性を考慮すると、他のヘッドセット装置と通信するために便利なその有効伝送範囲を超えて移動されることは容易である。これは、装置間の突然の伝送遮断(又は中止)をもたらしうる。また、通信範囲は、地形に応じた見通し線がないときに低下される。
【0006】
装置の伝送範囲が、その電力を増加させることにより(又は他の一般的な方法により)拡張されうるが、このような変更は、コスト、バッテリの制限、装置間の干渉の増加等の問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ブルートゥース電力スキームを増大させずに、共通のヘッドセット装置の制限された通信範囲を拡張することができるシステムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は、説明が進むに連れて明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、インターカム通信範囲を拡張する方法であって、
‐第1のヘッドセット通信装置と第2のヘッドセット通信装置とのペアリング処理時に、共通のブルートゥース要求パラメータに加えて、各ヘッドセット通信装置のメモリモジュールに記憶される、セルラー関連パラメータを提供するステップであって、前記第1のヘッドセットの前記セルラー関連パラメータは、前記第2のヘッドセットと関連付けられたセルラーフォン番号を含み、逆もまた同様である、ステップと、
‐ブルートゥースチャネルを介した両方のヘッドセット間のインターカム通信を確立するステップと、
‐前記インターカム通信時に、前記ブルートゥースチャネル又は利用不可能なブルートゥースリンクでのインターカム通信損失を検出すると、前記第2のヘッドセットの記憶されたセルラーフォン番号を用いて前記第1及び第2のヘッドセット間のセルラーコールを開始することにより、前記インターカム通信を別のセルラー通信チャネルへ一時的にルーティングするステップと、
を備える方法に関する。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記インターカム通信は、前記ブルートゥースチャネルが再び利用可能になるまで、別のセルラー通信チャネルに一時的にルーティングされることができ、前記ブルートゥースチャネルが利用可能であればいつでも、前記インターカム通信をブルートゥースチャネルに再ルーティングする。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記第1のヘッドセットの記憶された前記セルラーフォン番号は、前記第2のヘッドセット内に含まれるセルラー通信モジュールと関連付けられる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記第1のヘッドセットの記憶された前記セルラーフォン番号は、前記第2のヘッドセットと関連付けられたセルラーモバイル装置と関連付けられる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記第1のヘッドセットは、前記第1のヘッドセットとペアリングされるセルラーモバイル装置へのハンズフリー装置として機能し、このような場合に、前記第1のヘッドセットは、ブルートゥースを介して、ペアリングされたセルラーモバイル装置のセルラー機能を用いて前記インターカム通信を再確立するためにセルラーコールを開始する。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記第1のヘッドセットは、セルラー通信モジュールを含み、前記第1のヘッドセットは、前記セルラー通信モジュールのセルラー機能を用いて前記インターカム通信を再確立するためにセルラーコールを開始する。
【0015】
本発明の実施形態によれば、前記方法は、ヘッドセットの各ユーザが前記セルラーコールを受け入れるか又は拒否するかを選択することを可能にするために、通信がブルートゥースからセルラーへ媒体を変更したときに、アラートを発生するステップを更に備える。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記方法は、前記第2のヘッドセットが、前記セルラーコールを自動的に受け入れることを可能にして、シームレスな通信の継続を可能にするステップを更に備える。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記セルラーチャネルを介した通信時に、前記ヘッドセットは、ワイヤレスイヤフォン機器として用いられる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記方法は、前記ペアリング処理時に、前記ヘッドセットのメモリに前記セルラーフォン番号を記憶するステップを更に備える。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記セルラーフォン番号は、前記ペアリング処理に付随され、ウェブサーバ、ウェブアプリケーション、モバイル/スマートフォン/タブレットアプリケーション又はその組み合わせを介して行われるカップリング処理を介して前記ヘッドセット通信装置のメモリに記憶される。
【0020】
本発明の実施形態によれば、複数の予め定義された電話番号を含む前記ヘッドセット通信装置のコンタクトリストの前記メモリモジュールでの記憶及び管理を可能にするステップを更に備え、前記ヘッドセット通信装置は、ビルトインセルラー通信モジュール又は前記ヘッドセット通信装置とペアリングされたセルラーモバイル装置を介して、セルラー通信チャネルを介した通信を確立することにより、前記予め定義された電話番号のいずれか1つへのハンズフリーコールを確立することを可能にする。
【0021】
別の態様では、本発明は、ブルートゥースチャネルを介してインターカム通信の損失を検出すると、セルラーチャネルを介して遮断された又は低品質(low−grade)インターカム通信を一時的に再確立するように構成されるセルラーモジュールを備える、インターカム範囲拡張機能を有する。付加的に、ユーザが、前記ヘッドセット通信装置を介して別のユーザへのハンズフリーコールを開始することを可能にするためのハンズフリーコールモジュールとして機能するセルラー通信モジュールを更に備える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、ヘッドセット通信装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る、ヘッドセット通信装置のブロック図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、インターカム範囲拡張機能を有するヘッドセット通信装置に関し、ブルートゥースインターカム通信が制限又は故障(例えば、環境条件により)しているとき、ライダー間(つまり、2つのヘッドセット装置間)の通信は、セルラー通信チャネルを介して再確立される。最近、セルラーは、広範囲に亘っており、離れたユーザ間の通信ソリューションを可能にしている。
【0024】
以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付の図面を参照し、図示によって、特定の実施形態又は実施例が示される。これらの実施形態は、組み合わせられてもよいが、他の実施形態が用いられてもよく、構造的な変更は、請求項された発明の趣旨又は範囲を逸脱せずになされてもよい。したがって、以下の詳細な説明は、制限した意味で取られるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【0025】
図面を参照すると、同様の参照番号は、いくつかの図面を通じて同様の要素を示し、本発明の態様及び例示的な動作環境でのヘッドセット通信が説明される。
【0026】
図1は、ヘッドセット通信装置11及び12を概略的に示す。例えば、装置11及び12の各々は、1.5Kmまでの有効伝送範囲(例えば、装置11に対してドットの円で示される)を有するブルートゥースデバイスの一種(例えば、Scala Rider G9)でありうる。装置11は、装置12が、有効伝送範囲よりも広い有効伝送範囲に位置している場合、装置12へデータを伝送することは通常できない。しかし、本発明は、増加した有効伝送範囲(つまり、有効伝送範囲よりも広い範囲)に亘って、装置11が装置12への送信を続けることを可能にする。
【0027】
通常、ヘッドセット通信装置は、2つのパーティ間でブルートゥースインターカム通信を可能にするために、ペアリングを行う必要がある。また、各ヘッドセット通信装置は、セルラーフォンにもペアリングされる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、2つのヘッドセット通信装置(つまり、第1のパーティと第2のパーティ)間でインターカム範囲拡張を可能にするために、ヘッドセットペアリング処理は、一般的な(共通の)ブルートゥース要求パラメータに加えて、セルラー関連パラメータ(例えば、ペアリングされたパーティと関連付けられたセルラーフォン番号)を含む。例えば、これは、ヘッドセット装置の所有者ペアリング処理を介して行われることができ、ヘッドセット通信装置がインターカム通信の損失を検出したとき、インターカムコールの開始者(つまり、第1のパーティ)は、第2のパーティへのセルラーコールを開始する。第2のパーティは、自動的にコールを受け入れ、よって、シームレスな通信を続けることを可能にする。付加的に、セルラーフォン番号は、ペアリング処理時に、ヘッドセットのメモリに記憶されうる。それに替えて、セルラーフォン番号は、ウェブサーバ、ウェブアプリケーション、モバイル/スマートフォン/タブレットアプリケーション又は例えば、WO2013/065039として公開された国際特許出願に開示されるようなその組み合わせを介して、ペアリング処理に付随されうる。
【0029】
より詳細には、インターカム通信が損失したとき、ヘッドセットは、第2のパーティのセルラー番号を割り当て、第2のパーティにダイヤル及びコールするためにユーザのペアリングされたセルラーフォンを用いる。付加的に、(例えば、ユーザがセルラーコールを受け入れる又は拒否することを可能にするために)通信がブルートゥースからセルラーへ媒体を変更したとき、ユーザは、アラート(例えば、警報)を受信する。
【0030】
本発明の実施形態によれば、ヘッドセット通信装置11は、音声認識技術を用いてライダーが彼のライディングパートナー(例えば、ヘッドセット通信装置12)とハンズフリーコールを行うことを可能にするハンズフリーコールモジュールを備える。ハンズフリーコールシステムは、手を使わずに(例えば、ボイスコマンドを介して)ライダーが他のライダーと通話することを可能にする。この文脈では、ライディングパートナーは、彼らのヘッドセット通信装置が、ユーザのヘッドセット通信装置とペアリングされているライダーである。ヘッドセット通信装置11及び12で生じるように、標準的な動作モードでは、ライディングパートナーとの通信は、料金が掛からない、ブルートゥースインターカム通信チャネルを介して確立される。
【0031】
本発明の実施形態によれば、インターカム範囲拡張機能を有するヘッドセット通信装置は、ライダーが、例えば、家、オフィス、パートナー等に電話するための予め定義された電話番号へハンズフリーコールを確立することを可能にする。非ライディングパートナーとの通信は、セルラー通信チャネルを介して(例えば、ヘッドセット通信装置とペアリングされるセルラーモバイルフォンを介して)なされる。
【0032】
ウェブサービスを介して(例えば、ウェブサーバ、ウェブアプリケーション又はWO2013/065039として公開された国際特許出願に開示されるようなその組み合わせを介してカップリング処理が行われるCardoコミュニティウェブポータルを用いて)又はフラッシュペアリング処理を用いて、ライダーは、彼のライディングパートナーと彼のヘッドセット通信装置がペアリングされる彼のコンタクトリストを構築する。ウェブサービスへのアクセスは、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ又はネットワーク機能を有し、かつクライアント‐サーバインタラクションを実装することができる他のコンピュータベースシステムを介して取得されうる。コンタクトリストは、ブルートゥースBDアドレス及びコンタクト名称(ネーム)を含む、他のヘッドセット通信装置情報を含み、コンタクト名称を言う(又は他のボイスコマンド)ことでブルートゥースインターカムコールを可能にする。
【0033】
それに替えて、Cardoコミュニティのようなウェブサービスを用いているライダーは、Cardoコミュニティに非ライダーコンタクトも定義するためにコンタクトリストを構築しうる。電話番号及び非ライダーコンタクト名称は、ヘッドセット通信装置内に保存される。例えば、ユーザが非ライダー名称又は他のボイスコマンドを言ったとき、ヘッドセット通信装置は、(例えば、ハンズフリーコールモジュールの音声認識回路を介して)名称を認識し、非ライダーコンタクトへのセルラーモバイルフォンコールを開始する。
【0034】
上述したように、このようなウェブサービスを用いることは、ヘッドセット通信装置を介してセルフォンによりコンタクトをコールするためのオプションを提供する。この場合には、ヘッドセット通信装置は、ワイヤレスヘッドセットとして用いられる。ユニークなのは、ライダーがコンタクト名称を言い、それによって、ヘッドセット通信装置は、コンタクトの名称を認識し、それによって、ライダーのモバイルフォンが、コンタクトの電話番号(つまり、ウェブサービスを介してコンタクトリストの生成時にヘッドセットのメモリに記憶されるような)に(セルラーチャネルを介して)電話させることである。例えば、コンタクトリストのコンタクトの各記録は、名称(ネーム)、電話番号、音素又は音声認識のための他のデータ関連性のリスト、(1以上の言語のコンタクト名称音素メカニズムを含む)圧縮音声ファイル等を含む。一実施形態では、ライダーは、電話番号、(2つのワードを含む)コンタクトの名称を提供し、かつ言語をセットアップするように要求される。これは、音声認識及びテキスト‐音声処理が言語による影響を受けるためである。
【0035】
コンタクトリストへのエントリーを生成するために、ライダーは、ライダーがコンタクトを定義することを可能にする、Cardoコミュニティウェブサービスへヘッドセット通信装置を接続する。ライダーがコンタクト名称及び電話番号を(テキスト形式で)入力した後、コンタクトの記録を生成する処理が開始し、以下のステップを含む:(例えば、テキストから音声へのエンジンを用いて)コンタクトの名称をオーディオファイルに変換し、音声ファイルを圧縮すること、コンタクトの名称を音声認識データ形式(例えば、音素リスト)に変換すること。
【0036】
その結果、これは、ヘッドセット通信装置のメモリのコンタクトのリストを記憶することを可能にし、記憶されたコンタクトの各名称は、ヘッドセット通信装置のパラメータ又は電話番号と関連付けられうる。したがって、これは、他のヘッドセット通信装置へブルートゥースチャネルを介して、又は関連付けられた電話番号へのセルラーコールを確立することにより、第1のヘッドセット通信装置から各記憶されたコンタクトへハンズフリーコールを開始することを可能にする。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る、ヘッドセット通信装置11のブロック図を概略的に示す。
図2では、装置11は、アンテナ3を介してデータを送受信する送信機1及び受信機2を含む。送信機1及び受信機2と共に動作するのはセルラーモジュール4であり、これは、インターカム通信データを別のセルラー通信チャネルへ一時的にルーティングするために動作可能であり、有効伝送範囲(例えば、1.5Km)は、より広い伝送範囲へ効果的に増大される。一実施形態によれば、セルラーモジュール4は、記憶されたセルラーフォン番号をセルラーフォンへブルートゥースチャネルを介して転送することにより、ライダーのセルラーフォン5を通じてインターカム通信を再確立するための通信の処理を開始する。別の実施形態では、ヘッドセット通信装置11は、セルラー通信モジュール(例えば、セルラーモジュール4の一部として組み込まれうる)を含み、装置11は、セルラー通信モジュールのセルラー機能を用いてインターカム通信を再確立するためのセルラーコールを開始する。これは、ライダーのセルラーフォン5を用いることの必要性を排除する。
【0038】
本発明の実施形態によれば、インターカム範囲拡張は、以下のように動作してもよい:送信しようとする装置11は、初めに、通常の手法での通信を試みる、つまり、送信機1がバーストを送出する(ブルートゥースは、典型的には、各メッセージバーストのスタートでのアクセスコードを用いる)。装置11の受信機2が、受信装置を聴くことができるが、他の装置(つまり、第2のパーティ)が応答することができない場合(又は受信機2が何の応答も受信しない場合)、セルラーモジュール4は、ペアリング処理時に事前に保存されたように、受信している装置(つまり、第2のパーティ)のセルラー番号をダイヤルすることにより、(ブルートゥースチャネルに代えて)セルラー通信チャネルを介して通信を再確立することを試みる。
【0039】
受信側では、本発明を備える装置が着信を受け付けたとき、ブルートゥースチャネルに代えて、セルラーチャネルを介して、失敗したインターカム通信を再確立する。
【0040】
本発明の実施形態によれば、セルラーチャネルを介した通信時に、ヘッドセットは、ワイヤレスイヤフォン装置として用いられうる。
【0041】
特に言及しない限り、本明細書に記載された機能は、コンピュータ可読媒体に記憶され、ヘッドセット通信装置で動作する、実行可能なコード及び命令によって実行されてもよい。
【0042】
当業者によって理解されるように、図面に記載された配置は、インターカム範囲拡張をもたらし、よって、ブルートゥースインターカム通信が損失したとき(例えば、環境条件により)、ライダー間の通信は、セルラー通信チャネルを介して再確立される。
【0043】
上記の説明及び実施例は、説明の目的のために供与され、本発明を何らかの手法に限定することを意図するものではない。特定例のシステム構成要素又はサービスに特定の参照がなされるが、他の構成要素及びサービスが同様に用いられうる、及び/又は実施例の構成要素は、いくつかの構成要素に組み合わせられうる及び/又は更なる構成要素に分割されうる。多くの異なるメカニズム、分析の方法及び論理要素が、クレームされた発明の範囲を全て超えずに、採用されうる。