特許第6499211号(P6499211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6499211補助シーリング手段を備えたターボマシン要素、およびこの要素をテストするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499211
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】補助シーリング手段を備えたターボマシン要素、およびこの要素をテストするための方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/02 20060101AFI20190401BHJP
   F01D 21/00 20060101ALI20190401BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20190401BHJP
   F01D 25/18 20060101ALI20190401BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   F01D11/02
   F01D21/00 X
   F01D25/00 M
   F01D25/00 X
   F01D25/18 C
   F02C7/28 Z
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-574252(P2016-574252)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公表番号】特表2017-530283(P2017-530283A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】FR2015052004
(87)【国際公開番号】WO2016016545
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】1457350
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルタール,フロランス・イレーネ・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ジャモン,ティボー
(72)【発明者】
【氏名】レノン,オリビエ
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01757777(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01577495(EP,A1)
【文献】 特表2015−503045(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2644843(FR,A1)
【文献】 米国特許第5429208(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/02
F01D 21/00
F01D 25/00
F01D 25/18
F02C 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(2)と、ロータ(1)と、ロータが当該ロータの回転軸(LL)周りの作動位置にある場合、作動可能であるように配置されたステータ(2)とロータ(1)との間の第1のシーリング手段(9)と、を備えたタービンエンジン要素であって、この要素が、ロータ(1)とステータ(2)の間の、補助加圧シーリング手段を備えることと、テスト位置に取り付けるプロセスの間、ロータ(1)が当該ロータの回転軸(LL)に沿って配置され、前記テスト位置において、ロータ(1)およびステータ(2)が前記第1のシーリング手段(9)および前記補助加圧シーリング手段の間にエンクロージャ(8)を形成する場合に、前記第1のシーリング手段および前記補助加圧シーリング手段が作動可能であるように、配置されていることと、補助加圧シーリング手段が、ロータ(1)が作動位置に置かれている場合に、作動不可能であるように、配置されていることと、を特徴とする、タービンエンジン要素。
【請求項2】
補助加圧シーリング手段が、ロータまたはステータの内の本体の1つにしっかりと接続され、ロータが、作動位置に関して確定された距離(d4)だけ軸方向にオフセットしたテスト位置にある場合に、第1の円筒状シーリング面(22)に置かれるように、かつ、ロータ(1)が作動位置にある場合に、前記第1の円筒状シーリング面から除去されるように配置されている、加圧されたシーリングジョイント(20)を備えている、請求項1に記載のタービンエンジン要素。
【請求項3】
ステータ(1)とロータ(2)との間のベアリング(3)であって、前記ベアリング(3)が、第1のリング(4)と第2のリング(5)との間のローラベアリング(6)を備え、前記第1のリング(4)および前記第2のリング(5)の一方がステータ(2)にしっかりと接続され、他方がロータ(1)にしっかりと固定された、ベアリングをさらに備え、第1のリング(4)が、回転ベアリング(6)が軸方向にスライドすることを可能にすることと、前記第1のリングの軸方向の延長部が、作動位置からテスト位置へ、またはその逆の移動の際に、回転軸(LL)に沿ってロータを案内するための表面として作用するように配置されていることと、を特徴とする、請求項2に記載のタービンエンジン要素。
【請求項4】
ロータ(1)が軸(LL)に沿う取付け方向でステータ(1)内に取り付けられるように配置されると、テスト位置は、前記取付け方向に沿って作動位置の前に位置する、請求項2または請求項3に記載のタービンエンジン要素。
【請求項5】
補助加圧シーリング手段が、ロータが少なくとも所定の値に等しい速度で回転する場合、第1の動作の間、作動不可能であるように配置される、請求項1に記載のタービンエンジン要素。
【請求項6】
補助加圧シーリング手段が、ロータまたはステータの内の本体の1つにしっかりと接続され、ロータがステータに対して固定されている場合に、第2の円筒状シーリング面(16)に置かれるように、かつ、ロータが回転するように設定されている場合に、除去されるように配置されている、加圧されたシーリングジョイント(23a)を備えている、請求項5に記載のタービンエンジン要素。
【請求項7】
ロータ(1)が作動位置にある場合に、ステータ(2)およびロータ(1)が、前記第1のシーリング手段(9)および前記補助加圧シーリング手段の間に軸方向に配置されたベアリング(3)を潤滑するためのエンクロージャ(8)を形成するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービンエンジン要素。
【請求項8】
第1のシーリング手段(9)が、ロータまたはステータの内の本体の一方にしっかりと接続され、前記第1のシーリング手段が作動可能である場合に、他方の本体にしっかりと接続された第3の円筒状シーリング面(12)上に置かれるように配置された、径方向に加圧されたシーリングジョイント(11)を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービンエンジン要素。
【請求項9】
径方向に加圧されたシーリングジョイント(11)は、部分に分かれた径方向ジョイントである、請求項8に記載のタービンエンジン要素。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の要素を備えたタービンエンジン。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のタービンエンジン要素内の第1のシーリング手段(9)をテストするための方法であって、ロータ(1)を前記テスト位置に設置することと、エンクロージャ(8)に空気吸引開口を設けることと、次いで、第1のシーリング手段の状態をテストすべく前記開口を通して空気を吸い出すことにより、第1のシーリング手段(9)と補助加圧シーリング手段との間のエンクロージャ(8)に負圧を形成することと、からなるステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジンの分野に関し、より詳細には、ロータとステータとの間の、特にロータを案内するためのベアリングの近位のシーリングジョイントの設計に関する。前記発明は、具体的には、そのようなベアリング周りの潤滑エンクロージャ内のシーリングジョイントをチェックするためのテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボシャフトエンジンは概して、ガス流の方向に上流側から下流側に、ファン、1つまたは複数のコンプレッサ段、燃焼チャンバ、1つまたは複数のタービン段、および、ガス排気パイプを備えている。様々なトランスミッションおよびギアシステムによって相互に接続可能である各ロータは、これら様々な要素に対応する。
【0003】
さらに、回転体のガイドベアリングが潤滑および冷却されることを可能にするために、ターボジェットエンジンは一般的に、潤滑回路を備えている。ベアリングの潤滑のための回路は、ベアリングの両側のロータ部分を囲むタービンエンジンの内側ケーシングの一部分によって形成された潤滑エンクロージャを備えている。
【0004】
前記潤滑エンクロージャの軸方向端部には、ロータが通っている。オイルをエンクロージャ内にとどめるために、エンクロージャを通るロータの通路には通常、ラビリンスシールが備えられている。いくつかの条件では、オイルの流れがこのエンクロージャから離脱する場合がある。仏国特許出願第1260598号明細書には、たとえば、前記オイルを、タービンエンジン内を通る空気流内に逃すことなく、前記オイルを取り戻し、このオイルを潤滑回路に戻すように設計されたジャーナルが記載されている。
【0005】
オイルの損失を制限する別の相補的方式は、潤滑エンクロージャを減圧することにある。国際公開第2013/083917号パンフレットの特許出願の明細書には、たとえば、前記減圧を可能にするように、エンクロージャと、隣接する外部ボリュームとの間のシールを確実にするために、ロータの通路における環状シールを使用するシステムが記載されている。さらに、国際公開第2014/006338号パンフレットの特許出願の明細書には、これに関連して、部分に分かれた径方向シールを使用する方法が記載されている。
【0006】
潤滑エンクロージャの上流側に設置されると、前記部分に分かれた径方向シールにより、エンクロージャの圧力を制御することが可能になる。この同じエンクロージャの下流では、回転体の通路におけるラビリンスによってシーリングを確実にすることができる。エンクロージャの減圧は、外部から空気がエンクロージャ内に入ってくることに繋がる。この方式で、圧力差により、オイルに関するラビリンスシールのシーリングが確実になっている。
【0007】
しかしながら、エンクロージャ内の圧力のバランスを取ることにおいて、部分に分かれた径方向シールが主要な役割を果たすことから、部分に分かれた径方向シールの適切な動作を確実にすることは必要不可欠である。しかしながら、ロータの取付けは、通常、下流側から上流側に向かって行われる。部分に分かれた径方向シールはもろく、不適切に並べられる結果として、前記シールがロータと接触する場合、ロータがケーシングに取り付けられると損傷を受けることになる場合がある。さらに、この場合、部分に分かれた径方向シールは、この径方向シールの状況の視覚的点検を行うためにアクセスすることがもはや不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願第1260598号明細書
【特許文献2】国際公開第2013/083917号
【特許文献3】国際公開第2014/006338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主要な目的は、ロータがケーシングに設置されている場合に、部分に分かれた径方向シールの動作の点検を簡単に行うための手段を提案することである。
【0010】
さらに、下流側では、ベアリングからのオイルの噴出は、前記噴出が前記シーリング手段に達する場合に、シーリング手段の効率に有害である場合がある。解決策の1つは、シールをベアリングから離れるように移動することであるが、タービンエンジンの環境における軸方向のスペースは制限されている。
【0011】
本発明の別の目的は、軸方向においてコンパクトであるとともに、やはりシールをオイルの噴出から保護する、ガイドベアリング周りのエンクロージャの設計を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、ステータと、ロータと、ロータが回転軸周りの作動位置にある場合、作動可能であるように配置された、ロータとステータとの間の第1のシーリング手段と、を備えた要素であって、この要素が、ロータとステータの間の、補助加圧シーリング手段を備え、テスト位置に取り付けるプロセスの間、ロータが回転軸に沿って配置され、前記テスト位置において、ロータおよびステータが前記2つのシーリング手段の間にエンクロージャを形成する場合に、前記2つのシーリング手段が作動可能であるように要素が配置されていることと、補助加圧シーリング手段が、ロータが作動位置に置かれている場合に、作動不可能であるか作動不可能になるように配置されていることと、を特徴とする要素に関する。
【0013】
「加圧されたシーリング(pressurised sealing)」との用語は、両側の圧力差を維持することを可能にするように、手段がガスに対して十分に不浸透性であることを示している。反対に(A contrario)、オイルに対する不浸透性も、手段がオイルをブロックすることが可能であるが、ガスの漏洩を防止することが必ずしも可能ではないことを示すものと言及される。
【0014】
本発明の目的は、ロータがテスト位置に配置されている場合に、エンクロージャが2つのシーリング手段の間に形成されると、軸方向のシーリング手段のために、閉じたエンクロージャとその環境との間の圧力差を確実にすることと、エンクロージャまたは外部の圧力の変化を観察することにより、第1のシーリング手段の状態をテストすることと、が可能であるという事実の手段によって達成される。したがって、特に、ロータがステータ内にある際にシールがアクセス不可能である場合に、シーリング手段の動作状態をチェックするために、要素を取り外すことが不要である。さらに、タービンエンジンが作動している場合、前記軸方向のシーリング手段が作動不可能であることから、前記手段は、タービンエンジンの動作の間に不必要に摩擦を生じない。
【0015】
第1の変形形態では、補助加圧シーリング手段は、タービンエンジン要素の任意の動作の前において、作動不可能であるように配置されている。
【0016】
有利には、補助加圧シーリング手段は、ロータまたはステータの内の本体の一方にしっかりと接続され、ロータが、作動位置に関して確定された距離だけ軸方向にオフセットしたテスト位置にある場合に、円筒状シーリング面に置かれるように、かつ、ロータが作動位置にある場合に、前記シーリング面から除去されるように配置されている、加圧されたシーリングジョイントを備えている。シールは、ポリテトラフルオロエチレンの短縮である、PTFEシールとすることができる。PTFEシールは、前記材料で形成されたリングを備えている。
【0017】
有利には、要素はさらに、ステータとロータとの間のベアリングであって、前記ベアリングが、第1のリングと第2のリングとの間のローラベアリングを備え、前記リングの一方がステータにしっかりと接続され、他方がロータにしっかりと固定された、ベアリングを備えており、要素の第1のリングは、ローラベアリングが軸方向にスライドすることを可能にするとともに、作動位置からテスト位置へ、またはその逆の移動の際に、回転軸に沿ってロータを案内するための表面として作用するように配置された軸方向の延長部を備えている。
【0018】
これにより、ロータを作動位置とテスト位置との間で案内することが可能になり、したがって、第1のシーリング手段に損傷を与えるリスクが制限される。
【0019】
有利には、ロータが軸に沿う取付け方向でステータ内に取り付けられるように配置されると、テスト位置は、前記取付け方向に沿って作動位置の前に位置する。
【0020】
これにより、第1のシーリング手段のテストを取付け手順に簡単に統合することが可能になる。したがって、ロータをステータに設置し、中間位置で止めることにより、テストの実施を開始し、次いで、同じ方向でのロータの移動を継続することにより、設置を完了することが可能になる。さらに、作動位置に戻る前に軸に沿って作動位置を通過することを可能にするための調整を行うことは不要である。この調整はタービンエンジンにおいて、困難であるか、不可能でさえある場合がある。
【0021】
別の変形形態では、補助加圧シーリング手段は、ロータが少なくとも所定の値に等しい速度で回転する場合、第1の動作の間、作動不可能とするように配置されている。
【0022】
有利には、補助加圧シーリング手段は、ロータまたはステータの内の本体の1つにしっかりと接続され、ロータがステータに対して回転が固定されている場合に、円筒状シーリング面に置かれるように、かつ、ロータが回転するように設定されている場合に、除去されるように配置されている、加圧されたシーリングジョイントを備えている。
【0023】
そのようなシールは、たとえば蜜蝋で形成され、摩擦によって生じた熱によって除去することができる。この技術を使用して、テスト位置を軸方向において作動位置と同じとすることができ、これにより、巧妙な操作を避け、デバイス全体をよりコンパクトにする。
【0024】
有利には、ステータおよびロータは、ロータが作動位置にある場合に、前記2つのシーリング手段間に軸方向に配置されたデバイスを潤滑するためのエンクロージャを形成するように配置されている。
【0025】
潤滑エンクロージャは、この場合、第1のシールと、補助加圧シールとの間の減圧エンクロージャとして使用され得る。有利には、ベアリング周りにオイルを保持するように設計された潤滑エンクロージャは、ステータを通るロータの通路、および、エンクロージャと潤滑回路との間のオイルの通路のための開口以外の開口を有していない。ロータをテスト位置に配置することにより、第1のシーリング手段および補助加圧シーリング手段は、ロータの通路をシールする。したがって、空気を潤滑エンクロージャ内に吸い込み、第1のシーリングジョイントの状況をテストするための負圧を形成するために、1つを除いてオイルの通路のための開口をブロックするには十分である。
【0026】
好ましくは、アセンブリは、ベアリングと第2の加圧されたシーリング手段との間に配置され、ロータが第1の軸方向位置にある場合に作動可能である、ロータとステータとの間のオイルに対する不浸透性のための径方向手段を備えている。この方式で、オイルに対する不浸透性のための前記手段により、第2の加圧されたシーリング手段が、潤滑エンクロージャからのオイルによって汚染されることが防止される。
【0027】
好ましくは、第1のシーリング手段は、ロータまたはステータの内の本体の一方にしっかりと接続され、前記第1の手段が作動可能である場合に、他方の本体にしっかりと接続された円筒状シーリング面上に置かれるように配置された、径方向に加圧されたシーリングジョイント、たとえば、部分に分かれた径方向シールを備えている。
【0028】
したがって、前記手段は、たとえば、タービンエンジンが動作している場合に潤滑エンクロージャの減圧を点検するための、ロータが作動位置にある場合の加圧されたシーリング手段である。
【0029】
好ましくは、径方向シーリングジョイントは、円筒状シーリング面の径方向外側にある。
【0030】
これにより、特に、取付け方向が、第1のシーリングジョイントがベアリングの上流側に位置していることを意味する場合に、径方向シールが、取付けの際にベアリングを通過し、損傷を受けることになることを防止することが可能になる。このことは、径方向シーリングジョイントと協同して、前記ジョイントとベアリングとの間に、前記シーリング面と協同して潤滑エンクロージャからのオイルからシールを保護するある手段、たとえば、ツイストを配置するシーリング面の延長部を使用することをも可能にする。
【0031】
有利には、前記第1のシールが径方向外側に配置されると、円筒状シーリング面が、作動位置にある径方向シーリングジョイントと接触したシーリング面の部分を越え、テスト位置から作動位置が離間する距離に少なくとも等しい距離にわたって、取付け方向に軸方向に延びる。
【0032】
この方式で、円筒状シーリング面は、ロータがテスト位置と作動位置との間で移動する際に、径方向シーリングジョイントが、連続する方式でシーリング面と接触するような方式で軸方向に延びる。これにより、テスト位置と作動位置との間で前記表面に接触するシールからの衝撃を防止することが可能になる。この衝撃は、前記シールに損傷を生じる場合がある。
【0033】
通常、ステータは径方向にロータを囲んでいる。ステータに接続されたシーリング手段の部分は、この場合、ロータに接続された対応する部分の径方向外側にある。
【0034】
有利には、ベアリングを囲む環状カウルは、ベアリングを潤滑するオイルが径方向に噴出するのを防止するように配置され、エンクロージャの内側の少なくとも1つのシーリング手段は、ベアリングに向かって、前記シーリング手段の径方向に最も内側の部分の延長部としてのリングを備えており、前記リングは、前記カウルの内径に少なくとも等しい外径を有している。好ましくは、前記リングは、ロータが第1の軸方向位置にある場合に、少なくとも部分的に前記環状カウルを覆っている。これにより、ベアリングから来るオイルの直接の噴出を防止することが可能になる。好ましくは、前記リングは、ロータが第1の軸方向位置にある場合に、少なくとも部分的に前記カウルを覆っている。
【0035】
本発明は、上述の要素を備えたタービンエンジンにも関する。
【0036】
本発明は、本発明によるタービンエンジン要素内の第1のシーリング手段をテストするための方法であって、ロータを前記テスト位置に設置することと、エンクロージャに空気吸引開口を設けることと、次いで、前記開口を通して空気を吸い出すことにより、第1のシーリング手段と補助加圧シーリング手段との間のエンクロージャに負圧を形成することと、からなるステップを含む方法にも関する。
【0037】
添付図面を参照して、以下の非限定的な例の詳細な説明を読むことで、本発明がよりよく理解され、本発明の他の詳細、特徴、および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ロータがタービンエンジン内の作動位置にある場合の、本発明の一実施形態に係るステータおよびロータの経線断面の概略図である。
図2a】離間した位置にあり、組み立てられる準備がされている、図1からのステータおよびロータの経線断面の概略図である。
図2b】離間した位置にあり、組み立てられる準備がされている、本発明の変形形態に係るステータおよびロータの経線断面の概略図である。
図3】中間のテスト位置にある、図1からのステータおよびロータの経線断面の概略図である。
図4】ロータがタービンエンジン内の作動位置にある場合の、本発明の変形形態に係るステータおよびロータの経線断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、ケーシング2内の作動位置に設置され、タービンエンジンのシャフト1を案内するためのベアリング3の領域にある、軸LL周りに回転可能なタービンエンジンシャフト1を示している。
【0040】
図1およびそれに次ぐ図面において、タービンエンジン内のガスの主流は、左から右に流れる。図面に対応するこの例に示す要素は、前記主流によって囲まれたタービンエンジンの部分に配置されている。以下の説明では、上流および下流との用語は、前記主流に関して理解される。
【0041】
案内ベアリング3は、ケーシング2に固定された外側リング4と、シャフト1に固定された内側リング5とで特に形成されており、外側リング4と内側リング5との間では、ローラ6が自在に回転可能である。ベアリング3は、取付けまたは取外し動作のために、シャフト1が作動位置から離れて移動する場合に、ローラ6が内側リング5に保持されたままであるような方式で設計されている。たとえばボールなどの、ローラ以外のローラベアリングを使用することができる。さらに、回転シャフト1が取り外される場合、ローラベアリング6が外側リング4の側部に保持されている、図2bに示すベアリング3を設計することが考えられる。
【0042】
外側リング4は、ベアリング3の支持部7によってケーシング2に接続されている。内側リング5は通常、回転シャフト1の表面に固定されている。
【0043】
ケーシング2および回転シャフト1は、潤滑4のエンクロージャ8をベアリング3周りに形成するように配置されている。前記エンクロージャ8は、ベアリング3の上流側のシャフト1のための通路と、ベアリング3の下流側のシャフト1のための通路とを備えている。
【0044】
潤滑エンクロージャ8は、タービンエンジンの潤滑回路の一部である。オイルは、図面には示されていない流入開口を通ってエンクロージャ8内に再び入り、次いで、ベアリング3を潤滑するために、ベアリング3に向けられる。ベアリング3の潤滑の後に、オイルは、様々な方向に放出されながら、前記ベアリングを再び離れる。エンクロージャ8の機能は、特に、オイルを、やはり図面には示されていない流出開口を通して戻るように供給して、前記オイルを潤滑回路に向けて戻すようにするために、前記オイルを取り戻すことである。
【0045】
オイルの損失を防止するために、エンクロージャ8内のシャフト1の通路には、特にオイルを閉塞することが可能である径方向シーリング手段9、10が備えられている。さらに、特に前記径方向シーリング手段9、10のシーリングを向上させるために、シャフト1の回転中、要素は、タービンエンジンが動作している場合、エンクロージャ8の圧力POが、シャフト1の外部の位置の圧力P1、P2よりも小であるように設計されている。この減圧は、エンクロージャ8のシーリングに寄与する。
【0046】
この結果を得るために、この場合の上流側通路の径方向シーリング手段9は、相互に対して圧縮されるように保持されたカーボンセグメントのためのシーリングリングで形成された、部分に分かれた径方向シーリングジョイント11を備えている。このリングはケーシング2にしっかりと接続されている。前記部分に分かれた径方向シーリングジョイント11は、内側表面と接触する円筒状表面12と協同する。円筒状表面12は、回転シャフト1にしっかりと接続されたスリーブ13に取り付けられており、円筒状表面12の断面は、経線面において、U状であり、回転軸LLに対して平行である。この形状により、この場合では右から左に回転軸LLに沿って移動させることにより、ケーシング2内に設置することを可能にし、次いで、シャフト1がケーシング2に対する作動位置にある場合に、部分に分かれた径方向シール11と円筒状表面12とが相互に対し支えられるように、シャフト1に十分な弾性を持たせることを可能にしている。
【0047】
部分に分かれた径方向シール11の設計により、通過する空気の減速のための十分なシーリングが可能になり、したがって、前記シールの2つの側の間の圧力差が達成される。この方式で、タービンエンジンの作動時には、エンクロージャ8の圧力POが、タービンエンジンにおける圧力のより高い領域と連通している、上流側通路の径方向シーリング手段9の上流側の空間で得られる圧力P1よりも小の値に維持され得る。
【0048】
径方向シーリング手段9は、部分に分かれた径方向シール11に対してエンクロージャ8の内側のツイスト14によって補われている。前記ツイスト14は、部分に分かれた径方向シール11と協同する部分の下流側に延びる円筒状表面12の部分と協同する。ツイスト14の機能は、上流側通路に来得るオイルをエンクロージャ8に戻し、部分に分かれた径方向シール11を前記オイルから保護することである。
【0049】
回転シャフト1の下流側通路の径方向シーリング手段10は、シャフト1にしっかりと接続され、ケーシング2にしっかりと接続され、アブレイダブル材料で形成された円筒状表面16と接触するワイパ15で形成されたラビリンスシールを備えている。前記ラビリンスシール15、16により、オイルの通路からの効果的なシーリングが可能になっている。
【0050】
ラビリンスシール15、16は、端部間のガスの圧力差を得ることにおいて、部分に分かれた径方向シール11、12ほど効果的ではない。しかしながら、図示の例では、潤滑エンクロージャ8の周囲のガス流が左から右に生じ、部分に分かれた径方向シール11は上流側の空気の流れをブロックし、このことは、エンクロージャ8内の圧力POが、ラビリンスシール15、16の下流側の空間において得られる圧力P2未満にやはり維持されるためには十分である。
【0051】
この場合の下流側通路の径方向シーリング手段10は、ラビリンスシール15、16の上流側に位置するツイスト17によっても補われている。前記ツイスト17は、ラビリンスシールの円筒状表面16の上流側に延びるリング18と協同する。ツイスト17の機能は、下流側通路に来得るオイルをエンクロージャ8に戻し、ラビリンスシール15、16を前記オイルから保護することである。
【0052】
ツイスト17と協同するリング18は、ラビリンスシールのワイパ15の支持部と実質的に整列されている。本要素は、回転シャフト1から延びるプレート19によって保持されている。
【0053】
本発明の一態様によれば、プレート19は、ツイストと協同するリング18の直径が、ベアリング3の外側リング4の直径よりもわずかに大であるような方式で径方向に延びる。
【0054】
さらに、図2aを参照すると、ベアリング3のローラベアリング6が外側リング4上をスライドする一実施形態では、ベアリングの外側リング4の下流方向の延長部と、この場合にツイスト17と協同する、リング18の上流方向の延長部とは、ツイスト17のリング18がベアリング3の外側リング4を部分的に覆うような方式で配置されている。
【0055】
この配置は、ベアリング3と、下流側通路のツイスト17との間に直接の通路が存在しないことを意味している。図1において矢印によって示されるオイルの噴出は、したがって、リングによって止められる。これにより、下流側通路の径方向シーリング手段10がベアリング3に近接するが、ツイスト17がオイルの噴出から保護されている、ベアリング3の下流側におけるコンパクトな設計を有することが可能になる。
【0056】
図示の代替形態では、図2bにおける取り外された位置のシャフト1およびケーシングにより、ベアリング3の外側リング4ではなく、ベアリング3の支持部7の部分7bがツイスト17のリング18の下に延びることが考えられる。ベアリングの支持部の前記部分7bは、ローラベアリング6のためのトラックとしては機能しないが、下流側のベアリング3を径方向に囲み、シャフト1が作動位置にある場合にはツイスト17のリング18の内側に通され得るカウルを形成する。
【0057】
本発明の別の態様によれば、回転シャフト1は、回転軸LLに沿って移動されることにより、ケーシング2内に設置される。図示の例では、図2aおよび図2bを参照すると、取り外された位置のシャフト1がケーシング2の下流側に位置し、ロータに関して下流側から上流側に移動する方向で取付けが行われる。
【0058】
図2aは、図1の実施形態に関する連結の直前のシャフトの取付けを示している。ベアリング3の外側リング4の延長部は、シャフト1にしっかりと接続されているローラベアリング6が、部分に分かれた径方向シール11と協同する円筒状表面12の上流側端部が上流側通路のツイスト14の下流側部分と接触する前に、前記リングと接触するようになっている。
【0059】
このことは、図1を参照すると、シャフト1が作動位置に設置されると、外側リング4の下流側端部をベアリング3のローラベアリング6の上流側端部から離間する距離d1が、上流側の径方向シーリング手段9に関する、円筒状表面12の上流側端部をツイスト4の下流側端部から離間する距離d2よりも大であるという事実に対応する。
【0060】
この方式で、ベアリング3のローラベアリング6がすでに外側ベアリングリング4に係合した状態で、シャフト1の上流側通路の径方向シーリング手段9の部分がケーシング3の部分と連結する。したがって、取付けのために移動される際のシャフト1の動きは、ベアリング3によって案内され、これにより、連結時の衝撃、または、径方向シーリング手段9の設置の際に付随的に生じる力のリスクを制限する。
【0061】
一変形形態では、最ももろい部分である、部分に分かれた径方向シール11を簡単に保護することが可能である。この場合、外側リング4の下流側端部をベアリング3のローラベアリング6の上流側端部から離間する距離d1が、円筒状表面12の上流側端部を部分に分かれた径方向シール11の下流側端部から離間する距離d3よりも大である。
【0062】
この構成では、外側リング4を下流側に延長することへの必要性が、部分に分かれた径方向シール11を取り付ける機能、および、ベアリング3から来るオイルの噴出からツイスト17を保護する機能に関して一貫していることにも留意することができる。
【0063】
好ましい実施形態では、図1および図2aを参照すると、シャフト1に接続されたローラベアリング6も、下流側でツイスト17と協同するリング18が、ラビリンスシールのワイパ15と協同する円筒状表面16と接触する前に、外側リング4に連結される。このことによっても、取付けの際の衝撃に対して、下流側通路の径方向シーリング手段10を保護することが可能になる。
【0064】
図2bに示す一変形形態では、ローラベアリング6は、ケーシング2に固定された外側リング4にしっかりと接続されている。この場合、シャフト1が作動位置にある場合に、回転が生じる位置を越える、上流方向の延長部を有するのは内側リング5である。この延長部は、ケーシング2およびシャフト2にしっかりと接続された径方向シーリング手段9、10の各部分が相互に接触する前に、内側リング5がローラベアリング6に接触するようになっている。
【0065】
本発明のさらに別の態様によれば、図3を参照すると、加圧されたシーリングジョイント20が、ラビリンスシールのワイパ15と協同する円筒状表面16の下流側のリング21に設置されている。シャフト1およびケーシング2は、前記加圧されたシーリングジョイント20が、図3に示すように、シャフト1が作動位置からオフセットした所定の位置にある場合に、シャフト1にしっかりと接続され、ラビリンスシール15を延ばすリング22に当接するような方式で、設計されている。
【0066】
この場合、加圧されたシーリングジョイント20は、ポリテトラフルオロエチレンを意味する、前記材料からなるリングを備えたPTFEシールであり、前記リングをシャフト1のリング22に対して押圧する円形バネによって把持される。このタイプのシールにより、低い摩擦を伴う、圧力に対する良好な不浸透性を確実にすることが可能になる。さらに、前記シールは、作動時にタービンエンジンのこの位置に生じる場合がある高温に対する耐性がある。
【0067】
しかしながら、材料が、エンクロージャを通るシャフトの通路におけるシャフト周りの圧力に対する不浸透性を確実にするとともに、タービンエンジンの環境上の条件に耐え得る限り、他の材料で形成されたシールを使用することが考えられる。対称的に、作動条件において、以下に見られるように、前記シールは、シャフト1が回転している場合、低い摩擦で作動することが不要である。
【0068】
図3では、すでに図1および図2aに示したシャフト1およびケーシング2が、シャフトが中間位置に移動され、シャフトが図1の作動位置に対して下流方向に距離d4だけオフセットしている構成を有している。
【0069】
前記距離d4は、図1において、前記シールがリング22に当接する位置に対するPTFEシール20のオフセットに対応し、シャフト1が作動位置にある場合に、前記シールが前記リング22から除去されているようになっている。
【0070】
この方式で、シャフト1が作動位置にある場合、図1に見ることができるように、PTFEシール20がリング22から除去されている。したがって、図示の例では、前記シール20は、シャフト1が作動位置にある場合、作動可能ではなく、前記シールが協同する手段21、22は、シャフト1が作動位置にある場合、互いに相互作用しないか、タービンエンジンの他の要素と相互作用しない。したがって、前記手段20、21、22は、タービンエンジンの作動時には、摩擦または障害を生じない。さらに、この例では、手段20、21、22がエンクロージャ8の外側にあるため、これら手段にはベアリング3からのオイルの噴出による汚染のリスクがない。
【0071】
さらに、中間位置に向かう移動の距離d4は、ベアリング3のローラベアリング6を外側リング4から除去するのに必要とされる、前に図1で記載した距離d1より小である。したがって、シャフトは作動位置から中間位置に、およびその逆に移り、シャフト1は回転軸LLに沿ってケーシング2に対して移動し、シャフト1は、ベアリング3のローラベアリング6の、内側リング5および外側リング4との接触によって案内される。
【0072】
さらに、図2aまたは図2bを参照すると、下流側通路に関して、PTFEシール20およびその支持リング21が、好ましくは、径方向シーリング手段10のシャフト1にしっかりと接続された部分18、15の直径よりわずかに大である直径を有している。したがって、PTFEシール20が前記要素18、15に対してこすれることなく、シャフト1をケーシング2に設置することが可能である。
【0073】
第2に、上流側径方向シーリング手段9の領域では、この場合の円筒状表面12が、作動位置と中間位置との間のオフセットの距離d4に少なくとも等しい値だけ上流方向に増大している。
【0074】
この方式で、図3に見ることができるように、シャフトが中間位置にある場合、加圧されたシーリングがシャフト1の2つの通路において同時に潤滑エンクロージャ8に入ることを確実にされるような方式で、部分に分かれた径方向シール11は円筒状表面12と協同し、PTFEシール20はリング22と協同する。
【0075】
この中間位置は、有利には、部分に分かれた径方向シール11のためのテスト位置を画定する。実際、部分に分かれた径方向シール11がシャフト1の上流側通路に配置されているため、前記シールは、ケーシング2に設置されると、アクセス不可能になる。このため、シールの状況をチェックするために直接点検を行うことは不可能である。
【0076】
図4に示した一変形形態では、テスト位置は作動位置と同じである。この変形形態では、環状シール23bが、ステータのツイスト17と協同するロータの円筒状表面18の部分に形成された溝23bに挿入される。前記環状シール23bは、この位置において、ステータのラビリンス15と協同するステータの円筒状表面16に当接し、それにより、ロータが回転していない場合に、加圧されたシーリングを確実にするようになっている。
【0077】
環状シール23bは、この場合、ロータが作動状態にある際に、ロータが回転するように設定される場合の摩擦によって生じる熱にさらされると溶融する、たとえば蜜蝋などの材料で形成されている。この方式で、前記シールは、タービンエンジンが作動している場合に除去され、摩擦に起因する損失を生じない。
【0078】
図3に示すように構成された場合、取付け手順は有利には、テスト手順によって補われ得る。
【0079】
この目的のために、ローラベアリング6と、ベアリング3の対応するリング4が連結した後に、第1のステップは、中間位置までシャフト1を上流方向に移動することを継続することにある。
【0080】
この位置では、PTFEシール20により、シャフト1の下流側通路における加圧されたシーリングが潤滑エンクロージャ8に入ることを確実にする。さらに、部分に分かれた径方向シール11が適切に動作する場合、部分に分かれた径方向シール11により、シャフト1にしっかりと接続された、前記目的のために提供された円筒状表面12の延長部と協同することで、上流側通路における加圧されたシーリングが確実になっている。
【0081】
したがって、この位置において、たとえば、潤滑エンクロージャ8内へのオイルの通路のための開口を使用して、空気を吸引し、エンクロージャ8内の負圧を形成することにより、テストステップを実施することが可能である。次いで、潤滑エンクロージャ8内の圧力の変化を観察することにより、部分に分かれた径方向シール11の状況に関する情報が提供される。たとえば円筒状表面12に接触する場合など、シールが損傷を受けると、過度に漏洩することになり、このことが、圧力を急激に増大させることに繋がることになる。
【0082】
対称的に、減圧テストによって、部分に分かれた径方向シール11が良好な状態にあることが示された場合、続くステップは、シャフトをケーシング2内のシャフトの作動位置に導くための、シャフト1の上流方向への移動の継続からなる。
【0083】
有利には、作動位置および、中間のテスト位置にある部分に分かれた径方向シール11と協同する、シャフト1にしっかりと接続された円筒状表面12の部分が、単一の連続した面を形成する。この方式では、シャフト1が一方の位置から他方の位置に移動される場合、部分に分かれた径方向シール11は、前記面と接触したままである。したがって、シール11に、別の面に接触することによる衝撃で損傷を与えるリスクは存在しない。
【0084】
一変形形態では、部分に分かれた径方向シール11のテストは、タービンエンジンの動作の期間の後に行うことができる。この場合、第1のステップは、前記シャフトを作動位置から中間のテスト位置に移動し、次いで、減圧テストを実施するために、シャフト1を下流方向に距離d4だけオフセットすることにある。このテストが完了した場合、シャフト1は、完全にケーシング2から取り外される必要なく、作動位置に戻され得る。
【0085】
図4に対応する変形例では、取付けの間のテスト手順の第1のステップは、ローラベアリング6、および、ベアリング3の対応するリング4の連結を実施した後に、シャフト1を上流方向に、作動位置まで移動を継続することにある。この作動位置もまたテスト位置である。このステップの間、環状シール23aの材料は、溝23bによってロータ1の所定位置に保持されたままで、円筒状表面17に対してスライドするために変形することが可能である。
【0086】
このため、ロータが静止したままで、径方向シーリングジョイントのテストを実施するために、前の変形例と同じステップを実施することが可能であり、環状シール23aは、円筒状表面17に対する圧力により、他方の端部においてシーリングを確実にする。対称的に、ロータがすでに作動位置にあることから、テストの後は、移動ステップはない。
【0087】
このため、それに次ぐステップでは、タービンエンジンが組み立てられる場合、タービンエンジンが最初に作動する際に、この場合、蜜蝋で形成される環状シール23aが溶融し、消失する。環状シール23aの消失は、この位置におけるロータとステータとの間のさらなる接触は存在せず、したがって、摩擦の結果としての損失がそこに生じることがないことを意味している。
【0088】
この変形例の利点は、取付け時のテスト手順の間、径方向シーリングジョイント11を動作可能にするために、円筒状表面12と相補的である径方向の延長部を設けることが不要であることである。したがって、アセンブリはよりコンパクトになり得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4