(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499314
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】案内羽根調整装置及びターボ機械
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20190401BHJP
F04D 29/56 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
F04D29/46 D
F04D29/56 C
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-553975(P2017-553975)
(86)(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公表番号】特表2018-511737(P2018-511737A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2016057083
(87)【国際公開番号】WO2016165950
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年11月29日
(31)【優先権主張番号】102015004649.7
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レナルト・レオポルト
【審査官】
井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−211159(JP,A)
【文献】
特開2006−063981(JP,A)
【文献】
特開2005−009497(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10351202(DE,A1)
【文献】
国際公開第2013/087863(WO,A1)
【文献】
特開2003−172145(JP,A)
【文献】
米国特許第05281087(US,A)
【文献】
実開昭56−143533(JP,U)
【文献】
英国特許出願公開第02264148(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
F04D 29/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のための案内羽根調整装置、具体的には案内羽根リングの案内羽根に関するラジアル方向に延在している案内羽根回転軸線を中心として、案内羽根リングの複数の案内羽根を回転させるように構成されている、前記案内羽根調整装置において、
駆動モータが結合可能とされる駆動シャフト(38)であって、前記駆動モータを介して駆動可能とされる前記駆動シャフト(38)と、
前記案内羽根リング(20)の案内羽根(21)を回転させるために、前記駆動シャフト(38)の回転を前記案内羽根(21)に伝達するように構成されている制御リング(27)と、
を備えている、前記案内羽根調整装置において、
前記案内羽根(21)それぞれが、前方羽根部分(22)及び後方羽根部分(23)を有しており、前方羽根部分(22)及び後方羽根部分(23)が、共通する回転軸線すなわち前記案内羽根回転軸線を中心として互いに対して相対的に回転可能とされ、
前記駆動シャフト(38)が、前記案内羽根リング(20)の一方の案内羽根(21)に直接結合されており、前記案内羽根リング(20)の前記一方の案内羽根(21)の前記前方羽根部分(22)及び前記後方羽根部分(23)が、前記駆動シャフト(38)によって、前記制御リング(27)を介さず直接回転可能とされ、
前記駆動シャフト(38)が、前記案内羽根リング(20)の他方の案内羽根(21)に間接的に結合されており、前記案内羽根リング(20)の前記他方の案内羽根(21)の前記前方羽根部分(22)及び前記後方羽根部分(23)が、前記駆動シャフト(38)によって、前記制御リング(27)を介して間接的に回転可能とされ、
駆動レバー(28,29)が、前記案内羽根(21)の前記前方羽根部分(22)の支持ピン(24)と前記案内羽根(21)の前記後方羽根部分(23)の支持ピン(25)とのそれぞれに作用し、これにより、前記案内羽根(21)それぞれの前記前方羽根部分(22)及び前記後方羽根部分(23)の前記駆動レバー(28,29)が、前記案内羽根(21)それぞれの前記前方羽根部分(22)及び前記後方羽根部分(23)が同期して回転可能とされるように、結合装置(30)を介して互いに結合されていることを特徴とする案内羽根調整装置。
【請求項2】
前記案内羽根(21)それぞれの前記前方羽根部分(22)の前記支持ピン(24)が、中実シャフトとして構成されており、且つ、前記案内羽根(21)それぞれの前記後方羽根部分(23)の前記支持ピン(25)が、中空シャフトとして構成されているか、又は、前記案内羽根(21)それぞれの前記前方羽根部分(22)の前記支持ピン(24)が、中空シャフトとして構成されており、且つ、前記案内羽根(21)それぞれの前記後方羽根部分(23)の前記支持ピン(25)が、中実シャフトとして構成されており、
前記中実シャフトと前記中空シャフトとが、互いに対して同軸に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の案内羽根調整装置。
【請求項3】
前記案内羽根(21)の領域において、前記結合装置(30)それぞれが、前記案内羽根回転軸線それぞれに対して平行に延在している軸線(31)を中心として、一方の駆動レバー(28)に結合されており、
前記結合装置(30)それぞれが、ピン(32)を介して、他方の駆動レバー(29)に結合されており、
前記ピン(32)が、前記他方の駆動レバー(29)それぞれの案内溝(33)と前記案内羽根リングのハウジング構造体(26)の案内溝(34)とに沿って案内されることを特徴とする請求項1又は2に記載の案内羽根調整装置。
【請求項4】
前記ハウジング構造体(26)の前記案内溝(34)それぞれの形態が、前記前方羽根部分(22)それぞれと前記後方羽根部分(23)それぞれとの回転角度比を決定することを特徴とする請求項3に記載の案内羽根調整装置。
【請求項5】
前記案内羽根(21)の領域において、前記案内羽根それぞれの前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分の前記支持ピンに作用する一方の駆動レバー(29)が、前記制御リング(27)に結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の案内羽根調整装置。
【請求項6】
前記制御リング(27)が、前記制御リング(27)と前記制御リング(27)に関節結合された状態で結合されている前記駆動レバー(29)との間における結合点に作用する力が前記駆動レバー(29)に対して垂直に向くように、周方向及びアキシアル方向において移動可能とされることを特徴とする請求項5に記載の案内羽根調整装置。
【請求項7】
前記駆動シャフトによって直接駆動可能とされる前記案内羽根(21)の領域において、前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分のうち一方の羽根部分が、前記案内羽根の一方の駆動レバー(29)を介して、前記制御リング(27)に関節結合された状態で結合されており、
前記駆動シャフトによって間接的に駆動可能とされる前記案内羽根(21)の領域において、前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分のうち前記一方の羽根部分が、前記案内羽根の前記一方の駆動レバー(29)を介して、前記制御リング(27)に関節結合された状態で結合されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の案内羽根調整装置。
【請求項8】
前記案内羽根(21)の前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分のうち一方の羽根部分と前記制御リング(27)とを結合している前記駆動レバー(29)が、多部品から成るレバーとして構成されており、
前記駆動レバーの第1の部分(36)が、それぞれの前記案内羽根(21)の前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分のうち一方の羽根部分に堅固に結合されており、
前記駆動レバーの第2の部分(37)が、前記制御リング(27)に関節結合された状態で結合されており、前記第1の部分(36)が、前記駆動レバーの前記第2の部分(37)に関節結合された状態で結合されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の案内羽根調整装置。
【請求項9】
前記前方羽根部分及び前記後方羽根部分のうち他方の羽根部分それぞれに作用する前記駆動レバー(29)が、一体型レバーとして構成されていることを特徴とする請求項8に記載の案内羽根調整装置。
【請求項10】
前記駆動モータが、サーボモータとされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の案内羽根調整装置。
【請求項11】
可動ブレードを具備するロータと案内羽根を具備するステータとを備えている、ロータを有しているターボ機械であって、前記案内羽根が、少なくとも1つの案内羽根リングを形成しており、少なくとも1つの前記案内羽根リングの前記案内羽根が、案内羽根調整装置によって調整可能とされる、前記ターボ機械において、
前記案内羽根調整装置が、請求項1〜9のいずれか一項に記載の案内羽根調整装置とされることを特徴とするターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械のための案内羽根調整装置、及び当該案内羽根調整装置を具備するターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から知られているターボ機械は、ローラ及びステータを備えている。ターボ機械のローラは、シャフトと、当該シャフトと共に回転する複数の可動プレートとを備えており、当該可動プレートは、少なくとも1つの可動ブレード列を形成している。ターボ機械のステータは、ハウジングと、複数の固定された案内羽根とを備えており、案内羽根は、少なくとも1つの案内羽根リングを形成している。従来技術から知られている案内羽根は一体化されて実現されている。ロータに関するラジアル方向に延在している案内羽根軸線を中心として案内羽根が回転可能とされるように、案内羽根調整装置を介してターボ機械の案内羽根リングの案内羽根を調整することが、従来技術から既に知られている。従来技術から知られている案内羽根調整装置は、駆動モータが結合されている駆動シャフトであって、駆動モータを介して駆動可能とされる駆動シャフトを備えている。従来技術から知られている案内羽根調整装置では、駆動モータを介した駆動シャフトの回転が、制御リングの補助によって案内羽根リングのすべての案内羽根に伝達されるので、制御リングを介した駆動シャフトの回転によって、案内羽根リングのすべての案内羽根が間接的に調整又は回転される。案内羽根リングにおける流れ圧力損失を低減させると共にその効率を向上させるためには、多数部品から成る案内羽根を案内羽根リングに利用することが望ましい。しかしながら、僅かな摩擦及び僅かな捩じり荷重を発生させるにすぎずに案内羽根リングの多数部品から成る案内羽根を容易に回転可能とする案内羽根調整装置は知られていない。
【0003】
このような状況に鑑みて、本発明の目的は、ターボ機械のための新しいタイプの案内羽根調整装置、及び当該案内羽根調整装置を具備するターボ機械を考案することである。当該目的は、請求項1に記載の案内羽根調整装置によって達成される。本発明では、案内羽根それぞれが、共通する回転軸線すなわち案内羽根回転軸線を中心として互いに対して相対的に回転可能とされる前方羽根部分及び後方羽根部分を備えている。駆動シャフトが、案内羽根リングの一方の案内羽根に直接結合されており、案内羽根リングの一方の案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分が、制御リングを介さず、駆動シャフトによって直接回転可能とされる。駆動シャフトが、案内羽根リングの他方の案内羽根に間接的に結合されており、案内羽根リングの他方の案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分が、制御リングを介して、駆動シャフトによって間接的に回転可能とされる。駆動レバーが、案内羽根の前方羽根部分の支持ピンと案内羽根の後方羽根部分の支持ピンとのそれぞれに作用し、これにより、案内羽根それぞれの前方羽根部分及び後方羽根部分の駆動レバーが、案内羽根それぞれの前方羽根部分及び後方羽根部分が同期して回転可能とされるように、結合装置を介して互いに結合されている。本発明における案内羽根調整装置は、ラジアル方向に延在している案内羽根回転軸線を中心とする、多部品から成る案内羽根の回転を可能とする。案内羽根それぞれの前方羽根部分及び後方羽根部分の互いに対する同期回転が、比例的に又は非比例的に実施される。案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分が、制御リングを介さず、駆動シャフトによって直接回転可能とされる一方、他方の案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分が、制御リングを介して、駆動シャフトによって間接的に回転可能とされる。本発明では、優位には、制御リンクが、周方向及びアキシアル方向において移動可能とされるが、ラジアル方向において堅固に固定されている。案内羽根リングの多部品から成る案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分は、本発明における摩擦及び捩じり負荷が小さい案内羽根調整装置と同期回転可能とされる。
【0004】
本発明の優位なさらなる発展形態では、案内羽根の領域において、結合装置それぞれが、案内羽根回転軸線それぞれに対して平行に延在している軸線を中心として、一方の駆動レバーに結合されており、結合装置それぞれが、他方の駆動レバーそれぞれの案内溝と案内羽根リングのハウジング構造体の案内溝とに沿って案内されるピンを介して、他方の駆動レバーに結合されている。これにより、案内羽根リングの案内羽根それぞれの前方羽根部分及び後方羽根部分の回転の特に優位な結合が可能になる。案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分の互いに対して相対的な運動が、関連するアセンブリによって一意に決定される。
【0005】
本発明のさらなる優位なさらなる発展形態では、駆動レバーのうち単一の駆動レバーが、案内羽根それぞれの前方羽根部分及び後方羽根部分の支持ピンに作用し、案内羽根それぞれの領域において制御リングに結合されている。これにより、特に優位には、駆動シャフトによって生じる案内羽根の前方羽根部分及び後方羽根部分の回転を案内羽根リングのすべての案内羽根に伝達させることができる。
【0006】
好ましくは、制御リングが、制御リングと制御リングに関節結合された状態で結合されている駆動レバーとの間における結合点に作用する力が駆動レバーに対して垂直とされるように、周方向及びアキシアル方向において移動可能とされる。制御リングと制御リングに結合されている駆動レバーとの間における結合点に作用する力は、常に駆動レバーに対して垂直とされる。このために、案内羽根の軸受又は案内羽根部品には、内力成分が負担されない。最終的には、案内羽根部品及び軸受の負担が低減され、その結果として低い負荷が案内羽根調整装置に作用するので、設置スペースに関する要件が低くなるように、案内羽根調整装置の大きさを決定することができる。
【0007】
ターボ機械は、請求項11に定義されている。
【0008】
本発明の好ましいさらなる発展形態については、従属請求項及び発明の詳細な説明から理解される。本発明の典型的な実施例について、図面を参照しつつ詳述するが、本発明は、当該典型的な実施例に制限される訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】案内羽根リングと案内羽根リングの多部品から成る案内羽根のための案内羽根調整装置との領域におけるターボ機械からの斜視図である。
【
図2】第1の状態における、
図1に表わす装置の平面図である。
【
図3】第2の状態における、
図1に表わす装置の平面図である。
【
図5】完全に閉じられた案内羽根が流れを阻止するための90°位置に位置する、
図1の装置を表わす。
【
図6】完全に開いた案内羽根が自在に旋回する流れを生成するための0°位置に位置する、
図1の装置を表わす。
【
図7】部分的に開いた案内羽根が予備旋回流を生成するための45°位置に位置する、
図1の装置を表わす。
【
図8】部分的に開いた案内羽根が逆旋回流を生成するための30°位置に位置する、
図1の装置を表わす。
【
図9】案内羽根の領域における、
図1に表わす装置の部分的な断面図である。
【
図10】案内羽根の領域における、
図1に表わす装置のさらなる部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ターボ機械のための案内羽根調整装置、及び少なくとも1つの案内羽根調整装置を具備するターボ機械に関する。
【0011】
本明細書で説明するターボ機械の基本的な構造は当業者に知られている。万全を期すために説明すると、ターボ機械は、可動ブレードを具備するロータをロータ側に備えており、案内羽根を具備するステータをステータ側に備えている。ロータの可動ブレードは、少なくとも1つの可動ブレード列を形成しており、可動ブレード列それぞれが、ロータのシャフトと共に回転する。ステータの案内羽根は、ステータ側のハウジングに連結されている少なくとも1つの案内羽根リングを形成している。
【0012】
図1及び
図5〜
図8はそれぞれ、ターボ機械の斜視図、具体的にはターボ機械のいわゆる入口案内装置の斜視図である。入口案内装置の補助によって、羽根に流入する前のプロセスガスが特に影響を受け得る。従って、
図1及び
図5〜
図8に表わす入口案内装置は、複数の案内羽根から成る案内羽根リング20を備えており、案内羽根21が、多数部品から成る前方羽根部分22及び後方羽根部分23から形成されている。案内羽根21それぞれの領域において、前方羽根部分22及び後方羽根部分23は、ラジアル方向に延在している案内羽根回転軸線と呼称される共通する回転軸線を中心として、互いに対して回転可能とされるので、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23の分割面が、案内羽根21の共通する案内羽根回転軸線を通じて延在している。
【0013】
案内羽根21それぞれの領域において、前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、支持ピン24,25を介して、ターボ機械のハウジング構造体26に取り付けられている。図示の典型的な実施例では、前方羽根部分22の支持ピン24が中空シャフトとして構成されており、後方羽根部分23の支持ピン25が中実シャフトとして構成されているので、中空シャフトとして形成されている前方羽根部分22の支持ピン24は、中実シャフトとして形成されている後方羽根部分23の支持ピン25を同心円状に囲んでいる。本発明では、前方羽根部分22の支持ピン24が中実シャフトとして形成されており、後方羽根部分23の支持ピン25が中空シャフトとして形成されており、後方羽根部分23の支持ピン25が前方羽根部分22の支持ピン24を同心円状に囲んでいる場合があることに留意すべきである。
【0014】
案内羽根リング20の多数部品から成る案内羽根21のための案内羽根調整装置は、ラジアル方向に延在している案内羽根回転軸線を中心とする案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23の回転に貢献するが、当該案内羽根調整装置は、
図1に破線で表わす駆動シャフト38を備えており、駆動シャフト38は、駆動モータによって駆動可能とされると共に、図示しない駆動モータに結合可能とされる。駆動シャフト38は、案内羽根リング20の一の案内羽根21に直接結合されているので、駆動シャフト38に結合されている一の案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、制御リング27を介することなく、駆動シャフト38によって直接回転可能とされる。
図1では、案内羽根21は、
図1では図示の案内羽根リング20の略1時の方向に位置決めされている案内羽根とされ、案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23は、制御リング27を介することなく、駆動シャフト38によって直接回転可能とされる。優位には、駆動シャフト38は、案内羽根21の支持ピン24,25に対して、さらに優位には直接回転可能とされる案内羽根21の案内羽根回転軸線に対して同軸に延在している。駆動シャフト38は、制御リング27を介して、案内羽根リング20の他の案内羽根21と間接的に結合されているので、案内羽根リング20の他の案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23は、駆動シャフト38によって、制御リング27を介して間接的に回転可能とされる。
【0015】
駆動レバー28,29はそれぞれ、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22の支持ピン24及び後方羽根部分23の支持ピン25に作用する。従って、駆動レバー28は、前方羽根部分22の中空シャフトとして形成されている支持ピン24に作用する一方、駆動レバー29は、後方羽根部分23の中実シャフトとして形成されている支持ピン25に作用する。案内羽根21それぞれの領域において、前方羽根部分22及び後方羽根部分23の駆動レバー28,29は、結合装置30を介して互いに結合されているので、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、互いに対して同期して回転可能とされる。
【0016】
案内羽根21それぞれの領域において、連結棒として構成されている結合装置30それぞれが、案内羽根回転軸線それぞれに対して平行に延在している軸線を中心として、駆動レバー28,29に結合されている。図示の典型的な実施例では、結合装置30それぞれが、案内羽根回転軸線それぞれに対して平行に延在している軸線31を中心として、前方羽根部分22の支持ピン24に連結されている駆動レバー28に結合されている。結合装置30それぞれが、他方の駆動レバー29それぞれの案内溝33に係合されていると共に案内溝33に沿って案内されるピン32を介して、他方の駆動レバーそれぞれに、図示の典型的な実施例では後方羽根部分23の支持ピン25に連結されている駆動レバー29に結合されている。さらに、ピン32は、案内羽根リング20のハウジング構造体26の案内溝34において、反対側の端部に係合している。
【0017】
ピン32のための案内レバー29それぞれの案内溝33は、直線状に延在している細長い穴として構成されており、ハウジング構造体26の案内溝34は、弧状に延在している細長い穴として構成されている。
【0018】
ハウジング構造体26の案内溝34の形態は、前方羽根部分22それぞれと後方羽根部分23それぞれとの角度比を、すなわち特に案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23が互いに対して比例的に又は非比例的に回転された場合における当該角度比を決定する。
【0019】
案内羽根21それぞれの領域において、駆動レバーのうち一の駆動レバーが、図示の実施例では案内羽根21それぞれの後方羽根部分23のための駆動レバー29が、後方羽根部分23の支持ピン25に作用し、制御リング27それぞれに結合されている。当該実施例では、継手35が、駆動レバー29それぞれと制御リング27との間に形成されており、駆動レバー29それぞれが、継手35を介して制御リング27に関節結合された状態で作用する。
【0020】
上述のように、駆動レバーのうち単一の駆動レバーすなわち駆動レバー29が、案内羽根21それぞれの後方羽根部分23の支持ピン25に作用し、案内羽根21それぞれの領域において制御リング27に結合されている。制御リング27は、周方向においてハウジング構造体26に対して相対的に移動可能とされるが、ラジアル方向においては固定されている。制御リング27と制御リング27に関節結合された状態で結合されている駆動レバー29との間における結合点に作用する力は、駆動レバー29に対して垂直に向いているので、当該結合点には、内力成分が負担されない。これにより、特に優位には、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23が互いに対して相対的に回転可能となる。
【0021】
駆動レバー28,29が、駆動シャフトによって間接的に回転可能とされる案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23を互いに対して相対的に回転させるように機能することが図示されている。好ましくは、案内羽根21の駆動レバー28,29は同ように構成されており、案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23は駆動シャフトによって直接回転可能とされる。
【0022】
案内羽根21それぞれの領域において、駆動レバーは、継手35それぞれを介して制御リング27に関節結合された状態で結合されており、多部品から成る駆動レバーとして構成されている。図示の典型的な実施例では、このような駆動レバーは、案内羽根21それぞれの後方羽根部分23の支持ピン25が結合されている駆動レバー29とされる。
【0023】
駆動レバー29それぞれの第1の部分36は、案内羽根21それぞれの後方羽根部分23に、具体的には後方羽根部分23の支持ピン25に堅固に結合されている。駆動レバー29の第2の部分37は、継手35それぞれを介して、制御リング27に関節結合された状態で制御リング27に作用する。さらに、駆動レバー29それぞれの第1の部分36及び第2の部分37の両方が、互いに関節結合された状態で結合されている。
【0024】
他方の駆動レバー29は、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22に、又は案内羽根21それぞれの支持ピン24に作用し、一体型レバーとして構成されている。結合装置30それぞれが、案内羽根回転軸線それぞれに対して平行に延在している軸線31それぞれを介して関節結合された状態で当該駆動レバーに作用する。
【0025】
従って、本発明は、案内羽根リング20のための案内羽根調整装置を提案する。案内羽根調整装置の案内羽根21が、多部品から構成されており、案内羽根21それぞれが、共通する案内羽根回転軸線を中心として互いに対して相対的に回転可能とされる前方羽根部分22及び後方羽根部分23を備えており、前方羽根部分22と後方羽根部分23との分割面が、案内羽根回転軸線を通じて延在している。駆動レバー28,29それぞれが、案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23それぞれに結合されており、案内羽根21それぞれの駆動レバー28,29が、連結棒として構成されている結合要素30を介して互いに結合されている。連結棒30それぞれが、案内羽根回転軸線に対して平行に延在している軸線31を中心として、一の駆動レバー28に関節結合された状態で結合されている。ピン32によって、連結棒30は、他方の駆動レバー29の案内溝33とハウジング構造体26の案内溝34とに沿って案内される。案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23の駆動レバー28,29の結合によって、案内羽根21それぞれの前方羽根部分22及び後方羽根部分23は、互いに同期して回転可能とされる。案内羽根21の一方の駆動レバーが、周方向及びアキシアル方向において移動可能にハウジング構造体26に配置されている制御リング27に結合されている。駆動レバー29それぞれが、制御リング27に接続されており、制御リング27に関節結合された状態で作用する。駆動シャフト28によって、案内羽根21の回転が開始可能とされる。案内羽根21は、駆動シャフト28によって直接回転可能とされる一方、他方の案内羽根21すなわちその前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、制御リング27によって間接的に回転可能とされる。
【0026】
図5〜
図8は、案内羽根21の、すなわち案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23の様々な相対位置における案内羽根リング20を表わす。
図5では、案内羽根21すなわち案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、案内羽根リング20を通過する流れが最大限に閉ざされている、いわゆる90°位置に位置している。
図6では、対照的に、案内羽根21すなわち案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23が、案内羽根リング20を通過する流れが最大限に開いている、いわゆる0°位置に移動されている。
図6では、流れに旋回流は発生していない。さらに、
図7及び
図8は、案内羽根21の、すなわち案内羽根21の前方羽根部分22及び後方羽根部分23の相対位置を表わす。
図7における案内羽根21のいわゆる45°位置では、いわゆる予備旋回流が、案内羽根リング20を通過する流れに発生しており、
図8における案内羽根21のいわゆる30°位置では、いわゆる逆旋回流が、案内羽根リング20を通過する流れに発生している。
【符号の説明】
【0027】
20 案内羽根リング
21 案内羽根
22 前方羽根部分
23 後方羽根部分
24 (前方羽根部分22の)支持ピン
25 (後方羽根部分23の)支持ピン
26 ハウジング構造体
27 制御リング
28 駆動レバー
29 駆動レバー
30 結合装置(結合要素)
31 軸線
32 ピン
33 案内溝
34 案内溝
36 (駆動レバー29の)第1の部分
37 (駆動レバー29の)第2の部分
38 駆動シャフト