【実施例1】
【0015】
実施例に係る区画形成用支柱につき、
図1から
図8を参照して説明する。
【0016】
図1に示されるように、間仕切装置2は、主に医療施設等で使用され、室内空間を複数の区画S1〜S4に形成するものである。この間仕切装置2は、床面と天井面との間に亘って上下方向に延設される区画形成用支柱1と、該区画形成用支柱1に連設された複数の間仕切体3,3,…と、によって主に構成されており、区画形成用支柱1を基点として区画S1〜S4が形成されている。この区画S1〜S4は、例えば抗がん剤等を用いて癌を治療する化学療法用等のブースとして使用される。尚、区画S1〜S4の構成はほぼ同一であることから、
図1の手前右側の区画S1を例に取り説明し、該区画S1以外の説明を以下省略する。
【0017】
区画S1は、区画形成用支柱1から直交して延びる2つの間仕切体3,3と、間仕切体3,3の自由端部から互いに近づくように直交して延びる間仕切体3’,3’とにより形成されている。間仕切体3’,3’は、間仕切体3,3よりも延設方向に短くなっていることから、間仕切体3’,3’の間が区画S1の出入口となっている。また、区画S1の中央部にはリクライニングチェア4が配置されており、リクライニングチェア4の回転やリクライニングができる程度のスペースが確保されている。
【0018】
区画S1の内壁面には、治療に用いられる医療ガスの取出口であるアウトレット5が配設されており、アウトレット5を介して各種治療を行うことができるようになっている。さらに、区画S1の内壁面には、電源コンセント口6,6(
図2参照)、ナースコールユニット7、棚板8,8が配設されている。尚、本実施例では、アウトレット5、1つの電源コンセント口6、ナースコールユニット7が、区画S1の内壁の一部を構成する後述の各化粧パネル10,10,…のうち、適宜選択された化粧パネル10,10,10に配設されており、もう1つの電源コンセント口6が、区画S1の内壁の一部を構成する区画形成用支柱1のパネル21における分割体21Cに取付けられている態様について説明するが、これらアウトレット5、電源コンセント口6,6、ナースコールユニット7、棚板8,8等の各種装置は、区画S1の内壁面の任意の位置に配置してもよい。
【0019】
次に、間仕切体3の構造について説明する。尚、間仕切体3の構造はほぼ同一であることから、
図2の区画形成用支柱1に対して画面手前右側に取付けられた間仕切体3について説明し、それ以外の間仕切体3及び間仕切体3’の構造の説明を省略する。
図2に示されるように、間仕切体3は、枠体9と,枠体9の内面及び外面側に夫々取付けられる複数の化粧パネル10,10,…と、から主に構成されており、間仕切体3の内部には所要の空間が形成されている。枠体9は、上下に延びる間仕切支柱11,11と、間仕切支柱11,11の上下端同士を繋ぐ上部連結部材12及び下部連結部材13と、上部連結部材12及び下部連結部材13の中間に配設される中部連結部材14と、から形成される。間仕切支柱11,11の適所には、間仕切体3の内部に連通する孔15,15が形成されている。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、区画形成用支柱1は、環状筒体に形成され、内部に中空の筒状空間Tを有しており、且つ区画形成用支柱1の上端には、筒状空間Tに連通する開口16(
図1のみ図示)が形成されている。前記医療ガス用の複数の配管17,17,…や各種電源用の配線18,18,…は、開口16を介して天井面から筒状空間Tに導入されている。これによれば、配管17,17,…や配線18,18,…等を、人目に付きにくく往来の邪魔にならない天井面から筒状空間T内に外部に露出させることなく導入できるため、見栄えが良く、且つ配管17,17,…や配線18,18,…等の損傷を防ぐことができる。さらに、床面に配管17,17,…及び配線18,18,…するための加工を施す必要が無く、室内空間の自由な位置に区画形成用支柱1を配置することが可能となっている。
【0021】
また、区画形成用支柱1は、接続された間仕切体3,3の間仕切支柱11,11の孔15,15にそれぞれ連通する導通口19,19を有しており、導通口19,19を介して筒状空間Tに導入した配管17,17,…及び配線18,18,…を間仕切体3,3の内部に導通させることができる。これら間仕切体3の内部に導通された配管17,17,…は、前述したアウトレット5に接続されるとともに、配線18,18は、電源コンセント口6及びナースコールユニット7に接続される。またパネル21における分割体21Cの電源コンセント口6には、区画形成用支柱1の筒状空間Tから直接配線18が接続されている。これによれば、アウトレット5や電源コンセント口6,6等から各区画内にガスや電気などを供給でき、配管17,17,…や配線18,18,…等の取り回しが良い。
【0022】
図3に示されるように、区画形成用支柱1は、床面と天井面とに渡って上下方向に延び、所定間隔離間して配置される4本の立設フレーム20,20,…と、隣接する立設フレーム20,20,…同士の間を閉塞するように配置される4枚のパネル21,21,…と、から主に構成されている。
【0023】
立設フレーム20は、金属などの剛性を有する部材により形成されており、立設フレーム20は、離間した2つの管状体22,22と、管状体22,22の間を繋ぐ板状体23とからなり、板状体23に前記導通口19が形成されている。また、立設フレーム20には、外面側が平坦な面に形成されたフレームカバー24が取付けられており、このフレームカバー24には、立設フレーム20の導通口19と対応する位置に貫通口25が形成されている。
【0024】
4本の立設フレーム20,20,…の下方端部は、直交して固定された2本の第1連結部材29及び第2連結部材30により一体的に連結されている。これにより、区画形成用支柱1の形状が安定して保たれる。また、この第1連結部材29及び第2連結部材30は、各立設フレーム20,20,…の下方端部同士を一体的に連結しているため、区画形成用支柱1の内部の筒状空間Tを上方に広く確保できることになる。
【0025】
また、この第1連結部材29は、側壁部29a,29aと底壁部29bとを備え、第2連結部材30は、側壁部30a,30aと底壁部30bとを備えており、共に断面視略上向きコ字状を成している。第1連結部材29は、その両側壁部29a,29aの長手方向略中央部に、第2連結部材30を直交させた状態で嵌合可能な切欠部29c,29cが切り欠かれて形成されている。また、第2連結部材30は、その底壁部30bの下面側の長手方向略中央部に、第1連結部材29の底壁部29bを嵌合できる段部30cが形成されている。第1連結部材29の切欠部29cに第2連結部材30を直交させた状態で嵌合させるとともに、第2連結部材30の段部30cに第1連結部材29の底壁部29bを嵌合させることにより第1連結部材29及び第2連結部材30の下端面同士が面一となっている。この面一となった第1連結部材29及び第2連結部材30の下端面同士を床面に当接させてボルト等により固定することにより、各立設フレーム20,20,…の転倒を防止できる。
【0026】
また、
図4に示されるように、各立設フレーム20の筒状空間T側には、バネクリップ取付下地26がボルト27,27等で上下方向に複数個取付けられている。更に各バネクリップ取付下地26の筒状空間T側にはバネクリップ28がボルト27,27等によって固定されており、バネクリップ28の両端部28a,28aは立設フレーム20の両側近傍に配置されている。
【0027】
図1及び
図2に示されているように、パネル21は、分割体21A,21B,21Cとから構成されている。
図3及び
図4に示されるように、分割体21A,21B,21Cは、区画S1側に面する垂直面部21aと、垂直面部21aの両端が筒状空間T側に折り曲げられた屈曲部21b,21bと、を備えるように折り曲げられた鋼板が、上下に3分割されることにより形成されている。分割体21A,21B,21Cは、各屈曲部21b,21b,…が各立設フレーム20,20,…と各バネクリップ28,28,…の各端部28a,28a,…との間に挟持されることにより、各立設フレーム20,20,…の間に着脱可能に配設されている。このように、分割体21A,21B,21Cは、立設フレーム20に対して着脱可能となっていることから、隣接する立設フレーム20,20同士の間を開放することができるようになっているため、その分割体21A,21B,21Cを取外した隣接する立設フレーム20,20,…同士の間から区画形成用支柱1の筒状空間Tにアクセス可能となり、配管17,17,…及び配線18,18,…等の施工やメンテナンスが容易となる。
【0028】
また、パネル21は、分割体21A,21B,21Cに分割されているため、各立設フレーム20,20,…の間に対する着脱を容易に行える。尚、本実施例では、分割体21Cに電源コンセント口6が設けられている態様について説明しているが、アウトレット5を設けた分割体やナースコールユニット7を設けた分割体等を用意すれば、それら分割体の組み合わせにより自由に各種装置を区画内に配設できる。更に、パネル21は3つの分割体21A,21B,21Cにより構成されるものに限られず、1つの部材から形成されてもよいし、2分割または4分割以上の複数に分割されてもよい。
【0029】
さらに、隣接する立設フレーム20,20,…同士の各間には、L字板材31,31,…が天井面及び床面にそれぞれ固定されており、前記L字板材31,31,…の各垂直片31a,31a,…に対して、各パネル21の上部に配される各分割体21Aと、各パネル21の下部に配される分割体21Cとの垂直面部21a,21a,…の内面が当接することにより各パネル21,21,…の過挿入が防止されている。尚、図示しないが、L字板材31の垂直片31aに対して各垂直面部21aをボルト等で固定してもよいし、垂直面部21aにフック状の係止部を設け、且つL字板材31の垂直片31aに被係止部を設けて係合させてもよい。
【0030】
図5に示されるように、屈曲部21bには、折返し部21cが形成されており、この折返し部21cはバネクリップ28の両端部28a,28aに係止されるようになっている。これにより、パネル21(各分割体21A,21B,21C)は、その垂直面部21aに直交する方向への力に対して外れにくい構造となっている。また、パネル21を一方の立設フレーム20側に寄せることにより、バネクリップ28の一方側の端部28aが弾性変形するため、パネル21を立設フレーム20から容易に取外すことができる。
【0031】
また、
図4に示されるように、パネル21は、その垂直面部21aが区画S1内側に面しており、この垂直面部21aは、立設フレーム20,20同士の間を直線的に接続しているため、パネル21の区画S1側への張り出しを抑えて区画S1内の空間を大きくとることができるようになっている。
【0032】
また、パネル21の横幅は、立設フレーム20の横幅よりも大きくなっている。そのため、区画形成用支柱1の全体的な大きさに対して比較的大きな幅で立設フレーム20,20を離間させることができ、配管17,17,…及び配線18,18,…等の施工やメンテナンスが更に容易となる。
【0033】
また、立設フレーム20の外面側に取付けられたフレームカバー24の外面から延びる仮想線αと、パネル21の垂直面部21aの外面から延びる仮想線βとで成す角度θが鈍角となっている。そのため、区画形成用支柱1の全体的な大きさに対して比較的大きな筒状空間Tを形成することができる。
【0034】
尚、上記実施例では立設フレーム20,20,…の下方端部が第1連結部材29及び第2連結部材30により一体的に連結されている態様について説明したが、第1連結部材29及び第2連結部材30は各立設フレーム20,20,…を上下方向いずれの位置で連結してもよい。また、立設フレーム20,20,…を特段の連結部材により連結しなくてもよく、例えば、立設フレーム20,20,…に取付けた間仕切体3,3,…を区画形成用支柱1の支えとして機能させてもよい。
【0035】
また、例えば、
図6(a)に示されるように、3本の立設フレーム20,20,20と、3枚のパネル21,21,21とにより、区画形成用支柱100を形成してもよい。これによれば、例えば区画形成用支柱100を室内空間の壁際に寄せて配置できる。
図6(b)に示されるように、2本の立設フレーム20,20と、1枚のパネル21及び上面断面視L字形状のパネル21’とにより区画形成用支柱110を形成してもよい。これによれば、例えば区画形成用支柱110を室内空間の角部に寄せて配置できる。
【0036】
尚、区画形成用支柱の変形例として、例えば次のようなものがある。
図7に示されるように、間仕切装置200は、離間して配置された2つの区画形成用支柱120,120を備えており、区画形成用支柱120,120は、間仕切体300,300,300により直線状に連設されている。これにより、区画形成用支柱120,120と間仕切体300,300,300とを境界線として、その両側に複数の区画S5,S5,…を形成できるようになっている。
【0037】
図8に示されるように、間仕切体300は、断面視矩形状のフレーム支柱40,40に化粧パネル50,50を取付けて構成されている。また、区画形成用支柱120は、間仕切体300用のフレーム支柱40,40,40,40と、化粧パネル50,50,50,50と、を用いて上下に延びる環状筒体に構成されている。フレーム支柱40,40同士は、図示しない接続具により接続されている。これによれば、区画形成用支柱120は、間仕切体300用のフレーム支柱40,40,40,40と、化粧パネル50,50,50,50と、を兼用して構成されるため、専用の立設フレーム及びパネルを用意しなくてよく、製造コストを抑えることができる。尚、フレーム支柱40,40同士は、互いに接続できる手段(例えばフックと係止孔等)を有していてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0039】
例えば、前記実施例では、天井面から区画形成用支柱1の筒状空間Tの内に配管17,17,…や配線18,18,…等を取り込む態様についてのみ説明したが、床面側から配管17,17,…や配線18,18,…等が導入されていてもよい。
【0040】
また、前記実施例では、第1連結部材29と第2連結部材30によって立設フレーム20,20,…が一体に接続されていたが、これに限られず、区画形成用支柱1に形成された筒状空間Tの内側に沿って設けられた連結部材を、各立設フレーム20,20,…の内側にボルト等で取付けるようにして連結してもよい。
【0041】
また、パネル21は、立設フレーム20に対してヒンジ等により開閉可能に取付けられてもよい。
【0042】
また、区画形成用支柱1の筒状空間Tに通される部材として、配管17及び配線18について説明したが、配索(ケーブル)等の部材であってもよく、要するに、線状の部材が筒状空間Tを通され、導通口19を介して区画S1〜S5に接続されるものであればよい。
【0043】
また、アウトレット5及びナースコール7についても、電源コンセント口6と同様に、パネル21に設けた導通口19を介して接続し化粧パネル50に設けてもよい。