(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、バルブは、管路の途中や容器に設置され、空気のような気体や水のような液体を含む流体を流入させ、流入した流体を外部に排出したり、排出を遮断して流体の流量と圧力などを制御する装置である。
このようなバルブは、通常流体が通過するバルブシートをバルブステムおよびハンドルで操作して流体の流れを統制するか、別途の温度調節装置を使用してバルブシートに流れる流体の温度を感知して遠隔調整することができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
一方、最近では、変速機オイルを冷却する冷却装置に、温度により制御が可能なバルブを適用している。
【0003】
従来の変速機オイル冷却装置は、変速機オイルの温度を設定温度に維持して、変速機のスリップによる過度な温度上昇を防止すると同時に、変速機オイルの過多な冷却時に、オイル粘性の増大によって変速機の摩擦損失が増大して燃費が低下することを防止するように、冷却装置として空冷式と水冷式で区分されている。
この中で、空冷式変速機オイル冷却装置の場合、ラジエータの前方など外気が円滑に流入する場所に具備されるオイルクーラーと、オイルクーラーと変速機との間の配管に設置され、変速機オイルの温度により開閉するバイパスバルブとを含み、オイルの温度が設定温度より高い場合は、バイパスバルブを通じて熱交換機を通し、オイルの温度が設定温度より低い場合は、熱交換機を通らないようにして、トランスミッションオイルを設定温度に維持する方法がある。
しかし、上記の従来の変速機オイル冷却装置に適用されるバイパスバルブは、それぞれの構成要素をバルブハウジングのバルブ装着孔に順次に嵌めて組み立てなければならず、各部品を正確に位置させることが難しく、組立時間が過度に所要されて製造費用が増加するという短所がある。
【0004】
また、変速機オイル冷却装置に適用されるバイパスバルブは、変速機オイルの冷却が要求されない場合、オイルクーラーから冷却された低温の変速機オイルの一部が変速機からバイパスバルブに流入し、バイパスする高温状態の変速機オイルと共に変速機に流入することで、変速機オイルの速いウォームアップが難しくなるという短所もある。
また、従来のバイパスバルブが変速機とオイルクーラーとの間を連結する流路パイプの中間に設置され、パイプの中間に相対的に大きいバイパスバルブが位置するため、これによりエンジンルームの空間活用度が落ちるという短所も内包している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、簡単な構造で、変速機オイルを冷却するオイルクーラーと変速機との間に具備し、変速機オイルの温度により速かに変速機オイルをバイパスさせるか、又はオイルクーラーに流入させるように、変速機オイルの流動の流れを制御することにより、構成要素の簡素化を図り、組み立てが簡便で、かつ製造原価を節減することができ、従来に比べてバイパス流動通路を確保して流量を増大させるようにする車両用バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の車両用バルブは、変速機と変速機オイルを冷却させるオイルクーラーとの間に具備される車両用バルブにおいて、互いに対応する両側に前記変速機と連結する第1流入ポートと前記オイルクーラーと連結する排出ポートとが形成され、前記第1流入ポートと前記排出ポートから長さ方向に沿って離隔した位置で互いに対応する両側に前記変速機と連結するバイパスポートと前記オイルクーラーと連結する第2流入ポートとが形成されるバルブハウジングと、前記バルブハウジングの内部に装着され、流入した変速機オイルの温度により膨張または収縮が行われながら、前記第1流入ポートを前記排出ポートまたは前記バイパスポートに選択的に連結し、前記排出ポートを選択的に閉鎖して変速機オイルの流動の流れを制御する制御ユニットと、を含
み、前記バルブハウジングは、一端が閉鎖して他端は開口し、内部に前記第1、第2流入ポートと前記排出ポート、および前記バイパスポートと連結する装着空間が形成され、前記制御ユニットは、一端は開口し、他端中央に装着部が形成され、前記第1流入ポートと前記バイパスポートに対応する一側に長さ方向に沿って少なくとも一つの第1開口孔が形成され、前記第2流入ポートと前記排出ポートに対応する他側に長さ方向に沿って少なくとも一つの第2開口孔が形成され、前記バルブハウジングの内部でスライド移動可能に挿入されるスライディング部材と、前記バルブハウジングの開口した他端に装着され、前記バルブハウジングの内部を閉鎖し、中央に固定溝が形成されるエンドキャップと、前記スライディング部材の装着部に挿入され、変速機オイルの温度変化により内部で膨張または収縮が行われながら、固定ロッド上で上昇または下降しながら前記スライディング部材を選択的に昇下降させる変形部材と、前記エンドキャップの固定溝に一端が固定し、前記変形部材の下部に他端が挿入する固定ロッドと、前記バルブハウジングの内部で前記スライディング部材の間に介在して前記変形部材の膨張および収縮による昇下降時に、圧縮または引張しながら前記スライディング部材に弾性力を提供する第1弾性部材と、を含み、前記スライディング部材は、前記装着部が形成される他端で前記装着部から離隔した位置に形成される少なくとも一つのリリーフ孔が形成されることを特徴とする。
【0008】
第1流入ポートは、第2流入ポートとバルブハウジングの両側で相互交差した位置に形成されることができ
る。
スライディング部材は、一端が開口した円筒状に形成されることができる。
【0009】
前記第1開口孔と前記第2開口孔は、前記スライディング部材の長さ方向に上下部にそれぞれ離隔して形成され、上部に位置する前記第1、第2開口孔のうち、
該上部に位置する前記第1開口孔のサイズが
同じく上部に位置する前記第2開口孔のサイズよりさらに大きいサイズで形成され、
前記スライディング部材が下降した場合、上部の前記第1開口孔と下部の前記第1開口孔が、それぞれ前記第1流入ポートと前記バイパスポートを開放し、上部の前記第2開口孔は前記排出ポートの下側の位置にあって前記排出ポートを閉鎖した状態に維持し、下部の前記第2開口孔は前記第2流入ポートを開放した状態に維持すると共に、前記スライディング部材が上昇した場合、前記バイパスポートと前記第2流入ポートが開放状態に維持され、上部の前記第1開口孔が前記第1流入ポートを開放した状態に維持し、上部の前記第2開口孔が、前記排出ポートを開放した状態に維持することができる。
スライディング部材は、変形部材が変形しない場合、第1開口孔が第1流入ポートとバイパスポートに位置し、第2開口孔のうち、上部に位置する第2開口孔が排出ポートの下部に位置し、下部に位置する第2開口孔は、第2流入ポートに位置することができる。
スライディング部材は、変形部材の膨張変形時に、バルブハウジングの内部で上昇してバイパスポートと第2流入ポートを開放させた状態で維持し、上部に位置する第1、第2開口孔が第1流入ポートと排出ポートに位置して、第1流入ポートと排出ポートを開放させることができる。
【0010】
スライディング部材は、装着部に挿入した変形部材の下部で装着部と変形部材間に装着される固定リングを通じて変形部材に固定されることができる。
エンドキャップは、バルブハウジングの開口した他端の内周面に固定装着される装着リングを通じてバルブハウジングに固定されることができる。
装着リングは、バルブハウジングの開口した他端の内周面周りに沿って形成されるリング溝を通じて固定装着されることができる。
バルブハウジングとエンドキャップとの間には、バルブハウジングの内部に流入した変速機オイルがバルブハウジングの外部に漏出することを防止するシーリングが装着されることができる。
【0011】
第1弾性部材は、一端がバルブハウジングの閉鎖した一端内側に支持され、他端はスライディング部材の他端内側に支持されるコイルスプリングで形成されることができる。
バルブハウジングは、一端内側に第1弾性部材が支持された状態で固定する支持溝が形成されることがで
きる。
【0012】
リリーフ孔は、装着部を中心として円周方向に沿って設定角度に離隔した位置にそれぞれ形成されることができる。
スライディング部材と変形部材との間には、バルブハウジングの内部で流入する変速機オイルによって差圧が発生する場合、リリーフ孔を選択的に開閉する圧力調節ユニットが具備されることができる。
圧力調節ユニットは、リリーフ孔に対応してスライディング部材の他端内側に配置される開閉部材と、スライディング部材の内部で開閉部材と変形部材との間に介在し、開閉部材に弾性力を提供する第2弾性部材とを含むことができる。
【0013】
開閉部材は、装着部に対応して中央に貫通孔が形成された円板状に形成されることができる。
開閉部材は、貫通孔の内周面から第2弾性部材に向かって突出した突出部が一体で形成されることができる。
第2弾性部材は、一端が変形部材に支持され、他端は開閉部材に支持されるコイルスプリングで形成されることができる。
変形部材は、変速機オイルの温度により内部で収縮と膨張が行われるワックス素材を含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施例に係る車両用バルブによると、簡単な構造で、変速機オイルを冷却するオイルクーラーと変速機との間に具備され、変速機オイルの温度により速かに膨張または収縮が行われ、変速機オイルをバイパスさせるか、又はオイルクーラーに流入させるように変速機オイルの流動の流れを制御することで、構成要素の簡素化が図れるため、製造および組み立てが簡便になり、製造原価を節減できる効果がある。
また、従来に比べて、バイパス流動通路を確保して流量を増大させることができ、オイルクーラーから冷却された変速機オイルが変速機に漏れることを未然に防止することにより、変速機オイルの温度による流動の流れ制御の信頼性を確保することができ、変速機オイルの速いウォームアップによって変速機の内部における摩擦損失を減らして、車両の全体的な燃費を向上させるという効果がある。
また、変速機オイルをバイパスする時に、流量を増大することにより、オイルポンプの所要動力を縮小することができる。さらに、内部構成要素をバルブハウジングに後から組み立てることができるようにすることで、故障時に内部部品の交換が可能であり、維持補修の費用を減らし、交替作業の便宜性を向上させる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
これに先立ち、本明細書に記載された実施例と図面に示した構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではない。このため、本出願時点において、これらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。
図面に示した各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図面に示されたものに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というと、これは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
また、明細書に記載された「…ユニット」、「…手段」、「…部」、「…部材」等の用語は、少なくとも一つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る車両用バルブが適用される変速機オイル冷却装置のブロック構成図であり、
図2は、本発明の実施例に係る車両用バルブの斜視図であり、
図3は、本発明の実施例に係る車両用バルブの分解斜視図であり、
図4は、
図2のA−A線に沿った断面図である。
図1乃至
図4に示したとおり、本発明の実施例に係る車両用バルブ100は、変速機オイルの温度により速かに変速機オイルをバイパスさせるか、又はオイルクーラー9に流入させるように変速機オイルの流動の流れを制御することで、構成要素の簡素化を図り、組み立てが簡便で、かつ製造原価を節減することができ、従来に比べてバイパス流動通路を確保して流量を増大させるようにしたものである。
本発明の実施例に係る車両用バルブ100は、
図1に示したとおり、変速機5とオイルクーラー9との間に具備される。エンジン3の一側に装着された変速機5の内部に充填される変速機オイルが過熱した場合、ラジエータ7の一側に配置されたオイルクーラー9は、走行中に流入する外気との熱交換を通じて変速機オイルを冷却させる。
【0018】
このような車両用バルブ100は、
図2乃至
図4に示したとおり、バルブハウジング110と制御ユニット120を含む。
先ず、バルブハウジング110には、互いに対応する両側に変速機5と連結して変速機オイルが流入する第1流入ポート111と、オイルクーラー9と連結する排出ポート113とが形成される。
また、バルブハウジング110には、第1流入ポート111と排出ポート113の下部に長さ方向に離隔した位置で互いに対応する両側に変速機5と連結するバイパスポート115と、オイルクーラー9と連結する第2流入ポート117とが形成される。
【0019】
つまり、第1流入ポート111は、バルブハウジング110の上部一側に形成されて変速機5と連結し、排出ポート113は、第1流入ポート111に対応する位置でバルブハウジング110の上部他側に形成されてオイルクーラー9と連結する。
そして、バイパスポート115は、第1流入ポート111から離隔したバルブハウジング110の下部一側に形成されて変速機5と連結し、第2流入ポート117は、バイパスポート115に対応する位置でバルブハウジング110の下部他側に形成されてオイルクーラー9から冷却された変速機オイルが流入する。
ここで、バルブハウジング110は、一端が閉鎖して他端は開口し、内部に第1、第2流入ポート111、117と排出ポート113およびバイパスポート115と連結し、変速機5またはオイルクーラー9から変速機オイルが流入する装着空間Sが形成される。
【0020】
第1流入ポート111は、第2流入ポート117とバルブハウジング110の両側の上下部で相互交差した位置に形成される。
そして、制御ユニット120は、バルブハウジング110の装着空間Sに装着され、変速機5から流入した変速機オイルの温度により膨張または収縮が行われ、第1流入ポート111と排出ポート113またはバイパスポート115を選択的に連結し、排出ポート113を選択的に開閉して変速機オイルの流動の流れを制御する。
【0021】
制御ユニット120は、スライディング部材121、エンドキャップ127、固定ロッド135、変形部材137、および第1弾性部材141を含む。
スライディング部材121は、一端が開口し、他端中央が内側上部に向かって突き出して孔を形成する装着部122を形成し、第1流入ポート111とバイパスポート115に対応する一側に長さ方向に沿って少なくとも一つの第1開口孔123が形成される。
また、スライディング部材121は、第2流入ポート117と排出ポート113に対応する他側に長さ方向に沿って少なくとも一つの第2開口孔125が形成され、バルブハウジング110の装着空間S上でスライド移動可能に挿入される。
このようなスライディング部材121は、上部に向かう一端が開口し、装着部122を除いた他端が閉鎖した円筒状に形成される。
【0022】
ここで、第1開口孔123と第2開口孔125は、スライディング部材121の長さ方向の上下部にそれぞれ離隔して形成され、上部に位置する第1、第2開口孔123、125のうち、第1開口孔123のサイズが第2開口孔125のサイズよりさらに大きいサイズで形成される。
エンドキャップ127は、バルブハウジング110の開口した他端に装着されてバルブハウジング110の内部を閉鎖し、中央に固定溝129が形成される。
ここで、エンドキャップ127は、バルブハウジング110の開口した他端の内周面に固定装着される装着リング131を介してバルブハウジング110に固定される。
そして、装着リング131は、バルブハウジング110の開口した他端の内周面周りに沿って形成されるリング溝118を介して固定装着される。
【0023】
つまり、バルブハウジング110の開口した他端にエンドキャップ127の一端が挿入された状態で、リング溝118に装着される装着リング131を介してエンドキャップ127の他端が支持されることで、エンドキャップ127がバルブハウジング110に固定装着される。
一方、バルブハウジング110とエンドキャップ127との間には、バルブハウジング110の内部に流入した変速機オイルがバルブハウジング110の外部に漏出することを防止するシーリング133が装着される。
つまり、シーリング133は、エンドキャップ127の外周面とバルブハウジング110の内周面との間をシールして変速機オイルが外部に漏出することを防止する。
固定ロッド135は、円形の棒状に形成され、エンドキャップ127の固定溝129に一端が固定される。
【0024】
そして、変形部材137は、スライディング部材121の装着部122に挿入され、固定ロッド135の他端は、変形部材137の下部に挿入される。
このような変形部材137は、変速機オイルの温度変化により内部で膨張または収縮して固定ロッド135上で上昇または下降することにより、直線変位が発生し、その位置が可変してスライディング部材121を選択的に上昇又は下降させる。
ここで、スライディング部材121は、装着部122に挿入された変形部材137の下部で装着部122と変形部材137との間に装着される固定リング139を介して変形部材137に固定される。
一方、本実施例において、変形部材137は、変速機オイルのような作動流体の温度により内部で収縮と膨張が行われるワックス素材を含む。
【0025】
ここで、ワックス素材は、温度により体積の膨張または収縮が行われ、温度が高くなれば内部でその体積が膨張し、温度が低くなれば再び収縮して、初期体積に復元する性質を有する素材である。
つまり、変形部材137は、内部にワックス素材が含まれたアセンブリーで構成され、内部にワックス素材が温度により体積変形が発生する場合、外形は変形せず固定ロッド135上で上昇または下降する。
これにより、変形部材137は、第1流入ポート111を通じて設定温度超の変速機オイルが流入する場合、その体積が膨張することにより、固定ロッド135に装着された初期位置から固定ロッド135上で上昇し、スライディング部材121を上昇させる。
【0026】
これとは反対に、変形部材137は、前述したとおり、その体積が膨張した状態で設定温度以下の変速機オイルが流入する場合、その体積が収縮することにより、固定ロッド135上で下降し、スライディング部材121を初期位置に復帰させる。
また、変形部材137は、固定ロッド135に装着された初期状態で設定温度以下の変速機オイルが流入する場合は、膨張も収縮も発生せず、位置の変化は行われない。
そして、第1弾性部材141は、バルブハウジング110の内部でスライディング部材121の間に介在し、変形部材137の膨張および収縮による上昇および下降時に、圧縮または引張しながらスライディング部材121に弾性力を提供する。
ここで、第1弾性部材141は、一端がバルブハウジング110の閉鎖した一端内側に支持され、他端はスライディング部材121の他端内側に支持されるコイルスプリングで形成される。
また、バルブハウジング110は、一端内側に第1弾性部材141が支持された状態で固定される支持溝119が形成され、支持溝119を介して第1弾性部材141の一端を安定に支持する。
【0027】
このように構成される車両用バルブ100の作動を添付した
図5に基づいて説明する。
図5は、本発明の実施例に係る車両用バルブの段階別作動状態図であり、(S1)はスライディング部材がバルブハウジングの内部の装着空間で下降した場合、(S2)はスライディング部材が上昇した場合を示す。
図5(S1)のとおり、スライディング部材121は、第1流入ポート111を通じて流入した変速機オイルが設定温度以下である場合に、変形部材137が変形しなくなることで、初期の装着状態を維持する。
この場合、スライディング部材121の第1開口孔123は、第1流入ポート111とバイパスポート115に位置し、第1流入ポート111とバイパスポート115を開放する。
そして、第2開口孔125のうち、上部に位置する第2開口孔125は、排出ポート113の下部に位置した状態で排出ポート113を閉鎖した状態を維持し、下部に位置する第2開口孔125は、第2流入ポート117に位置して第2流入ポート117を開放した状態を維持する。
【0028】
これにより、変速機5から第1流入ポート111に流入した変速機オイルは、排出ポート113が閉鎖した状態を維持することで、バイパスポート115を通じて再び変速機5に流入する。
つまり、本発明の実施例に係る車両用バルブ100は、変速機オイルが設定温度以下である場合、変速機5から流入した設定温度以下の変速機オイルをオイルクーラー9を通じた冷却なしに、バイパスポート115を通じて再び変速機5にバイパスさせて、変速機5を速くワームアップさせることができる。
ここで、オイルクーラー9から排出した冷却された変速機オイルは、開放された第2流入ポート117を通じて流入するが、閉鎖された排出ポート113からオイルクーラー9に流入する変速機オイルがないため、微量だけ第2流入ポート117から流入して、バイパスポート115を通じてバイパスする変速機オイルと共に変速機5に流入する。
つまり、第2流入ポート117を通じて流入する微量の冷却された変速機オイルは、バイパスする変速機オイルの温度に影響を及ぼさず、冷却されない変速機オイルが継続して変速機5にバイパスして流入することで、より速い変速機5のウォームアップが可能となる。
【0029】
そこで、本発明の実施例に係る車両用バルブ100は、前述した作動によってより速い変速機5のウォームアップが可能となることで、変速機5の内部における摩擦損失を減らして車両の全体的な燃費を向上させることができる。
これとは反対に、
図5(S2)のとおり、第1流入ポート111を通じて流入した変速機オイルが設定温度超の場合、変形部材137が膨張変形することで、スライディング部材121がバルブハウジング110の内部装着空間Sで上昇する。
すると、バイパスポート115と第2流入ポート117が開放された状態を維持し、上部に位置する第1、第2開口孔123、125が第1流入ポート111と排出ポート113に位置して、第1流入ポート111と排出ポート113を開放する。
この時、第1流入ポート111を通じて流入した設定温度超の変速機オイルは、排出ポート113からオイルクーラー9に流入し、オイルクーラー9で外気との熱交換により冷却された変速機オイルは、第2流入ポート117を通じて流入し、バイパスポート115から変速機5に流入する。
【0030】
これにより、オイルクーラー9で冷却された変速機オイルは、変速機オイルの温度上昇により過熱された変速機5に流入して変速機5を冷却する。
一方、固定ロッド135に沿って上昇した変形部材137によってスライディング部材121が上昇すれば、第1弾性部材141は、バルブハウジング110とスライディング部材121との間で圧縮された状態となる。
この状態で、第1流入ポート111から流入する変速機オイルの温度が設定温度以下に落ちる場合、変形部材137は、膨張した状態で初期状態に再び収縮変形しながら固定ロッド135上で下降する。
この時、スライディング部材121は、圧縮した状態の第1弾性部材141の弾性力によって、より速かに初期装着状態の
図5(S1)に示した初期位置に下降して、開放された排出ポート113を閉鎖させる。
【0031】
一方、本実施例において、スライディング部材121は、装着部122が形成される他端で装着部122から離隔した位置に形成される少なくとも一つのリリーフ孔143が形成される。
このリリーフ孔143は、装着部122を中心として円周方向に沿って設定角度に離隔した位置にそれぞれ形成されることができ、本実施例では、装着部122を中心として90°角度に離隔した位置に4つが形成される。
一方、本実施例では、リリーフ孔143が装着部122を中心として円周方向に沿って90°角度に離隔した位置で4つが形成されることを一実施例として説明しているが、これに限定されるものではなく、リリーフ孔143のサイズ、個数および位置は変更して適用することができる。
【0032】
本実施例において、スライディング部材121と変形部材137との間には、バルブハウジング110の内部でオイルクーラー9から流入する冷却された変速機オイルによって差圧が発生する場合、リリーフ孔143を選択的に開閉してバルブハウジング110の内部の圧力を調節する圧力調節ユニット150が具備される。
圧力調節ユニット150は、リリーフ孔143に対応してスライディング部材121の他端内側に上昇と下降が可能に配置される開閉部材151と、スライディング部材121の内部で開閉部材151と変形部材137との間に介在し、開閉部材151に弾性力を提供する第2弾性部材155とを含んで構成される。
【0033】
ここで、開閉部材151は、装着部122に対応して中央に貫通孔152が形成された円板状に形成され、貫通孔152を通じて装着部122に挿入された状態でスライディング部材121の他端内側に装着される。
また、開閉部材151は、貫通孔152の内周面から第2弾性部材155に向かって突出した突出部153が一体に形成される。
このような突出部153は、開閉部材151がバルブハウジング110でオイルクーラー9から流入した変速機オイルの流量により差圧が発生するか、発生した差圧が解除されて上昇または下降する場合、装着部122に沿って安定して上昇または下降するようにガイドする。
一方、第2弾性部材155は、一端が変形部材137に支持され、他端は開閉部材151に支持されるコイルスプリングで形成される。
【0034】
以下、上記のように構成される圧力調節ユニット150の作動について添付した
図6を基に説明する
図6は、本発明の実施例に係る車両用バルブに適用される圧力調節ユニットの段階別作動状態図であり、(S10)はリリーフ孔が閉鎖された状態、(S20)はリリーフ孔が開放された状態を示す。
図6に示したとおり、圧力調節ユニット150は、変形部材137の膨張変形によってスライディング部材121が上昇することにより、第2流入ポート117とバイパスポート115が開放された状態で選択的に作動する。
先ず、オイルクーラー9で開放された第2流入ポート117を通じて冷却された変速機オイルがバルブハウジング110の内部に流入する時、流量が少なければ、スライディング部材121が位置する上部とスライディング部材121の下部でバルブハウジング110の内部の圧力差が発生しない。
これにより、圧力調節ユニット150は、
図6(S10)のとおり、リリーフ孔143を閉鎖した初期装着状態を維持する。
【0035】
これとは反対に、第2流入ポート117を通じてオイルクーラー9から流入する冷却された変速機オイルの流量が増加して、スライディング部材121が位置する上部とスライディング部材121の下部でバルブハウジング110の内部の圧力差が発生すれば、開閉部材151は、
図6(S20)のとおり、発生した差圧による変速機オイルの圧力によって上昇しながらリリーフ孔143を開放する。
すると、第2流入ポート117を通じて流入した冷却された変速機オイルのうちの一部が開放されたリリーフ孔143を通じてスライディング部材121の内部に流入し、スライディング部材121の内部とスライディング部材121の下部に位置するバルブハウジング110の内部の圧力差を解消する。
また、バルブハウジング110の内部の差圧が解消されれば、圧力調節ユニット150は、開閉部材151の上昇時に圧縮した第2弾性部材155の弾性力によって開閉部材151が速かに下降して再び初期装着状態に復帰し、再び
図6(S10)のとおり、リリーフ孔143を閉鎖させる。
【0036】
つまり、上述した作動を通じて、バルブ100は、変速機5とオイルクーラー9からバルブハウジング110に流入する変速機オイルの流量差によって発生する圧力差をリリーフ孔143と圧力調節ユニット150の作動を通じて解消して、バルブ100の全体的な耐圧性および耐久性を向上させることができ、バルブ作動の信頼性および応答性を向上させることができる。
従って、上記のように構成される本発明の実施例に係る車両用バルブ100を適用すれば、簡単な構造で、変速機オイルを冷却するオイルクーラー9と変速機5との間に具備され、変速機オイルの温度により速かに膨張または収縮が行われながら、変速機オイルをバイパスさせるかオイルクーラーに流入させるように変速機オイルの流動の流れを制御することで、構成要素の簡素化を通じて製造および組み立てが簡便で、かつ製造原価を節減することができる。
【0037】
また、従来に比べて、バイパス流動通路を確保して流量を増大させることができ、オイルクーラー9から冷却された変速機オイルが変速機5に漏れることを未然に防止することにより、変速機オイルの温度による流動の流れ制御の信頼性を確保することができ、変速機オイルの速いウォームアップを通じて変速機5の内部における摩擦損失を減らして、車両の全体的な燃費を向上させることができる。
また、変速機オイルがバイパスする時に、流量の増大を通じてオイルポンプの所要動力を縮小することができ、内部構成要素をバルブハウジング110に後組み立てることで、故障時に内部部品の交換が可能であり、維持補修費用を減らし、交換作業の便宜性を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明を好ましい実施例と図面によって説明したが、本発明は、これによって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。