(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記茶葉として0.18〜1.0mmのメッシュのスクリーンを通過したものが70%以上となるように粉砕したものを使用し、前記吸収シートの生産時における前記茶葉の配合量が、吸収シートを構成する原料の5%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
前記無機材料の平均粒子径は5〜20μmであり、前記吸収シートに含まれる前記無機材料の含有量は灰分で2〜15%であり、前記無機材料はゼオライトであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
前記吸収シートは、ガステック検知管を用いるアンモニア吸着性試験において、5リットルのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)製試験容器に対し、アンモニアガス100ppm、空気量3リットル、吸収シート1gを封入し、検知管による測定を行った場合の、1時間後のアンモニア減少率が70%以上であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記表面シート及び前記裏面シート間に前記吸収体を配置し、前記表面シート及び前記吸収体間に着色した第1吸収シートを配置するとともに、前記裏面シート及び前記吸収体間、又は前記複数枚の吸収体間に設けられた第2吸収シートを配置し、前記着色した第1吸収シートは当該吸収性物品の幅方向に2分割されて分割シート同士間に間隔が設定されること、及び前記着色した第2吸収シートはその長さ寸法を前記吸収体の長さ寸法より大きく設定されて長さ方向端部が前記吸収体の端部よりもはみ出していることにより、前記第1吸収シート及び前記第2吸収シートの組み合わせによる視認可能な着色領域は、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の周りを囲む枠状に設定されていることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記表面シート及び前記裏面シート間に前記吸収体を配置し、前記表面シート及び前記吸収体間に着色した第1吸収シートを配置するとともに、前記裏面シート及び前記吸収体間、又は前記複数枚の吸収体間に設けられた第2吸収シートを配置し、前記着色した第1吸収シートは当該吸収性物品の幅方向に2分割されて分割シート同士間に間隔が設定されること、及び前記着色した第2吸収シートは当該吸収性物品の長さ方向に2分割されて分割シートがそれぞれ前記吸収体の長手方向端部よりもはみ出した位置に配置されていることにより、前記第1吸収シート及び前記第2吸収シートの組み合わせによる視認可能な着色領域は、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の周りを囲む枠状に設定されていることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に鑑みて、排尿後、雑菌が繁殖するのを抑制し、もってスキントラブルが発生するのを抑制することができ、また強いアンモニア臭が発生するのを抑制することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による吸収性物品は、装着者の肌と当接する表面シートと、前記表面シートにおける前記装着者の肌と当接する側とは反対側に配置された裏面シートと、前記表面シート及び前記裏面シート間に設けられた1枚又は複数枚の吸収体と、前記表面シート及び前記吸収体間、又は、前記裏面シート及び前記吸収体間、又は前記複数枚の吸収体間に設けられた吸収シートとを有し、前記吸収シートは、パルプ繊維と、粉砕し所定の大きさとした茶葉と、所定の粒子径を備え吸着性能を備える無機材料とを所定量含有し、抗菌・脱臭性能を有
し、前記吸収シートは、茶葉の配合、又は染料などにより着色されることにより当該吸収性物品を表面シート側から視たときに表面シートを透かして視認可能とされ、前記吸収シートによる視認可能な着色領域は、当該吸収性物品の幅方向に2分割されて分割シート同士間に間隔が設定され、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の幅方向両端部に設定されている。
【0007】
また、本発明の請求項2による吸収性物品は、上記した請求項1に記載の吸収性物品において、前記茶葉として0.18〜1.0mmのメッシュのスクリーンを通過したものが70%以上となるように粉砕したものを使用し、前記吸収シートの生産時における前記茶葉の配合量が、吸収シートを構成する原料の5%以上であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3による吸収性物品は、上記した請求項1又は2に記載の吸収性物品において、前記無機材料の平均粒子径は5〜20μmであり、前記吸収シートに含まれる前記無機材料の含有量は灰分で2〜15%であり、前記無機材料はゼオライトであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4による吸収性物品は、上記した請求項1ないし3の何れか1項に記載の吸収性物品において、前記吸収シートは、ガステック検知管を用いるアンモニア吸着性試験において、5リットルのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)製試験容器に対し、アンモニアガス100ppm、空気量3リットル、吸収シート1gを封入し、検知管による測定を行った場合の、1時間後のアンモニア減少率が70%以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5による吸収性物品は、上記した請求項
1ないし4の何れか1項に記載の吸収性物品において、前記表面シート及び前記裏面シート間に前記吸収体を配置し、前記表面シート及び前記吸収体間に着色した第1吸収シートを配置するとともに、前記裏面シート及び前記吸収体間、又は前記複数枚の吸収体間に設けられた第2吸収シートを配置し、前記着色した第1吸収シートは当該吸収性物品の幅方向に2分割されて分割シート同士間に間隔が設定されること、及び前記着色した第2吸収シートはその長さ寸法を前記吸収体の長さ寸法より大きく設定されて長さ方向端部が前記吸収体の端部よりもはみ出していることにより、前記第1吸収シート及び前記第2吸収シートの組み合わせによる視認可能な着色領域は、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の周りを囲む枠状に設定されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項
6による吸収性物品は、上記した請求項
1ないし4の何れか1項に記載の吸収性物品において、前記表面シート及び前記裏面シート間に前記吸収体を配置し、前記表面シート及び前記吸収体間に着色した第1吸収シートを配置するとともに、前記裏面シート及び前記吸収体間、又は前記複数枚の吸収体間に設けられた第2吸収シートを配置し、前記着色した第1吸収シートは当該吸収性物品の幅方向に2分割されて分割シート同士間に間隔が設定されること、及び前記着色した第2吸収シートは当該吸収性物品の長さ方向に2分割されて分割シートがそれぞれ前記吸収体の長手方向端部よりもはみ出した位置に配置されていることにより、前記第1吸収シート及び前記第2吸収シートの組み合わせによる視認可能な着色領域は、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の周りを囲む枠状に設定されていることを特徴とする。
【0014】
上記構成を備える本発明は、茶葉が抗菌性及び脱臭性を備えることに着目し、この茶葉を粉砕し所定の大きさとしたうえで吸収シートにパルプ繊維及び無機材料とともに含有させることにしたものである。茶葉としては、0.18〜1.0mmのメッシュのスクリーンを通過したものが全量中70%以上となるように粉砕したものを使用し、このような茶葉を、前記吸収シートの生産時における前記茶葉の配合量が、吸収シートを構成する原料の5%以上とした。無機材料としては、平均粒子径5〜20μmのものを使用し、このような無機材料を含有量灰分2〜15%の割合で吸収シートに含有させる。無機材料はゼオライト、とくに合成ゼオライトであることが望ましい。また、吸収シートの全体としては、ガステック検知管を用いるアンモニア吸着性試験において、5リットルのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)製試験容器に対し、アンモニアガス100ppm、空気量3リットル、吸収シート1gを封入し、検知管による測定を行った場合の、1時間後のアンモニア減少率が70%以上であることが望ましい。
【0015】
茶葉並びにパルプ繊維及び無機材料を含有する吸収シートはこれを、表面シート及び吸収体間に介装し、又は表面シート及び吸収体間と裏面シート及び吸収体間、もしくは表面シート及び吸収体間と吸収体が複数設けられる場合には吸収体間に介装する。
【0016】
吸収シート
は、茶葉の配合、又は染料などにより着色される
。これを利用して吸収性物品に以下の構造を設定す
る。
【0017】
すなわち、吸収シートが茶葉の配合、または染料などにより着色されることにより、この着色した吸収シートを当該吸収性物品を表面シート側から視たときに表面シートを透かして視認可能とし、更に具体的には、表面シート及び裏面シート間に1層、又は複数層の吸収体を配置し、表面シート及び吸収体間に前記吸収シートを配置するとともに、裏面シート及び吸収体間、もしくは複数層の吸収体間に前記吸収シートを配置し、表面側に配置した吸収シートを当該吸収性物品の幅方向に2分割して分割シート同士間に間隔を設定すること、及び裏面側、又は複数層の吸収体間に配置した吸収シートの長さ寸法を吸収シート上側の吸収体の長さ寸法より大きく設定して裏面側の吸収シートの長さ方向端部を吸収体の端部よりもはみ出させることにより、表面側の吸収シート及び裏面側、又は吸収体間の吸収シートの組み合わせによる視認可能な領域を、当該吸収性物品の平面中央に設定した吸収体による白色領域の周りを囲む枠状に設定する。しかして、このようにすれば吸収性物品を表面シート側より視た場合、表面シートを透かして、吸収シートによる着色領域が窓枠状に視認され、更にその平面中央に、吸収体による、着色されていない、白色の領域が視認されるため、排尿後、白色領域に浸み込んだ(吸収された)尿の色を視ることにより、物品使用者の健康状態などを確認することが可能とされる。
【0018】
また、この場合は、表面シートのすぐ裏面側に茶葉を配合した吸収シートが配置されることにより、物品使用者の肌のすぐ近くに茶葉を配合した吸収シートが配置されるため、茶葉が発揮する抗菌性及び脱臭性を一層有効に発揮させることが可能とされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0021】
すなわち本発明においては以上説明したように、抗菌性及び脱臭性を備える茶葉を粉砕し所定の大きさとしたうえでこれを吸収シートにパルプ繊維及び無機材料とともに含有させるようにしたため、吸収性物品の抗菌性及び脱臭性を向上させることができる。したがって本発明所期の目的どおり、排尿後、雑菌が繁殖するのを抑制し、もってスキントラブルが発生するのを抑制することができ、また強いアンモニア臭が発生するのを抑制することができる吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1実施例・・・
図1(A)に示すように、当該実施例に係る吸収性物品1は、装着時に装着者の肌(図示せず)と当接する側(図では上側、以下、内側又は上層側とも称する)に配置される液透過性の表面シート(トップシート)11と、表面シート11における装着者の肌と当接する側とは反対側(図では下側、以下、外側又は下層側とも称する)に配置される液不透過性の裏面シート(バックシート)12とを有し、この表面シート11及び裏面シート12間に排泄物を吸収可能な吸収体13が介装され、表面シート11及び吸収体13間に排泄物中の水分を吸収可能な吸収シート(トップ下シート)14が介装され、すなわち吸収性物品1の内側から外側へかけて、表面シート11、吸水シート14、吸収体13及び裏面シート12がこの順に積層され、また、表面シート11における装着者の肌と当接する側の面に排泄物のいわゆる横漏れを抑制するための幅方向一対の立体ギャザー15が取り付けられている。各シート11,12,14,15及び吸収体13は、
図1(A)に示した状態で重ねられ積層され、互いに対向し接触する部分で接合される。接合は例えばホットメルト系の接着剤による。
【0025】
表面シート11は、液透過性のシートよりなり、シートは例えば不織布よりなる。このような不織布を構成する繊維としては、セルロース、レーヨン又はコットンなどの親水性繊維のほか、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル又はポリアミドなどの疎水性繊維の表面を界面活性剤で親水処理したものが使用される。
【0026】
裏面シート12は、液不透過性のシートよりなり、シートは例えばポリエチレンなどの薄い樹脂フィルムよりなる。裏面シート12は、漏れ防止のため液不透過性であるものの、装着時にムレが生じないように或る程度の通気性を備えることが望ましい。
【0027】
吸収体13は、その名のとおり液吸収性の素材よりなり、素材は例えば、パルプよりなるもの、パルプを主材として高分子吸収ポリマーを併用したものよりなる。パルプはクッション性に優れる材料である。
【0028】
吸収シート14は、パルプ繊維と、粉砕し所定の大きさとした茶葉と、所定の粒子径を備え吸着(吸水)性能を備える無機材料とを所定量含有し、抗菌・脱臭性能を有するものとされている。
【0029】
茶葉は、0.18〜1.0mmのメッシュのスクリーンを通過したものが70%(重量%)以上となるように粉砕したものが使用され、吸収シート14の生産時における茶葉の配合量が、吸収シートを構成する原料の5%以上の割合とされている。茶葉はカテキンを含有し、カテキンによって吸収シート14の紙面pHが変化し、これは尿アンモニアの吸着による吸収性物品1内の環境の弱酸性化につながるものである。
【0030】
無機材料は、その平均粒子径を5〜20μmとされ、吸収シート14に含まれる無機材料の含有量が灰分で2〜15%(重量%)とされている。また、この無機材料としては、ゼオライトが使用されている。
【0031】
また、吸収シート14は、ガステック検知管を用いるアンモニア吸着性試験において、5リットルのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)製試験容器に対し、アンモニアガス100ppm、空気量3リットル、吸収シート1gを封入し、検知管による測定を行った場合の、1時間後のアンモニア減少率が70%以上とされている。
【0032】
また、吸収シート14の詳細としては、天然パルプとして針葉樹パルプ及び広葉樹パルプを主成分とすること、天然パルプの抄紙時におけるJIS−P−8121で規定されるフリーネステスターの測定値が500〜700ccであること、抄紙時に添加する原料として茶葉が10〜20%(重量%)配合され、無機材料が5〜15%(重量%)配合されていること、抄紙後の吸収シートの米坪が8〜30g/m
2の範囲とされること、抄紙後の吸収シートの灰分が2〜15%(重量%)の範囲とされ、ガーレー透気度(JIS P 8117)が4.0秒以下とされている。
【0033】
上記液透過性の表面シート11、吸収シート14、吸収体13、及び液不透過性の裏面シート12よりなる吸収性物品について、表面シート11及び吸収体13間に茶葉を配合した吸収シート14を配置する際、この吸収シート14の消臭機能として以下の条件で比較試験を行った。
【0034】
<試験方法>
5リットルのテドラーバックを用い、試料を1g入れ、次いで空気3リットル、アンモニアガスを100ppm入れ、バック内のアンモニアガス濃度を経時的に測定する。
<試料>
a.パルプ100%紙
b.茶葉10%・パルプ90%配合紙
c.茶葉10%・合成ゼオライト5%・パルプ85%配合紙
d.茶葉10%・合成ゼオライト10%・パルプ80%配合紙
e.茶葉20%・パルプ80%配合紙
<試験結果>
試験結果は、
図2の表図に示すとおりとなり、茶葉を含有することによる消臭効果を確認することができ、特に、c及びdの茶葉と合成ゼオライトを合わせて配合した吸収シート14が、アンモニア濃度の低下が顕著に見られ、消臭効果が高いことを確認した。
【0035】
また、上記液透過性の表面シート11、吸収シート14、吸収体13、及び液不透過性の裏面シート12よりなる吸収性物品について、表面シート11及び吸収体13間に茶葉を配合した吸収シート14を配置する際、この吸収シート14のアンモニア吸着性能によるpHの変化を確認するため、以下の条件で比較試験を行った。
【0036】
<試験方法>
(1)各試料の冷水抽出PHをJISP8113(紙及び板紙のPH試験方法)にもとづいて測定する。
(2)300ml容ビーカーにアンモニア溶液(pH9)を100ml入れ、次いで、試料を絶乾で2g入れ、30分間吸着させる。
(3)吸着後のアンモニア溶液のPHを測定する。
<試料>
a.パルプ100%紙
b.茶葉10%配合紙
<試験結果>
試験結果は、
図3の表図に示すとおりとなり、茶葉を配合した吸収シート14は、pH9のアンモニア水に試料投入後(吸着後)のpH低下がパルプ100%紙に比べ顕著に見られ、同吸収シートがpH調整機能が高いことを確認した。
【0037】
上記構成の吸収性物品1においては、表面シート11及び吸収体13間に吸収シート14が介装され、この吸収シート14に粉砕し所定の大きさとした茶葉がパルプ繊維及び無機材料とともに含有され、茶葉が抗菌・脱臭性能を有しているために、吸収性物品1がその内部において抗菌性及び脱臭性を備えている。したがって排尿後、吸収性物品1内にて雑菌が繁殖するのを抑制し、もってスキントラブルが発生するのを抑制することができ、また、吸収性物品1内から強いアンモニア臭が発生するのを抑制することができる。
【0038】
尚、吸収シート14は、
図1(B)に示すように、裏面シート12及び吸収体13間に介装しても良く、表面シート11及び吸収体13間並びに裏面シート12及び吸収体13間の双方に介装しても良く、更に
図1(C)に示すように、吸収体13が複数設けられる場合には複数の吸収体13間に介装するようにしても良い。
【0039】
第2実施例・・・
当該第2実施例において、吸収シート14,17は2枚使いとされることによりその抗菌性及び脱臭性が一層発揮されるとともに、吸収シート14,17は茶葉の配合、又は染料などにより着色されることにより吸収性物品1を表面シート11側から視たときに表面シート11を透かして視認可能とされ、この吸収シート14,17による視認可能な着色領域Bは、吸収性物品1の平面中央に設定した吸収体13による白色領域Cの周りを囲む平面長方形の枠状に設定されている。以下、その構造の詳細について説明する。
【0040】
図4ないし
図5に示すように、当該第2実施例に係る吸収性物品1は、装着時に装着者の肌(図示せず)と当接する側(
図4では上側、以下、内側又は表面側とも称する)に配置される液透過性の表面シート11と、表面シート11における装着者の肌と当接する側とは反対側(
図4では下側、以下、外側又は裏面側とも称する)に配置される液不透過性の裏面シート12とを有し、この表面シート11及び裏面シート12間に排泄物を吸収可能な吸収体(第1吸収体)13が介装され、表面シート11及び第1吸収体13間に排泄物中の水分を吸収可能な吸収シート(第1吸収シート)14が介装され、第1吸収体13及び裏面シート12間に排泄物中の水分を吸収可能な吸収シート(第2吸収シート)17が介装され、第2吸収シート17及び裏面シート12間に排泄物を吸収可能な吸収体(第2吸収体)18が介装され、すなわち吸収性物品1の表面側から裏面側へかけて、表面シート11、第1吸収シート14、第1吸収体13、第2吸収シート17、第2吸収体18及び裏面シート12がこの順に積層され、また、表面シート11における装着者の肌と当接する側の面に排泄物のいわゆる横漏れを抑制するための幅方向一対の立体ギャザー15が取り付けられている。各シート11,12,14,15,17及び吸収体13,18は、
図4に示した状態で重ねられ積層され、互いに対向し接触する部分で接合される。接合は例えばホットメルト系の接着剤による。
【0041】
吸収シート14は、パルプ繊維と、粉砕し所定の大きさとした茶葉と、所定の粒子径を備え吸着(吸水)性能を備える無機材料とを所定量含有し、抗菌・脱臭性能を有するものとされている。
【0042】
表面シート11、裏面シート12、吸収体13及び吸収シート14の詳細などについては上記第1実施例と同様とされている。
【0043】
また
図6の斜視図に示すように、第1吸収シート14は、その全体として所定の長さL
1及び幅W
1を備える帯状・長方形状の平面形状とされているが、とくに当該吸収性物品1の幅方向に2分割されて、所定の長さL
1及び幅W
4を備える帯状・長方形状の2枚の分割シート14A,14Bとされ、この2枚の分割シート14A,14Bが互いに平行に配置され、この2枚の分割シート14A,14B同士の間に所定の幅W
5を備える帯状・長方形状の間隔(間隔領域)14Cが設定されている。したがって幅は、W
1=W
4×2+W
5の関係とされている。
【0044】
また、この第1吸収シート14は両分割シート14A,14Bとも、全体に上記茶葉を配合され、または全体が染料などによって緑色(薄緑色ないし緑茶色)に着色され、これに対し表面シート11は白色であってかつ薄いので、吸収性物品1をその表面シート11側(
図4における矢印A方向)から視たときに表面シート11を透かして、緑色の第1吸収シート14を視認することが可能とされている。
図5では、この透かして視える緑色の第1吸収シート14を多数の点々にて描いている(立体ギャザー15と平面上重なる部分については透かして視えないことがあるため、点々を付していない)。
【0045】
第1吸収体13は、白色で、1枚ものとされ、所定の長さL
3及び幅W
3を備える帯状・長方形状のシートとされている。また、この第1吸収体13はその長さL
3及び幅W
3に対して第1吸収シート14全体の長さL
1及び幅W
1と略等しい、又は、より小さく形成されており、幅W
3は間隔領域14Cの幅W
5より大きく形成されている(L
3=L
1又はL
3<L
1,W
5<W
3,W
3=W
1またはW
3<W
1)。
【0046】
第2吸収シート17は、その全体として所定の長さL
6及び幅W
6を備える帯状・長方形状の平面形状とされ、その大きさは長さL
6及び幅W
6に対し、第1吸収体13全体の長さL
3よりも長く、幅W
3と略等しい、又はより大きく形成されている。(L
6>L
3,W
6=W
3又はW
6>W
3)。第2吸収シート17は2分割されておらず1枚ものとされている。また、この第2吸収シート17はこれも全体が上記茶葉の配合、又は染料などにより緑色(薄緑色ないし緑茶色)に着色されており、これに対し上記したように表面シート11は白色であってかつ薄いので、吸収性物品1をその表面シート11側(
図4における矢印A方向)から視たときに表面シート11を透かして、第1吸収シート14と重なっておらず、かつ第1側吸収体13と重なっていない部分において、この緑色の第2吸収シート17を視認することが可能とされている。
図5では、この透かして視える緑色の表面側吸収シート14を多数の点々にて描いている。
【0047】
尚、第2吸収シート17が第1吸収シート14と重なっている部分は、表面シート11及び第2吸収シート17間に第1吸収シート14が介在しているため、表面シート11を透かして第2吸収シート17を視認することができない。同様に第2吸収シート17が表面側吸収体13と重なっている部分は、表面シート11及び第2吸収シート17間に表面側吸収体13が介在しているため、表面シート11を透かして第2吸収シート17を視認することができない。また同様に第2吸収シート17が第1吸収シート14及び第1吸収体13の双方に対し重なっている部分は、表面シート11及び第2吸収シート17間に第1吸収シート14及び第1吸収体13が介在しているため、表面シート11を透かして第2吸収シート17を視認することができない。したがって表面シート11を透かして第2吸収シート17を視認することができるのは、第2吸収シート17の長さL6が第1吸収体13の長さL3より大きく形成されることにより第2吸収シート17の長さ方向端部が第1吸収体13の長さ方向端部よりはみ出した領域(はみ出し領域)のみであって、具体的には、第2吸収シート17の一方の端部における所定の長さL
7及び幅W
5を備えるはみ出し領域17aと、第2吸収シート17の他方の端部における所定の長さL
8及び幅W
5を備えるはみ出し領域17bの2箇所とされている。
【0048】
また、上記したところにより、第1吸収シート14及び第2吸収シート17の組み合わせによる視認可能な着色領域Bは、当該吸収性物品1の平面中央に設定した表面側吸収体13による白色領域Cの周りを囲む平面長方形の枠状に設定されている。
【0049】
上記構成の吸収性物品1においては、表面シート11及び裏面シート12間に第1吸収シート14及び第2吸収シート17が第1吸収体13及び第2吸収体18とともに介装され、これらの第1吸収シート14及び第2吸収シート17に粉砕し所定の大きさとした茶葉がパルプ繊維及び無機材料とともに含有され、茶葉が抗菌・脱臭性能を有しているために、吸収性物品1がその内部において吸収シート14,17二枚分の抗菌性及び脱臭性を備えている。したがって排尿後、吸収性物品1内にて雑菌が繁殖するのを抑制し、もってスキントラブルが発生するのを抑制することができ、また、吸収性物品1内から強いアンモニア臭が発生するのを抑制することができる。
【0050】
また、第1吸収シート14及び第2吸収シート17が茶葉の配合、又は着色されることとともに、この着色された第1吸収シート14及び第2吸収シート17が表面シート11を透かして視認可能とされ、着色された第1吸収シート14が吸収性物品1の幅方向に2分割されて分割シート14A,14B同士間に間隔領域14Cが設定され、着色された第2吸収シート17がその長さL
6を第1吸収体13の長さL
3より大きく設定されて第2吸収シート17の長さ方向端部が第1吸収体13の長さ方向端部よりもはみ出し、長さ方向両端部にそれぞれはみ出し領域17a,17bが設定されているため、吸収性物品1をその表面シート11側(
図4における矢印A方向)から視ると、表面シート11を透かして、着色された第1吸収シート14及び第2吸収シート17の組み合わせによる着色領域Bが平面長方形の窓枠状に視認され、更にその平面中央に、第1吸収体13による着色されていない平面長方形の白色領域Cが視認される。したがって排尿後、この白色領域Cに浸み込んだ(吸収された)尿の色を視ることにより、使用者の健康状態などを確認することができる。
【0051】
第3実施例・・・
尚、上記第2実施例において、第2吸収シート17は2分割されておらず1枚ものとされているが、これを分割タイプとすることも考えられる。すなわち第3実施例として示す
図7では、第2吸収シート17が当該吸収性物品の長さ方向に2分割され、分割シート17A,17Bがそれぞれ第1吸収体13の長手方向端部よりも当該吸収性物品の長さ方向にはみ出した位置に配置され、これにより第1吸収シート14及び第2吸収シート17の組み合わせによる視認可能な着色領域Bが、当該吸収性物品の平面中央に設定した第1吸収体13による白色領域Cの周りを囲む平面長方形の枠状に設定されている。第3実施例のその他の構成は第2実施例と同じであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
以下のような追加説明が可能である。
(1)トップシートは一般的な親水性不織布で、その下に、茶葉を配合した8〜30g/m
2の吸収シートを配置することにより、吸収シートが尿に触れる迄の時間が短くなり、早く消臭効果が得られる。吸収シートは不織布と比べ吸収速度が速い。トップシートはエアースルーやスパンボンド等を使えるが、スパンボンドの方がウェットバックに関する効果が高く、より吸収シートとの相性がいい。吸収シートは坪量が厚いと効果が更に高くなる。
(2)紙の中に茶葉+ゼオライトの組み合わせで配合する。茶殻ではなく茶葉を使うことで、含有するカテキンの量を増やすことができる。ゼオライトを使うことで、より消臭効果が高められる。茶殻は(濡れた状態であることが多く、)保管しにくい(腐る、発酵する)が、茶葉は一般的に乾燥状態であり、使用・保管が容易である。
(3)合成ゼオライトを使用する。合成ゼオライトは通常の天然ゼオライトと比べ、化学吸着性能が高く、おむつの使用時、廃棄時等に熱による臭気の再放出が少ない。
(4)茶葉を配合した吸収シートの抄紙条件について、茶葉を粉砕し、茶葉粉体の粒子径を規定することで、抄紙性を改善する。抄紙時のフリーネス(叩解度)、パルプ配合を規定する。ゼオライトの大きさ(粒子径)と灰分設定(紙中配合量)を規定することで、より抄紙性と消臭効果が高まる。ゼオライトを使うことで、抄紙中の茶葉由来のカテキンも吸着し、カテキンの流出を防ぐことができる。
(5)合成ゼオライトの種類を変える。合成ゼオライトによって消臭対象物を変更することができ、アンモニア(アルカリ吸着)以外にも硫化物(便の臭い:酸化物)等に対しても消臭機能を付与できる。
(6)茶葉配合の吸収シートの透気度を規定することにより、一般的なティシューより数値が低く通気性が高いため、おむつ自体の通気性が高まり、液体の吸収速度が速い。
(7)茶殻を用いる吸収シートに対し、茶殻の代わりにカテキンの含有量が多い茶葉を利用し、かつ吸収シートの抄紙時にカテキン成分の紙中での歩留りを高め、より消臭機能を高めるために紛体状の合成ゼオライトを配合することで、より消臭効果が高い吸収シートとして、大人用おむつ等に使用する。