【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気発生器は、
伝熱管内を流れる流体との熱交換によって蒸気を生成するための蒸気発生器であって、
前記流体の入口側に位置する第1直管部と、前記流体の出口側に位置する第2直管部と、前記第1直管部と前記第2直管部との間に位置する曲り部と、をそれぞれ有する複数の伝熱管と、
前記複数の伝熱管の前記第1直管部及び前記第2直管部が挿通される複数の貫通孔が形成された管支持板と、
前記曲り部を含む平面に直交する面外方向への前記複数の伝熱管の動きを規制するための支持部材と、を備え、
曲率半径が異なる複数の前記曲り部が前記平面に平行な面内方向に沿って並び、且つ、曲率半径が同一の複数の前記曲り部が前記面外方向に並ぶように、前記複数の伝熱管の前記第1直管部及び前記第2直管部の通過する前記複数の貫通孔が前記管支持板の上面視において規則配列に従って配列されており、
前記規則配列は、前記面内方向又は前記面外方向に沿った少なくとも一列において前記伝熱管が存在しない配列欠陥部を含み、
前記支持部材は、前記配列欠陥部の周囲に存在する複数の伝熱管の前記曲り部によって囲まれる空間の少なくとも一部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、第1直管部及び第2直管部が通過する複数の貫通孔は管支持板の上面視において規則配列に従って配列されており、前記規則配列は、面内方向又は面外方向に沿った少なくとも一列において伝熱管が存在しない配列欠陥部を含む。すなわち、第1直管部及び第2直管部が挿通される貫通孔によって規定される規則配列のうち少なくとも一列が欠けており(配列欠陥部)、かかる配列欠陥部には第1直管部及び第2直管部が通過する貫通孔が存在しない。そして、配列欠陥部の周囲に存在する複数の伝熱管の曲り部によって囲まれる空間の少なくとも一部には、面外方向への伝熱管の動きを規制するための支持部材が設けられる。
これにより、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、配列欠陥部の周囲の伝熱管の曲り部が支持部材に当接し、それ以上の変位が阻止される。また、他の伝熱管の曲り部についても、配列欠陥部の周囲の伝熱管の曲り部の変位が阻止される結果、面外方向への動きが規制される。よって、伝熱管群の曲り部における揺れを抑制でき、蒸気発生器の耐震性を向上させることができる。
また、配列欠陥部は少なくとも一本の伝熱管に相当する隙間を形成するため、この配列欠陥部に設けられる支持部材に十分な肉厚又は径を持たせることができる。このため、支持部材に対して十分な剛性を付与することができる。
さらに、既存の蒸気発生器に対する追加工事によって上記構成を適用する場合、複数の伝熱管の規則配列から少なくとも一列の伝熱管を排除して配列欠陥部を設ければよく、基本的な規則配列を大幅に変更することなく、上記構成を既存の設計に対して容易に導入することができる。但し、既存の伝熱管を利用して支持部材を構成する場合には、配列欠陥部に対応する位置に配置された伝熱管を取り除くことなく、この伝熱管を支持部材に改造してもよい。
【0010】
なお、支持部材は、伝熱管が格納される胴部に対して剛に支持されていてもよい。例えば、支持部材は、後述の振止め部材を介さずに胴部に直接的に支持されていてもよい。
この場合、支持部材と胴部との間の荷重伝達経路から剛性の低い部位(例えば振止め部材又は振止め部材と保持部材との間の接合部)を排除して、支持部材によるUベンド部の耐震性能の優れた向上効果を享受できる。
これに対し、仮に支持部材と胴部との間に剛性の低い部位(例えば振止め部材又は振止め部材と保持部材との間の接合部)が含まれている場合、支持部材自体の剛性を向上させても、伝熱管から支持部材が受けた荷重を胴部に伝達する過程で低剛性の部位が損傷してしまう可能性がある。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記支持部材は、前記管支持板に固定され、複数の前記曲り部の間において前記面内方向に沿って設けられた少なくとも一枚の仕切り板を含む。
上記(2)の構成によれば、支持部材は、面内方向に沿って設けられた少なくとも一枚の仕切り板を含んでいる。これにより、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、曲り部は仕切り板に当接してその動きが規制される。このとき、仕切り板は多数の伝熱管に当接するので、少ない設置枚数で曲り部集合体の大部分における揺れを抑制することができる。また、仕切り板によって、複数の曲り部が面外方向において分割されるので、一の仕切り板が支持すべき伝熱管の移動質量を小さくすることができる。
さらに、支持部材は管支持板に固定されているので、支持部材を胴部に対して剛に支持することができる。したがって、支持部材が、伝熱管の揺れに起因した曲り部の荷重を受けたときに、伝熱管から支持部材が受けた荷重を胴部に伝達する過程で低剛性の部位が損傷してしまうことを防止できる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記複数の伝熱管の前記曲り部によって前記管支持板の上方に形成される半球形状のUベンド部の外形に沿って設けられた保持部材と、
前記面外方向において隣接する前記伝熱管の前記曲り部の間において設けられ、前記保持部材から前記Uベンド部の前記半球形状の径方向における内側に向かって延在する複数の振止め部材と、をさらに備え、
前記仕切り板は、前記複数の振止め部材によって両側から挟まれている。
上記(3)の構成では、面外方向において隣接する曲り部の間に設けられ、保持部材からUベンド部の半球形状の径方向における内側に向かって延在する複数の振止め部材を備えている。この振止め部材によって、主として曲り部の流体励起振動を抑制することができる。なお、前記流体励起振動とは、蒸気発生器の運転時において、伝熱管の周囲を流れる流体(例えば蒸気等の二次冷却水)や伝熱管内を流れる流体によって発生する曲り部の振動である。また、仕切り板が、複数の振止め部材によって両側から挟まれているので、複数の伝熱管の曲り部からの荷重を、振止め部材を介して仕切り板で受けることができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記仕切り板は、前記Uベンド部の前記外形に沿った円弧状の縁部を有し、
前記縁部は、前記保持部材に固定される。
上記(4)の構成によれば、仕切り板の縁部が保持部材によって固定され、仕切り板の基部側が管支持板によって固定されるので、離間した2か所で仕切り板が固定されることとなり、仕切り板をより一層強固に固定することができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、
前記蒸気発生器の内壁に支持され、且つ、前記Uベンド部を囲む円環支持部をさらに備え、
前記円環支持部に設けた凹部に前記仕切り板の縁部が遊嵌されている。
上記(5)の構成によれば、蒸気発生器の内壁(例えば胴部の内壁)に支持された円環支持部の凹部に仕切り板の縁部を遊嵌したので、伝熱管の揺れ発生時において仕切り板及び円環支持部を介して蒸気発生器の内壁側に荷重を伝達することができ、伝熱管の揺れに起因した曲り部の荷重支持能力を向上させることができる。また、円環支持部に対して仕切り部が遊嵌されているので、内壁又は円環支持部と支持部材との熱伸び差に起因した熱応力を逃がすことができる。
【0015】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(5)の構成において、
前記仕切り板には、少なくとも一つの開口が設けられている。
上記(6)によれば、流体(例えば蒸気等の二次冷却水)が、仕切り板の開口を通って面外方向に沿って流れるため、仕切り板によってUベンド部における熱流動が阻害されることを抑制できる。
【0016】
(7)一実施形態では、上記(6)の構成において、
前記開口は、開口径が最小となるオリフィス部を有する。
上記(7)の構成によれば、仕切り板が面外方向に変位しようとしたとき、開口のオリフィス部を通過する流体(例えば蒸気等の二次冷却水)による抵抗力によって、仕切り板の変位を抑制することができる。
【0017】
(8)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(7)の何れかの構成において、
前記少なくとも一枚の仕切り板は、前記面外方向に並ぶように前記面内方向に沿って設けられた複数の仕切り板を含む。
上記(8)の構成によれば、複数の仕切り板によって、複数の曲り部の集合体(Uベンド部)が面外方向において3以上に分割されるため、一の仕切り板が受け持つ伝熱管の移動質量をより小さくすることができる。
【0018】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記支持部材は、前記面内方向に沿って設けられ、且つ、前記曲り部よりも剛性が高い少なくとも一本の湾曲支持棒を含む。
上記(9)の構成によれば、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、曲り部は、該曲り部よりも剛性が高い湾曲支持棒に当接してその動きが規制される。また、湾曲支持棒は、曲り部を含む平面に対しての投影面積が比較的小さいため、湾曲支持棒が面外方向に沿った熱流動に与える影響を低減できる。さらに、上記構成においては、配列欠陥部を形成するために規則配列から排除する伝熱管本数は少なくてすむため、配列欠陥部による伝熱効率の低下を抑制することができる。
【0019】
(10)一実施形態では、上記(9)の構成において、
前記湾曲支持棒は、前記伝熱管と同一の直径を有し、且つ、中実である。
上記(10)の構成によれば、湾曲支持棒の支持に際して、伝熱管と同一の支持構造を利用することができる。例えば、伝熱管が貫通するように構成された管支持板によって該伝熱管を支持する場合、伝熱管と同様に湾曲支持棒も管支持板を貫通させることによって支持することができる。
【0020】
(11)他の実施形態では、上記(9)の構成において、
前記伝熱管よりも管厚又は管径が大きい少なくとも一本の高剛性伝熱管をさらに備え、
前記湾曲支持棒は、前記高剛性伝熱管の曲り部である。
上記(11)の構成によれば、伝熱管の揺れに起因した曲り部の荷重を高剛性伝熱管によって支持することができ、且つ、高剛性伝熱管内に流体(例えば一次冷却水)を流すことによって、配列欠陥部による伝熱効率の低下をより一層抑制することができる。
【0021】
(12)幾つかの実施形態では、上記(9)乃至(11)の何れかの構成において、
複数の前記湾曲支持棒が、互いに連結されている。
上記(12)の構成によれば、複数の前記湾曲支持棒が互いに連結されているので、湾曲支持棒の剛性を高くすることができる。すなわち、伝熱管の揺れに起因した曲り部の荷重支持能力を向上することができる。
【0022】
(13)幾つかの実施形態では、上記(9)、(11)又は(12)の何れかの構成において、
前記複数の伝熱管の前記曲り部が、前記管支持板の上方において半球形状のUベンド部を形成しており、
前記面外方向において隣接する前記伝熱管の前記曲り部の間において設けられ、前記Uベンド部の前記半球形状の径方向に沿って延在する複数の振止め部材と、をさらに備え、
前記湾曲支持棒は、
前記平面に平行な面内に設けられる中空湾曲管部と、
少なくとも、前記面外方向から視たときに前記振止め部材と交差する前記中空湾曲管部の補強領域において、前記中空湾曲管部の内部に設けられる充填部材と、
を含む。
【0023】
上記(13)の構成においては、曲り部における流体励起振動を抑制することを目的として、面外方向において隣接する伝熱管の曲り部の間に振止め部材を設けている。このような構成を備える場合、Uベンド部に振動(例えば地震等)が発生したときに、面外方向への伝熱管の揺れに起因した荷重が、振止め部材を介して、面外方向において隣接する伝熱管の曲り部間で伝達される。振止め部材と交差する領域に中空の伝熱管のみが配置される場合、振止め部材を介して伝達される荷重によって伝熱管がつぶれてUベンド部全体の振動を抑えることができなくなる可能性がある。
そこで、上記(13)の構成では、曲り部よりも剛性が高い湾曲支持棒を支持部材として備えており、この湾曲支持棒が、曲り部を含む平面に平行な面内に設けられる中空湾曲管部と、振止め部材と交差する補強領域において中空湾曲管部の内部に設けられる充填部材と、を含む。すなわち、振止め部材と交差する中空湾曲管部の補強領域においては、中空湾曲管部の内部に充填部材が詰められているので、中空の伝熱管よりも剛性が高くなる。伝熱管の面外方向への揺れに起因した荷重は、剛性の高い中空湾曲管部の補強領域に主として作用するため、中空湾曲管部がつぶれることなく荷重を受けることができる。よって、Uベンド部の耐震性を向上させることができる。
また、中空湾曲管部として伝熱管を用いてもよい。すなわち、伝熱管の内部に充填部材を設けて支持部材(湾曲支持棒)としてもよい。これにより、既存の蒸気発生器に対して容易に上記(13)の構成を実現するための耐震施工を行うことができる。
【0024】
(14)一実施形態では、上記(13)の構成において、
複数の前記湾曲支持棒と複数の前記振止め部材とが、前記面外方向において交互に配列され、
前記面外方向に並んだ前記中空湾曲管部の前記補強領域、該補強領域内の前記充填部材、および、前記振止め部材によって、前記Uベンド部を前記面外方向に貫通する荷重伝達経路が形成されている。
上記(14)の構成によれば、荷重伝達経路が、中空湾曲管部の補強領域、該補強領域内の充填部材、および、振止め部材によって、荷重伝達経路が形成されているので、荷重伝達経路上では荷重伝達方向における剛性を高くすることができる。よって、Uベンド部の耐震性を効果的に向上させることができる。
【0025】
(15)一実施形態では、上記(14)の構成において、
前記蒸気発生器の内壁に支持され、且つ、前記Uベンド部を囲む円環支持部をさらに備え、
前記荷重伝達経路の両端において前記湾曲支持棒又は前記振止め部材が、前記円環支持部に設けた凹部に遊嵌されている。
上記(15)の構成によれば、蒸気発生器の内壁に支持された円環支持部の凹部に、湾曲支持棒又は振止め部材が遊嵌されているので、円環支持部と湾曲支持棒又は振止め部材との熱伸び差に起因した応力を逃がしながら、荷重伝達経路からの荷重を内壁で受けることができる。
【0026】
(16)幾つかの実施形態では、上記(13)乃至(15)の構成において、
前記充填部材は、前記中空湾曲管部の前記補強領域及び該補強領域の両側に位置する一対の前記振止め部材を含む、前記中空湾曲管部の管長方向に沿った断面内に設けられた複数のセクションによって構成される。
上記(16)の構成によれば、複数のセクションからなる分割構造によって充填部材を形成するようにしたので、面外方向に沿った荷重伝達経路上において、充填部材の各セクションと中空湾曲管部の内壁面との間に隙間が形成されてしまうことを防止できる。これにより、中空湾曲管部のつぶれを防止し、Uベンド部全体の振動を効果的に抑制できる。
【0027】
(17)幾つかの実施形態では、上記(13)乃至(16)の構成において、
前記湾曲支持棒は、一部の前記伝熱管の内部に前記充填部材を設置することで形成されている。
上記(17)の構成によれば、既存の蒸気発生器に対して容易に上記(13)乃至(16)の構成を実現するための耐震施工を行うことができる。
【0028】
(18)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(17)の何れかの構成において、
前記支持部材は、前記面外方向または前記面内方向に沿って水平方向に延在し、前記蒸気発生器の内壁に両端が支持される少なくとも一本の水平支持棒を含む。
上記(18)の構成によれば、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、曲り部は、水平支持棒に当接してその動きが規制される。また、水平支持棒は、面内方向における投影面積が比較的小さいため、水平支持棒が面外方向に沿った熱流動に与える影響を低減できる。
【0029】
(19)一実施形態では、上記(18)の構成において、
前記蒸気発生器の内壁に支持され、且つ、前記複数の伝熱管の前記曲り部によって前記管支持板の上方に形成される半球形状のUベンド部を囲む円環支持部をさらに備え、
前記少なくとも一本の水平支持棒の前記両端は、前記円環支持部によって支持されている。
上記(19)の構成によれば、蒸気発生器の内壁(例えば胴部の内壁)に剛に支持された円環支持部に水平支持棒の両端を支持させるようにしたので、伝熱管の揺れに起因した曲り部の荷重支持能力を向上させることができる。
【0030】
(20)本発明の少なくとも一実施形態に係る原子力プラントは、
一次冷却材を加熱するように構成された原子炉容器と、
二次冷却材の蒸気によって駆動されるように構成された蒸気タービンと、
前記一次冷却材との熱交換によって前記二次冷却材の前記蒸気を発生させるように構成された上記(1)乃至(19)の何れか一に記載の蒸気発生器と、
を備えることを特徴とする。
【0031】
上記(20)の構成によれば、上述の理由により、伝熱管の曲り部における揺れを抑制でき、蒸気発生器の耐震性能を向上させることが可能であるため、信頼性の高い原子力プラントを提供できる。
【0032】
(21)本発明の少なくとも一実施形態に係る蒸気発生器の耐震補強方法は、
流体の入口側に位置する第1直管部と、前記流体の出口側に位置する第2直管部と、前記第1直管部と前記第2直管部との間に位置する曲り部と、をそれぞれ有する複数の伝熱管と、前記複数の伝熱管の前記第1直管部及び前記第2直管部が挿通される複数の貫通孔が形成された管支持板と、を有し、前記伝熱管内を流れる前記流体との熱交換によって蒸気を生成するための蒸気発生器の耐震補強方法であって、
前記曲り部を含む平面に直交する面外方向への前記複数の伝熱管の動きを規制するための支持部材を前記蒸気発生器に設置する設置ステップを備え、
前記蒸気発生器では、曲率半径が異なる複数の前記曲り部が前記平面に平行な面内方向に沿って並び、且つ、曲率半径が同一の複数の前記曲り部が前記面外方向に並ぶように、前記複数の伝熱管の前記第1直管部及び前記第2直管部の通過する前記複数の貫通孔が前記管支持板の上面視において規則配列に従って配列されており、
前記設置ステップでは、前記規則配列のうち前記面内方向又は前記面外方向に沿った少なくとも一列において、前記伝熱管に替えて前記支持部材を設置することを特徴とする。
【0033】
上記(21)の方法によれば、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、曲り部は支持部材に当接し、それ以上の変位が阻止されるので、曲り部の変位を小さくとどめることができる。よって、伝熱管の曲り部における揺れを抑制でき、蒸気発生器の耐震性を向上することができる。
また、複数の伝熱管の規則配列のうち面内方向又は面外方向に沿った少なくとも一列において、伝熱管に替えて支持部材を設置するようにしたので、既存の蒸気発生器に対して上記(21)の方法に従って容易に耐震施工を行うことができる。
【0034】
(22)幾つかの実施形態では、上記(21)の方法において、
前記設置ステップでは、前記面内方向に沿って設けられ、且つ、前記曲り部よりも剛性が高い少なくとも一本の湾曲支持棒を前記支持部材として設置する。
上記(22)の方法によれば、面外方向への伝熱管の揺れが発生したとき、曲り部は、該曲り部よりも剛性が高い湾曲支持棒に当接してその動きが規制されるため、曲り部の揺れを抑制できる。また、湾曲支持棒は、面内方向における投影面積が比較的小さいため、湾曲支持棒が面外方向に沿った熱流動に与える影響を低減できる。
【0035】
(23)一実施形態では、上記(22)の方法において、
前記設置ステップでは、前記複数の伝熱管のうち一部である補強対象伝熱管の内部に充填部材を設けることで前記湾曲支持棒を形成する。
上記(23)の方法によれば、既存の蒸気発生器に支持部材を設置する際に伝熱管の一部を除去する必要がないため、既存の蒸気発生器に対して耐震施工を容易に行うことができる。
【0036】
(24)一実施形態では、上記(23)の方法において、
前記複数の伝熱管の前記曲り部が、前記管支持板の上方において半球形状のUベンド部を形成しており、
前記蒸気発生器は、前記面外方向において隣接する前記伝熱管の前記曲り部の間において設けられ、前記Uベンド部の前記半球形状の径方向に沿って延在する複数の振止め部材と、をさらに有し、
前記設置ステップでは、
前記面外方向から視たときに前記振止め部材と交差する前記補強対象伝熱管の補強領域において、前記補強対象伝熱管の内部に前記充填部材を設ける。
上記(24)の方法によれば、振止め部材と交差する補強対象伝熱管の補強領域においては、補強対象伝熱管の内部に充填部材が詰められているので、中空の伝熱管よりも剛性が高くなる。面外方向の振動成分に起因した荷重は、剛性の高い補強対象伝熱管の補強領域に主として作用するため、補強対象伝熱管がつぶれることなく荷重を受けることができる。よって、Uベンド部の耐震性を向上させることができる。
【0037】
(25)一実施形態では、上記(24)の方法において、
複数の前記湾曲支持棒と複数の前記振止め部材とが、前記面外方向において交互に配列されており、
前記設置ステップでは、前記面外方向に並んだ前記補強対象伝熱管の前記補強領域、該補強領域内の前記充填部材、および、前記振止め部材によって、前記Uベンド部を前記面外方向に貫通する荷重伝達経路を形成する。
上記(25)の方法によれば、補強対象伝熱管の補強領域、該補強領域内の充填部材、および、振止め部材によって、荷重伝達経路が形成されているので、面外方向におけるUベンド部の剛性を高くすることができる。よって、Uベンド部の耐震性を効果的に向上させることができる。