(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記就業判断部は、前記打刻情報記憶部に記憶された就業者ごとの出勤時刻に基づいて1つの就業時間区分における出勤者の人数を認識し、前記打刻情報記憶部に記憶された就業者ごとの退勤時刻に基づいて当該1つの就業時間区分における退勤者の人数を認識し、当該1つの就業時間区分における退勤者の人数が、当該1つの就業時間区分における出勤者の人数と一致したとき、就業中の就業者が存在しないと判断することを特徴とする請求項5に記載の就業管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非接触ICカードを用いた就業管理装置において、その動作モードが非省電力モードであるとき、社員はICカードをカードリーダにかざすだけで打刻を行うことができるので、打刻を迅速に行うことができる。
【0009】
しかしながら、就業管理装置の動作モードが省電力モードであるときには、社員は、ICカードをカードリーダにかざす前に、例えばタッチパネルディスプレイに指を触れて、就業管理装置を復帰させなければならない。すなわち、省電力モードでは、カードリーダにおける通信電波の発信が停止しているため、ICカードをカードリーダにかざしても、ICカードに記憶された情報をカードリーダに読み取らせることができない。ICカードに記憶された情報をカードリーダに読み取らせるためには、就業管理装置を復帰させて、動作モードを非省電力モードにし、カードリーダから通信電波を発信させてから、ICカードをかざさなければならない。このため、就業管理装置の動作モードが省電力モードであるときには、社員が打刻を迅速に行うことが難しくなる。
【0010】
この点、上記特許文献1には、1日のうち打刻頻度の高い時間帯ではタイムレコードの動作モードを省電力モードに切り換えない技術が記載されている。
【0011】
確かに、1日において、社員の打刻は、出勤時間帯や退勤時間帯に集中するので、このような時間帯に、就業管理装置の動作モードを省電力モードに切り換えないことにより、多くの社員につき打刻の迅速性を確保することができるものと考えられる。
【0012】
ところが、社員の勤務時間が不規則である企業等においては、社員の出勤時間帯や退勤時間帯が一定でない場合がある。このような場合には、打刻頻度の高い時間帯、すなわち、就業管理装置の動作モードを省電力モードに切り換えない時間帯を定めることが困難である。
【0013】
もっとも、社員の出勤時間帯や退勤時間帯が一定でない場合であっても、個々の社員の出勤および退勤が昼夜を通してばらばらである場合は希である。出勤時間帯および退勤時間帯をそれぞれ広い時間帯として把握すれば、ほとんどの社員の出勤時刻が含まれる出勤時間帯や、ほとんどの社員の退勤時刻が含まれる退勤時間帯を定めることができる。したがって、就業管理装置の動作モードを省電力モードに切り換えない時間帯を広く設定すれば、ほとんどの社員につき打刻の迅速性を確保することができる。しかし、この結果、就業管理装置が非省電力モードで動作する期間が長くなるので、消費電力を削減する効果が低下してしまう。
【0014】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、省電力モードから非省電力モードへ切り換える復帰動作を適切に行い、打刻の迅速性と消費電力の削減とを両立させることができる就業管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の就業管理装置は、就業者の就業を管理する就業管理装置であって、時計部と、前記時計部から取得された時刻を表示する表示部と、打刻を行う打刻部と、前記打刻部による打刻時に前記時計部から取得された時刻を記憶する打刻情報記憶部と
、人の接近を検出する人検出部と、
当該就業管理装置を、消費電力を抑える省電力モードまたは消費電力を抑えない非省電力モードで動作させ、かつ当該就業管理装置の動作を前記省電力モードによる動作から前記非省電力モードによる動作に切り換える復帰動作を前記人検出部による人の接近の検出に応じて自動的に行う動作制御部と、前記人検出部が人の接近を検出したことに応じて前記復帰動作を行わせる自動復帰時間帯を設定する自動復帰時間帯設定部と、前記自動復帰時間帯設定部により設定された自動復帰時間帯を記憶する自動復帰時間帯記憶部とを備え、前記動作制御部は、前記自動復帰時間帯においては、前記人検出部による人の接近の検出に応じた前記復帰動作を行い、前記自動復帰時間帯以外の時間帯においては、前記人検出部による人の接近の検出に応じた前記復帰動作を行わないことを特徴とする。
【0016】
本発明のこの態様によれば、
自動復帰時間帯においては、社員が打刻をするために就業管理装置に接近したとき、人検出部が社員の接近を検出し、就業管理装置を自動的に復帰させる。すなわち、社員が接近していないときには、消費電力を抑えた省電力モードで就業管理装置を動作させ、社員が接近したときには、就業管理装置を自動的に復帰させ、社員が打刻を迅速に行うことができる非省電力モードで動作させる。これにより、消費電力の削減と打刻の迅速性とを両立させることができる。また、社員の接近の検出に基づいて就業管理装置の動作モードを省電力モードに維持するか、非省電力モードに切り換えかを決するので、社員の勤務時間が不規則である場合でも、消費電力の削減と打刻の迅速性との両立を図ることができる。
【0017】
一方、自動復帰時間帯以外の時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じた復帰動作を行わない。
【0018】
したがって、自動復帰時間帯以外の時間帯においては、打刻とは無関係に人が就業管理装置に接近したことによって就業管理装置が復帰してしまうことを抑制することができる。これにより、打刻の迅速性と消費電力の削減とを両立させることができる。
【0019】
すなわち、人検出部が人の接近を検出して就業管理装置を自動的に復帰させる場合、打刻とは無関係に人が就業管理装置に接近したときでも、就業管理装置が復帰してしまうことがあり、この結果、省電力モードで動作する期間が短くなるため、消費電力を削減する効果が低下するおそれがある。打刻の迅速性と消費電力の削減とを両立させるためには、社員が打刻をするために就業管理装置に接近したときには就業管理装置を復帰させる一方で、打刻とは無関係に人が就業管理装置に接近したときには就業管理装置を復帰させないようにすることが望ましい。
【0020】
そこで、本発明のこの態様では、自動復帰時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じて就業管理装置を復帰させ、自動復帰時間帯以外の時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じた就業管理装置の復帰を行わせない。例えば社員が打刻を行う可能性が高い時間帯を自動復帰時間帯に設定することにより、社員が打刻を行う可能性が高い時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じて就業管理装置を復帰させ、社員が打刻を行う可能性が高くない時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じた就業管理装置の復帰を行わせないことができる。
【0021】
また、上記本発明の就業管理装置において、少なくとも始業時刻および終業時刻を含む勤務時間情報が記憶された勤務時間情報記憶部
を備え、前記自動復帰時間帯設定部は、前記勤務時間情報記憶部に記憶された勤務時間情報に含まれる前記始業時刻および前記終業時刻に基づいて出勤時間帯および退勤時間帯をそれぞれ設定し、これら出勤時間帯および退勤時間帯をそれぞれ自動復帰時間帯として
設定することが望ましい。
【0022】
本発明のこの態様によれば、出勤時間帯および退勤時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じて就業管理装置を復帰させ、出勤時間帯および退勤時間帯以外の時間帯においては、人検出部による人の接近の検出に応じた就業管理装置の復帰を行わせないことができる。出勤時間帯および退勤時間帯では社員が打刻を行う可能性が高いので、これらの時間帯において人の接近の検出により就業管理装置を復帰させることで、社員の打刻の迅速性を確保することができる。一方、出勤時間帯および退勤時間帯以外の時間帯では社員が打刻を行う可能性が高くないので、これらの時間帯においては、人の接近の検出による就業管理装置の復帰を行わせないことで、消費電力を削減することができる。また、始業時刻に基づいて出勤時間帯を容易にかつ正確に定めることができ、終業時刻に基づいて退勤時間帯を容易にかつ正確に定めることができる。
【0023】
また、上記本発明の就業管理装置において、早出予定時刻、遅刻予定時刻、早退予定時刻または残業予定時刻が記憶された予定時刻情報記憶部を備え、前記自動復帰時間帯設定部は、前記予定時刻情報記憶部に早出予定時刻または遅刻予定時刻が記憶されている場合には、当該早出予定時刻または当該遅刻予定時刻に基づいて出勤時間帯を設定し、当該出勤時間帯を自動復帰時間帯として
設定し、前記予定時刻情報記憶部に早退予定時刻または残業予定時刻が記憶されている場合には、当該早退予定時刻または当該残業予定時刻に基づいて退勤時間帯を設定し、当該退勤時間帯を自動復帰時間帯として
設定することが望ましい。
【0024】
本発明のこの態様によれば、始業時刻に加え、早出予定時刻または遅刻予定時刻に基づいて出勤時間帯を設定し、また、終業時刻に加え、早退予定時刻または残業予定時刻に基づいて退勤時間帯を設定し、このようにして設定した出勤時間帯および退勤時間帯を自動復帰時間帯にそれぞれ設定することにより、出勤時間帯または退勤時間帯が個々の社員ごとに異なる場合でも、これら社員が打刻するために就業管理装置に接近したときに就業管理装置を自動的に復帰させ、各社員に迅速に打刻させることができる。
【0025】
上記本発明の就業管理装置において、就業中の就業者の存否を判断する就業判断部を備え、前記動作制御部は、前記就業判断部が就業中の就業者が存在しないと判断した場合には、前記人検出部による人の接近の検出に応じた前記復帰動作を行わないことが望ましい。
【0026】
本発明のこの態様によれば、就業中の就業者が存在する場合には、人検出部による人の接近の検出に応じて就業管理装置を復帰させ、就業中の就業者が存在しない場合には、人検出部による人の接近の検出に応じた就業管理装置の復帰を行わせないことができる。就業中の就業者が存在する場合には、就業者が主に退勤の打刻を行う可能性が高いので、この場合には人の接近の検出により就業管理装置を復帰させることで、就業者の打刻の迅速性を確保することができる。一方、就業中の就業者が存在しない場合には、就業者が打刻を行う可能性が高くないので、この場合には、人の接近の検出による就業管理装置の復帰を行わせないことで、消費電力を削減することができる。これにより、打刻の迅速性と消費電力の削減とを両立させることができる。
【0027】
また、上記本発明の就業管理装置において、前記打刻情報記憶部は、前記打刻部による出勤の打刻時の時刻である出勤時刻および前記打刻部による退勤の打刻時の時刻である退勤時刻を就業者ごとに記憶し、前記就業判断部は、前記打刻情報記憶部に記憶された就業者ごとの出勤時刻および退勤時刻に基づいて、出勤したすべての就業者が退勤したか否かを判断することにより就業中の就業者の存否を認識することが望ましい。
【0028】
本発明のこの態様によれば、就業者ごとの出勤時刻および退勤時刻に基づき、出勤したすべての就業者が退勤したか否かを判断することで、就業中の就業者の存否を容易に認識することができる。また、各就業者の出勤時刻および退勤時刻は、各就業者の打刻により就業管理装置に入力される情報である。すなわち、就業管理装置は、打刻を通じて各就業者から自らに提供される情報のみにより、就業中の就業者の存否を判断することができる。つまり、就業管理装置は、就業中の就業者の存否を判断するために、他の装置に記憶された情報、例えばコンピュータネットワークにより就業管理装置に接続されたデータベース等に記憶された情報を必要としない。したがって、本発明のこの態様による就業管理装置によれば、就業中の就業者の判断を、瞬時にアクセスすることができる情報のみを用いて迅速に行うことができる。この結果、就業者の打刻の迅速性を確保することができる。
【0029】
また、上記本発明の就業管理装置において、前記就業判断部は、前記打刻情報記憶部に記憶された就業者ごとの出勤時刻に基づいて1つの就業時間区分における出勤者の人数を認識し、前記打刻情報記憶部に記憶された就業者ごとの退勤時刻に基づいて当該1つの就業時間区分における退勤者の人数を認識し、当該1つの就業時間区分における退勤者の人数が、当該1つの就業時間区分における出勤者の人数と一致したとき、就業中の就業者が存在しないと判断することが望ましい。
【0030】
本発明のこの態様によれば、複数の就業時間区分が設定されている場合に、就業時間区分ごとに就業中の就業者の存否を容易にかつ正確に判断することができる。
【0031】
また、上記本発明の就業管理装置において、前記打刻部は非接触型ICカードリーダを備えていることが望ましい。
【0032】
本発明のこの態様によれば、社員はカードリーダにICカードをかざすだけで打刻することができるので、社員の打刻の迅速性を確保することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、省電力モードから非省電力モードへ切り換える復帰動作を適切に行うことができ、打刻の迅速性と消費電力の削減とを両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(就業管理システム)
図1は、本発明の就業管理装置の実施形態である就業管理端末を含む就業管理システムを示している。
図1に示す就業管理システム1は、例えば会社の社員(就業者)の就業管理または勤怠管理を行うシステムである。就業管理システム1は、就業管理端末2、就業届出PC3、就業管理PC4および就業管理サーバ5を備えている。
【0036】
就業管理端末2は、本発明の就業管理装置の実施形態であり、社員による打刻を記録する機能を有する装置である。就業管理端末2は、例えば、社員が就業する建物、階または室の出入口や廊下に設置される。会社の規模が大きく、社員が就業する建物、階または室が複数ある場合には、複数の就業管理端末2が建物、階または室ごとに設置されることがある。
図1では、3台の就業管理端末2が設置されている場合を例にあげている。
【0037】
就業届出PC3は、例えば、各社員が使用するパーソナルコンピュータ(PC)である。各社員は、就業届出PC3を用いて、就業管理サーバ5のウェブアプリケーションサーバ6にアクセスし、ウェブアプリケーションサーバ6により提供されるウェブアプリケーションを実行させ、就業に関する届出を行うことができる。就業に関する届出には、早出届け、遅刻届け、早退届け、残業届け、休暇届け等がある。就業届出PC3は、社員ごとに複数設置してもよいし、各社員の就業届出を担当する一人の担当者のために1台設置してもよい。
図1では、1台の就業届出PC3が設置されている場合を例にあげている。
【0038】
就業管理PC4は、例えば、管理者が使用するパーソナルコンピュータ(PC)である。管理者は、就業管理PC4を用いて、就業管理サーバ5のウェブアプリケーションサーバ6にアクセスし、ウェブアプリケーションサーバ6により提供されるウェブアプリケーションを実行させ、就業に関する届出の承認や否認を行うことができる。就業管理PC4は、管理者ごとに複数設置してもよいし、各社員の就業届出承認をすべて担当する一人の管理者のために1台設置してもよい。
図1では、1台の就業管理PC4が設置されている場合を例にあげている。
【0039】
なお、就業管理PC4は就業届出PC3とほぼ同じハードウェアにより構成されており、使用時にログインするIDが管理者の場合にのみ届出の承認や否認を行う権限が追加され、その結果、就業届出PC3が就業管理PC4として機能するようにしてもよい。
【0040】
就業管理サーバ5は、各社員の就業管理を統括するサーバコンピュータである。就業管理サーバ5は、ウェブアプリケーション(WebAP)サーバ6、データベース(DB)サーバ7およびデータベース8を備えている。ウェブアプリケーションサーバ6は、各社員が就業の届出を行うためのウェブアプリケーション等を提供するサーバである。データベースサーバ7はデータベース8を操作するためのサーバである。データベース8には、就業に関するマスタ11ないし14が記憶されている。
【0041】
各就業管理端末2、就業届出PC3、就業管理PC4および就業管理サーバ5は、例えばイントラネット、またはインターネット等のコンピュータネットワーク9を介して相互に通信可能に接続されている。
【0042】
(就業に関するマスタ)
図2は、データベース8に記憶された、就業に関するマスタを示している。
図2に示すように、就業に関するマスタには、勤務時間マスタ11、社員マスタ12、届出マスタ13および就業マスタ14がある。勤務時間マスタ11には、各社員の始業時刻、終業時刻、出勤開始時刻、退勤完了時刻、出退勤切換時刻等を示す勤務時間情報が含まれる。
図2には示していないが、勤務時間マスタ11には、休憩の開始時刻および終了時刻を示す情報も勤務時間情報として含まれている。
図2では、シフト勤務(3シフト)を採用した会社の勤務時間情報を例にあげているが、勤務時間マスタ11には、種々の勤務時間体系の勤務時間情報を記憶することができる。社員マスタ12には、各社員の社員番号、社員名、シフト、休暇区分、管理者か否か等を示す社員情報(就業者情報)が含まれている。届出マスタ13には、各社員が届け出て管理者により承認された早出時刻、遅刻時刻、早退時刻、残業時刻、休暇等を社員ごとに示す届出情報が含まれている。
図2では、届出情報の例として、1日分の早出時刻(早届)、残業時刻(残届)、および休暇(休届)を示している。就業マスタ14には、各社員の打刻により記録された各社員の実際の出勤時刻、退勤時刻、外出時刻、戻り時刻等を社員ごとに示す打刻情報が含まれている。また、就業マスタ14には、打刻が行われた就業管理端末2を識別する情報(端末番号)が含まれている。なお、届出情報が予定時刻情報の具体例であり、早出時刻、遅刻時刻、早退時刻および残業時刻はそれぞれ、早出予定時刻、遅刻予定時刻、早退予定時刻および残業予定時刻の具体例である。
【0043】
勤務時間マスタ11に記憶された勤務時間情報は、例えば、管理者が、勤務規則等に基づき作成した情報であり、勤務規則の変更等に応じて変更されることがあるものの、日々更新される性質の情報ではない。また、社員マスタ12に記憶された社員情報は、例えば、管理者が社員登録をすることにより作成された情報であり、社員の追加登録や登録抹消により変更されることがあるが、基本的には日々更新される性質の情報ではない(もっとも、シフトのように日々変更される性質の情報が含まれることもある)。勤務時間情報および社員情報は、初回に作成したとき、および変更が生じたときに、就業管理サーバ5から各就業管理端末2に送信され、各就業管理端末2の記憶部44に記憶され、保持される。
【0044】
一方、届出マスタ13に記憶された届出情報は、各社員の日々の届出(例えば就業届出PC3による届出の入力)とそれに応じた管理者の承認(例えば就業管理PC4による承認の入力)により作成される情報であり、日々更新される性質を有する情報である。各社員が就業届出PC3を用いて届出を行うと、まず、就業届出PC3から就業管理サーバ5へ届出申請情報が送信され、データベース8に記憶される。続いて、管理者は、就業管理PC4を用いて届出申請情報にアクセスして、各社員の届出につき認否判断を行う。管理者が社員の届出を承認した場合には、当該社員の届出、すなわち早出時刻や残業時刻等が届出情報に追加され、届出情報が更新される。届出情報は、それが更新される度に、就業管理サーバ5から各就業管理端末2に送信される。各就業管理端末2は、更新された届出情報を受信したとき、記憶部44に記憶された届出情報を更新する。
【0045】
また、就業マスタ14に記憶された打刻情報は、各社員の日々の打刻により作成される情報であり、日々更新または日々生成される性質を有する情報である。打刻情報は、社員が就業管理端末2を用いて打刻したときに、当該就業管理端末2により生成され、当該就業管理端末2の記憶部44に記憶される。各就業管理端末2は、定期的に、例えば1時間に1回、打刻情報を就業管理サーバ5へ送信する。就業管理サーバ5は、各就業管理端末2から受信した打刻情報を就業マスタ14に記憶し、蓄積する。
【0046】
(就業管理端末)
図3は就業管理端末2の外観上の構成を示している。
図4は就業管理端末2のより詳細な構成を示している。
図3に示すように、就業管理端末2は、例えば壁面に取り付けるタイプのケース部21を備え、ケース部21の前面側に、タッチパネルディスプレイ22、選択ボタン26、27、ファンクションキー28、テンキー29、カードリーダ31および人感センサ35が設けられている。また、就業管理端末2が取り付けられた壁には、就業管理端末2に電力を供給する電源ケーブル58、および就業管理端末2とコンピュータネットワーク9とを接続する通信ケーブル59が埋設されている。電源ケーブル58は、就業管理端末2のケース部21内に設けられた就業管理端末2の電源(図示せず)に接続されている。通信ケーブル59は、ケース部21内に設けられた通信部42に接続されている。
【0047】
タッチパネルディスプレイ22は、情報を表示する画面を有する液晶ディスプレイ等の表示部23と、表示部23の画面をその背面側から照らすバックライト24と、人の指等が画面に接触(タッチ)したこと、およびその接触位置を検出する接触検出部25とを備えている(
図4参照)。表示部23には、時計部41から取得された現在時刻、および選択ボタン26等が表示される。また、バックライト24の点灯により、社員は周囲が暗い場合でも、表示部23に表示された現在時刻を読み取ることができ、表示部23に表示された選択ボタン26を識別することができる。
【0048】
選択ボタン26、27は、打刻の種類を選択するためのボタンである。
図3中の「出」は出勤を示し、「外」は外出を示し、「戻」は外出からの戻りを示し、「退」は退勤を示す。社員は原則として打刻の種類を選択してから打刻する。なお、就業管理端末2は、出勤時間帯には打刻の種類として出勤を自動的に選択し、退勤時間帯には打刻の種類として退勤を自動的に選択する機能を有している。出勤の打刻をする際に出勤がすでに自動的に選択されている場合や、退勤の打刻をする際に退勤がすでに自動的に選択されている場合には、社員は選択ボタン26または27を押すことなく、直ちに打刻することができる。
【0049】
また、選択ボタン26は、タッチパネルディスプレイ22の画面中にボタン画像またはボタンアイコンを表示することにより形成されたタッチボタンである。一方、選択ボタン27はメカニカルキー等の押しボタンである。タッチボタンの選択ボタン26と、押しボタンの選択ボタン27はいずれも同じ機能を有し、すなわち、打刻の種類を選択する機能を有する。また、押しボタンである選択ボタン27には、発光ダイオード等の光源が埋設されており、選択ボタン27が選択されているときに、その光源が点灯するようになっている。これにより、社員は、光源の点灯に基づいて、打刻時に選択されている打刻の種類を容易に知ることができる。また、ファンクションキー28およびテンキー29は、メカニカルキー等の押しボタンである。なお、押しボタンである選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29をメカニカルキーではなく、シートタイプのキーにより形成してもよい。
【0050】
カードリーダ31は、非接触型ICカードから情報を読み取る装置である。打刻は、非接触型ICカードを、カードリーダ31にかざすことにより行う。カードリーダ31はアンテナを有し、アンテナから通信電波を発信する。また、ICカードには社員を識別することができる社員識別情報が記憶されている。ICカードがカードリーダ31のアンテナに接近すると、カードリーダ31とICカードとの間で通信が確立され、ICカードに記憶された社員識別情報がICカードからカードリーダ31へ送信される。また、カードリーダ31は照明部32を有している。カードリーダ31がアンテナから通信電波を発信しているとき、すなわち、カードリーダ31がICカードの読取が可能な状態であるとき、照明部32が点灯する。社員は、周囲が暗くても、照明部32の点灯に基づいてICカードをかざす位置を容易に知ることができる。なお、カードリーダ31が打刻部の具体例である。
【0051】
人感センサ35は、人の接近を検出する装置である。例えば、人感センサ35は、人から発せられる赤外線を検出して人の接近を検出する。なお、レーザスキャン式のセンサや、マイクロ波を照射して物体の有無を検出するセンサを人感センサ35として用いてもよい。人感センサ35は、主に、就業管理端末2の前方から就業管理端末2に人が接近したことを検出する。人感センサ35は、人の接近を検出したとき接近検出信号を出力する。打刻をするために社員が接近したとき、人感センサ35から接近検出信号が出力される。人感センサ35は人検出部の具体例である。
【0052】
また、就業管理端末2のケース部21内には、
図4に示すように、時計部41、通信部42、音声出力部43、記憶部44およびCPU(中央演算処理装置)45が設けられている。時計部41は現在時刻を提供する。通信部42はコンピュータネットワーク9を介して就業管理サーバ5と通信を行う。音声出力部43は就業管理端末2の操作に関するガイダンスを音声出力する。記憶部44は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスク装置等の記憶装置を備えている。記憶部44には、打刻情報、勤務時間情報、届出情報および自動復帰時間帯が記憶される。なお、記憶部44は、打刻情報記憶部、勤務時間情報記憶部、届出情報記憶部および自動復帰時間
帯記憶部の具体例である。CPU45は、就業管理端末2の動作を制御する装置である。また、CPU45、記憶部44、タッチパネルディスプレイ22、選択ボタン27、ファンクションキー28、テンキー29、カードリーダ31、人感センサ35、時計部41、通信部42および音声出力部43は、ケース部21内においてバス46またはインターフェイス47を介してそれぞれ接続されている。
【0053】
また、CPU45は、例えば記憶部44に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、打刻処理部51、動作制御部52、自動復帰時間帯設定部53および就業判断部54として機能する。打刻処理部51は、ICカードがカードリーダ31にかざされて打刻が行われたときに、時計部41からその時点の時刻を取得し、その時点で選択されている打刻の種類を認識し、かつ、ICカードから送信された社員識別情報に基づいて打刻をした社員を特定する。そして、打刻処理部51は、認識した打刻の種類が出勤である場合には、取得した時刻を、特定した社員の出勤時刻と判断し、当該社員の当該出勤時刻を打刻情報の一部として記憶部44に記憶する。また、打刻処理部51は、認識した打刻の種類が退勤である場合には、取得した時刻を、特定した社員の退勤時刻と判断し、当該社員の当該退勤時刻を打刻情報の一部として記憶部44に記憶する。また、打刻処理部51は、認識した打刻の種類が外出または戻りである場合には、取得した時刻を、特定した社員の外出時刻または戻り時刻と判断し、当該社員の当該外出時刻または戻り時刻を打刻情報の一部として記憶部44に記憶する。一方、動作制御部52は、後述するように、就業管理端末2を省電力モードまたは非省電力モードで動作させる。自動復帰時間帯設定部53は、後述するように、自動復帰時間帯を設定する。就業判断部54は、後述するように、就業中の就業者の存否を判断する。
【0054】
(動作モード)
また、就業管理端末2は、動作モードとして、非省電力モードおよび省電力モードを有する。非省電力モードは、就業管理端末2の消費電力を抑えない動作モードである。一方、省電力モードは、就業管理端末2の消費電力を抑える動作モードである。
【0055】
非省電力モードでは、就業管理端末2は、自己が有する機能または能力に消費電力を抑えるための制限をかけずに動作する。具体的には、非省電力モードでは、タッチパネルディスプレイ22のバックライト24を点灯し、押しボタンである選択ボタン27に埋設された光源を打刻の種類の選択に応じて点灯し、カードリーダ31のアンテナから通信電波を発信し、カードリーダ31の照明部32を点灯し、CPU45を高速(通常の速度)で動作させる。
【0056】
一方、省電力モードでは、就業管理端末2は、消費電力を抑えるために、自己が有する機能または性能を制限しつつ動作する。具体的には、省電力モードでは、タッチパネルディスプレイ22のバックライト24を消灯し、すべての選択ボタン26に埋設された光源を消灯し、カードリーダ31のアンテナからの通信電波の発信を停止し、カードリーダ31の照明部32を消灯し、CPU45を低速で動作させる。なお、人感センサ35は、省電力モードにおいても非省電力モードにおいても人の接近を検出する動作を行う。
【0057】
就業管理端末2は、例えば電源投入直後は、非省電力モードで動作する。しかし、打刻のほか、就業管理端末2に対して何も操作がないまま所定の切換待機時間が経過すると、就業管理端末2の動作制御部52が、就業管理端末2の動作モードを非省電力モードから省電力モードへ自動的に切り換える。
【0058】
また、就業管理端末2の動作制御部52は、次の方法により、就業管理端末2の動作モードを省電力モードから非省電力モードへ切り換える(すなわち、就業管理端末2を復帰させる)。就業管理端末2を復帰させる方法には、手動により復帰させる方法と、自動的に復帰させる方法がある。手動により復帰させる方法は次の通りである。すなわち、就業管理端末2の動作制御部52は、タッチパネルディスプレイ22の画面に人の指等が接触したとき、または、選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29のいずれかが押されたときに就業管理端末2を復帰させる。一方、自動的に復帰させる方法は次の通りである。すなわち、就業管理端末2の動作制御部52は、人感センサ35が就業管理端末2への人の接近を検出したときに就業管理端末2を自動的に復帰させる。
【0059】
就業管理端末2が省電力モードで動作している状態では、カードリーダ31のアンテナからの通信電波の発信が停止しているので、ICカードをカードリーダ31にかざしても、カードリーダ31はICカードから情報を読み取らない。しかし、社員が就業管理端末2に接近すると、人感センサ35が社員の接近を検出し、これに応じ、動作制御部52が就業管理端末2を自動的に復帰させる。そして、就業管理端末2が復帰すると、カードリーダ31のアンテナから通信電波が発信される。したがって、就業管理端末2が省電力モードで動作している場合でも、社員は、就業管理端末2に接近してICカードをカードリーダ31にかざせば、それだけで打刻を行うことができる。
【0060】
また、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰は、後述するように制限されており、一定の条件が満たされた場合には、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰は行われない。この場合には、社員は、就業管理端末2のタッチパネルディスプレイ22の画面にタッチし、または選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29のいずれかを押し、就業管理端末2を手動で復帰させてから、ICカードをカードリーダ31にかざして打刻を行う。
【0061】
(自動復帰の制限)
就業管理端末2の動作制御部52は、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰を制限する。具体的には、人が就業管理端末2に接近した時点が自動復帰時間帯でなく、かつ、その時点において、就業中の社員が存在しない場合には、動作制御部52は、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰を行わない。
【0062】
自動復帰時間帯は、人感センサ35が人の接近を検出したことに応じて就業管理端末2を自動的に復帰させる時間帯である。自動復帰時間帯は就業管理端末2の自動復帰時間帯設定部53により、次の方法によって設定され、記憶部44に記憶される。
【0063】
すなわち、自動復帰時間帯は、基本的には、始業時刻および終業時刻に基づいて設定される。もっとも、本実施形態では、始業時刻のほかに出勤開始時刻が定められ、また、終業時刻のほかに退勤完了時刻が定められているので、自動復帰時間帯は、出勤開始時刻、始業時刻、終業時刻および退勤完了時刻に基づいて設定される。すなわち、まず、勤務時間情報に含まれる出勤開始時刻から始業時刻までが出勤時間帯として設定される。また、勤務時間情報に含まれる終業時刻から退勤完了時刻までが退勤時間帯として設定される。そして、出勤時間帯および退勤時間帯がそれぞれ自動復帰時間帯として設定される。
【0064】
例えば、
図2(1)に示す勤務時間の場合、シフトAにおいて、出勤時間帯は3時から4時までとなり、退勤時間帯は12時から13時までとなる。また、シフトBにおいては、出勤時間帯は8時から9時までとなり、退勤時間帯は17時から18時までとなる。また、シフトCにおいては、出勤時間帯は12時から13時までとなり、退勤時間帯は21時から22時までとなる。この結果、3時から4時まで、8時から9時まで、12時から13時まで、17時から18時まで、および21時から22時までの5つの時間帯がそれぞれ自動復帰時間帯として設定される。また、例えば、さらに、シフトD、E、F、…(図示せず)があり、これらシフトD、E、F、…においても、出勤開始時刻、始業時刻、終業時刻および退勤完了時刻がシフトごとに異なる場合には、自動復帰時間帯の個数が増加することになる。
【0065】
また、1シフトにおいて、社員により早出届け、遅刻届け、早退届けまたは残業届けが出されており、その結果、届出情報に、当該1シフトにおける早出時刻、遅刻時刻、早退時刻または残業時刻が含まれている場合には、自動復帰時間帯は、出勤開始時刻、始業時刻、終業時刻および退勤完了時刻のほかに、早出時刻、遅刻時刻、早退時刻または残業時刻に基づいて設定される。すなわち、まず、届出情報に1シフトにおける早出時刻が含まれている場合には、当該早出時刻よりも開始猶予時間早い時刻から、当該早出時刻よりも終了猶予時間遅い時刻までの間が出勤時間帯として設定される。また、届出情報に1シフトにおける遅刻時刻が含まれている場合には、当該遅刻時刻よりも開始猶予時間早い時刻から、当該遅刻時刻よりも終了猶予時間遅い時刻までの間が出勤時間帯として設定される。また、届出情報に1シフトにおける早退時刻が含まれている場合には、当該早退時刻よりも開始猶予時間早い時刻から、当該早退時刻よりも終了猶予時間遅い時刻までの間が退勤時間帯として設定される。また、届出情報に1シフトにおける残業時刻が含まれている場合には、当該残業時刻よりも開始猶予時間早い時刻から、当該残業時刻よりも終了猶予時間遅い時刻までの間が退勤時間帯として設定される。そして、このようにして設定された出勤時間帯および退勤時間帯がそれぞれ自動復帰時間帯として設定される。開始猶予時間および終了猶予時間は例えばそれぞれ数分から1時間程度に設定することが望ましく、開始猶予時間および終了猶予時間のいずれかを0としてもよい。
【0066】
例えば、
図2(3)に示す届出情報には、社員番号0010002の社員から残業届けが出され、残業時刻が20時である。この場合、開始猶予時間および終了猶予時間が例えばそれぞれ15分であるとすると、この社員についての退勤時間帯は19時45分から20時15分となる。この結果、19時45分から20時15分までの自動復帰時間帯が設定される。
【0067】
また、早出時刻または遅刻時刻に基づく出勤時間帯は、出勤開始時刻および始業時刻に基づく出勤時間帯とは別に設定される。また、早退時刻または残業時刻に基づく退勤時間帯は、終業時刻および退勤完了時刻に基づく退勤時間帯とは別に設定される。例えば、届出情報に1シフトにおける早出時刻および残業時刻が含まれている場合には、当該1シフトにおいては、早出時刻に基づく出勤時間帯と、出勤開始時刻および始業時刻に基づく出勤時間帯と、終業時刻および退勤完了時刻に基づく退勤時間帯と、残業時刻に基づく退勤時間帯が設定され、これら複数の出勤時間帯および複数の退勤時間帯がそれぞれ自動復帰時間帯として設定される。また、早出時刻、遅刻時刻、早退時刻または残業時刻は社員ごとに異なる場合が多く、この場合には、社員ごとに自動復帰時間帯が設定されることとなるが、すべての社員の複数の自動復帰時間帯の重複が許容される。さらに、複数の就業管理端末ごとに、その就業管理端末を使用するすべての社員の複数の自動復帰時間帯の重複を許容してもよい。なお、社員がどの就業管理端末2を利用するかは、就業マスタ14における端末番号の履歴から、推測して設定することができる。
【0068】
また、就業中の社員の存否の判断は、就業管理端末2の就業判断部54により次の方法によって行われる。すなわち、記憶部44には、打刻情報として、各社員の出勤時刻および退勤時刻が社員ごとに記憶されている。就業判断部54は、打刻情報に含まれる各社員の出勤時刻および退勤時刻に基づいて、出勤したすべての社員が退勤したか否かを判断することにより、就業中の社員の存否を認識する。具体的には、就業判断部54は、打刻情報に含まれる各社員の出勤時刻に基づいて1シフトにおける出勤した社員の人数を認識し、打刻情報に含まれる各社員の退勤時刻に基づいて当該1シフトにおける退勤した社員の人数を認識し、当該1シフトにおいて、退勤した社員の人数が、出勤した社員の人数と一致したとき、就業中の就業者が存在しないと判断する。また、当該1シフトにおいて、退勤した社員の人数が、出勤した社員の人数未満であるとき、就業判断部54は、就業中の就業者が存在すると判断する。
【0069】
また、就業管理端末2において、自動復帰時間帯設定部53は、複数のシフトが設定されている場合に、就業時間区分ごとに自動復帰時間帯の設定を行い、就業判断部54は、就業時間区分ごとに就業中の社員の存否を判断する。例えば、出退勤切換時刻から次の出退勤切換時刻までが1就業時間区分である。シフト勤務の場合、各シフトに出退勤切換時刻が定められているので、自動復帰時間帯設定部53は、シフトごとに自動復帰時間帯の設定を行い、就業判断部54は、シフトごとに就業中の社員の存否を判断する。
【0070】
(就業管理端末の動作)
図5は就業管理端末2の動作を示している。
図5において、まず、就業管理端末2が省電力モードで動作しているとする。この間、就業管理端末2の動作制御部52は、タッチパネルディスプレイ22の画面がタッチされたか否か、または、選択ボタン27、ファンクションキー28またはテンキー29が操作されたか否かを判断する(ステップS1)。タッチパネルディスプレイ22の画面がタッチされず、かつ、選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29のいずれも操作されない場合には(ステップS1:NO)、動作制御部52は、続いて、人感センサ35からの接近検出信号に基づき、人が就業管理端末2に接近したか否かを判断する(ステップS2)。人が就業管理端末2に接近していない場合には(ステップS2:NO)、処理はステップS1に戻る。このように、タッチパネルディスプレイ22の画面へのタッチがなく、選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29のいずれの操作もなく、人の接近も検出されない場合には、就業管理端末2は省電力モードによる動作を継続する。
【0071】
一方、人が就業管理端末2に接近した場合には(ステップS2:YES)、動作制御部52は、上述した方法により算出され、記憶部44に記憶された自動復帰時間帯を参照し、人が就業管理端末2に接近した時点が自動復帰時間帯に含まれるか否かを判断する(ステップS3)。人が就業管理端末2に接近した時点が自動復帰時間帯に含まれない場合には(ステップS3:NO)、続いて、動作制御部52は、人が就業管理端末2に接近した時点において、就業中の社員が存在するか否かを判断する(ステップS4)。就業中の社員が存在するか否かの判断方法は上述した通りである。人が就業管理端末2に接近した時点において、就業中の社員が存在しない場合には(ステップS4:NO)、処理はステップS1に戻る。このように、人の接近が検出された場合であっても、その時点が自動復帰時間帯に含まれず、かつ、その時点において就業中の社員が存在しない場合には、就業管理端末2は省電力モードによる動作を継続する。すなわち、このようにして就業管理端末2の自動復帰が制限される。
【0072】
一方、人が就業管理端末2に接近し、かつ、その時点が自動復帰時間帯に含まれる場合(ステップS2:YES、ステップS3:YES)、または、人が就業管理端末2に接近し、その時点が自動復帰時間帯に含まれないが、その時点において就業中の社員が存在する場合には(ステップS2:YES、ステップS3:NO、ステップS4:YES)、動作制御部52が就業管理端末2を復帰させ、すなわち、就業管理端末2の動作モードを省電力モードから非省電力モードへ切り換える(ステップS5)。このように、人の接近が検出され、かつ、その時点が自動復帰時間帯に含まれる場合、または人の接近が検出され、かつ、その時点において就業中の社員が存在する場合には、就業管理端末2は復帰する。すなわち、このようにして就業管理端末2の自動復帰が実現される。
【0073】
他方、タッチパネルディスプレイ22の画面がタッチされ、または、選択ボタン27、ファンクションキー28およびテンキー29のいずれかが操作された場合にも(ステップS1:YES)、動作制御部52は就業管理端末2を復帰させる(ステップS5)。これにより、就業管理端末2の手動復帰が実現される。
【0074】
復帰後の就業管理端末2に対し、社員がICカードをカードリーダ31にかざして打刻をしたとき(ステップS6:YES)、就業管理端末2の打刻処理部51は打刻処理を行う。すなわち、打刻処理部51は、その時点の時刻を時計部41から取得し、ICカードから送信された社員識別情報により特定された社員につき、その時点で選択されている打刻の種類に応じて出勤時刻、外出時刻、戻り時刻または退勤時刻を打刻情報の一部として記憶部44に記憶する(ステップS7)。
【0075】
また、動作制御部52は、就業管理端末2が復帰した時点から時間の計測を開始し、就業管理端末2が復帰した時点から所定の切換待機時間が経過した場合には(ステップS8:YES)、就業管理端末2の動作モードを非省電力モードから省電力モードへ切り換える(ステップS9)。その後、処理はステップS1へ戻る。
【0076】
なお、就業管理端末2が復帰した時点から切換待機時間が経過するまでの間に打刻があった場合には、打刻があった時点において切換待機時間の計測を初期化し、その打刻があった時点から再び時間の測定を開始してもよい。この態様によれば、就業管理端末2が復帰した時点から切換待機時間が経過するまでの間に打刻があった場合には、当該打刻があった時点からさらに切換待機時間が経過するまでの間に次の打刻がないときには、就業管理端末2の動作モードが非省電力モードから省電力モードへ切り換えられる。
【0077】
以上、説明した通り、本発明の実施形態による就業管理端末2によれば、切換待機時間が経過するまで打刻がない場合には、省電力モードに切り換えられることにより、消費電力を削減することができる。その一方で、就業管理端末2によれば、社員が就業管理端末2に接近したときには、人感センサ35によりその旨が検出され、自動復帰し、非省電力モードに自動的に切り換えられることにより、当該社員は就業管理端末を非省電力モードに手動で切り換えることなく、打刻を迅速に行うことができる。
【0078】
また、就業管理端末2によれば、自動復帰時間帯以外の時間帯においては、人が就業管理端末2に接近しても、就業管理端末2は自動復帰しない。これにより、例えば、自動復帰時間帯以外の時間帯に、建物を巡回している守衛が就業管理端末2の前を通り過ぎた場合のように、人が打刻とは無関係に就業管理端末に接近した場合に、就業管理端末2が自動復帰することを防止することができる。これにより、消費電力の削減効果を高めることができる。
【0079】
また、出勤時刻および退勤時刻に基づき自動復帰時間帯を設定することにより、社員が打刻を行う可能性の高い時間帯を自動復帰時間帯として容易に設定することができ、別言すれば、社員が打刻を行う可能性の低い時間帯を自動復帰時間帯以外の時間帯、すなわち、自動復帰をさせない時間帯として設定することができる。
【0080】
また、早出時刻、遅刻時刻、早退時刻または残業時刻に基づき自動復帰時間帯を設定することにより、社員が打刻を行う可能性のある時間帯を自動復帰時間帯として容易に設定することができる。別言すれば、出勤時刻および退勤時刻に基づく自動復帰時間帯と、早出時刻、遅刻時刻、早退時刻または残業時刻に基づく自動復帰時間帯を設定することにより、社員が打刻を行う可能性のほとんどない時間帯を自動復帰時間帯以外の時間帯、すなわち、自動復帰をさせない時間帯として設定することができる。
【0081】
また、就業管理端末2では、就業中の就業者の存否を判断し、就業中の就業者が存在する場合には、就業管理端末2を自動復帰させる。これにより、終業時刻、退勤完了時刻、早退時刻または残業時刻とは異なる時間に退勤することとなった社員が存在する場合に、当該社員は、就業管理端末2を手動復帰させることなく、迅速に打刻を行うことができる。
【0082】
また、就業管理端末2は、1就業時間区分において、退勤した社員の人数が、出勤した社員の人数と一致したときに、就業中の社員が存在しないと判断する。これにより、就業中の社員の存否を容易にかつ正確に判断することができる。
【0083】
なお、上述した実施形態では、出勤開始時刻から始業時刻までを自動復帰時間帯に設定し、また、終業時刻から退勤完了時刻までを自動復帰時間帯に設定する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、始業時刻(または出勤開始時刻)よりも開始猶予時間早い時刻から、始業時刻(または出勤開始時刻)よりも終了猶予時間遅い時刻までの間を自動復帰時間帯として設定してもよい。また、終業時刻(または退勤完了時刻)よりも開始猶予時間早い時刻から、終業時刻(または退勤完了時刻)よりも終了猶予時間遅い時刻までの間を自動復帰時間帯として設定してもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、出勤した社員の人数と退勤した社員の人数が一致したときに、就業中の社員が存在しないと判断する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、残業時刻に基づいて、就業中の社員の存否を判断してもよい。すなわち、終業時刻または退勤完了時刻よりも遅い時刻に人の接近が検出された場合には、この1就業時間区分において、その検出時刻よりも遅い時刻の残業時刻の残業届けが届出情報に含まれているか否かを判断し、このような残業届けが届出情報に含まれている場合には、就業中の社員が存在すると判断してもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、人が就業管理端末2に接近した時点が自動復帰時間帯でなく、かつ、その時点において、就業中の社員が存在しない場合に、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰を行わない場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。人が就業管理端末2に接近した時点が自動復帰時間帯でない場合、または、人が就業管理端末2に接近した時点において、就業中の社員が存在しない場合に、人感センサ35による就業管理端末2の自動復帰を行わないようにしてもよい。
【0086】
また、カードリーダ31は、非接触型ICカードリーダに限らない。例えば磁気カードリーダでもよい。また、カードリーダ31に代え、指紋認証、虹彩認証、静脈認証、顔認証等の生体認証装置を採用してもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、非省電力モードと省電力モードを設ける場合を例にあげたが、これに中間モードを追加してもよい。中間モードでは、例えば、タッチパネルディスプレイ22のバックライトや選択ボタン27に埋設された光源は消灯させるが、カードリーダ31のアンテナからの通信電波の発信を行い、CPU45の高速の動作を維持する。そして、非省電力モードからいきなり省電力モードに切り換えるのではなく、例えば、まず、非省電力モードから中間モードに切り換え、次に、中間モードから省電力モードに切り換える。これにより、カードリーダ31のアンテナから通信電波が発信される期間が長くなるので、社員の打刻の迅速性を確保することができ、バックライトや光源が消灯している期間が長くなるので、消費電力の削減を図ることができる。
【0088】
また、就業管理システム1において複数の就業管理端末2があり、就業管理端末2のそれぞれについて、それを利用する社員が決まっている場合には、各就業管理端末2は、当該就業管理端末2を利用する社員に関して、自動復帰時間帯設定部53による自動復帰時間帯の設定、および就業判断部54による就業中の社員の存否判断を行うことが望ましい。社員がどの就業管理端末2を利用するかは、就業マスタ14における端末番号の履歴から、推測して設定してもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、就業管理システム1の一部を構成する就業管理端末2に本発明を適用する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、コンピュータネットワークに接続することなく、単体で就業管理を完結することができる、いわゆるスタンドアローン型の就業管理装置にも適用することができる。
【0090】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う就業管理装置もまた本発明の技術思想に含まれる。