特許第6499596号(P6499596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6499596誘導自己組織化のためのコポリマー配合物、その製造方法、及びそれを含む物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499596
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】誘導自己組織化のためのコポリマー配合物、その製造方法、及びそれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/02 20060101AFI20190401BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20190401BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20190401BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   B05D3/02 Z
   B05D7/24 302F
   C08L51/00
   C08L53/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2016-20455(P2016-20455)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-160431(P2016-160431A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】62/121,281
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ディー・フスタッド
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス・サード
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・ヴイ・ギンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ボンクン・キム
(72)【発明者】
【氏名】グレン・エイチ・フレドリックソン
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−007233(JP,A)
【文献】 特開2014−102503(JP,A)
【文献】 特開2013−227479(JP,A)
【文献】 特表2008−520450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
B29C 71/04
C08J 7/00− 7/02
7/12− 7/18
B32B 1/00− 43/00
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成方法であって、
基板上に、
第1のポリマー及び第2のポリマーを含むブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの前記第1のポリマー及び前記第2のポリマーが互いに異なり、前記ブロックコポリマーが、層分離構造を形成する、ブロックコポリマーと、
ボトルブラシポリマーを含む付加ポリマーであって、
前記ボトルブラシポリマーが、互いに結合したポリマー鎖骨格とグラフトポリマーを含み、
前記ボトルブラシポリマーの前記ポリマー鎖骨格及び前記グラフトポリマーが第3のポリマーを含み、前記第3のポリマーが、前記ブロックコポリマーの前記第1のポリマーまたは前記第2のポリマーのいずれかと化学的に同一であるか、または優先的会合を有するか、あるいは前記ボトルブラシポリマーが第3のポリマー及び第4のポリマーを含むコポリマーであり、前記ボトルブラシコポリマーの前記第3のポリマー及び前記第4のポリマーが互いに異なり、前記ブロックコポリマーの前記第1のポリマーが、前記ボトルブラシコポリマーの前記第のポリマーと化学的に同一であるか、または優先的会合を有するか、あるいは前記ブロックコポリマーの前記第2のポリマーが、前記ボトルブラシコポリマーの前記第4のポリマーと化学的に同一であるか、または優先的会合を有し、前記ポリマー鎖骨格が前記第3のポリマーを含み及び前記グラフトポリマーが前記第4のポリマーを含み、及び、
前記ボトルブラシポリマーが、前記ブロックコポリマーよりも高い表面エネルギーを有する、付加ポリマーと、
溶媒と、を含む、組成物を配置することと、
前記ブロックコポリマーの前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの間のドメイン分離を促進し、前記第1のポリマー及び前記第2のポリマーから形成された周期ドメインの形態を形成するために、前記組成物をアニーリングすることであって、前記周期ドメインの縦軸が前記基板に平行である、アニーリングすることと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーの少なくとも1つのドメインを除去することをさらに含む、請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
前記ボトルブラシポリマーが、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリジエン、ポリエーテル ポリエステル、ポリシロキサン、ポリオルガノゲルマン、または前述のポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含む、請求項1に記載の前記方法。
【請求項4】
前記ボトルブラシポリマーがコポリマーであり、前記コポリマーが、ポリ(スチレン−g−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピリジン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−ブタジエン)、ポリ(ブタジエン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−イソプレーン)、ポリ(イソプレーン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−t−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−g−アルケニル芳香族化合物)、ポリ(アルケニル芳香族化合物−g−スチレン)、ポリ(イソプレーン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−イソプレーン)、ポリ(スチレン−g−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレン−プロピレン)−g−スチレン)、ポリ(エチレンオキシド−g−カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−ブタジエン)、ポリ(スチレン−g−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ((t−ブチル(メタ)アクリレート)−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−g−メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−g−プロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド−g−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−g−テトラヒドロフラン)、ポリ(テトラヒドロフラン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−イソプレーン−g−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−t−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−g−トリメチルシリルメチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルシリルメチルメタクリレート−g−スチレン)、ポリ(メチルメタクリレート−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−トリメチルシリルメチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルシリルメチルメタクリレート−g−メチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリスチレン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリスチレン−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリスチレン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(4−ビニルフェノール))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(乳酸))、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の前記方法。
【請求項5】
前記付加ポリマーが、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(4−ビニルフェノール))、及びポリ(ノルボルネン−g−ポリ(乳酸))、または前述のポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項1に記載の前記方法。
【請求項6】
前記ブロックコポリマーの前記第1のポリマーまたは前記第2のポリマーが、ビニル芳香族モノマー、エチレン性不飽和モノマー、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレーン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、シロキサン、または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせのモノマーに由来するポリマーを含む、請求項1に記載の前記方法。
【請求項7】
前記ビニル芳香族モノマーが、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、または前述のビニル芳香族モノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項6に記載の前記方法。
【請求項8】
前記エチレン性不飽和モノマーが、式(2)によって表されるか
【化1】
(式中、Rが、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である)、式(3)によって表されるか
【化2】
(式中、Rが、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rが、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、またはC7−10アラルキル基である)、あるいは、式(4)によって表される
【化3】
(式中、Rが、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rが、C2−10フルオロアルキル基である)、請求項6に記載の前記方法。
【請求項9】
前記ブロックコポリマーが、ポリ(スチレン)−ブロック(b)−ポリ(アルキルシロキサン)、ポリ(アルキルスチレン)−b−ポリ(アルキルシロキサン)、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の前記方法。
【請求項10】
前記組成物が、200〜450℃の温度でアニーリングされる場合に、水平円柱を形成する、請求項1に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、誘導自己組織化のためのコポリマー配合物、その製造方法、及びそれを含む物品に関する。
【0002】
ブロックコポリマーの誘導自己組織化(DSA)は、現行の光リソグラフィの状態を延長するための候補技術として特定されている。DSAにおいて、小さいピッチサイズは、自己組織化ブロックコポリマーナノドメインをリソグラフィによりパターン化された基板に誘導することによって達成される。DSAのための主な方法のうちの1つは、ポリスチレン−ブロック−ポリ(メチルメタクリレート)またはPS−b−PMMA等のブロックコポリマーの層状形態を整列させるための化学パターンを含む。図1に示される好ましいプロセススキームは、架橋ポリスチレンマットから一般に製造されるまばらなガイドストライプ(例えば、ポリスチレン(PS)のアレイをパターン化することから始まる。ストライプを適切な寸法にエッチングした(「エッチトリミング」とも称される)後、ブラシポリマーをストライプ上にコーティングし、焼成して化学的グラフト化を誘発し、次いで、過剰なブラシポリマーをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の溶媒ですすぐことによって取り除いて、化学的コントラストを有する比較的平坦な基板を残す。次いで、基板をブロックコポリマー(例えば、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート))で処理し、このブロックコポリマーがアニーリング後に、基板に対して整列して、初期パターンの密度を増加させる。まず、ブラシを塗布し、続いて、ブロックコポリマー(BCP)を塗布することを含むこの2ステップ法において、ブラシの組成は、良好なDSA結果を達成するために、かなり狭い範囲において制御されなければならない。
【0003】
したがって、ドメイン間の整列を容易に達成することができ、ポリマーの範囲があまり狭く制御されていない組成を使用することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
パターン形成方法であって、該基板上に、第1のポリマー及び第2のポリマーを含むブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーの第1のポリマー及び第2のポリマーが互いに異なり、該ブロックコポリマーが層分離構造を形成する、ブロックコポリマーと、ボトルブラシポリマーを含む付加ポリマーであって、該ボトルブラシポリマーが、該ブロックコポリマーよりも低いまたは高い表面エネルギーを有するポリマーを含む、付加ポリマーと、溶媒と、を含む、組成物を配置することと、該ブロックコポリマーの第1のポリマーと第2のポリマーとの間のドメイン分離を促進し、第1のポリマー及び第2のポリマーから形成された周囲ドメインの形態を形成するために、該組成物をアニーリングすることであって、該周期ドメインの縦軸が該基板に平行である、アニーリングすることと、を含む、方法が、本明細書において開示される。
【0005】
パターン形成方法であって、該基板上に、第1のポリマー及び第2のポリマーを含むブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーの第1のポリマー及び第2のポリマーが互いに異なり、該ブロックコポリマーが層分離構造を形成する、ブロックコポリマーと、ボトルブラシポリマーを含む付加ポリマーであって、該ボトルブラシポリマーが、該ブロックコポリマー中のポリマーのうちの1つと化学的及び構造的に同じであるホモポリマーを含むか、または該付加ポリマーが、該ブロックコポリマーのブロックのうちの1つと優先的相互作用を有するグラフトコポリマーを含む、付加ポリマーと、溶媒と、を含む、組成物を配置することと、該ブロックコポリマーの第1のポリマーと第2のポリマーとの間のドメイン分離を促進し、第1のポリマー及び第2のポリマーから形成された周囲ドメインの形態を形成するために、該組成物をアニーリングすることであって、該周期ドメインの縦軸が該基板に平行である、アニーリングすることと、を含む、方法も、本明細書において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】まず、ブラシを塗布し、続いて、ブロックコポリマーを塗布することによる、ドメイン整列を含む先行技術の方法の概略図である。
図2(A)】直径dの穴を有するフォトレジストが基板上に配置された基板を示す。
図2(B)】ブロックコポリマーが穴の中に配置された図2(A)の基板を示す。
図2(C)】円筒状コアを取り除くためにエッチングした後の基板を示す。
図2(D)】dが、dよりも大きい、直径dの穴及び直径dの穴を有するフォトレジストが基板上に配置された基板を示す。
図2(E)】連続した円筒状コアは狭い直径の穴に形成されるが、一方、不連続な円筒(ディスク)はより幅が広い直径の穴に形成されることを示す。
図2(F)】連続した円筒状コアが狭い直径の穴からエッチングを介して取り除かれ得るが、一方、ディスクのうちの1つだけがより幅が広い直径の穴からエッチングされ得ることを示す。
図3(A)】より幅が広い直径を有する穴中に存在する不連続なディスクの拡大図である。これは、欠陥と見なされる。
図3(B)】不連続な欠陥ディスクが、ボトルブラシポリマーを含む組成物を使用することによって形成されるのをいかに防ぎ得るかを示す。
図4(A)】上下図及び断面図を含むPS−ブロック−誘引壁を有する円筒プレパターンにおける線状PS−b−PMMAブロックコポリマーの自己組織化から生じる理想的形態及び欠陥形態を示す。PMMA密度プロファイルを明色で示す。
図4(B)】上下図及び断面図を含むPS−ブロック−誘引壁を有する円筒プレパターンにおける線状PS−b−PMMAブロックコポリマーの自己組織化から生じる理想的形態及び欠陥形態を示す。PMMA密度プロファイルを明色で示す。
図5】欠陥形成エネルギー対穴限界寸法を示すグラフである。
図6】ボトルブラシ負荷の関数として、欠陥形成エネルギーを示すグラフである。
図7】ボトルブラシ負荷の関数として、欠陥形成エネルギーを示すグラフである。
図8】PMMA−BB及びPS−BBにおけるボトルブラシ負荷の関数として、欠陥形成エネルギーの比較を示すグラフである。
図9(A)】上下図及び断面図を含むA−ブロック−誘引壁を有するトレンチプレパターンにおける線状ABジブロックコポリマーの組織化から生じる理想的形態及び欠陥形態を示す概略図である。
図9(B)】上下図及び断面図を含むA−ブロック−誘引壁を有するトレンチプレパターンにおける線状ABジブロックコポリマーの組織化から生じる理想的形態及び欠陥形態を示す概略図である。
図10】線状ジブロックコポリマー及び線状ジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおけるトレンチ幅の関数として、欠陥形成エネルギーを示すグラフである。
図11】比較実施例D、E、及びFにおける形態を示す顕微鏡写真である。
図12】実施例17、18、及び19の形態を示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において使用される場合、「相分離」とは、別個のミクロ相分離したドメインを形成するためのブロックコポリマーのブロックの性質を指し、「ミクロドメイン」または「ナノドメイン」とも称され、単に「ドメイン」とも称される。同じモノマーのブロックは集合して周期ドメインを形成し、ドメインの間隔及び形態は、ブロックコポリマー中の異なるブロック間の相互作用、サイズ、及び体積分率によって異なる。ブロックコポリマーのドメインは、塗布中、例えば、スピンキャスティング工程中、加熱工程中に形成され得るか、またはアニーリング工程によって調整され得る。本明細書において「焼成」とも称される「加熱」は、基板及びその上のコーティングされた層の温度が、周囲温度よりも高く上昇させる一般的なプロセスである。「アニーリング」は、熱アニーリング、熱勾配アニーリング、溶媒蒸気アニーリング、または他のアニーリング法を含むことができる。場合により、「熱硬化」とも称される熱アニーリングは、パターンを定着させ、ブロックコポリマーの集合体の層における欠陥を取り除くための特定の焼成プロセスであり得、通常、膜形成プロセスの終わりでまたは終わり近くの長期間(例えば、数分間〜数日間)、高温(例えば、150℃〜400℃)で加熱することを伴う。実施する場合、アニーリングは、ミクロ相分離ドメインの層(以下、「膜」と称される)の欠陥を低減または取り除くために使用される。
【0008】
少なくとも、第1のモノマーの重合由来の第1のポリマーと、相分離を通してドメインを形成する第2のモノマーの重合由来の第2のポリマーと、を有するブロックコポリマーを含む自己組織化層。本明細書において使用される場合、「ドメイン」は、ブロックコポリマーの対応するブロックによって形成された小型結晶、半結晶、または非晶質の領域を意味し、これらの領域は、円筒形であり、基板の表面の平面に対して平行に形成される。一実施形態において、このドメインは、約1〜約25ナノメートル(nm)、具体的には、約5〜約22nm、及びさらになお具体的には、約7〜約20nmの平均最大寸法を有し得る。
【0009】
本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書において、及び添付される特許請求の範囲において使用される「M」という用語は、本明細書において実施例で使用される方法に従って決定される、ブロックコポリマーの数平均分子量(g/モル)である。
【0010】
本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書において、及び添付される特許請求の範囲において使用される「M」という用語は、本明細書において実施例で使用される方法に従って決定される、ブロックコポリマーの重量平均分子量(g/モル)である。
【0011】
本発明のブロックコポリマーに関して、本明細書において、及び添付される特許請求の範囲において使用される「PDI」または
という用語は、等式、
PDI=M/Mに従って決定されるブロックコポリマーの多分散度である(多分散指数または単に「分散度」とも呼ばれる)。
【0012】
「含む」という移行用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という移行用語を含む。
【0013】
「及び/または」という用語は、本明細書において、「及び」と「または」の両方を意味するために使用される。例えば、「A及び/またはB」は、A、B、またはA及びBを意味すると解釈される。
【0014】
基板に付着させるポリマー鎖の層を形成するために、基板の表面上に官能基と反応させることができる反応性官能基を含有するポリマーを説明するために本明細書において使用される、「ブラシ」または「ブラシポリマー」という用語。「マット」または「マット様膜」という用語は、基板上に配置された後に、それ自体または架橋誘発付加剤のいずれかと反応させ、ポリマーの個々の鎖間で結合または架橋を形成することができる鎖骨格に沿って反応性置換基を有するポリマーを配置することによって形成される基板上のポリマー層を説明するために使用される。ブラシポリマーは、鎖骨格が基板に対して垂直に配向されたものであり、一方、マットポリマーは、鎖骨格が基板に対して平行に配向されたものである。ブラシポリマーは、通常、基板と結合させることができる反応性官能基を有する。
【0015】
ボトルブラシポリマーは、ポリマー鎖骨格を含み、鎖骨格から放射状に延在するポリマーアームを有する。つまり、ボトルブラシポリマーは、鎖骨格と結合する(共有結合、イオン結合、または水素結合のいずれかによって)グラフトポリマー(ポリマーアーム)を有するポリマー鎖骨格を含む。グラフトポリマー(すなわち、アーム)は、極性ポリマー、非極性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、鎖骨格の一部分は、その上にグラフト化した極性ポリマーを有し得、一方、鎖骨格の別の部分は、その上にグラフト化した非極性ポリマーを有し得る。極性ポリマー及び非極性ポリマーは、鎖骨格に沿って垂直に領域内に連続して配列され得る。別の実施形態において、極性及び非極性ポリマーは、鎖骨格上で対向して配列され得、すなわち、それらは、異なる方向に放射状に広がるが、互いに散在する。つまり、極性グラフトポリマーは、第1の方向に延在し、かつ、ポリマー鎖骨格と結合するが、第2の方向に延在する2つの非極性グラフトポリマー間のポリマー鎖骨格と結合され得る。ボトルブラシポリマーは、基板と反応的に結合させることができるいかなる反応性官能基も含まない。ボトルブラシポリマーは、基板と共有結合せず、イオン結合せず、水素結合しない。ボトルブラシポリマーは、反応性末端官能基を有しないが、それらは、基板に対して垂直に配向されたそれらのポリマー鎖骨格を有し得るという点においてブラシポリマーとして機能し得ることに留意すべきである。
【0016】
ブロックコポリマー、及びポリマードメインの誘導自己組織化を促進する付加ポリマーを含む組成物(本明細書において、溶液と称される場合がある)が、本明細書において開示される。付加ポリマーは、ボトルブラシポリマーである。一実施形態において、本組成物は、ブロックコポリマー及び付加ポリマーの完全体積の均質混合物を含み、ブロックコポリマー及び付加ポリマーのいずれも相分離を受けない。つまり、ブロックコポリマー及び付加ポリマーを含む組成物は、単一相の形態であり、その全体積を通して均質である。別の実施形態において、本組成物は、ブロックコポリマー及び付加ポリマーに加えて溶媒を含む。溶媒は、ブロックコポリマー及び付加ポリマーのうちの一方またはその両方と混合可能である。
【0017】
誘導自己組織化(DSA)において、欠陥のない、かつ、有用な短時間内で熱力学的に最低限の欠陥状態または欠陥のない状態にアニーリングすることができる、所望の形態を達成することが望ましい。これを達成する1つの様式が、「ボトルブラシ」ポリマーをブロックコポリマーと混ぜ合わせることによるものである。この組み合わせにより、ボトルブラシポリマー(BB)が自己組織化を促進する際に「足場」として作用するため、ブロックコポリマー(BCP)の改善された自己組織化を提供する。ボトルブラシポリマー位相の形状及び鎖骨格の一般的な硬化は、膜またはトレンチ等の閉じ込め体積または接触穴中へのその設置上における好ましい拘束をもたらす。したがって、ボトルブラシポリマーのグラフト(ポリマー)アームは、会合するためにブロックコポリマーの組成的に類似したブロックに対してエネルギー的に好ましい膜内に領域を形成する。結果として、ブロックコポリマーは、ボトルブラシポリマーのグラフトアームで配列する。ボトルブラシポリマーが十分に長い(例えば、十分な高分子量の鎖骨格を有する)場合、鎖骨格に沿ったグラフトは、構造的に類似したポリマー単位の拡張ドメインを形成し、ブロックコポリマーの類似したブロックの拡張会合の足場を組む。
【0018】
足場は、大部分のブロックコポリマーの適切な位置に誘導するまたは鋳型となる役割を果たす配向フレームワークである。さらなる結果として、ブロックコポリマーは、完全に整列した自己組織化の拡張領域を形成する際に足場を組む。円筒状形態を形成するブロックコポリマーとボトルブラシポリマーとの組成物が、基板上で接触穴(またはトレンチ)中に配置され、水平に置くのに十分な長さである(すなわち、その鎖骨格の長さがブロックコポリマーの自己組織化によって形成された円筒相の大きさよりも大きく、そのため、自己組織化ブロックコポリマーのドメインの間隔またはピッチに広がり得る)場合、不断の自己組織化ブロックコポリマーの拡張ドメインを作成するために、接触穴内にもブロックコポリマーの足場を組み、接触穴内に円筒状コア領域を形成する。円筒状コア領域は、後に離してエッチングされ、非常に対称的かつ元の接触穴またはトレンチよりもより小さい寸法の丸い穴を形成することができる。本発明の利点は、はるかに広範なプロセスウィンドウ(組成及び処理パラメータの観点において)であり、接触穴またはトレンチ内に中断された自己組織化ドメインによって生じた欠陥がないことである。
【0019】
図2(A)〜2(F)は、基板上にブロックコポリマーを配置する場合に生じる問題のうちの1つを示す。図2(A)〜2(F)は、穴中に配置される水平円筒に伴う問題を示すが、同じ問題は、水平円筒がトレンチ中に配置される場合にも生じる。基板100は、図2(A)に見られるように、基板中に配置される、直径dの穴104を有するフォトレジスト102がその上に配置されている。穴は、図2(B)に見られるように、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)(「b」は、ブロックを表す)等のブロックコポリマー106で充填されている。ポリメチルメタクリレートは、穴の中央に円筒108(コア108とも呼ばれる)を形成するが、一方、ポリスチレン107は、それを取り囲んでいる。次いで、コア108は、図2(C)に見られるように、基板100中の穴112の進行を促進するために使用される穴110を残すように離してエッチングされる。しかしながら、図2(B)に見られるように、基板中に穴112を形成するために、ブロックコポリマーの上部表面から下部に延在する連続したポリメチルメタクリレートコアを有することが望ましい。これは、フォトレジストにおける穴の直径によっては、常に当てはまるとは限らない。
【0020】
図2(D)に見られるように、穴の直径が、dからdに増加する場合、ポリメチルメタクリレートコア108は、必ずしも、連続した円筒108を形成するとは限らない。図2(E)では、連続した円筒を形成する代わりに、ポリメチルメタクリレートが一連の円筒ディスク114を形成することが見られ得る。図2(F)に見られるように、これらのディスクの形成は、ほぼ基板にまで延在する連続した穴の形成を妨げるという点において、欠陥と見なされる。要約すると、フォトレジストにおける穴が適切な直径からならない場合、穴を欠いた形態で欠陥が観察されている。
【0021】
ブロックコポリマーと組み合わせて、少量のボトルブラシポリマーまたはコポリマーを含有する組成物を使用することによって、連続した円筒状ドメインが基板上に配置された穴またはトレンチにおいて生成され得ることが、思いがけずに発見されている。ボトルブラシは、ナノスケール円筒のように機能する延在した骨格(通常のコイルポリマーのように挙動することを避けるグラフトポリマーアームの存在のため)を有する。理論に制限されることなく、円筒108に偏析し、自己組織化ブロックコポリマーのドメインの間隔またはピッチを横断して延在するのに十分な長さを可能にするようなブラシポリマーを設計することによって(図2(A)〜2(F)を参照のこと)、破壊されたドメインとともに縫合することができると考えられている。これは、図3(A)及び3(B)において、ボトルブラシが存在しない(図3(A)を参照)場合に、円筒ディスク114が形成され、その配向が基板に対して垂直である(図3(B)を参照)様式で円筒相のコア内にボトルブラシ116が埋め込まれる場合に、連続した円筒状コア108が形成されることが示されている。
【0022】
ブロックコポリマーは、第1のポリマー及び第2のポリマーを含み、一方、付加ポリマーは、ボトルブラシコポリマーを含む。一実施形態において、付加ポリマーは、ブロックコポリマーよりも低いまたは高い表面エネルギーを有するように選択され得る。別の実施形態において、第1のポリマー及び第2のポリマーは、0.5ミリニュートン/メートル(mN/m)超、好ましくは、1mN/m超、より好ましくは、2mN/m超の表面エネルギーの差を有する。別の実施形態において、第1のポリマー及び第2のポリマーは、0.05ミリニュートン/メートル(mN/m)超、好ましくは、0.1mN/m超、より好ましくは、0.2mN/m超の表面エネルギーの差を有する。付加ポリマー及びブロックコポリマーの特定の組み合わせを選択することによって、エッチング耐性のある水平円筒間のドメイン間の間隔を制御することができる。さらに、トレンチ内に配置される場合、トレンチ壁とエッチング耐性のある円筒の表面との間の間隔を制御することができる。トレンチ壁と円筒表面との間の距離及び円筒間の距離の制御を使用して、電子デバイスで用いる高品質半導体を製造することができる。別の実施形態において、付加ポリマーは、トレンチ壁内に画定されるブロックコポリマーの水平円筒相内に優先的に配置される。付加ポリマーが水平円筒相内に配置される場合に、それは円筒の直径をいくつかのさらなる制御を提供し得る。さらに、付加ポリマーが水平円筒相内に配置される場合に、それは欠陥のないエネルギーを増加させることによって熱力学的に配向された形態の欠陥の形成を軽減し得る。ある特定の実施形態において、付加ポリマーが水平円筒相内に配置される場合に、水平円筒の線形性が改善される。水平円筒の直径の制御、欠陥の減少、及び水平円筒の改善された線形性は、電子デバイスにおける使用のための高品質半導体の製造に非常に重要である。
【0023】
上述のように、付加ポリマーは、ブロックコポリマーのブロックのうちの1つとの優先的相互作用を有するポリマーを含む。これは、ブロックコポリマー中のポリマーのうちの1つと化学的及び構造的に同じであるホモポリマーを含む付加ポリマーを用いることによって、またはブロックコポリマーのブロックのうちの1つとの優先的相互作用を有するホモポリマーもしくはコポリマーを含む付加ポリマーを用いることによって達成され得る。この実施形態において、付加ポリマーは、ブロックコポリマーの第1のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している、あるいはブロックコポリマーの第2のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している単一ポリマー(鎖骨格及びグラフトポリマーの両方が、同一である)のみを含むポリマーであり得る。ボトルブラシポリマーが単一ポリマーを含む場合、鎖骨格及びグラフトポリマー(アーム)の両方が、同じポリマーを含有する。
【0024】
別の実施形態において、付加ポリマーは、第3のポリマーを含み、第3のポリマーは、ブロックコポリマーの第1のポリマーもしくは第2のポリマーのいずれかと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している。別の実施形態において、付加ポリマーは、第3のポリマー及び第4のポリマーを含むコポリマーであり、付加ポリマーの第3のポリマー及び第4のポリマーは、互いに異なり、ブロックコポリマーの第1のポリマーは、付加ポリマーの第3のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似しているか、あるいはブロックコポリマーの第2のポリマーは、付加ポリマーの第4のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している。この実施形態において、付加ポリマーは、ブロックコポリマーの第1のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している第3のポリマーと、ブロックコポリマーの第2のポリマーと化学的に同一であるか、または実質的には化学的に類似している第4のポリマーと、を含む、ポリマーであり得る。第3のポリマーは、鎖骨格であり得るが、一方、第4のポリマーは、グラフトポリマーであり得るか、あるいは、第3のポリマーは、グラフトポリマーであり得るが、一方、第4のポリマーは、鎖骨格であり得る。
【0025】
基板上に配置される前に、付加ポリマーの全体積及びブロックコポリマーの全体積を、容器内の溶媒と共に、かつ、ブロックコポリマーのドメインが互いからまたは付加ポリマーから偏析されない(すなわち、それらは分離された相ではなく、単一の均質相の形態で存在する)混合状態で念入りに混合する。基板上に配置された後、ブロックコポリマー相のドメインは、互いに水平に分離され、付加ポリマーは、ブロックコポリマーによって形成されたドメインに偏析する。別の実施形態において、基板上に配置された後、付加ポリマーは、ブロックコポリマーの相分離及び水平整列を促進するために、膜の自由表面(すなわち、空気−ポリマーの接合部分)に偏析する。
【0026】
ブロックコポリマー相のドメインが分離して円筒を形成する場合、円筒の縦軸が、基板の表面に平行である。いくつかの実施形態において、図1の基板改質層としての機能を果たし、組成物が基板上に配置された後、水平円筒状ドメインへのブロックコポリマーの分離を可能にする、基板改質ポリマーも、使用される。基板改質ポリマーは、基板と結合することができる反応性基を有する。エッチングされる基板上に堆積させる前に、基板改質ポリマーをブロックポリマー及びボトルブラシポリマーと混合することによって、基板改質ポリマーは、埋め込まれた基板改質層としての機能を果たす、すなわち、基板上に堆積した後に組成物から分離し、反応性基が基板と反応する。基板改質ポリマーに、ブロックコポリマーの第1のポリマーと第2のポリマーとの間にある表面張力を有するポリマーを含ませることによって、または基板改質ポリマーに、ブロックコポリマーを形成するために使用される第1のモノマー及び第2のモノマーと同じまたは類似したポリマーを含むコポリマーを含ませることによって、組成物は、基板上に鋳造する場合にポリマードメインの誘導自己組織化を促進することができる。基板上に堆積させる前に、基板改質ポリマーをブロックコポリマーと混合することにより、基板上にパターンを製造するためのワンステッププロセスの使用を可能にする。
【0027】
組成物のポリマードメインの誘導自己組織化を促進するために、前述の組成物を使用する方法も、本明細書において開示される。本方法は、付加ポリマー及びブロックコポリマーを一緒に混ぜ合わせることと、単一のコーティング及びアニーリング工程、あるいは、一連のコーティング及びアニーリング工程に、それらを適用することと、を含む。本方法は、様々な範囲の組成物(例えば、様々な範囲のポリマー分子量及び様々な範囲の重量パーセント)がブロック及び付加ポリマーのために使用されることを可能にしつつ、図1に示されるプロセスによって達成され得るものよりも良好なドメイン整列を提供するという点において、多用途であり、ロバストである。驚くべきことには、このプロセスは、コーティング及び焼成工程の数を軽減することによってプロセスを簡素化するだけでなく、良好な誘導自己組織化を達成するためのプロセスウィンドウが、図1に詳述され、現在、産業分野において使用されているツーステッププロセスを上回って著しく改善される。
【0028】
上記において詳述されるように、本組成物は、ブロックコポリマーを形成するポリマーが、付加ポリマーにおいて使用されるポリマーに対する化学的特徴と類似しているか、または実質的に類似しているブロックコポリマー及び付加ポリマーを含む。
【0029】
例示的な実施形態において、本組成物が基板上に配置される場合に、それはマトリックス中にエッチング耐性のある円筒状形態(すなわち、エッチング耐性円筒)を生成する。別の実施形態において、本組成物は、マトリックス中の円筒相のエッチング耐性を増加させるために(すなわち、エッチング耐性円筒を形成するために)、その後のプロセス(例えば、金属染色または金属酸化物の溶浸)により処理されるマトリックス中に円筒状形態を生成する。円筒は、水平に配向される、すなわち、それらは、組成物が配置される基板の表面に平行である。付加ポリマーは、付加ポリマー中に含有される少なくとも1つのポリマーが組成(化学組成及び構造)においてブロックコポリマー中に含有されるポリマーとは異なる少なくとも1つのボトルブラシポリマーを含む。付加ポリマーは、基板と共有結合させる、または錯体化させる、または配位することができるいかなる反応性部分も含まない。つまり、ボトルブラシポリマーは、それを基板に反応的に結合させることができる反応種を含まない。
【0030】
一実施形態において、ブロックコポリマーは、共に共有結合する第1のポリマー及び第2のポリマーを含み、これらのブロックのうちの少なくとも1つが、エッチング耐性である。コポリマーの第1のポリマーは、概して、10原子パーセント未満、具体的には、5原子パーセント未満、より具体的には、2原子パーセント未満のシリコンを含有し、一方、第2のポリマーは、少なくとも10原子パーセント、具体的には、少なくとも20原子パーセントのシリコン、より具体的には、少なくとも30原子パーセントのシリコンを含有する。一実施形態において、ブロックコポリマーは、ポリシロキサンを含む。
【0031】
コポリマーの第1のポリマー及びコポリマーの第2のポリマーは両方とも、狭い多分散性指数を有し、結果として、高度な周期性を示すブロックコポリマーを形成する。コポリマーは、円筒状形態を有し、円筒が配置される基板の表面に平行に整列することができ、したがって、それらを高度な半導体パターニングに有用なものとすることができる。これらのブロックコポリマーは、基板(その上にそれらが配置される)上に、約50ナノメートル以下、具体的には約40ナノメートル以下の特徴を作成するために使用することができる。ブロックコポリマーは、自己組織化するためのアニーリングを介して、改善された長距離秩序を示す形態にさらに処理され得る。この特徴は、有利には、異なるリソグラフィの用途についての可変ドメイン間隔を有するフォトレジストとして、ブロックコポリマーが使用されることを可能にする。
【0032】
ブロックコポリマーは、マルチブロックコポリマーであり得る。1つの実施形態において、マルチブロックは、ジブロック、トリブロック、テトラブロック等を含むことができる。ブロックは、線形コポリマー、分岐が骨格上にグラフト化されている分岐コポリマー(これらのコポリマーはまた、「櫛形コポリマー」と呼ばれる場合がある)、星型コポリマー等の一部であり得る。例示的な実施形態において、ブロックコポリマーは、線形ジブロックコポリマーである。
【0033】
ブロックコポリマーの第1のポリマーまたは第2のポリマーは、例えば、ビニル芳香族モノマー、エチレン性不飽和モノマー、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレーン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、アルキレンオキシド、ラクトン、ラクタム、エポキシド、シロキサン等のモノマー、または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせに由来するポリマーを含み得る。第1のポリマーがシリコン含有部分を含有する場合、その含有部分は10原子パーセント未満、具体的には5原子パーセント未満、より具体的には、2原子パーセント未満の量で存在する。
【0034】
本組成物での使用が企図される例示的なブロックコポリマーには、ジブロックまたはトリブロックコポリマー、例えば、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプルーン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族化合物)、ポリ(イソプルーン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプルーン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−トリメチルシリルメチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−トリメチルシリルメチルメタクリレート)等、または前述のブロックコポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0035】
一実施形態において、ブロックコポリマーの第1のポリマー、及び付加ポリマーの第1のポリマー(それがランダムコポリマーである場合)は、ビニル芳香族ポリマー(例えば、ポリスチレンまたはその誘導体)であり、一方、第2のポリマーは、エチレン化不飽和ポリマー(例えば、アクリレートポリマーまたはその誘導体)である。第1のポリマーは、式(1)の構造を有するビニル芳香族モノマーに由来し、
【0036】
【化1】
【0037】
式中、Rは、水素、アルキル、またはハロゲンであり、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、またはアルキルであり、pは、1〜約5である。
【0038】
ブロックコポリマー及び/または付加ポリマーのコポリマーの第1のポリマーを生成するために重合され得るビニル芳香族モノマーは、スチレン、アルキルスチレン、ヒドロキシスチレン、またはクロロスチレンである。好適なアルキルスチレンの例は、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン等、または前述のアルキルスチレンモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである。(ブロックコポリマー及び付加ポリマーの両方のための)例示的な第1のポリマーは、ポリスチレンまたはポリ(4−tert−ブチルスチレン)である。
【0039】
エチレン性不飽和モノマーは、アクリレートまたはメタクリレートであり得る。1つの実施形態において、第1のポリマーは、式(2)により表されるアクリレートモノマー由来の構造を有し、
【0040】
【化2】
式中、Rは、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である。第1の繰り返しモノマーの例は、アクリレート及びアルキルアクリレート、例えば、α−アルキルアクリレート、メタクリレート、エタクリレート、プロピルアクリレート等、または前述のアクリレートのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0041】
1つの実施形態において、第1のポリマーは、式(3)により表される構造を有するモノマー由来の構造を有し、
【0042】
【化3】
【0043】
式中、Rは、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、またはC7−10アラルキル基である。アルキル(α−アルキル)アクリレートの例は、メタクリレート、エタクリレート、プロピルアクリレート、(メタ)アクリレートモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等、または前述のアクリレートのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである。「(α−アルキル)アクリレート」という用語は、他に特定されない限り、アクリレートまたは(α−アルキル)アクリレートのいずれかが企図されることを意味する。
【0044】
1つの実施形態において、第1のポリマーは、少なくとも1つのフッ素原子置換基を有し、かつ、式(4)により表される構造を有し、
【0045】
【化4】
【0046】
式中、Rは、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、C2−10フルオロアルキル基である。式(4)の構造を有する化合物の例は、トリフルオロエチルメタクリレート及びドデカフルオロヘプチルメタクリレートである。コポリマーの第1のポリマーのための例示的なエチレン性不飽和モノマーは、メチルメタクリレートである。ブロックコポリマーの例示的な第1のポリマーは、ポリメチルメタクリレートである。
【0047】
コポリマーの第2のポリマーは、例えば、ビニル芳香族モノマー、エチレン性不飽和モノマー、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレーン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、シロキサン等のモノマー由来のポリマー、または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる。第2のポリマーは、少なくとも10原子パーセントのシリコン、具体的には少なくとも20原子パーセントのシリコン、より具体的には、少なくとも30原子パーセントのシリコンの量で存在するシリコン含有部分を含有する。
【0048】
第2のポリマーのビニル芳香族モノマーは、シリコン部分を持つ、スチレン、アルキルスチレン、またはそれらの組み合わせであり得る。ビニル芳香族モノマーは、ブロックコポリマーの第1のポリマーを生成するために重合される。好適なシリコン含有アルキルスチレンの例は、4−トリメチルシリルスチレン、4−(トリメチルシリルメチル)スチレン、トリメチル(4−ビニルフェノキシ)シラン、p−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン、スチリル系の多面体オリゴシルセスキオキサン、例えば、メタクリロキシプロピルヘプタイソブチル−T8−シルセスキオキサン等である。
【0049】
1つの実施形態において、第2のポリマーは、式(5)により表される構造を有するモノマー由来の構造を有し、
【0050】
【化5】
【0051】
式中、Rは、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、またはC7−10アラルキル基であり、Rは、シリコン含有基である。これらのモノマーの例には、メタクリロキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、メタクリロキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メチルメタクリレート、(トリメチルシリル)メチルメタクリレート、メタクリロキシペンタメチルジシロキサン、メタクリロキシメチルフェネチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルヘプタイソブチル−T8−シルセキオキサン、(メタクリロキシメチル)フェニルジメチルシラン、が含まれる。
【0052】
1つの実施形態において、第2のポリマーは、式(6)により表される構造を有するモノマー由来の構造を有し、
【0053】
【化6】
【0054】
式中、Rは、水素であるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、またはC7−10アラルキル基であり、Rは、シリコン含有基である。これらのモノマーの例には、メタクリルアミドプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランが含まれる。
【0055】
1つの実施形態において、第2のポリマーは、式(7)の構造を有するシロキサンモノマー由来であり、
【0056】
【化7】
【0057】
式中、各Rは、独立して、C−C10アルキル、C−C10シクロアルキル、C−C14アリール、C−C13アルキルアリール、またはC−C13アリールアルキルである。前述のR基の組み合わせは、同じモノマー中に存在し得る。式(4)中の重合度nは、25〜5,000、具体的には、30〜3,000、より具体的には、50〜1,000であり得る。ポリシロキサンは、第2のポリマーは、概して、第2のポリマーの総原子重量に基づいて、15原子パーセント超、具体的には、35原子パーセント超、具体的には、50原子パーセント超、及びより具体的には、80原子パーセント超の量で存在する。別の実施形態において、第2のポリマーは、ビニルトリメチルシランまたはジメチルシラブタン由来である。
【0058】
例示的な実施形態において、第2のポリマーは、10,000〜80,000グラム/モル、具体的には、15,000〜40,000グラム/モルの数平均分子量を有するポリジメチルシロキサンを含む。
【0059】
別の実施形態において、ブロックコポリマーは、マトリックス中の円筒相のエッチング耐性を増加させるために(すなわち、エッチング耐性円筒を形成するために)、その後の「硬化」プロセスにより処理され得る10重量%未満のシリコンを有するポリマーを含む。そのような硬化技術には、金属染色、及び逐次的溶浸合成を介した金属酸化物の溶浸が含まれる。硬化可能なブロックコポリマーは、概して、硬化を行わない第1のポリマー及び処理によって硬化される第2のポリマーを含む。概して、極性基を含有するポリマーは、硬化をもたらすが、非極性ポリマーは、硬化をもたらさない。硬化を行うポリマーの例示的な例は、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(ビニルピリジン)等である。硬化され得るブロックコポリマーの例示的な例には、ポリスチレン−ブロック−ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(t−ブチルスチレン−ブロック−ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(t−ブチルスチレン)−ブロック−ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルスチレン)−ブロック−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(乳酸)、及びポリスチレン−ブロック−ポリ(エチレンオキシド)が含まれる。
【0060】
第1のポリマー及び第2のポリマーは、ブラシ上に配置される場合に、ブロックコポリマー中の第2のポリマーが、水平円筒(すなわち、円筒状形態)が形成される量で存在する。第2のポリマーは、コポリマーの総体積の約5〜約40重量パーセントを構成する。円筒状組成物が所望される場合、第2のポリマーは、コポリマーの総体積の約15〜約35重量パーセント、より具体的には、約20〜約30重量パーセントを構成する。例示的な実施形態において、第2のポリマーは、コポリマーの総体積の約25重量パーセントを構成する。
【0061】
ブロックコポリマーの多分散性指数は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相として用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により(35℃及び1mL/分の流量で)決定される場合には、約1.20以下、具体的には、約1.15以下、具体的には、約1.10以下である。
【0062】
ブロックコポリマーの重量平均分子量は、多角度レーザー光散乱ゲル透過クロマトグラフィー及び多分散性指数を用いて決定されるように、約3〜約150、具体的には、約7.5〜約120、具体的には、約10〜約100、より具体的には、約15〜約80キログラム/モルである。例示的な実施形態において、ブロックコポリマーが、約3〜約120キログラム/モルの重量平均分子量を有することが望ましい。
【0063】
ブロックコポリマーは、約60ナノメートル以下、具体的には、約50ナノメートル以下、より具体的には、約40ナノメートル以下、より具体的には、約36ナノメートル以下の小角X線散乱により測定されたドメイン間の間隔を有する。
【0064】
1つの実施形態において、ブロックコポリマーのブロックは、モノマーとしてC2−30オレフィン系モノマー、C1−30アルコール由来の(メタ)アクリレートモノマー、無機物(鉄、シリコン、ゲルマニウム、スズ、アルミニウム、チタニウムを含む)含有モノマー、または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含む。特定の実施形態において、ブロックに使用する例示的なモノマーとしては、C2−30オレフィン系モノマーとして、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレーン、酢酸ビニル、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、またはa−メチルスチレンが挙げられ得、(メタ)アクリレートモノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ得る。これらのモノマーのうちの任意の1つに由来するポリマー(複数可)が、付加ポリマー上に配置されるブロックコポリマーに含まれない限り、これらのモノマーのうちの2つ以上の組み合わせを、付加ポリマー中に用いることができる。
【0065】
付加ポリマーで使用される例示的なブロックとしては、スチレン(すなわち、ポリスチレンブロック)、またはポリ(メチルメタクリレート)等の(メタ)アクリレートホモポリマーブロックが挙げられ、例示的なランダムブロックとしては、例えば、ランダム共重合されたスチレン及びメチルメタクリレート(例えば、ポリ(スチレン−コ−メチルメタクリレート))のブロックが挙げられ、例示的な代替コポリマーブロックとしては、スチレン及び無水マレイン酸のブロックが挙げられ、無水マレイン酸はほとんどの条件下においてホモ重合することができないため、スチレン−無水マレイン酸二分子繰り返し構造を形成することが既知である(例えば、ポリ(スチレン−alt−無水マレイン酸))。このようなブロックは例示を目的とし、限定すると見なされるべきではないことが理解されるであろう。
【0066】
別の例示的な実施形態において、ブロックコポリマーは、ポリ(スチレン)−ブロック(b)−ポリ(アルキルシロキサン)、ポリ(アルキルスチレン)−b−ポリ(アルキルシロキサン)、またはそれらの組み合わせである。例示的な実施形態において、ポリ(スチレン)−ブロック(b)−ポリ(アルキルシロキサン)はポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)であるが、ポリ(アルキルスチレン)−b−ポリ(アルキルシロキサン)はポリ(t−ブチルスチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0067】
本明細書において開示されるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーまたはポリ(t−ブチルスチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーは、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分(以下、PS−b−PDMS)を含むか、またはポリ(t−ブチルスチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)(以下、PtBS−b−PDMS)を含み、このブロックコポリマー成分は、単一のPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー、あるいは少なくとも2つの異なるPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーの混合から選択され、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー成分の平均分子量は、2〜1,000kg/モル、具体的には、5〜100、より具体的には、6〜60kg/モルである。
【0068】
1つの実施形態において、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー成分は、単一のPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー(2つのブロックコポリマーの混合ではない)であり、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSコポリマーの平均分子量(本明細書において上で定義される)は、2〜1,000kg/モル(具体的には、5〜100kg/モル、より具体的には、6〜60)である。
【0069】
別の実施形態において、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMS成分は、少なくとも2つの異なるPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーの混合であり、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーの混合の平均分子量(本明細書において上で定義される)は、25〜1,000kg/モル、具体的には、30〜1,000kg/モル、より具体的には、30〜100、最も具体的には、30〜60kg/モルである。例示的な実施形態において、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー成分は、少なくとも2つの異なるPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーの混合であり、少なくとも2つの異なるPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーは、数平均分子量Mが1〜1,000kg/モルであり、多分散性PDが1〜3、具体的には、1〜2、最も具体的には、1〜1.2であり、ポリスチレンマトリックス中において、所望の形態がポリジメチルシロキサン円筒を含む場合、ポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMSが0.18〜0.8、具体的には、0.18〜0.35、を有する、PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーから選択される。ブロックコポリマー混合が、PS−b−PDMSブロックコポリマー及びPtBS−b−PDMSブロックコポリマーを含み得ることに留意すべきである。
【0070】
PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーは、望ましくは、さらなる処理の影響を受けやすい全分子量及び多分散性を有する。一実施形態において、ブロックコポリマーは、10,000〜200,000g/モルの重量平均分子量(M)を有する。同様に、ブロックコポリマーは、5,000〜200,000の数平均分子量(M)を有する。ブロックコポリマーはまた、1.01〜6の多分散性(M/M)を有する。一実施形態において、ブロックコポリマーの多分散性は、1.01〜1.5、具体的には、1.01〜1.2、さらにより具体的には、1.01〜1.1である。分子量M及びMはいずれも、例えば、ユニバーサルキャリブレーション法を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって測定し、ポリスチレン標準品を基準としてキャリブレーションすることができる。
【0071】
PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーは、溶媒をさらに含む。PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーでの使用に好適な溶媒としては、動的光散乱によって測定する場合に、50ナノメートル(nm)未満の平均流体力学直径を有する粒子または凝集体中にPS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマー成分を分散させることができる液体が挙げられる。具体的には、使用される溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート、アニソール、エチルラクテート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アミルアセテート、γ−ブチロラクトン(GBL)、n−メチルピロリドン(NMP)、及びトルエンから選択される。より具体的には、使用される溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びトルエンから選択される。最も具体的には、使用される溶媒は、トルエンまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0072】
ブロックコポリマーを含む組成物は、任意に、付加剤をさらに含み得る。さらなるポリマー(ホモポリマー及びランダムコポリマーを含む)、界面活性剤、酸化防止剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、失活剤、硬化剤、接着促進剤、溶出速度調節剤、光硬化剤、光増感剤、酸増幅剤、可塑剤、及び架橋剤も、組成物に添加され得る。PS−b−PDMSまたはPtBS−b−PDMSブロックコポリマーを含有する組成物での使用に好ましい付加剤としては、界面活性剤及び酸化防止剤が挙げられる。
【0073】
ブロックコポリマーは、組成物中のブロックコポリマー及び付加ポリマーの総重量に基づいて、80〜99重量%、好ましくは、85〜98重量%の量で、組成物中に存在する。例示的な実施形態において、ブロックコポリマーは、組成物中のブロックコポリマー及び付加ポリマーの総重量に基づいて、90〜97重量%の量で存在する。
【0074】
一実施形態において、付加ポリマーは、ブロックコポリマーよりも低いまたは高い表面エネルギーを有するボトルブラシポリマーまたはコポリマーである。上述のように、ボトルブラシポリマーは、ポリマー鎖骨格及びグラフトポリマー(鎖骨格上にグラフト化されている)を含み得、これらの両方が単一ポリマー(例えば、第3のポリマー)を含む。つまり、ポリマー鎖骨格及びグラフトポリマーの両方が、第3のポリマーを含む。第3のポリマーは、ポリマー、例えば、ポリ(芳香族化合物)及びポリ(アルケニル芳香族化合物)(ポリスチレン、ポリ(t−ブチルスチレン)ポリ(2−ビニルピリジン)等)、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)(ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルシリルメチルメタクリレート)等)、ポリブタジエン、ポリイソプレーン、ポリシロキサン(ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)等、またはそれらの組み合わせを含む。組み合わせは、それらを一緒に結び付ける結合を有しない2つのボトルブラシポリマーの使用を含む。1つの例示的な実施形態において、ポリマー鎖骨格及びグラフトポリマーは両方とも、ポリスチレンまたはポリアルキル(メタ)アクリレートのいずれかを含む。
【0075】
別の実施形態において、ボトルブラシポリマーは、ポリマー鎖骨格がグラフトポリマーとは異なるグラフトポリマーを含むことができる。ポリマー鎖骨格は、第3のポリマーと称されるが、一方、グラフトポリマーは、第4のポリマーと称される。1つの実施形態において、あるボトルブラシポリマーにおいてポリマー鎖骨格として使用されるポリマーは、別のボトルブラシポリマーにおいてグラフトポリマーとして使用され得るが、一方、あるボトルブラシポリマーにおいてグラフトポリマーは、別のボトルブラシポリマーにおいてポリマー鎖骨格として使用され得る。
【0076】
1つの実施形態において、骨格ポリマーが歪んだ環をこの鎖骨格に沿って含むものであり得る。別の実施形態において、骨格ポリマーは、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジンフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキノキサリン、ポリピロメリットイミド、ポリキノキサリン、ポリベンゾイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソイソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリジン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリピロリジン、ポリカルボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリ無水物、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリノルボルネン、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホンアミド、ポリ尿素、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリウレタン等、または前述のポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせであり得る。例示的な実施形態において、骨格ポリマーは、ポリノルボルネンである。ポリノルボルネン繰り返し単位の環は、必要に応じて、アルキル基、アラアルキル基、またはアリール基と置換され得る。別の例示的な実施形態において、骨格ポリマーは、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)である。
【0077】
グラフトコポリマーの例は、ポリ(スチレン−g−ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピリジン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−ブタジエン)、ポリ(ブタジエン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−イソプレーン)、ポリ(イソプレーン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−t−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−g−アルケニル芳香族化合物)、ポリ(アルケニル芳香族化合物−g−スチレン)、ポリ(イソプレーン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−イソプレーン)、ポリ(スチレン−g−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレン−プロピレン)−g−スチレン)、ポリ(エチレンオキシド−g−カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−g−エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−g−ブタジエン)、ポリ(スチレン−g−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ((t−ブチル(メタ)アクリレート)−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−g−メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−g−プロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド−g−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−g−テトラヒドロフラン)、ポリ(テトラヒドロフラン−g−スチレン)、ポリ(スチレン−g−イソプレーン−g−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−スチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−t−ブチルスチレン)、ポリ(スチレン−g−トリメチルシリルメチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルシリルメチルメタクリレート−g−スチレン)、ポリ(メチルメタクリレート−g−ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン−g−メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−g−トリメチルシリルメチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルシリルメチルメタクリレート−g−メチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリスチレン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリスチレン−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリメチルメタクリレート)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリスチレン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(4−ビニルフェノール))、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(乳酸))等、またはそれらの組み合わせである。「組み合わせ」という用語は、それらを一緒に結び付ける結合を有しない2つのボトルブラシコポリマーの使用を含む。
【0078】
例示的な付加ポリマーは、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)、ポリ(ノルボルネン−g−ポリ(4−ビニルフェノール))、及びポリ(ノルボルネン−g−ポリ(乳酸))である。
【0079】
1つの実施形態において、付加ポリマー及びブロックコポリマーを含む組成物を使用する際、該組成物は、まず、基板上に配置される。基板は、付加ポリマーを基板上に配置する前に、溶媒で洗浄してもよい。付加ポリマー及びブロックコポリマーはいずれも、溶媒中で一緒に混合し、基板に配置させる前に精製工程を経てもよい。精製には、遠心分離、濾過、蒸留、デカンテーション、蒸発、イオン交換ビーズによる処理等が挙げられ得る。
【0080】
基板改質ポリマーは、組成物が配置される基板を用いた結合形成または錯体形成または配位を促進するために反応性基で官能化される。反応性基は、以下に詳述される。
【0081】
上述のように、1つの実施形態において、基板改質ポリマーは、ブロックコポリマーのうちの2つのポリマーと化学的に同一であるが、ボトルブラシポリマーの形態で配列されている少なくとも2つのポリマー(一方はポリマー鎖骨格であり、他方は鎖骨格上にグラフト化されているポリマーグラフトである)を含む。別の実施形態において、基板改質ポリマーのうちの1つまたは両方のポリマーは、ブロックコポリマーを作製するために使用された1つまたは両方のモノマーとは化学的に異なり得るが、それらのそれぞれのポリマーは、ブロックコポリマーのうちの1つまたは両方のポリマーに対して化学的親和性を有する(すなわち、それらはすべての割合において互いに混和性である)。基板改質ポリマーは、概して、基板との反応(すなわち、付加ポリマーと基板との間の)を促進することができるが、それ自体または付加ポリマーの他の成分との反応を受けない1つ以上の反応性基を有する(つまり、それは、基板上で処理した後に架橋結合しない)。この様式において、基板改質ポリマーは、自ら制限する厚さを有するブラシ層を形成する。基板改質ポリマーはまた、ブロックコポリマーとのいかなる反応も受けない。例示的な実施形態において、反応性末端基は、ヒドロキシル部分、エステル部分、カルボン酸部分、アミン部分、チオール部分等であり得る。
【0082】
付加ポリマーがボトルブラシポリマーである場合に、ポリマー鎖骨格は、1000〜100000グラム/モル、好ましくは、5000〜50000グラム/モルの重量平均分子量を有する。グラフトポリマーは、500〜100000グラム/モル、好ましくは、1000〜20000グラム/モルの重量平均分子量を有する。グラフトポリマーは、ポリマー鎖骨格の全長に沿って、またはポリマー鎖骨格の一部のみに沿って配置され得る。ポリマー鎖骨格上に配置される逐次グラフト間の平均分子量は、100〜500グラム/モルである。例示的な実施形態において、グラフトポリマーは、ポリマー鎖骨格の全長に沿って配置され得る。
【0083】
付加ポリマーがボトルブラシコポリマーである場合に、ポリマー鎖骨格は、骨格及びグラフトポリマーの総モルに基づいて、90〜50モル%、具体的には、75〜50モル%の量で存在する。したがって、グラフトポリマーは、骨格及びグラフトポリマーの総モルに基づいて、10〜50モル%、具体的には、25〜50モル%の量で、コポリマー中に存在する。例示的な実施形態において、ボトルブラシがマクロモノマーのホモポリマーである場合、骨格対グラフトのモル比は、1:1である。
【0084】
ポリマー鎖骨格の多分散性指数は、テトラヒドロフランまたはクロロホルムを移動相として用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により(35℃及び1mL/分の流量で)決定される場合には、約3以下、具体的には、約2以下、具体的には、約1.50以下である。グラフトポリマーの多分散性指数は、テトラヒドロフランまたはクロロホルムを移動相として用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により(35℃及び1mL/分の流量で)決定される場合には、約3以下、具体的には、約2以下、具体的には、約1.50以下である。
【0085】
ボトルブラシポリマーの重量平均分子量は、多角度レーザー光散乱ゲル透過クロマトグラフィー及び多分散性指数を用いて決定されるように、約10〜約1000キログラム/モル、より具体的には、約50〜約500キログラム/モルである。例示的な実施形態において、ブロックコポリマーが、約80〜約300キログラム/モルの重量平均分子量を有することが望ましい。
【0086】
付加ポリマーは、組成物中のブロックコポリマー及び付加ポリマーの総重量に基づいて、1〜20重量%、好ましくは、2〜15重量%、及び3〜10重量%の量で、組成物中に存在する。
【0087】
一実施形態において、基板改質ポリマーは、埋め込まれた基板改質層として機能し(基板上に配置された場合)、ブロックコポリマーのマトリックスポリマーの個々の表面張力と一致する、または類似している表面張力を有するとして特徴付けられ得る。つまり、付加ポリマーの表面自由エネルギーは、ブロックコポリマーのマトリックスブロックとの優先的相互作用を提供する。
【0088】
一実施形態において、基板改質ポリマーは、基板上にブラシを形成するために、基板の表面上に官能基と反応させることができる反応性官能基を含むポリマーを含む。次いで、基板改質ポリマーは、基板の表面上にブラシの形態であるとして説明される。
【0089】
基板改質ポリマーは、ブロックコポリマーと比較した場合に、ブロックコポリマーの数平均分子量よりも低い数平均分子量を有し、異なるモル数の第1のモノマーまたはポリマー(第3のポリマーとも呼ばれる)及び第2のモノマーまたはポリマー(第4のポリマーとも呼ばれる)を含むことができる。
【0090】
例示的な実施形態において、基板改質ポリマーは、5〜100キログラム/モル、好ましくは、7〜50キログラム/モルの数平均分子量を有する。基板改質ポリマーにおける多分散指数は、1.05〜2.5、好ましくは、1.10〜1.60である。ブロックコポリマーがPS−ブロック−PDMSである場合、基板改質ポリマーは、ポリスチレンであり得るか、またはPDMSと比較してスチレンとの優先的相互作用を有する任意の他のポリマーであり得る。
【0091】
例示的な基板改質ポリマーは、ヒドロキシル末端官能性ポリスチレンまたはポリ(スチレン−r−ヒドロキシエチルメタクリレート)である。
【0092】
ブロックコポリマー、付加ポリマー、及び基板改質ポリマーは、バッチプロセスまたは連続プロセスで製造することができる。バッチプロセスまたは連続プロセスは、単一または複数の反応器、単一または複数の溶媒、及び単一または複数の触媒(開始剤とも称される)を含むことができる。
【0093】
1つの実施形態において、ブロックコポリマーは、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、離型剤、熱安定剤、レベリング剤、粘度調整剤、フリーラジカルクエンチング剤、他のポリマーまたはコポリマー、例えば、耐衝撃性改良剤等を含むことができる。組成物はまた、第1及び第2のブロックの表面張力の大きな不一致を有するブロックコポリマーにおける垂直なドメイン配向を促進するために埋め込まれた中性層を含むこともできる。いくつかの実施形態において、ボトルブラシポリマーはまた、埋め込まれた中性層として機能することもできる。
【0094】
付加ポリマーの調製において、第3のモノマー(これにより、第3のポリマーを得る)及び/または第4のモノマー(これにより、第4のポリマーを得る)、溶媒(複数を含む)、及び開始剤を所望の比率で反応容器に加える。容器の含有物を加熱及び撹拌に供して、付加ポリマーを得る。次いで、以下に詳述されるように、付加ポリマーを溶液から沈殿させ、さらなる処理に供する。
【0095】
精製後のブロックコポリマー及び付加ポリマーを溶媒中に溶解し、次いで、そのブロックが基板の表面に対して垂直になるブロックコポリマーの膜を形成するように基板の表面上に配置することができる。1つの実施形態において、基板の表面は、基板の表面上にブロックコポリマーを配置する前に、その上に配置される任意の表面改質層としてブラシまたは架橋マットを含むことができる。
【0096】
1つの実施形態において、基板は、基板上に配置された後に架橋結合されるポリマーの層を含むことができる。膜は、基板上に配置された後に、それ自体または架橋誘発付加剤と反応させ、ポリマーの個々の鎖間で結合または架橋を形成することができる鎖骨格に沿って反応性置換基を有するポリマーを配置することによって形成される。次いで、この様式で架橋された層は、基板の表面上にマットまたはマット様膜の形態であると説明される。これは、基板上で架橋結合されない、またはそれと反応しない、ボトルブラシポリマーとは区別される。
【0097】
また、一部の領域が垂直配向をもたらすが、その他は組成物のドメインの平行配向を誘導するように、基板をパターン化することもできる。また、一部の領域が、ブロックコポリマーのドメインと選択的に相互作用するか、またはピン留めして、ブロックコポリマー形態のオーダー及びレジストレーションを誘導するように、基板をパターン化することもできる。基板はまた、組成物の1つ以上のドメインの整列及びレジストレーションを誘導する形状を有することもできる。基板上に配置された後の組成物は、任意に、アニーリングプロセスにおいて溶媒を除去し、かつドメインを形成するために、最長4時間、最高400℃の温度まで加熱する。好ましいアニーリング温度は、使用されるポリマーの特定の組成物により異なる。一般に、アニーリングは、ブロックコポリマーの最高ガラス転移温度を上回るが、秩序−無秩序転移温度を下回る温度(すなわち、ブロックコポリマーが秩序相分離状態から均一な溶融への遷移を受ける温度)及びポリマーの熱分解温度で行われる。PS−b−PDMSがブロックコポリマーとして使用される場合に、アニーリングは、概して、180〜350℃で行われる。組成物のアニーリングは、円筒状及び/またはラメラドメインのドメイン間の間隔(すなわち、周期性)を変化させるために使用することができる。ドメインのサイズもアニーリングにより変化し得る。
【0098】
組成物が基板上に配置される前に溶解される溶媒は、上に列記されるもののうちの1つであり得る。組成物を相溶化するために有用な溶媒の例は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トルエン、アニソール、n−ブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、安息香酸ベンジル、シクロヘキサノン、メチル−2−ヒドロキシイソブチレート、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレングリコールエチルエーテル、乳酸エチル等である。好ましい溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0099】
アニーリング時に、ブロックコポリマーのドメインが、基板と垂直に形成し、第1のポリマーが基板上の「ピニング」機能への第1のドメイン上に作成されたパターンに整列し、第2のポリマーが第1のドメインに隣接して整列された基板上に第2のドメインを形成する。次いで、ブロックコポリマー(コポリマーの第1のポリマーまたはコポリマーの第2のポリマーのいずれかから形成された)のドメインのうちの1つを、優先的にエッチング除去してもよい。次いで、表面改質層の下になる部分を露出させるために、第1または第2のドメインを除去することにより、レリーフパターンを形成する。一実施形態において、湿式エッチング法、現像、または酸素プラズマ等のプラズマを用いた乾式エッチング法により、除去を達成する。次いで、電子工学、半導体等の分野で使用され得る、他の表面を装飾または製造するために、除去された少なくとも1つのドメインを有するブロックコポリマーを、鋳型として使用する。
【0100】
本発明を、さらに、以下の非限定的な実施例により例示する。
【0101】
実施例
この実施例は、組成物がブロックコポリマー及びボトルブラシポリマーまたはコポリマーを含有する場合よりも、欠陥を最小限に抑え、穴(フォトレジストにおける)の長さの大部分を通して延在する円筒状ドメインを生成することを示す紙の例である。線状ジブロックコポリマー及び線状ジブロックとボトルブラシポリマーとの混合に対する様々なDSA状況における自己無撞着場理論(SCFT)シミュレーションを行った。低欠陥性が期待され得る穴の大きさのプロセスウィンドウを決定するために、穴の大きさの関数として、一般的な欠陥モードの欠陥形成エネルギーを研究した。これらのシミュレーションにおいて、欠陥構造に播種し、その自由エネルギーであるF欠陥を計算し、欠陥−自由状態の自由エネルギーであるF理想的のものと比較する。これらの2つの状態のエネルギー差が、欠陥形成自由エネルギー、ΔF欠陥として定義される:
ΔF欠陥=F欠陥−F理想的 (1)
【0102】
線状ABジブロックコポリマー及びボトルブラシコポリマーならびにホモポリマーの両方が、連続したガウス鎖モデルによりモデル化される(Fredrickson,G.H.;“The Equilibrium Theory of Inhomogeneous Polymers.”Clarendon Press,Oxford,2006を参照のこと)。線状ABジブロックコポリマーは、合計Nの統計的セグメントを含むと仮定され、これらのうちの分率fが種Aである。ボトルブラシポリマーの骨格は、種Cからなり、Nの統計的セグメントを有し、一方、種A及びBのグラフトアームは、それぞれ、N及びNの統計的セグメントを有する。ジブロック鎖長さNは、参照鎖長さとして使用され、記号αは、ジブロック長さと比較した、ボトルブラシの骨格及びグラフトアームの相対的鎖長さを示すために使用される。骨格に沿ってグラフト(サイドアーム)は、均一に間隔を置いていると仮定され、骨格のスケール長さあたりのグラフトの数は、σによって示され、実験例を代表する50の値で一定している。スルースペース距離は、ジブロックコポリマーの非摂動回転半径であるRの単位において測定される。
【0103】
ポリマーの統計的セグメント間の二体接触相互作用は、Flory−Hugginsのパラメータを用いて説明される。A−Bセグメント相互作用は、χによって示され、シミュレーションにおいて、AまたはBセグメントと閉じ込め境界または「壁」との間の相互作用は、それぞれ、χwAまたはχwBによって示され、ボトルブラシの骨格Cとその他のセグメントタイプとの間の相互作用は、χC−その他と示される。骨格Cは、大部分は、ここでは高いグラフト密度であると見なされている、その取り囲んでいるグラフトによって遮蔽され、このシミュレーションは、χC−その他に反応しないことが証明され、そのため、便宜上、そのような相互作用強度をすべてゼロと設定する。最終的に、ポリマー溶解物は、ほとんど圧縮不可能である仮定され、そのため、A、B、C、及び壁密度の合計は、システムにおいて均一である。
【0104】
要約すると、SCFTモデル及びシミュレーションの結果は、以下のパラメータによって説明される。
[表]
【0105】
そのようなポリマー混合モデルのSCFTシミュレーションを行うためのアルゴリズムは、モノグラフ、Fredrickson,G.H.;“The Equilibrium Theory of Inhomogeneous Polymers.”Clarendon Press,Oxford,2006において記載されている。本明細書で報告された閉じ込めDSAシミュレーションに特異的なモデル及びアルゴリズムは、刊行物“Microdomain Ordering in Laterally Confined Block Copolymer Thin Films”,A.W.Bosse,C.J.Garcia−Cervera,and G.H.Fredrickson,Macromolecules 40,9570(2007)において記載されている。バルクポリマーシステム及び閉じ込めポリマーシステムPolyFTSの両方のSCFTシミュレーションを行うためのコンピュータコードは、University of California,Santa Barbaraからの許諾において使用可能である。
【0106】
比較実施例A
これは、接触穴(すなわち、接触穴の収縮)において配置され、アニーリングされたA−B線状ブロックコポリマーの挙動を示す比較実施例である。この実施例は、ボトルブラシポリマーを含有しない。それは、自己無撞着場理論シミュレーションを用いた計算から基づいている紙の例である。線状PS−b−PMMAジブロックコポリマーによる穴の収縮における構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PMMAはブロックコポリマーであり、fPMMA=0.3、χN=25、χN=−32(副ブロックA誘引、例えば、PS−b−PMMA中のPMMA)、及び回転半径Rg=7.2nm。CDガイドは、8から10Rgに変化し、穴深さ=15Rgであった。理想的形態及び「4つのビーズ欠陥」の計算された構造は、一般に、CDガイドが、図5(A)及び5(B)にそれぞれ示される理想的な大きさから外れる場合に、このタイプのDSAが観察される。これらの構造は、様々な範囲の穴CDにおいて計算され、欠陥形成エネルギーが計算された。図6は、穴CDの関数として、(4つのビーズ欠陥の)欠陥形成エネルギーを示す。CDガイド=10Rgである場合に、欠陥形成エネルギーは、〜50kTの最大値に達する。しかしながら、欠陥形成エネルギーは、CDガイドがこの最適値から離れる場合に、急激に低下し、これは、低欠陥性が約10Rgに集中する狭い範囲のCDガイド値にわたってのみ生じ得ることを示す。
【0107】
実施例1
これは、線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を有する穴の収縮を示す紙の例である。線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー及びポリメチルメタクリレート(PMMA)ボトルブラシポリマーの混合を有する穴の収縮における構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。PMMAボトルブラシポリマーは、ポリマー鎖骨格及びグラフトポリマーを有し、これらの両方がPMMAを含む。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PMMAはブロックコポリマーであり、10体積パーセント(%)のPMMAボトルブラシをジブロックコポリマーに加え、χN=25、χ骨格−その他N=0、χN=−32(PMMA誘引)、αサイドアーム=0.1、α骨格=0.6、1.2、1.8、及び2.4であり、50のグラフト密度を選択した。CDガイドは、8から10Rgと変化し、穴深さは15Rgであった。線状ジブロックは、CD=10Rgで50kTの欠陥形成エネルギーを有し、この最適CDガイド値から離れて急減したが(図6)、線状ジブロック及びボトルブラシの混合は、不安定な欠陥をもたらし、広範なCDガイドにわたって理想的状態にまで直ちに修復した。この効果は、すべての研究した骨格の長さ(α骨格=0.6、1.2、1.8、及び2.4)でボトルブラシに対して観察された。欠陥が直ちに修復されたため、欠陥状態は、本質的に不安定であり、そのため、欠陥形成エネルギーを計算することはできない。これらのシミュレーションの結果から、ボトルブラシの付加により、比較実施例Aのみの線状ジブロックと比較して、DSAに対してより広範なプロセスウィンドウを得た。
【0108】
実施例2
これは、ボトルブラシ負荷の効果、すなわち、線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合による穴の収縮における混合の体積分率を示す別の紙の例である。
【0109】
線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー及びPMMAボトルブラシの混合物による穴の収縮に対する構造及び欠陥形成エネルギーが計算され、これは、ボトルブラシの負荷を変化させることにより調節した。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PMMAはブロックコポリマーであり、χN=25、χ骨格−その他N=0、χN=−32(PMMA誘引)、α骨格=2.4、50のグラフト密度、CDガイド=10Rg、及び穴深さ=15Rg。αサイドアーム=0.05、0.1、及び0.2である、ボトルブラシアームの長さの3つの値が試験され、ボトルブラシ負荷は、0〜10体積%に変化した。ボトルブラシ負荷の関数として、欠陥形成エネルギーを図7に示す。すべての研究されたボトルブラシの長さにおいては、欠陥形成エネルギーがわずか1体積%のボトルブラシにより直ちに増加し、欠陥が不安定になり、完全な状態に溶解するまで、ボトルブラシの連続した添加によりさらに増加し、この時点で、欠陥形成エネルギーは計算不能であった。最短アームであるαサイドアーム=0.05を有するボトルブラシは、最大の欠陥形成エネルギーを示し、最低の体積パーセントで完全に不安定な欠陥をもたらした。
【0110】
実施例3
これは、線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合による穴の収縮におけるボトルブラシのグラフト密度の効果を示す別の紙の例である。線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー及びPMMAボトルブラシの混合物による穴の収縮に対する構造及び欠陥形成エネルギーが計算され、これは、ボトルブラシのグラフト密度を変化させることにより調節する。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PMMAはブロックコポリマーであり、χN=25、χ骨格−その他N=0、χN=−32(PMMA誘引)、αサイドアーム=0.1、α骨格=2.4、4体積%のボトルブラシ、CD誘導=10Rg、及び穴深さ=15Rg。25、33、50、66、及び75であるボトルブラシのグラフト密度の4つの値が検査された。グラフト密度の関数として欠陥形成エネルギーを図7に示す。25のグラフト密度で、欠陥は不安定であり、完全状態に直ちに修復された。グラフト密度が33以上に増加したため、欠陥形成エネルギーが計算され、145kTから116kTにわずかに減少した。しかしながら、すべての場合は、52.5kTの欠陥形成エネルギーを示した比較実施例Aにおけるボトルブラシを有しない場合よりもはるかに高かった。
【0111】
実施例4
これは、線状PS−b−PMMAジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含む組成物による穴の収縮を詳述する別の紙の例である。線状PS−b−PMMAジブロックコポリマーならびにポリスチレン(PS)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)のポリマーボトルブラシの両方の混合物による穴の収縮に対する構造及び欠陥形成エネルギー。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PMMAはブロックコポリマーであり、χN=25、χ骨格−その他N=0、χN=−32(PMMA誘引)、αサイドアーム=0.1、α骨格=2.4、グラフト密度=50、CD誘導=10Rg、及び穴深さ=15Rg。様々な体積%のPS及びPMMAボトルブラシの両方を加え、対応する3成分混合の(「4つのビーズ」)の欠陥形成エネルギーを以下の表1に要約する。PMMA−ボトルブラシ(BB)及びPS−ボトルブラシを含む2成分混合の結果を図8に示し、PMMA−BBは、欠陥形成エネルギーを増加させる際にPS−BBよりもさらに有効であるが、両添加剤が、BBを加えないベースラインを上回ってエネルギーを増加した。PMMA−BBの一定の負荷において、PS−BBの体積の増加は、欠陥を引き起こして、それらが安定性を失う時点まで、わずかに安価になった。このデータは、線状PS−b−PMMAジブロックならびにPS−BB及びPMMA−BBの両方の混合が、純粋な線状ジブロックコポリマーよりも良好な欠陥特性を有することを示す。
【0112】
表1は、PMMA−ブロック誘引壁及び基板を有する円筒状プレパターンにおいて、様々な量のPS−BB及びPMMA−BBと混ぜ合わせた線状ABジブロックコポリマーにおける欠陥形成エネルギーを示す。数字のないセルは、欠陥が不安定であり、そのため、それらの形成エネルギーが計算不能であったことを示す。
【0113】
【表1】
【0114】
比較実施例B
これは、線状ジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおけるボトルブラシのグラフト密度の効果を示す紙の例である。この比較実施例において、線状PS−b−PDMSジブロックコポリマーを含むライン/スペースグラフォエピタキシーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PDMSはブロックコポリマーであり、χN=33(M(PS)=44kg/モル及びM(PDMS)=14kg/モルを用いたPS−b−PDMSに相当する)、χN=−32(副ブロックPDMS誘引壁)、及びトレンチ深さ=3Rg(ここで、Rg=6.6nm)。4つの円筒を保持するように設計されたトレンチにおけるブロックコポリマーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。理想的状態のPDMS密度地図及び代表的な「回位型」欠陥を図9に示す。トレンチ幅を変化させて、欠陥形成エネルギーにおけるトレンチ幅の影響を試験し、これらの結果を図10中にプロット化する。1cmあたり<0.01の所望の欠陥密度の欠陥を達成するために、>30kTの欠陥形成エネルギーが必要とされる。線状ジブロックについては、欠陥形成エネルギーは、17.4Rgのトレンチ幅で48kTの最大値に達し、トレンチがこの最適値から離れて変化した場合に、欠陥形成エネルギーが減少した。欠陥形成エネルギーが30kT超の閾値であったトレンチ幅の範囲として定義される、プロセスウィンドウは、約5Rgであった。
【0115】
実施例5
これは、線状ジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおけるボトルブラシのグラフト密度の効果を示す紙の例である。線状PS−b−PDMSジブロックコポリマー及びボトルブラシポリマーとPSアームとの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PDMSはブロックコポリマーであり、χN=33(M(PS)=44kg/モル及びM(PDMS)=14kg/モルを用いたPS−b−PDMSに相当する)、χ骨格−その他N=0、χN=−32(副ブロックPDMS誘引)、αサイドアーム=0.1、α骨格=0.6、グラフト密度=50、10体積%のBB、トレンチ深さ=3Rg(ここで、Rg=6.6nm)。4つの円筒を保持するように設計されたトレンチにおけるブロックコポリマーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。トレンチ幅を再度変化させて、欠陥形成エネルギーにおけるトレンチ幅の影響を試験し、これらの結果を図11中にプロット化する。1cmあたり<0.01の所望の欠陥密度の欠陥を達成するために、>30kTの欠陥形成エネルギーが必要とされる。
【0116】
PSアームを含むボトルブラシの場合の最大欠陥形成エネルギーは、比較実施例B(48kT)における線状ジブロックよりも低く(35kT)、最適なトレンチ幅は、19.2Rgまで増加した。トレンチがこの最適値から離れて変化した場合に、欠陥形成エネルギーが再度減少した。欠陥形成エネルギーが30kT超の閾値であったトレンチ幅の範囲として定義される、プロセスウィンドウは、約3Rgであった。これは、大部分のブロックのものに対して化学的に類似しているアームを含むボトルブラシポリマー、すなわち、大部分のPSを含むPS−b−PDMSジブロックへのPS−BBの添加が、ライン/スペース構成において、純粋な線状ジブロックのみよりも悪いDSA結果をもたらすことを示す。
【0117】
実施例6
これは、線状ジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおけるボトルブラシのグラフト密度の効果を詳述する別の紙の例である。線状PS−b−PDMSジブロックコポリマー及びボトルブラシポリマーとPDMSアームとの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PDMSはブロックコポリマーであり、χN=33(M(PS)=44kg/モル及びM(PDMS)=14kg/モルを用いたPS−b−PDMSに相当する)、χ骨格−その他N=0、χN=−32(副ブロックA誘引)、αサイドアーム=0.1、α骨格=0.6、グラフト密度=0.5、及びトレンチ深さ=3Rg(ここで、Rg=6.6nm)。4つの円筒を保持するように設計されたトレンチにおけるブロックコポリマーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。4体積%及び10体積%であるPDMSボトルブラシの2つの異なる負荷を試験した。トレンチ幅を再度変化させて、欠陥形成エネルギーにおけるトレンチ幅の影響を研究し、これらの結果を図10中にプロット化する。
【0118】
10体積%のPDMSボトルブラシを組成に添加した場合に、欠陥は不安定であり、完全状態に直ちに修復された。つまり、鋳型組成物は、欠陥がなかった。したがって、欠陥形成エネルギーは、計算することができなかった。組成物中のわずか4体積%のPDMSボトルブラシ含量で、最大欠陥形成エネルギーは、比較実施例B(48kT)における線状ジブロックのみのものよりも高く(52kT)、最適なトレンチ幅は、20Rgまで増加した。トレンチがこの最適値から離れて変化した場合に、欠陥形成エネルギーが再度減少し、30kTを上回るエネルギーであったプロセスウィンドウは、約7Rgであり、比較実施例Bにおける線状ジブロックのみのものよりも大きかった(5Rg)。
【0119】
このデータは、副ブロックの優先的アームを含むボトルブラシ、すなわち、大部分のPSを含むPS−b−PDMSジブロックへのPDMS−BBの添加が、純粋な線状ジブロックのみと比較して、ライン/スペースグラフォエピタキシーDSAにおいて、欠陥密度及びプロセスウィンドウの両方を向上させることを示す。
【0120】
実施例7
これは、線状ジブロックコポリマー/ボトルブラシポリマーの混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおけるボトルブラシのグラフト密度を加える効果を詳述する別の紙の例である。線状PS−b−PDMSジブロックコポリマー及び様々な負荷のボトルブラシポリマーとPDMSアーム(PDMS−BB)及びPSアーム(PS−BB)の両方との混合を含むライン/スペースグラフォエピタキシーにおける構造及び欠陥形成エネルギー。このシミュレーションにおいて、以下のパラメータが選択された:PS−b−PDMSはブロックコポリマーであり、χN=33(χNは、安定したSCFTシミュレーションに対して、100からの1/3でスケールし、これは、M(PS)=44kg/モル及びM(PDMS)=14kg/モルを用いたPS−b−PDMSに相当する)、χN=−32(副ブロックPDMS誘引壁)、Lx(円筒に沿った縦の長さ)=24Rg、Lz(全深さ、ポリマー充填レベル)=8Rg、及びトレンチ深さ=3Rg(ここで、Rg=6.6nm)。Rg及びエネルギー単位は、元のχN=100から変換される。4つの円筒を保持するように設計されたトレンチにおけるブロックコポリマーの構造及び欠陥形成エネルギーを計算した。トレンチ幅を、4体積%のPDMS−BBとの混合が欠陥形成エネルギーを最大限にする20Rgに固定した。様々な体積%のPS及びPDMSボトルブラシの両方を加え、欠陥形成エネルギーを表2に要約する。PDMS−BBは、欠陥形成エネルギーを増加させる際に、PS−BBよりもさらに有効であったが、両方の添加剤が、6体積%のPS−BBを添加するまでBBを加えないベースラインを上回ってエネルギーを増加した。線状ジブロック及びPDMS−BBのみの混合により、欠陥形成エネルギーにおいて最大の増加を得たが、PS−BBの増加は、さらにPDMS−BBを添加した場合に、欠陥形成エネルギーの減少を低下させた。PDMS−BBの一定の負荷で、PS−BBの体積の増加により、欠陥形成エネルギーの減少をもたらした。3体積%のPS−BBは、線状PS−b−PDMSジブロックとPS−BB及びPDMS−BBの両方の混合の欠陥形成エネルギーを、1〜9体積%のPDMS−BBの全範囲にわたって、>48kTの純粋な線状ジブロックの欠陥形成エネルギーよりも多い値まで維持することができることが観察された。これらのデータは、ある特定の組成で、線状PS−b−PDMSジブロックならびにPS−BB及びPDMS−BBの両方の混合が、純粋な線状ジブロックPS−b−PDMSよりも高い欠陥形成エネルギーを有することを示す。表2は、PDMS−ブロック−誘引壁を有するトレンチにおける、様々な量のPS−BB及びPDMS−BBと混ぜ合わせた線状PS−b−PDMSジブロックコポリマーの欠陥形成エネルギーを示す。
【0121】
【表2】
【0122】
実施例8
この実施例は、ポリスチレン−ブロック−ポリメチル−メタクリレートブロックコポリマーの合成を説明する。標準のSchlenkライン法を用いて、乾燥THF(421mL)を、乾燥、アルゴンパージした1Lの3口丸底フラスコに移し、ドライアイス/アセトンの混合物を用いて、−78℃まで冷却した。0.36M sec−ブチルリチウム溶液(2mL、0.72ミリモル)を、淡黄色が残るまで添加した。次いで、フラスコを室温まで加温し、色が完全に消失する(約10〜15分)まで、30℃で保持した。THF溶液が−78℃に戻るまで冷却し、スチレン(25.11g、0.24モル)をカニューレを介して反応フラスコに移した。0.54M sec−ブチルリチウム開始剤溶液(0.81mL、0.44ミリモル)をシリンジを介して反応フラスコに加え、1分以内に17℃の発熱を生じた。反応混合物を、さらに10分間にわたって冷却し、−78℃に戻るまで冷却した。反応物を合計25分間撹拌し、次いで、PSブロックのGPC分析のために、反応溶液のごく一部を、カニューレを介して無水MeOHを含有する小型の丸底フラスコに移した。次に、ジフェニルエチレン(0.10g、0.55ミリモル)溶液(2.1mLのシクロヘキサンで希釈)を、カニューレを介してTHF/ポリスチレン溶液に移すと、反応混合物が濃黄色から濃いルビー色に変化した。溶液を約−77℃で10分間撹拌した(内部温度プローブによって測定)。次に、メチルメタクリレート(10.57g、0.11モル)溶液(11.0mLのシクロヘキサンで希釈)を、カニューレを介してフラスコに移すと、色が完全に消失した。MMAを添加した後、溶液を約−68℃で2分以内加温し、次いで、−77℃になるまで冷却した。反応物を合計130分間撹拌し、その後、無水MeOHを添加することによって反応停止した。ブロックコポリマー溶液を1.4Lのメタノールに沈殿させ、真空濾過によって回収した。次いで、濾過ケーキを150mLのCHCl中に溶解し、100mLのDI水で2回洗浄した。ブロックコポリマー溶液を、1Lのメタノールに沈殿させ、真空濾過によって回収し、60℃で一晩、真空オーブン内で乾燥させた。組成物の分析を、H NMR分光法により完了し、最終分子量を光散乱検出器を用いてGPCによって決定した。組成:73.2重量%のPS、26.8重量%のPMMA、M=66.9kg/モル、PDI=1.07。
【0123】
【化8】
【0124】
この実施例は、N−(ヒドロキシエチル)−シス−5−ノルボルネン−エンド(エキソ)−2,3−ジカルボキシイミドの合成を説明する。丸底フラスコを、火力乾燥させ、シス−5−ノルボルネン−エンド(エキソ)−2,3−ジカルボン酸無水物(2.07g、1当量)及び2−アミノエタノール(800μL、1.05当量)で装填した。トルエン(20mL)及びトリエチルアミン(200μL、0.11当量)をフラスコに加え、ディーンスタークトラップを用いて、混合物を一晩還流した。次いで、混合物を室温まで冷却し、回転蒸発器を用いて濃縮し、40mLのジクロロメタン中に再溶解し、ブライン及び0.1M HClで洗浄した。MgSO4を添加することにより有機層を乾燥させ、濃縮して、白色固体として生成物を得た。
【0125】
【化9】
【0126】
この実施例は、上に示される、原子移動ラジカル重合(ATRP)、2−(1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドール−2(3H)−イル)エチル2−ブロモ−2−メチル−プロパン酸塩のための開始剤の合成を説明する。N−(ヒドロキシエチル)−シス−5−ノルボルネン−エンド(エキソ)−2,3−ジカルボキシイミド(414.5mg、1当量)を火力乾燥させた2口丸底フラスコに加え、無水ジクロロメタン(5mL)中に溶解し、トリエチルアミン(1.2当量)と共に滴加した。混合物を氷槽中で冷却し、α−ブロモイソブチリルブロミド(1.2当量)を滴加した。20時間撹拌した後、混合物をブライン及び0.1M HClで洗浄し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体としてATRP開始剤を得た。
【0127】
【化10】
【0128】
この実施例は、PMMAアーム及びポリノルボルネン骨格、ポリ(ノルボルネン−g−ポリメチルメタクリレート)を有するボトルブラシポリマーの合成を説明する。2−(1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドール−2(3H)−イル)エチル2−ブロモ−2−メチル−プロパン酸塩を開始剤として使用し、リガンドとして、モノマー、開始剤、Cu(I)Br、及びN,N,N′,N′,N′′−ペタンメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を以下の比率([MMA]:[開始剤]:[Cu(I)]:[PMDETA]=100:1:0.5:0.5、90℃)で用いて、Grimaud et al in Macromolecules 1997,30,2216−2218において記載される手順の若干の修正を有するATRPを用いた、ポリマーの標準的な調製に従って、メチルメタクリレート(MMA)を重合した。反応後、ポリマー溶液を塩基性アルミナカラムを通過させることによって、銅を除去し、ポリマーを冷メタノール中で沈殿させて、ノルボルネンPMMAマクロモノマー(PMMA−MM)を得た。
【0129】
次いで、PMMAマクロモノマー(PMMA−MM)(約100mg)において、最小量の脱気した無水溶媒([PMMA−MM]=60〜100mM)中にそれを溶解し、適切な量のグラブス第二世代触媒(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(40〜55mM、無水脱酸素化溶媒中)を注入することによって、開環メタセシス重合(ROMP)を行った。さらなる分析のために、混合物を一晩撹拌し、冷MeOH中で沈殿させ、濾過し、乾燥させた。この技術に従って、3つの異なるPMMAボトルブラシポリマーを作製し、それらの特徴を表3にまとめる。
【0130】
【表3】
【0131】
比較実施例C
この実施例は、溶媒中のPS−b−PMMA線状ブロックコポリマーの配合物を説明する。PS−b−PMMAの溶液を、トルエン(4.95g)中にポリマー(0.050g)を溶解することによって調製して、1.0重量%の溶液(全質量に対するポリマー)を得た。0.2μmのテフロンフィルターを通して溶液を濾過した。
【0132】
実施例12
この実施例は、様々な比率で、溶媒中のPS−b−PMMA線状ブロックコポリマー及びPMMAアーム及びポリノルボルネン骨格を有するボトルブラシ(PMMA−BB−1)の配合物を説明する。様々な比率で、PS−b−PMMA及びPMMA−BB−1を、トルエン中に溶解して、1.0重量%の溶液(全質量に対するポリマー)を得た。0.2μmのテフロンフィルターを通して溶液を濾過した表4は、配合物の詳細を示す。
【0133】
【表4】
【0134】
比較実施例A
この実施例は、シリコン基板上に薄膜として配置され、アニーリングされたPS−b−PMMA線状ブロックコポリマーの挙動を示す。ヒドロキシル末端ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート)ブラシ(Han et al.in Macromolecules,Vol.41,No.23,2008,p.9090−9097によって記載された方法に従って、75モル%のスチレン、M=10kg/モル、及びM/M=1.2を用いて調製)を、トルエン中に溶解して、1重量%の溶液を得、これを0.2μmのテフロンフィルターを通して濾過した。次いで、天然オキシド層を有するシリコン基板の表面を、1,500rpmで30秒間、このブラシ溶液をその上にスピンコーティングすることによって改質した。次いで、該基板を、120℃で2分間、次いで、220℃で60分間、ホットプレートセット上に置き、堆積ブラシ層をアニーリングした。次いで、まず、PGMEA中に基板を30秒間浸し、次いで、3,000rpmで1分間スピンドライすることによって、基板をPGMEAですすぎ、あらゆる付着していないポリマーを洗い流した。次いで、基板を、130℃で60秒間、ホットプレートセット上で焼成した。P(S−r−MMA)−OH艶消しシリコンウエハー上に溶液をスピンコーティングすることによって、比較実施例Cにおいて記載されるPS−b−PMMA配合物からなる薄膜を調製した。配合物は、艶消し基板上に2000rpmでスピンコーティングし、ホットプレート上で130℃で1分間焼成し、窒素下、240℃で5分間アニーリングした。熱アニーリング後、この膜をPlasmaTherm 790i RIEを用いて、8秒間のCHFの反応性イオンエッチング、続いて、15秒間の酸素反応性イオンエッチングである反応性イオンエッチングに供し、PMMAを取り除いた。次いで、走査電子顕微鏡(Hitachi CG4000)によって、40,000倍及び400,000倍の倍率で、試料を画像化し、形態を特性評価した。
【0135】
実施例13
この実施例は、シリコン基板上に薄膜として配置され、アニーリングされた、PS−b−PMMA線状ブロックコポリマーとPMMAアーム及びポリノルボルネン骨格(PMMA−BB)を有するボトルブラシとの混合の挙動を示す。ヒドロキシル末端ポリ(スチレン−r−メチルメタクリレート)ブラシ(Han et al.in Macromolecules,Vol.41,No.23,2008,p.9090−9097によって記載された方法に従って、75モル%のスチレン、M=10kg/モル、及びM/M=1.2を用いて調製)を、トルエン中に溶解して、1重量%の溶液を得、これを0.2μmのテフロンフィルターを通して濾過した。次いで、天然オキシド層を有するシリコン基板の表面を、1,500rpmで30秒間、このブラシ溶液をその上にスピンコーティングすることによって改質した。次いで、該基板を、120℃で2分間、次いで、220℃で60分間、ホットプレートセット上に置き、堆積ブラシ層をアニーリングした。次いで、まず、PGMEA中に基板を30秒間浸し、次いで、3,000rpmで1分間スピンドライすることによって、基板をPGMEAですすぎ、あらゆる付着していないポリマーを洗い流した。次いで、基板を、130℃で60秒間、ホットプレートセット上で焼成した。さらなる実験のために、基板を小さな細片に角切りした。次いで、P(S−r−MMA)−OH艶消しシリコンウエハー上に溶液をスピンコーティングすることによって、実施例12において記載されるPS−b−PMMA配合物からなる薄膜を調製した。配合物は、艶消し基板上に2000rpmでスピンコーティングし、ホットプレート上で130℃で1分間焼成し、窒素下、240℃で5分間アニーリングした。熱アニーリング後、この膜をPlasmaTherm 790i RIEを用いて、8秒間のCHFの反応性イオンエッチング、続いて、15秒間の酸素反応性イオンエッチングである反応性イオンエッチングに供し、PMMAを取り除いた。次いで、走査電子顕微鏡(Hitachi CG4000)によって、40,000倍及び400,000倍の倍率で、試料を画像化し、形態を特性評価した。
【0136】
実施例14
この実施例は、ヒドロキシル末端ポリスチレンブラシの合成を説明する。モノマー対開始剤の比率を調節して、分子量を変化させる場合に、ヒドロキシル末端ポリスチレンブラシ(PS−OH−1及びPS−OH−2)を、以下の手順に従って調製した。スチレン及び2−ヒドロキシエチル2−ブロモ−2−メチルプロパン酸塩(開始剤)を、500mLの丸底フラスコ中でアニソール中に溶解した。CuBr(開始剤に対して0.1当量)及びトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(開始剤に対して0.1当量)を、試料容器中で5mLのアニソール中に溶解した。Sn(EH)(開始剤に対して0.1当量)を、試料容器中で5mLのアニソール中に溶解した。3つの溶液を窒素で1時間パージし、次いで、500mLのフラスコ中で合わせた。次いで、混合物を20時間加熱し、ポリマーをメタノールに沈殿させた。次いで、沈殿物をTHF中に溶解し、イオン交換樹脂で処理して、Cu触媒を取り除いた。次いで、反応混合物をメタノールに再沈殿させた。得られた白色粉末を濾過し、50℃で一晩乾燥させた。M=8.8kg/モル及びM/M=1.23でPS−OH−1とM=37.3kg/モル及びM/M=1.23でPS−OH−2である、2つの材料を合成した。
【0137】
実施例15
この実施例は、線状ポリスチレン−ブロック−ポリジメチル−シロキサン(PS−b−PDMS)ブロックコポリマーの合成を説明する。3つの線状PS−b−PDMSブロックコポリマーを、Hustadらの米国特許第8,821,738号によって概説された手順に従って調製した。ポリマーの特性評価の詳細を表5に示す。
【0138】
【表5】
【0139】
【化11】
【0140】
この実施例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)アーム及びポリノルボルネン骨格、ポリ(ノルボルネン−g−ポリジメチルシロキサン)(PDMS−BB)を有するボトルブラシポリマーの合成を説明する。2−(プロプ−2−エン−1−イル)−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドール−1,3(2H)−ジオンを、Macromolecules 2010,43,5611−5617において記載される手順に従って合成した。アジド末端PDMSを、文献(J Polym Sci Pol Chem 2014,52,3372−3382)に従って合成した。火力乾燥させた20mLの容器に、撹拌棒を用いて、2−(プロプ−2−エン−1−イル)−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドール−1,3(2H)−ジオン(3.2mg)及びアジド末端PDMS(0.174g、1当量)を充填させた。脱気した無水テトラヒドロフラン(THF)(2mL)をフラスコ中に加え、0.3mLのCuストック溶液(1mLの無水THF中1mgのCu(I)Br及び5μLのPMDETAから調製)を加えた。反応混合物を撹拌し、50℃で一晩加熱した。塩基性アルミナを通して通過させることによって、マクロモノマー溶液からCuを取り除き、次いで、ポリマー溶液を濃縮し、冷MeOH中に沈殿させた。次いで、PDMSマクロモノマー(PDMS−MM)(約100mg)において、最小量の脱気した無水溶媒([PDMS−MM]=60〜100mM)中にそれを溶解し、適切な量のグラブス第三世代触媒、(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニル−メチレン)(ジピリジン)ルテニウム(55mM、[PDMS−MM]/[触媒]=30、無水脱酸素化溶媒中)を注入することによって、開環メタセシス重合(ROMP)を行った。さらなる分析のために、混合物を一晩撹拌し、冷MeOH中で沈殿させ、濾過し、乾燥させた。単離されたポリマーのGPCは、以下の成分にデコンボリューションされた多様な痕跡を示した:ピーク1、M=230kg/モル、M/M=1.51、ピーク2:78kg/モル、M/M=1.46、ピーク3:9kg/モル、M/M=1.5(PDMS−MMに相当する)。
【0141】
比較実施例E
この実施例は、溶媒中のPS−b−PDMS線状ブロックコポリマーの配合物を説明する。PS−b−PDMS−26、PS−b−PDMS−29、及びPS−b−PDMS−31の溶液は、全質量に対して1.2重量%のポリマーで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びn−ブチルアセテート(NBA)の50/50体積パーセントの混合物中にポリマーを溶解することによって調製した。0.2μmのPTFEフィルターを通して溶液を濾過した。
【0142】
実施例17
この実施例は、溶媒中のPDMSアーム及びポリノルボルネン骨格を有するボトルブラシ(PDMS−BB)を含むPS−b−PDMS−26の配合物を説明する。PDMS−BBの溶液は、全質量に対して1.2重量%のポリマーで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びn−ブチルアセテート(NBA)の50/50体積パーセントの混合物中にポリマーを溶解することによって調製した。この溶液をPS−b−PDMS−26の溶液を用いた異なる比率で混ぜ合わせて、PDMS−BB対PS−b−PDMSが異なる比率を有する配合物を得た。0.2μmのPTFEフィルターを通して溶液を濾過した。異なる配合物を表6に列記する。
【0143】
【表6】
【0144】
実施例18
この実施例は、配合物の薄膜を用いてコーティングされたシリコンウエハー基板の調製を説明する。実施例14に従って調製したヒドロキシル末端ポリスチレンブラシ、PS−OH−1及びPS−OH−2を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に個々に溶解して、1.5重量%の溶液を得た。次いで、溶液を50/50の体積比で混合し、最終ブラシ配合物を得、これを0.2μmのテフロンフィルターを通して濾過した。次いで、天然オキシド層を有するシリコン基板の表面を、1,500rpmで30秒間、このブラシ溶液をその上にスピンコーティングすることによって改質した。次いで、基板を、250℃で2分間、ホットプレートセット上に置き、堆積したブラシ層をアニーリングした。次いで、まず、PGMEA中に基板を30秒間浸し、次いで、3,000rpmで1分間スピンドライすることによって、基板をPGMEAですすぎ、あらゆる付着していないポリマーを洗い流した。次いで、基板を、130℃で60秒間、ホットプレートセット上で焼成した。
【0145】
比較実施例F
この実施例は、PS−OH艶消し基板上での線状PS−b−PDMSの薄膜形成を説明する。実施例18において調製したPS艶消しシリコンウエハー上に溶液をスピンコーティングすることによって、比較実施例Eにおいて説明されるPS−b−PDMS配合物からなる薄膜を調製した。配合物を、艶消し基板上に1,200rpmでスピンコーティングし、130℃で1分間、ホットプレート上で焼成し、340℃で2分間、窒素下でアニーリングした。熱アニーリング後、この膜をPlasmaTherm 790i RIEを用いて、4秒間のCFの反応性イオンエッチング(50立方センチメートル(sccm)、100ワット)、続いて、8秒間の酸素反応性イオンエッチング(25sccm、180ワット)である2つの反応性イオンエッチング工程に供し、PSを取り除き、PDMSブロックを酸化させた。次いで、走査電子顕微鏡(Hitachi CG4000)によって、40,000倍及び400,000倍の倍率で、試料を画像化し、形態を特性評価した。比較実施例D、E、及びFにおける形態を、図11中の顕微鏡写真に示す。26体積%を有する配合物は、酸化PDMS円筒から期待された「フィンガープリント」構造を示す。しかしながら、PDMS体積パーセントが増加するにつれて、所望のフィンガープリントパターンが大部分は消失する。したがって、これらの配合物は、より高いPDMS負荷で、ナノスケールラインパターンを形成するのに有用ではない。
【0146】
実施例19
この実施例は、PS−OH艶消し基板上での線状PS−b−PDMSとPDMSボトルブラシポリマー(PDMS−BB)との混合の薄膜形成を説明する。実施例18において調製したPS艶消しシリコンウエハー上に溶液をスピンコーティングすることによって、実施例17において記載される配合物からなる薄膜を調製した。配合物を、独立して、艶消し基板上に1,200rpmでスピンコーティングし、130℃で1分間、ホットプレート上で焼成し、340℃で2分間、窒素下でアニーリングした。熱アニーリング後、この膜をPlasmaTherm 790i RIEを用いて、4秒間のCFの反応性イオンエッチング(50立方センチメートル(sccm)、100ワット)、続いて、8秒間の酸素反応性イオンエッチング(25sccm、180ワット)である2つの反応性イオンエッチング工程に供し、PSを取り除き、PDMSブロックを酸化させた。次いで、走査電子顕微鏡(Hitachi CG4000)によって、40,000倍及び400,000倍の倍率で、試料を画像化し、形態を特性評価した。形態を、図12中の顕微鏡写真に示す。比較実施例Fにおける薄膜とは異なり、顕微鏡写真はすべて、非常に高いPDMSの体積パーセントを有する配合物においてでさえ、酸化したPDMS円筒からの「フィンガープリント」構造を示す。
図1
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図2(D)】
図2(E)】
図2(F)】
図3(A)】
図3(B)】
図4(A)】
図4(B)】
図5
図6
図7
図8
図9(A)】
図9(B)】
図10
図11
図12