(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2の非カップリングポリオレフィン樹脂をさらに含み、前記第2の非カップリングポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマー樹脂またはエチレンと少なくとも1つのC3〜C12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む樹脂を含む、請求項9に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
第3の非カップリングポリオレフィン樹脂さらに含み、前記第3の非カップリングポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー樹脂またはエチレンと少なくとも1つのC3〜C12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む樹脂を含む、請求項10に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
20〜80%(前記組成物の総重量に対して)の前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および20〜80%(前記組成物の総重量に対して)の前記非カップリングホモポリマープロピレン樹脂を含む、請求項23に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(説明)
以下の定義および分析法が本明細書において使用される。
【0011】
「ポリマー」という用語は、同じまたは異なるタイプに関わらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、「ポリマー」という一般的な用語は、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語;2種またはそれ超の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」および「インターポリマー」;ならびに異なるモノマー内容物および/またはポリマー構造を有する2種またはそれ超のポリマーを含む組成物である、ポリマーの物理的ブレンドを包含する。
【0012】
「プロピレンベースのポリマー」という用語は、プロピレンモノマー由来のモノマー単位を1分子当たり50重量%超含むポリマーを意味する。これには、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー(2種またはそれ超のコモノマー由来の単位を意味する)、ならびにポリプロピレンホモポリマーがブレンドのマトリックス相であるポリマーブレンドが含まれる。
【0013】
「プロピレンベースのポリマー樹脂」という用語は、個々の微視的なポリマー分子とは対照的に、複数のプロピレンベースのポリマー分子を含む、巨視的な材料の塊を意味する。「プロピレンベースのポリマー組成物」という用語は、プロピレンベースのポリマー樹脂を含む組成物を意味する。
【0014】
「アルファ−オレフィン」または「α−オレフィン」という用語は、分子内で1番目および2番目の炭素原子の間に炭素−炭素二重結合を有するアルケンを含む。アルファ−オレフィンの例として、これらに限定されないが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、および1−ドデセン(これらの任意の組合せを含む)が挙げられる。
【0015】
「カップリングポリマー」という用語は、熱可塑性ポリマーと、カップリング剤、例えばポリ(スルホニルアジド)などとの間のカップリング反応から生成した部分的架橋ポリマーを意味する。カップリングポリマーは、熱硬化性ポリマーではなく、代わりに、カップリング反応前および後のポリマー樹脂の相対的メルトフローレートにより測定することができる、流れに対する溶融ポリマーの抵抗性の増加を特徴とする改質されたレオロジーを有する熱可塑性ポリマーである。
【0016】
「ポリ(スルホニルアジド)」という用語は、2つまたはそれ超の共有結合したスルホニルアジド基(−SO
2N
3)を含む化合物を意味する。ポリ(スルホニルアジド)は、2つのスルホニルアジド基を含むビス(スルホニルアジド)化合物を含む:
【化1】
(式中、Rは、非置換であるかまたは不活性置換された、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルエーテルまたはケイ素含有基である)。R基は、プロピレンベースのポリマー分子と、以下に記載されているスルホニルアジドとの間で容易な反応を可能にする程十分にスルホニルアジド基を分離する、十分な炭素、酸素および/またはケイ素原子を有することができる。R基の長さに対する重要な制限はないが、各R基は、スルホニルアジド基の間に少なくとも1個の炭素またはケイ素原子を有し、約50個未満、約20個未満または約15個未満の、炭素、酸素および/またはケイ素原子を有し得る。ケイ素含有基はシランおよびシロキサンを含む。「不活性置換された」という用語は、カップリング反応または生成するカップリングポリマーの所望の特性を不本意に妨げない原子または基による置換を指す。R基は、アリール、アルキル、アリールアルカリル、アリールアルキルシラン、シロキサン、もしくは複素環式基、またはプロピレンベースのポリマー分子に対して不活性であり、記載されているようなスルホニルアジド基を分離する他の基を含み得る。ポリ(スルホニル)アジドとして、例えば、1,5−ペンタンビス(スルホニルアジド);1,8−オクタンビス(スルホニルアジド);1,10−デカンビス(スルホニルアジド);1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド);1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド);4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド);1,6−ビス(4’−スルホンアジド−フェニル)ヘキサン;2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド);ならびに1分子当たり平均1〜8個の塩素原子および2〜5個のスルホニルアジド基を含有する塩素化脂肪族炭化水素の混合したスルホニルアジドなどの化合物、ならびにこれらの任意の組合せが挙げられる。例えば、4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド)(DPOBSA)は例示的なポリ(スルホニルアジド)である:
【化2】
【0017】
「メルトフローレート」または「MFR」という用語は、ASTM D1238−10(230℃、2.16kg):Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer(押出プラストメーターによる熱可塑性樹脂のメルトフローレートの標準試験法)に従い決定される溶融粘度の尺度を指す。メルトフローレートは、10分当たりのグラム単位(g/10min)または1分当たりのデシグラム単位(dg/min)で報告される。
【0018】
「結晶化度」という用語は、以下の等式に従い、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定されるポリマー試料のパーセント結晶化度を指す:
【化3】
(式中、ΔH
mは、DSC測定を介して決定される溶融熱であり、ΔH
cは、DSC測定を介して決定される冷結晶化の熱であり、ΔH
moは、100%結晶性ポリマー基準に対する溶融熱である。)例えば、100%結晶性ポリプロピレンホモポリマーに対するΔH
mo値は207.1J/gであり、100%結晶性ポリエチレンホモポリマーに対するΔH
mo値は293.6J/gである。プロピレン−エチレンコポリマーに対するΔH
mo値は、コポリマーを形成する各モノマータイプの重量分率(X)に基づく混合の線形規則を使用して、それぞれのホモポリマーに対する値から決定することができる:
ΔH
mo(コポリマー)=(207.1J/g)(X
エチレン)+(293.6J/g)(X
プロピレン)
同様に、異なるモノマーおよび/または2種超のモノマーを含むコポリマーに対するΔH
mo値は、コポリマーを形成する各モノマータイプの重量分率(X)に基づく混合の線形規則を使用して、それぞれのモノマーからなるホモポリマーに対する値ΔH
moから決定することができる:
ΔH
mo(コポリマー)=[ΔH
mo(モノマー−1)][X
モノマー−1]+[ΔH
mo(モノマー−2)][X
モノマー−2]+…
ポリマー試料の溶融熱(ΔH
m)および冷結晶化の熱(ΔH
c)は、ASTM E793−06(2012):Standard Test Method for Enthalpies of Fusion and Crystallization by Differential Scanning Calorimetry(示差走査熱量測定による融解エンタルピーおよび結晶化の標準試験方法)に従い決定される。
【0019】
「溶融温度」という用語は、ASTM E794−06(2012):Standard Test Method for Melting And Crystallization Temperatures By Thermal Analysis(熱分析による溶融および結晶化温度の標準試験方法)に従い決定したポリマー試料の融点温度を意味する。
【0020】
「溶融強度」という用語は、Meissner、Rheol.Acta、10巻、1971年、230〜242頁に記載されているような引張りテスター「Rheotens」を使用して測定した、押し出した溶融ポリマー試料の最大引張り強度を意味する。本明細書に記載されている溶融強度値は、ASTM D3835−08:Standard Test Method for Determination of Properties of Polymeric Materials by Means of a Capillary Rheometer(キャピラリーレオメーターによりポリマー材料の特性を測定するための標準的試験法)に従い操作した、いずれもGoeettfert Werkstoff−Pruefmaschinen GMBH、Buchen、Germanyから入手可能なRHEOTENS 71.97ユニットを備えたRHEO−TESTER 2000高圧キャピラリーレオメーターを使用して測定した。12ミリメートルキャピラリーバレルを190℃のバレル温度で使用した。溶融ポリマーを、試験前に5分間190℃の試験温度で浸漬させた。溶融ポリマーストランドを、約86s
−1の見かけの壁せん断速度で、180°の入口角度を有する20ミリメートル/2ミリメートル(長さ/直径)キャピラリーダイを介して推し進めた。次いで、ポリマーストランドをRHEOTENS 71.97ユニットに供給し、2つのプルオフホイール2セットを含む直列プーリーシステムで掴んだ。ホイールスピードを調節して、ポリマーストランドに対する作用力をほぼゼロに低減した。定常状態が達成されたら、逆方向に回転するプルオフホイールの速度を連続的に増加させ、これによって、破断および/または滑りが生じるまでポリマーストランドを伸張した。プルオフホイールを加速することにより、RHEOTENS 71.97ユニットでポリマーストランドにかかる力を測定し、試験の間に記録された最大の力を、センチニュートン(cN)の単位で報告される、ポリマー試料の「溶融強度」と特定した。
【0021】
「溶融延伸性」という用語は、前述のような溶融強度試験中、破損前にRHEOTENS 71.97ユニットを介して引き込んだ溶融ポリマーストランドの最大速度を意味する。前述のように、ポリマー試料の「溶融強度」とは、加速するプルオフホイールを有する「Rheotens」引張りテスター内でこれが破損する前に、ポリマー試料の溶融ストランドを一軸延伸するのに必要とされる最大の力と定義される。溶融強度試験中、ポリマーストランド上にかかる張力の増加と、プルオフホイールを介するポリマーストランドの速度の増加の両方を測定した。試験中に記録した最大速度を、1秒当たりのミリメートル単位(mm/s)で報告される、ポリマー試料の「溶融延伸性」として特定した。
【0022】
「曲げ弾性率」という用語は、ASTM D790−10:Standard Test Methods for Flexural Properties of Unreinforced and Reinforced Plastics and Electrical Insulating Materials(非補強および強化プラスチックおよび電気絶縁材料の曲げ特性に関する標準試験法)に従い測定された曲げ変形における、固体ポリマー試料の応力対歪みの比を意味する。
【0023】
「熱変形温度」および「荷重変形温度」という用語は、ASTM D648−07:Standard Test Method for Deflection Temperature of Plastics Under Flexural Load in the Edgewise Position(エッジ方向の曲げ荷重下でのプラスチックのたわみ温度の標準試験法)に従い測定された、曲げ荷重下の固体ポリマー試料が変形する温度を意味する。
【0024】
熱可塑性材料、例えばポリスチレンは、成型、押出し、キャストまたは熱成形された製品の生成に有用である。例えば、ポリスチレン樹脂の固形物特性(例えば曲げ弾性率)、溶融レオロジー、および溶融強度により、ポリスチレンは、可撓性および剛性の包装材料(例えば、押出しシート、キャストフィルムおよび多層シートならびにフィルム構造体)の生成のための選択材料となる。これらの材料特性は、比較的に容易な溶融加工(例えば、押出し、射出成形、ブロー成形など)を提供する。しかし、他の熱可塑性材料、例えば、プロピレンベースのポリマー樹脂などと比較して、ポリスチレン樹脂は比較的高価である。逆に、あまり高価でない熱可塑性材料、例えば、プロピレンベースのポリマー樹脂などは、一般的に、ポリスチレン樹脂と比較して低い溶融加工性をもたらす溶融材料特性(例えば、溶融強度、延伸性など)を有する。
【0025】
本明細書に記載されているプロピレンベースのポリマー組成物は、改善された溶融レオロジーおよび改善された溶融強度を特徴とすることができ、これによってこの組成物は、ポリスチレン樹脂ほど高価でないという利点を依然として維持しながら、ポリスチレン樹脂相当のまたはこれよりも良い改善された溶融加工性が得られる。したがって、本明細書に記載されているプロピレンベースのポリマー組成物は、可撓性および剛性の包装材料(例えば、押出しシート、キャストフィルム、および多層シートならびにフィルム構造体)、ならびに溶融加工方法、例えば、押出し、射出成形、ブロー成形などを使用して生成される他の形成物品の生成において、ポリスチレン樹脂に対する優れた代替品を提供し得る。例えば、本明細書に記載されているプロピレンベースのポリマー組成物は、可撓性または剛性の物品、例えば、可撓性または剛性の包装基材などへと容易に熱成形可能な、単層および多層のシートおよびフィルムの生成に使用することができる。
【0026】
プロピレンベースのポリマー組成物は、プロピレンベースのポリマー樹脂およびポリ(スルホニルアジド)を含み得る。ポリ(スルホニルアジド)は、プロピレンベースのポリマー樹脂のポリマーと反応して、カップリングポリマーを生成する。したがって、プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むことができる。
【0027】
プロピレンベースのポリマー樹脂は、少なくとも50%の結晶化度を有し得る。ポリ(スルホニルアジド)は、プロピレンベースのポリマー組成物中に、組成物の総重量に対して少なくとも500ppmの量で存在し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で少なくとも20cNの溶融強度、190℃で少なくとも100mm/sの溶融延伸性、および室温で少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、少なくとも140℃の溶融温度を有し得る。
【0028】
プロピレンベースのポリマー樹脂は、ポリプロピレンホモポリマーを含み得る。代わりに、プロピレンベースのポリマー樹脂は、プロピレンとエチレンとの重合生成物を含むコポリマーを含んでもよい。プロピレンベースのポリマー樹脂は、プロピレンと1つまたは複数のα−オレフィンとの重合生成物を含むコポリマーを含み得る。例えば、プロピレンベースのポリマー樹脂は、プロピレンモノマー、ならびに任意選択で、エチレンおよび/または1つもしくは複数のα−オレフィンモノマー、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、および/もしくは1−ドデセンなどから生成することができる。1つまたは複数のα−オレフィンコモノマーを含むコポリマーを含むプロピレンベースのポリマー樹脂は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、および1−ドデセンからなる群から選択される1つまたは複数のα−オレフィンコモノマーの任意の組合せを含み得る。プロピレンベースのポリマー樹脂がプロピレン/エチレンコポリマーまたはプロピレン/α−オレフィンコポリマーを含む例では、コポリマーは、コポリマーの全コモノマー重量に対して、50重量%超のプロピレンコモノマー、ならびに50重量%未満のエチレンおよび/またはα−オレフィンコモノマーを含み得る。例えば、プロピレンベースコポリマー樹脂は、コポリマーの全コモノマー重量に対して、51重量%〜99重量%のプロピレンコモノマー、ならびに1重量%〜49重量%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィンコモノマー、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、55〜99%のプロピレンならびに1〜45%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、65〜99%のプロピレンならびに1〜35%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、75〜99%のプロピレンならびに1〜25%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、85〜99%のプロピレンならびに1〜15%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、55〜95%のプロピレンならびに5〜45%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、65〜85%のプロピレンならびに15〜35%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、75〜85%のプロピレンならびに15〜25%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィン、または75〜95%のプロピレンならびに5〜25%のエチレンおよび/もしくはα−オレフィンを含むことができる。
【0029】
プロピレンベースのポリマー樹脂は、気相重合方法を使用して生成することができる。例えば、プロピレンモノマー反応物質(任意選択のエチレンおよび/またはα−オレフィンコモノマー反応物質と共に)を、流動床反応器へと供給し、ここで、反応物質を、重合触媒、例えば、チーグラーナッタ重合触媒などと接触させることができる。適切なチーグラーナッタ重合触媒は、非メタロセンチーグラーナッタ触媒、同種または異種のチーグラーナッタ触媒、および担持されたチーグラーナッタ触媒を含み、任意の必要な助触媒を含む。適切な触媒は、例えば、UnipolおよびSpheripolタイプの重合プロセスにおける使用のためのチーグラーナッタ触媒系を含む。このような触媒系として、これらに限定されないが、SHAC(登録商標)およびCONSISTA(登録商標)触媒系(W.R.Grace&Co.、Columbia、MD、USAから入手可能)を挙げることができる。
【0030】
プロピレンベースのポリマー樹脂は、少なくとも50%の結晶化度、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、50〜99%、50〜95%、50〜90%、50〜80%、60〜99%、60〜95%、60〜90%、60〜80%、70〜99%、70〜95%、70〜90%、もしくは70〜80%などの結晶化度を有することができる。プロピレンベースのポリマー樹脂は、少なくとも1.8g/10分のメルトフローレート、例えば、1.8〜50.0g/10分など、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、2.0〜50.0g/10分、5.0〜40.0g/10分、10.0〜40.0g/10分、15.0〜40.0g/10分、15.0〜30.0g/10分、もしくは15.0〜25.0g/10分などのメルトフローレートを有することができる。
【0031】
ポリ(スルホニルアジド)は、2つのスルホニルアジド基を含む少なくとも1つのビス(スルホニルアジド)化合物を含み得る。例えば、ポリ(スルホニルアジド)は、少なくとも1つの以下の式の化合物を含み得る:
【化4】
(式中、Rは、非置換であるかまたは不活性置換された、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルエーテルまたはケイ素含有基である)。R基は、例えば、アリール、アルキル、アリールアルカリル、アリールアルキルシラン、シロキサンもしくは複素環式基、またはプロピレンベースのポリマー分子に対して不活性である他の基を含んでもよい。
【0032】
ポリ(スルホニル)アジドは、1,5−ペンタンビス(スルホニルアジド);1,8−オクタンビス(スルホニルアジド);1,10−デカンビス(スルホニルアジド);1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド);1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド);4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド);1,6−ビス(4’−スルホンアジド−フェニル)ヘキサン;2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド);1分子当たり平均1〜8個の塩素原子および2〜5個のスルホニルアジド基を含有する塩素化脂肪族炭化水素の混合したスルホニルアジド、またはこれらの任意の組合せを含み得る。ポリ(スルホニル)アジドは、4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド)(DPOBSA)を含み得る:
【化5】
【0033】
プロピレンベースのポリマー組成物は、プロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)とを物理的に混合することによって生成することができる。プロピレンベースのポリマー樹脂およびポリ(スルホニルアジド)は、例えば適切な混合装置、例えば、V−ブレンダー、リボンブレンダー、パドルブレンダー、タンブリングドラム、または押出し機、例えば2軸押出し機もしくはペレットもしくは他の押出物の形態を押し出す他の押出しデバイスなどの中で混合することができる。
【0034】
押出し機内でプロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)とを混合することを含む例において、物理的混合は、単一の押出しステップ内で行うことができる。例えば、プロピレンベースのポリマー樹脂およびポリ(スルホニルアジド)は、例えば、2軸押出し機の初期段階などにおいて、混ぜ合わせ装置を用いて混合し、プロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)とが反応して、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を生成する、単一の反応性の押出し操作を介して加工することができる。
【0035】
プロピレンベースのポリマー樹脂およびポリ(スルホニルアジド)は、プロピレンベースのポリマー樹脂およびポリ(スルホニルアジド)を、例えば、主要フィードホッパーを介してまたは複数のフィーダーを介して、押出し機のフィードセクションに同時に導入することによって物理的に混合することができる。任意選択で、ポリ(スルホニルアジド)は、プロピレンベースのポリマー樹脂の固体ペレットまたは他の固体粒子と予めブレンドして、マスターバッチを形成することができ、このマスターバッチを、押出し機のフィードセクションを介して供給する。代わりに、ポリ(スルホニルアジド)を、例えば、サイドフィーダーを介して樹脂フィードゾーンの押出し機ダウンストリームに加えることもできる。
【0036】
押出しの間、プロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)との混合物は、ポリ(スルホニルアジド)およびポリオレフィンを反応させ、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を形成させるのに十分な温度まで加熱することができる。例えば、プロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)との混合物は、190℃〜280℃の範囲の温度、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、200〜275℃、205〜260℃、205〜255℃、230〜255℃、もしくは240〜260℃などまで加熱することができる。押出し機内での、プロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)との混合物の反応温度での滞留時間は、例えば、15秒〜60秒、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、15〜35秒もしくは15〜30秒などの範囲とすることができる。
【0037】
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物は、押出し機または他の混合装置から出し、冷却し、固化し、ペレット化する(すなわち、ペレット、顆粒、または他の自由な流動性のある固体形態にする)か、または直ちに他の熱可塑性樹脂と溶融ブレンドすることができる。例えば、溶融したプロピレンベースのポリマー組成物は、第1の押出し機または他の混合装置から第2の押出しまたは他の混合装置へと供給し、そこでプロピレンベースのポリマー組成物を、別の熱可塑性樹脂、例えば、非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂および/またはエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマー、例えばプロピレンコモノマーなどとのコポリマーを含む非カップリングコポリマー樹脂とブレンドすることができる。代わりに、冷却し、固化し、およびペレット化したプロピレンベースのポリマー組成物は、ダウンストリーム溶融加工用に再溶融して、例えば、他の熱可塑性樹脂とブレンドし、および/または様々な操作(例えば、キャスティング、押出加工、成形など)を使用して、様々な中間体または最終用途の製品形態(例えば、単層および多層のシートおよびフィルム)を生成することができる。ペレット化したプロピレンベースのポリマー組成物は、貯蔵し、さらなるブレンドまたは製品の生産のために生産現場に輸送することができる。
【0038】
ポリ(スルホニルアジド)は、組成物の総重量に対して少なくとも500ppmの量、例えば、500〜7500ppm、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、500〜7000ppm、500〜5000ppm、500〜4000ppm、500〜3000ppm、500〜2000ppm、500〜1000ppm、1000〜2000ppm、1000〜7000ppm、もしくは2000〜7000ppmなどの量でプロピレンベースのポリマー組成物中に存在し得る。プロピレンベースのポリマー樹脂は、粘液質化した形態のポリ(スルホニルアジド)と混合することができ、この形態では、ポリ(スルホニルアジド)は、抗酸化剤化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などと予備混合されていることが可能である。
【0039】
プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で少なくとも20cNの溶融強度、例えば、20〜120cN、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、25〜115cN、25〜100cN、30〜100cN、25〜95cN、30〜80cN、もしくは25〜75cNなどの溶融強度を有することができる。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で少なくとも100mm/s、少なくとも120mm/s、少なくとも125mm/s、少なくとも130mm/s、少なくとも140mm/s、少なくとも150mm/s、もしくは少なくとも170mm/sの溶融延伸性を有することができる。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で175mm/sまで、185mm/sまで、195mm/sまで、または200mm/sまでの溶融延伸性を有することができる。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で100〜200mm/sの範囲の溶融延伸性、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、120〜200mm/s、125〜175mm/s、135〜175mm/s、140〜175mm/s、145〜175mm/s、もしくは140〜170mm/sなどの溶融延伸性を有することができる。プロピレンベースのポリマー組成物は、160℃〜170℃の範囲の溶融温度、および少なくとも120℃または少なくとも130℃の結晶化温度を有することができる。
【0040】
プロピレンベースのポリマー組成物は、少なくとも1.8g/10分間のメルトフローレート、例えば、1.8〜50.0g/10分間など、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、2.0〜50.0g/10分間、5.0〜40.0g/10分間、10.0〜40.0g/10分間、15.0〜40.0g/10分間、15.0〜30.0g/10分間、もしくは15.0〜25.0g/10分間などのメルトフローレートを有することができる。プロピレンベースのポリマー組成物は、10未満または18超である、溶融強度対メルトフローレートの比(MS/MFR)を有することができる。
【0041】
前述のように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物は、他の熱可塑性樹脂、例えば非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂など、および/またはエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマー、例えばプロピレンコモノマーなどとのコポリマーを含む非カップリングコポリマー樹脂とブレンドすることができる。プロピレンベースのポリマー組成物のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂はまた、ホモポリマープロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、およびポリ(スルホニルアジド)の溶融ブレンドした混合物を含み得る。
【0042】
1つの例では、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を溶融し、非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂を溶融し、溶融した樹脂をブレンドする。別の例では、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を溶融し、エチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマー(例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマー)を含む非カップリングコポリマー樹脂を溶融し、溶融した樹脂をブレンドする。樹脂のブレンドは、ブレンド装置、例えば、押出し機などの中で実施することができる。
【0043】
別の例では、ホモポリマープロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、およびポリ(スルホニルアジド)を含む混合物は、溶融ブレンドして、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を生成し、この生成したポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を、非カップリングプロピレンベースのポリマー樹脂(例えば、非カップリングホモポリマーポリプロピレン)または他の非カップリング熱可塑性樹脂と溶融ブレンドして、乾式ブレンドする。
【0044】
したがって、プロピレンベースのポリマー組成物は、プロピレンベースのポリマー樹脂、ポリ(スルホニルアジド)(すなわち、プロピレンベースのポリマー樹脂をカップリング)、および1つまたは複数のさらなる熱可塑性樹脂、例えば、非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂および/またはエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む非カップリングコポリマー樹脂(例えば、エチレン−プロピレンコポリマー樹脂)を含むことができる。プロピレンベースのポリマー組成物はまた、プロピレンベースのポリマー樹脂、エチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマー(例えば、エチレン−プロピレンコポリマー樹脂)、ポリ(スルホニルアジド)(すなわち、プロピレンベースのポリマー樹脂およびエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーをカップリング)、および1つまたは複数のさらなる熱可塑性樹脂、例えば非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂などを含むことができる。このようなブレンドしたプロピレンベースのポリマー組成物は、少なくとも20cNの溶融強度、少なくとも100mm/sの溶融延伸性、および少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有することができる。
【0045】
プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を、非カップリングホモポリマーポリプロピレン、非カップリングプロピレン−エチレンコポリマー、非カップリングプロピレン−α−オレフィンコポリマー、カップリングしたプロピレン−エチレンコポリマー、および/またはカップリングしたプロピレン−α−オレフィンコポリマーのうちの任意の1つまたは複数と組み合わせて含み得る。2種またはそれ超のタイプのポリマー(例えば、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂および非カップリングホモポリマーポリプロピレンおよび/または非カップリングプロピレン−エチレンコポリマー)を含む例において、カップリングおよび非カップリング成分は溶融混ぜ合わせ(例えば、2軸押出し機内で)または乾式ブレンドによりブレンドすることができる。ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂と非カップリングポリマー樹脂(例えば、非カップリングホモポリマーポリプロピレンおよび/または非カップリングプロピレン−エチレンコポリマー)とのブレンドは、1:99〜99:1の範囲のカップリングポリマー樹脂対非カップリングポリマー樹脂の重量比、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、5:95〜95:5、10:90〜90:10、15:85〜85:15、20:80〜80:20、25:75〜75:25、20:80〜60:40、20:80〜50:50、もしくは20:80〜40:60などを含み得る。
【0046】
したがって、プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)および非カップリングポリマー樹脂(複数可)の総重量に対して、1〜99%の1つまたは複数のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)、および1〜99%の1つまたは複数の非カップリングポリマー樹脂(複数可)を含み得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)および非カップリングポリマー樹脂(複数可)の総重量に対して、1〜99%の1つまたは複数のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、5〜95%、10〜90%、10〜85%、15〜85%、10〜80%、15〜80%、20〜80%、15〜75%、20〜75%、25〜75%、20〜70%、30〜70%、30〜60%、35〜60%、もしくは35〜55%などを含み得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)および非カップリングポリマー樹脂(複数可)の総重量に対して、1〜99%の1つまたは複数のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(複数可)、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、5〜95%、10〜90%、10〜80%、15〜80%、20〜80%、15〜75%、20〜75%、25〜75%、20〜70%、40〜80%、45〜75%、もしくは55〜65%などを含み得る。
【0047】
プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(例えば、ホモポリマープロピレン樹脂、エチレンとα−オレフィン、例えばプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、およびポリ(スルホニルアジド)の溶融ブレンドした混合物を含む)および非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂を含み得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、ASTM D256−10e1:Standard Test Methods for Determining the Izod Pendulum Impact Resistance of Plastics(プラスチックのアイゾット振子耐衝撃性を決定するための標準試験法)に従い測定して、室温で、1インチ当たり1.10フィート−ポンド(ft−lb/in)超もしくはこれに等しい、1.15ft−lb/in超もしくはこれに等しい、1.20ft−lb/in超もしくはこれに等しい、1.25ft−lb/in超もしくはこれに等しい、1.30ft−lb/in超もしくはこれに等しい、1.35ft−lb/in超もしくはこれに等しい、または1.40ft−lb/in超もしくはこれに等しいアイゾット耐衝撃性を示し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で20cN超もしくはこれに等しい、25CN超もしくはこれに等しい、30cN超もしくはこれに等しい、または35cN超もしくはこれに等しい溶融強度を示し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で125mm/s超もしくはこれに等しい、135mm/s超もしくはこれに等しい、145mm/s超もしくはこれに等しい、155mm/s超もしくはこれに等しい、または165mm/s超もしくはこれに等しい溶融延伸性を示し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、総重量に対して15〜95%のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、15〜85%、15〜75%、20〜90%、20〜80%、35〜65%、もしくは40〜60%のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含み得る。
【0048】
プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂(例えば、ホモポリマープロピレン樹脂、エチレンとα−オレフィン、例えばプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、およびポリ(スルホニルアジド)の溶融ブレンドした混合物を含む)および非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂を含み得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、ASTM D256−10e1:Standard Test Methods for Determining the Izod Pendulum Impact Resistance of Plastics(プラスチックのアイゾット振子耐衝撃性を決定するための標準試験法)に従い測定して、室温で、1.10〜1.50ft−lb/inの範囲のアイゾット耐衝撃性;190℃で20〜40cNの範囲の溶融強度;および190℃で120〜170mm/sの範囲(またはその中に含まれる任意の部分範囲)の溶融延伸性を示し得る。プロピレンベースのポリマー組成物は、総重量に対して15〜95%(またはその中に含まれる任意の部分範囲)のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含み得る。
【0049】
非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂ならびにホモポリマープロピレン樹脂、エチレンとα−オレフィン、例えばプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、およびポリ(スルホニルアジド)の混合物を含むポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物の例では、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂は、(ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂の総重量に対して)90〜99%の、少なくとも50%の結晶化度を有するホモポリマープロピレン樹脂、1〜10%のコポリマー樹脂、および500〜3000ppmのポリ(スルホニルアジド)(またはその中に含まれる任意の部分範囲)を含み得る。このような例では、プロピレンベースのポリマー組成物は、(組成物の総重量に対して)20〜80%のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および20〜80%の非カップリングホモポリマープロピレン樹脂を含み得る。前述のように、プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で少なくとも20cNの溶融強度、190℃で少なくとも145mm/sの溶融延伸性、室温で1.20ft−lb/in超もしくはこれに等しいアイゾット耐衝撃性(ASTM D256−10e1に従い測定)、および室温で少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有し得る。
【0050】
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマーは、非カップリングプロピレン−エチレンコポリマーおよび/または非カップリングプロピレン−α−オレフィンコポリマーをさらに含むインパクトコポリマーポリプロピレン(ICP)組成物に組み込むことができる。一般的に、プロピレンベースのポリマーは良好な熱安定性および高い化学抵抗性を示すが、特に低温で比較的低い耐衝撃性を示し得る。この問題に取り組むため、プロピレンベースのポリマーが連続的マトリックス相を形成し、エラストマープロピレン−エチレンコポリマーおよび/またはエラストマープロピレン−α−オレフィンコポリマーが、プロピレンベースのポリマーマトリックス内で分散したゴム相を形成するICPにプロピレンベースのポリマーを組み込むことができる。
【0051】
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマーマトリックス相、ならびにプロピレン−エチレンコポリマーおよび/またはプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含む分散したゴム相を含むICP組成物において、マトリックス相は、ゴム相とマトリックス相とを合わせた重量に対して、ICP組成物の50重量%〜95重量%を構成してもよく、分散したゴム相はICP組成物の5重量%〜50重量%を構成してもよい。マトリックス相は、ゴム相とマトリックス相とを合わせた重量に対して、ICP組成物の50%〜95%、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、ICP組成物の60〜95%、70〜95%、75〜95%、80〜95%、もしくは85〜95%などを構成してもよい。分散したゴム相は、ゴム相とマトリックス相とを合わせた重量に対して、ICP組成物の5%〜50%、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、ICP組成物の5〜40%、5〜30%、5〜25%、5〜20%、もしくは5〜15%などを構成してもよい。
【0052】
ICP組成物の分散したゴム相は、プロピレン−エチレンコポリマーを含み得る。プロピレン−エチレンコポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーの総コモノマー重量に対して、25重量%〜95重量%のエチレンモノマー、および5重量%〜75重量%のプロピレンモノマーを含み得る。プロピレン−エチレンコポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーの総コモノマー重量に対して、25重量%〜95重量%のエチレンモノマー、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、50〜90%、50〜80%、50〜75%、もしくは55〜70%などを含み得る。プロピレン−エチレンコポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーの全コモノマー重量に対して、5重量%〜75重量%のプロピレンモノマー、またはその中に含まれる任意の部分範囲、例えば、10〜50%、20〜50%、25〜50%、もしくは30〜45%などのプロピレンモノマーを含み得る。
【0053】
ICP組成物の分散したゴム相に対して適切な他のポリマーの例は、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許出願公開2014−0194577A1;2012−0157599A1;および2014−0107274A1に記載されている。これらのポリマーは、上に記載のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマーを含む、マトリックス相に分散させたゴム相を形成し得る。
【0054】
上に記載されている例に従い、プロピレンベースのポリマー組成物は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、ならびに任意選択で、第1のさらなる樹脂(例えば、非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂)、第2のさらなる樹脂(例えば、エチレン/α−オレフィンコポリマーを含むカップリングまたは非カップリング樹脂)、および/または第3のさらなる樹脂(例えば、エチレン/α−オレフィンコポリマーを含むカップリングまたは非カップリング樹脂)を含むことができる。
【0055】
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および、任意選択で他の熱可塑性ポリマー樹脂(例えば、ICP組成物または他の形態)を含むプロピレンベースのポリマー組成物は、様々な他の任意選択の成分とブレンドしてもよい。例えば、様々な添加剤を、様々な目的のため、プロピレンベースのポリマー組成物に任意選択で組み込むことができる。このような添加剤として、例えば、抗酸化剤(例えば、ヒンダードフェノール、例えば、BASF Corporationから入手可能なIrganox(商標)1010、およびホスフィット、例えば、BASF Corporationから入手可能なIrgafos(商標)168など)、酸スカベンジャー(例えば、ステアリン酸カルシウム)、核剤(例えば、Amfine Corporationから入手可能なNA−11およびNA−71、ならびにMilliken Chemical Co.から入手可能なHyperform HPN−600eiおよびHPN−68L)、ミネラル充填剤(例えば、タルク)、および帯電防止剤/滑沢剤(例えば、モノステアリン酸グリセロール)が挙げられる。さらなる添加剤として、例えば、光学的光沢剤、安定剤、粘着添加剤(例えば、ポリイソブチレン)、ポリマー加工助剤(例えば、3M Corporationから入手可能なDynamar(商標)5911、またはMomentive Performance Materialsから入手可能なSilquest(商標)PA−1)、着色剤、透明化剤(例えば、Milliken Chemical Co.から入手可能なMillad 3988iおよびMillad NX8000)、粘着防止剤、ワックス、抗菌剤、およびUV安定剤が挙げられる。添加剤は、例えば、2軸押出し機を使用する共押出しにより、プロピレンベースのポリマー組成物とブレンドすることができる。
【0056】
プロピレンベースのポリマー組成物は、様々な用途で使用することができる。例えば、プロピレンベースのポリマー組成物を使用して、単層および多層のシートおよびフィルムを生成することができ、次にこれらを使用して、可撓性および剛性の包装基材を生成することができる。プロピレンベースのポリマー組成物を含む単層および多層のシートおよびフィルムは、熱成形させて、可撓性または剛性の物品、例えば、可撓性または剛性の包装基材などを生成することができる。プロピレンベースのポリマー組成物はまた、溶融加工方法、例えば、押出し、射出成形、ブロー成形、回転成形などを使用して成型されるか、または他の方法で形成される物品を生成するために使用することもできる。
【実施例】
【0057】
以下の実施例では、TA Instruments 200示差走査熱量計を使用して非等温DSCスイープを行うことにより示差走査熱量測定を実施した。試験体を200℃で5分間平衡化して、完全な溶融を確実にした。次いで、溶融物を10℃/minの速度で−50℃に冷却した。溶融結晶化発熱のピーク温度を結晶化温度(T
mc)として記録した。次いで、試験体を、10℃/minの速度で加熱して200℃に戻し、溶融吸熱のピークを融点温度(T
m)として記録した。報告された引張特性をASTM D638−14:Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics(プラスチックの引張特性の試験方法)に従い測定した。他の特性は前述のように決定した。
【0058】
(実施例1)〜(実施例6):ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物を、以下の成分を二軸スクリュー押出しすることより生成した:
・チーグラーナッタ触媒を使用して生成された、18g/10minのメルトインデックスを有するポリプロピレンホモポリマー樹脂;
・IRGANOX(登録商標)1010抗酸化剤中に粘液質化した4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド)(DPOBSA)を含有する分子の溶融物;
・IRGANOX(登録商標)B225抗酸化剤;
・IRGAFOS(登録商標)168抗酸化剤;および
・ステアリン酸カルシウム。
IRGANOX(登録商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。IRGAFOS(登録商標)168はトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィットである。IRGANOX(登録商標)B225は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(登録商標)1010)とトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット(IRGAFOS(登録商標)168)との50/50重量パーセントブレンドである。
【0059】
実施例1〜6の配合が以下の表1に示されている。表の中で、「押出し機のタイプ」と表示された列は、成分を混合するために使用した2軸押出し機(TSE)のねじサイズを特定している。「溶融温度」は、ダイ付近の押出し機バレルへ挿入されたサーモカップルにより記録された測定温度を指す。「滞留時間」とは、溶融混合中にポリ(スルホニルアジド)およびポリプロピレン樹脂が接触していた時間の量として推定されている。実施例1〜6の測定された特性は以下の表2に示されており、比較例CE1〜CE6として識別され、そして表3に示されている市販のポリプロピレン樹脂の特性と比較されている。
【0060】
比較例1(CE−1)は、DAPLOY(商標)WB140(Borealis AGから入手可能)であり、これは、高い溶融強度を有するが、低い剛性および低い温度抵抗性を有する構造的に異性体改質されたポリプロピレンホモポリマーである。比較例2(CE−2)は、INSPIRE(商標)6025N(Braskem America,Inc.から入手可能)であり、外部の結晶核剤を含有する商用グレードのポリプロピレンホモポリマーである。比較例3および4(CE−3およびCE−4)は、高い溶融強度および非常に低いメルトフローレートを有する直鎖グレードのポリプロピレンホモポリマーである。比較例5(CE−5)は、INSPIRE(商標)114(Braskem America,Inc.から入手可能)、すなわち商用グレードのインパクトコポリマーポリプロピレン(ICP)である。比較例6(CE−6)は高い結晶性ポリプロピレンホモポリマーである。
【0061】
実施例1〜6は、本発明のプロピレンベースのポリマー組成物が、市販の高溶融強度のポリプロピレン樹脂(例えば、DAPLOY(商標)WB140(CE−1))よりも高い結晶化度および曲げ弾性率を有することを実証している。さらに、実施例1〜5は、本発明のプロピレンベースのポリマー組成物はまた、従来のポリプロピレン樹脂(例えば、CE−2、CE−3、およびCE−4)と比較して有意により高い溶融延伸性および高い溶融強度を示すことを示している。高い剛性はまた、本発明の実施例のデルタH値、曲げ弾性率、および熱変形温度(荷重下での変形温度)で示されている。
【表1】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【0062】
(実施例7)〜(実施例19):ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂と非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂とのブレンドを含むプロピレンベースのポリマー組成物
ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂と非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂とをブレンドすることによって、プロピレンベースのポリマー組成物を生成した。ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を以下の成分(総重量に対するパーセント)を溶融ブレンドすることにより生成した:
・チーグラーナッタ触媒を使用して生成された、35g/10minのメルトインデックスを有する、94.34%のポリプロピレンホモポリマー樹脂;
・5.0%のVISTAMAXX(商標)7010FL(Exxon Mobile Chemical Companyから入手可能な、メタロセンで触媒した、プロピレンおよびエチレンのアイソタクチックランダムコポリマー);
・IRGANOX(登録商標)1010抗酸化剤中に粘液質化した、726ppm(分子溶融物の総重量に対して)の4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド)(DPOBSA)を含有する、0.55%の分子溶融物(ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂の総重量に対して1320ppmのDPOBSA);
・0.06%のIRGAFOS(登録商標)168抗酸化剤;ならびに
・0.05%のステアリン酸カルシウム。
【0063】
以下の表4に示されているように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を、2.5g/10minの公称メルトフローレートを有するホモポリマーポリプロピレン樹脂(INSPIRE 6025N、Braskem America,Inc.から入手可能)と様々な割合でブレンドした。以下の表4に示されているように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を、0.5g/10minの公称メルトフローレートを有するインパクトコポリマーポリプロピレン樹脂(INSPIRE114、Braskem America,Inc.から入手可能)と様々な割合でブレンドした。ブレンド成分をWileyミル内で微細な粉末へと粉砕し、Patterson−Kelly V−ブレンダー内で15分間乾式ブレンドした。
【表4】
【0064】
以下の材料特性をブレンドおよびブレンド成分について測定した:荷重たわみ温度(DTUL)−ASTM D648−07:Standard Test Method for Deflection Temperature of Plastics Under Flexural Load in the Edgewise Position(エッジ方向の曲げ荷重下でのプラスチックのたわみ温度の標準試験法);室温での引張タンジェント弾性率−ASTM D638−14:Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics(プラスチックの引張特性の試験方法);室温での曲げ弾性率(1%割線)−ASTM D790−10:Standard Test Methods for Flexural Properties of Unreinforced and Reinforced Plastics and Electrical Insulating Materials(非補強および強化プラスチックおよび電気絶縁材料の曲げ特性に関する標準試験法);室温でのアイゾット耐衝撃性−ASTM D256−10e1:Standard Test Methods for Determining the Izod Pendulum Impact Resistance of Plastics(プラスチックのアイゾット振子耐衝撃性を決定するための標準試験法);および室温での高速多軸衝撃エネルギー吸収(3.2mmの高粘度試験体)−ASTM D3763−15:Standard Test Method for High Speed Puncture Properties of Plastics Using Load and Displacement Sensors(荷重センサと変位センサを用いたプラスチックの高速穿刺特性の標準試験法)。材料特性は以下の表5および6において報告されている。
【表5】
【表6】
【0065】
上記結果が示すように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および非カップリンホモポリマーポリプロピレン樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物は、引張係数または曲げ弾性率の任意の低減を付随して生じることなく、相乗的に増加したアイゾット耐衝撃性を示す。例えば、以下の表7は、各ブレンドについて測定されたアイゾット耐衝撃性値を、2つのブレンド成分について測定されたアイゾット耐衝撃性値の質量加重した平均に対応する、各ブレンドについて予想されたアイゾット耐衝撃性値と比較している。
【表7】
【0066】
表7に示されているように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂と非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂との組合せは、ブレンドした樹脂について予想されたアイゾット耐衝撃性よりも約9%〜約76%上回る範囲であるアイゾット耐衝撃性を示している。さらに、表5において上記に示されているように、引張りおよび曲げ弾性率として測定された剛性における任意の感知できるほどの低減なしに、予想されたアイゾット耐衝撃性を上回る増加が、測定されたアイゾット耐衝撃性に生じている。衝撃靱性における改善は複合則の下で予想されるものを超え、プロピレンベースのポリマー組成物の剛性(材料係数として測定)はプロピレンベースのポリマー組成物の衝撃靱性(材料のアイゾット耐衝撃性として測定)に一般的に反比例することから、これらの結果は驚くべき、予期せぬものである。
【0067】
上に記載されている特性に加えて、ASTM D3835−08:Standard Test Method for Determination of Properties of Polymeric Materials by Means of a Capillary Rheometer(キャピラリーレオメーターによりポリマー材料の特性を測定するための標準的試験法)に従い操作した、いずれもGoeettfert Werkstoff−Pruefmaschinen GMBH、Buchen、Germanyから入手可能な、RHEOTENS 71.97ユニットを備えたRHEO−TESTER 2000高圧キャピラリーレオメーターを使用して、実施例7、8、および13〜16の溶融強度および溶融延伸性を測定した。これらの特性は、各ブレンドについて測定された値を、2つのブレンド成分についての測定された値の質量加重した平均に対応する、各ブレンドについて予想された値と比較もしている以下の表8および9に報告されている。
【表8】
【表9】
【0068】
したがって、衝撃靱性における驚くべき、予期せぬ改善に加えて、表8および9に示されているように、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂と非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂との組合せは、ブレンドされた樹脂について予想された溶融強度よりも8.5%〜39.9%上回る範囲の溶融強度を示し、ブレンドされた樹脂について予想された溶融延伸性よりも0.4%〜12.5%上回る範囲の溶融延伸性を示す。これらの結果は、ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂および非カップリングホモポリマーポリプロピレン樹脂を含むプロピレンベースのポリマー組成物は、引張係数または曲げ弾性率のいかなる低減をも付随して生じることなく、相乗的に増加したアイゾット耐衝撃性、溶融強度、および溶融延伸性を示すことを示している。
【0069】
本発明の態様
本発明の様々な態様、特性および特徴として、これらに限定されないが、以下の番号付けされた条項が挙げられる。
【0070】
条項1. 少なくとも50%の結晶化度を有するプロピレンベースのポリマー樹脂、および
ポリ(スルホニルアジド)
を含む、プロピレンベースのポリマー組成物であって、
190℃で少なくとも20cNの溶融強度、190℃で少なくとも100mm/sの溶融延伸性、および室温で少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有する、プロピレンベースのポリマー組成物。
【0071】
条項2. 前記プロピレンベースのポリマー樹脂がポリプロピレンホモポリマーである、条項1に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0072】
条項3. 前記ポリ(スルホニルアジド)を前記組成物の総重量に対して500ppm〜3000ppm含む、条項1または条項2に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0073】
条項4. 前記ポリ(スルホニルアジド)を前記組成物の総重量に対して1,000ppm〜2,000ppm含む、条項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0074】
条項5. 前記プロピレンベースのポリマー樹脂が、60%〜90%の範囲の結晶化度を有する、条項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0075】
条項6. 前記プロピレンベースのポリマー樹脂が70%〜80%の範囲の結晶化度を有する、条項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0076】
条項7. 190℃で25cN〜100cNの範囲の溶融強度を有する、条項1〜6のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0077】
条項8. 66psiの荷重下で、101℃超である熱変形温度を有する、条項1〜7のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0078】
条項9. 160℃〜170℃の範囲の溶融温度を有する、条項1〜8のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0079】
条項10. 10未満である、溶融強度対メルトフローレートの比(MS/MFR)を有する、条項1〜9のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0080】
条項11. 18超である、溶融強度対メルトフローレートの比(MS/MFR)を有する、条項1〜9のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0081】
条項12. 第1の非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂をさらに含む、条項1〜11のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0082】
条項13. 第2のポリオレフィン樹脂をさらに含み、前記第2のポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー樹脂またはエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む樹脂を含む、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0083】
条項14. 第3の非カップリングポリオレフィン樹脂さらに含み、前記第3の非カップリングポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー樹脂またはエチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む樹脂を含む、条項13に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0084】
条項15. 添加剤をさらに含む、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0085】
条項16. ミネラル充填剤をさらに含む、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0086】
条項17. ASTM D256−10e1に従い測定して、室温で1.20ft−lb/in超またはこれに等しいアイゾット耐衝撃性を示す、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0087】
条項18. 190℃で30cN超またはこれに等しい溶融強度を示す、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0088】
条項19. 190℃で145mm/s超またはこれに等しい溶融延伸性を示す、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0089】
条項20. 前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂を前記組成物の総重量に対して20〜80%含む、条項12に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0090】
条項21. エチレンとプロピレンとのコポリマーを含む非カップリングコポリマー樹脂をさらに含む、条項1〜12のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0091】
条項22. エチレンとプロピレンとのコポリマーを含むカップリングコポリマー樹脂をさらに含む、条項1〜12のいずれか一項に記載プロピレンベースのポリマーの組成物。
【0092】
条項23. プロピレンベースのポリマー組成物であって、前記組成物は、20〜80%(前記組成物の総重量に対して)のポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および
20〜80重量%(前記組成物の総重量に対して)の非カップリングホモポリマープロピレン樹脂
を含み、
前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂が、
90〜99%(前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂の総重量に対して)の、少なくとも50%の結晶化度を有するホモポリマープロピレン樹脂、
1〜10%(前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂の総重量に対して)の、エチレンとプロピレンとのコポリマーを含むコポリマー樹脂、および
1000〜2000ppm(前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂の総重量に対して)のポリ(スルホニルアジド)
を含み、
前記プロピレンベースのポリマー組成物は、190℃で少なくとも20cNの溶融強度、190℃で少なくとも145mm/sの溶融延伸性、室温で1.20ft−lb/in超またはこれに等しいアイゾット耐衝撃性(ASTM D256−10e1に従い測定)、および室温で少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有する、プロピレンベースのポリマー組成物。
【0093】
条項24. 20〜80%(前記組成物の総重量に対して)の前記ポリ(スルホニルアジド)がカップリングしたプロピレンベースのポリマー樹脂、および20〜80%(前記組成物の総重量に対して)の前記非カップリングホモポリマープロピレン樹脂を含む、条項23に記載のプロピレンベースのポリマー組成物。
【0094】
条項25. 条項1から24のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物を含む、シートまたはフィルム。
【0095】
条項26. 条項1から24のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物を含む、熱成形されたシートまたはフィルム。
【0096】
条項27. 条項1から24のいずれか一項に記載のプロピレンベースのポリマー組成物を含む、剛性包装基材。
【0097】
条項28. 少なくとも50%の結晶化度を有するプロピレンベースのポリマー樹脂を溶融するステップ、および溶融したプロピレンベースのポリマー樹脂とポリ(スルホニルアジド)とを単一の押出しステップで混合するステップを含むプロピレンベースのポリマー組成物を生成する方法であって、混合が、190℃で少なくとも20cNの溶融強度、190℃で少なくとも100mm/sの溶融延伸性、および室温で少なくとも240,000psiの曲げ弾性率を有する、カップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物を生成する、カップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物を生成する方法。
【0098】
条項29. カップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物を凝固するステップ、およびカップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物をペレット化するステップをさらに含む、条項28に記載の方法。
【0099】
条項30. カップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物を溶融するステップ、非カップリングポリプロピレンホモポリマー樹脂を溶融するステップ、および溶融したカップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物と非カップリング溶融ポリプロピレンホモポリマー樹脂とをブレンドするステップをさらに含む、条項28または条項29に記載の方法。
【0100】
条項31. カップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物を溶融するステップ、エチレンと少なくとも1つのC
3〜C
12α−オレフィンコモノマーとのコポリマーを含む非カップリングコポリマー樹脂を溶融するステップ、および溶融したカップリングしたプロピレンベースのポリマー組成物と溶融した非カップリングコポリマー樹脂とをブレンドするステップとをさらに含む、条項28または条項29に記載の方法。
【0101】
条項33. 非カップリングコポリマー樹脂が、エチレンとプロピレンとのコポリマーを含む、条項31に記載の方法。
【0102】
本発明の様々な特性および特徴が、開示された組成物および生成物の生成および特性の全面的理解を提供するために本明細書に記載されている。本明細書に記載されている様々な特性および特徴は、このような特性および特徴が本明細書において組み合わせて明示的に記載されているか、または例示されているかどうかに関わらず、任意の適切な方式で組み合わせることができることが理解される。出願人は、特性および特徴のこのような組合せが、本明細書の範囲内に含まれることを明示的に意図する。よって、特許請求の範囲は、本明細書により明示的にもしくは本質的に記載されている、またはさもなければ明示的にもしくは本質的に支持されている、任意の特性および特徴を、任意の組合せで列挙するように補正することができる。さらに、出願人は、従来技術に存在し得る特性および特徴を、たとえこれらの特性および特徴が本明細書において明示的に記載されていなくても、断定的に放棄するよう特許請求の範囲を補正する権利がある。したがって、任意のこのような手続補正書は、明細書または特許請求の範囲に新規事項を加えることはなく、文書による記載、記載の十分性、および追加事項の要件を満たしている(例えば、35U.S.C.§112(a)および123(2)条EPC)。本明細書に記載されている組成物および生成物は、本明細書に記載されている様々な特性および特徴を含む、様々な特性および特徴からなる、または様々な特性および特徴から本質的になることができる。
【0103】
また、本明細書に列挙された任意の数値的範囲は、列挙された範囲内に含まれる同じ数値的正確さを有する(すなわち、特定された桁の同数を有する)すべての部分範囲を記載している。例えば、列挙された範囲の「1.0〜10.0」は、たとえ範囲「2.4〜7.6」が明細書のテキストにおいて明示的に列挙されていないとしても、列挙された最小値である1.0と、列挙された最大値である10.0との間の(およびこれらを含む)すべての部分範囲、例えば、「2.4〜7.6」について記載している。したがって、出願人は、本明細書において明示的に列挙された範囲内に含まれる、同じ数値的正確さを有する任意の部分範囲を明示的に列挙するように、特許請求の範囲を含む、本明細書を補正する権利がある。すべてのこのような範囲は、任意のこのような部分範囲を明示的に列挙するように補正することが、明細書または特許請求の範囲へ新規事項を加えるものではなく、文書による記載、記載の十分性、および追加事項の要件を満たす(例えば、35U.S.C.§112(a)および123(2)条EPC)ものであると本明細書において本質的に記載されている。さらに、本明細書に記載されている数値的パラメーターは、報告された有効数字の数、数の数値的正確さを考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本明細書に記載されている数値的パラメーターは、パラメーターの数値を決定するために使用した基礎となる測定技術に特有のばらつきの特徴を必ず保有することになることもまた理解される。
【0104】
文法的冠詞「one」、「a」、「an」、および「the」は、本明細書で使用される場合、他に指摘されていない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を含むことを意図する。したがって、本明細書で使用される冠詞は、冠詞の文法的目的語の1つまたは1つ超(すなわち、「少なくとも1つ」)を指す。例として、「a component(成分)」は、1つまたは複数の成分を意味し、したがって、おそらく、1つより多くの成分が想定され、記載されている組成物および生成物の実施に利用または使用することができる。さらに、その使用の文脈により必要とされない限り、単数の名詞の使用は複数を含み、複数の名詞の使用は単数を含む。
【0105】
本明細書において特定された任意の特許、刊行物、または他の開示材料は、他に指摘されていない限り、その全体が参照により本明細書へ組み込まれているが、ただし、組み込まれた材料が本明細書に明示的に示された既存の記載、定義、記述、または他の開示材料と矛盾しない場合に限る。したがって、および必要な場合に限り、本明細書に記載されている明白な開示は、参照により組み込まれている任意の矛盾する材料に取って代わる。本明細書に参照により組み込まれているが、本明細書で示された既存の定義、記述、または他の開示材料と矛盾する、任意の材料、またはその部分は、その組み込まれた材料と既存の開示材料の間でいかなる矛盾も生じない範囲に限って組み込まれる。出願人は、参照により組み込まれる任意の対象、またはその部分を明示的に列挙するよう本明細書を補正する権利がある。