(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レール部は、前記直線運動方向に延びるベースと、前記ベースの前記直線運動方向と直交する方向における両端に設けられ、互いに対向すると共に、対向面に凹部が形成されている一対の側壁と、前記凹部に取り付けられ、前記第2溝部が形成されている溝部形成部材と、を具備する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。なお、図中のXY平面は水平な面であり、図中のZ軸の方向は鉛直方向である。
【0021】
アクチュエータ10は、
図1に示すように、Y軸方向に往復運動するロッド11(作業軸)を有するリニアアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ロッド11と、モータユニット20と、フロントハウジング80と、ベアリングハウジング90と、カバー18とを有している。
【0022】
カバー18は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。カバー18には、
図2(A)に示すように、Z軸方向に貫通する貫通孔18aが形成されており、ボルト19によって、フロントハウジング80及びベアリングハウジング90に固定されている。
【0023】
アクチュエータ10は、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、ロッド11等に加えて、ロッド11をY軸方向に案内するガイド装置30と、モータユニット20の回転運動を直線運動に変換するボールねじ70とを有している。
【0024】
ロッド11は、
図3に示すように、内部に孔11aが形成された円筒状の部材で、例えば、ステンレス鋼からなる。ロッド11の−Y側の端部には、外周に雄ねじが形成された先端金具12がねじ込まれることによって固定されている。また、ロッド11の+Y側の端部の外周には、雄ねじ部11bが形成されている。
【0025】
モータユニット20は、モータ21と、モータ21を収納するモータハウジング22と、アクチュエータケーブル24とを有する。
【0026】
モータ21は、例えば、ステッピングモータであり、出力軸23、ロータ、ステータ、エンコーダ、減速器等を有している。モータ21には、アクチュエータケーブル24を介して電源からの電力が供給される。モータ21に電力が供給されることによって、モータ21のロータが回転する。このロータの回転運動は、例えば、減速器によって所定の減速比で減速され、出力軸23に出力される。また出力軸23の先端は、カップリング(継ぎ手)として構成されている。
【0027】
モータハウジング22は、略直方体のケースであり、モータハウジング22の−Y側の面には、開口22aが形成されている。モータ21の出力軸23は、この開口22aから外部に露出している。また、開口22aの上側(+Z側)には、Z方向に貫通するねじ孔22bが形成されている。このねじ孔22bには、ボルト25が挿入される。
【0028】
ガイド装置30は、ロッド11がスライド部31に固定されることにより、ロッド11を+Y方向及び−Y方向の双方向に案内する。このガイド装置30は、
図4に示すように、スライド部31と、レール部60と、スライド部31とレール部60との間に配置されたボール50(転動体)とを有する。このボール50は、剛性の素材からなり、具体的には、鋼材からなる。ボール50は、スライド部31とレール部60との間に複数配置されている。
【0029】
スライド部31は、
図5に示すように、ボール50を介して、レール部60にY軸方向に移動可能に支持されている。なお、スライド部31は、複数のボール50のみでレール部60に支持されている。スライド部31は、スライド部本体32と、スライド部本体32の−Z側の面にボルト49で固定されたリターン40とを有する。
【0030】
スライド部本体32は、
図6に示すように、Y方向に貫通する貫通孔32aが形成された略直方体の部材で、例えば、鉄等の金属からなる。貫通孔32aの−Y側の開口近傍の内周面には、雌ねじ部32bが形成されている。また、スライド部本体32の下端には、−Z方向に突出する一対の凸部33,34が形成されている。この凸部33,34は、Y方向に沿って形成されており、+X側の面及び−X側の面には、ボール50が転動するための溝部33a,34aがそれぞれ形成されている。溝部33a,34aの内面は、略湾曲面として構成されている。具体的には、
図7(A)に示すように、溝部33a,34aの内面は、二つの円弧部からなるゴシックアーチ形状に形成されている。しかしながら、これに限らず、溝部33a,34aの内面は、
図7(B)に示すように、その曲率半径R1が、ボール50の半径R2と同等となる湾曲面に形成されていてもよい。
【0031】
また、貫通孔32aには、
図6に示すように、リング36が嵌め込まれている。また、スライド部本体32の下面(−Z側の面)には、ねじ孔32c及び一対のボス孔32dが形成され、スライド部本体32の+X側の側面には、孔32eが形成されている。
【0032】
リターン40は、
図8に示すように、ボール50が配置される一対のボール循環路43,44が形成された部材であり、リターン40の+X側の面及び−X側の面には凹部45,46が形成されている。このリターン40は、筐体41と、この筐体41の上面に取り付けられる蓋体42とを有する。筐体41及び蓋体42は、例えば、ポリアセタール樹脂を射出成形することによって形成される。
【0033】
筐体41には、一対のボール循環路43,44が形成されている。このボール循環路43,44は、ボール50が移動するための通路で、ストレート通路部43a,44aとカーブ通路部43b,44bとから構成されている。ボール循環路43,44は、その断面形状がボール50の直径と同等の直径の円形になるように形成されている。また、筐体41の上面(+Z側の面)には、+Z方向に突出した円筒形状の一対のボス部47が2つ形成されている。このボス部47は、その径が、スライド部本体32のボス孔32dの径と同等になるように形成されている。また、筐体41には、Z方向に貫通する貫通孔41aが4つ形成されている。この貫通孔41aには、ボルト49が挿入される。
【0034】
蓋体42には、Z方向に貫通する一対のボス孔42aが形成されている。ボス孔42aには、筐体41のボス部47が挿入される。また、蓋体42には、Z方向に貫通する一対の貫通孔42bが4つ形成されている。貫通孔42bと、筐体41の貫通孔41aとには、ボルト49が挿入される。また、蓋体42には、グリスを注入するための注入孔48が形成されている。注入孔48は、蓋体42に形成されたグリス通路を介して、ボール循環路43,44に通じている。
【0035】
次に、スライド部31の組み立て方法について、
図9を参照して説明する。
【0036】
先ず、
図9(A)に示すように、スライド部本体32の凸部33,34が、リターン40の凹部45,46に嵌め込まれる。このとき、リターン40の筐体41のボス部47も、スライド部本体32のボス孔32dに嵌め込まれる。ボス部47がボス孔32dに嵌め込まれることにより、
図9(B)を参照するとわかるように、スライド部本体32のねじ孔32cと、リターン40の蓋体42の貫通孔42bと、リターン40の筐体41の貫通孔41aとが同軸上に配置される。
【0037】
次に、
図9(B)に示すように、ボルト49が、貫通孔41aと貫通孔42bとを介して、スライド部本体32のねじ孔32cにねじ込まれる。ボルト49がねじ込まれることにより、リターン40は、スライド部本体32に固定される。
【0038】
リターン40がスライド部本体32に固定されることにより、
図10に示すように、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路43と、スライド部本体32の凸部33に形成された溝部33aとが、ボール50の軌道T1に沿って配置される。同様に、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路44と、スライド部本体32の凸部34に形成された溝部34aとが、ボール50の軌道T2に沿って配置される。これら軌道T1,T2は、ストレート部分とカーブ部分とを有する長円形状に形成される。これにより、スライド部31の組み立てが、完了する。
【0039】
ボール50は、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路43,44や、スライド部本体32の凸部33に形成された溝部33a、凸部34に形成された溝部34a等に配置される。これにより、ボール50は、
図10に示す軌道T1,T2に沿って配置される。
【0040】
レール部60は、
図11に示すように、Y軸方向を長手方向とする板状のベース61と、このベース61の+X側及び−X側に形成された側壁62,63とを有する。レール部60は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。ベース61には、Z方向に貫通する複数の貫通孔61aが形成されている。また、側壁62の−X側の面及び側壁63の+X側の面には、凹部62a,63aがそれぞれ形成されている。この凹部62a,63aには、Y軸方向を長手方向とする略直方体に形成された鋼製部材64,65が取り付けられている。鋼製部材64の−X側の面及び鋼製部材65の+X側の面には、溝部64a,65aがそれぞれ形成されている。溝部64a,65aは、対向するように形成されており、溝部64a,65aの内面は、略湾曲面として構成されている。具体的には、
図12(A)に示すように、溝部64a,65aの内面は、二つの円弧部からなるゴシックアーチ形状に形成されている。しかしながら、これに限らず、溝部64a,65aの内面は、
図12(B)に示すように、その曲率半径R3が、ボール50の半径R2と同等となる湾曲面に形成されていてもよい。
【0041】
レール部60には、
図13に示すように、複数のボール50を介して、スライド部31が取り付けられる。レール部60にスライド部31が取り付けられると、レール部60の鋼製部材64の溝部64aと、スライド部31のスライド部本体32の凸部33に形成された溝部33aとにボール50が挟まれる。同様に、レール部60の鋼製部材65の溝部65aと、スライド部31のスライド部本体32の凸部34に形成された溝部34aとにボール50が挟まれる。溝部64aと溝部33aとの間にボール50が挟まれるとともに、溝部65aと溝部34aとの間にボール50が挟まれることにより、スライド部31は、ボール50のみでレール部60に支持される。また、レール部60に対して、Y軸方向に移動可能になる。
【0042】
ガイド装置30は、レール部60にスライド部31が取り付けられることによって完成する。そして、スライド部31のスライド部本体32の貫通孔32aには、
図14に示すように、ロッド11の+Y側の端部が挿入される。ロッド11の+Y側の端部が挿入されると、貫通孔32aに形成された雌ねじ部32bに、ロッド11の+Y側の端部に形成された雄ねじ部11bが螺合する。これにより、ロッド11は、ガイド装置30のスライド部31に固定される。
【0043】
ボールねじ70は、
図15、
図2(B)、及び
図3に示すように、ボールねじ軸71と、ボールねじナット72と、ボールねじ軸71の−Y側の端部に取り付けられた弾性部材110とを有する。
【0044】
ボールねじ軸71は、外周面が螺旋状のボールねじ面として構成されたボールねじ軸本体71aと、ボールねじ軸本体71aの+Y側の端部及び−Y側の端部それぞれに形成された小径部71b,71cとから構成される。小径部71b,71cは、その径がボールねじ軸本体71aの径よりも小さく形成されている。また、ボールねじ軸71の小径部71cには、弾性部材110が嵌め込まれて、抜け止め部材112によって、抜け止めされている。これにより、弾性部材110は、ボールねじ軸71に回転可能に取り付けられる。
【0045】
ボールねじナット72は、ボールねじ軸71のボールねじ軸本体71aの外周に配置されている。ボールねじナット72の内周面にはボールねじ部が形成されている。このボールねじナット72は、ボールねじ軸71に剛性の球体を介して嵌め込まれる。これにより、ボールねじ軸71の回転運動が、ボールねじナット72の直線運動に変換される。
【0046】
また、ボールねじ軸71の小径部71bは、カップリング(継ぎ手)として構成されている。この小径部71bが、カップリングとして構成されたモータユニット20の出力軸23に、出力軸23の回転とともに回転するように接続される。これにより、出力軸23の回転運動がボールねじ軸71に伝達される。
【0047】
弾性部材110は、例えば、樹脂からなり、
図16に示すように、中央に貫通孔110aが形成されたリング形状に形成されている。また、この弾性部材110は、その外径が、ロッド11の孔11aの内径とほぼ同等に形成されている。具体的には、ボールねじ軸71の小径部71cを、ロッド11の孔11aに挿入した場合に、弾性部材110の外周が、孔11aの内周面に接触するように形成されている。弾性部材110の外周が、孔11aの内周面に接触することにより、弾性部材110は、ボールねじ軸71の小径部71cの振れを抑えることができる。すなわち、弾性部材110は、ボールねじ軸71の小径部71cの振れを抑える振れ止め部材として構成されている。また、弾性部材110には、Y軸を中心とした円周上に沿って等間隔に形成された複数の溝111が形成されている。本実施形態のおいては、溝111は、8つ形成されている。
【0048】
ボールねじ70は、
図17に示すように、ガイド装置30に固定される。具体的には、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、スライド部本体32の貫通孔32aに+Y側から挿入され、これにより、ボールねじナット72が、貫通孔32a内に配置される。そして、スライド部本体32の孔32eに挿入されたボルト74がねじ込まれて締結されることにより、ボールねじ70は、ガイド装置30に固定される。
【0049】
また、ボールねじ70が、ガイド装置30に固定されると、
図18に示すように、ボールねじ軸71の−Y側の小径部71cは、ロッド11の孔11a内まで移動する。このとき、弾性部材110の外周が、ロッド11の孔11aの内周面に接触する。これにより、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、この弾性部材110によって支持される。
【0050】
フロントハウジング80は、
図3に示すように、ガイド装置30の−Y側に、ボルト81によって固定されている。フロントハウジング80は、例えば、ダイカストにより形成されている。また、フロントハウジング80には、ロッド11を通すための貫通孔80aが形成されており、この貫通孔80aの内周面には、オイルレスベアリング82が配置されている。オイルレスベアリング82は、ロッド11をY軸方向に移動可能に支持する。また、フロントハウジング80は、+Y方向に突出する突出部83が形成されており、この突出部83の上面(+Z側の面)には、ねじ孔が形成されている。この突出部83のねじ孔は、カバー18を固定するために用いられる。突出部83のねじ孔には、カバー18に形成された貫通孔18aを介して、ボルト19が挿入される。
【0051】
ベアリングハウジング90は、
図3に示すように、ガイド装置30の+Y側に、ボルト91によって固定されている。ベアリングハウジング90は、フロントハウジング80と同様に、ダイカストにより形成されている。また、ベアリングハウジング90は、ボールねじ軸71を挿入するための貫通孔90aが形成されており、この貫通孔90aの内周面には、ベアリング92が配置されている。ベアリング92は、貫通孔90aの+Y側から嵌め込まれ、ベアリング押さえ92aによって固定されている。このベアリング92によって、ボールねじ軸71は回転可能に支持される。
【0052】
また、ベアリングハウジング90には、−Y方向に突出する突出部93が形成されており、この突出部93の上面(+Z側の面)には、ねじ孔が形成されている。このねじ孔は、カバー18を固定するために用いられる。突出部93のねじ孔には、カバー18に形成された貫通孔18aを介して、ボルト19が挿入される。また、突出部93の−Y側の面には、+Y方向に移動してきたスライド部31に接触し、スライド部31からの衝撃を吸収する衝撃吸収部材94が配置されている。衝撃吸収部材94は、弾性の素材からなり、衝撃吸収部材94の素材には、任意の樹脂が用いられる。また、ベアリングハウジング90には、+Y方向に突出する突出部95が形成されている。
【0053】
ベアリングハウジング90には、
図19(A)に示すように、ボールねじ軸71の小径部71bが挿入される。これにより、ボールねじ70は、ベアリングハウジング90に回転可能に支持される。また、ベアリングハウジング90の突出部95は、モータユニット20のモータハウジング22の開口22aに嵌め込まれる。このとき、カップリングとして構成されたボールねじ軸71の小径部71bが、カップリングとして構成された出力軸23に、出力軸23の回転とともに回転するように接続される。これにより、モータ21内で生じた回転運動が、ボールねじ軸71に伝達される。そして、
図19(B)に示すように、モータハウジング22に形成されたねじ孔22bには、ボルト25がねじ込まれる。これにより、ベアリングハウジング90の突出部95の上面(+Z側の面)が、ボルト25の下端に押し付けられるため、モータユニット20は、ベアリングハウジング90に対して固定される。
【0054】
上述のように構成されたアクチュエータ10の動作について、
図20〜
図22を用いて説明する。
【0055】
先ず、モータユニット20のモータ21に電源が供給されることによって、
図20(I)に示すように、モータ21の出力軸23が所定の方向に回転する。出力軸23が所定の方向に回転すると、出力軸23に接続されているボールねじ軸71が、出力軸23とともに回転する。
【0056】
ボールねじ軸71が回転すると、
図20(II)に示すように、ボールねじ軸71の回転運動に伴って、ボールねじナット72が、例えば、−Y方向に直線運動をする。ボールねじナット72が、−Y方向に移動すると、ボールねじナット72に固定されているガイド装置30のスライド部31も、ボールねじナット72とともに−Y方向に移動をする。
【0057】
このとき、
図21(I)に示すように、レール部60の鋼製部材64の溝部64aと、スライド部本体32の凸部33の溝部33aと間に配置されたボール50は、溝部64a及び溝部33aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、+Y方向に移動していき、溝部64aと溝部33aとの間から、リターン40に形成されたボール循環路43に移動する。ボール循環路43に移動したボール50は、ボール循環路43のカーブ通路部43b、ストレート通路部43aを通過し、再び、ボール循環路43から、溝部64aと溝部33aとの間に移動する。そして、ボール50は、溝部64a及び溝部33aに転がり接触しながら転動する。
【0058】
同様に、レール部60の鋼製部材65の溝部65aと、スライド部本体32の凸部34の溝部34aと間に配置されたボール50は、溝部65a及び溝部34aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、+Y方向に移動していき、溝部65aと溝部34aとの間から、リターン40に形成されたボール循環路44に移動する。ボール循環路44に移動したボール50は、ボール循環路44のカーブ通路部44b、ストレート通路部44aを通過し、再び、ボール循環路44から、溝部65aと溝部34aとの間に移動する。そして、ボール50は、溝部65a及び溝部34aに転がり接触しながら転動する。
【0059】
ボール50が、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動することにより、スライド部31は、レール部60に案内されつつ、−Y方向に移動する。
【0060】
ガイド装置30のスライド部31が−Y方向に移動をすると、
図20(II)に示すように、スライド部31に固定されているロッド11も、スライド部31とともに−Y方向に移動する。これにより、ロッド11の先端に取り付けられた先端金具12が−Y方向に移動する。
【0061】
また、
図22(I)に示すように、ロッド11が−Y方向に移動するのに対し、ボールねじ軸71は、−Y方向には移動せずに回転する。このため、ロッド11の孔11aの内周面は、ボールねじ軸71に取り付けられた弾性部材110に対して摺動する。このとき、ロッド11の孔11aと、弾性部材110の−Y側の面とによって規定される空間Sの容積は、ロッド11の−Y方向への移動に伴って大きくなる。これにより、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111から流入し、空間Sの内圧を一定に保つ。
【0062】
以上により、ロッド11及び先端金具12の−Y方向への移動が完了する。
【0063】
次に、モータユニット20の出力軸23が所定の方向とは逆方向に回転すると、
図20(III)に示すように、出力軸23に接続されているボールねじ軸71は、出力軸23とともに回転する。
【0064】
ボールねじ軸71が回転すると、ボールねじ軸71の回転運動に伴って、ボールねじナット72が、+Y方向に直線運動をする。ボールねじナット72が、+Y方向に移動すると、ボールねじナット72に固定されているガイド装置30のスライド部31も、ボールねじナット72とともに+Y方向に移動をする。
【0065】
このとき、
図21(II)に示すように、レール部60の鋼製部材64,65の溝部64a,65aと、スライド部本体32の凸部33,34の溝部33a,34aと間に配置されたボール50は、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、−Y方向に移動していき、やがて、リターン40に形成されたボール循環路43,44に移動する。ボール循環路43,44に移動したボール50は、ボール循環路43,44のカーブ通路部43b,44b、ストレート通路部43a,44aを通過し、再び、溝部64a,65aと溝部33a,34aとの間に移動する。溝部64a,65aと溝部33a,34aとの間に移動したボール50は、転がり接触しながら転動する。
【0066】
ボール50が、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動することにより、スライド部31は、レール部60に案内されつつ、+Y方向に移動する。
【0067】
ガイド装置30のスライド部31が+Y方向に移動をすると、
図20(III)に示すように、スライド部31に固定されているロッド11も、スライド部31とともに+Y方向に移動する。これにより、ロッド11の先端に取り付けられた先端金具12が+Y方向に移動する。
【0068】
また、
図22(II)に示すように、ロッド11が+Y方向に移動するのに対し、ボールねじ軸71は+Y方向には移動せずに回転する。このため、空間Sは、ロッド11の+Y方向への移動に伴って小さくなる。これにより、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111から流出し、空間Sの内圧を一定に保つ。
【0069】
以上により、ロッド11及び先端金具12の+Y方向への移動が完了し、ロッド11及び先端金具12は、初期位置まで戻る。
【0070】
以上、説明したように、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、スライド部31が、鋼製の素材からなるボール50を介してレール部60の鋼製部材64,65に支持されている。これにより、モータユニット20の出力軸23の回転に起因したトルクが、ボールねじ軸71を介して、スライド部31に加わっても、スライド部31は、レール部60に対して、出力軸23周りに動かなくなる。このため、出力軸23の回転に起因したトルクが、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくく、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。ひいては、ロッド11に固定された先端金具12の振れを抑制することができ、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0071】
また、このガイド装置30により、ロッド11は、Y軸方向に円滑に往復運動することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、ボールねじ軸71の小径部71cに弾性部材110が取り付けられている。そのため、ボールねじ軸71の−Y側の端部は、この弾性部材110によって、ロッド11の孔11aの内周面に支持される。これにより、ボールねじ軸71の先端部の振れの発生を抑制することができる。
【0073】
例えば、
図23(A)を参照するとわかるように、ボールねじ軸71の先端に弾性部材110が取り付けられていない場合は、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、ロッド11の孔11aの内周面に対して支持されないため、ボールねじ軸71の先端部の振れが発生しやすくなる。特に、ボールねじナット72が、+Y方向に大きく移動している場合には、ボールねじナット72から出力軸23までの距離L2に対して、ボールねじナット72からボールねじ軸71の先端部までの距離L1が大きくなり、大きな振れが発生するおそれがある。
【0074】
これに対し、本実施形態においては、
図23(B)を参照するとわかるように、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、弾性部材110によって支持されているため、ボールねじナット72が+Y方向に大きく移動している場合においても、ボールねじ軸71の先端部の振れの発生を抑制することができる。これにより、ボールねじ軸71の先端部の振れに起因したロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができ、ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0075】
また、弾性部材110には、溝111が形成されているため、ロッド11の移動時における空間Sの内圧の変化を防ぐことができる。例えば、弾性部材110に、溝111が形成されていない場合には、空間Sは、ロッド11の孔11aと、弾性部材110の−Y側の面とによって規定された密閉空間となってしまう。このため、ロッド11のY軸方向への移動に伴い、空間Sの内圧が変化し、ロッド11の円滑な動きが阻害されてしまう。
【0076】
これに対し、本実施形態の弾性部材110には、溝111が形成されているため、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111を介して流入出するため、空間Sの内圧を一定に保つことができ、空間Sの内圧変化によるロッド11の動きへの影響を排除することができる。ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0077】
また、溝111が、ボールねじ軸71の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されているため、ロッド11の孔11aと弾性部材110との接触面積を小さくすることができる。これにより、ロッド11の弾性部材110に対する摩擦係数を小さくすることができ、ロッド11と弾性部材110との摩擦によるロッド11の動きへの影響を小さくすることができる。ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0078】
また、アクチュエータ10は、カバー18を有している。このため、このカバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、アクチュエータ10をボルトで固定することが可能になる。詳しくは、
図24に示すように、アクチュエータ10を作業台120に固定する場合、カバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、レール部60のベース61に形成された貫通孔61aを介して、ボルト121を作業台120のねじ孔120aに挿入することができる。これにより、アクチュエータ10の作業台120への取り付けがしやすくなる。
【0079】
これに対して、カバーを有さないアクチュエータの場合は、作業台に固定する場合、作業者が、作業台の下に潜り込んで下方(−Z側)からアクチュエータを取り付けなければならない。しかしながら、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、上側(+Z側)から作業台120に取り付けることができるため、アクチュエータ10の取り付けの作業性を向上させることができる。
【0080】
また、同様に、アクチュエータ10は、カバー18を有しているため、このカバー18を取り外すことにより、上側(+Z側)から、ボール50のグリスを、ガイド装置30のリターン40に形成された注入孔48から注入することができる。これに対して、カバーを有さないアクチュエータの場合は、ボール50のグリスを注入するためには、筐体等を分解する必要があり、グリスの注入作業が煩雑なものとなってしまう。しかしながら、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、このカバー18を取り外すことにより、上側(+Z側)から、グリスを注入孔48から注入することができるため、グリスの注入作業の作業性を良好とすることができる。
【0081】
また、ロッド11は、ガイド装置30のスライド部31に螺合により固定されている。このため、ボルト等で固定する場合と比べて、強固に固定できるとともに、ボルト等の部品を別途用意する必要はなくなる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0083】
例えば、本実施形態においては、弾性部材110には、8つの溝111が形成されているが、これに限らず、
図25に示すように、4つの溝111を形成してもよい。また溝111を1つのみ形成してもよいし、8つよりも多くの溝111を形成してもよい。
【0084】
また、ガイド装置30のスライド部31とリターン40との間には、複数のボール50が配置されているが、これに限らず、ころ(ローラ)を配置してもよい。
【0085】
また、ロッド11は、スライド部31に螺合により固定されているが、これに限らず、ボルト等で固定してもよい。
【0086】
また、レール部60の鋼製部材64,65には、溝部64a,65aが形成されているが、レール部60の側壁62,63に直接溝部を形成してもよい。
【0087】
《変形例1》
上述した
図1〜24に示す実施形態においては、鋼製部材64,65は、レール部60の凹部62a,63aに取り付けられている。しかしながら、これに限らず、
図26(A)に示すように、鋼製部材64,65が、ガイド装置30のレール部60と一体に形成されていてもよい。この場合、ボール50が転動するための溝部64a,65aは、レール部60の側壁62,63に、直接、形成される。このような場合においても、上記実施形態と同様に、出力軸23の回転に起因したトルクが、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくく、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。
【0088】
また、
図26(A)に示す変形例では、スライド部31は、レール部60の側壁62と側壁63との間に嵌め込まれて、レール部60に取り付けられている。しかしながら、これに限られない。
図26(B)に示す変形例では、側壁62,63の代わりに、Y軸方向に沿った線状の凸部130が、レール部60に形成されている。この凸部130が、スライド部本体32の凸部33と凸部34との間に嵌め込まれることで、スライド部31は、レール部60に取り付けられていてもよい。
【0089】
また、
図26(A)及び(B)では、スライド部本体32及びリターン40は、別の部材に構成されている。しかしながら、これに限らず、
図26(C)に示すように、スライド部本体32及びリターン40が、一体に構成されていてもよい。
【0090】
上述した
図1〜24に示す実施形態や、
図26(A)〜(C)に示す変形例では、ボール50を転動するための溝部33a,34a,64a,65aは、スライド部本体32と、レール部60とにそれぞれ2つずつ形成されている。これにより、ボール50は、2つの軌道(
図10における軌道T1、T2)に沿って転動する。しかしながら、これに限らず、ボール50は、
図26(D)に示すように、3つの軌道に沿って転動してもよい。ボール50が転動する軌道の数が増加することにより、ロッド11の先端部の振れの発生を、より効果的に抑制できるようになる。なお、ボール50が転動する軌道の数は、4つ以上であってもよい。
【0091】
また、ガイド装置30は、
図27(E)に示すように、スライド部31の直線運動に伴って、レール部60上を回転するローラ131を備えていてもよい。これにより、スライド部31のY軸方向への直線運動が安定し、結果的に、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制できるようになる。また、この場合、
図27(F)に示すように、ボール50が転動する軌道の数を、1つのみにすることもできる。
【0092】
また、
図27(G)に示す変形例では、スライド部31の凸部33の+X側の面には、Y軸方向に沿った線上の突起132が形成され、スライド部31の凸部34の−X側の面には、Y軸方向に沿った線上の突起133が形成されている。そして、これらの突起132,133が、レール部の凹部62a,63aに摺動可能に嵌め込まれている。この場合、ボール50が転動する軌道の数を、1つのみにすることもできる。
【0093】
上述した
図1〜24に示す実施形態や変形例では、ボール50を転動するための溝部33a,34a,64a,65aは、スライド部本体32と、レール部60とに形成されている。しかしながら、これに限らず、
図27(H)に示すように、カバー18に、ボール50を転動するための溝部が形成されていてもよい。
【0094】
上述した
図1〜24に示す実施形態や、
図26(A)に示す変形例では、ボール50が転動する軌道は、スライド部本体32の+X側と−X側とに、それぞれ1つずつ形成されている。しかしながら、これに限らず、ボール50が転動する軌道は、
図28(I)に示すように、スライド部本体32の+X側と−X側とに、それぞれ2つずつ形成されていてもよい。ボール50が転動する軌道が、それぞれ2つずつ形成されることにより、ロッド11の先端部の振れの発生を、より効果的に抑制できるようになる。
【0095】
また、
図28(I)に示す変形例では、スライド部31は、レール部60の側壁62と側壁63との間に嵌め込まれて、レール部60に取り付けられる。しかしながら、これに限らず、
図28(J)に示すように、レール部60に形成された凸部130が、スライド部本体32の凸部33と凸部34との間に嵌め込まれることで、スライド部31は、レール部60に取り付けられていてもよい。また、
図28(I)及び(J)においては、ボール50が転動する軌道は、スライド部本体32の+X側と−X側とに、それぞれ2つずつ形成されているが、3つ以上形成されていてもよい。
【0096】
また、
図26(B)に示す変形例に係るスライド部31は、1つのリターン40を有している。しかしながら、これに限らず、
図28(K)に示すように、2つのリターン40を有していてもよい。また、スライド部31は、3つ以上のリターン40を有していてもよい。
【0097】
また、
図28(K)に示す変形例では、2つのリターン40は、いずれも、スライド部本体32の下面(−Z側の面)に固定されているが、これに限られない。例えば、
図28(L)に示すように、スライド部本体32の下面(−Z側の面)と、側面(−X側の面)とに固定されていてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態等では、ボール50が転動する溝部の内面は、
図7(A)、
図12(A)及び
図13に示すように、ゴシックアーチ形状に形成されている。しかしながら、これに限らず、ボール等の転動体の曲率半径よりも大きな曲率半径で形成されたサーキュラー形状であってもよい。
【0099】
《変形例2》
上述した
図1〜24に示す実施形態においては、ガイド装置30は、1つのスライド部31を有しているが、スライド部31の数は任意である。以下、2つのスライド部31を有している変形例2について、
図29を用いて説明する。
【0100】
本変形例2に係るガイド装置30では、
図29(A)に示すように、2つのスライド部31が、レール部60に取り付けられている。ロッド11は、
図29(B)に示すように、2つのスライド部31に跨って固定される。
【0101】
これにより、モータユニット20の出力軸の回転に起因したトルクが、上記実施形態(
図1〜
図24に示す実施形態)のものよりも、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくく、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。ひいては、ロッド11に固定された先端金具12の振れを抑制することができ、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0102】
また、2つのスライド部31が、レール部60に取り付けられているため、ロッド11は、より円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0103】
本変形例2においては、スライド部31は、レール部60に2つ取り付けられているが、これに限らず、3つ以上取り付けられていてもよい。
【0104】
《変形例3》
本変形例3に係るガイド装置30及びアクチュエータ10では、
図30(A)及び(B)に示すように、スライド部31が、上記実施形態(
図1〜
図24に示す実施形態)のものよりも、Y軸方向に長く形成されている。このため、ロッド11が、スライド部31に固定された場合、モータユニット20の出力軸の回転に起因したトルクが、上記実施形態のものよりも、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくくなる。結果的に、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。
【0105】
また、スライド部31が、Y軸方向に長く形成されているため、ロッド11は、より円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0106】
また、スライド部31のY軸方向の長さを長くするだけでなく、スライド部31とレール部60との間に配置されたボール50の径を大きくすることによっても、モータユニット20の出力軸の回転に起因したトルクが、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくくなる。結果的に、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。また、ロッド11は、より円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0107】
《変形例4》
本変形例4に係るアクチュエータ10は、
図31(A)及び(B)に示すように、ガイドロッドユニット140を有している。ガイドロッドユニット140は、ガイドロッド141と、ブッシュハウジング142と、ボールブッシュ143と、連結部材144とを有する。
【0108】
ガイドロッド141は、作業軸であるロッド11とともにY軸方向に移動することにより、ロッド11を案内する。ガイドロッド141は、ボールブッシュ143にY軸方向に移動可能に支持されている。また、ガイドロッド141の−Y側の端部は、連結部材144によって、ロッド11の先端金具12に連結されている。ガイドロッド141の−Y側の端部は、ボルト等によって、連結部材144に固定される。ロッド11の先端金具12は、ナット等によって、連結部材144に固定される。
【0109】
ブッシュハウジング142は、フロントハウジング80に固定されている。ブッシュハウジング142には、貫通孔142aが形成されており、この貫通孔142aには、ボールブッシュ143が嵌め込まれている。ボールブッシュ143は、例えば、C形状に形成されたリング等によって、ブッシュハウジング142から抜け止めされている。
【0110】
ボールブッシュ143は、内部に配置されたボール145の転動により、ガイドロッド141を円滑に移動させる部材である。ボールブッシュ143は、貫通孔が形成された略円筒形状に形成されている。この貫通孔の内周面には、Y軸方向に沿って、複数のスリット143aが形成されている。スリット143aには、ボール145が配置される。スリット143aに配置されたボール145は、スリット143aの内周面と、ガイドロッド141の外周面との間に挟まれることで、ガイドロッド141の移動に伴って転動する。また、ボールブッシュ143の内部には、ボール循環路143bが形成されている。スリット143aの内周面とガイドロッド141の外周面との間を転動したボール145は、このボール循環路143bを通過することで、再び、スリット143aの内周面とガイドロッド141の外周面との間に移動する。
【0111】
本変形例4に係るアクチュエータ10において、作業軸であるロッド11が−Y方向に移動すると、連結部材144によって、ロッド11にガイドロッド141が連結されているため、
図32に示すように、ガイドロッド141も、−Y方向に移動する。このとき、ガイドロッド141が−Y方向に移動することにより、スリット143aの内周面とガイドロッド141の外周面との間を、ボール145が転動する。スリット143aの内周面とガイドロッド141の外周面との間を転動したボール145は、ボール循環路143bに移動する。そして、ボール循環路143bを通過して、再び、スリット143aの内周面とガイドロッド141の外周面との間に移動し、転動する。
【0112】
本変形例4に係るアクチュエータ10によれば、ガイドロッドユニット140を有しているため、ロッド11の先端部(−Y側の端部)の剛性を高くすることができる。このため、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。また。ロッド11は、円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0113】
本変形例4に係るアクチュエータ10においては、ブッシュハウジング142に、ボールブッシュ143が嵌め込まれている。しかしながら、これに限らず、オイルレスベアリング等のすべり軸受が嵌めこまれていてもよい。
【0114】
《変形例5》
本変形例5に係るアクチュエータ10は、
図33に示すように、一対のガイドロッドユニット140を有している。これにより、本変形例4に係るアクチュエータ10よりも、ロッド11の先端部(−Y側の端部)の剛性を、さらに高くすることができる。結果として、ロッド11の先端部の振れの発生を、さらに抑制することができる。また、ロッド11は、さらに円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0115】
本変形例5に係るアクチュエータ10は、一対のガイドロッドユニット140を有しているが、これに限らず、3つ以上のガイドロッドユニット140を有していてもよい。この場合、ロッド11の先端部(−Y側の端部)の剛性を、さらに高くすることができる。
【0116】
《変形例6》
上述した
図1〜24に示す実施形態においては、フロントハウジング80にオイルレスベアリング82が配置されることにより、ロッド11は、Y軸方向に移動可能に支持されているが、支持構造自体は任意である。以下、ロッド11の支持構造として、ボールブッシュ150を使用する変形例6について、
図34を用いて説明する。
【0117】
ボールブッシュ150は、内部に配置されたボール151の転動により、ロッド11を円滑に移動させる。ボールブッシュ150は、上述の変形例4に係るガイドロッドユニット140のボールブッシュ143と同等の構造を有している。ボール151が、ボールブッシュ150の貫通孔の内周面に形成されたスリット150aの内周面と、ロッド11の外周面との間に挟まれつつ、転動することにより、ロッド11は、Y軸方向に移動する。
【0118】
本変形例6によれば、フロントハウジング80にボールブッシュ150が配置されることにより、ロッド11は、円滑に、かつ、安定して、Y軸方向に往復運動することができる。
【0119】
《変形例7》
上述した
図1〜24に示す実施形態においては、
図14を参照するとわかるように、ロッド11は、スライド部31に螺合により固定されているが、固定方法は任意である。以下、ロッド11の別の固定方法の例について、
図35及び
図36を用いて説明する。
【0120】
図35(A)に示すガイド装置30では、スライド部本体32の上方に割り溝161と、割り溝161を貫通するようにねじ孔162とが形成されている。そして、ロッド11を、スライド部31に固定する場合は、先ず、ロッド11を、スライド部本体32に形成された貫通孔32aに挿入する。そして、ボルト160を、ねじ孔162に捻じ込む。ボルト160を捻じ込んでいくことにより、割り溝161の溝幅が小さくなっていき、これに伴い、スライド部本体32に形成された貫通孔32aの径も小さくなる。この結果、ロッド11が、スライド部31に固定される。このような固定方法でも、ロッド11を強固に固定することができる。
【0121】
図35(B)に示すガイド装置30では、スライド部本体32の上面(+Z側の面)には、貫通孔32aに通じるねじ孔163が形成されている。ロッド11を、スライド部31に固定する場合は、先ず、ロッド11を、スライド部31のスライド部本体32に形成された貫通孔32aに挿入し、押しねじ164を、ねじ孔163に捻じ込む。押しねじ164を捻じ込んでいくことにより、押しねじ164の先端部が、ロッド11の外周面に当接し、この結果、ロッド11が、スライド部31に固定される。押しねじ164には、例えば、いもねじが用いられる。
【0122】
図36(A)に示すガイド装置30では、スライド部本体32が、2つの部材から構成されている。詳しくは、スライド部本体32は、下側部材165と、下側部材165の+Z側に取り付けられた上側部材166とを有する。下側部材165には、ボルト160を螺合するねじ孔165aが、形成されている。また、上側部材166には、ボルト160を挿通する挿通孔166aが、ねじ孔165aと同軸上に形成されている。そして、ロッド11を固定する場合は、ボルト160を、ねじ孔165aに捻じ込み、下側部材165と上側部材166との間でロッド11を挟み込む。これにより、ロッド11が、スライド部31に固定される。
【0123】
ロッド11の固定方法は、
図35(A)、
図35(B)、及び
図36(A)に示すものに限られない。例えば、ロッド11は、溶接によって、スライド部31に固定されていてもよい。また、ロッド11は、摩擦接合、かしめ、圧入、焼きばめ、冷やしばめ、クランプ等によって、スライド部31に固定されていてもよい。さらに、
図36(B)に示すように、ロッド11とスライド部本体32とは、一体に形成されていてもよい。
【0124】
《変形例8》
また、
図24に示すように、上述した実施形態に係るアクチュエータ10は、カバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側、アクチュエータ10の表側)から、ボルト121で、作業台120に固定されている。しかしながら、アクチュエータ10の固定方法は、任意である。例えば、作業台120の下側(アクチュエータ10の裏側)から、ボルトを、作業台120の孔と、レール部60のベース61に形成された貫通孔61aとにそれぞれ挿入した上で、ナットに螺合することによって、アクチュエータ10は、作業台120に固定されていてもよい。また、貫通孔61aの内周面を、ねじ面から構成し、作業台120の下側から、ボルトを、作業台120の孔に挿入した上で、ベース61に形成された貫通孔61aに螺合することによって、アクチュエータ10は、作業台120に固定されていてもよい。
【0125】
また、レール部60のベース61に形成された貫通孔61aは、
図37に示すように、内周面が円滑な面で構成された挿通孔170と、内周面がねじ面で構成されたねじ孔171との2種類の孔を含んで構成されていてもよい。例えば、貫通孔61aが、合計で10個形成されている場合は、挿通孔170を6個形成し、ねじ孔171を4個形成してもよい。
【0126】
例えば、貫通孔61aが、ねじ孔の1種類のみで構成されている場合は、作業台120の下側から、ボルトを、作業台120の孔に挿入した上で、アクチュエータ10を作業台120に固定することになる。この場合、貫通孔61aが、ねじ孔であるため、作業台120の上側から、ボルトを貫通孔61aに挿入して、アクチュエータ10を作業台120に固定することが困難である。
【0127】
しかしながら、貫通孔61aが、挿通孔170と、ねじ孔171との2種類の孔を含んで構成されている場合は、アクチュエータ10を取り付ける作業者は、アクチュエータ10の設置環境に合わせて、
図37(A)に示すように、アクチュエータ10の上側(表側)から取り付けたり、
図37(B)に示すように、作業台120の裏側(下側)から取り付けたりすることができる。
【0128】
《変形例9》
変形例9に係るガイド装置30では、スライド部31のスライド部本体32に、グリスを注入するための注入孔180が形成されている。注入孔180は、スライド部本体32の内部に形成されたグリス通路を介して、貫通孔32aに通じている。この注入孔180からグリスが注入されることにより、グリスが、ボールねじナット72とボールねじ軸71との間に嵌め込まれた剛性の球体に供給される。
【0129】
変形例9に係るガイド装置30を有するアクチュエータ10においては、ボールねじ70の剛性の球体のグリスを、スライド部本体32に形成された注入孔180から注入することができる。例えば、カバーを有さないアクチュエータの場合は、ボールねじ70の球体のグリスを注入するためには、筐体等を分解する必要があり、グリスの注入作業が煩雑なものとなってしまう。しかしながら、変形例9においては、カバー18を取り外すことにより、注入孔180から、ボールねじ70の球体に、グリスを注入することができる。これにより、グリスの注入作業の作業性を良好とすることができる。また、スライド部31のリターン40には、ガイド装置30のボール50へグリスを注入するための注入孔48も形成されているため、カバー18を取り外すことにより、ボールねじ70の球体と、ガイド装置30のボール50とのいずれにも、グリスを注入することができる。これにより、グリスの注入作業の作業性を、さらに良好とすることができる。
【0130】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0131】
(付記1)
回転軸を備えたモータと、
前記回転軸の回転運動とともに回転運動するボールねじ軸と、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するボールねじナットと、を有するボールねじと、
前記ボールねじナットとともに直線運動するように前記ボールねじナットに接続され、先端に工具が取り付けられる作業軸と、
前記作業軸に固定され、前記作業軸の運動方向に沿って第1溝部が形成されたスライド部と、
前記第1溝部に対向し、前記作業軸の運動方向に沿って第2溝部が形成され、剛性の素材からなるレール部と、
剛性の素材からなり、前記第1溝部及び前記第2溝部に挟まれることにより前記第1溝部及び前記第2溝部を転動して、前記スライド部を移動可能に支持する転動体と、
を有することを特徴とするアクチュエータ。
【0132】
(付記2)
前記スライド部は、前記転動体が通過する転動体循環路が内部に形成された転動体収納ユニットを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動した前記転動体は、前記転動体循環路を通過して、前記第1溝部と前記第2溝部との間に移動し、再び、前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動することを特徴とする付記1に記載のアクチュエータ。
【0133】
(付記3)
前記転動体は、球形状に形成され、
前記第1溝部及び前記第2溝部の内面は、湾曲面として構成されており、
前記湾曲面の曲率半径は、前記転動体の半径と同等であることを特徴とする付記2に記載のアクチュエータ。
【0134】
(付記4)
前記スライド部の前記第1溝部、前記レール部の前記第2溝部、及び前記転動体循環路は、それぞれ2つずつ形成され、
前記転動体は、前記第1溝部と前記第2溝部とに、前記作業軸の運動方向と直交する方向に挟まれることを特徴とする付記3に記載のアクチュエータ。
【0135】
(付記5)
前記作業軸は、前記ボールねじ軸の先端部が挿入されるための孔が形成された円筒形状に形成され、
前記ボールねじ軸の前記先端部には、前記作業軸の前記孔の内周面と接触する弾性部材が配置されていることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0136】
(付記6)
前記弾性部材には、前記作業軸の運動方向に沿って、溝が形成されていることを特徴とする付記5に記載のアクチュエータ。
【0137】
(付記7)
前記弾性部材に形成された前記溝は、前記ボールねじ軸の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されていることを特徴とする付記6に記載のアクチュエータ。
【0138】
(付記8)
前記作業軸には、雄ねじ部が形成され、
前記スライド部には、雌ねじ部が形成されており、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合により、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていることを特徴とする付記1乃至7のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0139】
(付記9)
前記スライド部には、割り溝が形成されており、
前記割り溝の溝幅を小さくすることにより、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていることを特徴とする付記1乃至7のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0140】
(付記10)
前記スライド部には、押しねじを挿入するためのねじ孔が形成されており、
前記ねじ孔に挿入された前記押しねじの当接により、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていることを特徴とする付記1乃至7のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0141】
(付記11)
前記作業軸の前記先端近傍に配置され、前記作業軸を直線運動可能に支持する作業軸支持手段を有し、
前記作業軸支持手段は、前記作業軸支持手段と前記作業軸との間を転動する転動体を有することを特徴とする付記10に記載のアクチュエータ。
【0142】
(付記12)
前記作業軸の直線運動に伴って直線運動することにより、前記作業軸の直線運動を案内する案内軸と、前記案内軸を直線運動可能に支持する案内軸支持手段とを有する案内軸ユニットを有することを特徴とする付記1乃至11のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0143】
(付記13)
前記案内軸ユニットは、前記作業軸を挟み込むように、前記作業軸の両側に形成されていることを特徴とする付記12に記載のアクチュエータ。
【0144】
(付記14)
前記案内軸支持手段は、前記案内軸支持手段と前記案内軸との間を転動する転動体を有することを特徴とする付記13に記載のアクチュエータ。
【0145】
(付記15)
前記作業軸には、2つのスライド部が固定されていることを特徴とする付記1乃至14のいずれか一つに記載のアクチュエータ。
【0146】
(付記16)
前記アクチュエータは、
前記レール部に脱着可能に取り付けられ、前記スライド部を覆うカバーをさらに有していてもよい。