(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持ブラケット(130)は、前記ローラ群(R)において前記ホース(5)の上側に配置されるローラ(R3)を支持する上側ブラケット(140)と、前記ローラ群(R)において前記ホース(5)の下側に配置されるローラ(R1,R2)を支持する下側ブラケット(150)と、を有し、
前記上側ブラケット(140)と前記下側ブラケット(150)とは、前記ホース(5)の引き出し方向の下流側の端部同士が回動可能に連結され、前記下側ブラケット(150)に対して前記上側ブラケット(140)を回動させることによって、前記下側ブラケット(150)に対して前記上側ブラケット(140)を開くことができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力噴霧機(1)のホース泥落とし装置(10)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示すように、動力噴霧機1は、圃場等において農薬等の薬液(液体)を噴霧する装置である。動力噴霧機1は、エンジン2、ポンプ3、ホースリール4、ホース5、ホースガイド6、送出ローラ7、本体フレーム8、及び泥落とし装置(ホース泥落とし装置)10を備えている。動力噴霧機1は、エンジン2の駆動力により走行することができる。
【0017】
ポンプ3は、別途設けられた薬液タンクから薬液を吸引し、ホース5に圧送する。ポンプ3は、エンジン2によって駆動される。ポンプ3によって薬液がホース5に圧送されると、ホース5の先端部に設けられたノズル(図示せず)から薬液が噴霧される。
【0018】
ホースリール4は、ホース5を巻き取るリールであり、本体フレーム8に対して回転可能に取り付けられている。ホースリール4は、エンジン2によって回転駆動されることにより、ホース5を巻き取る。送出ローラ7は、ホースリール4の上方の位置に設けられている。送出ローラ7は、ホースリール4からホース5を引き出す際の引き出し力を軽減するために、ホース5に送り出し力を付与する。送出ローラ7は、エンジン2によって駆動される。
【0019】
ホースガイド6は、ホースリール4から引き出されたホース5を案内する。より詳細には、ホースガイド6は、本体フレーム8の上部に設けられるベース61と、ベース61から斜め上方に延びるように取り付けられた一対のガイドプレート62(
図2参照)とを有している。送出ローラ7から送り出されたホース5は、ベース61を通り、一対のガイドプレート62間に案内される。ガイドプレート62の基端部には、一対のガイドプレート62間にホース5を案内する元側ローラ63設けられている。
【0020】
泥落とし装置10は、ホースガイド6の先端部に取り付けられ、ホース5に付着する泥等を除去する。泥落とし装置10は、
図1〜
図4に示すように、前側スクレーパ110、後側スクレーパ120、支持ブラケット130、及びローラ群Rを備えている。ローラ群Rは、第1ローラR1、第2ローラR2、第3ローラR3、及び第4ローラR4を有している。
【0021】
第1ローラR1〜第4ローラR4は、支持ブラケット130によって回転可能に支持されている。第1ローラR1〜第4ローラR4の回転軸は、水平方向に延在し、且つ、ホース5の引き出し方向に対して直交している。第1ローラR1〜第4ローラR4の外周面には、周方向に沿って溝Ra(
図5参照等)が設けられている。第1ローラR1〜第4ローラR4の外周面に設けられた溝Raにホース5が当接することで、ホース5が案内される。
【0022】
図5に示すように、泥落とし装置10のローラ群Rを前側スクレーパ110が設けられる側から見た場合、上下2つのローラの溝Raによって、ホース5と略同じ外径の円が形成されるように、第1ローラR1〜第4ローラR4の外周面にそれぞれ溝Raが設けられている。なお、
図5は、ローラ群R等を図示するために、前側スクレーパ110及び第1ローラR1を取り外した状態を示している。
【0023】
第1ローラR1及び第2ローラR2は、ホース5の下側に配置される。第3ローラR3及び第4ローラR4は、ホース5の上側に配置される。支持ブラケット130は、ホース5の上側に配置される第3ローラR3及び第4ローラR4を支持する上側ブラケット140と、ホース5の下側に配置される第1ローラR1及び第2ローラR2を支持する下側ブラケット150とを有している。
【0024】
特に、
図4に示すように、第1ローラR1は、第2ローラR2よりもホース5の引き出し方向の下流側に配置される。第3ローラR3は、第4ローラR4よりもホース5の引き出し方向の下流側に配置される。第3ローラR3は、ホース5の引き出し方向において前記第1ローラ(R1)と前記第2ローラ(R2)との間に第3ローラR3の回転軸が位置するように配置されている。
【0025】
第1ローラR1は、直線状態としたホース5を第2ローラR2及び第3ローラR3に当接させたときに、直線状態としたホース5から下方向に所定長さ離間した位置に配置されている。また、第4ローラR4は、直線状態としたホース5を第2ローラR2及び第3ローラR3に当接させたときに、直線状態としたホース5から上方向に所定長さ離間した位置に配置されている。
【0026】
前側スクレーパ110は、
図2〜
図4に示すように、ローラ群Rにおけるホース5の引き出し方向の下流側に配置されている。より詳細には、前側スクレーパ110は、第3ローラR3及び第4ローラR4を支持する上側ブラケット140におけるホース5の引き出し方向の下流側の端面に取り付けられている。
【0027】
前側スクレーパ110は、2つの板部材111によって構成されている。2つの板部材111は、端部同士が互いに付き合せられて、1枚の板状となっている。板部材111は、一例としてゴム製である。前側スクレーパ110には、2つの板部材111を付き合せた位置にホース5が通される孔部112が設けられている。孔部112の直径は、ホース5の直径と略同じに形成されている。ホース5は、2つの板部材111の付き合せ部分を介して前側スクレーパ110の孔部112に入れられる。ホース5の巻き取り時に、前側スクレーパ110の孔部112をホース5が通過することで、前側スクレーパ110によってホース5に付着した泥等が除去される。
【0028】
また、前側スクレーパ110には、孔部112から放射状に広がる複数のスリット113が設けられている。ここで、前側スクレーパ110によってホース5の付着した泥等を除去する際に、泥の固さ等によっては板部材111に過大な力が加わる。このため、スリット113を設けることにより、板部材111に過大な力が加わった場合に、孔部112の周りの板部材111を容易に湾曲させて過大な力を逃がすことができる。
【0029】
図2〜
図5に示すように、上側ブラケット140は、一対の取付部141、一対のサイドフレーム145、及び複数の連結部材146を備えている。一対のサイドフレーム145は、第3ローラR3及び第4ローラR4を挟み込むようにして配置され、第3ローラR3及び第4ローラR4の回転軸の両端部をそれぞれ支持する。複数の連結部材146は、一対のサイドフレーム145間に配置され、一対のサイドフレーム145の間隔を保っている。
【0030】
一対の取付部141は、一対のサイドフレーム145におけるホース5の引き出し方向の下流側の端部から、それぞれ外側に向けて側方に張り出している。一対の取付部141には、上下方向に延びる長孔142がそれぞれ2つずつ設けられている。
【0031】
前側スクレーパ110は、2つの板部材111が一対の取付部141にそれぞれ当接するように、取付部141に重ねられる。前側スクレーパ110は、長孔142に通されたネジ143、及びナット144を用いて取付部141に取り付けられている。なお、この取り付けの際に、前側スクレーパ110は、上側ブラケット140に対して上下方向に移動可能に取付部141に取り付けられている。具体的には、取付部141に設けられる長孔142が上下方向に延びる孔であるため、ネジ143が長孔142の延び方向に沿って移動する範囲内において、前側スクレーパ110が上側ブラケット140に対して上下方向に移動することができる。
【0032】
後側スクレーパ120は、
図3に示すように、ローラ群Rにおけるホース5の引き出し方向の上流側に配置されている。より詳細には、後側スクレーパ120は、下側ブラケット150において第2ローラR2よりもホース5の引き出し方向の上流側の部位に取り付けられている。
【0033】
後側スクレーパ120は、
図6に示すように、板部材121、プレート125、及びネジ126を備えている。板部材121は、一例としてゴム製である。板部材121には、ホース5が通される孔部122が設けられている。孔部122の直径は、ホース5の直径と略同じに形成されている。板部材121には、孔部122から放射状に広がる複数のスリット123が設けられている。板部材121にスリット123を設けることにより、前側スクレーパ110に設けられたスリット113と同様の機能を発揮することができる。
【0034】
また、複数のスリット123のうち、孔部122から下方側に向かって延びるスリット123aは、孔部122の縁部から板部材121の下側の端部まで延びている。ホース5は、このスリット123aを介して板部材121の孔部122に入れられる。ホース5の巻き取り時に、後側スクレーパ120の板部材121の孔部122をホース5が通過することで、板部材121によってホース5に付着した泥等が除去される。
【0035】
プレート125は、一例として金属製のプレートである。プレート125には、孔部125aが設けられている。孔部125aの直径は、ホース5の直径よりも大きい。また、プレート125の下端部には、切欠部125bが設けられている。この切欠部125bの間隔は、ホース5の直径よりも大きい。すなわち、プレート125は、切欠部125bを介して孔部125a内にホース5を入れることができる形状となっている。また、プレート125の側部には、外側に向けて突出する一対の突出部125cが設けられている。
【0036】
板部材121及びプレート125は、互いに重ねられた状態でネジ126によって互いに固定される。すなわち、プレート125は、板部材121の上部、及び側部に重なる。
【0037】
図2〜
図5に示すように、下側ブラケット150は、一対のサイドフレーム155、及び連結部材156を備えている。一対のサイドフレーム155は、第1ローラR1及び第2ローラR2を挟み込むようにして配置され、第1ローラR1及び第2ローラR2の回転軸の両端部をそれぞれ支持する。連結部材156は、一対のサイドフレーム155間に配置され、一対のサイドフレーム155の間隔を保っている。
【0038】
一対のサイドフレーム155には、第2ローラR2よりもホース5の引き出し方向の上流側の位置において、サイドフレーム155の上側の縁部から下方に向かって延びるスリット157(
図3等参照)がそれぞれ設けられている。すなわち、スリット157は、上端が開口すると共に、上下方向に沿って延びている。
【0039】
一対のスリット157には、後側スクレーパ120のプレート125に設けられた一対の突出部125cが、スリット157の上部の開口部分からそれぞれスリット157内に差し込まれる。また、突出部125cは、スリット157の延在方向に沿ってスリット157内を移動可能である。このように、一対のスリット157に後側スクレーパ120の突出部125cが差し込まれることで、後側スクレーパ120が下側ブラケット150に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。
【0040】
図3及び
図7に示すように、上側ブラケット140と下側ブラケット150とは、ホース5の引き出し方向の下流側の端部同士が回動可能に連結されている。そして、上側ブラケット140及び下側ブラケット150は、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140を回動させることによって、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140を上側に開くことができる。
【0041】
具体的には、上側ブラケット140と下側ブラケット150とは、ホース5の引き出し方向の下流側の端部同士が軸部材147によって回動可能に連結されている。なお、軸部材147は、第1ローラR1を支持する回動軸としての機能も兼ねている。軸部材147は、スナップピン147aによって抜け止めがされている。
【0042】
上側ブラケット140が下側ブラケット150に対して閉じた状態(
図4に示す状態)において、上側ブラケット140のサイドフレーム145が、下側ブラケット150のサイドフレーム155に設けられたスリット157の上部の開口を塞ぐようにサイドフレーム155の上に重なる。この状態で、下側ブラケット150のサイドフレーム155に取り付けられたフック158を用いて、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140が固定される。
【0043】
また、下側ブラケット150が上側ブラケット140に対して固定されている状態では、下側ブラケット150のサイドフレーム155に設けられたスリット157の上部の開口が、上側ブラケット140のサイドフレーム145によって塞がれる。これにより、スリット157から後側スクレーパ120が脱落することが防止される。
【0044】
このように、フック158による上側ブラケット140の固定を解除することで、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140を上側に開くことができる(
図7に示す状態)。下側ブラケット150に対して上側ブラケット140を上側に開いた状態で、スリット157から後側スクレーパ120を上側に引き抜くことができる。また、軸部材147がスナップピン147aによって上側ブラケット140及び下側ブラケット150に対して抜け止めがされているので、スナップピン147aを取り外すことで、容易に軸部材147を引き抜くことができる。これにより、上側ブラケット140と下側ブラケット150とを容易に分解することができる。
【0045】
図4及び
図8に示すように、支持ブラケット130は、前側スクレーパ110が取り付けられる側の端部(先端部)が上下方向に移動可能なように、ホースガイド6の先端部に回動可能に取り付けられる。なお、泥落とし装置10及び支持ブラケット130において、ホース5の引き出し方向の下流側(前側スクレーパ110が設けられている側)を、先端側とする。
【0046】
具体的には、下側ブラケット150のサイドフレーム155においてホース5の引き出し方向の上流側の端部近傍の部位が、ホースガイド6のガイドプレート62に軸部材148によって回動可能に連結されている。また、ホースガイド6のガイドプレート62には、下側ブラケット150とガイドプレート62との連結部の下方側の位置において、ストッパ64が設けられている。
【0047】
図4に示すように、サイドフレーム155において、軸部材148が通される部位よりも先端側(前側スクレーパ110が設けられている側)の部位がストッパ64の上面に当接することで、ストッパ64は、泥落とし装置10の先端側が下側に向かう方向の回動を規制する。また、
図8に示すように、サイドフレーム155において、軸部材148が通される部位よりも先端側に対して反対側の部位がストッパ64の上面に当接することで、ストッパ64は、泥落とし装置10の先端側が上側に向かう方向の回動を規制する。このように、ストッパ64は、泥落とし装置10の先端部が上下に移動するように泥落とし装置10が回動するときの回動範囲を規定している。
【0048】
また、ホースガイド6のガイドプレート62には、送出スイッチ65、及び巻取停止スイッチ66が設けられている。下側ブラケット150のサイドフレーム155において、ホース5の引き出し方向の上流側の端部には、送出レバー151、及び巻取停止レバー152が設けられている。送出スイッチ65は、
図8に示すように泥落とし装置10の先端部が上方を向くように回動したときに、送出レバー151によって押下される位置に設けられている。同様に、巻取停止スイッチ66は、
図8に示すように泥落とし装置10の先端部が上方を向くように回動したときに、巻取停止レバー152によって押下される位置に設けられている。
【0049】
なお、
図8等においては、送出スイッチ65及び巻取停止スイッチ66等を覆うカバーを省略しているが、
図1に示すようにホースガイド6のガイドプレート62には、送出スイッチ65及び巻取停止スイッチ66の周りを覆うカバーが取り付けられている。これにより、泥等が送出スイッチ65及び巻取停止スイッチ66等に付着することが抑制できる。また、送出スイッチ65及び巻取停止スイッチ66は、泥等の除去を行うローラ群R等から離れた位置に設けられている。このため、ローラ群R等で除去された泥等が送出スイッチ65等に付着することを抑制できる。
【0050】
次に、ホース5を動力噴霧機1から引き出すときの各部の状態について説明する。
図1及び
図9に示すように、エンジン2を起動し、クラッチを締結等することによって送出ローラ7を回転駆動させると、送出ローラ7の回転によりホースリール4からホース5が上方に引き出される。そして、ホース5は、ホースガイド6によって向きを変えて泥落とし装置10側へ進む。ホースガイド6から泥落とし装置10へホース5が進む際に、ホース5は上側に膨れる。このホース5の膨れを泥落とし装置10の第4ローラR4が抑えつつ、ホース5が泥落とし装置10から送り出される。
【0051】
また、ホース5は、泥落とし装置10からやや下向きに引き出されるため、泥落とし装置10の第1ローラR1がホース5を支持し、第1ローラR1がホース5の引き出しの負荷を受ける。なお、ホース5は泥落とし装置10からやや下向きに引き出されるため、泥落とし装置10は、泥落とし装置10の先端部が下側に向かう方向の移動がストッパ64によって規制された状態のままとなっている。必要な長さのホース5が引き出された後、クラッチを切断等することによって送出ローラ7の回転駆動を停止させる。
【0052】
前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120が上下に移動可能に支持ブラケット130に取り付けられているため、ホース5が上方に膨れた場合等、ホース5が上下に移動してもホース5の移動に伴って前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120も移動する。これにより、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120が、ホース5の引き出しの妨げになることを抑制できる。
【0053】
次に、ホース5を動力噴霧機1のホースリール4に巻き取るときの各部の状態について説明する。
図1及び
図4に示すように、エンジン2を起動し、クラッチを締結等することによってホースリール4を回転駆動させると、ホースリール4によってホース5が巻き取られる。ホースリール4によるホース5の巻き取り時には、ホースガイド6に設けられた元側ローラ63と泥落とし装置10に設けられた第2ローラR2との間でホース5に張力がかかり、引き出し時のようにホース5が上側に膨れずにホース5が第4ローラR4から離間した状態となる。
【0054】
これにより、ホース5の巻き取り時には、第2ローラR2及び第3ローラR3によってホース5の下側部分及び上側部分が挟まれた状態となり、第2ローラR2及び第3ローラR3によってホース5に付着した泥等の除去がされ易い。なお、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120は、ホース5に常に接触しているため、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120によってもホース5に付着する泥等の除去が行われる。
【0055】
ここで、ホース5にはノズルが設けられる側の端部の近傍に巻取ストッパ52が設けられている。また、ホースガイド6と泥落とし装置10との連結部(軸部材148の位置)は、ホース5よりも下側となっている。このため、ホース5が巻き取られて巻取ストッパ52が前側スクレーパ110に当接すると、
図8に示すように、軸部材148を支点として、泥落とし装置10の先端部が上側を向くように回動する。
【0056】
このように泥落とし装置10の先端部が上方を向くように回動することにより、巻取停止レバー152によって巻取停止スイッチ66が押下される。この巻取停止スイッチ66が押下されることにより、ホースリール4は巻取を停止する。例えば、巻取停止スイッチ66が押下されたときに、エンジン2の動力をホースリール4に伝達するクラッチの締結が解除されることによって、ホースガイド6による巻き取り動作を停止させることができる。巻取停止スイッチ66が押下されると、再び、ホース5の送出が開始されるまで、又はエンジン2を再始動するときまで巻取停止状態が維持される。
【0057】
ここで、圃場が動力噴霧機1よりも上にある場合など、ホース5が泥落とし装置10から上向きに引き出される場合がある。この場合、送出スイッチ65の押下の有無によって、ホース5を送り出してもよい。具体的には、
図10に示すように、ホース5が上に引き出される力によって、軸部材148を支点として、泥落とし装置10の先端部が上側を向くように回動する。
【0058】
このように泥落とし装置10の先端部が上方を向くように回動することにより、送出レバー151によって送出スイッチ65が押下される。この送出スイッチ65が押下されることにより、送出ローラ7は一定時間ホース5を送り出す。ホース5が送り出されると、ホース5の上方への張力が無くなり、泥落とし装置10の先端部が下方に向かうように回動する。このように、ホース5の引き出し時には、送出スイッチ65の押下の状態に基づいて送出ローラ7によってホース5を送り出すことができる。
【0059】
本実施形態は以上のように構成され、この動力噴霧機1の泥落とし装置10では、ホースリール4へのホース5の巻き取り時に、ホース5を案内するローラ群Rがホース5に当接することによってホース5に付着する泥等が除去されると共に、前側スクレーパ110の孔部112及び後側スクレーパ120の孔部122をホース5が通ることにより、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120によっても泥等が除去される。このようにローラ群R、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120によって泥等の除去を行うことができるため、この動力噴霧機1の泥落とし装置10では、ホース5に付着した泥等を確実に除去することができる。
【0060】
第1ローラR1は、直線状態としたホース5を第2ローラR2及び第3ローラR3に当接させたときに、直線状態としたホース5から所定長さ離間した位置に配置されている。この場合、第1ローラR1及び第2ローラR2と、第3ローラR3との間をホース5が通る際に第1ローラR1〜第3ローラR3による抵抗を抑えつつ、ホース5を容易に引き出すことができる。
【0061】
前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120は、支持ブラケット130に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。この場合、ホース5の引き出し時及び巻き取り時に、ホース5に上下方向のうねりが生じた場合であっても、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120がホース5のうねりに追従することができる。これにより、動力噴霧機1の泥落とし装置10は、ホース5にうねりが生じた場合であっても、ホース5の泥等を確実に除去することができる。また、ホース5の引き出し時には、ホース5の上下方向のうねりに追従して前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120も移動するため、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120が、ホース5の引き出しの妨げになることを抑制できる。
【0062】
泥落とし装置10は、ホースガイド6の先端部に回動可能に取り付けられている。この場合、例えば動力噴霧機1よりも高い位置にある圃場に噴霧を行う場合など、ホース5の引き出しの高さ位置に応じて泥落とし装置10の向きを変えることができるので、ホース5、及び前側スクレーパ110等に過剰な負荷がかかることを抑制することができる。
【0063】
上側ブラケット140と下側ブラケット150とは、軸部材147を軸として回動可能に連結されている。この場合、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140を上側に開くことにより、第1ローラR1〜第4ローラR4周りに付着した泥の除去等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0064】
後側スクレーパ120は、下側ブラケット150のサイドフレーム155に設けられたスリット157に差し込まれることによって下側ブラケット150に取り付けられている。この場合、下側ブラケット150に対して上側ブラケット140が開いた状態で、後側スクレーパ120を引き抜くことにより、後側スクレーパ120を下側ブラケット150から容易に取り外すことができ、交換作業等が容易となる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、泥落とし装置10は、前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120の2つのスクレーパを備えるものとしたが、少なくとも一方のみを備える構成であってもよい。
【0066】
ローラ群Rは、第1ローラR1〜第4ローラR4の4つのローラを有しているものとしたが、第1ローラR1〜第3ローラR3の3つのローラを有する構成であってもよい。また、ローラ群Rは、5以上の数のローラを有していてもよい。
【0067】
前側スクレーパ110及び後側スクレーパ120が支持ブラケット130に対して上下方向に移動可能に取り付けられていることは必須では無い。また、泥落とし装置10は、ホースガイド6に対して回動可能に取り付けられていることは必須では無く、ホースガイド6に固定された状態であってもよい。
【0068】
上側ブラケット140及び下側ブラケット150は、回動可能に連結されていなくてもよい。後側スクレーパ120は、下側ブラケット150のサイドフレーム155に設けられたスリット157に差し込む構成としたが、スリット157に差し込む構成以外の方法によって取り付けられていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、動力噴霧機1のホース5の泥等を除去する例について説明したが、泥落とし装置10は、ホース5以外にもワイヤ、ケーブル等の他の長尺物の泥を落とすこともできる。