(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸引ブロアの駆動により、前記発生した粉塵を含む空気をフィルタケース内に取り込み、前記フィルタケースに収容された円柱型のフィルタ本体の外周面から中心部を通り軸方向に排出される空気の流れを形成し、前記フィルタ本体の外周面に集塵するステップにおいて、
前記吸引ブロアの駆動は、前記切削ドラムの駆動に連動していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたフィルタ装置の粉塵回収方法。
【背景技術】
【0002】
一般的に、舗装路面の補修工事等に用いられる自走式切削機は、車体の下方に設置され、高速回転することにより舗装路面を切削する切削ドラムと、この切削ドラムによって切削された舗装路面廃材を、車体の走行方向の前方に搬出するベルトコンベアとを備えている。
前記切削ドラムの外周面には切削ビットが設けられ、前記車体本体を自走させながら、前記切削ドラムを高速で回転させ、舗装路面を切削する。この切削によって発生した舗装路面廃材は、前記切削ドラムからベルトコンベアに搬出され、更に前記ベルトコンベアからトラック等の車両に搬出され、前記舗装路面から切削した舗装路面廃材を除去するようになされている。
【0003】
この自走式切削機にあっては、切削ドラムを高速で回転させることによって、舗装路面を切削するため、多大の粉塵が発生する。
更に、切削された舗装路面廃材が切削ドラムからベルトコンベアに搬出される際、またベルトコンベアから車両等に搬出する際にも、多大の粉塵が発生する。
この粉塵は、自走式切削機を操作する者、或いは舗装路面工事の作業者、更には舗装路面工事が行われている地域の住民に健康上の悪影響を及ぼす虞がある。
【0004】
この粉塵を抑制、除去する手段として、特許文献1(特開2007−138420号公報)には、
図13に示す路面切削装置50が開示されている。この路面切削装置50は、路面を切削する切削ドラム56と、切削した廃材を搬送する第1の搬送コンベア51、及びそれに続く第2の搬送コンベア52を備える。前記第1の搬送コンベア51及び第2の搬送コンベア52はカバー部材53で覆われ、このカバー部材53には排気通路54の一端が接続されている。また、前記排気通路54の他端には、カバー部材53内の圧力を大気圧以下にする吸引機55が接続されている。
この路面切削装置50によれば、路面切削時及び切削屑搬送時などに発生した粉塵がカバー部材53の継ぎ目部や開口部などから外部に漏れて飛散するのを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された路面切削装置にあっては、吸引機55が大量の粉塵をフィルタにより集塵するため、フィルタの目詰まりが生じ易い。そのため、吸引機55を逆回転させて排気通路54から前記カバー部材内に空気を逆流させ、フィルタ表面に付着した粉塵をカバー部材内のコンベア上に落下させて除去するものとしている。
しかしながら、排気通路54において空気を逆流させると、一度集塵した細かな粉塵が再びコンベア上で舞い、コンベア上に全て落下するまでに時間を要し、粉塵の回収効率が悪いという課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、切削ドラムにより舗装路面を切削しながら舗装路面廃材を回収する自走式切削機において、発生した粉塵を効率的に回収することのできるフィルタ装置及びその粉塵回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するために本発明に係るフィルタ装置の粉塵回収方法は、切削ドラムを回転させながら舗装路面を切削する自走式切削機に具備され、舗装路面を切削する際に発生する粉塵を回収するフィルタ装置の粉塵回収方法であって、吸引ブロアの駆動により、前記発生した粉塵を含む空気をフィルタケース内に取り込み、前記フィルタケースに収容された円柱型のフィルタ本体の外周面から中心部を通り軸方向に排出される空気の流れを形成し、前記フィルタ本体の外周面に集塵するステップと、前記吸引ブロアによる吸引を停止するステップと、前記吸引ブロアによる吸引の停止後、前記外周面に集塵したフィルタ本体を軸周りに回転させるステップと、前記回転する前記フィルタ本体の外周面にヘラ部材を摺接させ、前記フィルタ本体の外周面に付着する粉塵を除去するステップと、を含むことに特徴を有する。
尚、前記回転する前記フィルタ本体の外周面にヘラ部材を摺接させ、前記フィルタ本体の外周面に付着する粉塵を除去するステップにおいて、前記フィルタ本体の下方に配置されたスクリューコンベアにより、前記フィルタ本体から除去されて落下した粉塵を一方向に搬送し、前記スクリューコンベアの搬送方向下流に配置された回収容器に回収するステップを含むことが望ましい。
【0011】
このような方法によれば、吸引ブロアの駆動によりフィルタケース内に流れ込んだ空気は、フィルタ本体の外側から中心部を流れるため、フィルタ本体の外周面に粉塵が付着する。そして、吸引ブロアの停止後に、円柱型のフィルタ本体を軸周りに回転させ、その外周面にヘラ部材を摺接させることによりフィルタ本体の外周面に付着している粉塵を除去することができる。更に、フィルタ本体の下方に落下した粉塵は、スクリューコンベアにより搬送し回収容器に回収することができる。
即ち、本発明に係るフィルタ装置の粉塵回収方法にあっては、フィルタ本体の目詰まりを解消するだけでなく、一度フィルタ本体に集めた粉塵を、従来技術のようにベルトコンベア側に逆流させることなく回収することができるため、集塵と粉塵回収とを効率的に行うことができる。
【0012】
また、吸引ブロアの駆動により、前記発生した粉塵を含む空気をフィルタケース内に取り込み、前記フィルタケースに収容された円柱型のフィルタ本体の外周面から中心部を通り軸方向に排出される空気の流れを形成し、前記フィルタ本体の外周面に集塵するステップにおいて、前記吸引ブロアの駆動は、前記切削ドラムの駆動に連動していることが望ましい。
また、前記吸引ブロアによる吸引の停止後、前記外周面に集塵したフィルタ本体を軸周りに回転させるステップにおいて、前記吸引ブロアによる吸引の停止後、予め設定された所定時間の経過後に前記外周面に集塵したフィルタ本体を軸周りに回転させるステップを含むことが望ましい。
また、前記吸引ブロアによる吸引の停止後、前記外周面に集塵したフィルタ本体を軸周りに回転させるステップの後、予め設定された所定時間の経過後に前記フィルタ本体の回転を停止するステップを含むことが望ましい。
【0013】
このように吸引ブロアの駆動と切削ドラムの駆動を連動させ、また、フィルタ装置における各動作の開始、終了を所定時間の経過後に実行するよう制御することにより、フィルタ装置による粉塵回収動作を自動的に行うことができ、作業者はフィルタ装置の操作を気にすることなく切削作業に集中することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、切削ドラムにより舗装路面を切削しながら舗装路面廃材を回収する自走式切削機において、発生した粉塵を効率的に回収することのできるフィルタ装置及びその粉塵回収方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるフィルタ装置及びその粉塵回収方法の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。尚、本発明に係るフィルタ装置は、切削ドラムにより舗装路面を切削しながら舗装路面廃材を回収する自走式切削機に具備されるものである。
図1は、本発明に係るフィルタ装置を備える自走式切削機の側面図、
図2は平面図である。この自走式切削機1は、車両本体2のほぼ中央上部に設けられた運転席3と、車両本体2に設けられた駆動装置であるエンジン4と、前記エンジン4によって駆動されるタイヤ等の走行手段5とを備える。尚、前記エンジン4の側方には、エンジン4の回転を動力源として電装部品の電源を発電するオルタネータ41が配置されている。
図2に示すように、このオルタネータ41により発電された交流電流は直流に変換されてバッテリー42に蓄えられ、AC/DCインバータ43によって交流電流に変換され、運転席3付近に設けられたメイン操作盤44から電源供給することが可能となっている。
【0017】
さらに自走式切削機1は、車両本体2の略中央下部における幅方向に設けられた、多数個の切削ビットを備えた切削ドラム6と、前記切削ドラム6の上部及び前後左右部を覆い、切削ドラム室7を形成するカバー板8とを備えている。このように、前記カバー板8が切削ドラム6の上部及び前後左右部を覆い、切削ドラム室7がほぼ密閉した状態になされるため、前記切削ドラム室7から外部への粉塵Dの飛散は抑制される。
【0018】
また、前記切削ドラム6は、前記エンジン4等によって高速回転可能に設けられ、補修すべき舗装道路を切削することができるように構成されている。
さらに、切削ドラム6により切削した舗装路面廃材を前記切削ドラム室7から搬出するための第1のベルトコンベア9が設けられている。この第1のベルトコンベア9の始点は、切削ドラム室7に設けられ、第1のベルトコンベア9の終端は、車両本体2の前部に位置するように配置されている。また、この第1のベルトコンベア9の上側部分、即ち舗装路面廃材が搬出される空間は、カバー部材9aによって覆われ、密閉状態になされ、外部への粉塵Dの飛散が抑制されるように構成されている。
【0019】
更に、前記車両本体2の前部上部に対し、図示する様に折り畳んだ状態からリンク機構11によって回動可能に配設され、かつ前記第1のベルトコンベア9からの舗装路面廃材を受け取りトラック車両の荷台等に搬出するための第2のベルトコンベア10が配設されている。
この第2のベルトコンベア10についても、第1のベルトコンベア9と同様に、第2のベルトコンベア10の上側部分(
図1、2は第1のベルトコンベア9に対し第2のベルトコンベア10を折り畳んだ状態なので下側に位置する)、即ち舗装路面廃材が搬送される空間は、カバー部材10aによって覆われ、密閉状態になし、外部への粉塵Dの飛散が抑制されるように構成されている。
【0020】
このように切削ドラム室7から第2のベルトコンベア10の終端に至る経路が、略密閉された状態となり、外部への粉塵Dの飛散が抑制されるように構成されている。
前記切削ドラム6は、切削ドラム室7を形成するカバー板8とともに上下、及び前後に移動可能となされる。即ち、ボックス状のカバー板8の上面側には、車体の高さ方向に伸縮するよう配置された油圧シリンダ12の一端が回動自在に連結され、他端は車両本体2の上部フレーム2Aに回動自在に連結されている。
【0021】
また、カバー板8の上面側前端部には、車体の前後方向に伸縮するよう配置された油圧シリンダ13の一端が回動自在に連結され、他端は車両本体2の車両縦フレーム2Bに回動自在に配置されている。また、油圧シリンダ13と平行に配置された油圧シリンダ14の一端がカバー板8の側面側に回動自在に接続され、その他端は車両本体2の車両縦フレーム2Bに回動自在に接続されている。
尚、
図1では、上記の3本の油圧シリンダのみを示すが、車両本体2の幅方向の反対側にも同様に3本の油圧シリンダが配備される。
【0022】
これら油圧シリンダ12、13、14の駆動は、車両本体2の側部に設けられた操作スイッチ群15を、(車両に対する)作業位置Pにおいて車両と並行して歩く作業者が路面状態を見ながら操作することによってなされる。即ち、操作スイッチ群15の操作により油圧シリンダ12、13、14はそれぞれ伸縮し、カバー板8とともに切削ドラム6を上下、及び前後方向に移動させることが可能となされている。
また、車両本体2の側面には前記操作スイッチ群15の他、コンベア操作のための操作スイッチ群16が設けられ、作業者の操作によりコンベアの回転方向の制御や変速が可能となっている。尚、運転席3付近のメイン操作盤44にもコンベア操作のためのスイッチは設けられているが、車両本体2の側面に前記スイッチ群16を設けることにより、作業者が運転席まで上らなくてもコンベア操作が可能となっている。
【0023】
また、本発明に係るフィルタ装置30は、
図2に示すように車両上部フレーム2A上の左右両側に対称的に配置される。このフィルタ装置30は、自走式切削機1において、切削ドラム6が切削した舗装路面廃材を第1のベルトコンベア9に流す際に、切削ドラム室7内に生じた粉塵Dを吸引して集塵するためのものである。
前記フィルタ装置30の車両前後方向の位置は、
図1、
図2に示すように、切削ドラム6と車両縦フレーム2Bとの間(操作スイッチ群15、16と略同じ位置)とされる。
即ち、作業者が自走式切削機1と並行して歩きながら作業する作業位置Pにおいて、フィルタ装置30は、作業者の側方且つ上方に配置されることになる。これにより、フィルタ装置30が、その大きさにかかわらず作業者の前方の視界を遮ることがない。また、フィルタ装置30は、車両上部フレーム2Aの上に配置されるため、車両上部フレーム2Aの下方に配設された切削ドラム6の可動領域が広く確保される。
【0024】
また、前記車両上部フレーム2A上に配置された前記フィルタ装置30の高さは、折り畳んだ状態の第2のベルトコンベア10の高さを超えないようになっている。これにより、運転席3で作業者が自走式切削機1を運転操作する際の視界が確保され、安全に作業することができる。
また、第1のベルトコンベア9の上流端の上面側には粉塵吸引フード17が設けられており、この粉塵吸引フード17とフィルタ装置30とは吸引ダクト18によって連結されている。
【0025】
図3は前記粉塵吸引フード17の正面図であり、
図4は平面図であり、
図5は側面図である。粉塵吸引フード17は、ベルトコンベアの幅方向に長い吸引フード本体21と、その前方側(車両前部側)にコ字状(トンネル状)に延設された遮蔽フード22とを有する。吸引フード本体21及び遮蔽フード22は、例えば金属板により一体に形成されている。
前記遮蔽フード22は、トンネル形状を形成する天井部22a及び左右両側の壁部22bを有し、更にトンネル形状の後部開口(吸引フード本体21側の開口)を塞ぐようにカーテン状に設けられたゴム板22cを有する。
【0026】
尚、矩形状の前記ゴム板22cの取り付け方法は限定されるものではない。本実施の形態においては、前記天井部22aに対しては固定用ステー24,25を用いて螺子留めされ、前記壁部22bに対しては固定用ステー26、27を用いて螺子留めされ、吸引フード本体21に対しては固定用ステー28を用いて螺子留めされる。これによりゴム板22cは、上辺のみが吸引フード本体21の前部側(車両前部側)に固定され、カーテン状に設けられる。
【0027】
前記粉塵吸引フード17は、
図1に示すように上流側(車両後部側)に吸引フード本体21が配置され、下流側(車両前部側)に遮蔽フード22が配置されている。
図5に示すように第1のベルトコンベア9の上方のカバー部材9aには、前記粉塵吸引フード17を配置するための開口9a1が設けられている。
図5に示すように吸引フード本体21の前部(車両前部側)における左右両側の壁には、下方に突出するタブ状部21bが形成されており、それらの外側面が第1のベルトコンベア9の左右両側の壁部9bの内側面に密着し、吸引フード本体21を固定している。また、遮蔽フード22において、左右両側の壁部22bの外側面は、第1のベルトコンベア9の左右両側の壁部9bの内側に密着し、これにより遮蔽フード22は第1のベルトコンベア9上に固定されている。このように粉塵吸引フード17が第1のベルトコンベア9上に配置されると、前記カバー部材9aの開口9a1は、吸引フード本体21と遮蔽フード22の天井部22aとにより塞がれる。
【0028】
また、第1のベルトコンベア9上に粉塵吸引フード17が配置された状態では、ゴム板22cの下辺は、ベルトコンベア上面9cに摺接するようになっている。ゴム板22cには、
図3に示すように縦方向に複数のスリット22c1が設けられており、宙に舞う粉塵以外の廃材のみをベルトコンベア上に搬出しやすい構造となっている。言い換えれば、ゴム板22cは、ベルトコンベア上で宙に舞う粉塵を前記吸引フード本体21下の空間内に遮蔽するものである。
また、吸引フード本体21の左右両側には、該フード内空間にそれぞれ連通するホース口21aが設けられている。このホース口21aには、吸引ダクト18の一端が接続される。
【0029】
図6は、本発明に係るフィルタ装置30の横断面図であり、
図7はその縦断面図であり、
図8は正面図である。また、
図9は、フィルタ装置30とベルトコンベア9上の粉塵吸引フード17とを吸引ダクト18により接続した状態を示す断面図である。尚、車両本体2の左右両側に設けられたフィルタ装置30の構造は同じであるため、ここでは一方のみを図示して説明する。
フィルタ装置30は、粉塵を捕集する円柱型のフィルタ31(フィルタ本体)と、フィルタ31を収容するフィルタケース32と、前記フィルタケース32内において前記フィルタ31の下方に配置されるスクリューコンベア33とを有する。前記円柱型のフィルタ31は横向きとされ、その円柱軸周りに回転可能に配置され、前記スクリューコンベア33とともにギアモータ34(回転手段)の駆動により回転可能となされている。
尚、フィルタ31の下方には、該フィルタ31の軸方向に沿って長く形成された引っ掻きベラ37(ヘラ部材)が配置され、フィルタ31が回転することにより、その周面に引っ掻きベラ37が摺接し、フィルタ31表面に付着した粉塵を掻き落とすようになされている。また、
図8に示すように、フィルタケース32の蓋部32bは開閉自在に設けられており、フィルタ31の交換や、フィルタ31のより丁寧な清掃も可能となっている。
【0030】
さらに、フィルタ装置30は、フィルタ31の軸方向前方(車両前部側)に、切削ドラム室7において発生した粉塵を吸引するための吸引ブロア35を有する。この吸引ブロア35の側面には排気口35aが設けられている。一方、フィルタケース32の後部(車両後部側)には吸引口32aが設けられ、この吸引口32aに吸引ダクト18の他端が接続されている。また、フィルタケース32内のスクリューコンベア33の搬送方向の終端側(下流側)の下方には、粉塵を回収するための粉塵回収ボックス36(回収容器)が設けられている。尚、前記吸引ブロア35は、前記のようにフィルタ31の軸方向前方(車両前部側)の位置から吸引する構成に限らず、フィルタ31の軸方向前後のいずれかの位置から吸引するように配置してよい。
【0031】
続いて、以上のように構成されたフィルタ装置30における粉塵回収の動作について、主に
図9の断面図、及び
図10乃至
図12に示す動作フロー図に基づき説明する。
先ず、エンジンキーをキーシリンダ(図示せず)に挿入すると(
図10のステップS1)、バッテリーリレースイッチがオン状態となり(
図10のステップS2)、フィルタ装置30に電源投入される(
図10のステップS3)。
【0032】
さらにエンジンキーを回してエンジンを駆動すると(
図10のステップS4)、オルタネータ41が始動し(
図10のステップS5)、バッテリー42の充電が開始される(
図10のステップ)。バッテリー42が充電され、フィルタ装置30の運転準備が整うと(
図10のステップS7)、運転モードの選択可能な状態となる(
図11のステップS8)。
【0033】
尚、本実施の形態において、運転モードとしては、マニュアルモードとオペレータ(作業者)モードと連動モードとが用意されている。
マニュアルモードは、各装置の駆動開始のタイミングを全て手動操作により決定するモードである。
オペレータモードは、切削ドラム6の駆動タイミングと独立した駆動タイミングでフィルタ装置30を動作させるモードである。
また、連動モードは、切削ドラム6の駆動タイミングとフィルタ装置30の駆動タイミングとを連動させたモードである。
【0034】
運転モード選択(
図11のステップS8)においてマニュアルモードが選択され(
図11のステップS9)、作業者の任意のタイミングにより吸引ブロア35のスイッチがオンされると(
図11のステップS10)、吸引ブロア35の吸引動作が開始され、フィルタ31によって粉塵が集塵される(
図11のステップS11)。
より具体的に説明すると、
図9に示すように切削ドラム6の回転による切削作業により切削ドラム室7に発生した粉塵Dは、吸引ブロア35が駆動することによりコンベア上面に配置された粉塵吸引フード17から吸引され、吸引ダクト18を通ってフィルタケース32内に運ばれる。
フィルタケース32内に流れ込んだ粉塵Dを含む空気は、フィルタ31の外側から中心部へ流れ、フィルタ31により濾過されて吸引ブロア35側へ流れる。これによりフィルタ31の外周面に粉塵Dが付着する。フィルタ31により濾過された空気は、吸引ブロア35の排気口35aから大気中に排気される。
【0035】
吸引ブロア35が運転している状態から、作業者の任意のタイミングにより吸引ブロア35のスイッチがオフにされると(
図11のステップS12)、吸引ブロア35の吸引動作が停止される(
図11のステップS13)。
吸引ブロア35の吸引動作が停止され、作業者の任意のタイミングにより脱塵スイッチ(図示せず)がオンされると(
図11のステップS14)、円柱型のフィルタ31が軸周りに回転する。フィルタ31の外周面に付着した粉塵Dは、フィルタ31の回転に伴い引っ掻きヘラ37により掻き落とされ、フィルタケース32の底部に払い落とされる。フィルタケース32の底部には、スクリューコンベア33が配置されているため、その回転搬送により粉塵Dは、粉塵回収ボックス36内に排出され回収される(
図11のステップS15)。
【0036】
また、前記フィルタ31及びスクリューコンベア33の回転動作は、所定時間が経過し予め設定されたタイマ設定時間に達すると、自動的に停止する(
図11のステップS16)。
このようにフィルタ装置30にあっては、一度フィルタ31に集めた粉塵を、ベルトコンベア側に逆流させることなく回収することができるため、集塵と粉塵回収とが効率的になされる。
【0037】
一方、ステップS8の運転モード選択において、オペレータモードが選択され(
図12のステップS17)、切削ドラム6の駆動タイミングに拘わらずオペレータスイッチがオンされると(
図12のステップS18)、吸引ブロア35の吸引動作が開始され、前記マニュアルモード時と同様にしてフィルタ31によって粉塵が集塵される。
吸引ブロア35が運転している状態から、オペレータスイッチが作業者の任意のタイミングによりオフされ(
図12のステップS20)、吸引ブロア35の動作が停止されると(
図12のステップS21)、遅延タイマがカウント開始する。そして、前記遅延タイマのカウント開始から所定時間が経過すると、円柱型のフィルタ31が軸周りに回転しマニュアルモード時と同様にして粉塵が回収される(
図12のステップS22)。このように遅延タイマによる所定時間のカウント後にフィルタ31を回転開始させるのは、フィルタケース32内の気流が無くなる時間を確保するためである。
そして、粉塵の回収作業が進み、所定時間が経過して、予め設定されたタイマ設定時間に達すると、フィルタ31及びスクリューコンベア33の回転動作は自動的に停止し、粉塵の回収作業が終了する(
図12のステップS23)。
【0038】
一方、ステップS8の運転モード選択において、連動モードが選択され(
図12のステップS24)、切削ドラム6が駆動されると(
図12のステップS25)、これに連動して吸引ブロア35が駆動し、吸引動作が開始される。吸引ブロア35の吸引動作が開始されると、前記マニュアルモード時及びオペレータモード時と同様にしてフィルタ31の外側から中心部を流れるエアによってフィルタ31表面に集塵される(
図12のステップS26)。
【0039】
また、作業者の任意のタイミングにより切削ドラム6の駆動が停止されると(
図12のステップS27)、これに連動して吸引ブロア35による吸引動作が停止される(
図12のステップS21)。
その後、前記オペレータモードと同様に遅延タイマがカウント開始する。そして、前記遅延タイマのカウント開始から所定時間が経過すると、円柱型のフィルタ31が軸周りに回転開始し、マニュアルモード時と同様にして粉塵が回収される(
図12のステップS22)。
【0040】
粉塵の回収作業が進み、所定時間が経過して、予め設定されたタイマ設定時間に達すると、フィルタ31及びスクリューコンベア33の回転動作は自動的に停止し、粉塵の回収作業が終了する(
図12のステップS23)。
このように連動モードにあっては、切削ドラム6の回転駆動に連動してフィルタ装置30による粉塵の回収動作が開始から終了まで自動的に行われるため、作業者はフィルタ装置30の操作を気にすることなく切削作業に集中することができる。
【0041】
また、各運転モードにおいて粉塵回収作業の終了後、エンジン停止すると(
図10のステップS4)、オルタネータ41が停止し(
図10のステップS30)、バッテリー42の充電が停止される(
図10のステップS31)。
バッテリー42の充電が停止されると、フィルタ装置30の電源がオフとなる(
図10のステップS26)。また、エンジンを停止し、エンジンキーを抜いた場合にも(
図10のステップS1)、バッテリーリレースイッチがオフとなり(
図10のステップS28)、フィルタ装置30の電源はオフとなる(
図10のステップS29)。
【0042】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、フィルタ装置30において、吸引ブロア35の駆動によりフィルタケース32内に流れ込んだ空気は、フィルタ31の外側から中心部を流れるため、フィルタ31の外周面に粉塵が付着する。そして、円柱型のフィルタ31を軸周りに回転させ、その外周面に引っ掻きベラ37を摺接させることによりフィルタ31の外周面に付着している粉塵を除去することができる。更に、フィルタ31の下方に落下した粉塵は、スクリューコンベア33により搬送し粉塵回収ボックス36に回収することができる。
即ち、フィルタ装置30にあっては、フィルタ31の目詰まりを解消するだけでなく、一度フィルタ31に集めた粉塵を、ベルトコンベア側に逆流させることなく回収することができるため、効率的に集塵と粉塵回収とを行うことができる。
また、フィルタ装置30の運転モードとして、切削ドラム6の回転駆動に連動してフィルタ装置30による粉塵の回収動作の開始から終了までを自動的に行う連動モードを有するため、作業者はフィルタ装置30の操作を気にすることなく切削作業に集中することができる。
【0043】
尚、前記実施の形態においては、フィルタ装置30は、車両幅方向の両側の車両上部フレーム2A上に1台ずつ配備した例を示したが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではない。
例えば、フィルタ装置30は、車両幅方向の片側の車両上部フレーム2A上のみに配備してもよい。また、複数台を車両幅方向の片側のみに配備してもよく、或いは、車両幅方向の両側にそれぞれ複数台配備した構成としてもよい。