(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアバッグクッションを膨張させるために膨張ガスを受け入れることができる空洞を形成するエアバッグクッションであって、車両乗員側を向くように構成される第1のパネルと、前記エアバッグの展開中に前記車両乗員に向かう方向以外の方向を向くように構成される第2のパネルとを備える前記エアバッグクッションと、
アクティブベントであって、
前記第2のパネルにより形成された開口と、
前記開口の第1の側に隣接する第1の位置および前記開口の第2の側に隣接する第2の位置で前記第2のパネルに取り付けられたパッチとを備えるアクティブベントと、
前記パッチに結合された第1の端部と、前記エアバッグクッションの前記第1のパネルに結合された前記第1の端部と反対側の第2の端部とを有する1本の制御テザーとを備え、
前記制御テザーの一部が、前記第2のパネルに取り付けられ、
前記制御テザーは、前記クッションが膨張するにつれて、前記開口を介して膨張ガスが前記エアバッグクッションの内側から外に出るのを防止または阻止する手法で、前記開口を形成する前記第2のパネルの前記一部と前記パッチを相互作用させることにより前記アクティブベントを閉塞するように弛緩状態からピンと張った状態に移行するように構成され、
前記制御テザーは、前記エアバッグの前記第1のパネルの移動により、前記開口を形成する前記第2のパネルの前記一部と前記パッチが相互作用しなくなることを許容することにより前記アクティブベントを開放するために、前記ピンと張った状態から再び前記弛緩状態に移行するように構成され、
前記制御テザーは、前記クッションが更に膨張するときに、前記アクティブベントを閉塞状態に移行させるために、前記開口を通して前記パッチを前記エアバッグクッションの内側に向けて引っ張るように構成されることを特徴とするエアバッグアセンブリ。
前記車両乗員がアウト・オブ・ポジション状態にあるときに、前記テザーが、前記エアバッグの前記展開の全体にわたって前記アクティブベントを閉塞することなく前記弛緩状態のままであるように構成される、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書では、エアバッグクッションおよび排気機構の実施形態を説明する。当業者が理解するように、開示の原理および特徴を、前部の運転者および乗客用エアバッグ、ニーエアバッグ、頭上エアバッグ、カーテンエアバッグなどを含む、様々なエアバッグ展開システムに適用しかつ使用してもよい。したがって、運転者用エアバッグの実施形態が図面に示されているが、本開示がこの具体的な内容に限定されるものではなく、説明する原理および特徴を様々な形状、大きさ、および形態のエアバッグクッションに適用できることを認識するべきである。「に連結される」または「に結合される」という表現は、通常の意味で使用されるとともに、任意の好適な結合または機械的、流体的および熱的相互作用を含む2つ以上の実体間の他の形態の相互作用を指すのに十分に広義である。2つの構成要素は、たとえ互いに直接接触していなくても、互いに結合される場合がある。「取り付けられる」または「直接取り付けられる」という表現は、締結手段が追加の構成要素を貫通して延びるか否かに関わらず、任意の好適な種類の締結手段(例えば、取付金具、接着剤、縫合)により互いに直接接触するおよび/または互いに分離されるおよび/または互いに結合される2つ以上の実体間の相互作用を指す。「流体連通」という表現は、通常の意味で使用されるとともに、要素が互いに流体連通した状態にあるときに流体(例えば、ガスおよび/または液体)が1つの要素から別の要素に流れることができる配置を指すのに十分に広義である。
【0032】
膨張可能なエアバッグシステムは、衝突シナリオにおいて乗員の負傷を低減または最小化するために広く使用されている。エアバッグモジュールは、ステアリングホイール、インストルメントパネル、サイドドアもしくはサイドシート、ルーフレール近傍、頭上位置、または、膝もしくは脚の位置を含むがこれらに限定されない車両内の様々な場所に設置されてきた。解説する原理は他の実施形態における他のエアバッグタイプにも適用できるが、以下の開示では、「エアバッグ」とは、一般に、運転者用エアバッグなどの膨張可能な前部エアバッグを指す。
【0033】
前部エアバッグクッションは、多くの場合、乗員の正面のインストルメントパネル内またはステアリングホイール内に位置する。設置時に、エアバッグを巻回しおよび/または折り畳み、ならびに化粧カバーの背後にパッケージ状態で保持してもよい。衝突時に、エアバッグクッションが膨張し、カバーを通り抜けて展開する。エアバッグクッションは、乗員に向かって展開し、拘束をもたらすことができる。
【0034】
エアバッグの完全な膨張は、必ずしも望ましくない場合がある。例えば、部分的な膨張は、エアバッグクッションにより保護される乗員が、例えば、後向きのチャイルドシート内の子供、赤ちゃん、またはエアバッグクッションの非常に近くに位置する成人である場合に、負傷させる可能性の少ないより良好な保護を提供し得る。このような状態およびその他の状態は、アウト・オブ・ポジション(OOP)状態と称される場合がある。本明細書に説明するある特定の実施形態は、乗員の位置に応答することができ、かつエアバッグクッションの展開時にOOP状態にある乗員への過度の衝撃を回避するために、乗員の位置に応じて排気することができるエアバッグクッションを提供する。
【0035】
ある特定の実施形態は、OOP状態中に排気を許容するOOP排気状態に任意選択的に配向されるアクティブベントを含む。アクティブベントのある特定の実施形態は、ガスを排気するための開口部または開口と、開口を閉塞するかまたは開口を通る排気を許容するために、開口と選択的に協働するパッチプラグとを含むことができる。「能動的な」という用語は、本明細書で使用する場合、排気孔の実施形態が2つ以上の状態または形態の間で移行する動きを指す。「能動的な」という用語は、必ずしも電子制御装置またはセンサからの入力(例えば、信号)を受け取って作動する排気孔を指すわけではない。むしろ、本明細書に開示および説明する実施形態は、電子制御装置またはセンサからの入力または信号なしに能動排気を提供する。むしろ、能動排気は、エアバッグの状態または形態の変化(例えば、膨張および/または収縮の結果として生じる、形状、大きさなどの変化)と共に生じる。
【0036】
アクティブベントのいくつかの実施形態において、パッチプラグは、乗員がOOP状態にないときにエアバッグクッションの通常のまたは完全な膨張を許容するために、拘束排気状態および/または閉塞状態となるようにプラグを引っ張ることができるテザーと結合される。言い換えれば、閉塞可能な排気孔を、制御テザーなどの構成要素を介して部分的におよび/または完全に閉塞してもよい。制御テザーを、一方の端部でパッチプラグの一部に連結してもよく、エアバッグクッションの対向領域にある、エアバッグの別の部分(例えば、衝突事象の際に乗員を受け止めるように構成されるフロントパネル)に連結してもよい。
【0037】
ある特定の他の実施形態では、制御テザーを、一方の端部でパッチプラグの一部に連結してもよく、かつ反対側の端部でエアバッグアセンブリの別のテザー構成要素(例えば、乗員用テザー、深さ規定テザーまたは安定化テザー)に連結してもよい。制御テザーが他のテザー構成要素に連結する位置は、パッチプラグに対応する開口部または開口を通しての排気特性に影響を与える可能性がある。エアバッグの排気特性またはライドダウン特性を調整するために、制御テザーの連結部が他のテザー構成要素に連結する位置を調節してもよい。
【0038】
乗員が展開するエアバッグに近接していて通常の膨張を拘束する場合には、閉塞可能な排気孔が開放したままで、ガスを急速に漏出させ得る。乗員が正常な位置にいて膨張が拘束されない場合には、張力によりテザーが引っ張られて閉塞可能な排気孔を閉塞する。閉塞により、通常の乗員拘束のためにガスが保持される。したがって、閉塞可能な排気孔をOOP状態および通常の拘束状態における可変機構として使用してもよい。このように、エアバッグクッションは、クッションの閉塞性の膨張に感応する。
【0039】
よって、OOP乗員の負傷のリスクを軽減するために、初めに(例えば、エアバッグ展開の早期段階で)開放可能である、別個の能動排気選択肢が望ましい。
【0040】
ある特定の実施形態において、排気孔は、正常に着座した(例えば、OOPではない)乗員を拘束する際の最大効率または他の望ましい効率のために、迅速に閉塞して膨張ガスを膨張可能なクッション内に保持するように構成してもよい。
【0041】
ある特定の他の実施形態において、選択的に閉塞可能な排気孔は、乗員がOOP状態にあるときにエアバッグ完全展開事象の早期段階では閉塞しなくてもよい。しかしながら、排気孔は、乗員が正常に着座しているときにエアバッグ展開事象の後期段階では閉塞してもよい。
【0042】
ある特定の実施形態では、正常に着座した乗員がエアバッグに負荷をかけ始めた時点で、負傷を軽減する所望のライドダウン特性を提供できる所望の排気を可能にするために、(閉塞状態にある)排気孔を開放状態に戻してもよい。よって、様々な実施形態において、選択的に閉塞可能な排気孔、すなわち「アクティブベント」は、展開の早期段階での開放OOP排気状態からエアバッグクッションの完全なおよび/または所望の膨張を許容する拘束排気状態および/または閉塞状態に移行し、その後再び、乗員がエアバッグに衝突した後の車両乗員のライドダウン中に開放拘束排気状態に移行してもよい。とはいえ、同じエアバッグが、OOP乗員にとってより安全である異なる手法で展開可能であってもよい。例えば、いくつかのOOP状況において、選択的に閉塞可能な排気孔は、展開の早期段階でのOOP排気状態において開放したままであってもよく、OOP状態にある車両乗員との早期接触による展開の中間段階でのOOP排気状態において開放したままであってもよく、かつ、その後の車両乗員のライドダウンを通して開放したままであってもよい。いくつかの例において、選択的に閉塞可能な排気孔は、OOP乗員に対する展開事象全体を通して開放したままであってもよい。
【0043】
図1Aおよび
図1Bは、エアバッグアセンブリ100を2つの異なる形態で描いている。
図1Aは、エアバッグアセンブリ100をパッケージ形態で描いており、また
図1Bは、エアバッグアセンブリ100を展開膨張形態で描いている。
図1A、
図1Bは更に、車両50のステアリングホイール52およびステアリングコラム54を描いている。ステアリングホイール52はカバー56を含み、このカバー56の背後に、エアバッグアセンブリ100が位置する。カバー56は、任意の好適な種類のものであってもよく、かつ破断縫い目または破裂縫い目58を含んでもよく、この縫い目を通してエアバッグが展開することができる。
【0044】
エアバッグアセンブリ100は、膨張可能なエアバッグクッション110と、インフレータ112と、エアバッグハウジング114とを含むことができる。例示的な実施形態において、エアバッグクッション110は、展開膨張形態では、一般に乗員または乗員位置(例えば、車両用シート)の方へ向けられかつエアバッグクッション110の車内側を少なくとも部分的に形成し得るクッションパネル120を含む。基端側パネル122は、クッションパネル120と反対側に位置する。例示的な実施形態において、基端側パネル122は、エアバッグクッション110が展開膨張形態にあるときに、ステアリングホイール52に隣接している。クッションパネル120および基端側パネル122は、エアバッグクッション110を展開させたときに車両乗員の視点に対するそれらのパネルの場所に基づいて、フロントパネル120およびバックパネル122と称されることもある。基端側パネル122およびクッションパネル120は、協働して膨張室130を形成する。パネル120、122を、エアバッグクッション膜と称することもあり、任意の好適な材料で形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、パネル120、122は、ナイロン織布で形成される。その上、様々なタイプおよび形態のエアバッグクッション膜は、様々な実施形態に利用することができる。例えば、クッション膜のサイズ、形状、および寸法比は、種々の車両または車両内の種々の位置における使用法によって異なってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、エアバッグクッション110は更に、テザー150を含み、このテザー150はクッションパネル120に取り付けることができる。テザー150は、深さ規定テザーまたは安定化テザーと称されることもある。テザー150は、展開中に、エアバッグクッション110が完全に膨張した時点で、および/または車両乗員が膨張したエアバッグクッション110に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグクッション110の所望の外形を達成するのを補助することができる。テザー150を、例えば、パネル120、122に関して上で述べた材料のいずれかなどの、任意の好適な材料で形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、テザー150およびパネル120、122を同じ材料で形成してもよい。他の実施形態では、テザー150を、パネル120、122が形成される材料よりも硬く、厚みがありかつ/または強度のある材料で形成してもよい。
【0046】
図2A〜
図2D、
図3A〜
図3D、および
図4は、本開示の実施形態によるエアバッグアセンブリ200を描いている。具体的には、
図2Aは、パッチ204がエアバッグクッション210からの膨張ガスの遮断されない放出を許容するように位置決めされるようにアクティブベント202の実施形態が初めに開放OOP排気状態にある、初期膨張形態にある(例えば、エアバッグクッション210の展開前または展開中の)、エアバッグアセンブリ200の実施形態の(
図1Bの線2A−2Aに沿った)後向きの断面斜視図である。
図2Bは、
図2Aに描かれたモードと同じ動作モードにあるエアバッグアセンブリ200の前向きの断面斜視図である。
図2Cは、アクティブベント202が開放拘束排気状態にありかつアクティブベント202のパッチ204が乗員の安全なライドダウンに適した速度でのエアバッグクッション210からの膨張ガスの放出を許容するように構成される、部分的に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ200の(
図1Bの線2A−2Aに沿った)後向きの断面斜視図である。
図2Dは、
図2Cに描かれたモードと同じ動作モードにあるエアバッグアセンブリ200の前向きの断面斜視図である。
図3Aは、アクティブベント202が閉塞状態にありかつパッチ204がエアバッグクッション210からの膨張ガスの放出を抑制または防止する、完全に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ200の後向きの断面斜視図である。
図3Bは、
図3Aの拡大図である。
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bに描かれたモードと同じ動作モードにあるエアバッグアセンブリ200の前向きの断面斜視図である。
図3Dは、
図3Cの拡大図である。
図4は、アクティブベント202が再び、乗員の安全なライドダウンに適した速度でのエアバッグクッション210からの膨張ガスの放出をパッチ204が許容する開放拘束排気状態にある、ライドダウン状態にあるエアバッグアセンブリ200の後向きの断面斜視図である。
【0047】
図2A〜
図2D、
図3A〜
図3D、および
図4を全体としてかつまとめて参照すると、エアバッグアセンブリ200は、開口206を閉塞するために開口206と選択的に相互作用するように構成されるプラグ204を含む選択的に閉塞可能な別個の排気孔702(すなわち、アクティブベント202)を含むことができる。プラグ204は、エアバッグクッション210に取り付けられるパッチ204を備えてもよい。したがって、アクティブベント202が、いくつかの実施形態では、開口206と、開口206を選択的に閉塞するために開口206と選択的に相互作用するプラグ204またはパッチ204とを含むと言ってもよい。開口は、OOP状態にある車両乗員の負傷を軽減するまたは負傷をなくすのに適した速度での排気を可能にするような大きさとしてもよい。
【0048】
パッチ204をエアバッグクッション210の外側に位置決めしてもよい。パッチ204を、縫合、溶着、接着剤によるなどの、任意の好適な手法でクッション210に取り付けてもよい。
図2A〜
図2D、
図3A〜
図3D、および
図4の実施形態では、パッチ204が縫合により取り付けられ、その結果、アクティブベント202が、図示のように、開口206の両側に配置された2つの縫い目260を備える。パッチ204は、アクティブベント202の密閉性を高めるために、開口206の直径と同様の大きさとされる排気シール205を含んでもよい。排気シール205を、開口と一致するような大きさおよび/または形状とされるコーティングされた布で形成してもよい。他の実施形態において、排気シール205は、パッチ204に結合された、シリコーンまたは他のエラストマー材料で形成されたリングまたはガスケットであってもよい。
【0049】
図示の実施形態において、パッチ204は、2つの位置、例えば、開口206の上方および下方の位置でエアバッグクッション210のバックパネル222に取り付けられる。2つの取付位置は、アクティブベント202が開放しているときに、パッチ204が、エアバッグクッション210から離れる方向にかつ開口206との係合から外れて、実質的に外方に撓むことを許容できる配置にあり、このことにより、エアバッグクッション210の急速な排気を許容してもよい。換言すれば、パッチ204の2つの側部をバックパネル222に取り付けてもよく、パッチ204の中央部は、アクティブベント202が開放しているときに開口206から所定距離だけ離間して配置されるように構成してもよく、その結果、パッチ204が、開口206と相互作用せず、かつ開口206を通るガスの放出を許容する。パッチ204の中央部が初めに開口206から離間して配置される距離は、開口を通して遮断されない排気が生じ得るのに十分な距離である。別の言い方をすれば、パッチ204の撓み部は、開口206を通る膨張ガスの遮断されない排気を可能にするために十分に弛んでいてもよい。開口206の大きさによる排気速度は、エアバッグがOOP状態にある乗員と衝突することによる負傷を最小限に抑えるのに適したものであってもよい。パッチ204を開口206側に引く制御テザー(例えば、以下に解説する制御テザー252)の係合の際に、パッチ204が開口206を通る膨張ガスの排気を部分的に遮断し始めてもよい。制御テザーはまず、パッチ204が膨張ガスの放出に影響を及ぼすおよび/または膨張ガスの放出を乗員の安全な拘束(またはライドダウン)に適した速度に制限する開放拘束排気状態となるようにパッチ204を引いてもよい。
【0050】
ある特定の他の実施形態では、パッチ204を、開口206の両側における左右の2つの位置でバックパネル222に取り付けてもよい。更に他の実施形態では、パッチ204を3つの位置(例えば、三角形状の3つの角部)で取り付けてもよい。更に他の実施形態では、パッチ204を4つの位置(例えば、四角形状のパッチの4つの角部)で取り付けてもよい。他の配置も考慮される。
【0051】
例示的な実施形態において、パッチ204は、略矩形でありかつ開口206に係合して開口206を塞ぐような大きさとされる。初めに、パッチ206は、OOP排気状態に配置されるように構成してもよく、OOP状態に対応するのに適した速度での膨張ガスの排気を可能にするように構成してもよい。開口206は、円の最大直径がパッチ204の最大幅よりも小さい略円形である。パッチ204は、開口206に近接するように引っ張られたときに開口206を完全に覆うように構成してもよい。他の実施形態または更なる実施形態において、パッチ204は、開口206を通して反転させたときに開口206の全周に接触するように構成してもよい。他の実施形態において、パッチ204は、パッチ204が略砂時計形状となり得るように互いに反対側を向いた凹部を備えた矩形であってもよい。他の実施形態において、パッチは、円形、三角形、楕円形、または別の形状であってもよい。他の配置も可能である。
【0052】
いくつかの実施形態において、エアバッグクッション210は、縫合などにより、任意の好適な手法で接合され得るフロントパネル220とバックパネル222とを備える。「フロント」および「バック」という用語は、車両乗員の視点に対して使用される。したがって、フロントパネル220は、車両乗員とエアバッグクッション210との衝突の際に車両乗員を受け止めるパネルであり、これに対して、バックパネル222は、車両乗員から離れる方向を向いたパネルである。しかしながら、バックパネル222は、車両内においてフロントパネル220よりも前方の位置にあってもよい。つまり、車両自体の基準フレームから、バックパネル222が、実際には、フロントパネル220の前方の位置にあってもよい。バックパネル222およびフロントパネル220は、協働して膨張室230を形成する。
【0053】
バックパネル222は、インフレータ(図示せず)と物理的および/または流体的に結合するように構成される膨張開口232を含み、および/または形成してもよい。膨張開口232は、展開事象の際に膨張ガスがエアバッグクッション210の膨張室230に入るのを許容する。
【0054】
アクティブベント202用の開口206をエアバッグクッション210のバックパネル222に位置決めしてもよく、このバックパネル222は、膨張開口232を含むパネルと同じパネルであってもよい。例示的な実施形態において、アクティブベント202用の開口206は、インフレータ開口232から間隔を置いて配置される(例えば、開口232の上方に位置決めされる)。他の実施形態において、アクティブベント202用の開口206をインフレータ開口232の側方に横方向にまたはインフレータ開口232の下方に位置決めしてもよい。更に他の実施形態において、開口206は、バックパネル222以外のパネル(例えば、サイドパネル)上にあってもよい。
【0055】
エアバッグアセンブリ200はまた、フロントパネル220からバックパネル222に延びる乗員用テザー250(例えば、安定化テザーまたは深さ規定テザー)を含んでもよく、ならびにフロントパネル220およびバックパネル222の各々と結合される。乗員用テザー250は、展開中に、エアバッグクッション210が完全に膨張した時点で、および/または車両乗員が膨張したエアバッグクッション210に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグクッション210の所望の外形を達成するのを補助することができる。
【0056】
制御テザー252(または引っ張り紐)をエアバッグクッション210のフロントパネル220と結合してもよく、パッチ204とも結合してもよい。いくつかの実施形態において、制御テザー252は、
図2A〜
図2D、
図3A〜
図3D、および
図4に描かれているように、一方の端部でパッチ204に結合され、かつ反対側の端部でフロントパネル220と結合される。初めに、展開および/または膨張の前に、エアバッグクッション210が折り畳み状態にあるときに、制御テザー252は、パッチ204がOOP排気状態にあることを可能にするのに十分に弛緩した弛緩状態にあってもよく、このパッチ204を開口206から完全に係合解除するかまたはほぼ完全に係合解除してもよい。換言すれば、制御テザー252における弛緩は、開口206を通る膨張ガスの遮断されない放出を可能にするために、パッチ204を開口206から十分に変位させることを可能にするのに十分なものあってもよく、この開口206は、OOP状態に適した速度での排気を可能にする大きさとしてもよい。
【0057】
制御テザー252における初期の弛緩を、クッションの折り畳み(パッケージング)および早期展開を通していくつかの方法で達成および維持してもよい。例えば、エアバッグクッション210を初めに、パッチ204(およびしたがって開口206)と、フロントパネル220に固定され得る制御テザー252の反対側の端部との間の距離を減少させるタックまたは折り目272を含むように折り畳んでもよい。別の例として、パッチ204が初めにOOP排気状態に配置されることを許容するために、制御テザー252の少なくとも一部をパッチ204に対して弛緩状態にする手法で制御テザーをバックパネル222に固定するように制御テザー252をタック縫合274してもよい。エアバッグクッション210が展開中に膨張するときに、タック縫い目274を破裂させてもよい。
【0058】
ある特定の実施形態では、エアバッグクッション210のある程度の膨張が(例えば、OOP状態が存在しないため)達成された時点で、アクティブベント202がOOP排気状態から移行してもよい。例えば、クッション210が膨張するときにタック272をバックパネル222から引き出してもよく、および/または制御テザーを弛緩状態に固定するタック縫い目274を破裂させてもよい。OOP排気状態からの移行が永久的であってもよく、その結果、展開、拘束、および/またはライドダウンを通して、アクティブベント202が拘束排気状態と閉塞状態との間での移行に制限される。
【0059】
ある特定の他の実施形態において、制御テザー252は、フロントパネル220からバックパネル222に延びる更なる枝部を含んでもよく、ならびに、フロントパネル220およびバックパネル222の各々と結合される。換言すれば、ある特定の実施形態において、制御テザー252の一部は、エアバッグアセンブリ200の展開中にエアバッグクッション210を安定化させるおよび/またはエアバッグクッション210の深さを規定する乗員用テザー250として機能するように構成してもよい。ある特定の他の実施形態では、乗員用テザー250が含まれず、制御テザー252が、展開中にエアバッグクッション210を安定化させるおよび/またはエアバッグクッション210の深さを規定するように機能する。他の図を参照して以下に説明するように、制御テザー252および/または乗員用テザー250の更に他の形態も可能である。
【0060】
エアバッグアセンブリ200の動作は、上で説明しかつ図面に示すように進行することができる。例えば、いくつかの実施形態において、アクティブベント202は初めに、制御テザー252が弛緩状態にあるので開放していてもよい。いくつかの実施形態において、エアバッグアセンブリ200は、制御テザー252が最初に弛緩状態にあるように組み立てられ、その結果、
図2Aおよび
図2Bにおけるように、エアバッグ膨張の初期段階では、制御テザー252が弛緩している。これらのエアバッグ展開の早期段階で、車両乗員がエアバッグクッション210に近接していない場合、エアバッグクッション210は、正常に着座した乗員の方向(例えばx方向)に膨張することができる。この膨張が生じると、制御テザー252(または引っ張り紐)がピンと張った状態に引き締められる。この制御テザー252の引き締めにより、タック272をバックパネル222から引き出し、および/または制御テザーを弛緩状態に固定するタック縫い目274を破裂させる。
【0061】
制御テザー252がピンと張った状態に引き締められることにより、制御テザー252が、開口206を通して(例えば、開口206に対して内側に)パッチ204の一部を引っ張り、
図3A〜
図3Dに示すように、通常の拘束状態中のガス漏れを防止する。パッチ204の排気シール205は、開口206の周縁に係合してもよい。言い換えれば、パッチ204に取り付けられる制御テザー252はピンと張ることができ、このことにより、別個の排気孔を通してパッチ204を反転させ、これにより、開口206を塞ぐもしくは密閉するかまたはその他の方法でアクティブベント202を閉塞することができる。塞ぐことにより、開口206を通る膨張ガスの放出を防止または阻止してもよい。
【0062】
制御テザー252は、正常に着座した車両乗員による負荷が生じるまでピンと張った状態のままであってもよい。このような負荷時に、クッション210のフロントパネル220は、乗員のライドダウンに伴って圧潰することができる。バックパネル222に向かうこのフロントパネル220の平行移動は、制御テザー252が再び弛むことを可能にすることができ、したがって、このことは、パッチ204が反転した配向から押し出され、反対方向に反転し、および/またはその他の方法で、
図4に示すように、開口206を通してもしくは開口206からエアバッグクッション210の外側に押し戻されることを可能にする。次いで、エアバッグ膨張ガスが排気開口206を通過することを許容され、アクティブベント202がこの開放形態にあるときに通常の拘束排気が許容される。前述から理解できるように、様々な実施形態において、アクティブベント202をフロントパネルの変位により作動させる(例えば、閉塞位置から開放させる)ことができる。
【0063】
車両乗員がOOP状態にあるときなどの、他の例では、制御テザー252がピンと張る前、したがって、パッチ204が排気開口206を閉塞する前に、車両乗員がフロントパネル220に接触してもよい。その結果、制御テザー252は、比較的弛緩したままであってもよく、アクティブベント202は、開放したままであってもよく、膨張ガスは、開口206を通って外に出ることができる。ある特定の例において、アクティブベント202は、OOP状態での展開事象の際には決して閉塞しなくてもよい。OOP状態のより早期段階(および、いくつかの例では、全段階)でのそのような排気により、OOP乗員の負傷を軽減することができる。
【0064】
パッチ204を任意の好適な材料で形成してもよい。いくつかの実施形態において、パッチ204は、基布素材または任意の他の好適な布で形成される。例えば、フロントパネル220および/またはバックパネル222の1つまたは複数を形成するために使用されるものと同じ材料でパッチ204を形成してもよい。パッチ204をコーティングしても(例えば、シリコーンコーティング)、コーティングしなくてもよい。他の実施形態において、パッチ204は、パッチ204の内面に円形の排気シール205を含んでもよい。閉塞状態でのアクティブベント202の密閉性を高めるために、排気シール205を開口206の直径と同様の大きさとされるコーティングされた布から作製してもよい。
【0065】
制御テザー252を任意の好適な材料で形成してもよい。いくつかの実施形態において、制御テザー252は、エアバッグクッション210のパネル220、222が形成される基布素材のウェビングから形成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、フロントパネル220および/またはバックパネル222を、縫い合わされた2つの材料片よりもむしろ、一体の材料片で形成してもよい。ある特定の実施形態では、フロントパネル220およびバックパネル222を共に織成して、一体の材料片を形成してもよい。
【0067】
図5A〜
図5Cおよび
図6A、
図6Bは、本開示の別の実施形態によるエアバッグアセンブリ500を描いている。具体的には、
図5Aは、アクティブベント502が初めに開放OOP排気状態にあるエアバッグアセンブリ500の後向きの断面斜視図である。
図5Bは、アクティブベント502が開放拘束排気状態にある、部分的に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ500の後向きの断面斜視図である。
図5Cは、アクティブベントが閉塞状態にある、部分的に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ500の後向きの断面斜視図である。
図6Aは、完全に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ500の後向きの断面斜視図である。
図6Bは、
図6Aの拡大図である。
【0068】
図5A〜
図5Bおよび
図6A〜
図6Bを全体としてかつまとめて参照すると、エアバッグアセンブリ500は、フロントパネル520と、バックパネル522と、選択的に閉塞可能な別個の排気孔502またはアクティブベント502とを含むエアバッグクッション510を含むことができる。能動ベント502は、開口506を閉塞するために開口506と選択的に相互作用するように構成されるプラグ504を含む。プラグ504は、エアバッグクッション510に取り付けられるパッチ504を備えてもよい。パッチ504は、上で説明したように、
図2Aに示す実施形態と同様のものであり、かつこの実施形態と同様の開口506と相互作用する。バックパネルは、インフレータからの膨張ガスを受け入れる膨張開口532を形成してもよい。
【0069】
エアバッグアセンブリ500は、エアバッグクッション510のフロントパネル520からエアバッグクッションのバックパネル522に延びるとともに、フロントパネル520およびバックパネル522の各々と結合される乗員用テザー550を含むことができる。乗員用テザー550は、展開中に、エアバッグクッション510が完全に膨張した時点で、および/または車両乗員が膨張したエアバッグクッション510に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグクッション510の所望の外形を達成するのを補助することができる。
【0070】
制御テザー552(または引っ張り紐)をパッチ504と結合してもよく、乗員用テザー550にも結合してもよい。いくつかの実施形態において、制御テザー552は、
図5A〜
図5Bおよび
図6A〜
図6Bに描かれているように、一方の端部でパッチ504に結合され、かつ反対側の端部で乗員用テザー550と結合される(そしてこれにより、フロントパネル520にも結合される)。制御テザー552は、乗員用テザー550の長さに沿った結合位置555で乗員用テザー550に結合してもよい。
【0071】
初めに、展開および/または膨張の前に、エアバッグクッション510が折り畳み状態にあるときに、制御テザー552は、パッチ504がOOP排気状態にあることを可能にするのに十分に弛緩した弛緩状態にあってもよく、このパッチ504を開口506から完全に係合解除するかまたはほぼ完全に係合解除してもよい。換言すれば、制御テザー552における弛緩は、開口506を通る膨張ガスの遮断されない放出を可能にするために、パッチ504を開口506から十分に変位させることを可能にするのに十分なものあってもよく、この開口506は、OOP状態に適した速度での排気を可能にする大きさとしてもよい。
【0072】
制御テザー552における初期の弛緩を、上で説明した任意の方法および/または機構を含む多数の方法で達成してもよい。例えば、エアバッグクッション510を初めに、パッチ504(およびしたがって開口506)と、乗員用テザー550に固定され得る制御テザー552の反対側の端部との間の距離を減少させるタックまたは折り目572を含むように折り畳んでもよい。別の例として、パッチ504が初めにOOP排気状態に配置されることを許容するために、制御テザー552の少なくとも一部をパッチ504に対して弛緩状態にする手法で制御テザーをバックパネル522に固定するように制御テザー552をタック縫合してもよい。エアバッグクッション510が展開中に膨張するときに、タック縫い目を破裂させてもよい。
【0073】
ある特定の実施形態では、エアバッグクッション510のある程度の膨張が達成された時点で(例えば、OOP状態は存在しない)、アクティブベント502がOOP排気状態から移行してもよい。例えば、タック572を(
図5Bに示すように)バックパネル522から引き出してもよく、および/または制御テザーを弛緩状態に固定するタック縫い目を破裂させてもよい。OOP排気状態からの移行が永久的であってもよく、その結果、展開、拘束、および/またはライドダウンを通して、アクティブベント502が拘束排気状態と閉塞状態との間での移行に制限される。
【0074】
エアバッグアセンブリ500の動作は、上で説明したエアバッグアセンブリ200と同様に進行することができる。例えば、いくつかの実施形態において、アクティブベント502は初めに、制御テザー552が弛緩状態にあるので開放していてもよい。いくつかの実施形態において、エアバッグアセンブリ500は、制御テザー552が最初に弛緩状態にあるように組み立てられ、その結果、
図5Aに示すように、エアバッグ膨張の初期段階では、制御テザー552が弛緩している。これらのエアバッグ展開の早期段階で、車両乗員がエアバッグクッション510に近接していない場合、エアバッグクッション510は、正常に着座した乗員の方向(例えばx方向)に膨張することができる。この膨張が生じると、乗員用テザー550がピンと張った状態に引かれる。乗員用テザー550がピンと張るように引かれると、同じく、制御テザー552もピンと張るように引かれる。制御テザー552は、OOP排気状態(
図5Aに示す)から拘束排気状態(
図5Bに示す)となるようにパッチ504を引く。
【0075】
更なる膨張により、制御テザー552が、開口506を通して(例えば、開口506に対して内側に)パッチ504の一部を引っ張り、
図5Cに示すように、通常の拘束状態中のガス漏れを防止する。膨張中でのアクティブベント502の閉塞の相対的なタイミングは、制御テザー552が乗員用テザー550に結合する位置555と相関し得る。言い換えれば、パッチ504に取り付けられた制御テザー552を、エアバッグクッション510の膨張の最中に乗員用テザー550によりピンと引っ張ることができる。制御テザー552をピンと張った状態に引くことにより、開口506を通してパッチ504を反転させ、これにより、開口506を塞ぐかまたはその他の方法でアクティブベント502を閉塞することができる。開口506を塞ぐことにより、開口506を通る膨張ガスの放出を防止または阻止してもよい。エアバッグクッション510は、
図6Aに示すように、完全な膨張状態に達してもよい。
【0076】
制御テザー552は、正常に着座した車両乗員による負荷が生じるまでピンと張った状態のままであってもよい。このような負荷時に、クッション510のフロントパネル520は、乗員のライドダウンに伴って圧潰することができる。バックパネル522に向かうこのフロントパネル520の平行移動は、乗員用テザー550が再び弛むことを可能にすることができ、そして、このことは、制御テザー552が再び弛むことを可能にすることができ、したがって、このことは、パッチ504が反転した配向から押し出され(例えば、再び反対方向に反転し)、および/またはその他の方法で、開口506を通してもしくは開口506からエアバッグクッション510の外側に押し戻されることを可能にする。次いで、エアバッグガスが排気開口506を通過することを許容され、次いで、アクティブベント502がこの開放形態にあるときに通常の拘束排気が許容される。前述から理解できるように、様々な実施形態において、アクティブベント502をフロントパネル520の変位により作動させる(例えば、閉塞位置から開放させる)ことができる。
【0077】
車両乗員がOOP状態にあるときなどの、他の例では、制御テザー552がピンと張る前、したがって、パッチ504が排気開口506を閉塞する前に、車両乗員がフロントパネル520に接触してもよい。その結果、制御テザー552は、比較的弛緩したままであってもよく、アクティブベント502は、開放したままであってもよく、膨張ガスは、開口506を通って外に出ることができる。OOP状態のより早期段階(および、いくつかの例では、全段階)でのそのような排気により、OOP乗員の負傷を軽減することができる。
【0078】
膨張中でのアクティブベントの閉塞の相対的なタイミングは、制御テザーが乗員用テザーに結合する位置と相関し得る。例えば、
図5Aを再び参照するに、結合位置555が乗員用テザー550の長さに沿ってバックパネル522の比較的近くにあるときに、アクティブベント502の作動がより迅速に始まってもよく、かつアクティブベント502が展開のより早期段階で比較的迅速に閉塞するように引かれてもよい。これに対して、結合位置555が乗員用テザー550の長さに沿ってバックパネル522から比較的離れているときには、アクティブベント502の作動がより遅く始まってもよく、かつアクティブベント502が展開の後期段階で閉塞するように引かれてもよい。このように、エアバッグアセンブリ500を所望の性能に調整するように結合位置555を構成してもよい。
【0079】
図7A〜
図7Cは、本開示の別の実施形態によるエアバッグアセンブリ700を描いている。具体的には、
図7Aは、アクティブベント702の実施形態が開放OOP排気状態にあるエアバッグアセンブリ700の後向きの断面斜視図である。
図7Bは、アクティブベント902が開放拘束排気状態にある、部分的に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ900の後向きの断面斜視図である。
図7Cは、アクティブベントが閉塞状態にある、完全に膨張した状態にあるエアバッグアセンブリ700の後向きの断面斜視図である。
【0080】
図7A〜
図7Cを全体としてかつまとめて参照すると、エアバッグアセンブリ700は、フロントパネル720と、バックパネル722と、選択的に閉塞可能な別個の排気孔702またはアクティブベント702とを含むエアバッグクッション710を含むことができる。アクティブベント702は、開口706を閉塞するために開口706と選択的に相互作用するように構成されるプラグ704を含む。プラグ704は、エアバッグクッション710に取り付けられるパッチ704を備えてもよい。ある特定の実施形態において、パッチ704は、上で説明したように、
図2Aに示す実施形態と同様のものであり、かつこの実施形態と同様の開口906と相互作用する。
【0081】
エアバッグアセンブリ700は、エアバッグクッション710のフロントパネル720からエアバッグクッション710のバックパネル722に延びるとともに、フロントパネル720およびバックパネル722の各々と結合される乗員用テザー750を含むことができる。乗員用テザー750は、展開中に、エアバッグクッション710が完全に膨張した時点で、および/または車両乗員が膨張したエアバッグクッション710に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグクッション710の所望の外形を達成するのを補助することができる。
【0082】
図7Aに図示するように、第1の制御テザー752をパッチ704と結合してもよく、バックパネル722にも結合してもよい。別の実施形態では、第1の制御テザー752が、(
図5A〜
図5Cの実施形態に示す配置と同様の)乗員用テザー750に結合してもよい。
【0083】
初めに、展開および/または膨張の前に、エアバッグクッション710が折り畳み状態にあるときに、第1の制御テザー752は、パッチ704がOOP排気状態にあることを可能にするのに十分に弛緩した弛緩状態にあってもよく、このパッチ704を開口706から完全に係合解除するかまたはほぼ完全に係合解除してもよい。換言すれば、第1の制御テザー752における弛緩は、開口706を通る膨張ガスの遮断されない放出を可能にするために、パッチ704を開口706から十分に変位させることを可能にするのに十分なものあってもよく、この開口706は、OOP状態に適した速度での排気を可能にする大きさとしてもよい。
【0084】
第1の制御テザー752における所望の初期の弛緩を、上で説明した任意の方法および/または機構を含むいくつかの方法で達成してもよい。例えば、
図7Aに図示するように、エアバッグクッション710を初めに、パッチ704(およびしたがって開口706)と、バックパネル722に固定され得る第1の制御テザー752の反対側の端部との間の距離を減少させるタックまたは折り目974を含むように折り畳んでもよい。エアバッグクッション710が膨張するときに、バックパネル722からタック774を引き出してもよい。タック774が引き出されると、第1の制御テザー752がピンと張るように引かれ、このことにより、パッチ704が開口側に引っ張られ、これにより、アクティブベント702をOOP排気状態から拘束排気状態に移行させてもよい。
【0085】
第2の制御テザー754をパッチ704と結合してもよく、フロントパネル720にも結合してもよい。第2の制御テザー754は、エアバッグクッション710が展開中に膨張するにつれて弛緩状態からピンと張った状態に移行するように構成してもよい。第2の制御テザー754は、
図7Cに示すように、アクティブベント702を閉塞してアクティブベント702を開放拘束排気状態から閉塞状態に移行させるように構成してもよい。
【0086】
第2の制御テザー754はまた、エアバッグクッション710がライドダウン中に車両乗員の拘束のために圧潰するにつれてエアバッグクッション710のフロントパネル720がエアバッグクッション710のバックパネル722側に移動することより、ピンと張った状態から元の弛緩状態に移行してアクティブベント702を開放するように構成してもよい。第2の制御テザー754は、正常に着座した車両乗員による負荷が生じるまでピンと張った状態のままであってもよい。このような負荷時に、クッション710のフロントパネル720は、乗員のライドダウンに伴って圧潰することができる。バックパネル722に向かうこのフロントパネル720の平行移動は、第2の制御テザー754が再び弛むことを可能にすることができ、したがって、このことは、プラグ704が開口706から外れることを可能にすることができる。次いで、エアバッグガスが排気開口706を通過することを許容され、次いで、アクティブベント702をこの開放拘束形態に移行させたときに通常の拘束排気が許容される。第1の制御テザー752はピンと張ったままであってもよく、これにより、アクティブベント702が開放拘束排気状態から開放OOP排気状態に移行するのを防止してもよい。換言すれば、第1の制御テザー752は、OOP状態が膨張を制限するポイントを越えてクッションが膨張した時点で、パッチ704の外側への移動量(またはパッチ704が開口706に対してどのくらい弛むか)を制限してもよい。したがって、OOP状態が見られないときに、エアバッグクッションがタック774との初期状態を超えて膨張した時点で、適切な拘束排気を保証してもよい。
【0087】
図8は、一実施形態による、アクティブベントの排気能力を時間の関数として示すグラフである。グラフは、エアバッグが圧潰形態またはパッケージ形態にあるときなどに、アクティブベントは、アクティブベントがOOP排気状態にあるので、OOP排気能力などの、最大排気能力であり得ることを図示している。展開の開始直後に、エアバッグクッションはOOP状態が存在しないと仮定して膨張し始め、アクティブベントがOOP排気状態に維持されるのを防ぐ。エアバッグクッションの膨張が、テザーをピンと張るように引くかまたはその他の方法でテザーの弛緩を低減してもよく、そして、このテザーが、拘束排気状態および/または閉塞状態となるようにアクティブベントを引く。閉塞状態では、排気孔がパッチにより封止されるかその他の方法で塞がれるので、アクティブベントの排気能力がゼロである。エアバッグクッションに衝突する乗員が、テザーに弛緩をもたらしてもよく、このことにより、アクティブベントが僅かに開放することが可能となり得、このことにより、膨張ガスの放出が次第に可能となり得、そして、拘束排気状態への段階的な移行が可能となる。アクティブベントが拘束排気状態にあるときに、排気能力を乗員のライドダウンに適した拘束排気速度に制限してもよい。理解できるように、
図8のグラフは、アクティブベントの3つの異なる状態(すなわち、OOP排気状態、拘束排気状態、および閉塞状態)のタイミングを示す近似であってもよい。実際の実施形態に対応するグラフは、
図8のグラフとは異なる場合がある。
【0088】
図9Aは、(実線902で表す)典型的な別個の排気孔を備えた標準設計のエアバッグアセンブリと、(破線904で表す)本開示によるアクティブベントを備えたエアバッグアセンブリの両方に対するOOP負荷事例の状態での排気速度を時間の関数として図示するグラフである。アクティブベントは、前述の実施形態で説明したように、より大きな排気開口(例えば、車両乗員がOOP状態にあるときに、膨張するエアバッグによる車両乗員の負傷を回避するのに十分に迅速に膨張ガスを排気するのに適した開口)を提供することができる。より大きな開口は、適切なOOP排気速度での膨張ガスの排気を提供し、このOOP排気速度は、標準設計のエアバッグアセンブリの典型的な別個の弁の排気速度よりも約3分の2速い。
【0089】
能動弁を有さずに、標準設計によるエアバッグアセンブリは、線902で表すように、乗員の拘束に適した速度で排気するように設計された別個の排気孔を含む。エアバッグの膨張および乗員のライドダウンを可能にするのに拘束排気速度がより遅くかつOOP排気速度がより速いため、拘束に適した速度は、OOP排気速度未満である。より速いOOP排気速度は、OOP状態にある車両乗員に対するエアバッグの衝突(および場合によりかかる衝突による負傷)を軽減するのに役立つ。
図9Aのグラフは、OOP状態での展開の改善された排気効率を図示している。アクティブベントは、OOP排気状態のより大きな排気能力(OOP排気速度)を可能にし、その一方で、OOP状態が存在しないときには、適切な乗員のライドダウンのための拘束排気状態を可能にする。
【0090】
図9Bは、(実線912で表す)標準設計のエアバッグアセンブリと(破線914で表す)本開示によるアクティブベントを備えたエアバッグアセンブリの両方に対する通常の拘束負荷事例での排気速度を時間の関数として図示するグラフである。標準設計において、別個の排気孔は、エアバッグが膨張するにつれて最大排気速度が達成されるまで排気が次第に増加するように常に開放したままであってもよい(例えば、最大排気速度は、別個の排気孔の大きさによりライドダウン中に乗員を適切に拘束する排気速度に制限される)。グラフで図示するように、アクティブベントが(ポイント916で)閉塞すると、例えば、エアバッグに接触する乗員により生じる、(線918での)拘束負荷までは排気が著しく小さく(および膨張ガスがより完全に保持され)、このポイントで、排気速度が次第に増加する。グラフは、標準設計により消費されるエネルギーまたはガスを図示している。消費されるエネルギーは、乗員を十分に拘束するレベルにエアバッグの膨張を維持するために費やされるエネルギーである。消費されるガスは、乗員の拘束に寄与せずに標準的な排気孔を通して乗員の拘束前に失われる膨張ガスである。アクティブベントは、排気が必要となるまで膨張ガスを保持し、したがって、インフレータからの入力エネルギーに関してより効率的である。衝突出力エネルギーと一致させるのに、入力エネルギーが少なくて済み、このことは、インフレータの小型化が可能であることを意味する。
【0091】
図9Cは、(実線922で表す)標準設計のエアバッグアセンブリと(破線924で表す)本開示によるアクティブベントを備えたエアバッグアセンブリの両方に対する長時間負荷の事例での排気速度を時間の関数として図示するグラフである。標準設計において、別個の排気孔は、エアバッグが膨張するにつれて最大排気速度が達成されるまで排気が次第に増加するように常に開放したままであってもよい(例えば、最大排気速度は、別個の排気孔の大きさによりライドダウン中に乗員を適切に拘束する排気速度に制限される)。グラフで図示するように、アクティブベントが(ポイント926で)閉塞すると、例えば、エアバッグに接触する乗員により生じる、(線928での)拘束負荷までは排気が著しく小さく(および膨張ガスがより完全に保持され)、このポイントで、排気速度が次第に増加する。グラフは、標準設計により消費されるエネルギーを図示している。消費されるエネルギーは、ライドダウン中に乗員を十分に拘束するレベルにエアバッグの膨張を維持するために費やされるエネルギーである。アクティブベントは、排気が必要となるまで膨張ガスを保持し、したがって、インフレータからの入力エネルギーに関してより効率的である。衝突出力エネルギーと一致させるのに、入力エネルギーが少なくて済み、このことは、インフレータの小型化が可能であることを意味する。その上、長時間負荷の事例では、標準設計のエネルギー/ガス消費がより顕著である。標準的な排気孔は、典型的には、長時間負荷の事例では適切な拘束をもたらすのにガス残量が不十分である。
【0092】
図10A、
図10Bは、本開示の別の実施形態によるエアバッグアセンブリ1000を描いている。具体的には、
図10Aは、エアバッグアセンブリ1000の後向きの断面斜視図である。
図10Bは、
図10Aの拡大図である。エアバッグアセンブリ1000は、エアバッグクッション1010と、選択的に閉塞可能な別個の排気孔1002またはアクティブベント1002とを含むことができる。アクティブベント1002は、いくつかの実施形態では、開口1006と、開口1006を選択的に閉塞するために開口1006と選択的に相互作用するプラグ1004(例えば、パッチ1004)とを含んでもよい。エアバッグクッション1010は、縫合によるなどの、任意の好適な手法で接合され得るフロントパネル1020とバックパネル1022とを備える。バックパネル1022は、インフレータに流体的に結合しかつインフレータからの膨張ガスをエアバッグクッション1010の膨張室1030に受け入れる膨張開口1032を形成する。また、アクティブベント1002は、バックパネル1022に配置される。理解できるように、アクティブベント1002を別のパネル(例えば、サイドパネル)に配置してもよい。
【0093】
エアバッグアセンブリ1000は、一方の端部でプラグ1004に結合されかつ反対側の端部でフロントパネル1020と結合された制御テザー1052を含んでもよい。アクティブベント1002は初めに、制御テザー1052が弛緩状態にあるので開放していてもよい。これらのエアバッグ展開の早期段階で、車両乗員がエアバッグクッション1010に近接していない場合、エアバッグクッション1010は、正常に着座した乗員の方向(例えばx方向)に膨張することができる。この膨張が生じると、開口1006を通る膨張ガスの放出を防止または阻止するためにプラグ1004を開口1006と係合するように引っ張る制御テザー1052がピンと張った状態に引かれる。
【0094】
制御テザー1052は、正常に着座した車両乗員による負荷が生じるまでピンと張った状態のままであってもよい。このような負荷時に、クッション1010のフロントパネル1020は、乗員のライドダウンに伴って圧潰することができる。バックパネル1022に向かうこのフロントパネル1020の平行移動は、制御テザー1052が再び弛むことを可能にすることができ、したがって、このことは、プラグ1004が、開口1006と相互作用しなくなるように押し出されることを可能にすることができる。次いで、エアバッグ膨張ガスが排気開口1006を通過することを許容され、アクティブベント1002がこの開放形態にあるときに通常の拘束排気が許容される。
【0095】
車両乗員がOOP状態にあるときなどの、他の例では、プラグ1004が排気開口1006を閉塞する前に、車両乗員がフロントパネル1020に接触してもよい。その結果、制御テザー1052は、比較的弛緩したままであってもよく、アクティブベント1002は、開放したままであってもよく、膨張ガスは、開口1006を通って外に出ることができる。ある特定の例において、アクティブベント1002は、OOP展開事象の際に決して閉塞しなくてもよい。OOP状態のより早期段階(および、いくつかの例では、全段階)でのそのような排気により、OOP乗員の負傷を軽減することができる。
【0096】
エアバッグアセンブリ1000はまた、フロントパネル1020からバックパネル1022に延びるとともに、フロントパネル1020およびバックパネル1022の各々と結合される乗員用テザー1050(すなわち、安定化テザーまたは深さ規定テザー)を含んでもよい。乗員用テザー1050は、展開中に、エアバッグクッション1010が完全に膨張した時点で、および/または車両乗員が膨張したエアバッグクッション1010に衝突した後の車両乗員のライドダウン中に、エアバッグクッション1010の所望の外形を達成するのを補助することができる。
【0097】
図11は、2つのアクティブベント1102a、1102bを備えたエアバッグクッション1110を含む、本開示の別の実施形態による、エアバッグアセンブリ1100を描いている。具体的には、
図10Aは、2つのアクティブベント1102a、1102bが開放状態にあるエアバッグアセンブリ1000の前向きの斜視図である。2つのアクティブベント1102a、1102bは、本明細書に開示し、説明し、または例示した実施形態のいずれかによるアクティブベントであってもよい。
【0098】
他の実施形態は、いくつかの点で、図面に示されているものと著しく異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パッチを異なるように形作ってもよく、および/または様々な異なる方法でエアバッグクッションに取り付けてもよい。例えば、様々な実施形態において、パッチは、三角形、正方形、矩形、円形、六角形、または任意の他の好適な形状であってもよい。様々な実施形態では、パッチを2つ以上、3つ以上、または4つ以上の取付領域において(例えば、2つ、3つ、または4つ以上の位置での縫い目により)クッションに取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、パッチを正方形に形作ってもよく、更なる実施形態では、正方形の各辺の長さを開口の直径よりも大きくすることができる。いくつかの実施形態では、正方形のパッチをパッチの4つの角部でのみエアバッグクッションに取り付けてもよく、このことにより、ガスがエアバッグクッションから外方に(図面に示す2方向とは対照的に)4方向に排気することを可能にすることができる。他の実施形態において、パッチは、三角形であってもよく、3つの角部でのみ取り付けられてもよい。ガスは、パッチがアクティブベントの開放時に開口から間隔を置いて配置されたときに(例えば、3組の隣接する縫合領域間の)3方向に排気することが許容されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、テザーの異なる配置が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、テザーが2つ以上の別個の片を含んでもよい。いくつかの実施形態では、テザー片のうち1つは、一方の端部でパッチに取り付けられ、反対側の端部で別のテザー片に取り付けられる。追加のテザー片をフロントパネルに取り付けてもよい。よって、パッチへの第1のテザー片の結合は、直接的な取り付けであってもよく、これに対して、フロントパネルへの第1のテザー片の結合は、間接的な取り付けであってもよい。同様に、テザーが1つの片を備えるか多数の片を備えるかに関わらず、フロントパネルへのテザーの結合は、直接的な取り付けを介したものであってもよく(例えば、テザーの端部をフロントパネルに縫合してもよく)、または間接的な取り付けを介したものであってもよい(例えば、テザーの端部をフロントパネルに縫合される中間の材料片に縫合してもよい)。
【0100】
いくつかの実施形態において、エアバッグは、バックパネル、上部パネル、下部パネル、または1つもしくは複数のサイドパネルのうちの1つまたは複数を含んでもよい。このような実施形態のある特定の実施形態では、1つまたは複数の開口を、任意の好適な数のパネルに(例えば、バックパネルのみに、サイドパネルのうちの1つのみに、上部パネルのみに、バックパネルと1つまたは複数のサイドパネルの両方に、2つのサイドパネルのみなどに)位置決めしてもよい。
【0101】
ある特定の実施形態では、車両乗員を受け止めるように構成されるフロントパネルと正対しないパネルに別個の排気開口を位置決めしてもよい。例えば、上述のように、いくつかの実施形態では、排気開口をフロントパネルに隣接するサイドパネルに位置決めしてもよい。このような実施形態の更なる実施形態では、エアバッグクッションがバックパネルを含んでもよく、サイドパネルがフロントパネルとバックパネルとの間のほぼ前後方向に延びてもよい。サイドパネルは、車両乗員に向かう方向以外の方向、すなわち、フロントパネルが向く方向と異なる方向を向くと言ってもよい。排気開口がサイドパネルに位置決めされるある特定の実施形態では、テザーをフロントパネルに取り付けてもよく、加えてパッチにも取り付けてもよい。排気形態は、他の点では、図面に示されているものと同様であってもよい。例えば、テザーを一方の端部でフロントパネルに取り付けてもよく、テザーは、テザーが弛緩しているときにサイドパネルにおける排気開口を通って延びてもよく、かつテザーの端部をパッチに取り付けてもよい。パッチを、パッチの外面でサイドパネルに取り付けてもよく、かつテザーがエアバッグの膨張によりピンと引っ張られたときに、開口とガス停止の相互作用をするように引かれる、反転させられる、引っ張られるように構成してもよい。しかしながら、展開の早期段階でフロントパネルに接触するOOP乗員に対しては、エアバッグが、テザーをピンと張るように引くのに十分な程度には決して膨張しなくてもよく、このことは、アクティブベントが開放したままであることを可能にすることができる。
【0102】
本明細書の全体にわたる「ある実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたって記述される引用句またはその変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているとは限らない。
【0103】
同様に、実施形態の上記の説明では、開示を簡素化する目的で、様々な特徴が時として単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられることを理解すべきである。しかしながら、開示のこの方法は、任意の請求項がその請求項で明示的に記述される特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、先に開示した任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この詳細な説明の後に続く特許請求の範囲は、ここではこの詳細な説明に明示的に組み込まれており、各請求項は、それ自体が個別の実施形態として存在する。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項とのあらゆる並べ替えを含む。
【0104】
特徴または要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記述は、第2のもしくは更なるそのような特徴または要素の存在を必ずしも示唆するものではない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で記述された要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されることが意図されている。本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上で説明した実施形態の細部に変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。排他的な所有権または特権が請求される本発明の実施形態は、以下の通り、特許請求の範囲に規定される。