特許第6500148号(P6500148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6500148
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】界面活性剤および液体洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/722 20060101AFI20190401BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20190401BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   C11D1/722
   C11D3/50
   C11D17/08
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-97295(P2018-97295)
(22)【出願日】2018年5月21日
【審査請求日】2018年6月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀江 拓也
(72)【発明者】
【氏名】城籔 将虎
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−087228(JP,A)
【文献】 特開平07−126690(JP,A)
【文献】 特開2012−214653(JP,A)
【文献】 特開2011−137111(JP,A)
【文献】 特開2002−053895(JP,A)
【文献】 特開2003−105383(JP,A)
【文献】 特開2012−214601(JP,A)
【文献】 特開2016−044195(JP,A)
【文献】 特開2012−102149(JP,A)
【文献】 特開2004−115715(JP,A)
【文献】 特開平08−081695(JP,A)
【文献】 特開2009−154915(JP,A)
【文献】 特開2010−121142(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/011203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
B01F 17/00−17/56
C09K 3/00−3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される界面活性剤および油溶性の香料を含むトイレ用液体洗浄剤。
R−O−[(EO)/(PO)]−(EO)−H (1)
ただし、式(1)中、Rは炭素数10〜15のアルキル基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、a、bおよびcはそれぞれEOまたはPOの平均付加数を表す。また、aは〜10の範囲に含まれる数であり、bは3〜5の範囲に含まれる数であり、cは7〜20の範囲に含まれる数であり、a/bは0.6〜3である。また、[(EO)/(PO)]はEOとPOの付加形態がランダム付加であることを意味する。
【請求項2】
前記aおよび前記cの合計が、10〜20である、請求項1に記載のトイレ用液体洗浄剤。
【請求項3】
前記aおよび前記bの合計に対する前記cの割合(c/(a+b))が、0.2〜2.5である、請求項1または2に記載のトイレ用液体洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤および液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や浴槽等の汚れは他の住居汚れに対して洗浄効果を有する界面活性剤ならびに洗浄剤の開発が行われている。たとえば、特開平7−126690号公報(特許文献1)には、洗浄力の優れた界面活性剤として、ある構造を有する界面活性剤が具体的に開示されている。
【0003】
また、洗浄剤にはたとえば油溶性の香料が添加される場合が多い。この場合、香料は、洗浄成分でもある界面活性剤により基材成分である水に可溶化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−126690号公報
【特許文献2】特開2001−11489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に具体的に開示された界面活性剤を用いて香料を含む洗浄剤を製造した場合、たとえば、高温環境下での保管時または低温環境下での保管時に、洗浄剤が白濁してしまうという問題がある。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、広い温度範囲に亘って香料を可溶化された状態で維持することができ、かつ洗浄力の高い界面活性剤、および当該界面活性剤を含む液体洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明の界面活性剤は、下記一般式(1)で表される。
R−O−[(EO)/(PO)]−(EO)−H (1)
ただし、式(1)中、Rは炭素数10〜15のアルキル基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、a、bおよびcはそれぞれEOまたはPOの平均付加数を表す。また、aは1〜10の範囲に含まれる数であり、bは1〜8の範囲に含まれる数であり、cは7〜20の範囲に含まれる数であり、a/bは0.6〜3である。また、[(EO)/(PO)]はEOとPOの付加形態がランダム付加であることを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、広い温度範囲に亘って香料を可溶化された状態で維持することができ、かつ洗浄力の高い界面活性剤、および当該界面活性剤を含む液体洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
(1)本実施の形態に係る界面活性剤は、下記一般式(1)で表される。
R−O−[(EO)/(PO)]−(EO)−H (1)
ただし、式(1)中、Rは炭素数10〜15のアルキル基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、a、bおよびcはそれぞれEOまたはPOの平均付加数を表す。また、aは1〜10の範囲に含まれる数であり、bは1〜8の範囲に含まれる数であり、cは7〜20の範囲に含まれる数であり、a/bは0.6〜3である。また、[(EO)/(PO)]はEOとPOの付加形態がランダム付加であることを意味する。
【0011】
このような構成により、たとえば当該界面活性剤を液体洗浄剤において香料と併用する場合に、広い温度範囲に亘って当該香料を可溶化された状態で維持することができる。言い換えれば、当該界面活性剤は、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性を高めることができる。また、当該当該界面活性剤は、液体洗浄剤に高い洗浄力を与えることができる。また、たとえば、当該界面活性剤により、液体洗浄剤の起泡力を高めることができる。
【0012】
(2)好ましくは、前記aおよび前記cの合計が、10〜20である。
【0013】
このような構成により、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性をさらに高めることができ、洗浄力および起泡力をさらに高めることができる。
【0014】
(3)好ましくは、前記aおよび前記bの合計に対する前記cの割合(c/(a+b))が、0.2〜2.5である
【0015】
このような構成により、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性をさらに高めることができ、洗浄力および起泡力をさらに高めることができる。
【0016】
(4)本発明の実施の形態に係る液体洗浄剤は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の界面活性剤を含む。
【0017】
このような構成により、高い洗浄力および起泡力を有する液体洗浄剤を得ることができる。また、当該液体洗浄剤が、可溶化された香料を含む場合に、当該香料の高温環境下および低温環境下における安定性を高めることができる。
【0018】
(5)好ましくは、前記液体洗浄剤は、さらに香料を含む。
【0019】
このような構成により、たとえば保管時において白濁等が生じにくい香料入りの液体洗浄剤を得ることができる。
【0020】
(6)好ましくは、前記液体洗浄剤は、油脂汚れ、水垢、石鹸カスまたは屎尿汚れの付着した硬質表面用である。
【0021】
このような構成により、たとえば、洗面台、浴室、浴槽、タイル等の陶器を含む硬質表面に好適に使用することができる。
【0022】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0023】
[界面活性剤]
本実施形態に係る液体洗浄剤には、下記一般式(1)で表される界面活性剤が配合される。
【0024】
R−O−[(EO)/(PO)]−(EO)−H (1)
【0025】
式(1)において、Rは炭素数10〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。Rの炭素数は、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、および洗浄力の向上の観点から、12〜15であることが好ましく、12〜13であることがさらに好ましい。また、液体洗浄剤に高い起泡力を与える観点からも、上記の範囲が好ましい。なお、式(1)において、Oは酸素を表し、Hは水素を表す。
【0026】
本開示において、EOはオキシエチレン基を表す。式(1)において、aは、EOの平均付加数を表し、1〜10の範囲に含まれる数である。当該aは、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力および洗浄力の向上の観点から、2〜8の範囲に含まれる数であることが好ましく、3〜7の範囲に含まれる数であることがより好ましく、4〜6の範囲に含まれることがさらに好ましい。
【0027】
本開示において、POは、オキシプロピレン基を表す。式(1)において、bは、POの平均付加数を表し、1〜8の範囲に含まれる数である。当該bは、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、2〜6の範囲に含まれる数であることが好ましく、3〜5の範囲に含まれる数であることがより好ましく、4〜5の範囲に含まれる数であることがさらに好ましい。
【0028】
式(1)において、cは、EOの平均付加数を表し、7〜20の範囲に含まれる数である。当該cは、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、7〜15の範囲に含まれる数であることが好ましく、8〜13の範囲に含まれる数であることがさらに好ましい。
【0029】
本実施の形態に係る界面活性剤は、式(1)によって示される複数の化合物の混合物であってもよいし、式(1)におけるa、bおよびcならびにRの炭素数のそれぞれが単一の化合物であってもよい。
【0030】
式(1)において、[(EO)/(PO)]は、EOとPOの付加形態がランダム付加であることを意味する。以下、本実施の形態に係る界面活性剤の「[(EO)/(PO)]」によって示される部分を「コポリマー部」とも称する。コポリマー部では、たとえば、a個のエチレンオキサイドとb個のプロピレンオキサイドとがランダム重合している。
【0031】
以下、本実施の形態に係る界面活性剤の「(EO)」によって示される部分を「ホモポリマー部」とも称する。ホモポリマー部では、たとえば、c個のエチレンオキサイドが重合している。
【0032】
式(1)において、aおよびbの割合(a/b)は0.6〜3である。当該比率は、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、0.7〜2.5であることが好ましく、0.7〜2.0であることがより好ましく、0.8〜1.8であることがより好ましい。
【0033】
式(1)において、aおよびbの合計に対するcの割合(c/(a+b))は、特に限定されないが、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、0.2〜2.5であることが好ましく、0.5〜2.0であることがより好ましく、0.7〜1.9であることがより好ましく、0.8〜1.8であることがさらに好ましい。
【0034】
式(1)において、aおよびcの合計(a+c)は、特に限定されないが、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、8〜30であることが好ましく、10〜25であることがより好ましく、12〜20であることがより好ましく、15〜18であることがより好ましく、16〜17であることがさらに好ましい。
【0035】
本実施の形態に係る界面活性剤の製造方法は、特に限定されないが、公知のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの合成方法を利用して製造することができる。たとえば、界面活性剤は、アルカリ触媒または酸触媒の存在下において、直鎖または分岐鎖のアルコールに、(1)エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの混合物を80〜150℃で反応させて上記コポリマー部を形成し、続いて、(2)エチレンオキサイドを反応させて上記ホモポリマー部を形成することで得ることができる。
【0036】
[液体洗浄剤]
本実施の形態に係る液体洗浄剤における上記界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性、起泡力ならびに洗浄力の向上の観点からの観点から、0.5〜60質量%であることが好ましく、1〜50%であることがより好ましく、1〜45%であることがさらに好ましい。界面活性剤の好ましい含有量は、液体洗浄剤のタイプによって異なってもよい。たとえば、被洗浄面に直接スプレーするタイプ、直接掛けるタイプ、または直接塗付するタイプの液体洗浄剤等の場合、当該液体洗浄剤における界面活性剤の含有量は、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。また、たとえば、使用時に水で希釈されるタイプの液体洗浄剤の場合、当該液体洗浄剤における界面活性剤の含有量は、使用時の希釈の程度にもよるが、20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがよりに好ましく、35〜45質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
本実施の形態に係る液体洗浄剤は、香料を含んでも良いし、含まなくても良い。液体洗浄剤が香料を含まない場合であっても、たとえば、液体洗浄剤に使用者自身が香料を添加することが考えられる。
【0038】
本実施の形態に係る液体洗浄剤が香料を含む場合、当該香料は特に限定されず、水溶性の香料または油溶性の香料を好適に使用することができる。また、本実施の形態に係る液体洗浄剤における香料の含有量は、特に限定されないが、可溶化された当該香料の高温環境下および低温環境下における安定性を向上させる観点から観点から、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。香料の好ましい含有量は、液体洗浄剤のタイプによって異なってもよい。たとえば、被洗浄面に直接スプレーするタイプ、直接掛けるタイプ、または直接塗付するタイプの液体洗浄剤等の場合、当該液体洗浄剤における香料の含有量は、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがさらに好ましい。たとえば、使用時に水で希釈されるタイプの液体洗浄剤の場合、当該液体洗浄剤における香料の含有量は、使用時の希釈の程度にもよるが、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがよりに好ましい。
【0039】
[その他の成分]
本実施形態に係る液体洗浄剤には、その基材成分として水が使用される。本実施形態に係る液体洗浄剤には、その他、上記一般式(1)で表される界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、溶剤、キレート剤、ビルダー、脂肪酸塩、pH調整剤、香料、色素、粘度調整剤、表面改質剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防かび剤などの添加剤を配合してもよい。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンなどのアルカリ剤や、塩酸や硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸、クエン酸などが挙げられる。
【0040】
本実施形態に係る液体洗浄剤のpHは特に限定されないが、25℃におけるpHが5〜9であることが好ましく、より好ましくは6〜8である。
【0041】
本実施形態に係る液体洗浄剤は、油脂、具体的には、たとえば、皮脂、動物性油脂または植物性油脂を主体とする汚れに対して優れた洗浄力と起泡力を有する。また、本実施形態に係る液体洗浄剤は、油脂だけでなく、台所や浴槽の水垢、石鹸カス、トイレの屎尿汚れ等、家庭における汚れに対して、優れた洗浄力と起泡力を有する。そのため、本実施形態に係る液体洗浄剤組成物は、各種汚れが付着した各種硬質表面を洗浄するための硬質表面用洗浄剤として好適に用いることができる。言い換えれば、本実施形態に係る液体洗浄剤は、油脂、水垢、石鹸カスまたは屎尿汚れの付着した硬質表面用として好適に用いることができる。
【0042】
本実施形態に係る液体洗浄剤を用いた洗浄方法としては、特に限定されず、たとえば、(1)スポンジなどに当該液体洗浄剤を含浸させて、当該スポンジで被洗浄面を擦り洗いした後、水ですすぐ、(2)被洗浄面に当該液体洗浄剤をスプレーまたは塗付した後、しばらく放置して水ですすぐ、あるいは(3)被洗浄面に当該液体洗浄剤をスプレーまたは塗付した後、スポンジ等で擦り、その後水ですすぐ、などが考えられる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
実施例1〜7および比較例1〜7として、各界面活性剤について、可溶化した香料の安定性、起泡力および洗浄力を評価した。実施例1〜7および比較例1〜7で使用した各界面活性剤および各評価結果を表1に示す。また、表1中の各成分すなわち各界面活性剤および各香料の詳細は以下の通りである。
【0045】
(界面活性剤)
・S−1:
C12〜16アルコール(C12:70〜75%、C14:18〜23%、C16:5〜10%)(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド6モルおよびプロピレンオキサイド4モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=6、b=4、c=10)。

・S−2:
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド4モルおよびプロピレンオキサイド3.5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド12モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=4、b=3.5、c=12)。

・S−3:
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド4モルおよびプロピレンオキサイド3.5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=4、b=3.5、c=10)。

・S−4:
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド6モルおよびプロピレンオキサイド3.5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド8モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=6、b=3.5、c=8)。

・S−5:
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド4モルおよびプロピレンオキサイド5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=4、b=5、c=10)。

・S−6:
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド6モルおよびプロピレンオキサイド5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=6、b=5、c=10)。

・S−7
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド4モルおよびプロピレンオキサイド3.5モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド13モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=4、b=3.5、c=13)。
【0046】
(界面活性剤(比較用))
・SC−1
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド5モルおよびプロピレンオキサイド2モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド5モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=5、b=2、c=5)。

・SC−2
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド5モルおよびプロピレンオキサイド10モルをランダム付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=5、b=10、c=10)。

・SC−3
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド14.5モルおよびプロピレンオキサイド3.5モルをランダム付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=14.5、b=3.5、c=0)。

・SC−4
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド18モルおよびプロピレンオキサイド4.5モルをランダム付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=18、b=4.5、c=0)。

・SC−5
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、プロピレンオキサイド4モルを付加し、次いでエチレンオキサイド10モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=0、b=4、c=10)。

・SC−6
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、プロピレンオキサイド4モルを付加し、次いでエチレンオキサイド14モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=0、b=4、c=14)。

・SC−7
C12〜16アルコール(商品名:カルコール2473、花王株式会社製)1モルに、エチレンオキサイド14モルを付加した、上記式(1)で表される化合物(式(1)中、a=0、b=0、c=14)。
【0047】
(香料)
・F−1
香料(商品名:ORANGE AF11271、曽田香料株式会社)

・F−2
香料(商品名:FRESH AIR W8198、塩野香料株式会社)
【0048】
[1] 可溶化された香料の安定性
界面活性剤20質量%、香料5質量%および水75質量%の、当該香料が可溶化している混合液(液体洗浄剤)を、−5℃(低温環境)、または50℃(高温環境)で24時間保管し、その後当該混合液の状態を目視にて確認する。判定基準は次のとおりである。
【0049】
A:混合液が透明
B:混合液が白濁またはゲル化
【0050】
[2] 起泡力
界面活性剤の0.1質量%水溶液50mlを容量100mlのネスラー管に入れ、1秒間に1回の速さで30秒間反転を繰り返し、10秒後の泡体積を目視にて確認する。判定基準は次のとおりである。
【0051】
A:40ml以上
B:30ml以上40ml未満
C:30ml未満
【0052】
[3] 洗浄力
スライドガラスにオリーブオイル20mgを塗付し、当該スライドガラスを界面活性剤の1質量%水溶液300mlに30秒間浸漬する。次に、当該スライドガラスを1000mlの水に10秒間浸漬することによってすすぎを行う。その後、スライドガラス上のオリーブオイルの有無を目視にて確認する。判定基準は次のとおりである。
【0053】
A:オリーブオイルなし
B:オリーブオイルあり
【0054】
【表1】
【0055】
結果は、表1に示すとおりであり、実施例1〜7の界面活性剤は、可溶化された香料の高温環境下および低温環境下における安定性と、起泡力と、洗浄力とについて優れた性能を有することが分かる。また、比較例の界面活性剤では、少なくとも、可溶化された香料の安定性または洗浄力に関して実施例1〜7の界面活性剤よりも劣っていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る液体洗浄剤組成物は、たとえば、油脂汚れの付着した硬質表面の洗浄剤として用いることができる。
【要約】
【課題】広い温度範囲に亘って香料を可溶化された状態で維持することができ、かつ洗浄力の高い界面活性剤、および当該界面活性剤を含む液体洗浄剤を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される界面活性剤である。
R−O−[(EO)/(PO)]−(EO)−H (1)
ただし、式(1)中、Rは炭素数10〜15のアルキル基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、a、bおよびcはそれぞれEOまたはPOの平均付加数を表す。また、aは1〜10の範囲に含まれる数であり、bは1〜8の範囲に含まれる数であり、cは7〜20の範囲に含まれる数であり、a/bは0.6〜3である。また、[(EO)/(PO)]はEOとPOの付加形態がランダム付加であることを意味する。
【選択図】なし