特許第6500198号(P6500198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500198
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20190408BHJP
   G09G 5/12 20060101ALI20190408BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G09G5/00 510V
   G09G5/00 510A
   G09G5/00 555D
   G09G5/12
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-4158(P2017-4158)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-112694(P2018-112694A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩戸 宏文
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−120277(JP,A)
【文献】 特開2004−085730(JP,A)
【文献】 特開平11−052940(JP,A)
【文献】 特開平11−110092(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/044703(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0118201(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
A63F 7/02
G09G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ用同期信号を生成するマスタ側画像表示回路と、前記マスタ用同期信号に基づいてマスタ画像を表示するマスタ側画像表示手段と、
スレーブ用同期信号を生成するスレーブ側画像表示回路と、前記スレーブ用同期信号に基づいてスレーブ画像を表示する複数のスレーブ側画像表示手段と、を備えた遊技機であって、
前記スレーブ側画像表示回路と前記各スレーブ側画像表示手段との間に配置され、前記各スレーブ側画像表示手段用の画像データが交互に合成された合成データから前記各スレーブ側画像表示手段に画像データを分配する画像分配手段を備え、
前記スレーブ側画像表示回路は、
ドットクロックを分周して水平走査周期信号を生成する水平カウンタと、
前記水平走査周期信号を分周して垂直走査周期信号を生成する垂直カウンタと、
前記マスタ側画像表示回路からマスタ用垂直同期信号が供給され、且つ前記水平カウンタから前記水平走査周期信号が出力された場合に前記垂直カウンタをリセットするリセット手段と、
前記画像分配手段に接続された前記スレーブ側画像表示手段の個数に応じた数のドットクロックを計数するごとにサイクルカウント信号を出力するサイクルカウンタと、
を備え
前記リセット手段は、前記マスタ側画像表示回路から前記マスタ用垂直同期信号が供給され、且つ前記サイクルカウンタから前記サイクルカウント信号が出力された場合に前記水平カウンタ及び前記垂直カウンタをリセットすることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示装置に画像を表示させる画像処理装置を備えたパチンコ機・パチスロ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム等の画像表示を行う機器においては、複数のディスプレイの夫々に異なる画像を表示したり、各ディスプレイに分割した画像を表示させて、複数のディスプレイで一画面を形成したりすることがある。特にパチンコ機では遊興度を高めるためにメインディスプレイ以外に複数のサブディスプレイを利用し、様々なコンテンツを表示している。
従来、複数のディスプレイに画像を同期して表示させるためには、ディスプレイ毎にグラフィックディスプレイコントローラ(GDC)を用意し、各GDCはRGBの画面データ、他のディスプレイと表示を同期させるための同期信号、及び一走査ライン当たりの画面データを転送する基準となる基準クロック信号を生成して、対応するディスプレイに出力するのが一般的である。
また、特許文献1に記載されているように、二台のディスプレイの画面表示に係る制御を単一のGDCで行うことで、GDC及びそのメモリ(ROM・RAM)を削減し、実装コストを低減した二画面ディスプレイシステムも提案されている。しかし、表1に示すように、ディスプレイの解像度によってドットクロック、水平走査周波数、及び垂直走査周波数が異なるため、複数のディスプレイを制御する場合には、種々の問題が生じる。
【0003】
表1はビデオ規格毎の水平・垂直周波数である。
【0004】
【表1】
【0005】
ここで、遊技機の演出映像には遊興性が重視されるため、演出映像のコマ落ちは許されず、演出映像そのものについても滑らかな再生が求められる(第一の要求)。更に、各ディスプレイに表示される演出映像のコンテンツが同一の場合は勿論、コンテンツが異なっていても、各演出映像はイベント(例えば、大当たり)と連動しているので、各ディスプレイに表示される演出映像の開始から終了まで全てのディスプレイで動画再生速度が一致し、同期していることが要求される(第二の要求)。
第一の要求を満たすために各ディスプレイは、GDCから出力される各ディスプレイ用の垂直同期信号をトリガーとして演出映像のデコードを行えばよい。しかし、表1に示したように、解像度が異なるディスプレイ間では垂直同期信号の発生タイミングが一致しないため、徐々に演出映像がずれていくという問題がある。図8は、解像度の異なるディスプレイのフレーム画像がずれていく様子を示す図である。図示するように、SVGAのディスプレイにおいては16.58ms毎にフレーム画像が描画され、VGAのディスプレイにおいては16.68ms毎にフレーム画像が描画されるので、両規格間では1フレーム毎に0.1msずつのズレが生ずる。このように、単一のGDCで解像度が異なるディスプレイに演出映像を表示するとディスプレイ間で動画再生速度が一致せず、演出映像のズレが発生してしまい、演出設計者の意図通りの映像を表示できないという問題が生じる。
【0006】
第二の要求である動画の再生速度を一致させることを目的として、解像度が異なる複数のディスプレイの間で垂直同期信号を強制的に一致させることも考えられるが、この場合は、垂直同期信号を強制的に一致させられるスレーブ側表示回路に入力される垂直同期信号のタイミングが、スレーブ側表示回路が発生する本来の垂直同期信号のタイミングと異なってしまうという問題がある。
【0007】
図9は、強制的に入力された垂直同期信号VS0と、スレーブ側表示回路の本来の垂直同期信号VS1のタイミングとの関係を示した模式図である。なお、本図では説明の便宜上、アクティブビデオ期間を左上角部に示している。図示するように、強制的に入力された垂直同期信号が水平1ラインの中間に位置するため、垂直ブランキング期間がライン単位(整数)とならず、端数(小数点を含む値)となる。このため、eDP(Embedded Display Port)のような水平1ラインの中間における同期信号の発生を許さない表示インターフェースを利用している場合には、映像が乱れたり映像を再生できないといった不具合が発生する。
また、強制される垂直同期信号に応じてスレーブ側表示回路のドットクロックを変更すれば上記のような端数の問題は回避できるが、GDC内部のクロック発生源や分周器の精度が有限であることから、ディスプレイの組み合わせはごくわずかに限られてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−169753公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、複数のディスプレイの表示を同期させようとすると、種々の問題が発生する。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、映像再生上の不具合の発生を防止しつつ、複数の画像表示装置の画像を同期して表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、マスタ用同期信号を生成するマスタ側画像表示回路と、前記マスタ用同期信号に基づいてマスタ画像を表示するマスタ側画像表示手段と、スレーブ用同期信号を生成するスレーブ側画像表示回路と、前記スレーブ用同期信号に基づいてスレーブ画像を表示する複数のスレーブ側画像表示手段と、を備えた遊技機であって、前記スレーブ側画像表示回路と前記各スレーブ側画像表示手段との間に配置され、前記各スレーブ側画像表示手段用の画像データが交互に合成された合成データから前記各スレーブ側画像表示手段に画像データを分配する画像分配手段を備え、前記スレーブ側画像表示回路は、ドットクロックを分周して水平走査周期信号を生成する水平カウンタと、前記水平走査周期信号を分周して垂直走査周期信号を生成する垂直カウンタと、前記マスタ側画像表示回路からマスタ用垂直同期信号が供給され、且つ前記水平カウンタから前記水平走査周期信号が出力された場合に前記垂直カウンタをリセットするリセット手段と、前記画像分配手段に接続された前記スレーブ側画像表示手段の個数に応じた数のドットクロックを計数するごとにサイクルカウント信号を出力するサイクルカウンタと、を備え、前記リセット手段は、前記マスタ側画像表示回路から前記マスタ用垂直同期信号が供給され、且つ前記サイクルカウンタから前記サイクルカウント信号が出力された場合に前記水平カウンタ及び前記垂直カウンタをリセットすることを特徴とする

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像再生上の不具合の発生を防止しつつ、複数の画像表示装置の画像を同期して表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態に係る遊技機の概略構成例を示すハードウェア構成図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る表示回路周辺のハードウェア構成を示したブロック図である。
図3】(a)、(b)は、マスタ側とスレーブ側のVSYNCの出力タイミングについて説明するためのタイミングチャートである。
図4】1フレームを構成する画像信号の配置例を示す模式図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係る遊技機の概略構成例を示すハードウェア構成図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る表示回路周辺のハードウェア構成を示したブロック図である。
図7】(a)、(b)は、マスタ側とスレーブ側のVSYNCの出力タイミングについて説明するためのタイミングチャートである。
図8】解像度の異なるディスプレイのフレーム画像がずれていく様子を示す図である。
図9】強制的に入力された垂直同期信号VS0と、スレーブ側表示回路の本来の垂直同期信号VS1のタイミングとの関係を示した模式図である。
図10】画像分配器の動作を説明する模式図である。
図11】画像分配器を使用する場合の従来の問題点を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、マスタ側のディスプレイを駆動する表示回路で利用する垂直同期信号をスレーブ側のディスプレイを駆動する表示回路に供給して、両者の垂直同期信号を同期させることを前提とする。特に、本発明は、マスタ側から垂直同期信号が供給された後、スレーブ用の垂直同期信号の発生を遅延させることで、スレーブ側のディスプレイの画像表示に不具合が発生しないようにした点に特徴がある。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
〔第一の実施形態〕
<遊技機>
図1は、本発明の第一の実施形態に係る遊技機の概略構成例を示すハードウェア構成図である。
遊技機1は、画像処理装置10と、画像処理装置10に接続された複数の表示部15_0、15_1、12_2と、画像処理装置10とバスBを介して接続されたプログラムROM(Program Read Only Memory)16、外部メモリ17、及びデータROM(Read Only Memory)18を備える。画像処理装置10は、制御部11、描画部12、内部メモリ13、及び複数の画像表示回路100_0、100_1、100_2を有する表示回路部14を備える。
【0015】
制御部11は、画像処理装置10の各部を制御する手段であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部11のCPUは、プログラムROM16に格納されたプログラムを読み出してRAMに展開することにより各種の制御を実行する。
描画部12は、制御部11から出力されるディスプレイリストに従ってデータROM18に格納された画像データを読み出してデコードし、RGBの画像データを描画する回路である。ここで、ディスプレイリストは、描画するべき1フレーム分の画像について、描画部12が解釈可能な描画制御コマンド群や設定データが時系列に記述されたものである。
内部メモリ13は、SRAM(Static RAM)やeDRAM(Embedded Dynamic RAM)等の高速動作可能な揮発性の記憶手段である。内部メモリ13は、描画部12が描画した画像データ(RGB画像データ)を一時的に格納するフレームバッファ22(図2)及びラインバッファ101(図2)としての機能を有し、描画された1フレーム分の画像データを格納すると共に、ライン毎に画像データを出力することができる。
表示回路部14は、マスタとして機能する1つの画像表示回路100_0(マスタ側画像表示回路)と、スレーブとして機能する少なくとも1つの画像表示回路100_1、100_2…(スレーブ側画像表示回路)とを備える。各画像表示回路100(100_0、100_1、100_2)は、夫々の表示部15用の水平同期信号(HSYNC)、垂直同期信号(VSYNC)、及びDE(Data Enable)信号を生成する。
各画像表示回路100_0、100_1、100_2には、それぞれ表示部15_0、15_1、15_2が1対1で対応するように接続されている。表示部15_0はマスタ側画像表示手段であり、表示部15_1、15_2はスレーブ側画像表示手段である。各表示部15(15_0、15_1、15_2)は、LCD(Liquid Crystal Display)等の画像を表示する装置である。各表示部15は、各画像表示回路100が出力するRGB画像データ(マスタ画像データ、スレーブ画像データ)を各画像表示回路100が出力する同期信号(マスタ用同期信号、スレーブ用同期信号)に従って表示する。各表示部15は、互いに解像度が同一であってもよいし、解像度が異なっていてもよい。
【0016】
プログラムROM16は、制御部11が実行するプログラムや、画像処理装置10の制御に必要な制御データや設定データ等を格納する不揮発性メモリである。
外部メモリ17は、DDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic RAM)等の揮発性メモリから構成され、データROM18から読み出された画像データ等を一時的に格納する。なお、遊技機1は、外部メモリ17を省略した構成としてもよい。
データROM18は、NAND型フラッシュメモリやNOR型フラッシュメモリ等によって構成される不揮発性の記憶手段である。データROM18は、画像や音声等の符号化されたコンテンツデータを格納する。
【0017】
<基本的な動作>
画像処理装置に関わる遊技機の基本的な動作について説明する。
まず、制御部11のCPUがプログラムROM16からプログラム及び制御データを読み出して制御部11のRAMに展開する。続いて、制御部11は、描画すべき画像について、設定データ及び制御コマンド群からなるディスプレイリストを生成して、描画部12に出力する。描画部12はディスプレイリストに基づいて、例えば1フレーム分の画像形成に必要な画像データのリードリクエストをデータROM18に出力し、データROM18から当該画像データを読み出す。また、描画部12は、読み出した画像データに対してデコード処理及び描画処理を行って、描画データを内部メモリ13に書き込む。
表示回路部14の各画像表示回路100は、内部メモリ13から描画データを読み出して、表示画面としてのデータを各表示部15に出力する。各表示部15は、画像表示回路100から出力されたデータに基づく画像を表示する。
【0018】
<画像処理装置>
本発明の第一の実施形態に係る画像処理装置について説明する。図2は、本発明の第一の実施形態に係る表示回路周辺のハードウェア構成を示したブロック図である。なお、以下ではスレーブ側に一組の画像表示回路と表示部を備えた構成例に基づいて説明する。
【0019】
画像処理装置10は、図1に示した構成の他、マスタ側のドットクロック生成部21_0、スレーブ側のドットクロック生成部21_1、及び、フレームバッファ22を備える。
ドットクロック生成部21_0は、制御部11内のクロック発振回路から供給されるベースクロックCLK0から、マスタ側の画像表示回路100_0に供給するドットクロック(Dot_CLK0)を生成する。ドットクロック生成部21_1は、制御部11内のクロック発振回路から供給されるベースクロックCLK1から、スレーブ側の画像表示回路100_1に供給するドットクロック(Dot_CLK1)を生成する。両ドットクロック生成部21は、何れもPLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)によって構成される。なお、各ドットクロック生成部21に供給されるベースクロックCLK0とCLK1は同一のクロック(同一の供給源から供給されるクロック)であってもよいし、異なるクロック(異なる供給源から供給されるクロック)であってもよい。なお、各ドットクロック生成部21は、表示回路部14(又は対応する画像表示回路100)に配置されていてもよい。
【0020】
フレームバッファ22は、描画部12においてデコード処理及び描画処理された1又は複数のフレームの画像データ(例えばRGBデータ)を格納する。本例においてフレームバッファ22は内部メモリ13によって構成されるが、外部メモリ17から構成してもよいし、上記各メモリとは異なるVRAM(Video RAM)から構成してもよい。
【0021】
<スレーブ側の画像表示回路>
画像処理装置10を構成するスレーブ側の画像表示回路100_1は、タイミング生成部110、ラインバッファ101、及びRGB生成部102を備える。
タイミング生成部110は、同期信号(水平同期信号HSYNCと垂直同期信号VSYNC)を生成して表示部15_1に出力する。タイミング生成部110の詳細な構成については後述する。
ラインバッファ101は、フレームバッファ22から出力される画像データをライン毎に格納する。ラインバッファ101に格納するライン数は任意に設計できるが、1、2、4、8ライン等が好適に用いられる。本例においてラインバッファ101は内部メモリ13から構成されるが、外部メモリ17から構成してもよい。
RGB生成部102は、表示部15_1に対して、ラインバッファ101から入力される画像データ(RGBデータ)と、画像データがアクティブビデオ期間にあるかブランキング期間にあるかを示すデータイネーブル信号(DE信号)とを出力する。また、RGB生成部102は、ラインバッファ101に対して水平/垂直走査周期信号の状態に応じて画像データの出力を待機させる待機信号(wait)を出力する。DE信号及び待機信号は、水平同期信号及び垂直同期信号に基づいて生成される。
なお、マスタ側の画像表示回路100_0の構成は、スレーブ側の画像表示回路100_1と同一の構成であってもよいし、リセット生成部115を省略した構成であってもよい。
【0022】
<タイミング生成部>
タイミング生成部について説明する。
タイミング生成部110は、水平カウンタ111、HSYNC生成部112、垂直カウンタ113、VSYNC生成部114、及びリセット生成部115(リセット手段)を備える。
【0023】
水平カウンタ111は、ドットクロック生成部21_1から入力されるドットクロックDOT_CLK1を表示部15_1の解像度に応じた水平総ピクセル数(H_Total)で分周することにより、複数ビットから構成される水平走査周期信号を生成する。水平カウンタ111により生成された水平走査周期信号は、RGB生成部102、HSYNC生成部112、及びリセット生成部115に供給される。また、水平カウンタ111は、水平総ピクセル数(H_Total)をカウントする毎に垂直カウンタ113に対して垂直カウントアップ出力を送出する。また、水平カウンタ111は、垂直カウントアップ出力を送出する毎に自身のカウント値をゼロにリセットする。
【0024】
HSYNC生成部112は、水平カウンタ111の出力に基づき水平同期信号(Hsync)を生成し、表示部15_1に出力する。
【0025】
垂直カウンタ113は、水平カウンタ111から出力される水平走査周期信号を表示部15_1の解像度に応じた垂直総ライン数(V_Total)で分周することにより、複数ビットから構成される垂直走査周期信号を生成する。垂直カウンタ113により生成された垂直走査周期信号は、RGB生成部102、HSYNC生成部112、及びリセット生成部115に供給される。また、垂直カウンタ113は、垂直総ライン数(V_Total)をカウントする毎に自身のカウント値をゼロにリセットする。
【0026】
VSYNC生成部114は、垂直カウンタ113の出力に基づき垂直同期信号(Vsync)を生成し、表示部15_1に出力する。
【0027】
リセット生成部115は、画像表示回路100_0から入力される垂直同期信号(Master_VSYNC:マスタ用垂直同期信号)に基づいて、水平カウンタ111と垂直カウンタ113のカウンタ値をゼロにリセットするリセット信号(reset)を出力する。画像表示回路100_0からMaster_VSYNCが出力された場合、リセット生成部115は、水平カウンタ111からの水平走査周期信号の入力を待ってから、リセット信号を出力する。即ち、リセット生成部115は、水平1ラインの終端となるタイミングでリセット信号を出力することによって、表示部15_1の画像表示に悪影響が出ないタイミングでの画像同期を実現する。
ここで、画像表示回路100_1が画像表示回路100_0との同期を必要としない場合、水平カウンタ111と垂直カウンタ113は、自身の出力のみによりカウント値をゼロにリセットする。一方、画像表示回路100_1が画像表示回路100_0のスレーブとして機能する場合、水平カウンタ111と垂直カウンタ113は、自身の出力があった場合、又はリセット生成部115からリセット信号を入力した場合にカウント値をゼロにリセットする。なお、画像表示回路100_1が画像表示回路100_0との同期を行うスレーブモードの場合、垂直カウンタ113はリセット生成部115からのリセット信号によりリセットされる。
【0028】
<タイミングチャート>
図3(a)、(b)は、マスタ側とスレーブ側のVSYNCの出力タイミングについて説明するためのタイミングチャートである。図3(a)は、VSYNCの出力サイクルを示す図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。以下、マスタ側がSVGA、スレーブ側がVGAである場合の例により説明する。また、便宜上、水平1ライン目の先頭クロックでVSYNCが発生するものとして説明する。
【0029】
SVGAはドットクロックの一周期が25nsであるので、図3(a)に示すようにマスタ側のVSYNCは16.58msごとに出力される。同様に、VGAはドットクロックの一周期が39.72nsであるので、スレーブ側のVSYNCは16.68msごとに出力される。マスタ側とスレーブ側のVSYNCが非同期である場合、スレーブ側のVSYNCはマスタ側に対して0.1ms遅延する。即ち、スレーブをマスタに同期させないとすれば、スレーブ側の映像はマスタ側の映像に対して1フレームあたり0.1msずつ遅延する。
【0030】
図3(b)の拡大図に示すように、マスタ側のVSYNCが発生した時、スレーブ側の水平カウンタは522ライン目の622クロック目をカウントしている。仮に、eDP(Embeded Display Port)のようにライン途中でのVSYNCの発生を許容しない表示インターフェースを利用している場合、ラインの途中でVSYNCを発生させると、映像が乱れたり映像を再生できないといった不具合が発生する。
【0031】
そこで、本実施形態においてリセット生成部115は、MASTER_VSYNCの入力後、水平カウンタ111からの水平走査周期信号の入力があるまでリセット信号の出力を遅延させる。このように処理することで、図3(b)に示すように、1ラインの終了後に水平カウンタ111及び垂直カウンタ113のカウント値をゼロにリセットすることができ、eDPのように水平1ラインの中間における同期信号の発生を許さない表示インターフェースを利用する場合に、映像が乱れたり映像を再生できないといった不具合を防止することができる。
【0032】
なお、マスタ側のVSYNCとスレーブ側のVSYNCとの間にはズレが発生するが、このズレは最大でも7080nsであるため、遊戯者に認知されるほどのズレではなく、かつ、フレーム毎に同期処理が行われるので、表示部における画像表示は上記最大ズレ量以上ズレることはない。またVSYNCに同期して描画部12におけるデコード処理が行われるが、そのデコード処理もほぼ同期して実施されるので、デコード処理が間に合わない等による映像のコマ落ちも防止できる。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、映像再生上の不具合の発生を防止しつつ、マスタ側のVSYNCとスレーブ側のVSYNCとを実質的に同期させることができる。
【0034】
<画像信号の配置例>
図4は、1フレームを構成する画像信号の配置例を示す模式図である。1フレームを構成する画像信号は、画像データを出力するアクティブビデオ期間と、画像データを出力しないブランキング期間とを含んで構成される。
水平ブランキング期間は、水平フロントポーチ、水平同期期間(水平同期信号:HSYNC)、水平バックポーチを含む。画像規格がVGAの場合、水平ブランキング期間は160ピクセル(ドットクロック)であり、水平フロントポーチを48ピクセル、HSYNCのパルス幅を32ピクセル、水平バックポーチを80ピクセルのように設定できる。
垂直ブランキング期間は、垂直フロントポーチ、垂直同期期間(垂直同期信号:VSYNC)、垂直バックポーチを含む。画像規格がVGAの場合、垂直ブランキング期間は45ピクセルであり、垂直フロントポーチを31+3ピクセル、VSYNCのパルス幅を4ピクセル、垂直バックポーチを7ピクセルのように設定できる。
図示する例のような画像信号を生成する場合、HSYNC生成部112はリセット生成部115からリセット信号を入力後、カウント値として48ドットクロック後にHSYNCを出力し、VSYNC生成部114はリセット生成部115からリセット信号を入力後、カウント値として3ライン後にHSYNCを出力する。
なお、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間に含まれる各期間のピクセル数は自由に設計することができる。
【0035】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係る遊技機について説明する。図5は、本発明の第二の実施形態に係る遊技機の概略構成例を示すハードウェア構成図である。以下、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
遊技機2は、マスタ側の画像表示回路100_0に接続された1つの表示部15_0と、画像分配器23(画像分配手段)を介してスレーブ側の1つの画像表示回路100_1に接続された複数の表示部15_1、15_2とを備える。共通の画像分配器23を使用する表示部15_1と表示部15_2の解像度は同一である。
本実施形態における画像処理装置10と表示部15との間の接続には、LVDS(Low voltage differential signaling)インターフェースや、RGBインターフェース等が用いられる。なお、画像分配器23に接続される表示部の数量は、画像表示回路100と画像分配器23が許容する範囲内に制限される。
【0036】
<画像分配器の動作>
図10は、画像分配器の動作を説明する模式図である。本図は、同一解像度の2つの表示部(表示部1、表示部2)に対して画像を分配する例を示している。
画像表示回路100_1からは、表示部15_1用のピクセルデータ又は制御データと、表示部15_2用のピクセルデータ又は制御データとを、スレーブのドットクロック(dot_CLK1)の2逓倍のクロックを用いて交互に合成した合成データが画像分配器23に出力される。1サイクル分の合成データの中には、複数の表示部において同期して処理されるデータが含まれている。
画像分配器23は、dot_CLK1の2逓倍のクロックを用いて合成データを分割し、各表示部15_1、15_2に夫々のデータを出力する。
【0037】
このように画像分配器23に接続されている表示部の数だけドットクロックを逓倍したクロックを用いることによって、合成データの合成と分配が正しく行われる。
【0038】
<画像分配器を用いる場合の従来の問題点>
図11は、画像分配器を使用する場合の従来の問題点を説明する模式図である。なお、本図は、スレーブ側のVSYNCをマスタ側のVSYNCに強制的に同期させた場合に発生する画像分配上の問題点を説明する図である。
通常、マスタ側のドットクロックとスレーブ側のドットクロックは、互いに非同期である。このため、マスタ側のVSYNCに同期してスレーブ側のVSYNCを調整すると、画像分配器が使用するクロックの位相とは一致しないタイミングでVSYNCが発生する。
仮に、図11に示すようにデータの途中でVSYNCが入力された場合、そのデータ(図ではD2_004_00)は消滅してしまう。消滅後のデータの分配先はデータ1つ分ずつずれることとなり、その結果、分配先の表示部15_1、15_2との間で、表示するべき画像が入れ替わることとなる。
【0039】
<画像処理装置>
本発明の第二の実施形態に係る画像処理装置について説明する。本実施形態に係る画像処理装置は、データの消滅及びデータの入れ替わりを防止するため、表示回路部に接続されている表示部の数量の倍数となったタイミングでリセット信号を出力する点に特徴がある。
図6は、本発明の第二の実施形態に係る表示回路周辺のハードウェア構成を示したブロック図である。
画像処理装置10を構成するスレーブ側の画像表示回路100_1においてRGB生成部102は、描画部12で作成された表示部1及び2で表示する合成データをRGBデータに変換して画像分配器23に出力する。
また、画像表示回路100_1は、第一の実施形態に示した構成に加えてサイクルカウンタ116を備えている。サイクルカウンタ116は、ドットクロック生成部21_1から入力されるドットクロックをカウントし、カウント数が画像分配器23に接続された表示部の数に応じた数となったときに、リセット生成部115に対してサイクルカウント信号を出力する。例えばサイクルカウンタ116は、画像分配器23に2つの表示部が接続されている場合に2ドットクロックごとにサイクルカウント信号を出力し、3つの表示部が接続されている場合に3ドットクロックごとにサイクルカウント信号を出力する。
サイクルカウンタ116は、ドットクロックをカウントアップし続けるカウンタであってもよく、この場合、サイクルカウンタ116はカウント数が表示部の数に応じた数の倍数となったときにサイクルカウント信号を出力する。また、サイクルカウンタ116は、表示部の数に応じたサイクル数ごとにサイクルカウント信号の出力とリセットを繰り返すカウンタであってもよい。
【0040】
リセット生成部115は、画像表示回路100_0から垂直同期信号(Master_VSYNC)を入力した場合、サイクルカウンタ116からのサイクルカウンタ信号の入力を待ってから、リセット信号を出力する。なお、LVDSやRGBインターフェースを用いる場合、ライン途中でVSYNCが発生しても構わない。
なお、マスタ側の画像表示回路100_0の構成は、スレーブ側の画像表示回路100_1と同一の構成であってもよいし、リセット生成部115とサイクルカウンタ116の一方又は双方を省略した構成であってもよい。
【0041】
<タイミングチャート>
図7(a)、(b)は、マスタ側とスレーブ側のVSYNCの出力タイミングについて説明するためのタイミングチャートである。図7(a)は、VSYNCの出力サイクルを示す図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。なお、図7(a)は、図3(a)と同様の図である。以下、マスタ側がSVGA、スレーブ側がVGAである場合の例により説明する。また、便宜上、水平1ライン目の先頭クロックでVSYNCが発生するものとして説明する。
【0042】
図7(b)の拡大図に示すように、マスタ側のVSYNCが発生した時、スレーブ側の水平カウンタは522ライン目の622クロック目をカウントしている。仮に、分配器を用いて複数の表示部用の画像を分配する場合、サイクルの途中でVSYNCが発生すると画像データを正常に分配できなかったり、データの消滅による画像の入れ替えが発生するといった不具合が発生する。
【0043】
そこで、本実施形態においてリセット生成部115は、MASTER_VSYNCの入力後、サイクルカウンタ116からのサイクルカウント信号の入力があるまでリセット信号の出力を遅延させる。このように処理することで、図7(b)に示すように、1サイクルの終了後に水平カウンタ111及び垂直カウンタ113の各カウント値をゼロにリセットすることができ、データを消滅させることなく、画像データを正常に分配することができるようになる。
【0044】
なお、マスタ側のVSYNCとスレーブ側のVSYNCとの間にはズレが発生するが、このズレは最大でも1サイクル分、即ち、画像の分配先が2つの場合は最大で2×39.72ns=79.44ns、画像の分配先が3つの場合は最大で3×39.72ns=119.16nsであるため、遊戯者に認知されるほどのズレではなく、かつ、フレーム毎に同期処理が行われるので、表示部における画像表示は上記最大ズレ量以上ズレることはない。またVSYNCに同期して描画部12におけるデコード処理が行われるが、そのデコード処理もほぼ同期して実施されるので、デコード処理が間に合わない等による映像のコマ落ちも防止できる。
以上のように本実施形態によれば、映像分配上の不具合の発生を防止しつつ、マスタ側のVSYNCとスレーブ側のVSYNCとを実質的に同期させることができる。
なお、リセット生成部115の動作を、使用される表示インターフェースに応じて切り替えるようにしてもよい。即ち、リセット生成部115は、MASTER_VSYNCと水平走査周期信号の入力に基づいてリセット信号を出力するように動作するか(第一の実施形態)、MASTER_VSYNCとサイクルカウント信号の入力に基づいてリセット信号を出力するように動作するか(第二の実施形態)、を切り替えられるようにしてもよい。
【0045】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様は、マスタ用同期信号(HSYNCとVSYNC)を生成するマスタ側画像表示回路100_0と、マスタ用同期信号に基づいてマスタ画像を表示するマスタ側画像表示手段(表示部15_0)と、スレーブ用同期信号(HSYNCとVSYNC)を生成するスレーブ側画像表示回路100_1と、スレーブ用同期信号に基づいてスレーブ画像を表示するスレーブ側画像表示手段(表示部15_1)と、を備えた遊技機1であって、スレーブ側画像表示回路は、ドットクロックを分周して水平走査周期信号を生成する水平カウンタ111と、水平走査周期信号を分周して垂直走査周期信号を生成する垂直カウンタ113と、マスタ側画像表示回路からマスタ用垂直同期信号(Master_VSYNC)が供給され、且つ水平カウンタから水平走査周期信号が出力された場合に垂直カウンタをリセットするリセット手段(リセット生成部115)と、を備えることを特徴とする。
本態様において、リセット生成手段は、MASTER_VSYNCの入力後、水平カウンタからの水平走査周期信号の出力があるまでリセット信号の出力を遅延させる。このように処理することで、1ラインの終了後に垂直カウンタのカウント値をゼロにリセットすることができ、eDPのように水平1ラインの中間における同期信号の発生を許さない表示インターフェースを利用する場合に、映像が乱れたり映像を再生できないといった不具合を防止することができる。
【0046】
<第二の実施態様>
本態様に係る遊技機2は、複数のスレーブ側画像表示手段(表示部15_1、15_2)と、スレーブ側画像表示回路100_1と各スレーブ側画像表示手段との間に配置され、複数の画像表示手段用の画像データが交互に合成された合成データから各スレーブ側画像表示手段に画像データを分配する画像分配手段(画像分配器23)と、を備え、スレーブ側画像表示回路は、スレーブ側画像表示手段に応じた数のドットクロックを計数するごとにサイクルカウント信号を出力するサイクルカウンタ116を備え、リセット手段(リセット生成部115)は、マスタ側画像表示回路100_0からマスタ用垂直同期信号(Master_VSYNC)が供給され、且つサイクルカウンタからサイクルカウント信号が出力された場合に水平カウンタ111及び垂直カウンタ113をリセットすることを特徴とする。
本態様においてリセット生成手段は、MASTER_VSYNCの入力後、サイクルカウンタからのサイクルカウント信号の出力があるまでリセット信号の出力を遅延させる。このように処理することで、1サイクルの終了後に水平カウンタ及び垂直カウンタの各カウント値をゼロにリセットすることができ、データを消滅させることなく、画像データを正常に分配することができるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1、2…遊技機、10…画像処理装置、11…制御部、12…描画部、13…内部メモリ、14…表示回路部、15…表示部、100…画像表示回路、101…ラインバッファ、102…RGB生成部、110…タイミング生成部、111…水平カウンタ、112…HSYNC生成部、113…垂直カウンタ、114…VSYNC生成部、115…リセット生成部(リセット手段)、116…サイクルカウンタ、15…表示部、16…プログラムROM、17…外部メモリ、18…データROM、21…ドットクロック生成部、22…フレームバッファ、23…画像分配器(画像分配手段)
図1
図2
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図4
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図11