(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、前記プリント配線基板と該プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、前記プリント配線基板が備える導体パターンと前記導電性部材とを電気的に接続する接触部材であって、
平板状に構成され、片面が前記導電性部材に対する接触面と自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とを兼ねる接触部と、
前記接触部の側面における複数箇所からそれぞれ突出し、その突出された突出部に続く部分は前記接触部を前記片面から他面に向かう方向に投影した柱状空間を互いに同一方向に巻くようにそれぞれ配設され、かつ、全体として前記片面から前記他面に向かう方向にそれぞれ傾斜した複数の板バネ部と、
前記各板バネ部における前記各突出部に対する他端側の先端部に設けられ、前記接触部と平行な平板状に構成され、前記導体パターンにハンダ接合されるハンダ接合部と、
を備えたことを特徴とする接触部材。
前記各板バネ部における各部の断面形状は、前記柱状空間の軸に沿った方向の厚さに比べて前記片面に沿った方向の幅の方が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の接触部材。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の接触部材として、平板状に構成され、片面が前記導電性部材に対する接触面と自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とを兼ねる接触部と、導体パターンにハンダ接合されるハンダ接合部と、両者が板厚方向に変位して平行配置された状態で両者を連結する板バネ部と、を備えたものが提案されている。このように構成された接触部材は、ハンダ接合部における板バネ部及び接触部が配設される側とは反対側の面(以下、下面ともいう。)をプリント配線基板の導体パターンにハンダ接合すると共に、接触部の前記片面(すなわち上面)に接地導体等の導電性部材を接触させて使用される。
【0003】
すると、この接触部材が板バネ部を弾性変形させて使用されることにより、前記接触部は前記導電性部材に圧接され、前記プリント配線基板の導体パターンと前記導電性部材とを電気的に接続することができる。また、この種の接触部材を、自動実装機の吸着ノズルで吸着することによりプリント配線基板に自動実装する場合、接触部の片面を吸着ノズルのための吸着面として利用することができる。
【0004】
このハンダ接合部,板バネ部,接触部の具体的な形状としては、例えば特許文献1に記載のような構成が提案されている。すなわち、矩形板状のハンダ接合部の一辺から、板バネ部を前記ハンダ接合部の上面に向けて鋭角に折り返すように傾斜して設け、その先端にハンダ接合部と平行な矩形板状の接触部を設ける構成が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の構成では、接触部を導電性部材によって押圧していくと、その導電性部材には接触部と板バネ部との境界部分としての角部が当接するようになる。そして、接触部の先端がハンダ接合部に当接し、接触部材が全体として側面視三角形となると、接触部材をそれ以上プリント配線基板に向けて潰すのが困難になる。
【0007】
もちろん、特許文献1に記載の構成でも、接触部材に永久歪みが生じるほどの強い圧力を加えれば、どれだけでも潰すことができるが、その場合、導体パターンと導電性部材とを電気的に接続するといった導電性部材の機能が大幅に低下する。本明細書において、潰すとは、接触部材を構成する金属の弾性によって当該接触部材が元の形状に戻ることができる程度に潰すことをいうものとする。
【0008】
ここで、ハンダ接合部の上面を吸着ノズルのための吸着面として利用し、そのハンダ接合部の一辺から鈍角に板バネ部を上方に突出させて、その板バネ部を導電性部材に接触させることも考えられる。その場合、接触部材をプリント配線基板に向けて板厚程度の厚さまで潰すことが容易になる。しかしながら、その場合、板バネ部を導電性部材によって押圧していくと、プリント配線基板に投影される当該導電性部材の面積が大きくなる。このため、そのような構成の接触部材を使用した場合、当該接触部材の実装面積が大きくなってしまう。
【0009】
しかも、ハンダ接合部の上面を吸着面として利用する場合、吸着ノズルの外周が板バネ部と干渉しないように、ハンダ接合部の面積を十分に確保する必要がある。すなわち、特許文献1のように接触部の上面が吸着面として使用される場合は、その面の一辺は吸着ノズルの内径(すなわち穴の径)よりも大きければよい。これに対して、ハンダ接合部の上面が吸着面として使用される場合は、その上面の一辺は吸着ノズルの外形よりも大きくする必要がある。このため、当該接触部材の実装面積が更に大きくなってしまう。
【0010】
以上のような事情から、プリント配線基板に表面実装されて別の導電性部材との間に挟み込まれる接触部材は、実装面積が小さくて済み、しかも、実装後にプリント配線基板に向けて良好に潰すことのできることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に説明する接触部材は、金属の薄板を折り曲げて形成されており、使用時にはプリント配線基板の取付対象面に表面実装されて、前記プリント配線基板と該プリント配線基板とは別の導電性部材との間に挟み込まれることにより、前記プリント配線基板が備える導体パターンと前記導電性部材とを電気的に接続する接触部材であって、平板状に構成され、片面が前記導電性部材に対する接触面と自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とを兼ねる接触部と、前記接触部の側面における複数箇所からそれぞれ突出し、その突出された突出部に続く部分は前記接触部を前記片面から他面に向かう方向に投影した柱状空間を互いに同一方向に巻くようにそれぞれ配設され、かつ、全体として前記片面から前記他面に向かう方向にそれぞれ傾斜した複数の板バネ部と、前記各板バネ部における前記各突出部に対する他端側の先端部に設けられ、前記接触部と平行な平板状に構成され、前記導体パターンにハンダ接合されるハンダ接合部と、を備える。
【0012】
このように構成された接触部材は、前記片面から他面に向かう方向を、当該接触部材からプリント配線基板に向かう方向(以下、下方向という。)に向けて、プリント配線基板に表面実装される。すると、接触部とハンダ接合部とはそれぞれ上下方向に対して直交する平面上に配設され、ハンダ接合部の方が接触部よりも下に配設される。
【0013】
この状態で、ハンダ接合部がプリント配線基板の導体パターンにハンダ接合されると、接触部は、全体として上下方向に傾斜した複数の板バネ部を介してプリント配線基板の上方に支持される。接触部を導電性部材によって押圧していくと、各板バネ部が弾性変形し、接触部は導電性部材に圧接される。
【0014】
ここで、各板バネ部は、接触部の側面における複数箇所からそれぞれ突出し、その突出部に続く部分は接触部を下方に投影した柱状空間を互いに同一方向に巻くようにそれぞれ配設されている。このため、板バネ部の変形によってプリント配線基板に投影される当該接触部材の面積が大きくなることも、良好に抑制される。しかも、この接触部材では、接触部の片面(すなわち上面)が吸着ノズルの穴よりも大きければ、その接触部材は吸着ノズルによって良好に吸着されることができる。従って、この接触部材を用いれば、必要とされる実装面積を良好に小さくすることができる。
【0015】
また、このような形状の板バネ部は、接触部が導電性部材によって押圧される際、接触部とハンダ接合部との平行性を維持したままで接触部を下方に変位させる。このため、特許文献1に記載の構成のように接触部が途中でハンダ接合部等に接触するのが抑制され、実装後にプリント配線基板に向けて良好に潰すことができる。また、このように接触部とハンダ接合部との平行性が維持されることで、接触部材の永久変形等の不具合も抑制することができる。
【0016】
また、この接触部材は、接触部を重心の真上に配設する設計も容易となる。その場合、自動実装機における吸着ノズルによる吸着搬送中に接触部材が傾斜するのを良好に抑制することができる。更に、この接触部材では、各板バネ部が前記柱状空間を巻くように配設されているため、同一の実装面積に対する板バネ部の長さを長くする設計も容易となる。
【0017】
なお、前記接触部材において、前記各板バネ部における各部の断面形状は、前記柱状空間の軸に沿った方向の厚さに比べて前記片面に沿った方向の幅の方が大きくてもよい。その場合、当該接触部材を一層良好に潰すことができる。
【0018】
また、前記板バネ部毎に前記ハンダ接合部がそれぞれ設けられ、前記各板バネ部及び前記各ハンダ接合部は、前記接触部の中心を通って前記片面に垂直に立てた軸回りに(360/n)°回転させたときに全体として同一の形状及び配置となり(nは2以上の整数)、前記各ハンダ接合部は、前記各板バネ部の前記各先端部にそれぞれ独立して設けられてもよい。その場合、ハンダ接合部が板バネ部毎に独立して設けられているため、接触部材の実装面積を一層良好に小さくすることができる。また、接触部材全体としても、前記軸回りに(360/n)°回転させてもほぼ同様の形状となるため、構成が簡略化して設計が容易となる。また、この場合、接触部が導電性部材によって押圧される際、接触部とハンダ接合部との平行性が一層良好に維持され、接触部材はプリント配線基板に向けて一層良好に潰すことができる。なお、前記nは、必ずしも板バネ部の数と一致しなくてもよい。
【0019】
また、前記ハンダ接合部は、当該ハンダ接合部におけるハンダの塗布対象となる本体部の側面から突出する方向に延長されてハンダ塗布の対象とならない延長部を備え、前記各板バネ部の前記各先端部は前記延長部に連接されてもよい。その場合、ハンダ接合部の本体部の下面からハンダがはみ出した状態で固化しても、はみ出したハンダは板バネ部の先端部に達するのが抑制される。このため、板バネ部の変形に余剰ハンダの影響が及ぶのを抑制することができ、板バネ部の復元率が向上する。
【0020】
また、前記各板バネ部は、前記突出部から前記先端部に至るに従って連続的又は段階的に剛性が大きくなってもよい。その場合、各板バネ部に弾性変形によって生じる歪みが前記突出部に近い側、すなわち内側で吸収され、各板バネ部が外に広がる方向(すなわち、接触部材の実装面積が大きくなる方向)に変形するのが一層良好に抑制される。従って、その場合、当該接触部材の実装面積を一層良好に小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[1.第1実施形態]
[1−1.第1実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1(A)〜
図1(F)は本発明を適用した第1実施形態としての接触部材1の構成を表している。なお、この接触部材1は、バネ性金属(例えばリン青銅,ベリリウム銅,SUS等)からなる1枚の薄板を、所定形状に打ち抜くと共に折り曲げて形成されている。
【0023】
図1(A)〜
図1(F)に示すように、接触部材1は、プリント配線基板(図示省略)にハンダ接合される一対のハンダ接合部3と、そのプリント配線基板とは別の導電性部材(例えばシールド板や筐体等)に接触する接触部5と、両者を接続する一対の板バネ部7とを備えている。なお、以下の説明において、平板状に構成された各ハンダ接合部3に直交する方向を便宜上上下方向といい、そのうち、ハンダ接合部3のハンダ付け面31Aの表面方向(すなわち、プリント配線基板に対向する方向)を便宜上下方向という。また、一対のハンダ接合部3が対向する方向を便宜上左右方向という。これらの方向は、説明の便宜上、仮に呼称を設定したもので、接触部材1の配置及び姿勢はこれに限定されるものではない。
【0024】
ハンダ接合部3は、本体部31と延長部32とが前後方向に連接され、全体として平板状の構成を有している。本体部31は、左右方向両端に長辺を有する略矩形の形状を有し、左右方向外側の辺(すなわち、右側の本体部31の右辺と左側の本体部31の左辺)に一対の切欠部33が形成されている。各切欠部33は、それぞれ丸みを帯びた直角三角形状に構成され、直交する2辺のうちの短い方を一対の切欠部33が隣接し合う側に、長い方を本体部31の左右方向外側の辺に、それぞれ向けた形状とされている。
【0025】
延長部32は、本体部31よりも前後方向左右方向共に一回り小さい略矩形の形状を有し、左右方向外側の辺を本体部31の左右方向外側の辺と揃えて連接されている。接触部材1では、右側のハンダ接合部3は本体部31が前に、左側のハンダ接合部3は本体部31が後に、それぞれ配設されるように配置されている。また、2つのハンダ接合部3は、右側のハンダ接合部3の本体部31前端と左側のハンダ接合部3の延長部32前端とが前後方向に揃い、左側のハンダ接合部3の本体部31後端と右側のハンダ接合部3の延長部32後端とが前後方向に揃うように、それぞれ配置されている。なお、本実施形態では、本体部31の下面が、ハンダ塗布の対象となるハンダ付け面31Aとされており、延長部32の下面はハンダ塗布の対象とならない。
【0026】
接触部5は、平面視で一対のハンダ接合部3の中間に配設され、前後方向両端に長辺を有する矩形板状に構成されている。接触部5における前左側頂点と右側のハンダ接合部3における延長部32の左側面後端との間、及び、接触部5における後右側頂点と左側のハンダ接合部3における延長部32の右側面前端との間に、それぞれ板バネ部7が設けられている。すなわち、各板バネ部7は、各ハンダ接合部3における延長部32の端部と、接触部5の4つの頂点のうち当該端部から最も離れた頂点との間に設けられている。また、各板バネ部7及び各ハンダ接合部3は、互いに、接触部5の中心を通って上下方向に立てた軸回りに180°回転させた形状及び配置を有している。
【0027】
各板バネ部7は、各ハンダ接合部3側から順に、第1部分71,第2部分72,第3部分73の3つの部分から構成されている。第1部分71は、左右方向に伸びる帯状に構成され、一端(先端部の一例)が延長部32の端部に連接され、他端がもう1つのハンダ接合部3の手前まで伸びている。第2部分72は、前後方向に伸びる帯状に構成され、一端が第1部分71の前記他端に連接され、他端が、当該板バネ部7が接続されるべき接触部5の前記頂点近傍まで伸びている。第3部分73は、前記頂点における左右側端面(すなわち側面)から帯状に突出し第2部分72の前記他端に連接されている。
【0028】
また、各部の幅(すなわち、前記帯状の構造の伸展方向及び板厚方向に直交する長さ)は、第1部分71,第2部分72,第3部分73の順に狭くなっており、第1部分71,第2部分72,第3部分73の順に剛性が小さくなっている。また、第1部分71は、延長部32から斜め上方へ伸びるように傾斜しているが、第2部分72及び第3部分73は、接触部5と同一平面上に配設されている。更に、各第1部分71には、第2部分72との連接部に、第2部分72の接触部5側の側面に沿って切り欠いた円弧状の切欠部75が形成されている。また、接触部5には、各第3部分73との連接部に、各第3部分73の内側側面に沿って切り欠いた円弧状の切欠部76が形成されている。これらの切欠部75,76が形成された箇所では、板バネ部7の剛性が局所的に小さくなっている。
【0029】
[1−2.第1実施形態の効果]
このように構成された接触部材1は、ハンダ付け面31Aにハンダを塗布してプリント配線基板の導体パターンにハンダ接合することにより、当該プリント配線基板に表面実装される。すると、接触部5とハンダ接合部3とはそれぞれ上下方向に対して直交する平面上に配設され、接触部5はプリント配線基板及びハンダ接合部3よりも上方に、板バネ部7を介して支持される。
【0030】
この状態で、接触部5をシールド板等の導電性部材によって押圧していくと、各板バネ部7が弾性変形し、接触部5は導電性部材に圧接される。ここで、板バネ部7及び各ハンダ接合部3は、互いに、接触部5の中心を通って上下方向に立てた軸回りに180°回転させた形状及び配置を有している。すなわち、各板バネ部7及び各ハンダ接合部3は、前記軸回りに180°回転させたときに全体として同一の形状及び配置となる。このため、接触部5が導電性部材によって押圧される際、接触部5は、ハンダ接合部3との平行性を維持したままで下方に変位する。このため、特許文献1に記載の構成のように接触部5が途中でハンダ接合部3等に接触するのが抑制され、接触部材1は実装後にプリント配線基板に向けて良好に潰すことができる。しかも、各板バネ部7における各部の断面形状は、上下方向の厚さに比べて前記幅(すなわち帯幅)の方が大きい。このため、板バネ部7が例えば一部で帯幅方向を垂直に立てている場合に比べて、接触部材1を一層良好に潰すことができる。
【0031】
図2には、接触部5を押圧して潰した状態の接触部材1を実線で示している。なお、接触部材1は、接触部5と各ハンダ接合部3とが同一平面上に配設される状態まで潰しても元の形状に復元可能であるが、
図2には、便宜上、その状態まで潰される途中の状態を実線で示している。また、
図2には、接触部5に押圧力が加わっていない状態の接触部材1を二点差線で示している。
図2に示すように、接触部5に押圧力が加わっていない時点では、接触部5の上面とハンダ付け面31Aとの間隔(いわゆる製品高さ)はA(約0.5mm)であったが、前述のように潰した場合、製品高さBは押圧力の増加に応じて徐々に小さくなり、最終的には、接触部材1の材料としての薄板の厚さと等しい0.1mmまで変化する。なお、接触部材1では、過剰に塗布されたハンダを逃がすための切欠部33をハンダ接合部3に設けたことにより、ハンダ接合部3が余剰ハンダによってプリント配線基板から浮くことも抑制することができる。また、前述のように、接触部材1が潰される際、接触部5とハンダ接合部3との平行性が維持されることで、接触部材1の永久変形等の不具合も抑制することができる。
【0032】
また、各板バネ部7は、接触部5における互いに対向する頂点の側面からそれぞれ突出し、その突出部(すなわち、第3部分73の接触部5に対する付け根)に続く部分は接触部5を下方(すなわち、片面としての接触部5上面から他面としての接触部5下面に向かう方向)に投影した柱状空間を互いに同一方向(この場合、平面視時計回り)に巻くようにそれぞれ屈曲している。しかも、板バネ部7の各部の剛性は、第1部分71,第2部分72,第3部分73の順に、段階的に小さくなっているので、各板バネ部7に弾性変形によって生じる歪みが接触部5に近い側で吸収される。このため、各板バネ部7が外に広がる方向に変形するのが抑制され、板バネ部7の変形によってプリント配線基板に投影される接触部材1の面積が大きくなることが、良好に抑制される。よって、接触部材1の実装面積を良好に小さくすることができる。
【0033】
すなわち、接触部5に押圧力が加わっていない状態では、平面視で
図3(A)に示すような形状の接触部材1は、接触部5が押圧力を受けると、前述の構成により、
図3(B)に示すように、接触部5を平面視反時計回りに回転させるように変形する。このとき、板バネ部7は、平面視で、内側(すなわち、接触部5側)に巻き込まれるように変形する。このため、プリント配線基板に投影される接触部材1の面積が板バネ部7の変形によって大きくなることは抑制され、接触部材1の実装面積を良好に小さくすることができる。なお、このような効果は、各板バネ部7の第1部分71が、2つのハンダ接合部3によって囲まれる領域内に倒れ込むように設計されていることや、各板バネ部7の弾性変形時の屈曲位置が切欠部75,76によって規定されていることによっても、一層良好に発生する。更に、前述のような接触部5の回転は、接触部5と板バネ部7の各部との間に十分な隙間があることによって円滑になされる。
【0034】
更に、前述のように押圧時に接触部5が回転することにより、当該接触部5と接触しているシールド板等の導電性部材表面の汚れや錆を落とす、いわゆるセルフクリーニングも可能となる。そして、この回転も、
図3(A),(B)に示すようにごく微小であるので、導電性部材表面を却って傷つけてしまうことも抑制される。また、接触部材1は、接触部5がこのように回転しながら潰れるように構成されているので、潰される際に板バネ部7に生じる歪みがハンダ接合部3に届かないようにすることができる。すなわち、板バネ部7の剛性を適切に設計することで、接触部材1が潰される際にハンダ接合部3に負荷がかからないようにすることができる。
【0035】
更に、この接触部材1では、各板バネ部7が前記柱状空間を巻くように曲がって配設されているため、同一の実装面積に対する板バネ部7の長さを長くする設計も容易となる。また、板バネ部7が2本あるので、接地等の信頼性も向上させることができる。
【0036】
また、この種の接触部材は、周知の自動実装機を用いてプリント配線基板に実装される場合があるが、接触部材1では、接触部5の上面が、自動実装機の吸着ノズルのための吸着面とされる。このため、接触部5の上面が吸着ノズルの穴よりも大きければ、接触部材1は吸着ノズルによって良好に吸着されることができる。従って、接触部材1の実装面積を一層良好に小さくすることができる。また、接触部5の中心は接触部材1の重心の真上に配設されているので、自動実装機における吸着ノズルによる吸着搬送中に接触部材1が傾斜するのを良好に抑制することができる。
【0037】
すなわち、従来の接触部材において、ハンダ接合部の上面を吸着ノズルのための吸着面とした場合、吸着面と接触部材の重心とがずれて、吸着搬送中に接触部材が傾斜する場合がある。一般的な自動実装機では、吸着搬送される部材の平面視における角度は修正可能であるが、このような傾斜は修正することができない。接触部材が傾斜したまま搬送されると、その接触部材が回路の予期せぬところに衝突してしまう可能性があるが、本実施形態ではそのような事態の発生を良好に抑制することができる。
【0038】
また、各板バネ部7は、ハンダ塗布の対象とならない延長部32に連接されている。このため、ハンダ接合部3のハンダ付け面31Aからハンダがはみ出した状態で固化しても、はみ出したハンダは板バネ部7との連接部に達するのが抑制される。このため、板バネ部7の変形に余剰ハンダの影響が及ぶのを抑制することができ、板バネ部7の復元率が向上する。また、前述のように、ハンダを逃がすための切欠部33を設けたことにより、過剰に塗布されたハンダが延長部32に向けて流れるのも抑制することができる。従って、各板バネ部7は、ハンダが過剰に塗布されても、比較的良好に変形することができる。
【0039】
接触部5は、矩形板状に構成され、各板バネ部7は、前記矩形板の各辺に沿って設けられた帯状の板バネ(すなわち第1部分71,第2部分72,第3部分73)を連結した形状を有している。このため、接触部5が導電性部材によって押圧される際、板バネ部7の各部は比較的多くの部分で平面形状を保ったままで変形する。従って、板バネ部7の各部が曲面状に変形する場合に比べて、本実施形態の接触部材1はプリント配線基板に向けて一層良好に潰すことができる。また、このように矩形の接触部5の各辺に沿って屈曲した板バネ部7は、プレス加工によって製造するのも容易となる。しかも、接触部材1は、1枚の金属の薄板を折り曲げてプレス加工等によって形成されたものであるので、その製造工程を簡略化して製造コストを一層低減することができる。また、接触部材1は、全体としても、前記軸回りに180°回転させてもほぼ同様の形状となるため、構成が簡略化して設計が容易となる。
【0040】
[2.第2実施形態]
図4(A)〜
図4(F)に示す第2実施形態の接触部材101は、接触部105の構成と各板バネ部107の構成とが、次のように接触部材1とは異なる。すなわち、接触部105は、第1実施形態における接触部5よりも左右方向に大きく、第1実施形態における板バネ部7の第2部分72と一体化するほどの大きさを有している。このため、各板バネ部107は第3部分73を備えず、第2部分72が接触部105の前後側端面から突出している。
【0041】
このように構成された接触部材101でも、接触部材1と同様の効果が生じる。但し、板バネ部107は板バネ部7に比べて全体としての長さが短くなるため、弾性変形時の動きの円滑さが低下する場合がある。一方、このように構成された接触部材101では、構成を簡略化してその製造コストを一層良好に低減できる場合がある。
【0042】
[3.第3実施形態]
図5(A)〜
図5(F)に示す第3実施形態の接触部材201は、各ハンダ接合部203の構成と接触部205の構成と各板バネ部207の構成とが、次のように接触部材1とは異なる。すなわち、各ハンダ接合部203は、左右方向両端に長辺を有する単純な矩形板状に構成され、下面全体がハンダ付け面203Aとされている。接触部205は、前後方向及び左右方向に各辺を有する略正方形板状に構成されている。
【0043】
各板バネ部207は、ハンダ接合部203の端部と、接触部205の4つの頂点のうち当該端部から最も離れた頂点とを、平面視で滑らかな曲線状に連結するように設けられている。より具体的には、一方の板バネ部207は、右側のハンダ接合部203の左側面後端から、接触部205の後方を回って接触部205の左側面前端に接続されている。他方の板バネ部207は、左側のハンダ接合部203の右側面前端から、接触部205の前方を回って接触部205の右側面後端に接続されている。各板バネ部207は、全部分が各ハンダ接合部203から上方に向かって傾斜している。
【0044】
このように構成された接触部材201でも、接触部材1と同様の効果が生じる。但し、板バネ部207が平面視で曲線状に構成されているため、設計の自由度が増す場合がある。一方、板バネ部207が平面視で曲線状に構成されているため、プレス加工等が困難になる場合がある。なお、本実施形態において、各板バネ部207の剛性は、接触部205に近づくに従って徐々に小さくなるように連続的に変化してもよい。その場合、各板バネ部207の幅は、接触部205に近づくに従って徐々に小さくなる。
【0045】
[4.他の実施形態]
なお、本発明は前記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0046】
[4A]例えば、接触部材は、前記各実施形態の接触部材1,101又は201と鏡像関係となる形状に構成されてもよい。そのように構成された接触部材であっても、接触部材1,101又は201と同様の効果が生じる。また、各部の寸法も、適宜変更されてもよい。また、導電性部材は、前述したシールド板,筐体等の他、当該接触部材が実装されるプリント配線基板とは別のプリント配線基板であってもよい。また、第1実施形態では、第1部分71が上下方向に傾斜することによって板バネ部7が全体として上下方向に傾斜しているが、第1部分71,第2部分72,第3部分73の全てが傾斜していてもよい。
【0047】
[4B]また、前記各実施形態では接触部5,105又は205はいずれも平板状に構成されているが、導電性部材と接触部との導通を妨げない程度の比較的小さい凸部を接触部の上面に設けてもよい。その場合、前述のいわゆるセルフクリーニングを一層効果的に行うことができる場合がある。また、第1実施形態と同様に接触部の回転がごく微小であれば、そのような凸部を設けたとしても、導電性部材表面を却って傷つけてしまうことは抑制される。
【0048】
[4C]前記各実施形態では、板バネ部をそれぞれ2つずつ設けているが、3つ以上設けてもよい。その場合、各板バネ部毎にハンダ接合部を設けてもよく、1つのハンダ接合部に複数の板バネ部を設けてもよい。更に、前記各実施形態においても、ハンダ接合部3又は203の前端同士又は後端同士又は前後両端を、帯状の板部で連結することにより、各ハンダ接合部が一体化されてもよい。
【0049】
[4D]また、切欠部75,76は省略されてもよい。但し、前記各板バネ部が、局所的に剛性を小さくしてその部分を弾性変形時の屈曲位置とするための切欠部を有している場合、各板バネ部の弾性変形時の屈曲位置を切欠部によって規定することができる。従って、その場合、接触部材の実装面積が大きくなる方向に各板バネ部が変形するのが一層良好に抑制され、当該接触部材の実装面積を一層良好に小さくすることができる。
【0050】
[4E]また、接触部は、円板状,三角板状,五角形状の多角形板状,その他異形の板状に構成されていてもよい。但し、第1実施形態のように、前記接触部が、矩形板状に構成され、前記各板バネ部は、前記矩形板の各辺に沿って設けられた帯状の板バネを連結した形状を有する場合、プレス加工によって製造するのが容易となる。
【0051】
また、前記接触部材は、複数の部品を組み合わせて構成されてもよい。但し、前記各実施形態のように、前記接触部材が1枚の金属の薄板を折り曲げて形成されたものである場合、接触部材の製造工程を簡略化して、その製造コストを一層低減することができる。
【0052】
[4F]前記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、前記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、前記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、前記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の前記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。