(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る身体変化評価装置10の外観図である。
図1に示すように、身体変化評価装置10は、測定部12、表示部14、及び操作部16を備えている。本実施形態に係る身体変化評価装置10は、一例として持ち運びに便利な携帯型の装置である。
【0018】
測定部12は、ユーザーから排出されるケトン体の濃度(以下、ケトン体濃度という)を測定する。ここで、ケトン体とは、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸(β−ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称であり、これらのうちの少なくとも一つを表す。
【0019】
本実施形態では、測定部12が、一例としてユーザーの呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明する。ユーザーは、吹き込み口18に呼気を吹き込むことにより、呼気中のアセトン濃度を測定することができる。なお、吹き込み口18は、呼気を収集しやすくするために、口で咥えることが可能なマウスピース型の形状としてもよいし、マスク型の形状としてもよい。
【0020】
表示部14は、例えば液晶パネル等で構成される。表示部14には、例えば各種設定画面、測定部12で測定されたアセトン濃度の測定結果、及び測定されたアセトン濃度に基づくアドバイス情報等の各種画面が表示される。また、表示部14をタッチパネルの機能を備えた構成とし、画面に直接タッチすることで操作が可能な構成としてもよい。
【0021】
操作部16は、複数の操作ボタンを含んで構成されており、
図1では一例として3個の操作ボタン16A〜16Cを備えた場合を示した。
【0022】
操作ボタン16Aは、一例として身体変化評価装置10の電源のオンオフ及び各種画面において決定の操作を行うためのボタンとして機能する。
【0023】
操作ボタン16Bは、一例として各種画面において情報を入力するためのボタンとして機能する。
【0024】
操作ボタン16Cは、一例として過去の測定結果等を読み出すことを指示するためのボタンとして機能する。
【0025】
図2には、身体変化評価装置10のブロック図を示した。
図2に示すように、身体変化評価装置10は、コントローラ20を備えている。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、不揮発性メモリ20D、及び入出力インターフェース(I/O)20Eがバス20Fを介して各々接続された構成となっている。この場合、後述する身体変化評価処理をコントローラ20のCPU20Aに実行させる身体変化評価プログラムを、例えば不揮発性メモリ20Dに書き込んでおき、これをCPU20Aが読み込んで実行する。なお、身体変化評価プログラムは、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供するようにしてもよく、図示しないサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0026】
I/O20Eには、測定部12、表示部14、操作部16、タイマ22、及び通信部24が接続されている。
【0027】
タイマ22は、現在時刻を取得する機能及び設定された時間を計時する計時機能を有する。
【0028】
通信部24は、外部装置と無線通信又は有線通信により情報の送受信を行う。本実施形態では、
図3に示すように、身体変化評価装置10に身体情報計測装置30が無線又は有線により接続された場合について説明する。なお、身体変化評価装置10及び身体情報計測装置30を一体化した装置としてもよい。
【0029】
身体情報計測装置30は、ユーザーの身体情報を計測する機能を有する。ここで、身体情報は、例えば体重情報及び体組成情報の少なくとも一つを含む。また、体組成情報は、例えば体脂肪、皮下脂肪、筋肉量等の体組成に関する情報のうち少なくとも一つを含むが、体組成情報はこれらに限られるものではない。
【0030】
身体変化評価装置10は、通信部24を介して身体情報計測装置30からユーザーの身体情報を取得することができる。
【0031】
次に、本実施形態の作用として、コントローラ20のCPU20Aにおいて実行される身体変化評価プログラムによる処理について、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図4に示す処理は、ユーザーが身体変化評価装置10の操作部16を操作して、身体変化評価プログラムの実行を指示した場合に実行される。
【0032】
ステップS100では、アセトン濃度の測定を行う。具体的には、まず、予め定めた時間(例えば10秒)の経過後にアセトン濃度の測定を開始する旨のメッセージを表示部14に表示すると共に、タイマ22に対して予め定めた時間を計時するよう指示する。
【0033】
そして、予め定めた時間が経過したことがタイマ22から通知された場合には、吹き込み口18から呼気を吹き込むよう指示する吹き込み開始メッセージを表示部14に表示すると共に、測定部12に対してアセトン濃度の測定を開始するよう指示する。ユーザーは、吹き込み開始メッセージが表示部14に表示されると、呼気を吹き込み口18に対して吹き込む。
【0034】
測定部12は、吹き込み口18に吹き込まれた呼気のアセトン濃度を測定してコントローラ20に出力する。また、測定したアセトン濃度は、タイマ22から取得した現在日時と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。
【0035】
ステップS102では、ステップS100で測定したアセトン濃度に基づいて脂質代謝を評価して、評価結果を表示部14へ表示する。
【0036】
脂質代謝の副産物であるアセトンのアセトン濃度は脂肪の燃焼量に相当すると考えられ、体内に糖質エネルギーが余っている場合には脂肪が燃焼されないためアセトン濃度は低くなり、体内に糖質エネルギーが足りなくなった場合には脂肪が燃焼されるためアセトン濃度は高くなる。このため、通常は、食事をして体内に糖質エネルギーが余っているとアセトン濃度は下降し始め、その後体内に糖質エネルギーが足りなくなるとアセトン濃度は上昇する。すなわち、アセトン濃度が高いほど脂質代謝が高いといえる。
【0037】
脂質代謝の評価は、例えば
図5に示すようなアセトン濃度と脂質代謝との対応関係を表したテーブルデータ40を用いて行う。
図5に示すテーブルデータ40は、例えば予め不揮発性メモリ20Dに記憶される。なお、脂質代謝の評価は、
図5に示したテーブルデータ40のようにアセトン濃度との単純対比によって評価しても良いし、ユーザーの体格及び年齢の少なくとも一方を加味して補正されたテーブルデータ40を用いて評価しても良い。また、現在のアセトン濃度だけでなく、過去のアセトン濃度の測定結果と比較して、アセトン濃度が上昇しているか下降しているかの相対評価を行っても良い。
【0038】
ステップS102では、ステップS100で測定したアセトン濃度に対応する脂質代謝を
図5のテーブルデータ40から求め、表示部14に表示する。なお、
図5の例では、脂質代謝が「低」、標準」、「高い」、「高すぎ」の4段階の場合を示したが、3段階以下でも良く、5段階以上であってもよい。
【0039】
ステップS104では、身体情報を計測するか否かを判断する。例えば、身体情報を計測して身体変化を評価するか否かを選択させるための選択画面を表示部14に表示し、ユーザーに身体情報を計測して身体変化を評価するか否かを選択させる。
【0040】
そして、身体情報を計測して身体変化を評価することをユーザーが選択した場合には、ステップS106へ移行し、身体情報を計測しないで身体変化を評価することをユーザーが選択した場合には、ステップS108へ移行する。
【0041】
ステップS106では、身体情報を身体情報計測装置30から取得する。具体的には、まず身体情報を計測するよう指示する指示画面を表示部14に表示し、ユーザーに身体情報計測装置30を用いて身体情報を取得するよう指示する。ここで、ユーザーは身体情報計測装置30により身体情報を計測する。身体情報計測装置30は、計測された身体情報を身体変化評価装置10へ送信する。これにより、身体変化評価装置10は、ユーザーの身体情報を取得する。取得した身体情報は、現在日時と共に不揮発性メモリ20Dに記憶する。なお、本実施形態では、体重及び体脂肪を計測し、計測したこれらの情報が身体情報として身体変化評価装置10へ送信された場合について説明する。
【0042】
一方、S108では、脂質代謝のみに基づいて、ユーザーの身体変化の評価に関するアドバイス情報を表示部14に表示する。具体的には、例えば
図6に示すような脂質代謝と身体変化の評価に関するアドバイス情報との対応関係を表したテーブルデータ50を用いて行う。
図6に示すテーブルデータ50は、例えば予め不揮発性メモリ20Dに記憶される。アドバイス情報は、現在の脂質代謝に対応して、例えば注意喚起したり今後どのような行動をとればよいかをアドバイスしたりする情報である。
【0043】
ステップS108では、ステップS102で求めたユーザーの脂質代謝に対応する身体変化の評価に関するアドバイス情報を
図6のテーブルデータ50から求め、表示部14に表示する。
【0044】
このように、ユーザーの呼気中に含まれるアセトン濃度を測定し、測定したアセトン濃度に基づいて身体変化の評価に関するアドバイス情報を表示するので、ユーザーは、アセトン濃度を測定するだけで容易に現在における身体変化の評価を得ることができ、自分の身体を理想的な組成及びプロポーションへと導く指針とすることができる。
【0045】
ステップS110では、体組成情報を含めて身体変化を総合評価するか否かを判断する。例えば、体組成情報を含めて身体変化を総合評価するか否かを選択させるための選択画面を表示部14に表示し、ユーザーに体組成情報を含めて身体変化を総合評価するか否かを選択させる。
【0046】
そして、体組成情報を含めて身体変化を総合評価することをユーザーが選択した場合には、ステップS112へ移行し、身体変化について体組成情報を含めて総合判定しないことをユーザーが選択した場合、すなわち、身体変化について体重情報のみを用いて判定することをユーザーが選択した場合には、ステップS114へ移行する。
【0047】
ステップS112では、体重情報、体組成情報、及び脂質代謝に基づいて、身体変化の評価に関するアドバイス情報を表示部14に表示する。具体的には、まず、過去に測定した体重を不揮発性メモリ20Dから読み出し、読み出した過去の体重と現在の体重との比較結果として差分、すなわち体重変化Δ(kg)を求める。なお、不揮発性メモリ20Dから読み出す過去の体重は、前回測定した体重でもよいし、1日前の体重でもよいし、1週間前の体重でもよく、どの程度過去の体重を読み出すかは予め定めておけばよい。また、本実施形態では、過去の体重と現在の体重との比較結果として差分を求めているが、比較結果を表すものとしては差分に限られるものではない。例えば、過去の体重に対する現在の体重の変化率を求めても良い。
【0048】
そして、
図7に示すような脂質代謝、体重変化、及び評価Noの対応関係を示すテーブルデータ60に基づいて、ステップS102で求めた脂質代謝及び本ステップで算出した体重変化Δに対応する評価Noを求める。なお、体重変化Δは、
図7の例では、「減少しすぎ」、「目標に対して適度な減少」、「変化なし」、「増加」の4つの変化レベルに分けられており、各変化レベルについて体重変化Δの範囲を予め定めておき、求めた体重変化Δに対応する変化レベルとステップS102で求めた脂質代謝とに基づいて評価Noを求める。また、
図7の例では、脂質代謝及び体重変化Δは各々4レベルとなっているので、評価Noは1〜16の値を取り得る。
【0049】
次に、求めた評価Noと、ステップS106で取得した体脂肪と、に基づいて、身体変化の評価に関するアドバイス情報を取得して表示部14に表示する。具体的には、まず、過去に測定した体脂肪を不揮発性メモリ20Dから読み出し、読み出した過去の体脂肪と現在の体脂肪とを比較し、体脂肪の変化方向が上昇方向であるか下降方向であるかを判定する。なお、不揮発性メモリ20Dから読み出す過去の体脂肪は、前回測定した体脂肪でもよいし、1日前の体脂肪でもよいし、1週間前の体脂肪でもよく、どの程度過去の体重を読み出すかは予め定めておけばよい。
【0050】
次に、
図8に示すようなテーブルデータ70に基づいて、本ステップで求めた評価No及び体脂肪の変化方向に対応するアドバイス情報を取得して表示部14に表示する。なお、
図8の「体脂肪↑」は、体脂肪の変化方向が上昇方向であることを表し、「体脂肪↓」は、体脂肪の変化方向が下降方向であることを表している。なお、過去の体脂肪と現在の体脂肪とが同じ場合には、体脂肪の変化方向を上昇方向としてもよいし下降方向としてもよく、予め定めた変化方向に含めればよい。
【0051】
このように、ユーザーの呼気中に含まれるアセトン濃度、体重、及び体脂肪を測定し、これらの測定結果に基づいて身体変化を総合評価し、この総合評価に関するアドバイス情報を表示する。これにより、ユーザーは、過去、現在、及び未来についての身体変化の評価を容易に得ることができ、自分の身体を理想的な組成及びプロポーションへと導く指針とすることができる。
【0052】
一方、ステップS114では、体重情報及び脂質代謝に基づいて、身体変化の評価に関するアドバイス情報を表示部14に表示する。具体的には、まず、ステップS112と同様に、まず体重変化Δ(kg)を求め、
図7に示すテーブルデータ60に基づいて、ステップS102で求めた脂質代謝及び本ステップで算出した体重変化Δに対応する評価Noを求める。
【0053】
次に、
図9に示すような、評価Noと身体変化の評価に関するアドバイス情報との対応関係を表すテーブルデータ80に基づいて、本ステップで求めた評価Noに対応する身体変化の評価に関するアドバイス情報を取得し、表示部14に表示する。
【0054】
このように、ユーザーの呼気中に含まれるアセトン濃度及び体重を測定し、これらの測定結果に基づいて身体変化の評価に関するアドバイス情報を表示する。これにより、ユーザーは、過去、現在、及び未来についての体変化の評価を容易に得ることができ、自分の身体を理想的な組成及びプロポーションへと導く指針とすることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、
図7のテーブルデータ60の縦軸を体重変化Δとした場合について説明したが、体脂肪Δ(mm)、皮下脂肪Δ(mm)等の他の体組成情報の変化量としてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、
図8のテーブルデータ60は、体脂肪の変化方向を用いているが、体重の変化方向でもよいし、皮下脂肪等の他の体組成の変化方向でもよい。
【0057】
すなわち、身体変化の評価を行う際に用いる体重情報及び体組成情報は、任意に組み合わせ可能である。
【0058】
また、本実施形態では、身体変化評価装置10に身体情報計測装置30を接続し、ユーザーの身体情報を身体情報計測装置30から取得する場合について説明したが、身体変化評価装置10に身体情報計測装置30を接続せずに、身体情報計測装置30により計測した身体情報をユーザーが身体変化評価装置10の操作部16を操作することにより直接入力するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、身体変化評価装置10が携帯型の専用装置の場合について説明したが、例えば
図10に示すように、パーソナルコンピュータ81に、測定部12を含む測定機器82及び身体情報計測装置30を有線又は無線により接続する構成としてもよい。この場合、パーソナルコンピュータ81は、測定機器82により測定されたアセトン濃度を取得すると共に、身体情報計測装置30により計測された身体情報を取得して
図4に示す処理を実行することにより、身体変化評価装置として機能する。
【0060】
また、測定機器82及び身体情報計測装置30を接続する機器は、パーソナルコンピュータに限らず、携帯電話、スマートフォン、及びタブレット端末等の携帯端末でもよい。また、これらの携帯端末に測定部12を内蔵した構成としてもよい。また、これらの携帯端末又は測定機器82と、身体情報計測装置30と、をサーバにネットワーク接続する構成としてもよい。この場合、サーバが身体変化評価装置として機能する。すなわち、携帯端末又は測定機器82は、測定したアセトン濃度及び身体情報をサーバに送信し、身体情報計測装置30は、計測した身体情報をサーバに送信する。そして、サーバは、携帯端末又は測定機器82から受信したアセトン濃度と、身体情報計測装置30から受信した身体情報と、に基づいて
図4に示す処理を実行し、結果を携帯端末又は測定機器82に送信する。これにより、測定機器82は、少なくともアセトン濃度を測定してサーバに送信する機能及びサーバから結果を受信して表示する機能を備えればよく、安価な構成とすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、測定部12が、呼気中のアセトンを検出するアセトン検出センサを備えた構成の場合について説明したが、これに限らず、ユーザーの皮膚、尿、唾液、及び汗等から排出されたケトン体を検出するケトン体検出センサを備えた構成としてもよい。