(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作受付装置は、前記荷役車両の走行方向を制御するステアリング装置と、前記荷役車両の走行速度を制御するアクセル装置と、荷役用の油圧機器を制御する油圧操作受付装置とを備え、
前記複数の操作には、前記ステアリング装置を操作するステアリング操作と、前記アクセル装置を操作するアクセル操作と、前記油圧操作受付装置を操作する油圧操作とが含まれ、
前記車両制御装置は、前記荷役車両を運転している前記オペレータが苦手とする前記苦手操作の順位と、前記状態判定装置により判定された前記オペレータの緊張状態とに基づいて、前記ステアリング操作、前記アクセル操作、および前記油圧操作から前記支援対象操作を決定し、当該支援対象操作に係る前記荷役車両の動作を前記支援制御モードで制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【発明の概要】
【0004】
ところで、手動操作によらずに自律して動作する荷役車両の普及により、オペレータが荷役車両を運転する機会が減少すると、そのオペレータの運転スキルが低下するおそれがあり、手動操作により荷役車両を運転する必要が生じたときに、荷役作業の作業効率が悪くなるおそれがある。また、荷役車両の運転経験等に応じてオペレータ毎に運転スキルは異なる。そのため、オペレータによる荷役車両の運転を段階的に支援することが求められる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、オペレータによる荷役車両の運転を段階的に支援することが可能な運転支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の運転支援システムは、オペレータによる荷役車両の運転を支援する運転支援システムであって、前記荷役車両に設けられ、当該荷役車両を動作させるための前記オペレータの操作を受け付け可能な操作受付装置と、前記荷役車両を運転している前記オペレータの生体情報を測定する生体情報測定装置と、前記生体情報測定装置による前記生体情報の測定結果に基づいて前記オペレータの
緊張状態を判定する状態判定装置と、複数の前記オペレータの各々について、前記操作受付装置を用いる複数の操作のうち前記オペレータが苦手とする苦手操作の順位を記憶する苦手順位記憶装置と、前記荷役車両を運転している前記オペレータを識別するオペレータ識別装置と、前記荷役車両の動作を制御する車両制御装置とを備え、前記車両制御装置は、前記状態判定装置により判定された前記オペレータの状態に応じて、前記操作受付装置で受け付けた操作に基づいて前記荷役車両を制御する通常制御モードと、前記操作受付装置で受け付けた操作によらずに前記荷役車両を制御する支援制御モードとに切り替わるように構成され、さらに、前記車両制御装置は、前記荷役車両を運転している前記オペレータが苦手とする前記苦手操作の順位と、前記状態判定装置により判定された前記オペレータの
緊張状態とに基づいて、前記複数の操作から支援すべき支援対象操作を決定し、当該支援対象操作に係る前記荷役車両の動作を前記支援制御モードで制御
し、前記車両制御装置は、前記オペレータの緊張状態が高まるにつれて、前記苦手操作の順位において上位に位置する操作から順に当該操作を前記支援対象操作に加えていくことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の運転支援システムは、請求項1に記載の運転支援システムにおいて、前記操作受付装置は、前記荷役車両の走行方向を制御するステアリング装置と、前記荷役車両の走行速度を制御するアクセル装置と、荷役用の油圧機器を制御する油圧操作受付装置とを備え、前記複数の操作には、前記ステアリング装置を操作するステアリング操作と、前記アクセル装置を操作するアクセル操作と、前記油圧操作受付装置を操作する油圧操作とが含まれ、前記車両制御装置は、前記荷役車両を運転している前記オペレータが苦手とする前記苦手操作の順位と、前記状態判定装置により判定された前記オペレータの
緊張状態とに基づいて、前記ステアリング操作、前記アクセル操作、および前記油圧操作から前記支援対象操作を決定し、前記支援制御モードにおいて当該支援対象操作に係る前記荷役車両の動作を制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の運転支援システムは、請求項1または2に記載の運転支援システムにおいて、前記荷役車両に搭乗していないサポータの操作を受け付け可能な遠隔操作受付装置を備え、前記車両制御装置は、前記遠隔操作受付装置で受け付けた操作に基づいて前記荷役車両の動作を制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の運転支援システムは、請求項1または2に記載の運転支援システムにおいて、前記オペレータの操作によらずに前記荷役車両を動作させるための自動運転プログラムが記憶されているプログラム記憶装置を備え、前記車両制御装置は、前記プログラム記憶装置に記憶されている前記自動運転プログラムに基づいて前記荷役車両の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の運転支援システムは、請求項1〜4のいずれか一項に記載の運転支援システムにおいて、前記生体情報測定装置は、前記生体情報として、前記オペレータの心拍数または脈拍数を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オペレータによる荷役車両の運転を段階的に支援することが可能な運転支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図面を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、運転支援システムSは、荷役車両1と、生体情報測定装置2と、カメラ3と、管理サーバ4と、サポート用端末装置5とを備えている。運転支援システムSは、オペレータWによる荷役車両1の運転を、荷役車両1に搭乗していないサポータVにより支援する。
【0014】
荷役車両1は、その荷役車両1に搭乗しているオペレータWまたはサポータVの手動操作により動作する有人運転モードと、手動操作によらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能に構成された有人無人兼用フォークリフトである。荷役車両1は、当該荷役車両1に搭乗するオペレータWからID情報の入力を受け付け、当該ID情報を管理サーバ4に送信する。
【0015】
生体情報測定装置2は、荷役車両1を運転しているオペレータWの生体情報を測定するウェアラブルデバイスであって、オペレータWの生体情報として所定時間当たりの脈拍数または心拍数を測定する。生体情報測定装置2は、当該生体情報測定装置2で測定したオペレータWの生体情報を、管理サーバ4に送信する。
【0016】
カメラ3は、オペレータWの頭部に設けられたヘッドマウントカメラであって、荷役車両1の前方(進行方向)を撮影する。カメラ3は、当該カメラ3で撮影した映像を、サポート用端末装置5に送信する。
【0017】
管理サーバ4は、荷役車両1、生体情報測定装置2、および、カメラ3と無線で通信可能に構成されている。管理サーバ4は、生体情報測定装置2による生体情報の測定結果に基づいて、オペレータWの状態を判定する状態判定装置として機能する。また、管理サーバ4は、複数のオペレータWの各々について、後述する操作受付装置11(
図2参照)を用いる複数の操作のうちオペレータWが苦手とする苦手操作の順位を記憶する苦手順位記憶装置として機能するとともに、荷役車両1を運転しているオペレータWを識別するオペレータ識別装置として機能する。さらに、管理サーバ4は、荷役車両1とサポート用端末装置5との通信、および、カメラ3とサポート用端末装置5との通信を中継する通信中継装置として機能する。
【0018】
本実施形態では、管理サーバ4は、オペレータWの脈拍数または心拍数に基づいて、オペレータWの状態が、所定の緊張状態(支援対象状態)であるか否かを判定するとともに、軽度、中程度、および重度のいずれの緊張状態であるかを判定する。管理サーバ4は、オペレータWの状態の判定結果を、荷役車両1およびサポート用端末装置5に送信する。また、管理サーバ4は、オペレータWが苦手とする苦手操作の順位として、後述するステアリング装置11A(
図2参照)を操作するステアリング操作、後述するアクセル装置11B(
図2参照)を操作するアクセル操作、および、後述する油圧操作受付装置11C(
図2参照)を操作する油圧操作の各順位を記憶する。管理サーバ4は、荷役車両1を運転し得る複数のオペレータW毎に苦手操作の順位を予め記憶している。さらに、管理サーバ4は、荷役車両1に入力されたオペレータWのID情報に基づいて、荷役車両1を運転し得る複数のオペレータWから、荷役車両1を運転しているオペレータW(すなわち生体情報測定装置2による生体情報の測定対象)を識別する。管理サーバ4は、荷役車両1を運転しているオペレータWが苦手とする苦手操作の順位を、荷役車両1およびサポート用端末装置5に送信する。
【0019】
サポート用端末装置5は、オペレータWに対するサポータVからのアドバイスを受け付けるアドバイス受付装置、荷役車両1を動作させるためのサポータVの操作を受け付け可能な遠隔操作受付装置、および、カメラ3で撮影された映像をサポータVに対して表示する映像表示装置として機能する。サポート用端末装置5は、管理サーバ4から送信されたオペレータWの状態の判定結果およびオペレータWが苦手とする苦手操作の順位を受信し、当該判定結果に応じてサポータVに荷役車両1の運転の支援を促す。
【0020】
本実施形態では、サポート用端末装置5は、オペレータWの状態が緊張状態であると判定されたとき、カメラ3で撮影された映像を表示し、荷役車両1の運転に係るアドバイスをサポータVに促し、当該アドバイスを荷役車両1に送信する。また、サポート用端末装置5は、オペレータWの状態に応じて、荷役車両1の動作を制御するための操作をサポータVに促し、当該操作に係る制御信号を荷役車両1に送信する。サポート用端末装置5は、荷役車両1の運転に係るアドバイスを、音声またはテキストの入力により受け付け可能に構成することができ、荷役車両1を動作させるための操作を、汎用または専用の入力装置により受け付け可能に構成することができる。
【0021】
図2に示すように、運転支援システムSは、荷役車両1を構成する要素として、操作受付装置11と、無線通信装置12と、アドバイス出力装置13と、車両制御装置14とを備えている。
【0022】
操作受付装置11は、荷役車両1に設けられ、荷役車両1を動作させるためのオペレータWの操作を受け付け可能に構成されている。操作受付装置11は、荷役車両1の走行方向を制御するステアリング装置11Aと、荷役車両1の走行速度を制御するアクセル装置11Bと、リフトシリンダ等の荷役用の油圧機器(図示略)を制御する油圧操作受付装置11Cとを備えている。
【0023】
無線通信装置12は、外部装置と無線で通信可能に構成されている。無線通信装置12は、管理サーバ4から送信されたオペレータWの状態の判定結果およびオペレータWが苦手とする苦手操作の順位、ならびに、サポート用端末装置5から送信されたアドバイスおよび制御信号を受信する。
【0024】
アドバイス出力装置13は、サポート用端末装置5で受け付けたアドバイスを、オペレータWに対して出力可能に構成されている。具体的には、アドバイス出力装置13は、無線通信装置12で受信したアドバイスを、音声または映像により出力する。また、アドバイス出力装置13は、管理サーバ4により判定されたオペレータWの状態に応じて、アドバイスを出力しない非出力モードと、アドバイスを出力する出力モードとに切り替わるように構成されている。具体的には、アドバイス出力装置13は、無線通信装置12で受信した判定結果に基づき、オペレータWの状態が緊張状態である場合は出力モードで動作し、オペレータWの状態が緊張状態でない場合は非出力モードで動作する。
【0025】
車両制御装置14は、荷役車両1の有人運転モードにおける通常時には、操作受付装置11で受け付けた操作に基づいて、荷役車両1の動作を制御する。具体的には、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器とを制御可能に構成されている。また、車両制御装置14は、管理サーバ4により判定されたオペレータWの状態に応じて、操作受付装置11で受け付けた操作に基づいて荷役車両1を制御する通常制御モードと、操作受付装置11で受け付けた操作によらずに荷役車両1を制御する支援制御モードとに切り替わるように構成されている。本実施形態では、車両制御装置14は、支援制御モードにおいて、サポート用端末装置5で受け付けた操作に基づいて荷役車両1を制御する。すなわち、車両制御装置14は、無線通信装置12で受信した制御信号に基づいて、荷役車両1の動作を制御する。
【0026】
さらに、車両制御装置14は、荷役車両1を運転しているオペレータWが苦手とする苦手操作の順位と、管理サーバ4により判定されたオペレータWの状態とに基づいて、操作受付装置11を用いる複数の操作から支援すべき支援対象操作を決定し、その支援対象操作に係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御する。すなわち、車両制御装置14は、オペレータWの苦手操作の順位とオペレータWの状態とに基づいて、支援制御モードでの制御可能な範囲が変化するように構成されている。具体的には、操作受付装置11を用いる複数の操作A〜C(ステアリング操作、アクセル操作、および、油圧操作)について、荷役車両1を運転しているオペレータWの苦手操作の順位を、操作A、操作B、操作Cとしたとき、オペレータWの状態が軽度の緊張状態と判定された場合は、操作Aを支援対象操作として決定し、オペレータWの状態が中程度の緊張状態と判定された場合は、操作A,Bを支援対象操作として決定し、オペレータWの状態が重度の緊張状態と判定された場合は、操作A〜Cを支援対象操作として決定する。したがって、無線通信装置12で受信した判定結果に基づき、オペレータWの状態が緊張状態でない場合は、オペレータWが1番目に苦手とする操作Aに係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御し、オペレータWの状態が軽度および中程度および重度の緊張状態である場合は、操作Aに係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御する。また、車両制御装置14は、無線通信装置12で受信した判定結果に基づき、オペレータWの状態が緊張状態でない場合および軽度の緊張状態である場合は、オペレータWが2番目に苦手とする操作Bに係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御し、オペレータWの状態が中程度および重度の緊張状態である場合は、操作Bに係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御する。また、車両制御装置14は、無線通信装置12で受信した判定結果に基づき、オペレータWの状態が緊張状態でない場合ならびに軽度および中程度の緊張状態である場合は、オペレータWが3番目に苦手とする操作Cに係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御し、オペレータWの状態が重度の緊張状態である場合は、操作Cに係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御する。
【0027】
図3を参照して、荷役車両1の運転を支援する際の流れを説明する。なお、
図3に示すフローチャートの開始時において、アドバイス出力装置13は、非出力モードで動作し、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器とを通常制御モードで制御していることを前提とする。さらに、管理サーバ4は、荷役車両1を運転しているオペレータWが苦手とする苦手操作の順位として、「1番:ステアリング操作、2番:アクセル操作、3番:油圧操作」を記憶していることを前提とする。
【0028】
まず、管理サーバ4が、荷役車両1を運転しているオペレータWを識別し(ステップS1)、生体情報測定装置2が、荷役車両1を運転しているオペレータWの生体情報(脈拍数または心拍数)を測定する(ステップS2)。
【0029】
次いで、管理サーバ4が、ステップS2における生体情報の測定結果に基づいて、オペレータWの状態が緊張状態(支援対象状態)であるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、例えば、管理サーバ4は、オペレータWの平常時の脈拍数または心拍数(BPM)が65であるとき、ステップS2で測定されたオペレータWの脈拍数または心拍数が、80よりも小さい場合はオペレータWの状態が緊張状態でないと判定し、80よりも大きい場合はオペレータWの状態が緊張状態であると判定する。
【0030】
オペレータWの状態が緊張状態でないとステップS3で判定された場合は、オペレータWが荷役車両1の運転を苦手としていない蓋然性が高いため、荷役車両1の運転を支援せず、車両制御装置14は、ステアリング操作およびアクセル操作および油圧操作に係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御する。すなわち、アドバイス出力装置13は、非出力モードで動作し、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器とを通常制御モードで制御する。
【0031】
一方、オペレータWの状態が緊張状態であるとステップS3で判定された場合は、アドバイス出力装置13を非出力モードから出力モードに切り替え、アドバイス出力装置13がサポータVからのアドバイスを出力可能な状態とする(ステップS4)。こうして、オペレータWの状態が緊張状態であるときは、サポータVは、オペレータWに対して荷役車両1の運転に係るアドバイスを行うことで、荷役車両1の運転を支援する。
【0032】
さらに、オペレータWの状態が緊張状態であるとステップS3で判定された場合は、管理サーバ4が、ステップS2における生体情報の測定結果に基づいて、オペレータWの状態が軽度の緊張状態であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、例えば、管理サーバ4は、オペレータWの平常時の脈拍数または心拍数(BPM)が65であるとき、ステップS2で測定されたオペレータWの脈拍数または心拍数が、80よりも大きく90よりも小さい場合は、オペレータWの状態が軽度の緊張状態であると判定し、90よりも大きい場合は、オペレータWの状態が軽度の緊張状態でないと判定する。
【0033】
オペレータWの状態が軽度の緊張状態であるとステップS5で判定された場合は、車両制御装置14は、ステップS1で識別されたオペレータWが1番目に苦手とする操作Aを支援対象操作として決定し、操作Aに係る荷役車両1の動作の制御を、通常制御モードから支援制御モードに切り替える(ステップS6)。具体的には、オペレータWの状態が軽度の緊張状態であると判定されたとき、車両制御装置14は、ステアリング操作に係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御し、アクセル操作および油圧操作に係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御する。すなわち、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向を支援制御モードで制御し、荷役車両1の走行速度および荷役用の油圧機器を通常制御モードで制御する。こうして、オペレータWの状態が軽度の緊張状態であるときは、サポータVは、オペレータWに代わって荷役車両1の走行方向を制御するための操作を行うことで、荷役車両1の運転を支援する。
【0034】
一方、オペレータWの状態が軽度の緊張状態でないとステップS5で判定された場合は、管理サーバ4が、ステップS2における生体情報の測定結果に基づいて、オペレータWの状態が重度の緊張状態であるか中程度の緊張状態であるかを判定する(ステップS7)。具体的には、例えば、管理サーバ4は、オペレータWの平常時の脈拍数または心拍数(BPM)が65であるとき、ステップS2で測定されたオペレータWの脈拍数または心拍数が、90よりも大きく100よりも小さい場合は、オペレータWの状態が中程度の緊張状態であると判定し、100よりも大きい場合は、オペレータWの状態が重度の緊張状態であると判定する。
【0035】
オペレータWの状態が中程度の緊張状態であるとステップS7で判定された場合は、車両制御装置14は、ステップS1で識別されたオペレータWが1番目および2番目に苦手とする操作A,Bを支援対象操作として決定し、操作A,Bに係る荷役車両1の動作の制御を、通常制御モードから支援制御モードに切り替える(ステップS8)。具体的には、オペレータWの状態が中程度の緊張状態であると判定されたとき、車両制御装置14は、ステアリング操作およびアクセル操作に係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御し、油圧操作に係る荷役車両1の動作を通常制御モードで制御する。すなわち、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度を支援制御モードで制御し、荷役用の油圧機器を通常制御モードで制御する。こうして、オペレータWの状態が中程度の緊張状態であるときは、サポータVは、オペレータWに代わって荷役車両1の走行方向および走行速度を制御するための操作を行うことで、荷役車両1の運転を支援する。
【0036】
一方、オペレータWの状態が重度の緊張状態であるとステップS7で判定された場合は、車両制御装置14は、ステップS1で識別されたオペレータWが1番目〜3番目に苦手とする操作A〜Cを支援対象操作として決定し、操作A〜Cに係る荷役車両1の動作の制御を、通常制御モードから支援制御モードに切り替える(ステップS9)。具体的には、オペレータWの状態が重度の緊張状態であると判定されたとき、車両制御装置14は、ステアリング操作およびアクセル操作および油圧操作に係る荷役車両1の動作を支援制御モードで制御する。すなわち、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器を支援制御モードで制御する。こうして、オペレータWの状態が重度の緊張状態であるときは、サポータVは、オペレータWに代わって荷役車両1の走行方向および走行速度と油圧機器とを制御するための操作を行うことで、荷役車両1の運転を支援する。
【0037】
上記実施形態では以下の効果が得られる。
(1)車両制御装置14が、オペレータWの生体情報に基づいて判定されたオペレータWの状態に応じて、通常制御モードから支援制御モードに切り替わることにより、サポータVは、オペレータWに代わって荷役車両1を動作させるための操作を行って、荷役車両1の運転を支援することができる。また、車両制御装置14が、荷役車両1を運転しているオペレータWが苦手とする苦手操作の順位と、オペレータWの生体情報から判定されたオペレータWの状態に基づいて、支援すべき支援対象操作を決定して当該支援対象操作を支援制御モードで制御することで、オペレータWの運転スキルに応じて、荷役車両1の運転を段階的に支援することが可能である。
【0038】
(2)車両制御装置14は、前記通常制御モードおよび前記支援制御モードにおいて、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器とを制御可能に構成されている。このため、車両制御装置14が、荷役車両1の走行方向を支援制御モードで制御する場合には、オペレータWによるステアリング装置11Aの操作を不要とすることができ、荷役車両1の走行速度を支援制御モードで制御する場合には、オペレータWによるアクセル装置11Bの操作を不要とすることができ、荷役用の油圧機器を支援制御モードで制御する場合には、オペレータWによる油圧操作受付装置11Cの操作を不要とすることができる。
【0039】
(3)生体情報測定装置2は、オペレータWの生体情報として、オペレータWの心拍数または脈拍数を測定する。このため、生体情報測定装置2として、装着容易な脈拍計または心拍計を採用することができる。
【0040】
(4)運転支援システムSは、オペレータWに設けられ、荷役車両1の前方を撮影可能なカメラ3を備え、サポート用端末装置5は、カメラ3で撮影された映像をサポータVに対して表示する。このため、サポータVは、オペレータWの視点に近い位置から荷役車両1の前方を参照して、荷役車両1の運転を支援することができる。
【0041】
(5)アドバイス出力装置13が、オペレータWの生体情報に基づいて判定されたオペレータWの状態に応じて、非出力モードから出力モードに切り替わることにより、サポータVは、オペレータWに対するアドバイスを行って、荷役車両1の運転を支援することができる。
【0042】
(6)アドバイス受付装置(サポート用端末装置5)は遠隔操作受付装置を兼ねている。このため、アドバイス受付装置と遠隔操作受付装置とを異なるハードウェアにより構成する場合に比べて、運転支援システムSを簡素化することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、第1実施形態との相違点について詳しく説明する。
【0044】
管理サーバ4は、操作受付装置11で受け付けた操作によらずに荷役車両1を動作させるための自動運転プログラムが記憶されているプログラム記憶装置として機能する。管理サーバ4は、オペレータWの状態が緊張状態であると判定されたとき、自動運転プログラムを荷役車両1に送信する。また、サポート用端末装置5は、荷役車両1を動作させるためのサポータVの操作を受け付けない。
【0045】
無線通信装置12は、管理サーバ4から送信されたオペレータWの状態の判定結果および自動運転プログラムを受信する。車両制御装置14は、支援制御モードにおいて、管理サーバ4に記憶されている自動運転プログラムに基づいて荷役車両1を制御する。すなわち、車両制御装置14は、無線通信装置12で受信した自動運転プログラムに基づいて、荷役車両1の動作を制御する。
【0046】
以上のような構成により、本実施形態においては、オペレータWの状態が軽度および中程度および重度の緊張状態であるときは、自動運転プログラムに基づいて荷役車両1の走行方向、荷役車両1の走行速度、および、油圧機器の1つ以上を制御することで、荷役車両1の運転を支援する。
【0047】
上記実施形態では以下の効果が得られる。
(7)車両制御装置14が、オペレータWの生体情報に基づいて判定されたオペレータWの状態に応じて、通常制御モードから支援制御モードに切り替わることにより、自動運転プログラムに基づいて荷役車両1の動作が制御され、荷役車両1の運転を支援することができる。また、車両制御装置14が、荷役車両1を運転しているオペレータWが苦手とする苦手操作の順位と、オペレータWの生体情報から判定されたオペレータWの状態に基づいて、支援すべき支援対象操作を決定して当該支援対象操作を支援制御モードで制御することで、上記(1)の効果が得られる。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0049】
・オペレータWの状態の判定方法を適宜変更してもよい。例えば、管理サーバ4が、所定時間当たりの脈拍数または心拍数の変化量または変化率に基づいて、オペレータWの状態を判定してもよい。
【0050】
・オペレータWの状態に応じた運転の支援方法を適宜変更してもよい。例えば、ステップS6を省略することで、オペレータWの状態が軽度の緊張状態であると判定されたとき、車両制御装置14は、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器とを通常制御モードで制御してもよい。すなわち、例えば、オペレータWの状態が中程度および重度の緊張状態であると判定されたときのみ、サポータVの操作または自動運転プラグラムにより荷役車両1の運転が支援されるように構成してもよい。
【0051】
・カメラ3は、荷役車両1の前方を撮影可能なカメラであれば、配置場所等を適宜変更してもよい。例えば、カメラ3は、荷役車両1のヘッドガードに設けられた全方位カメラであってもよい。
【0052】
・車両制御装置14が、荷役車両1の走行方向および走行速度と荷役用の油圧機器を支援制御モードで制御するとき、オペレータWに対するアドバイスは不要として、アドバイス出力装置13が出力モードから非出力モードに切り替わってもよい。
【0053】
・管理サーバ4に、自動運転プログラムが記憶されていなくてもよい。すなわち、例えば、運転支援システムSは、荷役車両1の構成要素として、自動運転プログラムが記憶されているプログラム記憶装置を備えていてもよい。
【0054】
・オペレータWの生体情報として、オペレータWの発汗量または顔色等を測定してもよい。すなわち、生体情報測定装置2によって測定されるオペレータWの生体情報は、発汗量、顔色、これらの組み合わせ、または、これらの1つ以上と心拍数もしくは脈拍数との組み合わせであってもよい。また、生体情報の測定結果に基づいて、管理サーバ4が、オペレータWの疲労状態または健康状態を判定してもよい。すなわち、状態判定装置は、オペレータWの疲労状態、健康状態、これらの組み合わせ、または、これらの1つ以上と緊張状態との組み合わせを判定する構成であってもよい。