(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記全体通行料決定部は、前記課金対象道路に含まれる各道路区間の区間通行料を積算した額から、前記課金対象道路を1つの道路区間としたときに適用される割引額または割引率に応じた額を差し引いた額を、前記全体通行料として決定する請求項1に記載の料金収受システム。
前記全体通行料決定部は、前記通行情報に基づき、前記車両が走行した全ての前記道路区間の区間通行料に基づき得られる基本通行料から、前記課金対象道路の距離に応じた割引額または割引率に応じた額を差し引いて、前記全体通行料を決定する請求項1または2に記載の料金収受システム。
前記全体通行料決定部は、前記基本通行料を算出するとき、前記課金対象道路に複数の道路区間が含まれる場合であっても、前記基本通行料に含まれる初乗り料金は1つだけとする請求項3に記載の料金収受システム。
前記全体通行料決定部は、前記通行情報に基づき、前記課金対象道路に含まれる経由地に関わらず前記有料道路に進入する際に通過した入口料金所に応じて予め決められている通行料を、前記全体通行料として決定する請求項1または2に記載の料金収受システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係る料金収受システム1の一例を示す。
図1は、本発明の一実施形態に係る料金収受システム1の一例を示す概略図である。
【0016】
(全体構成)
図1に示す通り、料金収受システム1は、車線制御装置10と、データ処理装置20と、管理サーバ30と、車線制御装置50と、データ処理装置60とを備える。実施形態において、車線制御装置10およびデータ処理装置20は、入口料金所に設置され、車線制御装置50およびデータ処理装置60は、出口料金所に設置される。複数の車線制御装置10は、それぞれ、入口料金所の各車線の路側に設けられる。複数の車線制御装置10は、例えばLAN(Local Area Network)等を介して、データ処理装置60と通信可能に接続される。複数の車線制御装置50は、それぞれ、出口料金所の各車線の路側に設ける。複数の車線制御装置50は、例えばLAN等を介して、データ処理装置60と通信可能に接続される。データ処理装置20およびデータ処理装置60は、例えば広域ネットワークを介して管理サーバ30と通信可能に接続される。
【0017】
車線制御装置10および車線制御装置50は、ドライバーが所持するICカードからカード情報を取得した、取得したカード情報等に基づき、有料道路の料金を収受する料金収受装置である。なお、料金収受システム1は、これに限られず、料金収受機を車線制御装置10および車線制御装置50とは別装置で備える構成であってもよい。この場合、車線制御装置10および車線制御装置50は、接続される料金収受装置を制御して、料金を収受してもよい。
車線制御装置10および車線制御装置50は、電子式料金収受システム(以下、自動料金収受システムともいう)を利用して、料金を収受する。この電子式料金収受システムは、ETC(登録商標、Electronic Toll Collection system)システムといわれるシステムである。車線制御装置10および車線制御装置50は、例えば、路側に設けられた路側アンテナを介して、走行中の車両に搭載された通信機器によりICカードから読み取られたカード情報を通信機器から受信して、料金を収受する。なお、車線制御装置10および車線制御装置50は、これに限られず、ICカードリーダーを介してICカードから読み取られたカード情報等に基づき、料金を収受してもよい。
【0018】
なお、図示の例では、説明簡略化のため、データ処理装置20およびデータ処理装置60は1つであるが、これに限られない。料金収受システム1は、有料道路に含まれる複数の入口料金所に設けられる複数のデータ処理装置20と、有料道路に含まれる複数の出口料金所に設けられる複数のデータ処理装置60とを備える。
【0019】
(入口料金所の車線制御装置10の構成について)
次に、
図2を参照して、入口料金所に設置される車線制御装置10の構成について説明する。
図2は、入口料金所に設置される車線制御装置10の構成例を示す図である。
車線制御装置10は、アンテナ通信部11と、ネットワーク通信部12と、制御部13と、記憶部14とを備える。
アンテナ通信部11は、路側に設けられた路側アンテナと通信可能に接続される。路側アンテナは、走行する車両に搭載される通信機器と無線通信を行い、通信機器がICカードから読み取ったカード情報を受信する。アンテナ通信部11は、路側アンテナが受信したカード情報を受信し、制御部13に出力する。
ネットワーク通信部12は、データ処理装置20と通信可能に接続される。ネットワーク通信部12は、例えば、データ処理装置20から、ICカードに記憶されているカード情報を引き継ぐか否かを判定するためのデータ(以下、引継判定データ)を受信し、記憶部14に書き込む。
記憶部14には、引継判定データと、車線制御装置10が設置される料金所の料金所番号とが格納されている。料金所番号とは、各料金所に割り当てられる固有の識別情報である。
【0020】
実施形態において、引継判定データには、カード情報を引き継ぐ入口料金所(以下、引継入口という。)であるか否かを示す情報が含まれる。また、引継判定データには、カード情報を引き継ぐ出口料金所(以下、引継出口という)であるか否かを示す情報と、引継出口を退出してから引継入口に進入するまでの許容時間を示す情報とが含まれる。例えば、有料道路R10と有料道路R20とがまだつながっていない場合、引継判定データとして、有料道路R10の最後の出口料金所の料金所番号と、有料道路R20の最初の入口料金所の料金所番号と、許容時間とが規定されている。道路がまだつながっていないため、有料道路R10から有料道路R20に乗り換える場合、有料道路を降りなければならない。このような場合であっても、引継判定データを用いてカード情報を引き継ぐことにより、有料道路R10と有料道路R20とを1つの道路として扱うことができる。
【0021】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、車線制御装置10を統括的に制御する。車線制御装置10は、CPUである制御部13がプログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部131と、引継判定部132と、リセット処理部133とを備える。これら機能部の一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア機能部であってもよい。
【0022】
情報取得部131は、入口料金所を通過する車両から、ICカードから読み出したカード情報を取得する。実施形態において、情報取得部131は、アンテナ通信部11を介して、車両に搭載されたICカードから読み取られたカード情報を取得する。なお、情報取得部131は、車両に搭載された通信機器がネットワークを介してデータ処理装置20または管理サーバ30に送信したカード情報を、ネットワーク通信部12を介してデータ処理装置20または管理サーバ30から取得してもよい。また、情報取得部131は、車線制御装置10が備えるカードリーダ(図示せず)を介してICカードから読み取ったカード情報を取得してもよい。
【0023】
引継判定部132は、情報取得部131が取得したカード情報に基づき、引継判定データを参照して、カード情報を引き継ぐか否かを判定する。引継判定部132は、例えば、記憶部14を参照して、引継判定データの引継入口の料金所番号として、自車線制御装置10の料金所番号が記憶されているか否かを判定する。自車線制御装置10の料金所番号が記憶されている場合、引継判定部132は、情報取得部131が取得したカード情報に、引継判定データの引継出口の料金所番号が記憶されているか否かを判定する。引継判定データの引継出口の料金所番号が記憶されている場合、引継判定部132は、情報取得部131が取得したカード情報に記載されている引継出口を通過した時刻から経過時間が、引継判定データの許容時間内であるか否かを判定する。引継判定データの許容時間内である場合、引継判定部132は、カード情報を引き継ぐと判定し、カード情報を更新しない。一方、カード情報を引き継ぐと判定しない場合、引継判定部132は、カード情報をリセットすると判定し、カード情報のリセットをリセット処理部133に対して指示する。
【0024】
リセット処理部133は、引継判定部132によりカード情報をリセットすると判定された場合、自車線制御装置10に割り当てられた料金所番号を記憶部14から読み出し、アンテナ通信部11を介して車両の通信装置に送信し、読み出した料金所番号を入口料金所番号としてICカードに書き込むよう指示する。
【0025】
次に、
図3を参照して、ICカードに記憶される情報の一例について説明する。
図3は、ICカードに記憶される情報の一例について説明するための図である。
ICカードの記憶領域には、入口情報と、経路情報とが記憶される。入口情報とは、有料道路に進入する際に通過した入口料金所に関する情報である。経路情報とは、車両が通過した経路に関する情報である。実施形態において、入口情報には、入口料金所の料金所番号と、入口料金所を通過した入場日時(年月日時分)を示す情報とが含まれる。経路情報には、車両が通過した経由ポイントの数(以下、経由ポイント通過数という。)と、車両が通過した経由ポイントに割り当てられた識別情報(以下、経由ポイント番号という。)とが含まれる。
【0026】
(出口料金所の車線制御装置50の構成について)
次に、
図4を参照して、出口料金所に設置される車線制御装置50の構成について説明する。
図4は、出口料金所に設置される車線制御装置50の構成例を示す図である。
車線制御装置50は、アンテナ通信部51と、ネットワーク通信部52と、制御部53と、記憶部54とを備える。
アンテナ通信部51は、路側に設けられた路側アンテナと通信可能に接続される。路側アンテナは、走行する車両に搭載される通信機器と無線通信を行い、通信機器がICカードから読み取ったカード情報を受信する。アンテナ通信部51は、路側アンテナが受信したカード情報を受信し、制御部53に出力する。
ネットワーク通信部52は、データ処理装置60と通信可能に接続される。ネットワーク通信部52は、例えば、データ処理装置60から、料金を収受するためのデータを受信し、記憶部54に記憶させる。ネットワーク通信部52は、制御部53により生成された有料道路の料金明細情報を、データ処理装置60に送信する。
記憶部54には、料金を収受するためのデータと、車線制御装置10が設置される料金所の料金所番号とが格納されている。記憶部54には、料金を収受するためのデータとして、基本通行料テーブルと、経路割引パラメータテーブルと、経路割引テーブルとが格納されている。
【0027】
ここで、
図5〜7を参照して、各テーブルの一例について説明する。
図5は、基本通行料テーブルの一例を示す図である。
図示の通り、基本通行料テーブルには、入口料金所の料金所番号に応じた基本通行料が規定されている。基本通行料は、車種と支払形態とに応じて予め決められている。図示の例では、車種1〜6までの基本通行料について、カード支払いであるか、または現金支払いであるかに応じて、それぞれ2種類の基本通行料が書き込まれている。なお、車種1〜6には、軽自動車、普通車、大型車・・・等が含まれる。カード支払いとは、ICカードに紐づけられた個人情報に基づき、電子マネーまたはクレジットカードにより支払う支払形態である。現金支払いとは、出口料金所の車線制御装置50に対して投入された現金により支払う支払形態である。
【0028】
図6は、経路割引パラメータテーブルの一例を示す図である。
図示のとおり、経路割引パラメータテーブルには、有効車種と、割引開始と、割引終了と、検索対象条件フラグと、検索対象詳細時間と、カレンダ検索条件とが対応付けられている。
有効車種の項目には、対応する経路割引の適用対象となる車種であるか否かを示す情報が書き込まれる。適用対象となる車種には、フラグが立てられている。
割引開始の項目には、対応する経路割引の開始時期(例えば、年月日)を示す情報が書き込まれる。
割引終了の項目には、対応する経路割引の終了時期(例えば、年月日)を示す情報が書き込まれる。
検索対象条件フラグの項目には、予め決められた割引適用条件のうちどれを適用するか否かを示す情報である。割引適用条件としては、例えば、入口料金所を通過する時間帯、出口料金所を通過する時間帯、および、有料道路を通過した時刻のうち少なくとも1つが設定される。割引適用条件となる項目には、フラグが立てられている。
検索対象詳細時間の項目には、割引適用条件の内容を示す情報である。
カレンダ検索条件の項目には、対応する経路割引が適用される曜日を示す情報が書き込まれる。
【0029】
図7は、経路割引テーブルの一例を示す図である。
図示のとおり、経路割引テーブルには、経由ポイント通過数と、経由ポイント番号と、車種に応じた割引額または割引率とが対応付けられている。
経由ポイント通過数の項目には、対応する経路割引を適用する条件として、車両が通過する経由ポイントの数を示す情報が書き込まれる。
経由ポイント番号の項目には、対応する経路割引を適用する条件として、車両が通過する経由ポイントを示す情報が書き込まれる。経由ポイント番号の項目には、最大10個の経由ポイント番号が書き込まれる。これは、ICカードに書き込める最大数と同じである。
車種に応じた割引額または割引率の項目には、車種に応じて予め決められている割引額または割引率が対応付けられている。
【0030】
制御部53は、例えばCPUであって、車線制御装置50を統括的に制御する。車線制御装置50は、CPUである制御部53がプログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部531と、基本通行料決定部532と、割引決定部533と、収受金額決定部534と、収受処理部535と、料金明細作成部536とを備える。これら機能部の一部又は全部は、LSIやASICなどのハードウェア機能部であってもよい。
【0031】
情報取得部531は、出口料金所を通過する車両から、入口情報と経路情報とを取得する。実施形態において、情報取得部531は、アンテナ通信部51を介して、車両に搭載されたICカードから読み取られた入口情報と経路情報とを取得する。なお、情報取得部531は、車両に搭載された通信機器がネットワークを介してデータ処理装置60または管理サーバ30に送信した入口情報および経路情報を、ネットワーク通信部52を介してデータ処理装置60または管理サーバ30から取得してもよい。また、情報取得部531は、車線制御装置50が備えるカードリーダ(図示せず)を介してICカードから読み取った入口情報および経路情報を取得してもよい。
【0032】
基本通行料決定部532は、情報取得部531により取得された入口情報に基づき、“車両が有料道路に進入する際に通過した入口料金所”から“車両が有料道路から退出する際に通過した出口料金所”までの道路(以下、課金対象道路という。)に対応する基本通行料を決定する。ここで、“車両が有料道路に進入する際に通過した入口料金所”は、引継入口以外の入口料金所であり、“車両が有料道路から退出する際に通過した出口料金所”は、引継出口以外の出口料金所である。課金対象道路は、単に通過した料金所(つまり、引継入口または引継出口の料金所)を始点および終点とする道路ではない。
課金対象道路において、道路事業者および料金形態のうち少なくとも1つが異なる複数の道路区間が含まれている場合、基本通行料決定部532は、各道路区間に応じた区間通行料をそれぞれ求めて、各区間通行料を積算した額を、課金対象道路の基本通行料と決定する。
【0033】
割引決定部533は、情報取得部531により取得された経路情報に基づき、車両が通過した経路に応じた割引額または割引率を決定する。実施形態において、割引決定部533は、記憶部54の経路割引パラメータテーブルを参照して、車両が有料道路を走行した時刻、日付、および曜日のうち少なくとも1つが、予め決められた割引条件を満たすか否かを判定する。割引適用条件を満たすと判定した場合、割引決定部533は、記憶部54の経路割引テーブルを参照して、経路情報が示す経路に応じた割引額または割引率を決定する。
【0034】
収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本通行料と、割引決定部533により決定された割引額または割引率とに基づき、自車線制御装置55が設置される出口料金所における収受金額を決定する。
【0035】
収受処理部535は、収受金額決定部534により決定された収受金額を収受する。収受処理部535は、電子マネーまたはクレジットカードにより収受金額を収受してもよく、現金により収受してもよい。
【0036】
料金明細作成部536は、収受された収受金額等の料金明細を示す料金明細情報を作成し、ネットワーク通信部52を介して、データ処理装置60に送信する。料金明細情報には、収受金額を収受したICカードの識別情報、収受金額を収受した年月日と時刻、基本通行料の算出に用いられた入口料金所番号、経路割引が適用されたか否かを示す情報、経路割引金額、および、割引額等の算出に用いられた経由ポイント番号等が含まれている。
また、料金明細作成部536は、勤務中に経路割引を実施した車両の件数を累積して、勤務終了時に、累積した件数を、データ処理装置60を介して、管理サーバ30に送信してもよい。
【0037】
(経路割引を適用した走行例について)
次に、
図8を参照して、経路割引を適用した走行例について説明する。
図8は、経路割引を適用した走行例を説明するための参考図である。
図示において、「○」は料金所である。各料金所には、入口と出口があり、入口を入口料金所、出口を出口料金所という。各料金所には、料金所番号が割り当てられている。
図示において、「◇」は、予め決められた経由ポイントである。経由ポイントには、例えばFFアンテナ等の路側無線設備が設置される。路側無線設備には、経由ポイント番号が割り当てられている。路側無線設備は、通信エリアに進入した車両の通信機器に対して、割り当てられた経由ポイント番号を示す情報を送信する。
【0038】
図示の例において、有料道路は、本線R1と、本線R1から分岐する迂回路R2と、迂回路R2から分岐する迂回路R3とを含む。本線R1上には、料金所番号「01−101」「01−102」「01−103」「01−104」「01−105」「01−106」が割り当てられた料金所が、この順番に並んでいる。本線R1から迂回路R2に分岐する分岐点は、料金所番号「01−102」と料金所番号「01−103」との間にある。迂回路R2から本線R1に合流する合流点は、料金所番号「01−104」と料金所番号「01−105」と間にある。
【0039】
迂回路R2上には、経由ポイント番号「99−901」が割り当てられた経由ポイントと、料金所番号「01−107」が割り当てられた料金所とがある。経由ポイント番号「99−901」が割り当てられた経由ポイントは、本線R1から迂回路R2への分岐点と、料金所番号「01−107」の料金所との間に設けられている。迂回路R2から迂回路R3に分岐する分岐点は、経由ポイント番号「99−901」と料金所番号「01−107」との間にある。迂回路R3から迂回路R2に合流する合流点は、料金所番号「01−107」と、迂回路R2から本線R1への合流点との間にある。
迂回路R3上には、経由ポイント番号「99−902」が割り当てられた経由ポイントと、料金所番号「01−108」が割り当てられた料金所とがある。経由ポイント番号「99−902」が割り当てられた経由ポイントは、迂回路R2から迂回路R3への分岐点と、料金所番号「01−108」の料金所との間に設けられている。
【0040】
本線R1上の料金所番号「01−101」から「01−103」の間の道路区間と、本線R1上の料金所番号「01−104」から「01−105」の間の道路区間と、料金所番号「01−107」を通過する迂回路R2の道路区間と、料金所番号「01−108」を通過する迂回路R3の道路区間とは、道路事業者Aが提供する道路であって、料金形態が対距離の区間である。
本線R1において、料金所番号「01−103」から「01−104」の間の道路区間は、道路事業者Aが提供する道路であって、料金形態が均一の区間である。
本線R1において、料金所番号「01−105」から「01−106」の間の道路区間は、道路事業者Bが提供する道路である。
【0041】
車両X1が、料金所番号「01−101」の入口料金所から進入し、本線R1から迂回路R2を通過して再び本線R1に戻り、料金所番号「01−106」の出口料金所で退出したとする。車両X1は、ICカードが挿入された車載器を搭載している。
車両X1が料金所番号「01−101」の入口料金所を通過すると、ICカードには、入口料金所番号として「01−101」が書き込まれる。ここで、経路情報には、初期値が書き込まれている。
車両X1が料金所番号「01−102」を通過して迂回路R2に進入し経由ポイントを通過すると、ICカードには、経路情報として、経由ポイント通過数=1と、経由ポイント「99−901」とが書き込まれる。
その後、車両X1は、迂回路R2から本線R1に戻り、料金所番号「01−106」の出口料金所に進入する。
この料金所番号「01−106」の出口料金所において、ICカードから、入口情報と経路情報とか読み出され、車線制御装置50により料金が収受される。
【0042】
具体的に説明すると、基本通行料決定部532が、入力情報に基づき基本通行料を決定する。割引決定部533は、経路情報に基づき、迂回路R2を走行した経路に応じた割引額または割引率を決定する。収受金額決定部534は、基本通行料決定部532が決定した基本通行料から、割引決定部533が決定した割引額または割引率に応じた料金を差し引き、収受金額を決定する。
【0043】
(出口料金所の車線制御装置50により実施される料金収受処理)
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る経路割引が適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図9は、本実施形態に係る経路割引が適用可能な料金収受処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、
図8を参照して説明した車両X1が、料金所番号「01−106」の出口料金所に進入した例を用いて具体例に説明する。
【0044】
情報取得部531は、出口料金所を通過する車両X1から、入口情報と経路情報とを取得する(ステップST101)。例えば、情報取得部531は、料金所番号「01−106」の出口料金所に進入した車両X1から、入口情報に含まれる入口料金所番号「01−101」と、入場日時「2014年、10月、5日、9:20」とを取得する。また、情報取得部531は、料金所番号「01−106」の出口料金所に進入した車両X1から、経路情報に含まれる経由ポイント通過数「1」と、経由ポイント番号「99−901」とを取得する。情報取得部531は、取得した入口情報を基本通行料決定部532に出力し、取得した入口情報と経路情報とを割引決定部533に出力する。
【0045】
基本通行料決定部532は、入口情報に基づき、基本通行料を決定する(ステップST102)。例えば、基本通行料決定部532は、記憶部54に記憶されている基本通行料テーブルを参照し、入口情報に含まれる入口料金所番号「01−101」に対応する基本通行料を読み出す。ここで、基本通行料決定部532には、車両X1の車種を示す情報や、支払形態を示す情報が入力されている。車種を示す情報は、例えば路側に設けられた車両判定装置により判定された判定結果を示す情報である。支払形態は、基本通行料決定部532により決定される。ICカードが有効であり電子マネーやクレジットカードによる支払が可能である場合、基本通行料決定部532は、カード支払いであると決定する。カード支払いができない場合、基本通行料決定部532は、現金支払いであると判定する。
【0046】
割引決定部533は、入口情報等に基づき、記憶部54に記憶されている経路割引パラメータテーブルを参照して、入口料金所を通過した時刻(入場日時)および出口料金所を通過する時刻等が割引適用条件を満たすか否かを判定する(ステップST103)。
割引適用条件を満たすと判定した場合(ステップST103−YES)、割引決定部533は、記憶部54に記憶されている経路割引テーブルを参照して、経路に応じた割引額または割引率を決定する(ステップST104)。例えば、車両X1のICカードには、経路情報として、経由ポイント通過数=1、および、経由ポイント番号「99−901」が書き込まれている。この場合、割引決定部533は、経路割引テーブルにおいて、経由ポイント通過数=1と対応付けられた経由ポイント番号の組み合わせが一致するものがあるか否かを判定する。経路割引テーブルには、経由ポイント通過数=1と、経由ポイント番号「99−901」とが対応付けられている。よって、割引決定部533は、経由ポイント通過数=1と、経由ポイント番号「99−901」との組み合わせとさらに対応付けられている割引額「300円引き」を、経路に応じた割引額に決定する。
【0047】
収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本通行料から、割引決定部533により決定された割引額または割引率を差し引いた額を、自車線制御装置55が設置された出口料金所における収受金額とする(ステップST105)。収受金額決定部534は、決定した収受金額を示す情報を、収受処理部535に出力する。
収受処理部535は、収受金額決定部534により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する(ステップST106)。
【0048】
一方、ステップST103において、割引適用条件を満たさないと判定された場合(ステップST103−NO)、収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本通行料を、収受金額に決定する(ステップST107)。収受処理部535は、収受金額決定部534により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する。
【0049】
なお、車線制御装置50による処理は、上述の処理に限られない。例えば、収受金額の対象とする課金対象道路において、道路事業者および料金形態のうち少なくとも1つが異なる複数の道路区間が含まれていても良い。例えば、
図8の例において、料金所番号「01−103」〜「01−104」の道路区間のみが均一区間であって、その他の道路区間は対距離区間であってもよい。均一区間とは、区間内の走行であれば基本通行料が一律である道路区間である。対距離区間とは、走行距離に応じて基本通行料が変化する道路区間である。また、
図8において、料金所番号「01−105」から料金所番号「01−106」の道路区間のみが道路事業者Aの道路区間であって、その他の道路区間は他の道路事業者Bの道路区間であってもよい。
【0050】
この場合、基本通行料決定部532は、各道路区間に応じた区間通行料を算出し、算出した区間通行料を積算した額を、基本通行料に決定する。収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本通行料から経路に応じた割引額または割引率に応じた額を差し引いた額を収受金額に決定する。
例えば、基本通行料決定部532は、道路事業者ごとに用意された料金テーブルを参照して、各道路事業者に対応する道路区間の基本通行料を決定する。道路事業者が同じであっても、料金形態が異なる道路区間が含まれている場合、基本通行料決定部532は、料金形態ごとに用意された料金テーブルを参照して、各料金形態に対応する道路区間の基本通行料を決定する。基本通行料決定部532は、課金対象道路に含まれる各道路区間が重複しないように、各道路区間の基本通行料を算出し、算出した区間通行料を積算して、基本通行料を算出する。
【0051】
(第1実施形態に係る料金収受システム1による作用と効果)
上述の通り、本実施形態に係る料金収受システム1は、出口料金所を通過する車両から、入口情報と経路情報とを取得する情報取得部531と、情報取得部531により取得された入口情報に基づき課金対象道路に対応する基本通行料を決定する基本通行料決定部532と、情報取得部531により取得された経路情報に基づき経路に応じた割引額または割引率を決定する割引決定部533と、基本通行料決定部532により決定された基本通行料と、割引決定部533により決定された割引額または割引率とに基づき、出口料金所における収受金額を決定する収受金額決定部534と、を備える。
この構成により、課金対象道路の通行料に対して、経路に応じた割引を適用することができる。これにより、例えば、本線R1の交通量を迂回路R2や迂回路R3に分散させたい場合、迂回路R2や迂回路R3を通過した場合の通行料を、迂回路R2や迂回路R3を通過せずに本線R1のみを走行した場合の通行料に比べて、安く(割引)することができる。また、迂回路R2や迂回路R3を通過した場合の通行料を、迂回路R2や迂回路R3を通過せずに本線R1のみを走行した場合の通行料に比べて、高く(割増)してもよい。
【0052】
また、本実施形態に係る料金収受システム1において、課金対象道路において、道路事業者および料金形態のうち少なくとも1つが異なる複数の道路区間が含まれている場合、基本通行料決定部532は、各道路区間に応じた区間通行料を積算した額を、基本通行料に決定し、収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本通行料から割引額または割引率に応じた額を差し引いた額を、収受金額に決定する。
この構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行した場合であっても、課金対象道路の全体の通行料に対して、経路に応じた割引を適用することができる。例えば、迂回路R2や迂回路R3が、本線R1と異なる道路事業者または異なる料金形態であっても、本線R1の通行料と迂回路R2または迂回路R3の通行料との合計値に対して、経路に応じた割引を適用することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る料金収受システム1において、割引決定部533は、車両が有料道路を走行した時刻、日付、および曜日のうち少なくとも1つが、予め決められた割引適用条件を満たすか否かを判定し、割引適用条件を満たすと判定した場合に、割引額または割引率を決定する。
この構成により、車両が有料道路を走行した時刻、日付、および曜日等に応じて、経路割引の適用を切り替えることができる。これにより、例えば、早朝や深夜、平日または休日に限って、経路割引を適用することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る料金収受システム1において、割引決定部533は、経路情報に含まれる経由地の組み合わせに応じて割引額または割引率を決定する。
この構成により、経路割引の割引額または割引率を、通過した経由ポイントに応じて、細かく設定することができる。これにより、例えば、迂回路R2を走行した場合の割引額と、迂回路R3を走行した場合の割引額とを、それぞれ異なる額に設定することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る料金収受システム1において、情報取得部531は、有料道路の路側に設けられた通信機器を介して、車両に搭載されているICカードから読み取られた入口情報と経路情報とを取得する。
この構成により、電子式料金収受システムにおいて、経路割引を適用した料金をスムーズに収受することができる。これにより、料金所において車両を停車させずにすむため、経路割引を適用した料金を収受する場合であっても、料金所での交通を円滑にすることができる。
【0056】
(第1実施形態に係る料金収受システム1におけるその他、各構成の置換や変更)
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
例えば、上述において、収受金額決定部534は、基本通行料決定部532により決定された基本料金に対して、経路割引を適用する例について説明したが、これに限られない。例えば、基本通行料に対して、その他の割引が適用された後、経路割引を適用してもよい。その他の割引には、例えば、電子式料金収受システムを利用する車両に対して時間帯や曜日に応じて適用される割引等が含まれる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る料金収受システムについて説明する。第2実施形態に係る料金収受システムは、第1実施形態に係る料金収受システム1の車線制御装置50に代えて、車線制御装置55を備える。その他の構成については、第1実施形態に係る料金収受システム1の構成と同様であるため、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
はじめに、
図10を参照して、第2実施形態においてICカードに記憶される情報の一例について説明する。
図10は、第2実施形態においてICカードに記憶される情報の一例について説明するための図である。
ICカードの記憶領域には、通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とが記憶される。通行情報とは、有料道路に進入する際に通過した入口料金所に基づく情報(入口料金所から入手される情報/進入口としての入口料金所に関する情報)である。累計通行料情報とは、車両が走行した道路区間の区間通行料の合計である累計通行料を示す情報である。累計収受金額情報とは、車両が走行した道路区間において収受された収受金額の合計である累計収受金額を示す情報である。実施形態において、通行情報には、入口料金所の料金所番号と、入口料金所を通過した入場日時と、累計走行距離とを示す情報が含まれる。累計走行距離とは、車両が走行した道路区間の合計距離である。
【0060】
(出口料金所の車線制御装置55の構成について)
次に、
図11を参照して、出口料金所に設置される車線制御装置55の構成について説明する。
図11は、出口料金所に設置される車線制御装置55の構成例を示す図である。
車線制御装置55は、アンテナ通信部51と、ネットワーク通信部52と、制御部56と、記憶部57とを備える。
記憶部57には、車線制御装置55が設置される料金所の料金所番号が格納されている。また、記憶部57には、料金を収受するためのデータとして、料金距離テーブルと、長距離割引テーブルとが格納されている。
【0061】
ここで、
図12,13を参照して、各テーブルの一例について説明する。
図12は、料金距離テーブルの一例を示す図である。
図示の通り、料金距離テーブルには、区間入口料金所に応じた区間通行料と、ターミナルチャージと、走行距離とが規定されている。実施形態において、区間入口料金所番号とは、車線制御装置55が設置される出口料金所を含む道路区間内の“最初の入口料金所”の料金所番号である。“最初の入口料金所”とは、出口道路区間に含まれる料金所のうち、通行情報に含まれる入口料金所番号の料金所からの走行経路において、入口料金所番号の料金所に最も近い料金所である。出口道路区間とは、課金対象道路に含まれる道路区間のうち、車線制御装置55が設置される出口料金所を含む道路区間である。
【0062】
図13は、長距離割引テーブルの一例を示す図である。
図示のとおり、長距離割引テーブルには、合計累計走行距離に応じた長距離割引の割引額または割引率が規定されている。図示の例では、合計累計走行距離が100km以上である場合、100km以上200km未満の距離分については25%の割引を適用し、200km以上の距離分については30%の割引を適用することが規定されている。合計累計走行距離とは、車両が走行した課金対象道路の距離である。
【0063】
制御部56は、例えばCPUであって、車線制御装置55を統括的に制御する。車線制御装置55は、CPUである制御部56がプログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部561と、引継判定部562と、区間通行料決定部563と、全体通行料決定部564と、収受金額決定部565と、収受処理部566と、料金明細作成部567と、引継処理部568とを備える。これら機能部の一部又は全部は、LSIやASICなどのハードウェア機能部であってもよい。
【0064】
情報取得部561は、出口料金所を通過する車両から、通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とを取得する。実施形態において、情報取得部561は、アンテナ通信部51を介して、車両に搭載されたICカードから読み取られた通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とを取得する。なお、情報取得部561は、車両に搭載された通信機器がネットワークを介してデータ処理装置60または管理サーバ30に送信した通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とを、ネットワーク通信部52を介してデータ処理装置60または管理サーバ30から取得してもよい。また、情報取得部561は、車線制御装置55が備えるカードリーダ(図示せず)を介してICカードから読み取った通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とを取得してもよい。
【0065】
区間通行料決定部563は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、料金距離テーブルを参照して、出口道路区間の区間通行料を決定する。実施形態において、料金距離テーブルには、出口道路区間に対応する区間通行料が規定されている。ここで、出口道路区間の最初の入口料金所においてICカード情報の引継が行われた場合、ICカードから取得した通行情報には、出口道路区間に含まれない料金所番号が、通行情報の入口料金所番号として記載されている。この場合、区間通行料決定部563は、通行情報の入口料金所番号に基づき、出口道路区間の“最初の入口料金所”を求めた後、料金距離テーブルを参照して、出口道路区間の区間通行料を決定してもよい。
【0066】
全体通行料決定部564は、長距離割引テーブルを参照して、長距離割引の適用があるか否かを判定する。長距離割引の適用があると判定した場合、全体通行料決定部564は、区間通行料決定部563により決定された出口道路区間の区間通行料と、情報取得部561が取得した累計通行料とに基づく額に対して、長距離割引を適用した全体通行料を決定する。ここで、全体通行料決定部564は、上記長距離割引により、全体通行料が、入口料金所から前記出口料金所までの課金対象道路を1つの道路区間と見なした場合に課金されるべき料金となるようにする。 実施形態において、全体通行料決定部564は、経路割引テーブルと長距離割引テーブルとを参照して、経路割引および長距離割引のうち少なくとも1つの適用があるか否かを判定してもよい。経路割引および長距離割引のうち少なくとも1つの適用があると判定した場合、全体通行料決定部564は、適用があると判定された割引を適用した額を、全体通行料に決定する。
【0067】
収受金額決定部565は、全体通行料決定部564により決定された全体通行料と、情報取得部561が取得した累計収受金額とに基づき、出口料金所における収受金額を決定する。
【0068】
収受処理部566は、収受金額決定部565により決定された収受金額を収受する。収受処理部566は、電子マネーまたはクレジットカードにより収受金額を収受してもよく、現金により収受してもよい。
【0069】
料金明細作成部567は、収受された収受金額等の料金明細を示す料金明細情報を作成し、ネットワーク通信部52を介して、データ処理装置60に送信する。料金明細情報には、収受金額を収受したICカードの識別情報、収受金額を収受した年月日と時刻、長距離割引が適用されたか否かを示す情報、長距離割引金額、および、収受金額の算出に用いられた情報(例えば、通行情報、累計通行料情報、累計収受金額情報)等が含まれている。
また、料金明細作成部567は、勤務中に長距離割引等を実施した車両の件数を累積して、勤務終了時に、累積した件数を、データ処理装置60を介して、管理サーバ30に送信してもよい。
【0070】
引継処理部568は、引継処理を行う。具体的に説明すると、引継処理部568は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、料金距離テーブルを参照して、出口道路区間の走行距離を求める。引継処理部568は、求めた出口道路区間の走行距離と、情報取得部561により取得された累計走行距離との合計値を算出し、算出した合計値で、ICカードの通行情報の累計走行距離を上書きする。また、引継処理部568は、収受金額決定部565により算出された出口道路区間の区間通行料と、情報取得部561により取得された累計通行料との合計値を算出し、算出した合計値で、ICカードの累計通行料情報を上書きする。さらに、引継処理部568は、収受金額決定部565により算出された収受金額と、情報取得部561により取得された累計収受金額との合計値を算出し、算出した合計値で、ICカードの累計収受金額を上書きする。
【0071】
(長距離割引を適用した走行例について)
次に、
図14を参照して、長距離割引を適用した走行例について説明する。
図14は、長距離割引を適用した走行例を説明するための参考図である。
図示において、「○」は入口料金所であり、「◎」は出口料金所である。各料金所には、料金所番号「02−201」「02−202」「02−203」「02−204」が割り当てられている。
【0072】
図示の例において、料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間は、道路事業者Aが提供する道路であって、料金形態が対距離の区間である。料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間の距離は、10kmである。料金所番号「02−202」の入口料金所と出口料金所は、引継料金所である。
【0073】
料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間は、道路事業者Aが提供する道路であって、料金形態が均一の区間である。料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間の距離は、70kmである。料金所番号「02−203」の入口料金所と出口料金所は、引継料金所である。
【0074】
料金所番号「02−203」から「02−204」の間の道路区間は、道路事業者Bが提供する道路であって、料金形態が対距離の区間である。料金所番号「02−203」から「02−204」の間の道路区間の距離は、30kmである。
【0075】
車両X2が、料金所番号「02−201」の入口料金所から進入し、料金所番号「02−204」の出口料金所で退出したとする。この場合、課金対象道路は、料金所番号「02−201」から「02−204」までの道路区間である。車両X2は、ICカードが挿入された車載器を搭載している。
車両X2が料金所番号「02−201」の入口料金所を通過すると、ICカードには、通行情報として入口料金所番号「02−201」が書き込まれる。
【0076】
その後、車両X2が料金所番号「02−202」の出口料金所を通過すると、料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間に対応する通行料が、料金所番号「02−202」の出口料金所に設置された車線制御装置55により収受される。車線制御装置55により収受される収受金額は、料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間のターミナルチャージ「150円」と区間通行料「500円」との合計値である「650円」である。
そして、車線制御装置55は、料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間の距離「10km」を、通行情報に含まれる累計走行距離として、ICカードに書き込むよう指示する。また、車線制御装置55は、料金所番号「02−201」から「02−202」の間の道路区間の区間通行料「500円」を、累計通行料情報として、ICカードに書き込むよう指示する。さらに、車線制御装置55は、料金所番号「02−202」の出口料金所において収受された収受金額「650円」を、累計収受金額情報として、ICカードに書き込むよう指示する。
【0077】
その後、車両X2が料金所番号「02−203」の出口料金所を通過すると、料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間に対応する通行料が、料金所番号「02−203」の出口料金所に設置された車線制御装置55により収受される。車線制御装置55により収受される収受金額は、料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間のターミナルチャージ「150円」と区間通行料「1200円」との合計値「1350円」である。
そして、車線制御装置55は、料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間の距離「70km」と、情報取得部561により取得された累計走行距離の「10km」との合計値「80km」を、通行情報の累計走行距離として、ICカードに書き込むよう指示する。また、車線制御装置55は、料金所番号「02−202」から「02−203」の間の道路区間の区間通行料「1200円」と、情報取得部561により取得された累計通行料の「500円」との合計値「1700円」を、累計通行料情報として、ICカードに書き込むよう指示する。さらに、車線制御装置55は、料金所番号「02−203」の出口料金所において収受された収受金額「1350円」と、情報取得部561により取得された累計収受金額の「650円」との合計値「2000円」を、累計収受金額情報として、ICカードに書き込むよう指示する。
【0078】
なお、車両X2が料金所番号「02−202」の入口料金所を通過した場合、及び、車両X2が料金所番号「02−203」の入口料金所を通過した場合、ICカードに記載された入口料金所番号「02−201」はこのまま残される。つまり、料金所番号「02−202」、または、料金所番号「02−203」には書き換えられない。これは、料金所番号「02−202」および「02−203」の入口料金所に設置された車線制御装置10に対して、カード情報を引き継ぐための引継判定データが格納されているからである。
【0079】
その後、車両X2が料金所番号「02−204」の出口料金所に進入する。
この料金所番号「02−204」の出口料金所において、ICカードから、通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とが読み出され、車線制御装置55により、長距離割引の適用が判定された場合に、長距離割引の適用をした料金が収受される。これは、料金所番号「02−204」の出口料金所が、引継出口でないからである。料金の収受処理については、
図15を参照して詳細に説明する。
【0080】
(長距離割引が適用可能な料金収受処理)
次に、
図15を参照して、長距離割引が適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図15は、長距離割引が適用可能な料金収受処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、
図15を参照して説明した車両X2が、料金所番号「02−204」の出口料金所に進入した例を用いて具体的に説明する。
【0081】
情報取得部531は、出口料金所を通過する車両X2から、通行情報と、累計通行料情報と、累計収受金額情報とを取得する(ステップST201)。例えば、情報取得部531は、料金所番号「01−204」に進入した車両X2から、通行情報として、入口料金所番号「02−201」と、累計走行距離「80km」とを取得する。また、情報取得部531は、車両X2から、累計通行料情報「1700円」と、累計収受金額情報「2000円」とを取得する。情報取得部531は、取得した情報を、引継判定部562と、区間通行料決定部563と、全体通行料決定部564とに出力する。
【0082】
次いで、引継判定部562は、車線制御装置55が設置される出口料金所が引継出口であるか否かを判定する(ステップST202)。
【0083】
引継出口であると判定された場合(ステップST202−YES)、収受金額決定部565は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、収受金額を決定する(ステップST203)。具体的に説明すると、収受金額決定部565は、情報取得部561により取得された入口料金所番号に基づき、料金距離テーブルを参照して、出口道路区間の区間通行料とターミナルチャージとを求める。収受金額決定部565は、区間通行料とターミナルチャージとを加算した額を、収受金額とする。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を、収受処理部566に出力する。
また、引継処理部568は、引継処理を行う(ステップST204)。
【0084】
一方、ステップST202において、引継出口でないと判定された場合(ステップST202−NO)、区間通行料決定部563は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、出口道路区間の区間通行料を決定する(ステップST205)。例えば、区間通行料決定部563は、料金距離テーブルを参照して、料金所番号「02−203」から「02−204」の間の道路区間の区間通行料を検索する。この料金テーブルには、道路事業者Bが提供する料金所番号「01−203」から道路区間の通行料であって、距離に応じて決められた通行料が規定されている。
区間通行料決定部563は、決定した区間通行料を示す情報を、全体通行料決定部564に出力する。
【0085】
全体通行料決定部564は、長距離割引テーブルを参照して、長距離割引の適用があるか否かを判定する(ステップST206)。具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、料金距離テーブルを参照して、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、出口道路区間の走行距離を求める。全体通行料決定部564は、求めた出口道路区間の走行距離と、情報取得部561により取得された累計走行距離とを加算した合計値(以下、合計累計走行距離という。)が、長距離割引テーブルにおいて割引の適用距離以上であるか否かを判定する。例えば、料金所番号「02−201」から「02−204」までの合計累計走行距離は、110kmである。長距離割引テーブルにおいて割引の適用距離は100km以上と規定されているため、全体通行料決定部564は、10km分だけ、長距離割引の適用があると判定する。
【0086】
長距離割引の適用があると判定した場合(ステップST206−YES)、全体通行料決定部564は、長距離割引を適用した額を、全体通行料に決定する(ステップST207)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
【0087】
具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、区間通行料決定部563により算出された出口道路区間の区間通行料と、情報取得部561により取得された累計通行料とを加算した合計値(以下、合計累計通行料という)に対して、10km分だけ、長距離割引テーブルに規定された割引(例えば、25%引き)を行う。全体通行料決定部564は、合計累計通行料を長距離割引した額に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた額を、全体通行料とする。この演算を以下の式に示す。
【0088】
<100km以上かつ200km未満の分について25%の割引を提供する例>
全体通行料=ターミナルチャージ
+{合計累計通行料×100/合計累計走行距離}
+{合計累計通行料×(合計累計走行距離−100)/合計累計走行距離
×0.75} ・・・式(1)
全体通行料=150円
+{2500円×100/110}
+{2500円×(110−100)/110×0.75} ・・・式(2)
=2590円
式(1)は、全体通行料決定部564による演算の一般式であって、式(2)は、料金所番号「02−204」の出口料金所において情報取得部561により取得される情報を代入した具体例である。
【0089】
収受金額決定部565は、全体通行料決定部564により決定された全体通行料から、情報取得部561により取得された累計収受金額を差し引いた差分を、収受金額に決定する(ステップST208)。例えば、収受金額決定部565は、全体通行料「2590円」から累計収受金額「2000円」を差し引いた差分「590円」を収受金額に決定する。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を収受処理部566に出力する。
収受処理部566は、収受金額決定部565により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する(ステップST209)。
【0090】
一方、ステップST206の判定において、長距離割引の適用がないと判定された場合(ステップST206−NO)、全体通行料決定部564は、長距離割引を適用しない額を、全体通行料に決定する(ステップST210)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、区間通行料決定部563により算出された出口道路区間の区間通行料と、情報取得部561により取得された累計通行料とを加算した合計累計通行料に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた金額を、全体通行料とする。
【0091】
(長距離割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理)
次に、
図16,17を参照して、長距離割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図16は、出口料金所に設置される車線制御装置55の他の構成を示す図である。この車線制御装置55は、上述の制御部56に代えて制御部56_2を備える点が異なる。また、記憶部57には、第1実施形態において説明した経路割引パラメータテーブルと経路割引テーブルとが記憶されている。
図16に示す通り、制御部56_2は、プログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部561と、引継判定部562と、区間通行料決定部563と、全体通行料決定部564と、収受金額決定部565と、収受処理部566と、料金明細作成部567と、引継処理部568と、割引決定部569を備える。なお、制御部56の機能部と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
割引決定部569は、第1実施形態において説明した割引決定部533と同様の構成を有する。
【0092】
図17は、長距離割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ステップST201〜204は、
図15と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。
ステップST202において、引継出口でないと判定された場合(ステップST202−NO)、区間通行料決定部563は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、料金距離テーブルを参照して、出口道路区間の区間通行料を決定する(ステップST255)。全体通行料決定部564は、区間通行料決定部563により決定された出口道路区間の区間通行料と、情報取得部561により取得された累計通行料とを加算して、合計累計通行料を算出する。
【0093】
全体通行料決定部564は、経路割引テーブルと長距離割引テーブルとを参照して、経路割引および長距離割引のうち少なくとも1つの適用があるか否かを判定する(ステップST256)。
【0094】
経路割引と長距離割引の両方の適用があると判定した場合(ステップST257−YES)、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、経路割引と長距離割引との両方を適用した額を、全体通行料に決定する(ステップST258)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、対象となる距離分だけ、長距離割引テーブルに規定された割引(例えば、25%引き)を行う。また、全体通行料決定部564は、長距離割引が適用された額に対して、経路割引テーブルに規定された割引(例えば、300円引き)を行う。全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、経路割引と長距離割引との両方を適用した額に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた額を、全体通行料とする。
【0095】
一方、長距離割引のみ適用があると判定した場合(ステップST259−YES)、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して長距離割引のみを適用した額を、全体通行料に決定する(ステップST260)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、対象となる距離分だけ、長距離割引テーブルに規定された割引(例えば、25%引き)を行い、長距離割引が適用された額に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた額を、全体通行料とする。
【0096】
経路割引のみ適用があると判定した場合(ステップST261−YES)、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、経路割引のみを適用した額を、全体通行料に決定する(ステップST262)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
具体的に説明すると、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、経路割引テーブルに規定された割引(例えば、300円引き)を行い、経路割引が適用された額に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた額を、全体通行料とする。
【0097】
経路割引および長距離割引のいずれも適用がないと判定した場合(ステップST261−NO)、全体通行料決定部564は、合計累計通行料に対して、ターミナルチャージを1回だけ加えた額を、全体通行料に決定する(ステップST263)。全体通行料決定部564は、決定した全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
【0098】
収受金額決定部565は、全体通行料決定部564により決定された全体通行料から、情報取得部561により取得された累計収受金額を差し引いた差分を、収受金額に決定する(ステップST264)。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を収受処理部566に出力する。
【0099】
収受処理部566は、収受金額決定部565により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する(ステップST265)。
【0100】
(第2実施形態に係る料金収受システムによる作用と効果)
上述の通り、本実施形態に係る料金収受システムは、出口料金所を通過する車両から、通行情報と累計収受金額情報とを取得する情報取得部561と、情報取得部561により取得された通行情報に基づき、課金対象道路を1つの道路区間と見なした場合に課金されるべき料金である全体通行料を決定する全体通行料決定部564と、情報取得部561が取得した累計収受金額情報と、全体通行料決定部564により決定された全体通行料とに基づき、出口料金所における収受金額を決定する収受金額決定部565と、を備える。
この構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行した場合であっても、走行した全道路に対して適切な通行料を収受することができる。また、道路区間ごとに通行料を支払って後であって、課金対象道路の全体の通行料を超えて収受することを防止することができる。
なお、本実施形態に係る有料道路は、「道路事業者および料金形態のうち少なくとも1つが異なる複数の道路区間を含む」こととして説明しているが、これは、有料道路を構成する各道路区間につき、「同一の道路事業者や同一の料金形態が全く存在せず、全てが異なる」という意味に限定されず、「道路区間によっては同一の道路事業者や同一の料金形態が存在する」ことの意味を含む。したがって、車両が通過する経路によっては、同じ道路事業者(又は料金形態)の道路区間を二回以上通過するケースも想定される。
【0101】
また、本実施形態に係る料金収受システムにおいて、全体通行料決定部564は、課金対象道路に含まれる各道路区間の区間通行料を積算した額から、所定の割引額または割引率に応じた額を差し引いた額を、全体通行料として決定する。ここで、全体通行料は、上記課金対象道路を1つの道路区間と見なした場合に(対距離の料金形態として)本来適用されるべき課金額となるように決定される。
従来、単一事業者・単一料金形態の道路区間内であれば長距離割引が受けられるような長い距離を走行した場合であっても、複数の事業者・複数の料金形態を跨ぐ区間であったために長距離割引が受けられない問題があった。しかし、本実施形態の上記構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行し、道路区間ごとに通行料を支払って後であって、課金対象道路の全体の通行料に対して割引を適用することができる。また、割引を適用した後の通行料を超えて収受することを防止することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る料金収受システムにおいて、全体通行料決定部564は、通行情報に基づき、車両が走行した全ての道路区間の区間通行料に基づき得られる基本通行料から、課金対象道路の距離に応じた割引額または割引率に応じた額を差し引いて、全体通行料を決定する。
この構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行した場合であっても、課金対象道路の全体の通行料に対して、車両が走行した距離に応じた割引を適用することができる。例えば、
図14を参照して説明した例のように、料金所番号「02−201」から「02−204」までの課金対象道路を走行した累計走行距離に基づき、距離に応じた割引(長距離割引)を適用することができる。一方、本発明によらない場合、道路事業者または料金形態が異なる道路区間ごとに収受されるため、通算して100km以上を走行したとしても、全体として長距離割引を適用することができなかった。上述の通り、課金対象道路を走行した累計走行距離に基づき長距離割引を適用することにより、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで、有料道路を走行することが促進される。
【0103】
また、本実施形態に係る料金収受システムにおいて、全体通行料決定部564は、基本通行料を算出するとき、課金対象道路に複数の道路区間が含まれる場合であっても、基本通行料に含まれる初乗り料金(ターミナルチャージ;距離に比例しない固定料金)は1つだけとする。
ここで、従来、複数の事業者・複数の料金形態を跨ぐ道路区間を走行した際に、本来(単一事業者・単一料金形態)であれば1回のみ徴収されるべき初乗り料金が、当該異なる道路区間ごとに複数回重複して徴収される問題があった。しかし、本実施形態の上記構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行した場合であっても、道路区間ごとにターミナルチャージが重複して収受せずにすむ。これにより、道路区間を乗り継いだことによる割引を適用することができる。
なお、“1回だけ徴収されるターミナルチャージ”として適用される額は、例えば、入口料金所を経て最初に進入した道路区間に規定されるターミナルチャージの額としてもよい。
【0104】
また、本実施形態に係る料金収受システムは、出口料金所を含む道路区間の区間通行料を決定する区間通行料決定部563をさらに備え、情報取得部561は、累計通行料情報を取得し、全体通行料決定部564は、区間通行料決定部563により決定された区間通行料と情報取得部561により取得された累計通行料とに基づき基本通行料(合計累計通行料)を算出し、基本通行料から課金対象道路の距離に応じた割引額または割引率に応じた額を差し引いて、全体通行料を決定する。
この構成により、道路事業者が異なる道路区間や、料金形態が異なる道路区間を跨いで走行した場合であっても、道路区間ごとに区間通行料を算出して、課金対象道路の基本通行料を求めることができる。
なお、「課金対象道路の距離に応じた割引額または割引率」とは、「課金対象道路を1つの道路区間としたときに適用される割引額または割引率」との概念の具体的な一態様である。
【0105】
また、本実施形態に係る料金収受システム1において、情報取得部561は、有料道路の路側に設けられた通信機器を介して、車両に搭載されているICカードから読み取られた通行情報と累計収受金額情報とを取得する。
この構成により、電子式料金収受システムにおいて、長距離割引等を適用した料金をスムーズに収受することができる。これにより、料金所において車両を停車させずにすむため、長距離割引を適用した料金を収受する場合であっても、料金所での交通を円滑にすることができる。
【0106】
(第2実施形態に係る料金収受システムにおけるその他、各構成の置換や変更)
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0107】
例えば、上述において、全体通行料決定部564は、予め長距離割引が適用された額を、全体通行料として決定する例について説明したが、これに限られない。例えば、全体通行料決定部564は、全体通行料に対して、その他の割引が適用してもよい。その他の割引には、例えば、電子式料金収受システムを利用する車両に対して時間帯や曜日に応じて適用される割引等が含まれる。
【0108】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る料金収受システムについて説明する。第3実施形態では、第2実施形態に係る車線制御装置55の他の実施形態について説明する。第2実施形態に係る車線制御装置55と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0109】
はじめに、
図18を参照して、第3実施形態においてICカードに記憶される情報の一例について説明する。
図18は、第3実施形態においてICカードに記憶される情報の一例について説明するための図である。
ICカードの記憶領域には、通行情報と、累計収受金額情報と、同一発着同一料金フラグ情報が記憶される。同一発着同一料金フラグ情報とは、同一発着同一料金割引を適用するか否かを示す情報である。実施形態において、通行情報には、入口料金所の料金所番号と、入口料金所を通過した入場日時とを示す情報が含まれる。同一発着同一料金フラグ情報には、同一発着同一料金割引を適用することを示す情報(フラグオン情報)、または、同一発着同一料金割引を適用しないことを示す情報(フラグオフ情報)のいずれかが記憶されている。
【0110】
次に、
図19を参照して、本実施形態に係る車線制御装置55の構成について説明する。
図19は、第3実施形態において出口料金所に設置される55の構成例を示す図である。
図示の通り、車線制御装置55は、上述の制御部56に代えて制御部56_3を備える点が異なる。制御部56_3は、プログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部561と、引継判定部562と、全体通行料決定部564と、収受金額決定部565と、収受処理部566と、料金明細作成部567と、引継処理部568とを備える。つまり、制御部56_3は、制御部56と比べて、区間通行料決定部563を備えない点で異なる。また、記憶部57には、同一発着同一料金テーブルが記憶されている。なお、制御部56の機能部と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
次に、
図20を参照して、同一発着同一料金テーブルの一例について説明する。
図20は、同一発着同一料金テーブルの一例を示す図である。
図示の通り、同一発着同一料金テーブルには、入口料金所に応じた全体通行料が規定されている。同一発着同一料金テーブルにおいて規定されている全体通行料には、すでに同一発着同一料金割引が適用された額が書き込まれている。
【0112】
(同一発着同一料金割引を適用した走行例について)
次に、
図21を参照して、同一発着同一料金割引を適用した走行例について説明する。
図21は、同一発着同一料金引を適用した走行例を説明するための参考図である。
図示において、「○」は料金所である。各料金所には、料金所番号「03−301」「03−302」「04−401」「04−402」「05−501」「05−502」が割り当てられている。
【0113】
図示の例において、有料道路は、本線R11と、本線R11から分岐する迂回路R12と、迂回路R12から分岐する迂回路R13とを含む。本線R11上には、料金所番号「03−301」「05−501」「05−502」「03−302」が割り当てられた料金所が、この順番に並んでいる。迂回路R12上には、料金所番号「04−401」「04−402」が割り当てられた料金所がある。
本線R11から迂回路R12に分岐する分岐点は、料金所番号「05−501」の手前にある。迂回路R12から本線R11に合流する合流点は、料金所番号「05−502」の直後にある。迂回路R12から迂回路R13に分岐する分岐点は、料金所番号「04−401」の手前にある。迂回路R13から迂回路R12に合流する合流点は、料金所番号「04−402」の直後にある。
【0114】
料金所番号「03−301」から料金所番号「03−302」の間の道路区間であって、本線R11から迂回路R12を通って迂回路R13を経由し、再び迂回路R12を通って本線R11に戻る道路区間は、道路事業者Aが提供する道路区間であって、料金形態が対距離の区間である。この経路は、図示のルート(3)に相当する。
料金所番号「04−401」から「04−402」の間の道路区間は、道路事業者Bが提供する道路であって、料金形態が均一の区間である。料金所番号「05−501」から「05−502」の間の道路区間は、道路事業者Bが提供する道路であって、料金形態が対距離の区間である。
【0115】
料金所番号「04−401」「04−402」「05−501」「05−502」が割り当てらえた料金所は、出口と入口とを兼ねた料金所(以下、入口出口兼用料金所という。)である。本実施形態において、料金所番号「04−401」「04−402」「05−501」「05−502」が割り当てらえた料金所には、入口料金所に設置される車線制御装置10の機能を備えた車線制御装置55が設置される。
【0116】
車両X3が、料金所番号「03−301」の入口料金所から進入し、ルート(3)に相当する道路事業者Aが提供する道路区間のみを走行して、料金所番号「03−302」の出口料金所から退出したとする。車両X3は、ICカードが挿入された車載器を搭載している。
この場合、車両X3が料金所番号「03−301」の入口料金所を通過するときに、ICカードに、通行情報に含まれる入口料金所番号として「03−301」が書き込まれる。料金所番号「03−302」の出口料金所では、入口料金所番号「03−301」に基づき、道路事業者Aが提供する道路区間の区間通行料「3000円」が収受される。
【0117】
車両X3が、料金所番号「03−301」の入口料金所から進入し、迂回路R12上の料金所番号「04−401」「04−402」が割り当てられた料金所を通過して、料金所番号「03−302」の出口料金所から退出したとする。この経路は、図示のルート(2)に相当する。
この場合、車両X3が料金所番号「03−301」の入口料金所を通過するときに、ICカードに、通行情報に含まれる入口料金所番号として「03−301」が書き込まれる。その後、車両X3が料金所番号「04−401」の入口出口兼用料金所を通過するときに、料金所番号「03−301」から料金所番号「04−401」の間の道路区間の区間通行料「1500円」と、料金所番号「04−401」からの道路区間の区間通行料「500円」との合計値「2000円」が収受されると共に、収受金額「2000円」が、ICカードの累計収受金額情報として書き込まれる。ここで、料金所番号「04−401」の入口出口兼用料金所は、引継料金所であるため、ICカードの入口料金所番号「03−301」が引き継がれる。
【0118】
なお、料金所番号「04−401」または「04−402」の入口出口兼用料金所は引継料金所であり、引継処理が行われ、同一発着同一料金フラグオンがICカードに書き込まれる。一方、料金所番号「03−302」の出口料金所は、引継料金所でない。このため、車両X3が料金所番号「03−302」の入口出口兼用料金所を通過するときに、車線制御装置55は、ICカードから同一発着同一料金フラグオンを読み出し、同一発着同一料金割引を適用した料金を収受する。料金の収受処理については、
図20を参照して詳細に説明する。
【0119】
(同一発着同一料金割引が適用可能な料金収受処理)
次に、
図22を参照して、同一発着同一料金割引が適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図22は、同一発着同一料金割引が適用可能な料金収受処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ここでは、
図21を参照して説明した車両X3が、料金所番号「03−302」の出口料金所に進入した例を用いて具体的に説明する。
【0120】
情報取得部531は、出口料金所を通過する車両X3から、通行情報と、累計収受金額情報と、同一発着同一料金フラグ情報とを取得する(ステップST301)。例えば、情報取得部531は、料金所番号「03−302」に進入した車両X3から、通行情報に含まれる入口料金所番号「03−301」と、累計収受金額情報「2000円」と、同一発着同一料金フラグ情報「フラグオン情報」とを取得する。情報取得部531は、取得した情報を、引継判定部562と、全体通行料決定部564とに出力する。
【0121】
次いで、引継判定部562は、車線制御装置55が設置される出口料金所が引継出口であるか否かを判定する(ステップST302)。
【0122】
引継出口であると判定された場合(ステップST302−YES)、収受金額決定部565は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、収受金額を決定する(ステップST303)。具体的に説明すると、収受金額決定部565は、入口料金所番号に基づき、料金テーブルを参照して、出口道路区間の区間通行料を検索する。収受金額決定部565は、検索により得られた区間通行料を、収受金額とする。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を、収受処理部566に出力する。
引継処理部568は、引継処理を行う(ステップST304)。
【0123】
一方、ステップST302において、引継出口でないと判定された場合(ステップST302−NO)、全体通行料決定部564は、同一発着同一料金割引の適用があるか否かを判定する(ステップST305)。実施形態において、全体通行料決定部564は、情報取得部561により同一発着同一料金フラグ情報としてフラグオン情報が取得されているか否かを判定する。同一発着同一料金フラグ情報としてフラグオン情報が取得されている場合、全体通行料決定部564は、同一発着同一料金割引の適用があると判定する。
【0124】
同一発着同一料金割引の適用があると判定された場合(ステップST305−YES)、全体通行料決定部564は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、同一発着同一料金割引が適用された全体通行料を決定する(ステップST306)。例えば、全体通行料決定部564は、同一発着同一料金割引テーブルを参照して、入口料金所番号「03−301」に対応する全体通行料を検索する。全体通行料決定部564は、検索により得られた全体通行料を示す情報を、収受金額決定部565に出力する。
【0125】
収受金額決定部565は、全体通行料決定部564により決定された全体通行料から、情報取得部561により取得された累計収受金額を差し引いた差分を、収受金額に決定する(ステップST307)。例えば、収受金額決定部565は、全体通行料「3000円」から累計収受金額「2000円」を差し引いた差分「1000円」を収受金額に決定する。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を収受処理部566に出力する。
収受処理部566は、収受金額決定部565により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する(ステップST308)。
【0126】
一方、ステップST305の判定において、同一発着同一料金割引の適用がないと判定された場合(ステップST305−NO)、収受金額決定部565は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、収受金額を決定する(ステップST309)。ここでは、同一発着同一料金割引テーブルを用いずに、道路区間ごとの区間通行料を算出し、区間通行料を積算した金額を、収受金額に決定する。
【0127】
(同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理)
次に、
図23,24を参照して、同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図23は、同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理を実行する車線制御装置55の一例である。この車線制御装置55は、上述の制御部56,56_2,56_3に代えて制御部56_4を備える点が上述と異なる。
図23に示す通り、制御部56_4は、プログラムを実行することにより機能する機能部として、情報取得部561と、引継判定部562と、全体通行料決定部564と、収受金額決定部565と、収受処理部566と、料金明細作成部567と、引継処理部568と、割引決定部569を備える。つまり、制御部56_4は、制御部56_3と比べて、割引決定部569を備える点で異なる。また、記憶部57には、同一発着同一料金テーブルと、第1実施形態において説明した経路割引パラメータテーブルと経路割引テーブルとが記憶されている。なお、制御部56,56_2,56_3の機能部と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0128】
(同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理)
次に、
図24を参照して、同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理の一例について説明する。
図24は、同一発着同一料金割引と経路割引とが適用可能な料金収受処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、ステップST301〜306は、
図22と同じ処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0129】
ステップST305の判定において、同一発着同一料金割引の適用がないと判定された場合(ステップST305−NO)、収受金額決定部565は、通行情報に含まれる入口料金所番号に基づき、収受金額を決定する(ステップST357)。なお、ここで決定される収受金額は、最終金額ではなく、最終金額は、その後、経路割引の適用の有無に応じて決定される。
【0130】
次いで、割引決定部569は、経路情報に基づき、経路割引テーブルを参照して、経路割引の適用があるか否かを判定する(ステップST358)。
【0131】
経路割引の適用があると判定された場合(ステップST358−YES)、割引決定部569は、経路情報に基づき、経路割引テーブルを参照して、経路に応じた割引額または割引率を検索する。そして、全体通行料決定部564は、ステップST306で算出された全体通行料、または、ステップST357で算出された区間通行料に対して、割引決定部569により決定された割引額または割引率に応じた割引(例えば、300円引き)を行う。
一方、経路割引の適用がないと判定された場合(ステップST358−NO)、全体通行料決定部564は、ステップST306で算出された全体通行料を最終的な全体通行料とする。また、収受金額決定部565は、ステップST357で算出された区間通行料を最終的な全体通行料とする。
【0132】
次いで、収受金額決定部565は、最終的な全体通行料からから、情報取得部561により取得された累計収受金額を差し引いた差分を、収受金額に決定する(ステップST360)。収受金額決定部565は、決定した収受金額を示す情報を収受処理部566に出力する。
収受処理部566は、収受金額決定部565により決定された収受金額を収受する収受処理を実行する(ステップST361)。
【0133】
(第3実施形態に係る料金収受システムによる作用と効果)
上述の通り、本実施形態に係る料金収受システムにおいて、全体通行料決定部564は、通行情報に基づき、課金対象道路に含まれる経由地に関わらず有料道路に進入する際に通過した入口料金所に応じて予め決められている通行料を、全体通行料として決定する。
この構成により、車両が走行した経路に関わらず、同一の入口料金所から進入し、同一の出口料金所から退出した場合、通行料を同一にすることができる。これにより、例えば、本線R11の交通量を迂回路R12や迂回路R13に分散させたい場合、迂回路R12や迂回路R13を通過した場合の通行料と、迂回路R12や迂回路R13を通過せずに本線R11のみを走行した場合の通行料とを、同額にすることができる。
なお、その他の作用と効果については、第2実施形態において記載した内容と同様であるため、省略する。
【0134】
(第3実施形態に係る料金収受システムにおけるその他、各構成の置換や変更)
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0135】
例えば、上述において、全体通行料決定部564は、予め同一発着同一料金割引が適用された額を、全体通行料として決定する例について説明したが、これに限られない。例えば、全体通行料決定部564は、全体通行料に対して、その他の割引を適用してもよい。その他の割引には、例えば、電子式料金収受システムを利用する車両に対して時間帯や曜日に応じて適用される割引等が含まれる。