特許第6500352号(P6500352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6500352シロキサン除去剤およびそれを用いたシロキサン除去フィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500352
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】シロキサン除去剤およびそれを用いたシロキサン除去フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20190408BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20190408BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20190408BHJP
   C01B 32/30 20170101ALI20190408BHJP
【FI】
   B01J20/20 B
   B01D53/04 110
   B01J20/28 Z
   C01B32/30
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-119453(P2014-119453)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-231601(P2015-231601A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】増森 忠雄
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/169392(WO,A1)
【文献】 特開2013−103154(JP,A)
【文献】 特開2014−046260(JP,A)
【文献】 特開2013−103153(JP,A)
【文献】 特開2011−212565(JP,A)
【文献】 特開2009−011936(JP,A)
【文献】 特開2005−177737(JP,A)
【文献】 特開2005−046755(JP,A)
【文献】 特開2004−148170(JP,A)
【文献】 特開2002−058996(JP,A)
【文献】 特開昭60−222144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/28
B01J 20/30 − 20/34
B01D 53/02 − 53/12
B01D 53/34 − 53/73
B01D 53/74 − 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 32/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭に酸解離指数(pKa)2.2以下であり、かつ、分子量400以下である酸性化合物を0.1〜20重量%担持させたシロキサン除去剤において、前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10以上0.35以下であることを特徴とするシロキサン除去剤。
【請求項2】
請求項に記載のシロキサン除去剤を含有するシロキサン除去フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン類ガスの除去性能および低脱離性に優れたシロキサン除去剤、ならびに前記除去剤を用いたシロキサン除去フィルタに関する。さらに詳しくは、シロキサン類ガスを効率的に除去することができ、また、一旦除去したシロキサン類ガスが濃度、温度、湿度等の環境変化により脱離する問題の少ないシロキサン除去剤およびそれを用いたシロキサン除去フィルタに関する。なお、前記濃度、温度、湿度等の環境変化とは、濃度で0〜10vol%、温度で−30〜300℃、湿度で0〜100RH%の範囲内での変化のことである。シロキサン類ガスとは、シロキサン結合(Si−O結合)を有するガス状化合物のことであり、例えば、シロキサン結合数が1〜40の鎖状および環状のガス状化合物のことである。より具体的には、ヘキサメチルジシロキサン(L2)、オクタメチルトリシロキサン(L3)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、ドデカメチルペンタシロキサン(L5)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)等が挙げられる。また、ここで言う低脱離性とは、吸着容量と脱離量の比(吸着容量/脱離量)のことを指す。
【背景技術】
【0002】
大気中の汚染物質については、その種類は多岐にわたっており、硫化水素、アンモニア、アルデヒド、酢酸等の極性ガスおよびベンゼン、トルエン、スチレン、シロキサン類ガス等の低極性ガスから構成されている。特に、シロキサン類ガスは種々の弊害の原因となることが知られている。例えば、燃焼して生成する微粒子状の酸化ケイ素がガスタービンやガスエンジンに付着することによって引き起こされる発電障害の原因や、ガスセンサー表面においてシリカ皮膜を形成し、誤った警報の原因となる。
【0003】
従来から、シロキサン類ガスを除去する目的で、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ等の多孔質材料が多く用いられている。
【0004】
シロキサン化合物の吸着材として、ヨウ素のオキソ酸、臭素のオキソ酸、ヨウ素の酸化物、および臭素の酸化物からなる群から選択される少なくとも1種が表面に担持または添着された活性炭(例えば、特許文献1)、スルホン酸基を有する樹脂を担持した活性炭(例えば、特許文献2)およびスルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを添着した活性炭が知られている(例えば、特許文献3、4)。しかしながら、担持体としての活性炭に関する具体的な記載はない。例えば、一般的な活性炭に、ヨウ素酸、スルホン酸基を有する樹脂およびスルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを担持しても低脱離性が十分でないという問題がある。また、活性炭にスルホン酸基を有する樹脂およびスルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを担持させた場合、スルホン酸基を有する樹脂およびスルホン酸基修飾金属酸化物ゾルは分子量が大きく、分子サイズが大きいため、活性炭の細孔を閉塞してしまい、シロキサン類ガスを効率的に除去することができないという問題も生じる。
【0005】
上述のとおり、シロキサン類ガスを効率的に除去することができ、また、低脱離性に優れたシロキサン除去剤および前記シロキサン除去剤を用いたシロキサン除去フィルタは見当たらないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−58997号公報
【特許文献2】特開2011−212565号公報
【特許文献3】特開2013−103153号公報
【特許文献4】特開2013−103154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を背景になされたものであり、シロキサン類ガスを効率的に除去することができ、また、低脱離性に優れたシロキサン除去剤および前記シロキサン除去剤を用いたシロキサン除去フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、以下の通りである。
1.活性炭に酸性化合物を0.1〜20重量%担持させたシロキサン除去剤において、前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10以上であることを特徴とするシロキサン除去剤。
2.前記酸性化合物が酸解離指数(pKa)2.2以下である化合物である上記1に記載のシロキサン除去剤。
3.上記1または2に記載のシロキサン除去剤を含有するシロキサン除去フィルタ。
なお、酸解離指数(pKa)とは酸解離定数(Ka)より以下の式に従って算出される。また、酸解離定数(Ka)とは常温常圧(25℃、1atm)の条件における水中での酸解離定数(Ka)のことを指し、もし、酸解離指数(pKa)が複数ある場合は、最も小さい酸解離指数(pKa)のことを指す。
pKa=−log10Ka
【発明の効果】
【0009】
本発明によるシロキサン除去剤は、活性炭に酸性化合物を0.1〜20重量%担持させたシロキサン除去剤であり、前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10以上であり、前記酸性化合物が酸解離指数(pKa)2.2以下であり、分子量が1000以下である化合物であるため、シロキサン類ガスを効率的に除去することができ、また、低脱離性に優れるという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるシロキサン除去剤において、活性炭に酸性化合物を0.1〜20重量%担持させ、前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10以上である。活性炭に酸性化合物を0.1〜20重量%担持させ、前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10以上であることにより、シロキサン類ガスを効率的に除去することができ、さらには、低脱離性に優れることを本発明者は見出した。
【0011】
本発明のメカニズムについては明確ではないが、次のように推測される。まずは、(1)シロキサン類ガスと水分子が活性炭に吸着する。次に、(2)吸着したシロキサン類ガスは、近傍の酸性化合物と反応することによりシロキサン類ガスが活性化される。また、(3)その近傍に存在する水分子により、その活性化されたシロキサン類ガスの活性状態が維持される。さらに、(4)活性化されたシロキサン類ガス同士または活性化されたシロキサン類ガスと新たに活性炭に吸着した活性化されていないシロキサン類ガスが反応することにより、シロキサン類ガスが分子量のより大きいシロキサン類化合物へと変換される。分子量の大きいシロキサン類化合物は沸点が高いため、低脱離性が向上する、と考えられる。
【0012】
前記シロキサン除去剤において、活性炭に担持されている酸性化合物が0.1重量%未満であれば、前記(2)の進行が遅くなるため、シロキサン類ガスの脱離を十分に抑制することはできない。また、活性炭に担持されている酸性化合物が20重量%より大きければ、担持される酸性化合物により活性炭の細孔が閉塞され、前記(1)の進行が遅くなるため、シロキサン類ガスを効率的に除去することはできない。
【0013】
前記シロキサン除去剤の温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割った水分吸着量比が0.10未満であれば、前記(3)〜(4)が進行しないため、シロキサン類ガスの脱離を十分に抑制することはできない。水分吸着量比の上限については、特に限定しないが、0.4以下であることが好ましく、0.35以下がより好ましい。0.4より大きければ、水分子によりシロキサンの吸着が阻害され、前記(1)が進行しなくなるからである。
【0014】
本発明におけるシロキサン除去剤のBET比表面積については特に限定しないが、200〜3000m/gであることが好ましい。600〜1800m/gであることがより好ましく、1000〜1600m/gであることがさらに好ましい。BET比表面積が200m/gより小さければ、シロキサン類ガスとの接触面積が小さいため、効率的に除去することができない。BET比表面積が3000m/gより大きければ、活性炭の製造が困難になる。
【0015】
本発明におけるシロキサン除去剤の細孔容積については特に限定しないが、0.3〜2.0cc/gであることが好ましい。0.4〜1.0cc/gであることがより好ましく、0.5〜1.0cc/gであることがさらに好ましい。細孔容積が0.3cc/gより小さければ、シロキサン類ガスの吸着容量が小さくなり、効率的に除去することができない。細孔容積が2.0cc/gより大きければ、製造が著しく困難になる。
【0016】
本発明における活性炭は特に限定しないが、ヤシガラ系活性炭、石炭系活性炭、木質系活性炭、合成樹脂系活性炭等の一般的な活性炭を親水化したものが好ましい。具体的な、活性炭の親水化方法としては、硝酸、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水等の酸化性液体に活性炭を接触させる方法、酸素、オゾン、窒素酸化物等の酸化性ガスに接触させる方法等が好ましい。硝酸、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に接触させる方法がより好ましい。
【0017】
本発明における酸性化合物の酸解離指数(pKa)は2.2以下であることが好ましい。酸解離指数(pKa)が2.2より大きいと、活性炭に吸着したシロキサン類ガスと酸性化合物との反応が遅くなり、十分な低脱離性が得られないからである。酸解離指数(pKa)の下限値については、特に定めないが、−10以上であることが好ましい。もし、−10以下であれば、活性炭が溶解するおそれがあるからである。
【0018】
本発明における酸性化合物の分子量は1000以下であることが好ましい。500以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。分子量が1000より大きいと、活性炭に吸着したシロキサン類ガスと酸性化合物との反応が遅くなり、十分な低脱離性が得られないからである。酸性化合物としては、例えば、シュウ酸(pKa=1.23、分子量90)、マレイン酸(pKa=1.93、分子量116)、ベンゼンヘキサカルボン酸(pKa=1.40、分子量342)、ベンゼンペンタカルボン酸(pKa=1.80、分子量298)、ピロメリット酸(pKa=1.92、分子量254)等のカルボン酸類、亜硫酸(pKa=1.90、分子量82)、硫酸(pKa=−3.00、分子量98)、リン酸(pKa=2.12、分子量98)、亜リン酸(pKa=2.00、分子量82)、次亜リン酸(pKa=1.1、分子量66)等の無機酸類、リン酸メチル(pKa=1.54、分子量112)、リン酸ジメチル(pKa=1.29、分子量126)、イノシン酸(pKa=2.4、分子量348)等のリン酸エステル類、システイン(pKa=1.71、分子量121)、ヒスチジン(pKa=1.82、分子量155)等のアミノ酸類、p−トルエンスルホン酸(pKa=−2.80、分子量172)、ベンゼンスルホン酸(pKa=−2.80、分子量158)等のスルホン酸類等およびこれらを含む混合物が好ましい。比較的容易に入手できる無機酸類、スルホン酸類およびこれらを含む混合物であることがより好ましい。安価に入手できる硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびこれらを含む混合物がさらに好ましい。
【0019】
本発明における活性炭に担持される酸性化合物の担持量は0.1〜20重量%である。1〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。担持量が0.1重量%未満であれば、酸性化合物の含有量が少ないため、シロキサン類ガスの脱離を十分に抑制することはできない。担持量が20重量%より大きければ、酸性化合物の担持量が多いため、活性炭の細孔が閉塞され、効率的に吸着することができない。
【0020】
本発明における酸性化合物の種類については特に限定しないが、常温常圧(25℃、1atm)条件下で液体または固体であることが好ましい。常温常圧で気体であれば、活性炭への担持が困難になるからである。
【0021】
本発明における酸性化合物は、溶解度1g以上であることが好ましい。溶解度が1g未満であれば、活性炭表面に酸性化合物を担持することが困難になり、シロキサン類ガスの脱離を十分に抑制することはできない。なお、ここでいう溶解度とは、温度20℃で、水100gに溶ける溶質の質量のことを指す。
【0022】
本発明における活性炭への酸性化合物の担持方法については特に限定しないが、酸性化合物の水溶液に活性炭を含浸させ、次いで乾燥させる方法、または、酸性化合物の水溶液を霧状・ミスト状にして活性炭に吹き付け、次いで乾燥させる方法が好ましい。
【0023】
本発明におけるシロキサン除去フィルタはシロキサン除去剤を含有することが好ましい。前記シロキサン除去フィルタの製造方法については、特に限定しないが、シート化されたシロキサン除去剤を、平面状、プリーツ状、ハニカム状に加工するという製造方法が好ましい。プリーツ状は直行流型フィルタとしての使用において、また、ハニカム状は平行流型フィルタとしての使用において、処理する気体との接触面積を大きくして除去効率を向上させるとともに、脱臭フィルタの低圧損化を同時に図ることができる。
【0024】
本発明におけるシロキサン除去剤をシート化する方法としては特に制限されず、従来公知の加工方法を用いることができる。例えば、(a)シート構成繊維と共にシロキサン除去剤粒子を水中に分散させ脱水することにより得られる湿式シート化法、(b)シート構成繊維と共にシロキサン除去剤粒子を気中分散させることにより得られるエアレイド法、(c)二層以上の不織布または織布、ネット状物、フィルム、膜の層間に、熱接着によりシロキサン除去剤を充填する方法、(d)エマルジョン接着剤、溶剤系接着剤を利用して不織布、織布、発泡ウレタンなどの通気性材料にシロキサン除去剤を結合担持させる方法、(e)基材、ホットメルト接着剤の熱可塑性等を利用して不織布、織布、発泡ウレタンなどの通気性材料にシロキサン除去剤を結合担持させる方法、(f)シロキサン除去剤を繊維または樹脂に練りこむことにより混合一体化する方法等、用途に応じて適当な方法を用いることができる。界面活性剤、水溶性高分子等を用いる必要がなく、多孔質体自身の細孔閉塞を防止することができるため、前記加工方法(b)、(c)、(e)を用いることが好ましい。
【0025】
本発明におけるシロキサン除去剤およびシロキサン除去フィルタは、屋内、乗り物内、壁紙、家具、内装材、樹脂成形体、電気機器等で、シロキサン類ガスを低減する目的で広く用いることができる。特に空気中に含有されるシロキサン類ガスの除去目的で用いることが好ましく、例えば、粒状物を通気性の箱、袋、網等の容器に充填し、静置または通気させて用いることが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例によって本発明の作用効果をより具体的に示す。下記実施例は本発明方法を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。なお、実施例中で測定した特性値の評価方法を以下に示す。
【0027】
[BET比表面積、全細孔容積の測定方法]
サンプル約100mgを採取し、120℃で24時間真空乾燥した後、秤量した。自動比表面積装置ジェミニ2375(マイクロメリティックス社製)を使用し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素ガスの吸着量を相対圧が0.02〜0.95の範囲で徐々に高めながら40点測定し、前記サンプルの吸着等温線を作製した。自動比表面積装置ジェミニ2375に付属の解析ソフト(GEMINI−PCW version1.01)にて、BET条件で、表面積解析範囲を0.01〜0.15に設定して、BET比表面積[m/g]を求めた。また、相対圧0.95のデータより全細孔容積[cc/g]を求めた。
【0028】
[水分吸着量比の測定方法]
サンプル10gを採取し、80℃で72時間真空乾燥した後に、始点重量[g]を測定した。温度25℃±0.5℃の固定床流通式ガラスカラムにサンプルを均一に充填し、温度25℃、相対湿度40%の水蒸気/窒素の混合ガスを2L/minでカラム内に流通させた。30分毎にサンプル重量を測定し、30分間での重量変化が5mg以内になったところで終点とし、その時の重量を終点重量[g]とした。終点重量と始点重量の差を始点重量で割ることにより、温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量[mg/g]を算出した。カラム内に流通させる水蒸気/窒素の混合ガスを温度25℃、相対湿度90%に変え、上記と同様に測定し、温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量[mg/g]を算出し、さらに、温度25℃、相対湿度40%時の水分吸着量を温度25℃、相対湿度90%時の水分吸着量で割ることにより、水分吸着量比[−]を算出した。
【0029】
[シロキサン吸着/脱離の測定方法]
粒子直径355〜500μmに分級されたサンプルを、内径15mmφのガラス管中に、サンプル層の厚みが0.32cmになるように充填した。これに、オクタメチルシクロテトラシロキサン(環状シロキサンD4)15ppmを含有する温度25℃、湿度50%RHの空気を10L/minで連続的に流通させた。サンプルの入口側と出口側のガスを1分毎にサンプリングし、FID付きガスクロマトグラフ(GC−2014、島津製作所製)において、シロキサン濃度を測定し、その比から除去率[%]を算出した。この除去率が5%以下になるまで流通、濃度測定を続けた。サンプルの入口側と出口側のガス濃度差、流通させた流量、および、測定時の温度から除去量を算出し、時間と除去量の曲線を時間で積分したものをサンプル重量で割ることにより、シロキサン吸着容量[mg/g]を算出した。
次に、この除去率が5%以下になるまで流通、濃度測定を続けたサンプルについて、シロキサンを含有しない温度25℃、湿度50%RHの空気を10L/minで連続的に流通させ、サンプルの出口側のガスを1分毎にサンプリングし、FID付きガスクロマトグラフ(GC−2014、島津製作所製)において、シロキサン濃度を20分間測定した。サンプルの出口側のガス濃度、流通させた流量、および、測定時の温度から脱離量を求め、時間と脱離量の曲線を時間(20分間)で積分したものをサンプル重量で割ることにより、シロキサン脱離量[mg/g]を算出した。シロキサン吸着容量[mg/g]をシロキサン脱離量[mg/g]で割ることにより、低脱離性[−]を算出した。
【0030】
(実施例1)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)25mgをイオン交換水650mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0031】
(実施例2)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0032】
(実施例3)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0033】
(実施例4)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
濃硫酸(和光純薬工業製、分子量98、pKa=−3.00、溶解度200g以上)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmの硫酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0034】
(実施例5)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
シュウ酸(和光純薬工業製、分子量90、pKa=1.23、溶解度10.2g)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのシュウ酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0035】
(実施例6)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
ベンゼンヘキサカルボン酸(東京化成工業製、分子量342、pKa=1.40、溶解度10g以上)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのベンゼンヘキサカルボン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0036】
(実施例7)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
リン酸(和光純薬工業製、分子量98、pKa=2.12、溶解度200g以上)25mgをイオン交換水450mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのリン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0037】
(実施例8)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)0.1gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に室温で4時間処理を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させることにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)50mgをイオン交換水420mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭450mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸10重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0038】
(実施例9)
次亜塩素酸ナトリウム溶液(和光純薬工業製)1.4gとイオン交換水1.4gを混合し次亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製した。ヤシガラ系活性炭(BET比表面積:1880m/g、全細孔容積:0.83cc/g、粒径:355〜500μm)3gと調製した次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを攪拌混合した。その後、80℃で終夜乾燥させることにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)50mgをイオン交換水420mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭450mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸10重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0039】
(比較例1)
石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)についてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0040】
(比較例2)
石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gについて0.1mol/L塩酸50ml中に投入し、12時間攪拌を行った。その後、ろ過し、100mlのイオン交換水で5回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0041】
(比較例3)
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)25mgをイオン交換水650mgに溶解させ、その水溶液と石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0042】
(比較例4)
ナフィオン10%分散液DE1021(和光純薬工業製、分子量1000〜10000、pKa=−3.10)350mgをイオン交換水300mgを混合し、その混合溶液と石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)475mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのナフィオン5重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0043】
実施例1〜9、比較例1〜4に関して、BET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った結果を表1に示す。表1より明らかなように、本発明である実施例1〜9は、水分吸着量比が0.10未満の場合(比較例1〜4)と比較して、低脱離性に優れることが分かる。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例10)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)2mgをイオン交換水1380mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭998mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸0.2重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0046】
(実施例11)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)20mgをイオン交換水1350mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭980mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸2重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0047】
(実施例12)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)100mgをイオン交換水1240mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭900mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸10重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0048】
(実施例13)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)150mgをイオン交換水1170mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭850mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸15重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0049】
(実施例14)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)200mgをイオン交換水1100mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭800mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸20重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0050】
(比較例5)
濃硝酸(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0051】
(比較例6)
硝酸(1.38)(ナカライテスク製)5gとイオン交換水12gを混合し硝酸水溶液を調製した。石炭系活性炭(BET比表面積:1460m/g、全細孔容積:0.92cc/g、粒径:355〜500μm)3gを調製した硝酸水溶液中に投入した後に100℃程度まで加熱し、4時間の還流処理を行った。室温まで冷却した後に、ろ過し、100mlのイオン交換水で10回洗浄を行い、80℃で終夜乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、350℃で4時間処理することにより親水化された活性炭が得られた。
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業製、分子量172、pKa=−2.80、溶解度67g)300mgをイオン交換水970mgに溶解させ、その水溶液と親水化された活性炭700mgとを撹拌混合した。その後、80℃条件で6時間乾燥させた後、分級し、粒子直径355〜500μmのp−トルエンスルホン酸30重量%担持サンプルを得た。この得られたサンプルについてBET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った。
【0052】
実施例1、10〜14、比較例5〜6に関して、BET比表面積、全細孔容積測定、水分吸着量比測定、シロキサン吸着/脱離測定を行った結果を表2に示す。表2より明らかなように、本発明である実施例1、および、実施例10〜14は、酸性化合物が担持されていない場合(比較例5)、および、酸性化合物の担持量が20重量%よりも大きい場合(比較例6)と比較して、低脱離性に優れることが分かる。
【0053】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によりシロキサン類ガスを効率的に除去することができ、また、一旦除去したシロキサン類ガスが環境変化により脱離する問題が少ないため、産業界に大きく寄与することが期待できる。