特許第6500392号(P6500392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500392
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 7/09 20060101AFI20190408BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190408BHJP
   F21V 29/505 20150101ALI20190408BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20190408BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20190408BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20190408BHJP
【FI】
   F21V7/09 500
   F21S2/00 230
   F21V29/505
   F21V29/70
   F21V14/04
   F21Y103:00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-227328(P2014-227328)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-91897(P2016-91897A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 和宏
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−032981(JP,U)
【文献】 特開2007−134174(JP,A)
【文献】 特開平04−136835(JP,A)
【文献】 特開2000−030516(JP,A)
【文献】 実開昭54−027626(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0129093(US,A1)
【文献】 実開昭58−100352(JP,U)
【文献】 特開2013−008666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/00
F21V 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の光源と、この光源の周囲を囲み、頂部にスリットを備えた樋状の主反射鏡とを筐体内に備えた光照射装置において、
前記主反射鏡は、頂部で分割されて一対の反射体を備え、前記一対の反射体は、前記光源に沿って延びる取付板に取り付けられた第1保持体と、前記筐体に取り付けられた第2保持体との間に架け渡されて固定され、
前記取付板は、前記取付板を照射方向に貫通する前記スリットを備え、
前記主反射鏡の両端部には、前記光源と前記主反射鏡との間に、前記主反射鏡と隙間を空けて補助反射鏡を備え
前記補助反射鏡は、矩形の平板状に形成され、前記光源の幅方向において、前記補助反射鏡の幅が前記光源の幅方向および前記スリットの幅よりも大きく形成され、被照射面と平行となるように配置されて前記取付板に取り付けられていることを備えたことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記主反射鏡の両端部に端面反射鏡を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記主反射鏡は端部側が反射方向を調整可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状の光源を備えた光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樋状の主反射鏡内に線状の光源を収め、光源の直接光及び主反射鏡の反射光を光照射対象物に照射する光照射装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−75227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、光源の長手方向の照度は、光源の長手方向中央に対して光源の端部近傍で急激に下がり、照度むらの原因となる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光源の長手方向の照度均斉度を向上可能な光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、線状の光源と、この光源の周囲を囲み、頂部にスリットを備えた樋状の主反射鏡とを筐体内に備えた光照射装置において、前記主反射鏡は、頂部で分割されて一対の反射体を備え、前記一対の反射体は、前記光源に沿って延びる取付板に取り付けられた第1保持体と、前記筐体に取り付けられた第2保持体との間に架け渡されて固定され、前記取付板は、前記取付板を照射方向に貫通する前記スリットを備え、前記主反射鏡の両端部には、前記光源と前記主反射鏡との間に、前記主反射鏡と隙間を空けて補助反射鏡を備え、前記補助反射鏡は、矩形の平板状に形成され、前記光源の幅方向において、前記補助反射鏡の幅が前記光源の幅方向および前記スリットの幅よりも大きく形成され、被照射面と平行となるように配置されて前記取付板に取り付けられていることを備えたことを特徴とする。
【0007】
上述の構成において、前記主反射鏡の両端部に端面反射鏡を備えてもよい。
【0008】
上述の構成において、前記主反射鏡は端部側が反射方向を調整可能に構成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源と主反射鏡との間に補助反射鏡を備えたため、光源の長手方向の照度均斉度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光照射装置の構成を示す図である。
図2】ランプユニットを示す図であり、(A)は側面図、(B)は(A)のII−II側面図である。
図3】ランプユニットの上面図である。
図4図2のIV−IV断面図である。
図5】光の経路を模式的に示す図である。
図6】照度分布を示すグラフである。
図7】第2の実施形態に係る位置可変反射鏡を示す図であり、(A)は基準状態を、(B)は調整後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る光照射装置1の構成を示す正面透視図である。
光照射装置1は、例えば、帯状の光照射対象物2(図2参照)に紫外線を照射する紫外線照射装置であり、例えばフィルムコーティング用に最適な装置である。光照射装置1は、設置面Fに載置されるケース10内に、照射器設置架台15に設置された照射器20と、光照射対象物2が載置されるワークステージ5とを備えている。
【0012】
照射器20は、光源たる直管型ランプ7を備え、本実施形態においては、照射器20の直下に配置されたワークステージ5に載置された光照射対象物2に光を下向きに照射する。なお、光照射装置1は、下向き照射の他に、横向き照射や、上向き照射等、照射方向を任意に選択できる構成であってもよい。なお、本実施形態において、上下とは、照射器20の直下に配置されたワークステージ5に載置された光照射対象物2に光を下向きに照射する場合の構成に基づくものである。
直管型ランプ7は、放電ランプであり、少なくとも光照射対象物2の幅と同等以上に延びる長尺の直管型(棒状、線状)の紫外線ランプが用いられている。直管型ランプ7は、詳細については後述するが、直管型ランプ7の長手方向に沿って直管型ランプ7を囲繞するように設けられた反射鏡ユニット80と一体にランプユニット30に取り付けられ、ランプユニット30は、照射器20に着脱自在に収容されている。
【0013】
照射器20には、換気用の通気口21が設けられている。通気口21には、ケース10の外部に連通する換気ダクト11が接続されている。通気口21の内側には、不図示の送風ファンが設けられる。この送風ファンにより、照射器20内には冷却風が流れ、直管型ランプ7及びその周辺が直接空冷される。
【0014】
図2はランプユニット30を示す図であり、図2(A)は側面図、図2(B)は図2(A)のII−II側面図である。図3はランプユニット30の上面図であり、図4図2のIV−IV断面図である。なお、図2図4では、反射鏡ユニット80の一端側を示すが、他端側も一端側の構成と略同一のため、図示を省略する。
ランプユニット30は、図2に示すように、下面が開口する箱形の筐体31内に直管型ランプ7と反射鏡ユニット80とを収め、照射器20内に着脱自在に収容される。
筐体31は、鉄、ステンレス等の剛性を有する金属製材料から構成される。筐体31は、上面パネル32、一対の側面パネル33、及び、一対の端面パネル34を備えて構成され、下方に開口する照射開口45を備えている。
筐体31の上面パネル32には、図3に示すように、筐体31内に直管型ランプ7及びその周辺を空冷するための空気が流通する通気孔32aが長手方向に沿って複数設けられている。
【0015】
筐体31の内部には、直管型ランプ7を支持する管端支持部39と、直管型ランプ7に電気エネルギーを供給する電源供給機構(不図示)とが備えられる。直管型ランプ7は、管端支持部39により両端部が支持されて筐体31内に収容されると共に、電源供給機構から電気エネルギーが供給されて発光する。
直管型ランプ7は、例えば発光長が1850mm程の長尺の高出力直管型ランプである。直管型ランプ7は、石英ガラス等の高耐熱性と透光性を有する材料から構成される発光管の内部に、水銀やメタルハロゲン化物が封入された高圧放電ランプである。
【0016】
反射鏡ユニット80は、図4に示すように、主反射鏡8と、取付板35と、取付板35及び筐体31の側面パネル33の間で主反射鏡8を保持する第1保持体36a,36b及び第2保持体38a,38bと、を備えて構成される。
主反射鏡8は、断面楕円形、かつ直管型ランプ7の長手方向に沿って延びるシリンドリカル凹面反射鏡であり、直管型ランプ7の光を集光して照射開口45から光照射対象物2に照射する。本実施形態では、主反射鏡8は、コールドミラーとして構成されているが、主反射鏡8の構成はこれに限定されるものではない。
主反射鏡8は、図3図4に示すように、頂部8aで2つに分割されて一対の反射体9を備えており、反射体9は、弓状に湾曲した複数枚の板状の小片鏡(反射面)9a,9bを断面楕円形状に組み合わせて構成される。各鏡9a,9bは、ガラスの凹面側表面に反射性を有する被膜を付着形成して反射性を付与している。各鏡9a,9bは、直管型ランプ7の管軸真上に設けられた取付板35に取り付けられた第1保持体36a,36bと、筐体31の側面パネル33に取り付けられた第2保持体38a,38bとの間に架け渡されて固定されている。
【0017】
直管型ランプ7の一方の側面7aからの光を反射する鏡9aと、直管型ランプ7の他方の側面7bからの光を反射する鏡9bとは、それぞれ、図4に示すように、ランプユニット30の長手方向に複数連結され、一対の反射体9の一方および他方を構成している。また、鏡9aと、鏡9bとは、ランプユニット30の長手方向に沿って、互いにずれた位置に配置されている。この構成によれば、鏡9a,9bをランプユニット30の長手方向に複数の小片に分割して形成することで主反射鏡8を着脱等の作業上で取扱い易くすることができるとともに、製造コストを下げることができる。また、鏡9aと、鏡9bとを、ランプユニット30の長手方向に沿って、互いにずれた位置に配置したため、隣り合う鏡9a,9a及び鏡9b,9bのつなぎ目に当たる反射光の光路への影響を低減することができる。
本実施形態では、発光長1850mmの直管型ランプ7に対して、直管型ランプ7の長さ方向に80mmの長さを有する鏡9a,9bを設けている。なお、最外の鏡9a,9bは直管型ランプ7の全長に合わせて適宜長さが設定されている。
【0018】
取付板35は、図3図4に示すように、主反射鏡8を筐体31に取り付ける部材であり、直管型ランプ7の真上に設けられ、直管型ランプ7の管軸に沿って延びている。取付板35は、図示は省略するが、筐体31の端面パネル34に両端が、例えばねじ等の締結具で固定されている。取付板35は、断面四角形の管状に形成される取付板であり、上下に貫通する複数の通風孔(スリット)35aが互いに所定間隔でランプユニット30の長手方向に沿って複数設けられている。各通風孔35aは、長穴形状に形成することができる。
第1保持体36a,36bは、取付板35の両側面に各々固定されて、直管型ランプ7の管軸に沿って延びている。
【0019】
第2保持体38a,38bは、筐体31の側面パネル33の照射開口45近傍にランプユニット30の長手方向に沿って取り付けられた固定具37a,37bに其々支持されている。第2保持体38a,38bは、互いに所定の間隔を開けて、隣り合う鏡9a,9a及び鏡9b,9bのつなぎ目に対応する位置に取り付けられる。
【0020】
光照射対象物2においては、直管型ランプ7の両端部側で、直管型ランプ7の長手方向中央に対して紫外線照度が弱くなる。特に直管型ランプ7は電極を有することから、電極付近で紫外線照度が弱くなる。
そこで、本実施形態では、反射鏡ユニット80は、主反射鏡8の両端部8b,8bに、端面反射鏡50と、補助反射鏡60とを備えている。
【0021】
端面反射鏡50は、樋状に形成された主反射鏡8の両端部8b,8bの開口8cを塞ぐように設けられ、光照射対象物2の外に漏れる光を光照射対象物2に向けて反射することで、直管型ランプ7及び主反射鏡8の照射による照度分布を補う。
詳述すると、この光照射装置1では、直管型ランプ7及び主反射鏡8のみで照射した場合、図2に示すように、直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dで照度が不足する。この光照射装置1では、この領域Dの照度不足を反射光によって補うように端面反射鏡50が構成されている。
【0022】
具体的には、端面反射鏡50は、図2乃至図4に示すように、直管型ランプ7の両端部に、互いに対面する一対の端板51を有し、その内壁面が反射面として構成されている。本実施形態では、端板51は、鋼にアルミめっきを施した鋼板、或いは、アルミ材にアルマイト処理を施したアルミ板として構成されているが、端板51の構成はこれに限定されるものではない。端板51は、直管型ランプ7の発光端P近傍(本実施形態では、発光端Pの外側近傍)に位置している。また、端板51は主反射鏡8の開口8cを覆う大きさに形成され、本実施形態では、端板51は主反射鏡8の開口8cよりも上側に大きく形成されている。
端板51の先端部51aには、直管型ランプ7を貫通させる切り欠き部52が形成されている。切り欠き部52は、光照射対象物2に向けて開口しており、この開口から直管型ランプ7が切り欠き部52に挿入される。
【0023】
係る構成の下、一対の端板51は、上述の領域Dに向けて光を反射し、この反射光によって領域Dの照度が補われる。
また、端板51は、領域Dの照度分布を制御できるよう、傾斜角度θを調整可能に構成されている。具体的には、端板51は、ねじ等の締結具53,54で主反射鏡8に傾斜角度θを調整可能に固定されている。端板51の傾斜角度θ(被照射面の鉛直方向Nに対する角度、本実施形態では、8°)は、照度を補うべき領域Dに反射光を照射するように調整され、これにより、均斉度が高められる。
なお、本実施形態では、各端板51の上部に少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の固定用締結具53(例えば、ねじ)が、下部に少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の調整用締結具54(例えば、調整用ねじ)が設けられている。この調整用締結具54により、端板51の下部の主反射鏡8に対する位置が調整されることで、端板51の傾斜角度θが調整できる。また、端板51に固定用締結具53を挿入するための2つの貫通孔55が、直管型ランプ7の中心軸Cを挟んで配置されている。貫通孔55は、長孔に形成されるとともに、中心軸Cを中心とした円に沿うように配置されている。
【0024】
補助反射鏡60は、直管型ランプ7の両端であって直管型ランプ7と主反射鏡8との間に、一対の上部反射板61を有し、その内壁面が反射面として構成されている。本実施形態では、上部反射板61は、アルミ材にアルマイト処理を施したアルミ板として構成されているが、上部反射板61の構成はこれに限定されるものではない。
上部反射板61の形状及び大きさは、必要な均斉度に合わせて適宜設定される。本実施形態では、上部反射板61は、矩形の板状に形成され、その幅Wが直管型ランプ7の幅よりも大きく形成されるとともに、直管型ランプ7の長手方向の長さLが50mmに形成されている。
上部反射板61は、取付板35にねじ等の締結具62で固定されている。また、上部反射板61は、光照射対象物2の被照射面と略平行となるように設けられている。
【0025】
ここで、直管型ランプ7及びその周辺を空冷する空気の流れを説明すると、照射器20の通気口21の内側に設けられた不図示の送風ファンの駆動により、ランプユニット30の内部には、図4に示すように、照射開口45を介して冷却風が取り入れられる。図4中の矢印Aは、ランプユニット30の内部での冷却風の流れを示す。矢印Aに示すように、照射開口45から取り入れられた冷却風は、直管型ランプ7及びその周辺を冷却し、取付板35の通風孔35a、筐体31の上面パネル32に設けられた通気孔32aを通って、換気ダクト11により光照射装置1のケース10外部に排気される。
上部反射板61は、通風孔35aを塞がないように、主反射鏡8と隙間δを空けて配置されている。これにより、照射開口45から取り入れられた冷却風は、上部反射板61と直管型ランプ7との間の空間を流れるとともに、上部反射板61と主反射鏡8との間の隙間δを流れ、通風孔35aに流通する。したがって、補助反射鏡60を設けても、通風孔35aに冷却風を流通させることができるので、冷却風の流れを疎外することを防止できる。
【0026】
図5は、反射鏡ユニット80による光の経路を模式的に示す図である。図5では、直管型ランプ7のサンプル箇所からの光の経路が示されている。
図5に示すように、端面反射鏡50により、主反射鏡8の両端部8b,8bの側方に向かう光を光照射対象物2に向けて反射できるので、光照射対象物2に反射できる光量を増加させることができる。また、この端面反射鏡50の傾斜角度θを調整することで、端面反射鏡50によって直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dに光を集めることができるので、光照射対象物2の均斉度を高めることができる。
また、補助反射鏡60により、主反射鏡8の通風孔35aに向かう光を、光照射対象物2に向けて反射できるので、光照射対象物2に反射できる光量を増加させることができる。また、補助反射鏡60は直管型ランプ7の両端部に設けたため、補助反射鏡60によって直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dに光を集めることができるので、光照射対象物2の均斉度を高めることができる。
【0027】
図6は、照度分布を示すグラフである。なお、図6では、縦軸に被照射面の中心の照度を100%としたときの照度の相対値(%)を、横軸に被照射面の中心からの距離を示す。また、図6中、線R1は端面反射鏡50及び補助反射鏡60を設けない場合、線R2は鋼板の端面反射鏡50のみを用いた場合、線R3はアルミ板の端面反射鏡50のみを用いた場合、線R4は補助反射鏡60のみを用いた場合、線R5はアルミ板の端面反射鏡50と、補助反射鏡60とを用いた場合の結果を示す。
線R1及び線R2に示すように、端面反射鏡50を設けることで照度を向上させることができる。また、線R2及び線R3に示すように、鋼板よりもアルミ板の端面反射鏡50の方が照度を向上させることができる。
【0028】
線R1及び線R4に示すように、補助反射鏡60を設けることで照度を向上させることができる。線R4及び線R5に示すように、端面反射鏡50及び補助反射鏡60の両方を設けることで、照度をより向上させることができる。
なお、本実施形態では、有効照射領域の長手方向の長さは片側800mmである。800mmの位置では、端面反射鏡50及び補助反射鏡60を設けない場合(線R1)、照度の相対値が約75%であるのに対し、端面反射鏡50及び補助反射鏡60を設ける場合(線R5)、照度の相対値が約83%になり、相対値を向上させることができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、直管型ランプ7と、この直管型ランプ7の周囲を囲み、頂部8aに通風孔35aを備えた樋状の主反射鏡8とを備えた光照射装置1において、主反射鏡8の両端部には、直管型ランプ7と主反射鏡8との間に、補助反射鏡60を備える構成とした。この構成により、直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dの照度不足を補助反射鏡60の反射光によって補うことができるので、直管型ランプ7の長手方向の照度均斉度を向上できる。
【0030】
また、本実施形態によれば、補助反射鏡60は、通風孔35aを塞がないように、主反射鏡8と隙間δを空けて配置したため、補助反射鏡60を配置しても、直管型ランプ7や主反射鏡8等の光学部材を冷却できる。
【0031】
また、本実施形態によれば、主反射鏡8の両端部に端面反射鏡50を備えたため、直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dの照度不足を端面反射鏡50の反射光によって補うことができるので、直管型ランプ7の長手方向の照度均斉度を向上できる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、反射鏡ユニット80が、主反射鏡8の両端部に、端面反射鏡50と、補助反射鏡60とを備えていたが、第2の実施形態では、主反射鏡8の端部側が反射方向を調整可能に構成されている。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図7は、第2の実施形態に係る位置可変反射鏡70を示す図であり、図7(A)は基準状態を、図7(B)は調整後を示す。
反射鏡ユニット180は、最外の鏡9a,9bを有する位置可変反射鏡70,70と、位置可変反射鏡70,70間に設けられ、最外の鏡9a,9b以外の他の鏡9a,9bを有するユニット本体180aとを備えている。
位置可変反射鏡70は、主反射鏡8の両端部8b,8bが直管型ランプ7の中心軸Cに対して角度を調整可能にされて構成されている。
詳述すると、各位置可変反射鏡70は、主反射鏡8の最外の鏡9a,9bと、最外の鏡9a,9bに対応する取付板35と、最外の鏡9a,9bに対応する第1保持体36a,36bと、最外の鏡9a,9bに対応する固定具37a,37bと、最外の鏡9a,9bに対応する第2保持体38a,38bと、端板51と、上部反射板61とを備えて構成されている。主反射鏡8の最外の鏡9a,9bは、他の鏡9a,9bと分離して設けられている。また、取付板35、第1保持体36a,36b、固定具37a,37b及び第2保持体38a,38bも、最外の鏡9a,9bに対応する部分、換言すれば最外の鏡9a,9bの長さに相当する部分、が残りの部分と分離して設けられている。
【0034】
ユニット本体180aは、主反射鏡8の他の鏡9a,9bと、他の鏡9a,9bに対応する取付板35と、他の鏡9a,9bに対応する第1保持体36a,36bと、他の鏡9a,9bに対応する固定具37a,37bと、他の鏡9a,9bに対応する第2保持体38a,38bとを備えて構成されている。
【0035】
各位置可変反射鏡70は、筐体31に対して回動軸71を介して回動自在に支持されている。
位置可変反射鏡70は、筐体31(本実施形態では、上面パネル32)に設けた調整具72(例えば、調整用ねじ)により、中心軸Cに対する取付角度φが調整され、最外の鏡9a,9b、端板51及び上部反射板61の反射方向が調整される。
直管型ランプ7を支持する管端支持部39は端板51に支持されている。位置可変反射鏡70の調整の際には、まず、管端支持部39のホルダーを緩めて管端支持部39と直管型ランプ7との固定を解除する。次に、調整具72によって位置可変反射鏡70を回動軸71を中心に回動するとともに取付角度φを固定する。そして、管端支持部39のホルダーを締めて直管型ランプ7を管端支持部39に固定する。
【0036】
位置可変反射鏡70の位置(角度)を調整することで、光照射対象物2の外に漏れる光を光照射対象物2に向けて反射でき、光照射対象物2に反射できる光量を増加させることができる。また、位置可変反射鏡70の位置(角度)を調整することで、直管型ランプ7の両端部に対応する領域Dに光を集めることができるので、光照射対象物2の均斉度を高めることができる。
なお、直管型ランプ7を貫通させる切り欠き部52は、位置可変反射鏡70の回動角度が調整されても、直管型ランプ7の端部が端板51に接触しない程度の大きさに形成される。
【0037】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態によれば、主反射鏡8は端部8b,8b側が反射方向を調整可能に構成されているため、主反射鏡8の端部8b,8bの反射方向を調整することで、直管型ランプ7の長手方向の照度均斉度をより精密に向上できる。
【0038】
なお、位置可変反射鏡70は、回動軸71を中心に回動可能に支持されることで位置を可変させていたが、位置を可変させる構造は、回動式に限らず、例えば、スライド式であてもよい。
また、位置可変反射鏡70では、主反射鏡8の軸が直管型ランプ7の中心軸Cと平行となる基準状態において、上部反射板61が被照射面と略平行となるように設けられているが、上部反射板61は被照射面に対する角度が調整可能に構成されていてもよい。
【0039】
但し、上述の実施形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上述の実施形態では、冷却機構を空冷機構としたが、液体を用いた冷却機構であってもよい。この場合においても、主反射鏡8を、例えば一対の反射体9を備える分割式とすることで、主反射鏡8を容易に形成できる。
また、上述の実施形態では、主反射鏡8の頂部に複数の通風孔35aを形成していたが、1つの通気孔を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、スリットを通風孔35aとして説明したが、主反射鏡8に通風しない場合には、通風機能のないスリットであってもよい。
【0040】
また、上述の実施形態では、線状の光源を直管型ランプ7として説明したが、線状の光源はこれに限定されるものではなく、直管型ランプ7に代えて、例えば紫外線LED等の発光素子を直線状に配列した線状の光源を用いることもできる。線状の光源が照射する光は紫外線に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 光照射装置
7 直管型ランプ(光源)
8 主反射鏡
8a 頂部
8b 端部
35a 通風孔(スリット)
50 端面反射鏡
60 補助反射鏡
δ 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7