(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクスルケース側から前記クローラ側へ向けて延出しており、前記支持フレームに設けられた長孔に挿入されて前記クローラの前記駆動軸まわりの揺動を規制する規制シャフトをさらに備え、
前記規制シャフトの長さは、
前記第2プレートが前記第1プレートに固定可能な位置のうち前記アクスルケースから最も離れた位置に固定された場合であっても前記長孔に到達する長さであること
を特徴とする請求項1に記載のクローラを備える作業車両。
前記軸受け部は、車両本体におけるフェンダの下方に位置し、前記第1プレートは、前記軸受け部の下方に位置し、前記クローラは、前記フェンダよりも前記車両本体の外方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載のクローラを備える作業車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のクローラ式走行装置においてトレッドを変更する場合、スペーサ部材を支持板と支持筒体との間から取り外し、揺動軸を支持筒体に対して左右方向へ移動させた後、駆動輪、前後従動輪および遊転輪を移動させる。この場合、駆動輪、前後従動輪および遊転輪だけを移動させるものではないため、トレッドの変更作業が煩雑になっていた。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、トレッド調節を容易に行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のクローラを備える作業車両は、駆動軸(14)と、前記駆動軸(14)に対して軸方向に摺動可能であり、クローラ(3)のクローラベルト(19)を回転駆動する駆動スプロケット(15)と、前記駆動軸(14)の基端側が収容されるアクスルケース(9)および前記駆動スプロケット(15)の間に設けられ、前記駆動軸(14)を回転自在に軸受けする軸受け部(40)と、前記軸受け部(40)に設けられる第1プレート(61)と、前記クローラ(3)を支持する支持フレーム(42)と、前記支持フレーム(42)に設けられる第2プレート(62)とを備え、前記第1プレート(61)および前記第2プレート(62)は、相互に当接した状態で、前記軸方向におけ
る相対位置で固定され
かつ前記軸方向に固定位置を変更可能に固定され、前記駆動スプロケット(15)は、前記相対位置に対応する位置で前記駆動軸(14)に固定されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のクローラを備える作業車両は、請求項1に記載のクローラを備える作業車両において、前記アクスルケース(9)側から前記クローラ(3)側へ向けて延出しており、前記支持フレーム(42)に設けられた長孔(53)に挿入されて前記クローラ(3)の前記駆動軸(14)まわりの揺動を規制する規制シャフト(51)をさらに備え、前記規制シャフト(51)の長さは、前記第2プレート(62)が前記第1プレート(61)に固定可能な位置のうち前記アクスルケース(9)から最も離れた位置に固定された場合であっても前記長孔(53)に挿入される長さであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のクローラを備える作業車両は、請求項1または2に記載のクローラを備える作業車両において、前記軸受け部(40)は、車両本体におけるフェンダ(11)の下方に位置し、前記第1プレート(61)は、前記軸受け部(40)の下方に位置し、前記クローラ(3)は、前記フェンダ(11)よりも前記車両本体の外方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載のクローラを備える作業車両によれば、駆動スプロケットおよび第2プレートを、左右方向に摺動させるだけの簡単な作業でトレッドを変更することができる。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載のクローラを備える作業車両によれば、規制シャフトが長孔に挿通されることで、クローラの揺動を所定範囲に規制することができる。また、トレッドに関わらず規制シャフトは長孔に挿通されるようになり、トレッドの変更時に規制シャフト側で変更のための作業を行う必要がない。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3に記載のクローラを備える作業車両によれば、軸受け部、第1プレートおよび第2プレートが露出するうえ、これら各部の周辺に作業スペースを確保することができる。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るクローラを備える作業車両の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
図1は、クローラを備える作業車両の概略側面図である。
図2は、クローラを備える作業車両の概略背面図である。なお、以下では、作業車両として、トラクタを例に説明する。また、トラクタは、後輪の代わりにクローラを備える、いわゆるセミクローラトラクタである。さらに、以下の説明においては、前後方向とは、作業車両、すなわち、トラクタの直進時における進行方向であり、進行方向前方側を前後方向前側、後方側を前後方向後側と規定する。トラクタの進行方向とは、トラクタ直進時において、後述する操縦席からステアリングハンドルに向かう方向であり、ステアリングハンドル側が前側、操縦席側が後側となる。
【0015】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。ここでは、前後方向前側に向けて左右を規定する。すなわち、オペレータが操縦席に着いて前方を向いた状態で、左手側が左方向であり、右手側が右方向である。さらに、鉛直方向とは、前後方向および左右方向に対して直交する方向である。したがって、前後方向、左右方向および鉛直方向は、互いに3次元で直交することとなる。
【0016】
図1に示すように、トラクタ1は、前輪2と、クローラ(クローラユニット)3と、駆動源(エンジン)4と、変速装置(トランスミッション)5とを備える。このうち、前輪2は、主に操舵用の車輪、すなわち、操舵輪として設けられる。また、クローラユニット3は、主に駆動用として設けられる。クローラユニット3へは、車両本体前部1Fのボンネット6内に搭載されたエンジン4で発生した回転動力を、トランスミッション5で適宜減速して伝達可能とする。クローラユニット3では、回転動力によって駆動力を発生する。
【0017】
トランスミッション5は、ミッションケース7と、ミッションケース7内に配置され、エンジン4からクローラユニット3などへ回転動力を伝達する動力伝達機構(図示省略)とを含んで構成される。なお、動力伝達機構は、エンジン4の回転動力を、車両本体後部1Rに連結される後述する作業機(図示省略)へ伝達し、クローラユニット3や作業機を駆動するものである。
【0018】
また、トラクタ1では、車両本体のメインフレーム8からクラッチケース、ミッションケース7などが一体的に連結される。
図2に示すように、ミッションケース7の後部には、後述する駆動軸14が内装されるアクスルケース(リアアクスルケース)9が設けられる。リアアクスルケース9の左右にはクローラユニット3が設けられる。
【0019】
また、
図1に示すように、トラクタ1の車両本体上には、操縦席10が設けられ、操縦席10の左右には、車両本体のフェンダ(後部フェンダ)11が配置される。また、操縦席10の前側のダッシュボード12には、ステアリングハンドル13が設けられ、操縦席10の周辺には、クラッチペダルやアクセルペダルなどの各種操作ペダル、前後進レバーや変速レバーなどの各種操作レバーが配置される。
【0020】
図1および
図2に示すように、クローラユニット3は、駆動軸14の左右方向の先端部に設けられる。ここから、
図3および
図4を参照してクローラユニット3について詳細に説明する。
図3は、クローラの拡大概略側面図である。
図4は、クローラの拡大概略背面図(一部断面)である。
図3に示すように、クローラユニット3は、駆動スプロケット15と、前後の従動輪16,17と、複数の転輪18と、クローラベルト19とを備える。駆動スプロケット15は、後述するクローラベルト19を回転駆動する。また、駆動スプロケット15は、駆動軸14に対して左右方向に摺動可能に取り付けられる。ここで、
図4に示すように、駆動軸14の先端部には、軸方向に所定間隔をあけて並んだ複数(
図4の例では、3つ)の位置決め孔14aが設けられる。駆動スプロケット15は、駆動軸14に取り付けられた状態でボルトなどの位置決め固定具20が位置決め孔14aに取り付けられることで、駆動軸14に対して軸方向に沿った複数箇所のうちいずれか選択的に固定される。
【0021】
前後の従動輪のうち、前後方向前側の従動輪16は、前後方向に延伸する連結フレーム21の前端部に取り付けられる。前側の従動輪16は、クローラベルト19にテンションを付与する従動輪(以下、テンション従動輪という)である。また、前後方向後側の従動輪17は、テンション従動輪16から固定従動輪17までの間を連結する連結フレーム21の後端部に取り付けられる。後側の従動輪17は、可動側のテンション従動輪16に対して固定側となる従動輪(以下、固定従動輪という)である。
【0022】
また、テンション従動輪16は、連結フレーム21の前側下方に向けて設けられた四角筒状のシリンダケース22にスプリング23で押出し付勢された四角筒状のピストン軸24の先端部に支持軸25を介して軸まわりに回転可能に支持される。なお、シリンダケース22は、スプリング23の付勢力を調整するボルト26aおよびナット26bがシリンダケース22の後端部に設けられ、ヘアピン27で固定されるため、浸水しにくい。また、シリンダケース22には、長孔状の点検窓28が設けられる。これにより、ピストン軸24の押出し位置を視認することができる。なお、テンション従動輪16を軸受けする軸受け29には、グリースを供給するためのボス孔(グリース供給部)が設けられる。
【0023】
また、固定従動輪17は、連結フレーム21の支持軸30に軸受け31を介して軸まわりに回転可能に支持される。なお、固定従動輪17の軸受け31には、グリースを供給するためのグリース供給部が設けられる。また、支持軸30の軸端には、排気弁が設けられる。
【0024】
複数の転輪18は、前後方向に並んで、クローラベルト19の回転をガイドするものであり、トラックフレーム32に固定された転輪支持軸33に軸受け34を介して回転可能に支持される。なお、各支持軸33および軸受け34には、グリースを供給するためのグリース供給部が設けられる。また、各支持軸33の軸端には、排気弁が設けられる。
【0025】
クローラベルト19は、駆動スプロケット15、テンション従動輪16、固定従動輪17および複数の転輪18にわたって掛け回される。なお、複数の転輪18は、前後方向から見た場合、クローラベルト19の中央の突起19aを左右方向から挟み込んでおり、これにより、クローラベルト19の回転をガイドすることができる(
図5参照)。
【0026】
図4に示すように、リアアクスルケース9に収容され、リアアクスルケース9から延伸する駆動軸14の先端部には、断面六角形状のスプライン部14bが形成される。また、駆動スプロケット15は、スプライン部14bに嵌合する六角形状の開口を有する。これにより、駆動スプロケット15は、駆動軸14の軸方向に摺動可能になるとともに、駆動軸14の軸まわりの回転が規制される。また、駆動軸14に対して駆動スプロケット15を位置固定する位置決め固定具(位置決めピン)20には、がたつきをなくすために押しボルトが併用される。さらに、駆動スプロケット15の回転軸(六角形状の開口)近傍にも、グリースを供給するためのボス孔(グリース供給部)15aが設けられる。
【0027】
また、駆動スプロケット15およびリアアクスルケース9の間には、駆動軸14を軸まわりに回転可能に軸受けする軸受け部(ベアリングケース)40が設けられる。ベアリングケース40の下方には、支柱部40aを介して後述する第1プレート61が、ベアリングケース40と一体的に設けられる。ベアリングケース40の両端部には、駆動軸14に対してベアリングケース40をオイルシールした状態で取り付けるために、フランジを有する封止部材41が取り付けられる。これにより、たとえば、高圧洗車時の圧力水がベアリングケース40内に入り込むことを防止することができる。さらに、封止部材41の内周面に形成された溝部には、Oリング41aが配置される。これにより、駆動軸14の耐久性を向上させることができる。また、ベアリングケース40は、駆動軸14に対してリーマボルトで固定される。これにより、トレッド変更を容易に行うことができる。たとえば、平行ピンは、分解時に取り外しが困難な場合がある。したがって、少なくとも平行ピンによる位置決めよりもトレッド変更を容易に行うことができる。なお、ベアリングケース40は、クローラユニット3を所定の揺動範囲で揺動させるための揺動支点となる。このような揺動支点を有する揺動機構50については、
図3および
図5を用いて後述する。
【0028】
トラックフレーム32およびベアリングケース40の間には、基端部がトラックフレーム32に連結され、先端部がベアリングケース40に連結される支持フレーム42が設けられる。支持フレーム42の先端部には、後述する第2プレート62が支持フレーム42と一体的に設けられる。
【0029】
ここで、
図3および
図5を参照してトラクタ1の揺動機構50について説明する。
図5は、揺動機構50の説明図である。トラクタ1は、クローラユニット3の前後方向の揺動を規制する、換言すれば、クローラユニット3の前後方向の所定範囲の揺動を許容する揺動機構50を備える。
図3および
図5に示すように、揺動機構50は、規制シャフト51と、長孔53とを備える。
図5に示すように、規制シャフト51は、ミッションケース7から左右方向へ突出した後に鉛直下方へ延伸する支持ブラケット52の先端部に取り付けられ、リアアクスルケース9側からクローラユニット3側へ向けて延伸して設けられる。なお、
図5には、クローラユニット3の一部を示している。また、
図5には、一部断面で示している部分がある。
【0030】
規制シャフト51の先端部は、クローラユニット3側において支持フレーム42の左右方向内方の面に設けられる長孔53に挿通される。
図3に示すように、長孔53は、駆動スプロケット15の円周方向に沿って長い孔である。すなわち、長孔53は、駆動スプロケット15が揺動中心(駆動スプロケット15の回転中心)から円周方向にオフセットされるように設けられる。また、規制シャフト51は、クローラユニット3のトレッドを変更しても長孔53への挿通状態が維持される程度に長尺に形成される。したがって、トレッド変更時に揺動機構50の変更作業を行う必要はない。
【0031】
また、規制シャフト51は、支持ブラケット52の先端部において、クローラユニット3側へ向けられた円筒状の保持部材54に挿通され、左右方向の位置決めのためのピン(図示省略)によってクローラユニット3側への延出長さを適宜変更可能に保持される。このような構成とすることで、規制シャフト51は、ピンを外すことで簡単に取り外すことができる。これにより、支持フレーム42などの各部の着脱作業が容易となる。また、支持ブラケット52は、ミッションケース7などの大型部材にボルトなどで固定される。これにより、支持ブラケット52を強固に保持することができる。
【0032】
また、支持ブラケット52を、ミッションケース7への固定をホイール仕様の場合に用いるリアフレーム55との共締めとすることも可能である。このように、ホイール仕様における部品固定部にクローラユニット(たとえば、セミクローラ)仕様の部品を追加で取り付けることで、ホイール仕様およびクローラ仕様の部品共用性を高めることができる。これにより、クローラ仕様とする場合のコストアップを抑えることができる。
【0033】
また、支持ブラケット52は、連結部材56を介して左右一体的に設けられ、さらに、左右のリアアクスルケース9に固定される。このように、左右のリアアクスルケース9を連結部材52を介して連結することで、リアアクスルケース9の剛性を向上させることができる。さらに、クローラ仕様化による負荷の増大にも対応することができる。
【0034】
ここで、上述したようなトラクタ1には、後端部に設けられる3Pリンク機構に、たとえば、たまねぎ用の苗移植機などが昇降可能に装着される。たまねぎ用の苗移植機には、たとえば、2条植え、4条植えなどがあり、このような苗移植機が装着されることで、2条1組とするなどして畝100にたまねぎのポット苗101を植え付けることができる(
図5参照)。また、トラクタ1は、畝100と畝100との間の溝の間隔などに応じて、トレッド調節を行うことがある。
【0035】
ここから、
図3、
図5、
図6および
図7を参照してクローラユニット3のトレッド調節について説明する。
図6は、第1プレートおよび第2プレートの説明図である。なお、
図6は、(a)に第1プレートおよび第2プレートをそれぞれ示し、(b)に第1プレートおよび第2プレートを重ねた状態を示している。また、
図7は、トレッド変更時のクローラユニット3の動作説明図である。
図3および
図5に示すように、軸受け部であるベアリングケース40の下方には、第1プレート61が面を鉛直下方へ向けて設けられる。
図6(a)に示すように、第1プレート61は、矩形状のプレートであり、表面から裏面へ貫通する複数のトレッド調節孔61aが所定の配置で設けられる。
【0036】
また、
図3および
図5に示すように、支持フレーム42の先端部には、第2プレート62が面を鉛直上方へ向けて設けられる。
図6(a)に示すように、第2プレート62は、矩形状のプレートであり、表面から裏面へ貫通する複数のトレッ調節孔62aが所定の配置で設けられる。第1プレート61および第2プレート62は、相互に当接して重ね合わせて配置された状態で、かつ、互いにトレッド調節孔61a,62aが連通された状態でトレッド固定具であるボルト63を締め付けて固定される。また、ベアリングケース40の第1プレート61に対して支持フレーム42の第2プレート62が摺動可能であり、第2プレート62を左右方向に摺動させてから、互いのトレッド調節孔61a,62aにボルト63を締め付ける。これにより、第1プレート61および第2プレート62は、対向する面を当接させた状態で連結される。そして、ベアリングケース40に設けられることで位置固定された第1プレート61に対して、支持フレーム42に設けられることでクローラユニット3側にある第2プレート62は、左右方向に固定位置を変更することができる。また、第1プレート61および第2プレート62がそれぞれ、複数のトレッド調節孔61a,62aを有することで、細かく変更することができるとともに、複数の選択肢の中からボルト固定位置を決めることができる。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0037】
また、第1プレート61および第2プレート62のそれぞれのトレッド調節孔61a,62aは、トレッドの変更間隔を小さくするために左右方向のピッチが適宜変更されて設けられる。これにより、地域ごとに必要なトレッドが異なる畑作体系への適応性を向上させることができる。また。それぞれのトレッド調節孔61a,62aは、第1プレート61および第2プレート62が、トレッドが狭い位置に配置される場合には左右方向のピッチが狭い側の調節孔61a,62aを使用し、トレッドが広い位置に配置される場合には左右方向のピッチが広い側の調節孔61a,62aを使用する。これにより、トレッドが広い位置では、調節孔61a,62aのピッチが広いため、大きな荷重がかかる条件であってもボルト63の緩みを防止することができる。
【0038】
図7に示すように、クローラユニット3のトレッド調節のために、クローラユニット3のトレッドを変更する場合、まず、第1プレート61および第2プレート62を固定しているボルト63を取り外す。次に、駆動スプロケット15を駆動軸14の先端部に固定している位置決めピン20を取り外して駆動スプロケット15を左右方向に摺動させる。この場合、駆動スプロケット15は、駆動軸14の先端部のスプライン部14bによって軸まわりの回転が規制されており、軸方向への摺動のみ行うことができる。また、駆動スプロケット15の摺動に伴い、第1プレート61に対して第2プレート62が駆動スプロケット15に追従するように摺動する。次に、駆動スプロケット15を所望の位置まで摺動させると、駆動スプロケット15を駆動軸14の先端部に位置決めピン20によって固定し、第1プレート61および第2プレート62をボルト63によって連結固定する。このように、左右方向への摺動動作でトレッドを変更することができるため、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0039】
また、
図2および
図4に示すように、トラクタ1では、軸受け部であるべリングケース40が後部フェンダ11の下方に位置する。また、第1プレート61は、ベアリングケース40の下方に位置する。さらに、クローラユニット3は、フェンダ11よりも車両本体の左右方向の外方に位置する。これにより、前後方向から見た場合に、ベアリングケース40とクローラユニット3とが重ならないため、作業スペースを確保することができ、グリスアップなどのメンテナンス作業が容易となる。また、同様に、前後方向から見た場合に、第1プレート61(および第2プレート62)とクローラユニット3とが重ならないため、作業スペースを確保することができ、トレッド調節の作業が容易となる。
【0040】
上述した実施形態に係るクローラを備える作業車両によれば、駆動スプロケット15および第2プレート62を左右方向に摺動させるだけの簡単な作業でトレッドを変更することができる。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。また、トレッド調節が容易に行えることから、畝にあわせた作業が容易に可能になり、作物の栽培、とくに、たまねぎ栽培への適用性を高めることができる。また、地域ごとに必要なトレッドが異なるような畑作体系への適応性を向上させることができる。
【0041】
また、揺動機構50を構成する規制シャフト51が長孔53に挿通されることで、クローラユニット3の揺動を所定範囲に規制することができる。また、トレッドによらず規制シャフト51は長孔53に挿通されるようになり、トレッドの変更時に規制シャフト51側で変更のための作業を行う必要がない。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0042】
また、軸受け部であるベアリングケース40、第1プレート61および第2プレート62が露出するうえ、これら各部の周辺に作業スペースを確保することができる。これにより、トレッド調節を容易に行うことができる。
【0043】
なお、上述した実施形態に係るクローラを備える作業車両では、車両本体の後部に後輪に相当する後部クローラ(クローラユニット)3を備える構成としているが、クローラユニット3だけでなく、前輪についてもトレッド調節可能に構成してもよい。また、このように構成する場合、前輪2およびクローラユニット3のトレッドを一操作で調節するように構成することも可能である。このような構成によれば、トレッド調節を容易に行えることから、畝にあわせた作業が容易に可能になり、作物の栽培(とくに、たまねぎ栽培)への適用性を高めることができる。
【0044】
また、このような構成とする場合、転輪18の幅をクローラベルト19の幅と略同一に構成してもよい。このような構成によれば、転輪18のクローラベルト19への接触幅を大きくとることができ、クローラにかかる荷重を分散することができる。これにより、クローラユニット3の耐久性を向上させることができ、クローラユニット3の寿命を延ばすことができる。また、転輪18がクローラベルトの外部に露出しないため。畝に沿った作業を行っても土などが転輪18に入り込まないため、対地作業性が向上するようになる。
【0045】
また、上述した実施形態に係るクローラを備える作業車両では、駆動スプロケット15を駆動軸14に対して位置決め孔14aに位置決め固定具20を取り付けることで、軸まわりの回転を規制しつつ軸方向に摺動可能としているが、これに限定されず、駆動軸14にスプラインが形成され、駆動軸14に軸方向に並んだ凹部を設け、凹部に駆動スプロケット15が嵌り込むように構成するようにしてもよい。また、第1プレート61および第2プレート62においても、互いに対向する面に摺動可能な程度の緩やかな凹凸を設け、所望の位置でクランプ機構などを介して2つのプレート61,62を押し付けて位置固定するよな構成であってもよい。
【0046】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。