特許第6500511号(P6500511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500511
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】スイッチング素子のドライブ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/687 20060101AFI20190408BHJP
   H02M 1/08 20060101ALN20190408BHJP
【FI】
   H03K17/687 A
   !H02M1/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-44410(P2015-44410)
(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公開番号】特開2016-165040(P2016-165040A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】千葉 明輝
【審査官】 橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−043886(JP,A)
【文献】 特開2012−186563(JP,A)
【文献】 特開2011−244615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/687
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号が入力される一次巻線とスイッチング素子を駆動する第1の二次巻線とを有するトランスと、
前記第1の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に充電され、前記第1の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に第1抵抗を介して放電され、一端が前記第1の二次巻線の一端に接続される第1コンデンサと、
前記第1の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に前記第1抵抗に接続された第2抵抗を介して放電され、前記第1の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に充電され、一端が前記第1の二次巻線の一端に接続される第2コンデンサと、
第1駆動電源と、
コレクタが前記第1駆動電源の正極に接続され、エミッタが前記スイッチング素子のゲートと前記第1の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第2抵抗を介して前記第2コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第2コンデンサの電圧と前記第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づき前記第1駆動電源の電源供給を受けてオンすることにより前記スイッチング素子をオンさせる第2トランジスタと、
コレクタが前記第1駆動電源の負極に接続され、エミッタが前記スイッチング素子のゲートと前記第1の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第1抵抗を介して前記第1コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第1コンデンサの電圧と前記第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づきオンすることにより前記スイッチング素子をオフさせる第1トランジスタと、
を備えることを特徴とするスイッチング素子のドライブ回路。
【請求項2】
前記第2トランジスタは、前記第2コンデンサが前記第2抵抗を介して放電されるときオンして、前記第1駆動電源を介して前記スイッチング素子をオンさせ、
前記第1トランジスタは、前記第1コンデンサが前記第1抵抗を介して放電されるときオンして、前記スイッチング素子をオフさせることを特徴とする請求項1記載のスイッチング素子のドライブ回路。
【請求項3】
前記第1抵抗と前記第1トランジスタのベースとエミッタとの直列回路の両端に接続される第1ダイオードと、
前記第2抵抗と前記第2トランジスタのベースとエミッタとの直列回路の両端に接続される第2ダイオードと、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング素子のドライブ回路。
【請求項4】
前記トランスは、さらに第2の二次巻線を有し、
前記第2の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に充電され、前記第2の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に第3抵抗を介して放電され、一端が前記第2の二次巻線の一端に接続される第3コンデンサと、
前記第2の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に前記第3抵抗に接続された第4抵抗を介して放電され、前記第2の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に充電され、一端が前記第2の二次巻線の一端に接続される第4コンデンサと、
第2駆動電源と、
コレクタが前記第2駆動電源の正極に接続され、エミッタが前記第2スイッチング素子のゲートと前記第2の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第4抵抗を介して前記第4コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第4コンデンサの電圧と前記第2の二次巻線の電圧との合計電圧に基づき前記第2駆動電源の電源供給を受けてオンすることにより第2スイッチング素子をオンさせる第4トランジスタと、
コレクタが前記第2駆動電源の負極に接続され、エミッタが前記第2スイッチング素子のゲートと前記第2の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第3抵抗を介して前記第3コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第3コンデンサの電圧と前記第2の二次巻線の電圧との合計電圧に基づきオンすることにより前記第2スイッチング素子をオフさせる第3トランジスタと、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のスイッチング素子のドライブ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、如何なるデューティ幅でも一定のゲート電圧で安定にスイッチング素子を駆動できるスイッチング素子のドライブ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング素子のドライブ回路としては、例えば、特許文献1に記載されたドライブ回路が知られている。図9は、従来のスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。
【0003】
図9において、パルス信号によりトランジスタQ6とトランジスタQ7とが交互にオンオフし、オンオフ信号がトランスTの一次巻線Pと二次巻線Sとを介してスイッチング素子Q8のゲートに印加されて、スイッチング素子Q8をオンオフすることができる。
【0004】
このように、スイッチング素子Q8を駆動する場合、パルストランス駆動においては、図10(a)に示すようにパルス信号のデューティが50%以下の場合でも、図10(b)に示すようにパルス信号のデューティが50%以上の場合でも、トランスTの二次側が電圧時間積で釣り合ってしまう。即ち、パルス信号の1周期において、正値のピーク電圧Vaの面積と負値のピーク電圧Vbの面積とが等しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−345194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デューティが50%以上のパルス信号を得ようとすると、電圧時間積の釣り合いにより、所望のピーク電圧Vaを得ることが困難となる。さらに、デューティを広げていくと、ピーク電圧Vaがスイッチング素子Q8のゲート閾値電圧に達することができなくなる。このため、スイッチング素子Q8を駆動できなくなることがある。
【0007】
本発明の課題は、いかなるデューティ幅でも一定のゲート電圧で安定にスイッチング素子を駆動できるスイッチング素子のドライブ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスイッチング素子のドライブ回路は、駆動信号が入力される一次巻線とスイッチング素子を駆動する第1の二次巻線とを有するトランスと、前記第1の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に充電され、前記第1の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に第1抵抗を介して放電され、一端が前記第1の二次巻線の一端に接続される第1コンデンサと、前記第1の二次巻線の一端に他端よりも高い電圧が発生した時に前記第1抵抗に接続された第2抵抗を介して放電され、前記第1の二次巻線の他端に一端よりも高い電圧が発生した時に充電され、一端が前記第1の二次巻線の一端に接続される第2コンデンサと、第1駆動電源と、コレクタが前記第1駆動電源の正極に接続され、エミッタが前記スイッチング素子のゲートと前記第1の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第2抵抗を介して前記第2コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第2コンデンサの電圧と前記第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づき前記第1駆動電源の電源供給を受けてオンすることにより前記スイッチング素子をオンさせる第2トランジスタと、コレクタが前記第1駆動電源の負極に接続され、エミッタが前記スイッチング素子のゲートと前記第1の二次巻線の他端に接続され、ベースが前記第1抵抗を介して前記第1コンデンサの他端に接続され、既に充電されている前記第1コンデンサの電圧と前記第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づきオンすることにより前記スイッチング素子をオフさせる第1トランジスタとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2トランジスタは、既に充電されている第2コンデンサの電圧と第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づき駆動電源の電源供給を受けてオンすることによりスイッチング素子をオンさせ、第1トランジスタは、既に充電されている第1コンデンサの電圧と第1の二次巻線の電圧との合計電圧に基づきオンすることによりスイッチング素子をオフさせる。即ち、如何なるデューティ幅でも駆動電源から一定のゲート電圧をスイッチング素子に印加できるので、安定にスイッチング素子を駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路の動作を説明するための図である。
図3】本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路の動作を説明するための図である。
図4】本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路の各部のタイミングチャートである。
図5】本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路のデューティが小さい時及び大きい時のスイッチング素子のゲート波形を示す図である。
図6】本発明の実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。
図7】本発明の実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路の各部のタイミングチャートである。
図8】本発明の実施例3に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。
図9】従来のスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。
図10】従来のスイッチング素子のドライブ回路のデューティが小さい時及び大きい時のスイッチング素子のゲートパルス波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。図1において、トランスTaは、端子aと端子bとに接続され且つ駆動信号が入力される一次巻線Pと、端子cと端子dとに接続される二次巻線Sとから構成される。二次巻線Sの両端には、コンデンサC1とダイオードD1との直列回路が接続される。
【0013】
コンデンサC1の一端には二次巻線Sの一端とコンデンサC2の一端が接続される。コンデンサC1の他端にはベース抵抗R1の一端とダイオードD1のアノードが接続される。ベース抵抗R1の他端はバイポーラ型で且つpnp型のトランジスタQ1のベースとバイポーラ型で且つnpn型のトランジスタQ2のベースとベース抵抗R2の一端とに接続される。
【0014】
コンデンサ2の他端はベース抵抗R2の他端とダイオードD2のカソードとに接続される。ダイオードD1のカソードとトランジスタQ1のエミッタとトランジスタQ2のエミッタとダイオードD2のアノードと抵抗R3の一端とは、二次巻線Sの他端に接続される。
【0015】
抵抗R3の他端は、スイッチング素子Q3のゲートに接続される。トランジスタQ2のコレクタは電源Vccの正極に接続され、トランジスタQ1のコレクタは電源Vccの負極とスイッチング素子Q3のソースに接続される。
【0016】
なお、コンデンサC1はトランスTaの端子cに接続されている側を正電圧とし、コンデンサC2はダイオードD2のカソードに接続されている側を正電圧とする。ベース抵抗R1は、スイッチング素子Q3のベースからコンデンサC1へ向かう方向を正電流とし、ベース抵抗R2は、コンデンサC2からトランジスタQ2のベースに向かう方向を正電流とする。
【0017】
次にこのように構成された実施例1のスイッチング素子のドライブ回路の動作を図2及び図3図4のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0018】
なお、図4において、Vabは端子aと端子bとの間の電圧、Vcdは端子cと端子dとの間の電圧、C1vはコンデンサC1の両端電圧、C2vはコンデンサC2の両端電圧、R1iはベース抵抗R1に流れる電流、R2iはベース抵抗R2に流れる電流、Q3gは、スイッチング素子Q3のゲートに印加される電圧を示す。
【0019】
まず、図2を参照しながら、図4の期間T1の動作を説明する。図2において、トランスTaの端子aと端子bとの間に、端子aの電圧が端子bの電圧よりも大きくなるようにパルス電圧を印加し、トランスTaの二次側に図2又は図3の電圧Vaが発生している状態での電流の様子を示す。
【0020】
印加された電圧VabによりトランスTaの端子aから端子bに電流が流れると、同時にトランスTaの二次側に発生した電圧Vcdにより電流が発生して、一つは、Ta→C1→D1→Taの第一経路で電流が流れ、コンデンサC1は急速充電されて電圧C1vが上昇する。もう一つは、Ta→C2→R2→Q2のベース→Q2のエミッタ→Taの第二経路で電流R2iが流れる。
【0021】
このとき、ダイオードD1とトランジスタQ2のベース−エミッタ間の順方向電圧はほぼ等しいため、ベース抵抗R1の両端電圧は等しくなり、ベース抵抗R1には電流R1iが殆ど流れないので、ベース抵抗R1に流れる電流経路は無視できる。
【0022】
また、第二経路によりトランジスタQ2はターンオンし、Vcc→Q2→R3→Q3のゲートの経路でスイッチング素子Q3の入力容量Cissを充電してスイッチング素子Q3はターンオンする。このとき、スイッチング素子Q3のゲート電圧Q3gは、Vccとなる。
【0023】
また、トランスTaが逆極性で電流が流れた時にはTa→D2→C2→Taの第三経路で既にコンデンサC2は電圧Vbで充電されているから、トランスTaの二次側出力Vaにより第二経路は、ベース抵抗R2を介して合計電圧Vs(正値電圧Va+負値電圧Vb、図10参照)でトランジスタQ2を駆動している。トランスTa出力とコンデンサC2の電荷によりベース抵抗R2を介してトランジスタQ2を駆動するので、第二経路はコンデンサC2の電荷放電経路である。
【0024】
次に、図3を参照しながら、図4の期間T2の動作を説明する。まず、期間T2において、トランスTaの端子aと端子bとの間に、端子bの電圧が端子aの電圧よりも大きくなるようにパルス電圧を印加し、トランスTaの二次側に図2又は図3のVbが発生している状態での電流の様子を示す。
【0025】
印加された電圧VabによりトランスTaの端子bから端子aに電流が流れると、同時にトランスTaの二次側に発生した電圧Vcdにより電流が発生して、一つは、Ta→D2→C2→Taの第三経路で電流が流れ、コンデンサC2は急速充電されて電圧C2vが上昇する。もう一つは、Ta→Q1のエミッタ→Q1のベース→R1→C1→Taの第四経路で電流R1iが流れる。
【0026】
このとき、ダイオードD2とトランジスタQ1のベース−エミッタ間の順方向電圧はほぼ等しいため、ベース抵抗R2の両端電圧は等しくなり、ベース抵抗R2には電流R2iが殆ど流れないので、ベース抵抗R2に流れる電流経路は無視できる。
【0027】
また、第二経路によりトランジスタQ1はターンオンし、Q3のゲート→R3→Q1のゲートの経路でスイッチング素子Q3の入力容量Cissを放電してスイッチング素子Q3をターンオフさせる。
【0028】
また、コンデンサC1は第一経路で電圧Vaで充電されているから、トランスTaの二次側出力Vbにより第四経路は、ベース抵抗R1を介して合計電圧Vs(正値電圧Va+負値電圧Vb、図10参照)でトランジスタQ1を駆動している。トランスTa出力とコンデンサC1の電荷によりベース抵抗R1を介してトランジスタQ1を駆動するので、第四経路はコンデンサC1の電荷放電経路である。
【0029】
期間T1では、コンデンサC1は電圧Vaで急速充電され、既に電圧Vbで充電されているコンデンサC2の電圧とトランスTaの二次側電圧Vaの合計でベース抵抗R2を介してトランジスタQ2を駆動して、スイッチング素子Q3をターンオンさせる。
【0030】
期間T2では、コンデンサC1は既に電圧Vbで充電された電圧VaとトランスTaの二次側電圧Vbの合計でベース抵抗R1を介してトランジスタQ1を駆動して、スイッチング素子Q3をターンオフさせ、コンデンサC2を急速に充電させる。
【0031】
このように実施例1のスイッチング素子のドライブ回路によれば、期間T1では、コンデンサC1が第一経路により、期間T2では、コンデンサC2が第三経路により急速充電するので確実に充電される。また、期間T1では、第二経路によりコンデンサC2はベース抵抗R2で放電され、期間T2では、第四経路によりコンデンサC1はベース抵抗R1で放電される。
【0032】
即ち、コンデンサC1,C2ともに充電速度が放電速度よりも充分に大きいことから、トランジスタQ1,Q2はそれぞれのベース抵抗R1,R2を介して常にほぼ電圧Vaと電圧Vbとの合計値(放電による電圧傾斜があるため、ほぼとした)で駆動される。
【0033】
さらに、期間T1ではベース抵抗R1の両端電圧、期間T2ではベース抵抗R2の両端電圧がほぼ等しくなることから、それぞれの期間ではベース抵抗R1,R2にほぼ電流が流れない。このため、充電経路と放電経路とを分離でき、コンデンサC1,C2を安定に充放電することができる。
【0034】
従って、トランジスタQ1,Q2は安定して駆動され、如何なるデューティ幅でもスイッチング素子Q3のゲートを安定して一定の電源Vccで駆動することができる。また、構成が簡単になる。
【0035】
図5(a)は、デューティが小さい時、例えばデューティ4.7%時のスイッチング素子Q3のゲート波形を示す。図5(b)は、デューティが大きい時、例えばデューティ93.6%時のスイッチング素子Q3のゲート波形を示す。図5(b)に示すデューティ93.6%時の電圧Vaが、従来の図10(b)に示す電圧Vaよりも充分に大きくなっていることから、スイッチング素子Q3のゲートを安定して駆動することができる。
【実施例2】
【0036】
図6は、本発明の実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。図7は、本発明の実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路の各部のタイミングチャートである。
【0037】
図1に示す実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路のトランスTaの一次巻線Pと二次巻線Sとが同相であるのに対して、図6に示す実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路のトランスTbの一次巻線Pと二次巻線S1とが逆相である点が異なる。
【0038】
このため、図4と同様のパルス信号をトランスTbの端子aと端子bとの間に印加すると、一次巻線Pに対して二次巻線S1が逆相に巻回されているため、トランスTbの端子cと端子dとの間には、電圧Vabを反転した電圧Vcdが発生する。このため、図7に示す電圧C1v,C2v、電流R1i,R2i、電圧Q3gは、図4に示す電圧C1v,C2v、電流R1i,R2i、電圧Q3gを反転したものとなる。
【0039】
従って、実施例2に係るスイッチング素子のドライブ回路は、実施例1に係るスイッチング素子のドライブ回路に対して反転した動作が行われるのみで、その効果は実施例1の効果と同様となる。
【実施例3】
【0040】
図8は、本発明の実施例3に係るスイッチング素子のドライブ回路の回路構成を示す図である。図8において、トランスTcは、一次巻線P、一次巻線Pと同相の第1の二次巻線S、一次巻線Pと逆相の第2の二次巻線S1からなる。
【0041】
第1の二次巻線Sに対応して、電源Vcc1、コンデンサC1,C2、トランジスタQ1,Q2、ベース抵抗R1,R2、抵抗R3、ローサイド用のスイッチング素子Q3a、即ち、図1に示す構成が設けられる。
【0042】
第2の二次巻線S1に対応して、電源Vcc2、コンデンサC3,C4、トランジスタQ4,Q5、ベース抵抗R4,R5、抵抗R6、ハイサイド用のスイッチング素子Q3b、即ち、図6に示す構成が設けられる。
【0043】
このスイッチング素子のドライブ回路は、スイッチング素子Q3aとスイッチング素子Q3bとがトーテムポール接続され、ハーフブリッジ構成されており、スイッチング素子Q3aとスイッチング素子Q3bとを交互にオンオフ動作させることができる。また、如何なるデューティ幅でもスイッチング素子Q3a,Q3bのゲートを安定して一定の電源Vccで駆動することができる。
【符号の説明】
【0044】
Ta,Tb,Tc トランス
P 一次巻線
S,S1 二次巻線
C1〜C4,C11 コンデンサ
R1〜R6,R11,R12 抵抗
Q1,Q2,Q4〜Q7
Q3,Q3a,Q3b,Q8 スイッチング素子
Vcc,Vcc1,Vcc2 直流電源
D1〜D4 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10