(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ部の周囲に配置される振れ補正用マグネット部と、前記振れ補正用マグネット部から離間して配置される振れ補正用コイル部と、前記振れ補正用コイル部を含む振れ補正固定部に対して前記振れ補正用マグネット部を含む振れ補正可動部を光軸方向に離間した状態で支持する支持部とを有し、前記振れ補正用コイル部と前記振れ補正用マグネット部で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記振れ補正固定部に対して前記振れ補正可動部を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備え、
前記支持部は、光軸方向において前記振れ補正固定部と対向して配置される上部枠体と、
光軸方向に直交する第1の方向に対向して配置され、それぞれが前記上部枠体と前記振れ補正固定部を連結する板状の第1の側部支持体と、
光軸方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に対向して配置され、それぞれが前記上部枠体と前記振れ補正可動部を連結する板状の第2の側部支持体と、を有し、
前記第1の側部支持体及び前記第2の側部支持体は、エラストマー材料で形成され、
前記第1の側部支持体は、周囲よりも薄肉に形成され前記第2の方向に延びる2つのYヒンジ部を有し、前記振れ補正可動部の前記第1の方向への移動に伴い、前記2つのYヒンジ部における屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲し、
前記第2の側部支持体は、周囲よりも薄肉に形成され前記第1の方向に延びる2つのXヒンジ部を有し、前記振れ補正可動部の前記第2の方向への移動に伴い、前記2つのXヒンジ部における屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲することを特徴とするレンズ駆動装置。
前記振れ補正可動部は、前記レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部と、前記オートフォーカス用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部と、前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか一方を含むオートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか他方を含むオートフォーカス可動部を弾性支持する弾性支持部とを有し、前記オートフォーカス用コイル部とオートフォーカス用マグネット部とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記オートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス可動部を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を含み、
前記振れ補正固定部と前記オートフォーカス固定部を接続する給電部材を備え、
前記オートフォーカス用コイル部は、前記給電部材及び前記弾性支持部を介して給電されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0015】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影する。
【0016】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、光軸方向に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0017】
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、AF用及びOIS用のレンズ駆動装置1、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うカバー3等を備える。
【0018】
カバー3は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20(
図4参照)のベース23に固定される。なお、カバー3は、導電性を有する材料で形成され、OIS固定部20を介して接地されるようにしてもよい。
【0019】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側、すなわちOIS固定部20の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0020】
図4は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、支持部30、及びコイルばね40等を備える。
【0021】
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネット部を有し、振れ補正時に、光軸に直交する光軸直交面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用コイル部を有する部分である。OIS可動部10は、AF用駆動部を含む。OIS可動部10は、光軸方向に直交する面内で移動できるように、OIS固定部20に対して離間して配置される。ここでは、OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置される。
【0022】
支持部30は、OIS固定部20に対してOIS可動部10を支持する。本実施の形態では、支持部30として、従来のサスペンションワイヤーではなく、エラストマー材料で形成された部材を採用している。エラストマーとは、ゴム状の弾性体であり、熱硬化性エラストマー(ゴム)及び熱可塑性エラストマー(弾性を有するプラスチック)を含む。
【0023】
図5は、レンズ駆動装置1をX方向先端側から見た側面図である。
図6は、レンズ駆動装置1をY方向先端側から見た側面図である。
図5、
図6に示すように、支持部30は、上部枠体31及び4つの側部支持体32を有する。4つの側部支持体32のうち、X方向に対向して配置される一対を「第1の側部支持体321」と称し、Y方向に対向して配置される一対を「第2の側部支持体322」と称する。
【0024】
上部枠体31は、平面視で正方形状の枠体であり、OIS固定部20のベース23と光軸方向に対向して配置される。上部枠体31は、四つの辺の外側に、側部支持体32を固定するための支持体固定部(符号略)を有する。上部枠体31は、剛性の高い材料で形成される。上部枠体31には、金属材料又は樹脂材料を適用できるが、軽量化の観点から樹脂材料であることが好ましい。特に、上部枠体31には、液晶ポリマー(LCP樹脂)が好適である。上部枠体31を液晶ポリマーで形成することにより、軽量化を図りつつ、OIS可動部10の自重による沈み込みを防止でき、良好なチルト特性を確保することができる。
【0025】
側部支持体32は、OIS可動部10を支持しうる強度を有する板状の部材である。側部支持体32は、エラストマー材料で形成される。これにより、落下等の衝撃によって、側部支持体32が破損する危険性は、支持部30としてサスペンションワイヤーを適用した場合に比較して、極めて低くなる。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、レンズ駆動装置1のOIS感度を高めることができる。また、エラストマーの減衰力を利用してOIS用駆動部の一次共振を抑えることができるので、サスペンションワイヤーを適用した場合に行われていたダンパー材を塗布する工程は不要となり、組立作業が容易化されるので、生産性が向上する。
【0026】
エラストマー材料としては、ばね定数を小さく設計でき、かつ射出成形のできる量産性の高い熱可塑性エラストマー(例えばポリエステル系エラストマー)が好適である。ポリエステル系エラストマーは、耐熱性及び低温特性に優れ、温度が変化しても比較的安定した柔軟性を有する。
【0027】
図7は、第1の側部支持体321及び第2の側部支持体322の形状を示す図である。
図7Aは第1の側部支持体321及び第2の側部支持体322の内面(マグネットホルダー121と対向する面)を示す図であり、
図7Bは側面図である。
図7では、第2の側部支持体322についての符号は括弧書きで示している。
【0028】
図7に示すように、第1の側部支持体321及び第2の側部支持体322は、2つの軸を中心に屈曲することにより、OIS可動部10の平行移動を可能とする2軸ヒンジ構造を有する。エラストマーの弾性を利用した機械的ヒンジ構造を採用することにより、OIS可動部10を小さな力で移動させることができるので、省電力化を図ることができる。また、OIS可動部10の平行度が確保されるので、チルト特性が向上する。
【0029】
具体的には、第1の側部支持体321は、周囲よりも薄肉に形成され、Y方向に延びる2つのYヒンジ部321a、321bを有する。Yヒンジ部321a、321bの長手方向略中央には切欠部321cが形成される。第1の側部支持体321は、上部が上部枠体31に接続され、下部がOIS固定部20のベース23に接続される(
図5、
図6参照)。
【0030】
ここでは、Yヒンジ部321a、321bは、第1の側部支持体321の内面に形成されたヒンジ溝で構成される。ヒンジ溝の形状は特に制限されないが、R形状を有することが好ましい。これにより、振れ補正時に繰り返し行われる屈曲動作に対する耐久性が向上する。
【0031】
図8A、
図8Bに示すように、第1の側部支持体321にYヒンジ部321a、321bの軸方向と直交するX方向の力が作用するとき、Yヒンジ部321aより上方に位置する部分は、上部枠体31とともにX方向に移動するが、Yヒンジ部321bより下方に位置する部分は、OIS固定部20のベース23に接続されているので、移動しない。したがって、第1の側部支持体321は、Yヒンジ部321a、321bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
【0032】
第2の側部支持体322は、第1の側部支持体321と同様の形状を有する。第2の側部支持体322は、周囲よりも薄肉に形成され、X方向に延びる2つのXヒンジ部322a、322bを有する。Xヒンジ部322a、322bの長手方向略中央には切欠部322cが形成される。第2の側部支持体322は、上部が上部枠体31に接続され、下部がOIS可動部10のマグネットホルダー121に接続される(
図5、
図6参照)。
【0033】
図9A、
図9Bに示すように、第2の側部支持体322にXヒンジ部322a、322bの軸方向と直交するY方向の力が作用するとき、Xヒンジ部322bより下方に位置する部分は、OIS可動部10(マグネットホルダー121)とともにY方向に移動するが、Xヒンジ部322aより上方に位置する部分は、上部枠体31及び第1の側部支持体321を介して間接的にOIS固定部20に接続されているので、移動しない。したがって、第2の側部支持体322は、Xヒンジ部322a、322bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
【0034】
ここで、側部支持体32はエラストマー材料で形成されるため、温度変化に伴い熱膨張が生じる。熱膨張によってOIS可動部10の光軸方向の位置が変化すると、レンズ部2と撮像部(図示略)との離間距離が変化したり、マグネット部122とOIS用コイル部211との離間距離が変化したりして、所望の性能が得られなくなる虞がある。
【0035】
本実施の形態では、側部支持体32がベース23に立設される第1の側部支持体321と上部枠体31に吊設される第2の側部支持体322とで構成されており、第1の側部支持体321と第2の側部支持体322が同一形状を有している。したがって、第1の側部支持体321は光軸方向受光側に向かって熱膨張する一方で、第2の側部支持体322は光軸方向結像側に向かって同じ量だけ熱膨張する。すなわち、OIS可動部10の光軸方向の位置は変化しないので、熱膨張による性能の低下を防止することができる。
【0036】
コイルばね40は、OIS可動部10のAF用コイル部212に給電するための給電経路である。コイルばね40の一端は、OIS固定部20のコイル基板21にはんだ付けされ、他端は、OIS可動部10の上側弾性支持部13にはんだ付けされる。コイルばね40は、XY平面内におけるOIS可動部10の移動が妨げられないように設計される。
【0037】
図10は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図10に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、上側弾性支持部13、及び下側弾性支持部14等を備える。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、上側弾性支持部13及び下側弾性支持部14によってAF固定部12と連結される。
【0038】
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するコイル部を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用ボイスコイルモーターを構成するマグネット部を有する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0039】
AF可動部11は、レンズホルダー111、及びAF用コイル部112を有する。
【0040】
レンズホルダー111は、平面視で略正方形状の部材であり、円筒状のレンズ収容部111aにレンズ部2が接着又は螺合により固定される。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの周面に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cを有する。上側フランジ部111bと下側フランジ部111cとで挟まれる部分(以下「コイル巻線部」と称する)に、AF用コイル部112が巻線される。
【0041】
AF可動部11が光軸方向受光側に移動する際、上側フランジ部111bの上面がマグネットホルダー121のストッパー部121bの下面に当接することにより、それ以上の移動が規制される。すなわち、上側フランジ部111bからマグネットホルダー121のストッパー部121bまでの距離が、AF可動部11の光軸方向受光側への移動可能範囲となる。
【0042】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部周縁において、X方向及びY方向(以下「十字方向」と称する)と交差する4つの部分に、径方向外側に張り出す突出部111dを有する。突出部111dは、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cよりも径方向外側に張り出して形成され、マグネット部122の光軸方向受光側に位置する。
【0043】
AF可動部11が光軸方向結像側に移動する際、突出部111dの下面がマグネット部212の上面に当接することにより、それ以上の移動が規制される。すなわち、突出部111dからマグネット部212までの距離が、AF可動部11の光軸方向結像側への移動可能範囲となる。
【0044】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部周縁において、十字方向を45°回転した方向(以下「対角方向」と称する)と交差する4つの部分に、突出部111eを有する。この突出部111eは、上側弾性支持部13を固定するための上ばね固定部となる(以下「上ばね固定部111e」と称する)。上ばね固定部111eには、上側弾性支持部13を位置決めして固定するための上側ボス(符号略)が配置される。また、4つの上ばね固定部111eのうちの対角に位置する2つの上ばね固定部111eには、径方向外側に突出する絡げ部111fが配置される。
【0045】
レンズホルダー111は、下面の四隅に、下側弾性支持部14を固定する下ばね固定部111gを有する。下ばね固定部111gには、下側弾性支持部14を位置決めして固定するための下側ボス(符号略)が配置される。
【0046】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空心コイルであり、レンズホルダー111のコイル巻線部の外周面に巻線される。AF用コイル部112の一端は一方の絡げ部111fに絡げられ、他端は他方の絡げ部111fに絡げられる。
【0047】
AF固定部12は、マグネットホルダー121及びマグネット部122を有する。
図5では、マグネットホルダー121にマグネット部122を取り付けた状態で示しているが、実際には、マグネットホルダー121にAF可動部11が挿入された後、マグネット部122が取り付けられる。
【0048】
マグネットホルダー121は、平面視で略正方形の四角筒体である。マグネットホルダー121の側壁同士の4つの連結部(Z軸方向に沿う4つの辺)は、径方向内側に湾曲して形成される(湾曲部121a)。この湾曲部121aのうちの2つに給電用のコイルばね40(
図4参照)が配置される。
【0049】
マグネットホルダー121は、上部に、径方向内側にリング状に張り出すストッパー部121bを有する。ストッパー部121bは、十字方向と交差する4つの部分に第1の切欠部121cを有し、対角方向と交差する4つの部分に第2の切欠部121dを有する。第1の切欠部121cがレンズホルダー111の突出部111dに対応し、第2の切欠部121dがレンズホルダー111の上ばね固定部111eに対応する。ストッパー部121bは、AF可動部11が光軸方向受光側に移動するときに、レンズホルダー111の上側フランジ部111bに当接し、AF可動部11の光軸方向受光側への移動を規制する。
【0050】
マグネットホルダー121は、上面の四隅に、上側弾性支持部13を固定する上ばね固定部121eを有する。上ばね固定部121eには、上側弾性支持部13を位置決めして固定するための上側ボス(符号略)が配置される。
【0051】
マグネットホルダー121は、下面の四隅に、下側弾性支持部14を固定する下ばね固定部121fを有する。下ばね固定部121fには、下側弾性支持部14を位置決めして固定するための下側ボス(符号略)が配置される。
【0052】
マグネットホルダー121は、Y方向に対向する2つの面の下部に、第2の側部支持体322を固定する支持体固定部121gを有する。支持体固定部121gに、第2の側部支持体322の下端部が配置され、例えば接着により固定される。
【0053】
マグネット部122は、直方体状の永久磁石(符号略)を有する。永久磁石は、マグネットホルダー121の4つの側壁の内面に沿って配置される。4つの永久磁石のうちの2つはX方向に対向して配置され、他の2つはY方向に対向して配置される。永久磁石は、AF用コイル部112に径方向に直交する磁界が形成されるように着磁される。例えば、永久磁石は、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。また、マグネット部122は、AF可動部11が光軸方向結像側に移動するときに、レンズホルダー111の突出部111dに当接し、AF可動部11の光軸方向結像側への移動を規制する。
【0054】
マグネット部122及びAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。本実施の形態では、マグネット部122が、AF用マグネット部とOIS用マグネット部を兼用する。
【0055】
上側弾性支持部13は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板ばねであり、全体として平面視で正方形状を有する。上側弾性支持部13は、AF固定部12に対してAF可動部11を弾性支持する。ここでは、上側弾性支持部13は、光軸を中心として点対称に配置される2つの上側板ばね13A、13Bで構成される。上側板ばね13A、13Bは、例えば、一枚の板金を打ち抜いて切断することにより成形される。上側板ばね13A、13Bは同様の構成を有するので、上側板ばね13Bについての説明は省略する。
【0056】
上側板ばね13Aは、レンズホルダー固定部131a、131b、マグネットホルダー固定部132a、132b、及びアーム部133a、133bを有する。レンズホルダー固定部131a、131bは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの上面に沿う内縁部(符号略)で連結される。マグネットホルダー固定部132a、132bは、マグネットホルダー121の上部周縁に沿う外縁部(符号略)で連結される。また、上側板ばね13Aは、一方のレンズホルダー固定部131aに延設され、レンズホルダー固定部131aの径方向外側に配置されるコイル接続部134を有する。
【0057】
レンズホルダー固定部131a、131bは、レンズホルダー111の上ばね固定部111eに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部131a、131bの固定穴(符号略)が、上ばね固定部111eの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板ばね131が位置決めされ、例えば位置決めボスを熱かしめすることで固定される。コイル接続部134は、レンズホルダー111の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112と電気的に接続される。
【0058】
マグネットホルダー固定部132a、132bは、マグネットホルダー121の上ばね固定部121eに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部132a、132bの固定穴(符号略)が、上ばね固定部121eの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板ばね131が位置決めされ、例えば位置決めボスを熱かしめすることで固定される。また、一方のマグネットホルダー固定部132aの頂角部137には、コイルばね40の一端が接続される(以下「コイルばね接続部137」と称する)。
【0059】
アーム部133a、133bは、それぞれレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部132a、レンズホルダー固定部131bとマグネットホルダー固定部132bを連結する。アーム部133a、133bは、AF可動部11が光軸方向に移動するときに弾性変形する。
【0060】
下側弾性支持部14は、上側弾性支持部13と同様に、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板ばねであり、全体として平面視で正方形状を有する(以下「下側板ばね14」と称する)。下側板ばね14は、AF固定部12に対してAF可動部11を弾性支持する。下側板ばね14は、例えば、一枚の板金を打ち抜いて切断することにより成形される。
【0061】
下側板ばね14は、レンズホルダー固定部141a〜141d、マグネットホルダー固定部142a〜142d、アーム部143a〜143dを有する。レンズホルダー固定部141a〜141dのうちの隣り合う部位同士は、アーム部143a〜143dの内側で、レンズホルダー111のレンズ収容部111aの下面に沿う内縁部(符号略)で連結される。マグネットホルダー固定部142a〜142dのうちの隣り合う部位同士は、アーム部143a〜143dの外側で、マグネットホルダー121の下部周縁に沿う外縁部(符号略)で連結される。
【0062】
レンズホルダー固定部141a〜141dは、レンズホルダー111の下ばね固定部111gに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部141a〜141dの固定穴(符号略)が、レンズホルダー111の位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して下側板ばね14が位置決めされ、例えば位置決めボスを熱かしめすることで固定される。AF可動部11が光軸方向に移動するとき、レンズホルダー固定部141a〜141dは、AF可動部11とともに変位する。
【0063】
マグネットホルダー固定部142a〜142dは、マグネットホルダー121の下ばね固定部121fに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部142a〜142dの固定穴(符号略)が、マグネットホルダー121の位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して下側板ばね14が位置決めされ、例えば位置決めボスを熱かしめすることで固定される。
【0064】
アーム部143a〜143dは、それぞれレンズホルダー固定部141a〜141dとマグネットホルダー固定部142a〜142dを連結する。アーム部143a〜143dは、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。
【0065】
OIS可動部10(AF用駆動部)を組み立てる場合、まず、上側板ばね13A、13Bのマグネットホルダー固定部132a、132bがマグネットホルダー121の上ばね固定部121eに取り付けられる。また、下側板ばね14のレンズホルダー固定部141a〜141dがレンズホルダー111の下ばね固定部111gに取り付けられる。
【0066】
次に、レンズホルダー111が光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿嵌される。このとき、レンズホルダー111の突出部111dがマグネットホルダー121の第1の切欠部121cに嵌め込まれ、上ばね固定部111eが第2の切欠部121dに嵌め込まれる。そして、上側板ばね13A、13Bのレンズホルダー固定部131a、131bがレンズホルダー111の上ばね固定部111eに取り付けられる。
【0067】
レンズホルダー固定部131aから延びるコイル接続部134は、それぞれレンズホルダー111の絡げ部111fに絡げられたAF用コイル部112の一端及び他端に半田付けされ、電気的に接続される。また、下側板ばね14のマグネットホルダー固定部142a〜142dがマグネットホルダー121の下ばね固定部121fに取り付けられる。
【0068】
下側板ばね14のアーム部143a〜143cと外縁部(符号略)とで囲まれた領域からマグネット部122が挿入され、マグネットホルダー121に接着される。このようにしてOIS可動部10(AF用駆動部)が組み立てられる。
【0069】
図11は、OIS固定部20の分解斜視図である。
図11に示すように、OIS固定部20は、コイル基板21、センサー基板22、ベース23、及び位置検出部24等を備える。
【0070】
コイル基板21は、平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口21aを有する。コイル基板21は、四隅のうちの対角に位置する2カ所に、コイルばね40の一端(下端)が固定されるコイルばね固定穴21bを有する。また、コイル基板21は、開口21aの周縁部において、対角方向と交差する位置に、位置決め穴21cを有する。
【0071】
コイル基板21は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部211を有する。OIS用コイル部211は、マグネット部122に対応する4つのOISコイル211A〜211Dを有する。OISコイル211A及び211Cは、それぞれ2つの分割コイルで構成される。
【0072】
OISコイル211A〜211Dのそれぞれの長辺部分を、マグネット部122の底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、OIS用コイル部211及びマグネット部122の大きさや配置が設定される。マグネット部122とOIS用コイル部211とで、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。
【0073】
センサー基板22は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口22aを有する。センサー基板22は、開口22aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21cと対応する位置に位置決め穴22bを有する。センサー基板22は、AF用コイル部112、OIS用コイル部211、及び位置検出部24に給電するための電源ライン(図示略)、並びに位置検出部24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)等を有する。
【0074】
位置検出部24は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子24A、24B(磁気センサー)で構成される。ホール素子24A、24Bは、センサー基板22の下面の隣接する2辺において、それぞれの略中央に固定され、ベース23のホール素子収容部22bに配置される。マグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子24A、24Bで検出することにより、XY平面におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、位置検出用磁石をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。
【0075】
ベース23は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口23aを有する。ベース部材23は、開口23aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21c及びセンサー基板22の位置決め穴22bと対応する位置に位置決めボス23bを有する。また、ベース23は、開口23aの周縁部において、OISコイル211A、211Cの分割コイル間に対応する部分、すなわち長さ方向略中央に、ホール素子収容部23cを有する。
【0076】
ベース23は、X方向に対向する2つの側壁23dを有し、この側壁23dに、第1の側部支持体321を固定する支持体固定部23eを有する。支持体固定部23eに、第1の側部支持体321の下端部が配置され、例えば接着により固定される。
【0077】
OIS固定部20を組み立てる場合、まず、コイル基板21とセンサー基板22を半田付けにより接着する。これにより、OIS用コイル部211とセンサー基板22の電源ライン(図示略)が電気的に接続される。次に、ベース部材23の位置決めボス23bにコイル基板21の位置決め穴21c及びセンサー基板22の位置決め穴22bを挿嵌し、コイル基板21及びセンサー基板22をベース部材23に載置する。このようにしてOIS固定部20が組み立てられる。
【0078】
レンズ駆動装置1を組み立てる場合、支持部30の第2の側部支持体322の一端がマグネットホルダー121の支持体固定部121gに固定される。また、支持部30の第1の側部支持体321の一端がベース23の支持体固定部23eに固定される。支持部30の上部枠体31は、第1の側部支持体321によってベース23の光軸方向受光側に架設された状態となる。また、OIS可動部10は、第2の側部支持体322によって上部枠体31に吊設された状態となる。
【0079】
したがって、OIS可動部10がX方向に移動するときには第1の側部支持体321だけが弾性変形し、第2の側部支持体322は弾性変形しない。一方、OIS可動部10がY方向に移動するときには第2の側部支持体322だけが弾性変形し、第1の側部支持体321は弾性変形しない。すなわち、OIS可動部10は、X方向及びY方向に独立して移動することができる。
【0080】
また、コイルばね40の一端(上端)は、上側板ばね13A、13Bのコイルばね接続部137に挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、コイルばね40と上側板ばね13A、13Bが電気的に接続される。コイルばね40の他端(下端)は、コイル基板21のコイルばね固定穴21bに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、コイルばね40とセンサー基板22の電源ラインが電気的に接続される。コイルばね40及び上側板ばね13A、13Bを介して、AF用コイル部112への給電が可能となる。
【0081】
レンズ駆動装置1において、OIS用コイル部211に通電すると、マグネット部122の磁界とOIS用コイル部211に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル部211にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Z方向)とOIS用コイル部211の長辺部分に流れる電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。OIS用コイル部211は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。振れ検出部(例えばジャイロセンサー、図示略)で検出された振れがOIS可動部10の揺動により相殺されるように、ホール素子24A、24Bの検出結果に基づいて、OIS用コイル部211の通電電流が制御される。
【0082】
また、レンズ駆動装置1において、AF用コイル部112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル部112に流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。この力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。合焦位置は、例えば、AF可動部11を移動させながら撮像部(図示略)で取得される複数の画像情報を解析し、コントラスト評価を行うことによって調整される。
【0083】
ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部11は、例えば上側弾性支持部13及び下側弾性支持部14によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)で保持される。すなわち、OIS可動部10においては、AF可動部11(レンズホルダー111)が、上側弾性支持部13及び下側弾性支持部14によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持される。ピント合わせを行うときには、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0084】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるマグネット部122(振れ補正用マグネット部)と、マグネット部122から離間して配置されるOIS用コイル部211(振れ補正用コイル部)と、OIS用コイル部211を含むOIS固定部20(振れ補正固定部)に対してマグネット部122を含むOIS可動部10(振れ補正可動部)を光軸方向に離間した状態で支持する支持部30とを有し、OIS用コイル部211とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、OIS固定部20に対してOIS可動部10を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備える。
支持部30は、光軸方向においてOIS固定部20と対向して配置される上部枠体31と、光軸方向に直交するX方向(第1の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体31とOIS固定部20を連結する板状の第1の側部支持体321と、光軸方向及びX方向に直交するY方向(第2の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体31と前記振れ補正可動部を連結する板状の第2の側部支持体322と、を有する。
第1の側部支持体321及び第2の側部支持体322は、エラストマー材料で形成され、第1の側部支持体321は、周囲よりも薄肉に形成されY方向に延びる2つのYヒンジ部321a、321bを有し、OIS可動部10のX方向への移動に伴い、2つのYヒンジ部321a、321bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲し、第2の側部支持体322は、周囲よりも薄肉に形成されX方向に延びる2つのXヒンジ部322a、322bを有し、OIS可動部10のY方向への移動に伴い、2つのXヒンジ部322a、322bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する。
【0085】
レンズ駆動装置1によれば、落下等の衝撃によって、側部支持体32が破損する危険性は、サスペンションワイヤーを適用した場合に比較して、極めて低くなる。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、OIS感度を高めることができる。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0087】
例えば、実施の形態では、AF機能及びOIS機能を有するレンズ駆動装置について説明したが、本発明は、OIS機能を有するレンズ駆動装置に適用できる。
【0088】
また例えば、第1の側部支持体321は、ベース23以外のOIS固定部20の構成部材に接続されるようにしてもよい。第2の側部支持体322は、マグネットホルダー121以外のOIS可動部10の構成部材に接続されるようにしてもよい。さらには、上部枠体31、第1の側部支持体321、及び第2の側部支持体322は、例えば射出成形により一体的に形成されてもよい。
【0089】
また、第1の側部支持体321のYヒンジ部321a、321b及び第2の側部支持体322のXヒンジ部322a、322bは、周囲よりも薄肉に形成され、屈曲時に軸として機能すればよく、その形状等は特に制限されない。
【0090】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0091】
図12は、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Cを示す図である。
図12Aは自動車Cの正面図であり、
図12Bは自動車Cの後方斜視図である。自動車Cは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図12に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。