(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の半導体素子と前記第1の接続電極及び前記第3の接続電極、及び前記第2の半導体素子と前記第2の接続電極及び前記第4の接続電極は、導電性の接合材を介して接合され、
前記第2の絶縁基板の前記収容部及び前記第1乃至第4の接続電極の少なくとも1つは、余剰の前記接合材を貯留可能なキャビティを有する請求項1に記載の半導体モジュール。
前記キャビティは、前記第1の半導体素子と前記第1の接続電極を接合する接合材、前記第1の半導体素子と前記第3の接続電極を接合する接合材、前記第2の半導体素子と前記第2の接続電極を接合する接合材、及び前記第2の半導体素子と前記第4の接続電極を接合する接合材の総てに対応して設けられた請求項2乃至5のいずれか一項に記載の半導体モジュール。
前記第1及び第2の半導体素子、前記第1乃至第4の接続電極、及び前記柱状配線を各々更に2組有し、三相用に構成された請求項1乃至15のいずれか一項に記載の半導体モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本実施形態に係る半導体モジュールの一例の断面構成を示した図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る半導体モジュールは、第1の基板10と、第2の基板20と、第1及び第2の半導体素子31、32と、第1乃至第4の接続電極41〜44と、柱状配線50〜52と、ゲート配線60と、接合材70と、セラミックコンデンサ80とを備える。また、第2の基板20とセラミックコンデンサ80との間には、間隙90が形成されていてもよい。更に、本実施形態に係る半導体モジュールは、関連構成要素として、冷却器100を備えてもよい。なお、以後の説明において、各構成要素に「第1、第2、第3、第4」等の文言は付さずに、参照符号のみで各構成要素を区別する場合もある。
【0011】
第1の基板10は、絶縁性の材料から構成される。また、第1の基板10は、半導体素子31、32の発熱により高温になり得るので、耐熱性の高い材料から構成されることが好ましい。絶縁性を有し、かつ耐熱性が高い材料としては、例えば、セラミックスが挙げられる。よって、第1の基板10は、例えば、セラミックスから構成されてもよい。また、
図1においては、第1の基板10は、冷却器100の表面上に配置されている。よって、第1の基板10は、半導体素子31、32で発生した熱を効率良く放出するともに、冷却器100による冷却熱を効率良く半導体素子30、31に伝達するため、第2の基板20よりも、熱伝達性の高い材料で構成してもよい。第1の基板10がセラミックスで構成される場合でも、セラミックスには種々の材料があるので、そのような選択は可能である。
【0012】
第1の基板10は、表面上に平坦な接続電極41、42を設置するため、平坦な板状に構成される。また、第1の基板10は、上述の熱伝導性の向上の観点と、半導体モジュールの小型化の観点から、可能な限り薄く構成されることが好ましい。よって、第1の基板10は、第2の基板20よりも薄く構成され、更に半導体素子30、31よりも薄く構成されてもよい。
【0013】
半導体素子31、32は、スイッチング素子として用いることが可能な半導体チップとして構成され、例えば、バイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)を含むMOSトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタで構成されてもよい。よって、半導体素子31、32は、ゲート、ベース等の制御端子を有して構成される。半導体素子31、32の素材は、一般的に用いられるSi等であってもよいし、SiC等のワイドバンドギャップ半導体であってもよい。半導体素子31、32は、用途に応じて、種々の素材から構成され得る。
【0014】
半導体素子31、32は、両面に端子(入力端子/出力端子)を有する。よって、第1の半導体素子31は、その下面に配置される第1の接続電極41及び上面に配置される第3の接続電極43と、接合材70を介して、物理的のみならず、電気的にも接続される。同様に、第2の半導体素子32も、下面に配置された第2の接続電極42及び上面に配置された第4の接続電極44と、接合材70を介して、物理的及び電気的に接続される。
【0015】
なお、半導体素子31、32は、必要に応じて、ダイオード素子が接続され、ダイオード素子とセットで構成されてもよい。例えば、半導体モジュールが、DC/DCコンバータとして構成される場合には、半導体素子31、32とダイオード素子が各々組になって構成されていてもよい。但し、本実施形態においては、理解の容易のため、半導体素子31、32のみを示して半導体モジュールの説明を行う。
【0016】
接続電極41〜44は、半導体素子31、32の各端子を引き出して配線するための配線接続手段であり、Al、Cu等の配線用の導電性金属材料を用いて平板状に構成される。
図1に示されるように、第1の接続電極41は、第1の半導体素子31の下面の端子を第2の半導体素子32側(中央側)に引き出して柱状配線50に接続されており、第3の接続電極43は、第1の半導体素子31の上面の端子を外側に引き出して柱状電極51に接続されている。同様に、第2の接続電極42は、第2の半導体素子32の下面の端子を外側に引き出して柱状配線52に接続されており、第4の接続電極44は、第2の半導体素子32の上面にある端子を第1の半導体素子31側(中央側)に引き出して柱状配線50に接続されている。
【0017】
柱状配線50〜54は、半導体素子31、32の厚さ方向に延在する配線であり、上層と下層との電気的接続を行う配線である。よって、柱状配線50〜54は、接続電極41〜44と同様、Al、Cu等の配線用の導電性金属材料を用いて構成されるが、形状は、半導体素子31、32の厚さ方向に延びる柱状の形状を有する。
【0018】
柱状配線50は、中央領域において第1の接続電極41と第4の接続電極44とを電気的に接続している。柱状配線51は、第1の半導体素子31よりも外側の端部において、第3の接続電極43と電気的に接続され、この電気的接続を半導体モジュールの外側上部に引き出しており、更に上方の柱状配線53に接続されている。また、柱状配線52は、第2の半導体素子32よりも外側の端部において、第2の接続電極42と電気的に接続され、この接続を半導体モジュールの外側上部に引き出しており、更に上方の柱状配線54に接続されている。
【0019】
ゲート配線60は、半導体素子31、32のゲート端子と接続され、ゲートを外側に引き出すための配線である。よって、ゲート配線60も、Al、Cu等の配線用の導電性金属から構成されてよい。ゲート配線60は、
図1に示すように、第2の基板20及びセラミックコンデンサ80を貫通してセラミックコンデンサ80の上方に引き出されてもよい。この場合には、第2の基板20及びセラミックコンデンサ80の所定箇所に貫通孔が形成され、ゲート配線60は、形成された貫通孔を介して外部に引き出される。なお、ゲート配線60が、セラミックコンデンサ80を貫通する構成の場合には、セラミックコンデンサ80と第2の基板20の上面との間の間隙90は、特に設けられなくてもよい。この場合、間隙90は必要に応じて設ければよい。
【0020】
ゲート配線60は、セラミックコンデンサ80を貫通することなく、第2の基板20の上面上に、配線パターンとして引き回されて外部に引き出されてもよい。この場合には、第2の基板20の上面とセラミックコンデンサ80との間には、間隙90を設け、ゲート配線60の設置を容易にすることが好ましい。
【0021】
接合材70は、半導体素子31、32と接続電極41〜44とを物理的に接合するとともに、電気的に接続するための接合手段である。接合材70は、半導体素子31、32と接続電極41〜44とを物理的かつ電気的に接続できれば種々の接合材料を用いてよいが、例えば、銀ナノペーストや、半田を用いてもよい。これらの接合材70は、導電性及び接合性に優れ、半導体素子31、32と接続電極41〜44との接合に好適に利用することができる。
【0022】
特に、銀ナノペーストは、最初の溶融時の融点が低く、一旦固着すると、融点が高くなる性質を有するため、比較的低い温度、例えば半田よりも低い温度で接合を行うことができ、接合後は、高い温度耐性を有するので、半田よりも有利な接合材70と言える。
【0023】
第2の基板20は、第1の半導体素子31、柱状配線50及び第2の半導体素子32を絶縁しつつ保持する絶縁支持部材として機能する。第2の基板20は、第1の半導体素子31、柱状配線50及び第2の半導体素子20の各々を個別に収容する窪み状の収容部を有し、この収容部内に第1の半導体素子31、柱状配線50及び第2の半導体素子20を収容保持する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る半導体モジュールの一例の分解構成図である。
図2に示されるように、第2の基板20は、第1の半導体素子31を収容可能な収容部21と、第2の半導体素子32を収容可能な収容部22と、柱状配線50を収容可能な収容部23とを有する。なお、収容部21は、第1の半導体素子31の他、第3の接続電極21も収容可能に構成されており、収容部22は、第2の半導体素子32の他、第4の接続電極44も収容可能に構成されている。また、
図2に示されるように、第2の基板20は、必要に応じて、柱状配線51を収容可能な収容部24と、柱状配線52を収容可能な収容部25とを更に備えてよい。ここで、収容部21〜23は、鉛直方向に窪み、底面及び底面を囲むような複数の側面を有する窪み形状を有する。一方、収容部24、25は、水平方向にのみ窪み、底面と1つの側面のみ又は側面のみを有する窪み形状を有する。
【0025】
図2において、収容部21〜25内には既に接続電極43、44及び柱状配線50〜52が設けられた状態が示されている。このように、接続電極43、44及び柱状配線50〜52等の接続配線は最初に収容部21〜25の内部に設置し、半導体素子31、32のみを後で収容部21、22にそれぞれ収容しつつ第1の基板10と第2の基板20とを接合するような製造手順で半導体モジュールを製造してもよい。接続電極43、44及び柱状配線50〜52等の接続配線は、接合材70を用いること無く第2の基板20の収容部21〜25内に設置可能であるが、半導体素子31、32を収容部21、22内に収容する場合には、第3の電極43と第1の半導体素子31との接合材70による接合、及び第4の電極44と第2の半導体素子32との接合材70による接合が必要となるため、そのような製造手順としてもよい。また、収容部21〜23の深さは、第1の基板10と第2の基板とを接合したときに、第1の半導体素子31と接続電極41、43との電気的接続、第2の半導体素子32と接続電極42、44との電気的接続、及び接続電極41と柱状配線50と接続電極44との電気的接続が実現されるような深さに設定される。
【0026】
第2の基板は、絶縁性を有する材料から構成される必要がある点は、第1の基板10と同様である。また、第1の基板10と同様、半導体素子31、32の発熱により高温となり得るため、耐熱性を有する材料から構成されることが好ましい。上述のように、セラミックスは高い絶縁性及び耐熱性を有するので、第2の基板20も、セラミックスから構成されてもよい。
【0027】
但し、第2の基板20には、半導体素子31、32を収容できる大きさを有する収容部21〜25が形成される。よって、第2の基板20は、加工性に優れた材料で構成することが好ましい。一方、第2の基板20は、第1の基板10とは異なり、冷却器100とは接しておらず、冷却器100の冷却熱を伝達する役割は有していない。よって、第2の基板20は、第1の基板10よりも、加工性に優れた材料で構成してもよい。上述のように、セラミックスには、種々の材料があるので、適切な材料を選択することができる。第1の基板10を第2の基板20よりも熱伝導性に優れた材料で構成するとともに、第2の基板20を第1の基板10よりも加工性に優れた材料で構成すれば、第1及び第2の基板10、20に要求される性質に互いに合致した構成とすることができる。
【0028】
なお、
図1に示されるように、第1の基板10と第2の基板20は、第2の基板20が半導体素子31、32、接続電極43、44、柱状配線50〜52を収容部21〜25に収容した状態で、第1の基板10を覆うようにして接合される。その際、第1の基板10と第2の基板20との接合は、公知の種々の方法により行われてよい。
【0029】
セラミックコンデンサ80は、第2の基板20の上面を覆うように設けられる。
図2に示すように、セラミックコンデンサ80には、柱状配線53、54が接続されてもよい。セラミックコンデンサ80は、上述のように、用途に応じて、第2の基板20の上面と離れて間隙90を有して設置されてもよいし、第2の基板20の上面に接触して設置されてもよい。
【0030】
冷却器100は、半導体素子31、32を冷却するための冷却手段である。冷却器100は、半導体素子31、32を効率的に冷却できれば、種々の構成を有してよい。なお、冷却器100は必須ではなく、必要に応じて設けられてよい。
【0031】
このように、半導体素子31、32及び柱状配線50を収容する収容部21〜23を有する第2の基板20を用いることにより、柱状配線50を第2の基板20で周囲から支持する構成とすることができ、柱状配線50の機械的強度を確保する必要が無くなる。よって、柱状配線50は、電気的接続に必要な高さだけ確保すれば十分となり、その高さを低くすることができる。
【0032】
図3は、比較例に係る従来の半導体モジュールの一例を示した図である。
図3に示されるように、柱状配線250の強度を確保するため、柱状配線250は、半導体素子231、232とバスバー241、242とを各々加えた高さとなり、小型化を図ることができない。
【0033】
それに比較して、
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る半導体モジュールは、柱状配線50の高さを非常に低くすることができ、小型化を図れるとともに、配線経路の減少によりインダクタンスを低減させることができる。よって、低損失化が可能な半導体モジュールとして構成することができる。
【0034】
図4は、本実施形態に係る半導体モジュールの寸法公差を吸収するキャビティを設けた構造について説明するための図である。
【0035】
上述のように、第2の基板20に窪み状の収容部21〜25を設けることにより、半導体モジュールを小型化及び低インダクタンス構造とすることができるが、収容部21、22内に接合材70を用いた状態で半導体素子31、32を収容すると、接合材70が余剰に供給された場合に、収容部21、22内が密閉状態に近いため、接合材70が外側に回り込んでしまい、絶縁性が阻害されるおそれがある。また、収容部21、22の体積も公差の範囲でばらつきが生じるため接合材70の量を精密に管理したとしても、上記の課題が生じる。そこで、このような事態が発生しないよう、何らかの対策を予め施した構成とすることが好ましい。
図4では、そのような接合材70の回り込みを防止する構造について説明する。
【0036】
図4(a)は、接合材70の側部にキャビティ110を設けた構成例を示した図である。キャビティ110は、収容部21内の接合材70が配置される箇所と対向する箇所の側面に、溝状のキャビティ110を形成することにより設けることが可能である。キャビティ110を設けることにより、接合材70の逃げ道を確保することができ、余分に供給された接合材70を貯留し、外部に流れ出ないようにすることができる。なお、
図4(a)において、キャビティ110は、鋭角なV字に近い断面形状を有する溝に形成されている。例えば、接合材70の外側端部の側面に、このようなV字の溝形状を有するキャビティ100を設けてもよい。
【0037】
図4(b)は、
図4(a)とは異なる溝形状のキャビティ111を設けた構成例を示した図である。
図4(b)において、接合材70の外側端部が配置される箇所に対向する収容部21の側面位置に溝を設けた点は
図4(a)と同様であるが、溝が長方形の断面形状を有する点で、
図4(a)と異なっている。このように、矩形の溝形状を有するキャビティ111と設けてもよい。
図4(a)、(b)に示されるように、収容部21の側面の接合材70に対応する位置に設けるキャビティ110、111は、用途に応じて、種々の溝形状とすることができる。このような、溝状のキャビティ110、111を設けることにより、余剰の接合材70を吸収することができ、接合材70の回り込みによる絶縁性の低下を防止することができる。
【0038】
図4(c)は、接続電極41、43にキャビティ112を設けた構成例を示した図である。
図4(a)、(b)においては、接合材70の側面にキャビティを設ける構成を示したが、
図4(c)においては、接合材70の水平面に接してキャビティ112を設けた例を示す。接合材70は、半導体素子31と接続電極41、43との間に挟まれるようにして設けられているので、接続電極41、43とほぼ全面に亘って接触している。よって、接続電極41、43に部分的に貫通穴状のキャビティ112を形成することにより、余剰の接合材70を貯留し、外部への流出を防ぐことができる。このように、接続電極41、43に貫通穴状のキャビティ112を形成する構成としてもよい。
【0039】
なお、
図4(a)〜(c)において、第1の半導体素子31を例に挙げて説明したが、第2の半導体素子32に対応して同様にキャビティ110〜112を形成してもよいことは言うまでもない。また、
図4(a)、(b)に示したキャビティ110、111と
図4(c)に示したキャビティ112とは、互いに組み合わせることが可能であり、収容部21、22の側面と、接続電極41〜44の双方にキャビティ110、111及びキャビティ112を設ける構成としてもよい。
【0040】
図5は、本実施形態に係る半導体モジュールの熱膨張係数差による応力を低減させる構造について説明するための図である。
【0041】
本実施形態に係る半導体モジュールは、収容部21、22の中で、半導体素子31、32と接合電極41〜44とを接合材70で接合する構成を有するが、半導体素子31、32と接続電極41〜44との熱膨張係数の相違により、半導体素子31、32が発熱した際、半導体素子31、32と接続電極41〜44との間に介在する接合材70に応力が加わるおそれがある。更に、接合材70自体も、半導体素子31、32及び接続電極41〜44と熱膨張係数が異なるので、この熱膨張係数差からも接合材70に応力が加わるおそれがある。ここで、周囲にスペースがあれば、膨張量に差があっても、その差を許容できるが、本実施形態に係る半導体モジュールでは、収容部21〜22内に密閉的収容を行うので、その対策を事前に施すことが好ましい。
【0042】
図5に示すように、接合材70に、貫通孔状のビア71を形成したり、接合材70を賽の目パターンに塗布したりする対応が考えられる。このように、接合材70自体に空間を形成する構成とすることにより、半導体素子31、32と接続電極41〜44との熱膨張係数差により発生する応力を低減させることができる。また、接合材70にビア71を形成しつつ、かつ接合材70を賽の目パターンに塗布した構成としてもよい。
【0043】
図6は、
図1、2とは異なるゲート配線の構成例を示した図である。
図1、2においては、セラミックコンデンサ80に貫通孔を形成し、セラミックコンデンサ80を貫通させてゲート配線60を設ける構成を示したが、第2の基板20の上面上にゲートパッド61を設け、第2の基板20の上面上で配線部を形成し、ゲート端子との接続配線を構成してもよい。ゲート配線60は、第2の基板20のスルーホール26のみを貫通し、セラミックコンデンサ80は貫通しない構成となる。第2の基板20の上面に配線部を形成することにより、フレキシブル基板等による配線が可能となる、また、セラミックコンデンサ80と第2の基板20との間に間隙90を設ける構造とすることにより、床面積を最小にすることができる。
【0044】
なお、
図4乃至6に示した各構成も、矛盾の無い範囲で互いに組み合わせることが可能であり、用途に応じて、適宜必要な構成を採用することができる。
【0045】
図7は、本実施形態に係る半導体モジュールの一例の上部の平面配置構成を示す図である。
図7(a)は、
図7(b)〜(d)に対応させた本実施形態に係る半導体モジュールの一例の断面構成を示す図である。
【0046】
図7(b)は、
図7(a)のC−C'水平断面の構成を示した図である。
図7(b)に示されるように、接合材70は、半導体素子31、32に対応して設けられる。また、ゲートは奥側に設けられ、接合材70もゲートに対応して設けられる。また、柱状配線50は、四角柱状の形状を有することが示されている。
【0047】
図7(c)は、
図7(a)のB−B'水平断面の構成を示した図である。
図7(c)に示されるように、接続電極44は、第2の半導体素子32及び柱状配線50の双方を連続して覆うように設けられる。ゲート配線60は、接続電極43、44と重ならない奥側に配置される。また、接続電極43、44には、必要に応じて、貫通穴で形成されたキャビティ112が設けられてもよい。
図7(c)においては、接続電極43、44の各々に9個のキャビティ112を設けた例を示した。
【0048】
図7(d)は、
図7(a)のA−A'水平断面の構成を示した図である。
図7(d)に示されるように、第2の基板20の両端部には、細長い四角柱状の柱状配線51、52が設けられる。ゲート配線60は、第2の基板20を貫通して設けられる。
【0049】
図8は、本実施形態に係る半導体モジュールの一例の下部の平面配置構成を示す図である。
図8(a)は、
図8(b)〜(d)に対応させた本実施形態に係る半導体モジュールの一例の断面構成を示す図である。
【0050】
図8(b)は、
図8(a)のF−F'水平断面の構成を示した図である。
図8(b)に示されるように、接続電極41は、第1の半導体素子31及び柱状配線50の双方を連続的に接続するように設けられる。下方のゲート配線60は、接続電極42と重ならない奥側に配置される。また、接続電極41、42には、必要に応じて、キャビティ112が設けられてもよい。
図8(b)においては、上部の接続電極43、44と対応させて、接続電極41、42の各々に9個のキャビティ112を設けた例を示している。
【0051】
図8(c)は、
図8(a)のE−E'水平断面の構成を示した図である。
図8(c)に示されるように、接合材70は、半導体素子31、32に対応して設けられる。また、ゲート配線60に対応して、接合材70が奥側に設けられている。また、柱状配線50は、四角柱状の形状を有することが示されている。
【0052】
図8(d)は、
図8(a)のD−D'水平断面の構成を示した図である。
図8(d)に示されるように、
図8(c)に示した右側の接合材70を総てカバーするように第2の半導体素子32が設けられており、
図8(b)、(c)と相俟って、半導体素子32の下方にゲート配線60が引き出されるともに、下面の端子と第2の接続電極42との接続がなされていることが示されている。第1の半導体素子31は、下方にゲート配線60は引き出されていないので、接合材70と一致した形状を有する。
【0053】
図7、8に示されるように、ゲート配線60は、奥側に配置されていることが分かる。
【0054】
図9は、本実施形態に係る半導体モジュールの一例の平面上の各位置における断面構成を示した図である。
図9(a)は、
図9(b)〜(e)に対応させた本実施形態に係る半導体モジュールの一例の平面構成を示す上面図である。
【0055】
図9(b)は、
図9(a)のJ−J'縦断面の構成を示した図である。
図9(b)に示されるように、半導体モジュールの奥側で、第2の半導体素子32から、ゲート配線60が上下に引き出されている。
【0056】
図9(c)は、
図9(a)のI−I'縦断面の構成を示した図である。
図9(c)に示されるように、半導体モジュールの中央付近は、
図1、2で説明したのと略同様の構成を有する。なお、中央付近にはゲート配線60は設けられない。
【0057】
図9(d)は、
図9(a)のH−H'縦断面の構成を示した図である。
図9(d)に示されるように、半導体モジュールのやや奥側付近は、第2の半導体素子32と接続される配線が無く、また、ゲート配線60も存在しない。
【0058】
図9(e)は、
図9(a)のG−G'縦断面の構成を示した図である。
図9(e)に示されるように、半導体モジュールの奥側付近では、第1の半導体素子31のゲート端子を上側に引き出すゲート配線60及び第2の半導体素子32のゲート端子を下側に引き出すゲート配線60が設けられる。このように、ゲート配線60は、半導体モジュールの端部に沿って設けられる。
【0059】
以上、本実施形態に係る半導体モジュールの構成について説明したが、本実施形態に係る半導体モジュールは、種々の回路に利用することができる。例えば、必要な構成要素を付加し、インバータとして構成したり、DC−DCコンバータとして構成したりすることも可能である。また、本実施形態では、2つの半導体素子31、32を用いてその構成を説明したが、同様の構成の半導体モジュールを更に2組用意し、三相用の半導体モジュールとして構成することも当然に可能である。
【0060】
また、本実施形態に係る半導体モジュールによれば、柱状配線の高さを低減させ、低インダクタンス構造をとることにより、低損失化及び半導体モジュールの小型化を図ることができる。
【0061】
以上、本開示の好ましい実施形態について詳説したが、本開示は、上述した実施形態に制限されることはなく、本開示の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。特に、左右、上下の配置関係等は、用途に応じて種々変更可能である。
【0062】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下を開示する。尚、以下で記載する効果は、必ずしも常に奏するものでない場合もある。また、従属形式の特徴に関する効果は、その特徴に係る効果であり、付加的な効果である。
(1)
第1の絶縁基板(10)と、
第1の絶縁基板(10)上に互いに離間して設けられた第1及び第2の接続電極(41、42)と、
第1及び第2の接続電極(41、42)上に各々設けられた第1及び第2の半導体素子(31、32)と、
第1及び第2の半導体素子(31、32)上に各々設けられた第3及び第4の接続電極(43、44)と、
第1の接続電極(41)と第4の接続電極(44)とを電気的に接続する柱状配線(50)と、
第1の半導体素子(31)及び第3の接続電極(43)と、柱状配線(50)と、第2の半導体素子(32)及び第4の接続電極(44)とを各々個別に収容する窪み状の収容部(21〜23)を有し、収容部(21〜23)に第1の半導体素子(31)及び第3の接続電極(43)、柱状配線(50)、第2の半導体素子(32)及び第4の接続電極(44)を収容した状態で第1の絶縁基板(10)と接合された第2の絶縁基板(20)と、を有する半導体モジュール。
【0063】
(1)に記載の構成によれば、柱状配線(50)を第2の絶縁基板(20)の収容部(23)内にホールドすることができるため、柱状配線(50)の機械的強度を要求する必要が無くなり、柱状配線(50)を配線に必要な最低限度の高さに構成することができる。これにより、半導体モジュールを小型化することができるとともに、配線の短縮により低インダクタンス構造とすることができ、低損失化を図ることができる。
(2)
第1の半導体素子(31)と第1の接続電極(41)及び第3の接続電極(43)、及び第2の半導体素子(32)と第2の接続電極(42)及び第4の接続電極(44)は、導電性の接合材(70)を介して接合され、
第2の絶縁基板(20)の収容部(21〜23)及び第1乃至第4の接続基板(41〜44)の少なくとも1つは、余剰の接合材(70)を貯留可能なキャビティ(110〜112)を有する半導体モジュール。
【0064】
(2)に記載の構成によれば、余剰の接合材(70)をキャビティ(110〜112)で貯留して外側に流出するのを防止することができ、半導体モジュールの絶縁部品の絶縁性を適正に保つことができる。
(3)
キャビティ(110、111)は、接合材(70)の側端部の外側に対向する収容部(21、22)の側面に溝を形成することにより設けられた半導体モジュール。
【0065】
(3)に記載の構成によれば、接合材(70)の流出経路にキャビティ(110、111)を設けることにより、接合材(70)の流出を効果的に抑制できる。
(4)
キャビティ(112)は、第1乃至第4の接続電極(41〜44)の少なくとも1つに貫通穴を形成することにより設けられた半導体モジュール。
【0066】
(4)に記載の構成によれば、加工容易にキャビティ(112)を形成することができ、1枚の接続電極(41〜44)の任意の箇所に任意の個数のキャビティ(112)を容易に形成することができる。また、接合材(70)が外側端部に到達する前の段階で接合材(70)の流出を効果的に防ぐことができる。
(5)
キャビティ(110〜112)は、第1の半導体素子(31)と第1の接続電極(41)を接合する接合材(70)、第1の半導体素子(31)と第3の接続電極(43)を接合する接合材(70)、第2の半導体素子(32)と第2の接続電極(42)を接合する接合材(70)、及び第2の半導体素子(32)と第4の接続電極(44)を接合する接合材(70)の総てに対応して設けられた半導体モジュール。
【0067】
(5)に記載の構成によれば、総ての接合材(70)について流出対策を施すことができ、確実に半導体モジュールの絶縁部品の絶縁性を確保できる。
(6)
接合材(70)には、ビア(71)が形成されている半導体モジュール。
【0068】
(6)に記載の構成によれば、接合材(70)内部に空間を設けることができ、半導体素子(31、32)、接続電極(41〜44)及び接合材(70)間の熱膨張係数の相違に起因する残留応力の影響を低減することができる。
(7)
接合材(70)は、賽の目パターンで塗布された半導体モジュール。
【0069】
(7)に記載の構成によれば、接合材(70)の塗布パターンで接合材(70)層内に空間を設けることができ、複雑な工程や加工を導入すること無く容易に残留応力の緩和を図ることができる。
(8)
接合材(70)は、銀ナノペースト又は半田である半導体モジュール。
【0070】
(8)に記載の構成によれば、流動性のある接合材(70)を用いることにより、接合工程を容易に行うことができる。また、良好な接合性及び導電性により、高品質の半導体モジュールを構成することができる。
(9)
第1の絶縁基板(10)及び第2の絶縁基板(20)は、セラミックスで構成された半導体モジュール。
【0071】
(9)に記載の構成によれば、絶縁性と耐熱性に優れた材料で第1の絶縁基板(10)及び第2の絶縁基板(20)を構成することができ、半導体素子(31、32)の発熱に十分に対応できる。
(10)
第1の絶縁基板(10)は、第2の絶縁基板(20)よりも熱伝導性が高い材料で構成され、
第2の絶縁基板(20)は、1の絶縁基板(10)よりも加工性が高い材料で構成された半導体モジュール。
【0072】
(10)に記載の構成によれば、第1の絶縁基板(10)による熱放出と、第2の絶縁基板(20)による部品の保持という互いに異なる機能を適切に役割分担し、各機能を各々が効果的に果たすことができる。
(11)
第2の絶縁基板(20)の上面を覆うセラミックコンデンサ(80)が更に設けられ、
第1及び第2の半導体素子(31、32)は、制御信号が入力可能なゲートを有し、ゲートに接続されるゲート配線(60)は、セラミックコンデンサ(80)を貫通してセラミックコンデンサ(80)の上部に引き出される半導体モジュール。
【0073】
(11)に記載の構成によれば、第2の絶縁基板(20)がセラミックコンデンサ(80)で覆われていても、ゲート配線(60)をセラミックコンデンサ(80)の外部に引き出すことができ、問題無くゲートへの配線を行うことができる。
(12)
第2の絶縁基板(20)の上面を、間隙(90)を有して覆うセラミックコンデンサ(80)が更に設けられ、
第1及び第2の半導体素子は、制御信号が入力可能なゲートを有し、ゲートに接続されるゲート配線(61)は、第2の絶縁基板(20)の上面上に設けられる半導体モジュール。
【0074】
(12)に記載の構成によれば、セラミックコンデンサ(80)を必ずしも通過させなくとも、省スペースでゲートへの配線を行うことができる。
(13)
第1の絶縁基板(10)の第1及び第2の接続電極(41、42)との反対面には、冷却器(100)が更に設けられた半導体モジュール。
【0075】
(13)に記載の構成によれば、部品を保持していない第1の絶縁基板(10)を介して、半導体素子(31、32)を効果的に冷却することができる。
(14)
インバータとして構成された半導体モジュール。
【0076】
(14)に記載の構成によれば、小型で低インダクタンス構造を有する構成をインバータに採用することができ、小型で低インダクタンス構造を有するインバータを実現することができる。
(15)
第1及び第2の半導体素子(31、32)はトランジスタ素子であり、
第1及び第2の半導体素子(31、32)と各々接続される第1及び第2のダイオード素子を更に有する半導体モジュール。
【0077】
に記載の構成によれば、ダイオード素子とセットで、小型で低インダクタンス構造を有する半導体モジュールを構成することができ、例えば、DC/DCコンバータ等を構成することが可能となる。
(16)
第1及び第2の半導体素子(31、32)、第1乃至第4の接続電極(41〜44)、及び柱状配線(50)を各々更に2組有し、三相用に構成された半導体モジュール。
【0078】
に記載の構成によれば、小型で低インダクタンス構造を有する三相用の半導体モジュールを構成することができ、また、三相用の構成ではユニットの数が増加するので、小型化の利点を十分に発揮できる。