(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出部は、前記分配部の他の出力から第1及び第2伝送信号成分を抽出する第2抽出部をさらに有し、第1及び第2伝送信号成分も検出する、請求項8に記載の信号伝送装置。
前記検出部は、前記同相合成部の同相合成信号から第1及び第2伝送信号成分または第1及び第2調整信号成分のいずれかを抽出する同相合成側抽出部をさらに有する、請求項13に記載の信号伝送装置。
前記検出部は、前記同相合成側分配部の他の出力から第1及び第2伝送信号成分または第1及び第2調整信号成分のいずれか他方を抽出する第2同相合成側抽出部をさらに有する、請求項15に記載の信号伝送装置。
前記信号送信部は、第1調整信号成分のレベル、第2調整信号成分のレベル、又は、第1及び第2調整信号成分のレベルを検知するレベル検知部を有する、請求項6〜19のいずれか一項に記載の信号伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、図面を参照して、まず、振幅の異なるノイズ信号が差動信号に及ぼす影響を効果的に低減することができる信号伝送装置の具体例について説明し、その後、本発明の実施形態について説明する。
【0058】
<第1参考例>
図1は、第1参考例に係る信号伝送装置の一例を示す概念構成図である。
図1に示すように、信号伝送装置1は、単相の入力信号Sinを一対の伝送経路3を介して信号送信部2から信号受信部4に平衡伝送し、単相の出力信号Soutを出力する。
【0059】
信号送信部2は差動変換部21を有している。なお、第1参考例において、差動変換部21は振幅調節手段の一例である。差動変換部21は、単相の入力信号Sinを互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)に変換する。一対の伝送経路3は、第1伝送信号S(+)が伝送される第1伝送経路31と、第2伝送信号S(−)が伝送される第2伝送経路32と、を含んで構成されている。また、信号受信部4は単相変換部41を有している。この単相変換部41は、一対の伝送経路3から信号受信部4が受信する第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。
【0060】
次に、
図1を参照し、信号伝送装置1により電気信号が平衡伝送される過程を説明する。なお、ここでは、単相の正弦波信号Sin(=Asinωt)が平衡伝送される様子を一例として説明する。
【0061】
まず、信号送信部2において、差動変換部21は、単相の入力信号Sinを次の数式1及び2を満足するように、一対の伝送信号S(+)、S(−)からなる差動信号に変換する。この変換により、第1伝送信号S(+)(=+Dsinωt)及び第2伝送信号S(−)(=−Esinωt)が生成される。これら第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)は、互いに逆位相、且つ、異なる振幅(以下では非対称振幅と呼ぶ)の信号となっている。
E*S(+)+D*S(−)=0 (数式1)
E*S(+)−D*S(−)=Sin (数式2)
【0062】
ここで、ωは単相の入力信号Sin、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の角周波数を示し、tは時間を示している。また、A、D及びEは、それぞれ、単相の入力信号Sin、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅を示している。なお、数式2によれば、振幅A、D、及びEは次の数式3を満たす。
2DE=A (数式3)
【0063】
また、振幅D及びEは、後述する第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅B、C(B>C)に応じて設定されている。より具体的には、第1ノイズ信号N1に対する第1伝送信号S(+)の振幅比が第2ノイズ信号N2に対する第2伝送信号S(−)の振幅比と等しくなるように設定される。すなわち、振幅D及びEは次の数式4も満足するように設定される。
E:C=D:B
EB=CD (数式4)
【0064】
こうして生成された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)は、信号送信部2から出力され、第1及び第2伝送経路31、32で伝送される。ここで、伝送中に第1及び第2伝送経路31、32が外部ノイズの影響を受けると、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)には同位相の第1及び第2ノイズ信号N1(=+Bsinωat)、N2(=+Csinωat)が重畳される。ここで、B及びCはそれぞれ第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅を示しており、ωaは第1及び第2ノイズ信号N1、N2の角周波数を示している。
【0065】
そのため、信号受信部4は、次の数式5及び6に示すような各ノイズ信号が重畳された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を第1及び第2伝送経路31、32から受信する。
Sn(+)=S(+)+N1
=+Dsinωt+Bsinωat (数式5)
Sn(−)=S(−)+N2
=−Esinωt+Csinωat (数式6)
【0066】
信号受信部4において、単相変換部41は、各ノイズ信号N1、N2が重畳された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。この変換は、次の数式7のように、各ノイズ信号N1、N2が重畳される前の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて行われる。
Sout=ESn(+)−DSn(−) (数式7)
【0067】
ここで、差動信号(第1及び第2伝送信号S(+)、S(−))の各振幅は、上述の数式4の条件を満たすように設定されている。従って、単相変換部41が単相の出力信号Soutを生成する際には、次の数式8のように、第1及び第2ノイズ信号N1、N2が除去される。
Sout=E{+Dsinωt+Bsinωat}
−D{−Esinωt+Csinωat}
=2DEsinωt+(EB−CD)sinωat
=Asinωt (数式8)
【0068】
さらには、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)に重畳される同位相の第1及び第2ノイズ信号N1、N2は、同振幅であるか非対称振幅(異なる振幅)であるかに拘らず、除去される。従って、信号伝送装置1では、外部ノイズが差動信号に及ぼす影響を回避することができる。
【0069】
なお、以上に説明した構成は、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)に重畳される第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅B、Cがほぼ変化しない場合に、特に有効である。第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅B、Cが変化する場合には、信号送信部2における差動信号への変換条件の設定、及び、信号受信部4における単相信号Soutへの変換条件の設定を適宜変更することにより対応可能である。また、第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅B、Cが上述の数式4を満たす条件から外れていたとしても、単相の出力信号Soutに重畳されるノイズ成分を効果的に低減することは可能である。その場合には、非対称振幅の第1及び第2ノイズ信号N1、N2のうちのより大きい振幅のノイズ信号(たとえば第1ノイズ信号N1)が、非対称振幅の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)のうちのより大きい振幅の伝送信号(たとえば第1伝送信号S(+))に重畳されていればよい。たとえば、第1及び第2ノイズ信号N1、N2の振幅がB>Cである場合には、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅はD>Eであればよい。
【0070】
(比較例1)
次に、本参考例の信号伝送装置1の効果を理解し易くするための比較例1について説明する。
図2は、比較例1に係る信号伝送装置を示す概念構成図である。
図2に示すように、比較例1の信号伝送装置100では、入力信号Sinを逆位相且つ同振幅の差動信号に変換して平衡伝送する。
【0071】
比較例1では、信号送信部102において、差動変換部121は、単相の入力信号Sinを次の数式9を満足するように、一対の伝送信号S(+)、S(−)からなる差動信号に変換する。この変換により、逆位相且つ同振幅の第1伝送信号S(+)(=+(A/2)sinωt)及び第2伝送信号S(−)(=−(A/2)sinωt)が生成される。
S(+)+S(−)=0
S(+)−S(−)=Sin (数式9)
【0072】
こうして生成された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)は、信号送信部102から出力される。そして、第1及び第2伝送経路131、132にて、同位相の第1及び第2ノイズ信号N1(=+Bsinωat)、N2(=+Csinωat)が重畳される。
【0073】
信号受信部104は、各ノイズ信号N1、N2が重畳された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を第1及び第2伝送経路131、132から受信する。単相変換部141が次の数式10のように、各ノイズ信号N1、N2が重畳された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。
Sout=Sn(+)−Sn(−)
Sout={+(A/2)sinωt+Bsinωat}
−{−(A/2)sinωt+Csinωat}
=Asinωt+(B−C)sinωat (数式10)
【0074】
ここで、第1及び第2ノイズ信号N1、N2は、同振幅(すなわちB=C)であれば、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)から除去できるが、非対称振幅(すなわちB≠C)であれば除去できない。従って、比較例1の信号伝送装置100では、振幅の異なるノイズ信号N1、N2が差動信号に及ぼす影響を回避することができない。
【0075】
以上、第1参考例について説明した。第1参考例によれば、信号伝送装置1は、信号送信部2と、第1伝送経路31と、第2伝送経路32と、信号受信部4と、を備えている。信号送信部2は、互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を送信する。第1伝送経路31には第1伝送信号S(+)が伝送され、第2伝送経路32には第2伝送信号S(−)が伝送される。信号受信部4は、第1伝送経路31から受信する第1伝送信号Sn(+)、及び第2伝送経路32から受信する第2伝送信号Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。また、信号受信部4に受信される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅を相違させる差動変換部21(振幅調節手段)が信号送信部2に設けられている。信号受信部4は、差動変換部21にて調節された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて、受信した第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を変換する。
【0076】
また、第1参考例によれば、信号伝送方法が以下のステップを備える。一のステップでは、互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を送信する。一のステップでは、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を伝送する。一のステップでは、伝送するステップにて伝送された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。また、前述の送信するステップが、前述の伝送するステップにて伝送される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅を相違させるステップを含む。そして、前述の変換するステップにおいて、前述の相違させるステップにて調節された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて、前述の伝送するステップにて伝送された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を変換する。
【0077】
こうすれば、相違する振幅に調整された互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)が伝送される。そして、差動変換部21にて調節された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて、伝送された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される。そのため、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の伝送中に振幅の異なるノイズ信号N1、N2が重畳されても、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される際、ノイズ信号N1、N2の影響を低減することができる。従って、振幅の異なるノイズ信号N1、N2が差動信号に及ぼす影響を効果的に低減することができる。
【0078】
また、第1参考例の信号伝送装置1では、差動変換部21は、第1ノイズ信号N1が重畳される前の第1伝送信号S(+)の第1ノイズ信号N1に対する振幅比(D:B)は、第2ノイズ信号N2が重畳される前の第2伝送信号S(−)の第2ノイズ信号N2に対する振幅比(E:C)と等しくする。こうすれば、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される際、第1及び第2ノイズ信号N1、N2をほぼ完全に除去することができる。従って、振幅の異なるノイズ信号N1、N2が差動信号に及ぼす影響を回避することができる。
【0079】
<第1参考例の変形例>
なお、上述の第1参考例では、差動変換部21は、単相の入力信号Sinから差動信号への変換する機能と、差動信号の各振幅D、Eを調整する機能の両方を担っているが、各機能毎に構成部を設けるようにしてもよい。
図3は、第1参考例の変形例に係る信号伝送装置の一例を示す概念構成図である。
【0080】
図3に示すように、信号伝送装置1の信号送信部2は、送信信号振幅調整部22をさらに有している。なお、第1参考例の変形例において、送信信号振幅調整部22は振幅調節手段の一例である。
【0081】
差動変換部21は、単相の入力信号Sinを互いに逆位相且つ同振幅の第1及び第2伝送信号Sa(+)、Sa(−)に変換する。送信信号振幅調整部22は、第1及び第2送信信号振幅調整部22a、22bを含んで構成されている。第1送信信号振幅調整部22aは、差動変換部21で生成された第1伝送信号Sa(+)の振幅を、数式4の条件を満たす振幅Dに調整する。また、第2送信信号振幅調整部22bは、差動変換部21で生成された第2伝送信号Sa(−)の振幅を、数式4の条件を満たす振幅Eに調整する。
【0082】
また、信号受信部4は、受信信号振幅調整部42をさらに有している。受信信号振幅調整部42は、第1及び第2受信信号振幅調整部42a、42bを含んで構成されている。第1受信信号振幅調整部42aは、第1ノイズ信号N1が重畳された第1伝送信号Sn(+)の振幅をE倍に調整する。また、第2受信信号振幅調整部42bは、第2ノイズ信号N2が重畳された第2伝送信号Sn(−)の振幅をD倍に調整する。単相変換部41は、調整された第1及び第2伝送信号ESn(+)、DSn(−)を次の数式11のように演算することにより、単相の出力信号Soutに変換する。
Sout=ESn(+)−DSn(−)
=E{+Dsinωt+Bsinωat}
−D{−Esinωt+Csinωat}
=2DEsinωt+(EB−CD)sinωat
=Asinωt (数式11)
【0083】
なお、
図3では、信号送信部2の送信信号振幅調整部22は第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅をD及びEに調整しているが、たとえば1及び(E/D)、又は、(D/E)及び1に調整してもよい。ただし、このように調整される場合、信号受信部4の受信信号振幅調整部42は第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の各振幅を、たとえば(E/D)倍及び1倍、又は、1倍及び(D/E)倍に調整すればよい。
【0084】
以上、第1参考例の変形例について説明した。この変形例の信号伝送装置1によれば、信号送信部2は、差動変換部21と、送信信号振幅調整部22と、を有する。差動変換部21は、単相の入力信号Sinを互いに逆位相の第1及び第2伝送信号Sa(+)、Sa(−)に変換する。送信信号振幅調整部22は、第1伝送信号S(+)の振幅Dが第2伝送信号S(−)の振幅Eと異なるように第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅D、Eを調整する。また、信号受信部4は、受信信号振幅調整部42と、単相変換部41と、を有する。受信信号振幅調整部42は、該信号受信部4に受信される第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の各振幅を、送信信号振幅調整部22により調整された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて調整する。単相変換部41は、受信信号振幅調整部42により調整された第1及び第2伝送信号Sb(+)、Sb(−)を単相の出力信号Soutに変換する。
【0085】
こうすれば、互いに逆位相且つ異なる振幅の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を信号送信部2から送信することができる。また、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)に振幅の異なるノイズ信号N1、N2が重畳されても、送信信号振幅調整部22により調整された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて調整することにより、単相の出力信号Soutへの変換を容易に行うことができる。
【0086】
また、上述の第1参考例では、信号送信部2から逆位相且つ非対称振幅の差動信号が出力される場合に、外部ノイズが1対の伝送経路3を伝送する差動信号に及ぼす影響を回避する構成について説明した。次には、信号送信部2から逆位相且つ同振幅の差動信号が出力される場合にも外部ノイズの影響を回避することができる構成について説明する。
【0087】
<第2参考例>
第2参考例について説明する。第2参考例では、差動信号が伝送される一対の伝送経路3の各インピーダンスZ1、Z2を相違させることにより、信号受信部4に逆位相且つ非対称振幅の差動信号を受信させている。すなわち、第2参考例において、一対の伝送経路3は振幅調節手段の一例となっている。以下では、第2参考例について、第1参考例と異なる事項について説明する。また、第1参考例と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0088】
まず、理想的な平衡伝送では、差動信号を一対の伝送経路3で伝送させているが、実際には、伝送経路3はたとえばグランドパターンや他の信号線路との電気的な結合も無視できない。そのため、実際の平衡伝送では、ある程度の不平衡伝送成分を含んでいる。
図4は、実際の不平衡伝送成分を考慮した伝送経路の等価回路図である。
【0089】
図4の伝送経路3は、第1及び第2伝送経路31、32のほか、接地された基準経路33を含んで構成されている。また、
図4において、斜線でハッチングした四角形は第1及び第2伝送経路31、32の太さを示しており、各伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2を表している。また、ΔL及びΔCは線路の微小区間におけるインダクタおよびキャパシタであり、各伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2のインダクタンス成分及びキャパシタンス成分を表している。
【0090】
第1及び第2伝送経路31、32には互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)が入力され、信号送信部2から信号受信部4に伝送される。また、信号受信部4から各経路31〜33には第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の帰還信号が出力されるが、各帰還電流の一部は基準経路33に流れる。たとえば、第1伝送信号+S(+)の帰還電流−S(+)の一部−αS(+)(0<α<1)は第2伝送経路32を流れるが、残りの一部−(1−α)S(+)は基準経路33を流れる。また、第2伝送信号+S(−)の帰還電流−S(−)の一部−βS(−)(0<β<1)は第1伝送経路31を流れるが、残りの一部−(1−β)S(−)は基準経路33を流れる。α及びβは、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2が同じである場合にはα=βとなるが、各インピーダンスZ1、Z2が異なる場合にはα≠βとなる。
【0091】
まず、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2がほぼ同じである場合について説明する。
図5Aは、インピーダンスに差異のない伝送経路に逆位相且つ同振幅の差動信号を伝送させた場合の等価回路図である。また、
図5Bは、インピーダンスに差異のない伝送経路に逆位相且つ異なる振幅の差動信号を伝送させた場合の等価回路図である。なお、ここでは、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2の作用が差動信号に及ぼす作用を理解し易くするために、第1及び第2ノイズ信号N1、N2の重畳については省略して説明する。
【0092】
伝送経路3に逆位相且つ同振幅の第1及び第2伝送信号S(+)(=+(A/2)sinωt)、S(−)(=−(A/2)sinωt)が伝送される場合、
図5Aに示すように、信号受信部4が受信する第1伝送信号Sn(+)は+(A/2)(1+α)sinωtとなり、第2伝送信号Sn(−)は−(A/2)(1+α)sinωtとなる。すなわち、信号受信部4は逆位相且つ同振幅の差動信号を受信する。
【0093】
一方、伝送経路3に逆位相且つ異なる振幅の第1及び第2伝送信号S(+)(=+Dsinωt)、S(−)(=−Esinωt)が伝送される場合、
図5Bに示すように、信号受信部4が受信する第1伝送信号Sn(+)は+(D+αE)sinωtとなり、第2伝送信号Sn(−)は−(αD+E)sinωtとなる。すなわち、信号受信部4は逆位相且つ異なる振幅の差動信号を受信する。
【0094】
次に、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1,Z2が異なる場合について説明する。
図6は、各インピーダンスが異なる伝送経路に逆位相且つ同振幅の差動信号を伝送させた場合の等価回路図である。なお、ここでも、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2の作用が差動信号に及ぼす作用を理解し易くするために、第1及び第2ノイズ信号N1、N2の重畳については省略して説明する。
【0095】
伝送経路3に逆位相且つ同振幅の第1及び第2伝送信号S(+)(=+(A/2)sinωt)、S(−)(=−(A/2)sinωt)が伝送される場合、
図6に示すように、信号受信部4が受信する第1伝送信号Sn(+)は+(A/2)(1+β)sinωtとなり、第2伝送信号Sn(−)は−(A/2)(1+α)sinωtとなる。すなわち、信号送信部2から逆位相且つ同振幅の差動信号が伝送されたとしても、信号受信部4は逆位相且つ異なる振幅の差動信号を受信する。
【0096】
このような伝送経路3は、第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2のうちの抵抗成分、容量成分、及びインダクタンス成分のうちの少なくともいずれかを相違させることにより実現可能である。以下に、インピーダンスZ1、Z2の異なる伝送経路3の具体的な構成例について、第1〜第6構成例を挙げて説明する。
【0097】
(第1構成例)
図7Aは、第2参考例の伝送経路の一例を示す図である。
図7Aの伝送経路3では、接地された導体基板33a上に誘電体層34が形成されている。また、誘電体層34の上面には断面積の異なる第1及び第2伝送経路31、32が配置されている。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第1構成例において、導体基板33aは接地部の一部である。
【0098】
(第2構成例)
図7Bは、第2参考例の伝送経路の他の一例を示す図である。
図7Bの伝送経路3では、接地された導体基板33a上に誘電体層34が形成されている。また、第1伝送経路31は誘電体層34上に配置されているが、第2伝送経路32は誘電体層34の内部に配置される。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32と導体基板33aとの各間隔d1、d2が相違するため、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第2構成例において、導体基板33aは接地部の一部である。
【0099】
(第3構成例)
図7Cは、第2参考例の伝送経路の他の一例を示す図である。
図7Cの伝送経路3では、誘電体層34の上面には第1及び第2伝送経路31、32が配置されている。また、誘電体層34の下面の一部に接地された導体基板33aが設けられている。導体基板33aの主面の法線方向から見た平面視において、第1伝送経路31は導体基板33aと重なっているが、第2伝送経路32は導体基板33aと重なっていない。このようにしても、第1及び第2伝送経路31、32と導体基板33aとの各間隔d1、d2を容易に相違させることができるため、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第3構成例において、導体基板33aは接地部の一部である。
【0100】
(第4構成例)
図7Dは、第2参考例の伝送経路の他の一例を示す図である。
図7Dの伝送経路3では、誘電体層34の上面には第1及び第2伝送経路31、32が配置されている。また、誘電体層34の下面の一部に接地された導体基板33aが設けられている。また、誘電体層34の内部には導体層33bが設けられている。この導体層33bは、内部に導通経路が形成されたビア33cを介して導体基板33aと導通している。また、導体基板33aの主面の法線方向から見た平面視において、第1伝送経路31は導体層33bと重なっていないが、第2伝送経路32は導体層33bと重なっている。このようにしても、第1伝送経路31及び導体基板33aの間隔d1と、第2伝送経路32及び導体層33bの間隔d2とを容易に相違させることができるため、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第4構成例において、導体基板33a、導体層33b、及びビア33cは接地部の一部である。
【0101】
(第5構成例)
図7Eは、第2参考例の伝送経路の他の一例を示す図である。
図7Eの伝送経路3では、接地された導体基板33a上に誘電体層34が形成されている。また、誘電体層34の内部には第1及び第2伝送経路31、32が配置されている。さらに、誘電体層34の上面の一部には導体層33bが設けられており、この導体層33bは、内部に導通経路が形成されたビア33cを介して導体基板33aと導通している。また、導体基板33aの主面の法線方向から見た平面視において、第1伝送経路31は導体層33bと重なっていないが、第2伝送経路32は導体層33bと重なっている。そのため、第2伝送経路32は、誘電体層34の内部において、導体基板33a及び導体層33bの間に配置されている。こうすれば、誘電体層34の内部に配置される第2伝送経路32は、導体基板33aとの間d2a及び導体層33bとの間d2bに2つの容量成分を形成することができるため、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第5構成例において、導体基板33a、導体層33b、及びビア33cは接地部の一部である。
【0102】
(第6構成例)
図7Fは、第2参考例の伝送経路の他の一例を示す図である。
図7Fの伝送経路3では、接地された導体基板33a上に、誘電率の異なる2つの誘電体層34a、34bが形成されている。また、一方の誘電体層34aの上面には第1伝送経路31が配置され、他方の誘電体層34bの上面には第2伝送経路32が配置されている。第1及び第2伝送経路31、32と導体基板33aとの間の各誘電率ε1、ε2が異なるため、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分を相違させることができる。なお、第6構成例において、導体基板33aは接地部の一部である。
【0103】
なお、伝送経路3の構成例は、以上に説明した第1〜第6構成例に限らない。たとえば、第2〜第6構成例において第1及び第2伝送経路31、32の各断面積を相違させてもよい。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の各容量成分をさらに相違させることができる。
【0104】
以上、第2参考例について説明した。第2参考例の信号伝送装置1は、信号送信部2と、第1伝送経路31と、第2伝送経路32と、信号受信部4と、を備える。信号送信部2は互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を送信する。第1伝送経路31には第1伝送信号S(+)が伝送され、第2伝送経路32には第2伝送信号S(−)が伝送される。信号受信部4は、第1伝送経路31から受信する第1伝送信号Sn(+)、及び第2伝送経路32から受信する第2伝送信号Sn(−)を単相の出力信号Soutに変換する。また、第1及び第2伝送経路31、32は、(互いにインピーダンスZ1、Z2が異なるため、)信号受信部4に受信される第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の各振幅を相違させる振幅調節手段として機能する。そして、信号受信部4は、振幅調節手段にて調節される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて、受信した第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)を変換する。
【0105】
こうすれば、相違する振幅に調整された互いに逆位相の第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)が伝送される。そして、振幅調節手段として機能する第1及び第2伝送経路31、32にて調節された第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅比に基づいて、伝送された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される。そのため、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の伝送中に振幅の異なるノイズ信号N1、N2が重畳されても、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される際、ノイズ信号N1、N2の影響を低減することができる。従って、振幅の異なるノイズ信号N1、N2が差動信号に及ぼす影響を効果的に低減することができる。
【0106】
また、第2参考例の信号伝送装置1によれば、第1伝送経路31のインピーダンスZ1は第2伝送経路32のインピーダンスZ2と異なる。そのため、信号送信部2から出力される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅は同じであっても、信号受信部4に受信される第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の振幅を相違させることができる。従って、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)が単相の出力信号Soutに変換される際、振幅の異なるノイズ信号N1、N2の影響を十分に低減することができる。
【0107】
第1及び第2伝送経路31、32の各インピーダンスZ1、Z2を相違させる方法としては、以下の例を挙げることができる。たとえば、第2参考例において、第1及び第2伝送経路31、32の断面積が異なっていてもよい。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0108】
また、第2参考例において、信号伝送装置1が、第1及び第2伝送経路31、32が配置される誘電体層34と、誘電体層34が設けられる接地部と、をさらに備えていてもよい。そして、接地部は接地された導電基板33aを有し、第1伝送経路31及び接地部間の最短距離は、第2伝送経路32及び接地部間の最短距離と異なっていてもよい。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0109】
さらに、誘電体層34は誘電率の異なる第1及び第2誘電体層34a、34bを有し、第1伝送経路31は第1誘電体層34aに設けられ、第2伝送経路32は第2誘電体層34bに設けられてもよい。こうすれば、第1及び第2伝送経路31、32はそれぞれ誘電率の異なる誘電体層34a、34bに設けられるので、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0110】
或いは、第2参考例において、誘電率の異なる第1及び第2誘電体層を有する誘電体層と、誘電体層が設けられる接地部と、をさらに備えていてもよい。そして、接地部は接地された導体基板を有し、第1伝送経路は第1誘電体層に設けられ、第2伝送経路は第2誘電体層に設けられてもよい。このようにしても、第1及び第2伝送経路31、32はそれぞれ誘電率の異なる誘電体層34a、34bに設けられるので、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0111】
また、第2参考例において、接地部は、導体基板33aと電気的に接続される導体層33bをさらに有していてもよい。また、導体層33bは、導体基板33aの主面の法線方向から見た平面視において、第2伝送経路32と重なるように、誘電体層34に設けられていてもよい。こうすれば、平面視において第2伝送経路32と重なるように、導体層33bを誘電体層34に設けることにより、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0112】
さらに、導体基板33aと電気的に接続される導体層33bは誘電体層34上に設けられ、第2伝送経路32は、誘電体層34の内部且つ導体基板33a及び導体層33bの間に配置されてもよい。こうすれば、誘電体層34の内部に配置される第2伝送経路32は、導体基板33aとの間及び導体層33bとの間に2つの容量を形成することができ、第1及び第2伝送経路31、32のインピーダンスZ1、Z2の容量成分を相違させることができる。
【0113】
<第3参考例>
次に、第3参考例について説明する。第3参考例では、第1伝送経路31を伝送する第1伝送信号S(+)の振幅と、第2伝送経路32を伝送する第2伝送信号S(−)の振幅とが、独立して制御される。以下では、第3参考例について、第1及び第2参考例と異なる事項について説明する。また、第1及び第2参考例と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0114】
図8は、第3参考例に係る信号伝送装置の一例を示す概念構成図である。
図8に示すように、信号受信部4は、信号受信部4が受信する第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の振幅を検出する検波部43をさらに有している。この検波部43は、第1及び第2ディテクタ43a、43bを含んで構成されている。第1及び第2ディテクタ43a、43bは、それぞれ、信号受信部4が受信する第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の振幅を検出する第1及び第2検波部である。
【0115】
また、信号送信部2の送信信号振幅調整部22は、第1伝送信号S(+)の振幅が第2伝送信号S(−)の振幅と異なるように第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅D、Eを調整する機能を有する。さらに、送信信号振幅調整部22は、GCA(Gain Control AmplifierまたはGain Control Attenuator)としての機能も有している。送信信号振幅調整部22は、信号送信部2から出力される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅D、Eを検波部43の検出結果に基づいてフィードバック制御している。たとえば、第1及び第2送信信号振幅調整部22a、22bは、それぞれ、差動変換部21で生成された第1及び第2伝送信号Sa(+)、Sa(−)の各振幅を上述の数式4の条件を満たす振幅D、Eに調整する。さらに、第1送信信号振幅調整部22aは、第1ディテクタ43aの検出結果に基づいて、信号送信部2から出力される第1伝送信号S(+)の振幅Dをフィードバック制御している。また、第2送信信号振幅調整部22bは、第2ディテクタ43bの検出結果に基づいて、信号送信部2から出力される第2伝送信号S(−)の振幅Eをフィードバック制御している。
【0116】
また、信号受信部4の受信信号振幅調整部42は、検波部43の検出結果に基づいて、各ノイズ信号N1、N2が重畳された第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の振幅を調整する。たとえば、第1受信信号振幅調整部42aは、第1ディテクタ43aの検出結果に基づいて、第1ノイズ信号N1が重畳された第1伝送信号Sn(+)の振幅を(A/2D)倍に調整する。また、第2受信信号振幅調整部42bは、第2ディテクタ43bの検出結果に基づいて、第2ノイズ信号N2が重畳された第2伝送信号Sn(−)の振幅を(A/2E)倍に調整する。
【0117】
このように、第3参考例では、第1及び第2ディテクタ43a、43bの検出結果に基づいて、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)が独立にAGC(Automatic Gain Control)制御されている。
【0118】
単相変換部41は、受信信号振幅調整部42にて調整された第1及び第2伝送信号(A/2D)Sn(+)、(A/2E)Sn(−)を次の数式12のように演算することにより、単相の出力信号Soutに変換する。
Sout=(A/2D)Sn(+)−(A/2E)Sn(−) (数式12)
【0119】
ここで、差動信号(第1及び第2伝送信号S(+)、S(−))の各振幅は、上述の数式4の条件を満たすように設定されている。従って、単相変換部41が単相の出力信号Soutを生成する際には、次の数式13のように、ノイズ成分が除去される。
Sout={+(A/2)sinωt+(BA/2D)sinωat}
−{−(A/2)sinωt+(CA/2E)sinωat}
=Asinωt+(A/2DE)(EB−CD)sinωat
=Asinωt (数式13)
【0120】
さらには、第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)に重畳されている同位相の第1及び第2ノイズ信号N1、N2は、同振幅であるか非対称振幅(異なる振幅)であるかに拘らず、除去される。従って、信号伝送装置1では、外部ノイズが差動信号に及ぼす影響を回避することができる。
【0121】
なお、上述の説明では、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)が独立したAGC制御される例を説明したが、この例示に限定されない。第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)のうちの一方がAGC制御され、他方はAGC Balance制御(一方のAGC制御に対するゲイン差分を制御)してもよい。
【0122】
以上、第3参考例について説明した。第3参考例の信号伝送装置1によれば、信号受信部4が、該信号受信部4が受信する第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の振幅を検出する検波部43をさらに有している。信号送信部2の送信信号振幅調整部22は、検波部43の検出結果に基づいて、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の各振幅を独立して調整する。信号受信部4の受信信号振幅調整部42は、検波部43の検出結果に基づいて、信号受信部4に受信される第1及び第2伝送信号Sn(+)、Sn(−)の各振幅を独立して調整する。
【0123】
こうすれば、フィードバック制御される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅を独立して調整することができる。従って、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)がフィードバック制御されていても、伝送経路3で伝送される第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)の振幅を相違させて、振幅の異なるノイズ信号N1、N2が出力信号Soutに及ぼす影響を十分に低減することができる。
【0124】
<第4参考例>
上述の第1〜第3参考例では、外部ノイズの影響を低減することについて説明しているが、外部から受けるノイズの影響と、外部に与えるノイズの影響とは表裏一体に考えることができる。そのため、第1及び第2伝送信号S(+)、S(−)を伝送する逆位相の差動信号(第1及び第2伝送信号)から外部に放射されるノイズ(たとえば電磁波ノイズ)を緩和する手段として、上述の第1〜第3参考例を適用することもできる。
【0125】
また、
図9は、信号伝送装置から外部に放射される電磁波ノイズが緩和されることを説明するための概念構成図である。
図9において、外部回路Aに近い側の第2伝送経路32を伝送する第2伝送信号S(−)の振幅Eを、遠い側の第1伝送経路31を伝送する第1伝送信号S(+)の振幅Dよりも低く設定する。こうすれば、各伝送経路3から外部回路に放射される電磁波(すなわちノイズ)の振幅差を低減又はなくすことができる。
【0126】
なお、
図9では、第3参考例の信号伝送装置1を例に挙げて説明しているが、第1参考例の信号伝送装置1、第2参考例の伝送経路3を用いても同様に、外部に放射される電磁波ノイズを緩和できることはいうまでもない。
【0127】
<本発明の実施形態>
上述した第3参考例では、検波部43の検出結果(制御信号)を信号送信部2に送る必要があり、制御信号を伝送する制御ラインが必要となる。
【0128】
例えば、チューナから復調器への信号伝送においては、AGCラインを上記制御ラインとして利用できるため、制御ラインを追加して設ける必要がない。一方、HDMIなどのデジタルバスラインを用いた信号伝送においては、上記制御ラインがないため、制御ラインを追加して設ける必要がある。
【0129】
そこで、本発明に係る信号伝送装置は、信号送信部と信号受信部との間に制御信号を伝送する制御ラインを必要としない構成としている。なお、後述する各実施形態では、第1振幅調整部および第2振幅調整部のゲイン差によって第1及び第2伝送信号を相違させているが、第2参考例のように第1及び第2伝送経路31、32の特性を互いに異ならせて第1及び第2伝送信号を相違させてもよい。また、以下の説明では第5実施形態を除いてノイズに関する説明を省略する。
【0130】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る信号伝送装置1の構成を
図10に示す。なお、
図10において
図9と同一或いは類似の部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0131】
信号送信部2は、差動変換部21と、第1振幅調整部22aと、第2振幅調整部22bと、重畳部23とを備えている。第1振幅調整部22aとしては、例えば可変ゲイン増幅器や可変ゲイン減衰器を用いることができる。また、第1振幅調整部22aは、可変ゲイン増幅器、可変ゲイン減衰器、スイッチなどの組合せからなる回路であってもよい。同様に、第2振幅調整部22bとしては、例えば可変ゲイン増幅器や可変ゲイン減衰器を用いることができる。また、第2振幅調整部22bは、可変ゲイン増幅器、可変ゲイン減衰器、スイッチなどの組合せからなる回路であってもよい。
【0132】
差動変換部21は、単相の入力信号Sin(=Asinωt)を互いに逆位相の伝送信号Sa(+)(=(A/2)sinωt)、Sa(−)(=−(A/2)sinωt)に変換する。
【0133】
重畳部23は、伝送信号Sa(+)に調整信号Pa(=Fsinω
Pt)を重畳し、伝送信号Sa(−)に調整信号Pa(=Fsinω
Pt)を重畳する。
【0134】
第1ゲインG
1で振幅調整を行う第1振幅調整部22aは、調整信号が重畳された伝送信号Sa(+)+Paを第1伝送信号S(+)(=G
1(A/2)sinωt+G
1Fsinω
Pt)に変換する。第2ゲインG
2で振幅調整を行う第2振幅調整部22bは、調整信号が重畳された伝送信号Sa(−)+Paを第2伝送信号S(−)(=−G
2(A/2)sinωt+G
2Fsinω
Pt)に変換する。
【0135】
第1伝送信号S(+)は第1伝送経路31によって信号送信部2から信号受信部4に伝送される。第2伝送信号S(−)は第2伝送経路32によって信号送信部2から信号受信部4に伝送される。
【0136】
信号受信部4は、第3振幅調整部42aと、第4振幅調整部42bと、単相変換部41と、調整信号検出部44とを備えている。
【0137】
第3ゲインG
3で振幅調整を行う第3振幅調整部42aは、第1伝送信号S(+)を信号Sb(+)(=G
3G
1(A/2)sinωt+G
3G
1Fsinω
Pt)に変換する。第4ゲインG
4で振幅調整を行う第4振幅調整部42bは、第2伝送信号S(−)を信号Sb(−)(=−G
4G
2(A/2)sinωt+G
4G
2Fsinω
Pt)に変換する。
【0138】
単相変換部41は、信号Sb(+)および信号Sb(−)を単相の出力信号Sout(=(G
3G
1+G
4G
2)(A/2)sinωt+(G
3G
1−G
4G
2)Fsinω
Pt)に変換する。
【0139】
調整信号検出部44は、出力信号Soutから調整信号成分を検波し、その検波結果に基づいて、調整信号成分が零(G
3G
1−G
4G
2=0)に近づくように第3振幅調整部42aの第3ゲインG
3及び第4振幅調整部42bの第4ゲインG
4を調整する。また、この時、G
3G
1=G
4G
2であることにより、信号Sb(+)および信号Sb(−)のそれぞれから調整信号を除いた信号が正しく同振幅に復元されている。
【0140】
本実施形態において、信号送信部2は、第1調整信号Paを伝送信号Sa(+)に重畳し、第1調整信号と同位相である第2調整信号Paを伝送信号Sa(−)に重畳する重畳部32を有する。また、本実施形態において、信号受信部4は、第1伝送経路31によって伝送された第1調整信号及び第2伝送経路32によって伝送された第2調整信号を検出する調整信号検出部(検出部)44と、調整信号検出部(検出部)44の検出結果に基づいて第1及び第2伝送信号の振幅を可変する第3振幅調整部42a及び第4振幅調整部42bを有する。
【0141】
このような構成によると、信号受信部4は、調整信号に基づいて、信号送信部2で決定されたゲインバランスに適応したゲインバランスを実行することができる。したがって、制御信号を伝送する制御ラインを必要としない。
【0142】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る信号伝送装置1の構成を
図11に示す。なお、
図11において
図10と同一或いは類似の部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0143】
第1実施形態に係る信号伝送装置1では、信号受信部4が、調整信号に基づいて、信号送信部2で決定されたゲインバランスに適応したゲインバランスを実行した。本実施形態に係る信号伝送装置1では、第1実施形態に係る信号伝送装置1とは逆に、信号送信部2が、調整信号に基づいて、信号受信部4で決定されたゲインバランスに適応したゲインバランスを実行する。信号送信部2から伝送されてきた伝送信号の品質を信号受信部4で判定する場合、当該判定結果に基づいて信号受信部4でゲインバランスを決定することが好ましいので、本実施形態に係る信号伝送装置1が好適である。
【0144】
本実施形態に係る信号伝送装置1は、第1実施形態に係る信号伝送装置1とは異なり、信号受信部4が重畳部45を備え、信号送信部2が調整信号検出部24を備える。重畳部45は第1実施形態に係る信号伝送装置1の重畳部23と同様の構成であり、調整信号検出部24は第1実施形態に係る信号伝送装置1の調整信号検出部44と同様の構成である。
【0145】
本実施形態に係る信号伝送装置1は、上述した通り、信号受信部4が重畳部45を備え、信号送信部2が調整信号検出部24を備えるので、調整信号が信号受信部4から信号送信部2に伝送される。すなわち、本実施形態に係る信号伝送装置1では伝送信号の伝送方向と調整信号の伝送方向が逆向きになるので、第1振幅調整部22a、第2振幅調整部22b、第3振幅調整部42a、及び第4振幅調整部42bは、能動素子を具備することができない。したがって、本実施形態に係る信号伝送装置1においては、第1振幅調整部22a、第2振幅調整部22b、第3振幅調整部42a、及び第4振幅調整部42bは利得減衰しか行えず、利得増幅を行えない。
【0146】
ここで、本実施形態の各信号について説明する。調整信号の重畳により、第3振幅調整部42aから単相変換部41に伝送される信号Sb(+)はG
3G
1(A/2)sinωt+Fsinω
Ptとなり、第4振幅調整部42bから単相変換部41に伝送される信号Sb(−)は−G
4G
2(A/2)sinωt+Fsinω
Ptとなる。
【0147】
また、調整信号の第3振幅調整部42a及び第4振幅調整部42bを経由した伝送によって、第1伝送信号S(+)はG
1(A/2)sinωt+G
3Fsinω
Ptとなり、第2伝送信号S(−)はG
2(A/2)sinωt+G
4Fsinω
Ptとなる。
【0148】
また、調整信号の第1振幅調整部22a及び第2振幅調整部22bを経由した伝送によって、差動変換部21から第1振幅調整部22aに伝送される信号Sa(+)は(A/2)sinωt+G
1G
3Fsinω
Ptとなり、差動変換部21から第2振幅調整部22bに伝送される信号Sa(−)は−(A/2)sinωt+G
2G
4Fsinω
Ptとなる。
【0149】
したがって、差動変換部21に伝送される信号SinはAsinωt+(G
1G
3−G
2G
4)Fsinω
Ptとなる。
【0150】
調整信号検出部24は、信号Sinから調整信号成分を検波し、その検波結果に基づいて、調整信号成分が零(G
1G
3−G
2G
4=0)に近づくように第1振幅調整部22aの第1ゲインG
1及び第2振幅調整部22bの第2ゲインG
2を調整する。また、この時、G
1G
3=G
2G
4であることにより、信号Sb(+)および信号Sb(−)のそれぞれから調整信号を除いた信号が正しく同振幅に復元されている。
【0151】
本実施形態に係る信号伝送装置1によると、信号送信部2は、調整信号に基づいて、信号受信部4で決定されたゲインバランスに適応したゲインバランスを実行することができる。したがって、制御信号を伝送する制御ラインを必要としない。
【0152】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る信号伝送装置1の構成を
図12に示す。なお、
図12において
図11と同一或いは類似の部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0153】
本実施形態に係る信号伝送装置1は、第2実施形態に係る信号伝送装置1に受信側増幅器25及び送信側増幅器46を追加した構成である。受信側増幅器25は差動変換部21及び調整信号検出部24よりも前段に設けられ、送信側増幅器46は重畳部45よりも後段に設けられる。
【0154】
本実施形態に係る信号伝送装置1によると、信号受信部2での信号増幅及び信号送信部4での信号増幅が可能になる。なお、受信側増幅器25及び送信側増幅器46のいずれか一方のみを設け、信号受信部2での信号増幅及び信号送信部4での信号増幅のいずれか一方のみを可能にしてもよい。
【0155】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る信号伝送装置1の構成を
図13に示す。なお、
図13において
図12と同一或いは類似の部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0156】
本実施形態に係る信号伝送装置1は、第3実施形態に係る信号伝送装置1の受信側増幅器25を差動方式の増幅器に変更して差動変換部21の後段且つ調整信号検出部24の前段に配置し、さらに単相変換部26を追加して受信側増幅器25の後段且つ調整信号検出部24の前段に配置した構成である。
【0157】
本実施形態に係る信号伝送装置1によると、信号受信部2での信号増幅及び信号送信部4での信号増幅が可能になる。なお、送信側増幅器46を取り除き、信号受信部2での信号増幅のみを可能にしてもよい。
【0158】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る信号伝送装置1の構成を
図14に示す。なお、
図14において
図11と同一或いは類似の部分については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0159】
本実施形態に係る信号伝送装置1は、第2実施形態に係る信号伝送装置1の信号送信部2に第5振幅調整部27a及び第6振幅調整部27b、及び単相変換部28を追加し調整信号検出部24を送信レベル制御部29に置換し、第2実施形態に係る信号伝送装置1の信号受信部4に復調部47、第7振幅調整部48a、及び第8振幅調整部48bを追加した構成である。送信レベル制御部29は、本発明に係るに係る信号伝送装置が備える「検出部」及び「振幅可変部」の一例である。
【0160】
本実施形態に係る信号伝送装置1の概略動作について説明する。ここでは、第1伝送経路31に第1ノイズ信号N1(=+Bsinωat)が入射し、第2伝送経路32に第2ノイズ信号N2(=+Csinωat)が入射した場合について説明する。
【0161】
復調部47は、単相変換部41から伝送されてくる信号の品質(C/N)を測定し、C/Nが最大になるように、第3振幅調整部42aの第3ゲインG
3及び第4振幅調整部42bの第4ゲインG
4を調整する。この調整により、G
3B−G
4C=0になるので、G
4=(B/C)G
3が成立する。
【0162】
復調部47は、単相変換部41から伝送されてくる信号に含まれる調整信号成分の検波も行っており、単相変換部41から伝送されてくる信号に含まれる調整信号成分が零になるように、第7振幅調整部48aの第7ゲインG
7及び第8振幅調整部48bの第8ゲインG
8を調整する。この調整により、G
3G
7−G
4G
8=0になるので、G
8=(G
3/G
4)G
7=(C/B)G
7が成立する。なお、信号受信部4によって制御される第3,4,7,8ゲインG
3,G
4,G
7,G
8が十分な精度で制御できる管理値であれば、復調部47が調整信号成分の検波を行わなくてもG
3G
7−G
4G
8=0となる調整が可能である。したがって、このような場合には復調部47による調整信号成分の検波を省略してもよい。
【0163】
送信レベル制御部29は、単相変換部28から伝送されてくる信号に含まれる調整信号成分の検波を行っており、単相変換部28から伝送されてくる信号に含まれる調整信号成分が零になるように、第5振幅調整部27aの第5ゲインG
5及び第6振幅調整部27bの第6ゲインG
6を調整する。この調整により、G
5G
7−G
6G
8=0になるので、G
6=(G
7/G
8)G
5=(B/C)G
5が成立する。
【0164】
送信レベル制御部29は、単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定することで、信号送信部2が送信する送信信号(伝送信号)のレベルを測定している。
【0165】
送信レベル制御部29で検出するレベルをS
detとすると、
S
det=(G
1G
5+G
2G
6)(A/2)sinωt+(G
7G
5−G
8G
6)Fsinωpt+(G
5B−G
6C)sinωat
であり、G
1G
2=G
12 =(一定)で制御すると、
(S
det第一項の振幅)/(A/2)=G
1G
5+G
2G
6
=G
1G
5+G
12G
6/G
1
=G
5{G
1+(G
12C/B)(1/G
1)} (∵G
6=(B/C)G
5)
=f(G
1)
と、G
1の関数f(G
1)で表すことができる。
【0166】
f(G
1)のG
1による微分をf’(G
1)と表すと、
f’(G
1)=df(G
1)/dG
1=G
5{1―(G
12C/B)(1/G
12)}
により、
G
1<√(G
12C/B) の時、f’(G
1)<0
G
1=√(G
12C/B) の時、f’(G
1)=0
G
1>√(G
12C/B) の時、f’(G
1)>0
となる。
【0167】
即ち、G
1=√(G
12C/B)=√(G
1G
2C/B)、従ってG
1G
5−G
2G
6=0の時、f(G
1)が最小となる。
【0168】
即ち、送信レベル制御部29で検出するレベルが最小になるように、第1振幅調整部22aの第1ゲインG
1及び第2振幅調整部22bの第2ゲインG
2を調整すれば、G
1G
5−G
2G
6=0になるので、G
2=(G
5/G
6)G
1=(C/B)G
1が成立する。また、この時、G
3/G
4=G
2/G
1=C/B、即ちG
3G
1=G
4G
2であることにより、第3振幅調整部42aから単相変換部41に伝送される信号および第4振幅調整部42bから単相変換部41に伝送される信号のそれぞれから調整信号を除いた信号が正しく同振幅に復元されている。なお、信号送信部2によって制御される第1,2,5,6ゲインG
1,G
2,G
5,G
6が十分な精度で制御できる管理値であれば、送信レベル制御部29が単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定しなくてもG
1G
5−G
2G
6=0となる調整が可能である。したがって、このような場合には単相変換部28から伝送されてくる信号の送信レベル制御部29によるレベル測定を省略してもよい。
【0169】
以上のような動作により、信号送信部2から伝送されてきた伝送信号の品質(C/N)を信号受信部4の復調部47が判定し、当該判定結果に基づいて信号受信部4でゲインバランスを決定することができる。また、信号送信部2は信号受信部4で決定されたゲインバランスに適応したゲインバランスを実行することができる。
【0170】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第5実施形態に係る信号伝送装置1において
図15に示す通り単相変換部28と送信レベル制御部29の間にフィルタ101を設けた構成である。フィルタ101としては例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0171】
第5実施形態では、単相変換部28から送信レベル制御部29に伝送される信号は調整信号成分の他に伝送信号成分も含んでいるので、送信レベル制御部29が調整信号成分を精度良く検波するために伝送信号成分を除去して調整信号成分を抽出することが必要となることがある。そこで、本実施形態において調整信号成分を抽出することができる構成例を提案する。
【0172】
本実施形態では、
図16に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が異なっており、フィルタ101の通過特性104が調整信号成分102を通過させ伝送信号成分103を除去する特性である。したがって、フィルタ101から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図17に示すように伝送信号成分が除去され調整信号成分102が抽出された信号となる。
【0173】
なお、本実施形態では、信号送信部2によって制御される第1,2,5,6ゲインG
1,G
2,G
5,G
6が十分な精度で制御できる管理値である。このため、送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定せずにG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0174】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間にフィルタ101を設けたが、単相変換部28内にフィルタ101を設ける構成あるいは送信レベル制御部29内にフィルタ101を設ける構成であってもよい。
【0175】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。その場合は、フィルタ101としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0176】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第5実施形態に係る信号伝送装置1において
図18に示す通り単相変換部28と送信レベル制御部29の間の伝送経路を2つに分岐し、一方に第1フィルタ105を設け他方に第2フィルタ106を設けた構成である。第1フィルタ105としては例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができ、第2フィルタ106としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0177】
第5実施形態では、単相変換部28から送信レベル制御部29に伝送される信号は調整信号成分の他に伝送信号成分も含んでいるので、送信レベル制御部29が調整信号成分を精度良く検波するために伝送信号成分を除去して調整信号成分を抽出することが必要となることがある。そこで、本実施形態において調整信号成分を抽出することができる構成例を提案する。
【0178】
本実施形態では、
図19に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が異なっている。また、
図19に示すように第1フィルタ105の通過特性107が調整信号成分102を通過させ伝送信号成分103を除去する特性である。したがって、第1フィルタ105から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図20に示すように伝送信号成分が除去され調整信号成分102が抽出された信号となる。さらに、
図19に示すように第2フィルタ106の通過特性108が調整信号成分102を除去し伝送信号成分103を通過させる特性である。したがって、第2フィルタ106から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図21に示すように調整信号成分が除去され伝送信号成分103が抽出された信号となる。
【0179】
なお、本実施形態では、第6実施形態とは異なり送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定してG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0180】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第1フィルタ105および第2フィルタ106を設けたが、送信レベル制御部29内に第1フィルタ105および第2フィルタ106の少なくとも一つを設ける構成であってもよい。
【0181】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。その場合は、第1フィルタ105としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができ、第2フィルタ106としては例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0182】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図22に示すように第7実施形態に係る信号伝送装置1から第2フィルタ106を省いた構成である。したがって、本実施形態においても第7実施形態と同様に、
図23に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が異なっている。また、
図23に示すように第1フィルタ105の通過特性107が調整信号成分102を通過させ伝送信号成分103を除去する特性である。したがって、第1フィルタ105から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図24に示すように伝送信号成分が除去され調整信号成分102が抽出された信号となる。そして、単相変換部28からフィルタを経由せずに送信レベル制御部29に伝送される信号は
図25に示すように調整信号成分102および伝送信号成分103を含んでいる。
【0183】
復調部47で復調した際の伝送信号の信号品質を良好に保つために、調整信号は伝送信号に比べて通常十分に低いレベルに抑えられている。そのため、第2フィルタ106を省いても本実施形態の送信レベル制御部29は第7実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0184】
なお、本実施形態では、第7実施形態と同様に送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定してG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0185】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第1フィルタ105を設けたが、送信レベル制御部29内に第1フィルタ105を設ける構成であってもよい。
【0186】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。その場合は、第1フィルタ105としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0187】
<調整信号>
上述した各実施形態で用いた調整信号は、伝送対象であるデータ信号に重畳された時にデータ信号の信号品質を著しく劣化させないことが必要である。調整信号を除去する要素としては、差動変換部や単相変換部で同相信号をキャンセルする能力(同相除去比)と、受信装置の除去性能とがある。調整信号が受信帯域外にある場合、受信装置の除去性能はフィルタ等による帯域外信号の抑圧性能である。この時、調整信号は受信装置のフィルタ等で十分除去できるレベルに抑える必要がある。これは類似した例を挙げるとすれば、例えば日本の地上デジタル放送受信チューナ規格では、隣接チャンネルでの妨害信号は受信信号と比較して20〜30dB程度高いレベル以下にしなければいけない等の制約がある。また調整信号の周波数がデータ信号の信号帯域内にある場合は、周波数数によるフィルタリングができないので、調整信号がデータ信号に対して十分低いレベルであることが必要である。前述の日本の地上デジタル受信チューナ規格の類似例で言えば、同一チャンネルでの妨害信号は受信信号よりも20〜30dB低いレベル以下にしなければいけない等の制約が設けられている。
【0188】
その一方で、調整信号のレベルが低いほど、調整信号による制御の精度が低下してしまう。このようなトレードオフを解決するために、調整信号に拡散信号を用いることが望ましい。要求されるデータ信号の品質(C/N)を満たすとともに、調整信号検出部24、44、復調部47、送信レベル制御部29で必要とされる制御の精度が得られる拡散利得となるように拡散信号の拡散方式を設計すればよい。
【0189】
<第9実施形態>
第9実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第5実施形態に係る信号伝送装置1において
図26に示す通り単相変換部28と送信レベル制御部29の間に逆拡散処理部109を設けた構成である。
【0190】
単相変換部28から送信レベル制御部29に伝送される信号は調整信号成分の他に伝送信号成分も含んでいるので、送信レベル制御部29が調整信号成分を精度良く検波するために調整信号成分を抽出することが必要となることがある。そこで、本実施形態において調整信号成分を抽出することができる構成例を提案する。
【0191】
本実施形態では、
図27に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が同じであり、調整信号に予め拡散変調が施されている。そのため、
図28に示すように逆拡散処理部109の出力信号に含まれる逆拡散された調整信号成分110のレベルが逆拡散処理部109の出力信号に含まれる伝送信号成分103のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された調整信号成分110を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0192】
ここで、伝送信号も拡散変調された信号とする場合には、調整信号と伝送信号をそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号とし、逆拡散処理部109が調整信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行うようにすればよい。
【0193】
なお、本実施形態では、信号送信部2によって制御される第1,2,5,6ゲインG
1,G
2,G
5,G
6が十分な精度で制御できる管理値である。このため、送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定せずにG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0194】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に逆拡散処理部109を設けたが、単相変換部28内に逆拡散処理部109を設ける構成あるいは送信レベル制御部29内に逆拡散処理部109を設ける構成であってもよい。
【0195】
<第10実施形態>
第10実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第5実施形態に係る信号伝送装置1において
図29に示す通り単相変換部28と送信レベル制御部29の間の伝送経路を2つに分岐し、一方に第1逆拡散処理部111を設け他方に第2逆拡散処理部112を設けた構成である。
【0196】
第5実施形態では、単相変換部28から送信レベル制御部29に伝送される信号は調整信号成分の他に伝送信号成分も含んでいるので、送信レベル制御部29が調整信号成分を精度良く検波するために伝送信号成分を除去して調整信号成分を抽出することが必要となることがある。そこで、本実施形態において調整信号成分を抽出することができる構成例を提案する。
【0197】
本実施形態では、
図30に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が同じであり、調整信号と伝送信号がそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号である。
【0198】
第1逆拡散処理部111は調整信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図31に示すように第1逆拡散処理部111の出力信号に含まれる逆拡散された調整信号成分110のレベルが第1逆拡散処理部111の出力信号に含まれる伝送信号成分103のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された調整信号成分110を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0199】
一方、第2逆拡散処理部112は伝送信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図32に示すように第2逆拡散処理部112の出力信号に含まれる逆拡散された伝送信号成分113のレベルが第2逆拡散処理部112の出力信号に含まれる調整信号成分102のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された伝送信号成分113を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0200】
なお、本実施形態では、第9実施形態とは異なり送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定してG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0201】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第1逆拡散処理部111および第2逆拡散処理部112を設けたが、送信レベル制御部29内に第1逆拡散処理部111および第2逆拡散処理部112の少なくとも一つを設ける構成であってもよい。
【0202】
<第11実施形態>
第11実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図33に示すように第10実施形態に係る信号伝送装置1から第2逆拡散処理部112を省いた構成である。したがって、本実施形態においても第10実施形態と同様に、
図34に示すように単相変換部28の出力信号に含まれる調整信号成分102と伝送信号成分103の周波数帯域が同じであり、調整信号と伝送信号がそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号である。
【0203】
第1逆拡散処理部111は調整信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図35に示すように第1逆拡散処理部111の出力信号に含まれる逆拡散された調整信号成分110のレベルが第1逆拡散処理部111の出力信号に含まれる伝送信号成分103のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された調整信号成分110を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0204】
復調部47で復調した際の伝送信号の信号品質を良好に保つために、調整信号は伝送信号に比べて通常十分に低いレベルに抑えられている。そのため、第2逆拡散処理部112を省いても本実施形態の送信レベル制御部29は第10実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0205】
なお、本実施形態では、第10実施形態と同様に送信レベル制御部29は単相変換部28から伝送されてくる信号のレベルを測定してG
1G
5−G
2G
6=0となる調整を行っている。
【0206】
また、本実施形態では、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第1逆拡散処理部111を設けたが、送信レベル制御部29内に第1逆拡散処理部111を設ける構成であってもよい。さらに、本実施形態では、伝送信号が拡散変調された信号であるか否かを問わない。
【0207】
<第12実施形態>
第12実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図37に示すように第5実施形態に係る信号伝送装置1に単相変換部114を追加した構成である。
図37に図示している通り、単相変換部28は入力信号を差動合成する単相変換部であり、単相変換部114は入力信号を同相合成する単相変換部である。
【0208】
第5実施形態に係る信号伝送装置1では、単相変換部28を通過した信号のみに基づいて、調整信号がキャンセルされて0となるよう第5,6ゲインG
5,G
6を制御する一方で、同時に伝送信号が最小となるよう第1,2ゲインG
1,G
2を制御するという複雑な制御を必要としていた。これに対して、本実施形態に係る信号伝送装置1では、同相合成を行う単相変換部114を追加しているため、伝送信号と調整信号を独立に制御することが可能である。
【0209】
本実施形態に係る信号伝送装置1においては、下記の二通りの制御が可能である。下記の二通りの制御は、いずれか一方に固定して実施することができる以外に、例えば切り替えながら実施したり、各ゲインについて2つの制御で得られた値を重み付け加算して実施したりすることも可能である。
〔1〕単相変換部28を通過した調整信号、及び、単相変換部114を通過した伝送信号がそれぞれ0になるよう第5,6ゲインG
5,G
6及び第1,2ゲインG
1,G
2を制御する。
〔2〕単相変換部28を通過した伝送信号、及び、単相変換部114を通過した調整信号がそれぞれ最小になるよう第5,6ゲインG
5,G
6及び第1,2ゲインG
1,G
2のバランスを制御する。
【0210】
なお、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)の変形例のいずれかを採用してもよい。
【0211】
<第13実施形態>
第13実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第12実施形態に係る信号伝送装置1において
図38に示す通り単相変換部114と送信レベル制御部29の間にフィルタ115を設けた構成である。フィルタ115としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0212】
本実施形態では、
図39に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が異なっており、フィルタ115の通過特性118が伝送信号成分117を通過させ調整信号成分116を除去する特性である。したがって、フィルタ115から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図40に示すように調整信号成分が除去され伝送信号成分117が抽出された信号となる。
【0213】
なお、本実施形態では、単相変換部114と送信レベル制御部29の間にフィルタ115を設けたが、単相変換部114内にフィルタ115を設ける構成あるいは送信レベル制御部29内にフィルタ115を設ける構成であってもよい。
【0214】
また、本実施形態では、フィルタ115により調整信号成分116を除去し、伝送信号成分117を抽出したが、フィルタ115の通過特性118を、伝送信号成分117を除去して調整信号成分116を通過させる特性として、伝送信号成分117を除去し、調整信号成分116を抽出しても良い。その場合、フィルタ115としては例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0215】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。その場合は、フィルタ115として例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることで、伝送信号成分117を除去して調整信号成分116を抽出することができ、また、フィルタ115として例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることで、調整信号成分116を除去して伝送信号成分117を抽出することができる。
【0216】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)の変形例のいずれかを採用してもよい。
【0217】
<第14実施形態>
第14実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第12実施形態に係る信号伝送装置1において
図41に示す通り単相変換部114と送信レベル制御部29の間の伝送経路を2つに分岐し、一方に第1フィルタ119を設け他方に第2フィルタ120を設けた構成である。第1フィルタ119としては例えばローパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができ、第2フィルタ120としては例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることができる。
【0218】
本実施形態では、
図42に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が異なっている。また、
図42に示すように第1フィルタ119の通過特性121が伝送信号成分117を通過させ調整信号成分116を除去する特性である。したがって、第1フィルタ119から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図43に示すように調整信号成分が除去され伝送信号成分117が抽出された信号となる。さらに、
図42に示すように第2フィルタ120の通過特性122が伝送信号成分117を除去し調整信号成分116を通過させる特性である。したがって、第2フィルタ120から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図44に示すように伝送信号成分が除去され調整信号成分116が抽出された信号となる。
【0219】
なお、本実施形態では、単相変換部114と送信レベル制御部29の間に第1フィルタ119および第2フィルタ120を設けたが、送信レベル制御部29内に第1フィルタ119および第2フィルタ120の少なくとも一つを設ける構成であってもよい。
【0220】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。その場合は、フィルタ119として例えばハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることで、調整信号成分116を除去して伝送信号成分117を抽出することができ、また、フィルタ120として例えばローハイパスフィルタやバンドパスフィルタを用いることで、伝送信号成分117を除去して調整信号成分116を抽出することができる。
【0221】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。
【0222】
<第15実施形態>
第15実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図45に示すように第14実施形態に係る信号伝送装置1から第2フィルタ120を省いた構成である。したがって、本実施形態においても第14実施形態と同様に、
図46に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が異なっている。また、
図46に示すように第1フィルタ119の通過特性121が伝送信号成分117を通過させ調整信号成分116を除去する特性である。したがって、第1フィルタ119から送信レベル制御部29に伝送される信号は
図47に示すように調整信号成分が除去され伝送信号成分117が抽出された信号となる。そして、単相変換部114からフィルタを経由せずに送信レベル制御部29に伝送される信号は
図48に示すように調整信号成分116および伝送信号成分117を含んでいる。
【0223】
復調部47で復調した際の伝送信号の信号品質を良好に保つために、調整信号は伝送信号に比べて通常低いレベルに抑えられているが、単相変換部114での同相合成によって、単相変換部114の出力信号に含まれる伝送信号成分は単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分に比べて通常十分に低いレベルに抑えられていれば、第2フィルタ120を省いても本実施形態の送信レベル制御部29は第14実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0224】
なお、単相変換部114において同相合成された後の信号においても調整信号が伝送信号より十分低いレベルで出力されている場合には、フィルタ120の代わりにフィルタ119を省いても、本実施形態の送信レベル制御部29は第14実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0225】
なお、本実施形態で第2フィルタ120を省く場合、単相変換部114と送信レベル制御部29の間に第1フィルタ119を設けたが、送信レベル制御部29内に第1フィルタ119を設ける構成であってもよい。
【0226】
また、本実施形態で第1フィルタ119を省く場合、単相変換部114と送信レベル制御部29の間に第2フィルタ120を設けたが、送信レベル制御部29内に第2フィルタ120を設ける構成であってもよい。
【0227】
また、本実施形態の説明図では、調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも高い場合で説明したが、実施形態14と同様に調整信号の周波数が伝送信号の周波数よりも低くても良い。
【0228】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。
【0229】
<第16実施形態>
第16実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第12実施形態に係る信号伝送装置1において
図49に示す通り単相変換部114と送信レベル制御部29の間に逆拡散処理部123を設けた構成である。
【0230】
本実施形態では、
図50に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が同じであり、伝送信号に予め拡散変調が施されている。そのため、
図51に示すように逆拡散処理部123の出力信号に含まれる逆拡散された伝送信号成分124のレベルが逆拡散処理部123の出力信号に含まれる調整信号成分116のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された伝送信号成分124を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0231】
ここで、調整信号も拡散変調された信号とする場合には、調整信号と伝送信号をそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号とし、逆拡散処理部123が伝送信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行うようにすればよい。
【0232】
なお、本実施形態では、単相変換部114と送信レベル制御部29の間に逆拡散処理部123を設けたが、単相変換部114内に逆拡散処理部123を設ける構成あるいは送信レベル制御部29内に逆拡散処理部123を設ける構成であってもよい。
【0233】
また、本実施形態では、逆拡散処理部123により予め拡散変調を施された伝送信号成分117を抽出したが、逆に、逆拡散処理部123により予め拡散変調を施された調整信号成分116を抽出しても良い。
【0234】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。
【0235】
<第17実施形態>
第17実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、第12実施形態に係る信号伝送装置1において
図52に示す通り単相変換部114と送信レベル制御部29の間の伝送経路を2つに分岐し、一方に第1逆拡散処理部125を設け他方に第2逆拡散処理部126を設けた構成である。
【0236】
本実施形態では、
図53に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が同じであり、調整信号と伝送信号がそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号である。
【0237】
第1逆拡散処理部125は伝送信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図54に示すように第1逆拡散処理部125の出力信号に含まれる逆拡散された伝送信号成分124のレベルが第1逆拡散処理部125の出力信号に含まれる調整信号成分116のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された伝送信号成分124を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0238】
一方、第2逆拡散処理部126は調整信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図55に示すように第2逆拡散処理部126の出力信号に含まれる逆拡散された調整信号成分127のレベルが第2逆拡散処理部126の出力信号に含まれる伝送信号成分117のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された調整信号成分127を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0239】
なお、本実施形態では、単相変換部114と送信レベル制御部29の間に第1逆拡散処理部125および第2逆拡散処理部126を設けたが、送信レベル制御部29内に第1逆拡散処理部125および第2逆拡散処理部126の少なくとも一つを設ける構成であってもよい。
【0240】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。
【0241】
<第18実施形態>
第18実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図56に示すように第17実施形態に係る信号伝送装置1から第2逆拡散処理部126を省いた構成である。したがって、本実施形態においても第11実施形態と同様に、
図57に示すように単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分116と伝送信号成分117の周波数帯域が同じであり、調整信号と伝送信号がそれぞれ異なる拡散コードで拡散変調された信号である。
【0242】
第1逆拡散処理部125は伝送信号の拡散コードを用いて逆拡散処理を行う。そのため、
図58に示すように第1逆拡散処理部125の出力信号に含まれる逆拡散された伝送信号成分124のレベルが第1逆拡散処理部125の出力信号に含まれる調整信号成分116のレベルよりも十分に大きくなる。これにより、逆拡散された伝送信号成分124を送信レベル制御部29が容易に抽出することができる。
【0243】
復調部47で復調した際の伝送信号の信号品質を良好に保つために、調整信号は伝送信号に比べて通常低いレベルに抑えられているが、単相変換部114での同相合成によって、単相変換部114の出力信号に含まれる伝送信号成分は単相変換部114の出力信号に含まれる調整信号成分に比べて通常十分に低いレベルに抑えられていれば、第2逆拡散処理部126を省いても本実施形態の送信レベル制御部29は第17実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0244】
なお、単相変換部114において同相合成された後の信号においても調整信号が伝送信号より低いレベルで出力されている場合には、第2逆拡散処理部126の代わりに第1逆拡散処理部125を省いても、本実施形態の送信レベル制御部29は第17実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0245】
なお、本実施形態で第2逆拡散処理部126を省く場合、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第1逆拡散処理部125を設けたが、送信レベル制御部29内に第1逆拡散処理部125を設ける構成であってもよい。さらに、その場合、調整信号が拡散変調された信号であるか否かを問わない。
【0246】
また、本実施形態で第1逆拡散処理部125を省く場合、単相変換部28と送信レベル制御部29の間に第2逆拡散処理部126を設けたが、送信レベル制御部29内に第2逆拡散処理部126を設ける構成であってもよい。さらに、その場合、伝送信号が拡散変調された信号であるか否かを問わない。
【0247】
また、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。
【0248】
<第19実施形態>
第19実施形態に係る信号伝送装置1の構成は、
図60に示すように第12実施形態に係る信号伝送装置1の挿入候補箇所P1〜P6の少なくとも一つに、信号の絶対レベルを検知するレベル検知部128を設ける構成である。
【0249】
挿入候補箇所P1〜P6はそれぞれ調整信号のレベルから経路の損失を検知可能な箇所である。
【0250】
ここで、入力信号Sinを伝送する信号経路上の損失をL
1、信号送信部2から伝送経路3上でノイズが重畳される箇所までの区間における伝送経路3上の損失をL
2、伝送経路3上でノイズが重畳される箇所から信号受信部4までの区間における伝送経路3上の損失をL
3とする。
【0251】
挿入候補箇所P1,P2における信号Sc(+),Sc(−)はそれぞれ次のようになる。
Sc(+)=G
1(A/2)L
1sinωt
+G
7L
2L
3Fsinω
pt
+L
2Bsinω
nt
Sc(−)=−G
2(A/2)L
1sinωt
+G
8L
2L
3Fsinω
pt
+L
2Csinω
nt
【0252】
挿入候補箇所P3,P4における信号Se(+),Se(−)はそれぞれ次のようになる。
Se(+)=G
1G
5(A/2)L
1sinωt
+G
7G
5L
2L
3Fsinω
pt
+G
5L
2Bsinω
nt
Se(−)=−G
2G
6(A/2)L
1sinωt
+G
8G
6L
2L
3Fsinω
pt
+G
6L
2Csinω
nt
【0253】
挿入候補箇所P5における信号Sgは次のようになる。
Sg=(G
1G
5−G
2G
6)(A/2)L
1sinωt
+(G
7G
5+G
8G
6)L
2L
3Fsinω
pt
+(G
5B+G
6C)L
2sinω
nt
【0254】
挿入候補箇所P6における信号Sfは次のようになる。
Sf=(G
1G
5+G
2G
6)(A/2)L
1sinωt
+(G
7G
5−G
8G
6)L
2L
3Fsinω
pt
+(G
5B−G
6C)L
2sinω
nt
【0255】
挿入候補箇所P1〜P6における各信号の調整信号成分を表す項(Fsinω
pt)に対して、伝送経路3上の損失L
2,L
3が含まれている。即ち、挿入候補箇所P1〜P6における各信号の調整信号成分は伝送経路3上の損失に比例している。したがって、挿入候補箇所P1〜P6の少なくとも一つにレベル検知部128を設けることで、伝送経路3上の損失を検知し、その損失を補償するように制御することが可能となる。
【0256】
なお、挿入候補箇所P6における調整信号はキャンセルされて0に近づくように制御されるため、挿入候補箇所P1〜P5の少なくとも一つにレベル検知部128を設けることが望ましい。
【0257】
なお、挿入候補箇所P5およびP6への検知部設置については、送信レベル制御部内となっても良い。
【0258】
なお、本実施形態において、単相変換部28と送信レベル制御部29の間の構成として、第6〜11実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。この場合、当該採用箇所に挿入候補箇所P6を設けてもよい。
【0259】
また、本実施形態において、単相変換部114と送信レベル制御部29の間の構成として、第13〜18実施形態(各実施形態において説明した変形例を含む)のいずれかを採用してもよい。この場合、当該採用箇所に挿入候補箇所P5を設けてもよい。
【0260】
本実施形態において、伝送経路3上の損失を検知し、その損失を補償するように振幅制御方法を適用することで、以下の場合にも対処できるようになる。
〔1〕伝送経路等での損失により、信号受信部4にて十分なレベルで信号を受信できない場合。
〔2〕伝送経路に飛び込むノイズのレベルが強く、信号レベルを上げてノイズの影響を抑えたい場合。
【0261】
またチューナ回路のように、専用の振幅制御ライン(AGCライン)が設けられたシステムにおいても、専用の振幅制御ラインを省き、伝送経路を使用して振幅制御することができれば、スペース削減等の大きなメリットが得られる。
【0262】
<調整信号へのその他多種の情報の重畳>
各実施形態において、調整信号に各種情報信号を重畳して送信し、受け取り側で情報を読み取るように構成することも可能である。この場合、調整信号に重畳された情報信号を読み取るための読み取り部を受け取り側に設置する。
【0263】
例えば、第19実施形態において調整信号に情報信号を重畳した場合、調整信号に重畳された情報信号(重畳信号)を読み取るための読み取り部を信号送信部2に設置する。重畳信号を読み取るための読み取り部は挿入候補箇所P1〜P6のいずれにおいても設置することができる。しかしながら、挿入候補箇所P6における調整信号はキャンセルされて0に近づくように制御されるため、重畳信号を読み取るための読み取り部を挿入候補箇所P1〜P5の少なくとも一つに設けることが望ましい。
【0264】
なお、挿入候補箇所P5およびP6への検知部設置については、送信レベル制御部内となっても良い。
【0265】
重畳信号の内容は、振幅バランス情報、振幅情報でも良いし、制御パラメータ、その他の管理情報等でもよい。振幅バランス、振幅情報については、上述した各実施形態において重畳信号を使用しない方法で伝送する方法を説明してきたが、さらに重畳信号でもこれらの情報を伝送すれば、検知精度を高めることが可能である。
【0266】
調整信号に各種情報信号を重畳して送信し、受け取り側で情報を読み取る構成を採用することにより、下記のメリットが期待できる。
〔1〕各種情報信号を送信する専用ラインを削減できることによるスペース削減。
〔2〕各種情報信号を送信する専用ラインにノイズが載ることによる影響の低減。
【0267】
上記〔2〕のメリットは重畳信号の重畳方式としてノイズ耐性の強いものを選択することで実現できる。例えば、第9実施形態等で用いた拡散変調はノイズに強い方式であるため、重畳信号に拡散変調を適用しても良い。
【0268】
<制御タイミング>
各実施形態における振幅バランス、振幅レベルの調整(制御)は、様々な機器内、機器間の有線による通信回路に適用可能であるが、例えば設置型機器、モバイル型機器等の種別によって、適する制御方法が異なる場合がある。
【0269】
モバイル型機器や、無線通信あるいは無線放送を含む機器においては、受信信号の信号環境が一定でなく、信号のレベルやノイズの入射条件も絶えず変化し続ける。例えば入力信号Sinを伝送する信号経路上の損失や伝送経路3に流入するノイズは常に変動する。このような状況においては絶えず信号の振幅レベルおよび振幅バランスをモニターし、フィードバック制御することが望ましい。
【0270】
一方、設置型機器においては、絶えず信号環境が変化するわけではないので、信号環境が変化する可能性のある幾つかのイベント発生時にフィードバック制御を行うだけで十分なことが多い。モバイル型機器や、無線通信あるいは無線放送を含む機器と比較すると、設置型機器においては特に入力信号Sinを伝送する信号経路上の損失の変動は殆ど発生しないと考えて良い。したがって、設置型機器においては、例えば
図61の制御タイミングに示すNo.3〜No.10の少なくとも一つを実行することが望ましい。なお、
図61の制御タイミングに示すNo.3〜No.10の少なくとも一つを実行する構成にした場合、所定のイベントが発生してフィードバック制御に切り替わってから所定時間が経過するとフィードバック制御を終了し制御OFFまたは固定値制御に戻るようにすればよい。
【0271】
以下、
図61の制御タイミングに関して簡単に説明する。
【0272】
図61の制御タイミングに示すNo.1では、通信動作をしていないため、制御は不要である。このため、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、制御OFFとしている。
【0273】
図61の制御タイミングに示すNo.2では、設置型機器に関しては、特に信号環境の変化を伴わない、定常的な通信状態を想定しているためフィードバック制御は行わず、制御値(送信レベル制御部29における調整信号成分の検波結果および伝送信号のレベル測定結果)を固定した固定値制御を行うようにしている。一方、モバイル型機器等に関しては、定常的に信号環境の変化が発生するため、フィードバック制御を行うようにしている。
【0274】
図61の制御タイミングに示すNo.3では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、通信を開始したタイミングでフィードバック制御を行っている。
【0275】
図61の制御タイミングに示すNo.4では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、通信レート、信号のチャンネル、階層信号の階層選択、同期方法、その他の通信条件が変更されたタイミングでフィードバック制御を行っている。
【0276】
図61の制御タイミングに示すNo.5では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、送信器(信号送信部2を備える機器)または受信器(信号受信部4を備える機器)が動作を開始したタイミングでフィードバック制御を行っている。送信器または受信器が動作を開始する場合としては、電源電力が供給されて自動的に送信器または受信器が動作を開始する場合や、制御信号等による指示を受けて送信器または受信器が動作を開始する場合が考えられる。
【0277】
図61の制御タイミングに示すNo.6では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、伝送経路3に送信器または受信器が接続されたタイミングでフィードバック制御を行っている。伝送経路3に送信器または受信器が接続されたタイミングとしては、次の二つが考えられる。一つは、送信器と受信器がそれぞれ独立した機器内にあり、送受信器間にケーブルが接続されたタイミングである。もう一つは、送信器と受信器が同一機器内にあって、送受信器間に固定信号経路が配線されており、当該固定信号経路が無効状態(電気的に接続されていない状態)から有効状態(電気的に接続されている状態)となるタイミングである。
【0278】
図61の制御タイミングに示すNo.7では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、信号品質(S/N等)の許容範囲を超える劣化を確認したタイミングでフィードバック制御を行っている。信号品質(S/N等)の許容範囲を超える劣化が確認された場合には、特にフィードバック制御を実施する必要性が高いと考えられる。この場合、劣化した信号品質を改善する必要性が生じているため、信号の振幅レベル、振幅バランスについても、信号品質の劣化原因となっていないか、フィードバック制御により最適化することができないか、を確認する必要がある。
【0279】
図61の制御タイミングに示すNo.8では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、送信器、受信器のいずれかあるいは両方を含む機器にて、例えば、他回路の動作開始、動作条件の変更等があり、これによりノイズが発生して送受信器間の通信にノイズの影響が発生する可能性が生じたタイミングでフィードバック制御を行っている。
【0280】
図61の制御タイミングに示すNo.9では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、送信器や受信器から他回路へノイズを与える可能性があるときに、他回路から送信器や受信器へ当該ノイズを低減するために通信動作条件(振幅バランス、振幅レベル)を変更する要請が来たタイミングでフィードバック制御を行っている。
【0281】
図61の制御タイミングに示すNo.10では、モバイル型機器等と設置型機器との双方において、上記No.2〜No.9以外に例えば温度や他機器の使用状況等、環境の経時変化が発生する可能性のある一定時間間隔にて信号状態を確認してフィードバック制御を行っている。
【0282】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。