特許第6500786号(P6500786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500786
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】有機半導体材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20190408BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20190408BHJP
   C07F 7/22 20060101ALI20190408BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   C08G61/12
   C07D513/04 301
   C07F7/22 TCSP
   C07F7/10 V
【請求項の数】11
【全頁数】84
(21)【出願番号】特願2015-562789(P2015-562789)
(86)(22)【出願日】2015年2月3日
(86)【国際出願番号】JP2015053004
(87)【国際公開番号】WO2015122321
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-26951(P2014-26951)
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(74)【代理人】
【識別番号】100149021
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 有佳理
(72)【発明者】
【氏名】若宮 淳志
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 一剛
(72)【発明者】
【氏名】濱本 史朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 光
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−238530(JP,A)
【文献】 特開2009−197218(JP,A)
【文献】 In Tae Kim et al.,Synthesis, characterization, and properties of a new thiophene-benzobisthiazole copolymer ,Synthetic Metals,2006年,vol.156,38-41頁
【文献】 Jared F. Mike et al.,Facile Synthesis of 2,6-Disubstituted Benzobisthiazoles:Functional Monomers for the Design of Organic Semiconductors,The Journal of Organic Chemistry,2010年,vol.75,495-497頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/12
C07D 513/04
C07F 7/00−7/30
H01L 51/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位と、下記式(c1)〜(c19)、(c22)〜(c28)、(c31)で表される構造単位とが交互に配置されていることを特徴とする高分子化合物。
【化1】

[式(1)中、
1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
また、B1、B2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、または炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環を表す。
【化2】

式(c1)〜(c19)、(c22)〜(c28)、(c31)中、
30〜R46、R48〜R57、R60は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表し、
30、A31は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
【請求項2】
1、T2が、それぞれ、下記式(t1)〜(t5)のいずれかで表される基である請求項1に記載の高分子化合物。
【化3】

[式(t1)〜(t5)中、
13〜R14は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。
15〜R16は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、または、*−Si(R183で表される基を表す。
15'は、水素原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−Si(R183で表される基を表す。
17は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R19、*−S−R20、*−Si(R183、または、*−CF3を表す。
18は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、複数のR18は、同一でも異なっていてもよい。
19〜R20は、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。
*は結合手を表す。]
【請求項3】
1、B2が、それぞれ、下記式(b1)〜(b2)のいずれかで表される基である請求項1または2に記載の高分子化合物。
【化4】

[式(b1)〜(b2)中、
21、R22、R21'は、水素原子または炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*は結合手を表し、特に左側の*は、ベンゾビスチアゾール化合物のベンゼン環に結合する結合手を表すものとする。]
【請求項4】
ドナー−アクセプター型半導体ポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む有機半導体材料。
【請求項6】
式(5)で表されるベンゾビスチアゾール化合物。
【化5】

[式(5)中、
1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
また、B3、B4は、アルキル基で置換されていてもよいチオフェン環、または、アルキル基で置換されていてもよいチアゾール環を表す。
1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。
1、M2は、それぞれ独立に、ホウ素原子または錫原子を表す。
1、R2は、M1とともに環を形成していてもよく、R3、R4は、M2とともに環を形成していてもよい。
m、nは、それぞれ、1または2の整数を表す。また、m、nが2のとき、複数のR1、R3は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【請求項7】
式(4)で表されるベンゾビスチアゾール化合物。
【化6】

[式(4)中、
1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
また、B1、B2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、または炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環を表す。]
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物の製造方法であって、
2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物を出発原料とし、
式(2)で表される化合物、
【化7】

[式(2)中、
1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。]
式(3)で表される化合物、
【化8】

[式(3)中、
1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。
1、X2は、ハロゲン原子を表す。]
式(4)で表される化合物、
【化9】

[式(4)中、
1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。
また、B1、B2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、または炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環を表す。]
を経た後、下記式(C1)〜(C19)、(C22)〜(C28)、(C31)で表される構造単位と反応させることを特徴とする製造方法。
【化10】

[式(C1)〜(C19)、(C22)〜(C28)、(C31)中、
30〜R46、R48〜R57、R60は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表し、
30、A31は、それぞれ独立に、アルコキシ基であるか、チオアルコキシ基であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環であるか、炭化水素基またはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環であるか、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Yはハロゲン原子を表す。]
【請求項9】
下記第一工程、第二工程、および、第三工程を含む請求項8に記載の製造方法。
第一工程:2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物に、金属触媒の存在下、式(6)および/または式(7)
【化11】

[式(6)、(7)中、
1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。
5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、または、*−M3(R7k8を表す。
7、R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。
3は、ホウ素原子または錫原子を表す。*は結合手を表す。
7、R8は、M3とともに環を形成していてもよい。
kは1、または、2の整数を表す。また、kが2のとき、複数のR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
で表される化合物を反応させて、式(2)で表される化合物を得る工程
第二工程:式(2)で表される化合物に塩基とハロゲン化試薬とを反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程
第三工程:式(3)で表される化合物に、金属触媒の存在下、下記式(8)および/または式(9)で表される化合物を反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程
【化12】

[式(8)、(9)中、
1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。
9〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。
4、M5は、ホウ素原子、錫原子、または、ケイ素原子を表す。
9、R10は、M4とともに環を形成していてもよく、R11、R12は、M5とともに環を形成していてもよい。
p、qは1または2の整数を表す。pが2のとき、複数のR9は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。また、qが2のとき、複数のR11は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【請求項10】
さらに、式(5)で表される化合物
【化13】

[式(5)中、
1、T2、B3、B4は、それぞれ上記と同様の基を表す。
1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。
1、M2は、それぞれ独立に、ホウ素原子または錫原子を表す。
1、R2は、M1とともに環を形成していてもよく、R3、R4は、M2とともに環を形成していてもよい。
m、nは、それぞれ、1または2の整数を表す。また、m、nが2のとき、複数のR1、R3は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
を経る請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
さらに下記第四工程を含む請求項10に記載の製造方法。
第四工程:式(4)で表される化合物に、塩基とハロゲン化錫化合物とを反応させて、式(5)で表される化合物を得る工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のベンゾビスチアゾール骨格を有する構造単位を有する高分子化合物、有機半導体材料、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料は、有機エレクトロニクス分野において最も重要な材料の1つであり、電子供与性のp型有機半導体材料や電子受容性のn型有機半導体材料に分類することができる。p型有機半導体材料やn型有機半導体材料を適切に組合せることにより様々な半導体素子を製造することができ、このような素子は、例えば、電子と正孔が再結合して形成する励起子(エキシトン)の作用により発光する有機エレクトロルミネッセンスや、光を電力に変換する有機薄膜太陽電池、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタに応用されている。
【0003】
これらの中でも、有機薄膜太陽電池は、大気中への二酸化炭素放出がないため環境保全に有用であり、また簡単な構造で製造も容易であることから、需要が高まっている。しかしながら、有機薄膜太陽電池の光電変換効率はいまだ十分ではない。光電変換効率ηは短絡電流密度(Jsc)と開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)の積「η=開放電圧(Voc)×短絡電流密度(Jsc)×曲線因子(FF)」で算出される値であり、光電変換効率を高めるためには、開放電圧(Voc)の向上に加え、短絡電流密度(Jsc)や曲線因子(FF)の向上も必要となる。
【0004】
開放電圧(Voc)は、p型有機半導体のHOMO(最高被占軌道)準位とn型有機半導体のLUMO(最低空軌道)準位のエネルギー差に比例するものであるため、開放電圧(Voc)を向上するためには、p型有機半導体のHOMO準位を深くする(引き下げる)必要がある。
【0005】
また、短絡電流密度(Jsc)は、有機半導体材料が受け取るエネルギーの量と相関するものであり、有機半導体材料の短絡電流密度(Jsc)を向上するためには、可視領域から近赤外領域までの広い波長範囲の光を吸収させる必要がある。有機半導体材料が吸収できる光のうち、もっとも低いエネルギーの光の波長(もっとも長い波長)が吸収端波長であり、この波長に対応したエネルギーがバンドギャップエネルギーに相当する。そのため、より広い波長範囲の光を吸収させるためにはバンドギャップ(p型有機半導体のHOMO準位とLUMO準位のエネルギー差)を狭くする必要がある。
【0006】
一方、特許文献1では、ベンゾビスチアゾール骨格を有する化合物が提案されているが、変換効率が明らかではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−238530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、光電変換効率に優れた有機半導体材料を提供することにある。また、有機半導体材料では化学構造と変換効率とが密接に関連していることから、より多様な骨格や置換基を導入できる原材料化合物を提供することをも目的とする。さらに、このような有機半導体材料やその原材料化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、変換効率向上のためには、すなわち開放電圧(Voc)を向上しながら短絡電流密度(Jsc)を向上するためには、p型有機半導体に広い波長の範囲の光を吸収させると同時にHOMO準位を適度に深くすることが有用であることを見出した。そして、p型有機半導体材料における変換効率と化学構造との相関に着目して鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する有機半導体ポリマーを用いることによって、可視光領域全体に幅広い光吸収を有するとともに、HOMO準位やLUMO準位を適切な範囲に調整できるため、開放電圧(Voc)を向上しながら短絡電流密度(Jsc)を向上できることをつきとめた。そして、このような有機半導体ポリマーを用いると、p型有機半導体とn型有機半導体との間で容易に電荷分離を起こせることを見出して、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明に係る高分子化合物は、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を含むことを特徴とする。
【0011】
【化1】

[式(1)中、T1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環、または、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。また、B1、B2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環、または、エチニレン基を表す。]
【0012】
式(1)において、T1、T2は、それぞれ、下記式(t1)〜(t5)のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0013】
【化2】

[式(t1)〜(t5)中、R13〜R14は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。R15〜R16は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、または、*−Si(R183で表される基を表す。R15'は、水素原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−Si(R183で表される基を表す。R17は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R19、*−S−R20、*−Si(R183、または、*−CF3を表す。R18は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、複数のR18は、同一でも異なっていてもよい。R19〜R20は、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。]
【0014】
また式(1)において、B1、B2は、それぞれ、下記式(b1)〜(b3)のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0015】
【化3】

[式(b1)〜(b3)中、R21、R22、R21'は、水素原子または炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*は結合手を表し、特に左側の*は、ベンゾビスチアゾール化合物のベンゼン環に結合する結合手を表すものとする。]
【0016】
本発明の高分子化合物は、好ましくは、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーである。本発明の高分子化合物を含む有機半導体材料も本発明の技術的範囲に包含される。
【0017】
また、本発明は、式(5)で表されるベンゾビスチアゾール化合物を含む。
【化4】

[式(5)中、T1、T2、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M1、M2は、それぞれ独立に、ホウ素原子または錫原子を表す。R1、R2は、M1とともに環を形成していてもよく、R3、R4は、M2とともに環を形成していてもよい。m、nは、それぞれ、1または2の整数を表す。また、m、nが2のとき、複数のR1、R3は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【0018】
本発明は、また、式(4)で表されるベンゾビスチアゾール化合物を含む。
【化5】

[式(4)中、T1、T2、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0019】
本発明は、さらに、式(3)で表されるベンゾビスチアゾール化合物を含む。
【化6】

[式(3)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。X1、X2は、ハロゲン原子を表す。]
【0020】
本発明は、式(2)で表されるベンゾビスチアゾール化合物を含む。
【化7】

[式(2)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0021】
本発明の高分子化合物の製造方法は、2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物を出発原料とし、
式(2)で表される化合物、
【0022】
【化8】

[式(2)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
式(3)で表される化合物、
【0023】
【化9】

[式(3)中、T1、T2、X1、X2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
式(4)で表される化合物、
【0024】
【化10】

[式(4)中、T1、T2、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
を経ることを特徴とする。
【0025】
本発明の高分子化合物の製造方法は、下記第一工程、第二工程、および、第三工程を含むことが好ましい。
第一工程:2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物に、金属触媒の存在下、式(6)および/または式(7)
【0026】
【化11】

[式(6)、(7)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、または、*−M3(R7k8を表す。R7、R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M3は、ホウ素原子または錫原子を表す。*は結合手を表す。R7、R8は、M3とともに環を形成していてもよい。kは1または2の整数を表す。また、kが2のとき、複数のR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
で表される化合物を反応させて、式(2)で表される化合物を得る工程
第二工程:式(2)で表される化合物に塩基とハロゲン化試薬とを反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程
第三工程:式(3)で表される化合物に、金属触媒の存在下、下記式(8)および/または式(9)で表される化合物を反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程
【0027】
【化12】

[式(8)、(9)中、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R9〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M4、M5は、ホウ素原子、錫原子、または、ケイ素原子を表す。R9、R10は、M4とともに環を形成していてもよく、R11、R12は、M5とともに環を形成していてもよい。p、qは1または2の整数を表す。pが2のとき、複数のR9は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。また、qが2のとき、複数のR11は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【0028】
本発明の高分子化合物の製造方法は、さらに下記式(5)で表される化合物を経ることが好ましい。
【0029】
【化13】

[式(5)中、T1、T2、B3、B4、R1〜R4、M1、M2、m、nは、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0030】
本発明の高分子化合物の製造方法は、さらに下記第四工程を含むことが好ましい。
第四工程:式(4)で表される化合物に、塩基とハロゲン化錫化合物とを反応させて、式(5)で表される化合物を得る工程
【発明の効果】
【0031】
本発明のベンゾビスチアゾール化合物は、分子内S−N相互作用により平面十字型骨格を形成することができる。その結果、平面十字型骨格にπ共役が拡張されるため複数のπ−π*遷移に由来したマルチバンド光吸収を示し可視領域から近赤外領域の幅広い光を吸収できる。これにより、高い開放電圧(Voc)および短絡電流密度(Jsc)の両方を得ることが可能となり、高い光電変換効率ηを得ることが可能である。また、本発明の製造方法によれば、ベンゾビスチアゾール骨格に置換基として様々な置換基を導入することが可能であり、材料の特性(例えば、結晶性、製膜性、吸収波長)を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例22の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図2図2は、実施例23の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図3図3は、実施例24の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図4図4は、実施例25の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図5図5は、実施例26の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図6図6は、実施例27の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図7図7は、実施例28の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図8図8は、実施例29の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図9図9は、実施例30の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図10図10は、実施例31の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図11図11は、実施例32の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図12図12は、実施例37の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図13図13は、実施例38の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図14図14は、実施例39の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図15図15は、実施例40の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図16図16は、実施例41の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図17図17は、実施例46の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図18図18は、実施例47の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
図19図19は、実施例49の高分子化合物の紫外可視吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1.高分子化合物
本発明の高分子化合物は、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を有する。
【0034】
【化14】
【0035】
[式(1)中、T1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環、または、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。また、B1、B2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環、または、エチニレン基を表す。]
【0036】
本発明の高分子化合物は、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を有するため、HOMO準位を深くしながらバンドギャップを狭めることができ、光電変換効率を高めるのに有利である。本発明の高分子化合物は、好ましくは、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーである。ドナー−アクセプター型半導体高分子化合物は、ドナー性ユニットとアクセプター性ユニットが交互に配置した高分子化合物を意味する。ドナー性ユニットは、電子供与性の構造単位を意味し、アクセプター性ユニットは、電子受容性の構造単位を意味する。前記ドナー−アクセプター型半導体ポリマーは、式(1)で表される構造単位と、他の構造単位とが交互に配置した高分子化合物であることが好ましい。
なお、本明細書において、オルガノシリル基は、Si原子に1個以上の炭化水素基が置換した1価の基を意味するものとし、Si原子に置換する炭化水素基の数は、2個以上であることが好ましく、3個であることがさらに好ましい。
【0037】
式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、T1、T2は互いに同一であっても異なっていてもよいが、製造が容易である観点からは、同一であることが好ましい。
式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位においては、T1、T2は、それぞれ、下記式(t1)〜(t5)で表される基であることが好ましい。具体的には、T1、T2のアルコキシ基としては、下記式(t1)で表される基が好ましく、チオアルコキシ基としては、下記式(t2)で表される基が好ましく、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環としては下記式(t3)で表される基が好ましく、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環としては下記式(t4)で表される基が好ましく、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、下記式(t5)で表される基が好ましい。T1、T2が下記式(t1)〜(t5)で表される基であると、短波長の光を吸収することができるとともに、高い平面性を有することから効率的にπ−πスタッキングが形成されるため、より一層光電変換効率を高めることができる。
【0038】
【化15】

[式(t1)〜(t5)中、R13〜R14は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。R15〜R16は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、または、*−Si(R183で表される基を表す。R15'は、水素原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−Si(R183で表される基を表す。R17は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R19、*−S−R20、*−Si(R183、または、*−CF3を表す。R18は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、複数のR18は、同一でも異なっていてもよい。R19〜R20は、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。]
【0039】
上記式(t1)〜(t5)において、R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭素数6〜30の炭化水素基としては、分岐を有する炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは分岐鎖状飽和炭化水素基である。R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭化水素基は、分岐を有することにより、有機溶剤への溶解度を上げることができ、本発明の高分子化合物は適度な結晶性を得ることができる。R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭化水素基の炭素数は、大きいほど有機溶剤への溶解度を向上させることができるが、大きくなり過ぎると後述するカップリング反応における反応性が低下するため、高分子化合物の合成が困難となる。そのため、R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜25であり、より好ましくは8〜20であり、さらに好ましくは8〜16である。
【0040】
13〜R17、R19〜R20、R15'で表される炭素数6〜30の炭化水素基としては、例えば、n−ヘキシル基等の炭素数6のアルキル基;n−ヘプチル基等の炭素数7のアルキル基;n−オクチル基、1−n−ブチルブチル基、1−n−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基等の炭素数8のアルキル基;n−ノニル基、1−n−プロピルヘキシル基、2−n−プロピルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等の炭素数9のアルキル基;n−デシル基、1−n−ペンチルペンチル基、1−n−ブチルヘキシル基、2−n−ブチルヘキシル基、1−n−プロピルヘプチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3,7−ジメチルオクチル基等の炭素数10のアルキル基;n−ウンデシル基、1−n−ブチルヘプチル基、2−n−ブチルヘプチル基、1−n−プロピルオクチル基、2−n−プロピルオクチル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基等の炭素数11のアルキル基;n−ドデシル基、1−n−ペンチルヘプチル基、2−n−ペンチルヘプチル基、1−n−ブチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、1−n−プロピルノニル基、2−n−プロピルノニル基等の炭素数12のアルキル基;n−トリデシル基、1−n−ペンチルオクチル基、2−n−ペンチルオクチル基、1−n−ブチルノニル基、2−n−ブチルノニル基、1−メチルドデシル基、2−メチルドデシル基等の炭素数13のアルキル基;n−テトラデシル基、1−n−ヘプチルヘプチル基、1−n−ヘキシルオクチル基、2−n−ヘキシルオクチル基、1−n−ペンチルノニル基、2−n−ペンチルノニル基等の炭素数14のアルキル基;n−ペンタデシル基、1−n−ヘプチルオクチル基、1−n−ヘキシルノニル基、2−n−ヘキシルノニル基等の炭素数15のアルキル基;n−ヘキサデシル基、2−n−ヘキシルデシル基、1−n−オクチルオクチル基、1−n−ヘプチルノニル基、2−n−ヘプチルノニル基等の炭素数16のアルキル基;n−ヘプタデシル基、1−n−オクチルノニル基等の炭素数17のアルキル基;n−オクタデシル基、1−n−ノニルノニル基等の炭素数18のアルキル基;n−ノナデシル基等の炭素数19のアルキル基;n−エイコシル基、2−n−オクチルドデシル基等の炭素数20のアルキル基;n−ヘンエイコシル基等の炭素数21のアルキル基;n−ドコシル基等の炭素数22のアルキル基;n−トリコシル基等の炭素数23のアルキル基;n−テトラコシル基、2−n−デシルテトラデシル基等の炭素数24のアルキル基;等が挙げられる。好ましくは炭素数8〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8〜16のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数8〜16の分岐鎖状アルキル基であり、特に好ましくは2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、、2−n−ブチルオクチル基、2−n−ヘキシルデシル基、2−n−オクチルドデシル基、2−n−デシルテトラデシル基である。R13〜R17、R19〜R20、R15'が上記の基であると、本発明の高分子化合物は、有機溶剤への溶解度が向上し、適度な結晶性を有する。
【0041】
上記式(t1)〜(t5)中、R15〜R17、R15'の*−Si(R183で表される基において、R18の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜8である。R18の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、オクタデシル基が挙げられる。R18の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜8であり、より好ましくは6〜7であり、特に好ましくは6である。R18の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。中でも、R18としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、分岐を有する脂肪族炭化水素基がより好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。複数のR18は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。R15〜R17、R15'が*−Si(R183で表される基であると、本発明の高分子化合物は、有機溶剤への溶解度が向上する。
【0042】
上記式(t1)〜(t5)中、R15〜R17、R15'の*−Si(R183で表される基としては、具体的には、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等のアルキルシリル基;トリフェニルシリル基、tert−ブチルクロロジフェニルシリル基等のアリールシリル基;等が挙げられる。中でも、アルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が特に好ましい。
【0043】
上記式(t5)中、R17がハロゲン原子である場合、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれも用いることができる。
【0044】
15'は、水素原子、又は、R15として例示した炭素数6〜30の炭化水素基、もしくは*−Si(R183で表される基と同様の基である。
【0045】
1、T2の電子供与性基としては、式(1)で表される構造単位全体として平面性に優れる観点から、式(t1)、(t3)、(t5)で表される基がより好ましく、式(t3)で表される基がさらに好ましく、下記式(t3−1)〜(t3−16)で表される基が特に好ましい。式中、*は結合手を表す。
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
1、T2としては、電子供与性の基、或いは、電子求引性の基を用いることができる。電子供与性の基としては、式(t1)〜(t3)で表される基が挙げられる。
【0049】
【化18】


[式(t1)〜(t3)中、*は結合手を表し、R13〜R15、R15'は、前記と同様の基を表す。R17は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R19、*−S−R20を表す。*は結合手を表す。]
【0050】
1、T2として用いることができる電子求引性の基としては、式(t4)〜(t5)で表される基が挙げられる。
【0051】
【化19】

[式(t4)〜(t5)中、R16は、前記と同様の基を表す。R17は、ハロゲン原子、または、トリフルオロメチル基を表す。*は結合手を表す。]
【0052】
また、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、B1、B2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、製造が容易である観点からは、同一であることが好ましい。式(1)で表される構造単位においては、B1、B2が、それぞれ、下記式(b1)〜(b3)のいずれかで表される基であることが好ましい。B1、B2が下記式(b1)〜(b3)で表される基であると、得られる高分子化合物の平面性が良好であり、光電変換効率をより一層向上することができる。
【0053】
【化20】

[式(b1)〜(b3)中、R21、R22、R21'は、水素原子または炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*は結合手を表し、特に左側の*は、ベンゾビスチアゾール化合物のベンゼン環に結合する結合手を表すものとする。]
【0054】
21、R22、R21'の炭素数6〜30の炭化水素基としては、R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭素数6〜30の炭化水素基として例示した基を好ましく用いることができる。
21、R22、R21'が水素原子であると、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーの形成が容易であるため、好ましい。また、R21、R22、R21'が炭素数6〜30の炭化水素基であると、より一層光電変換効率を高められる可能性があるため好ましい。
【0055】
また、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、式(1)で表される構造単位全体として平面性に優れるとともに、得られる高分子化合物全体としても平面性に優れる観点から、B1、B2としては、式(b1)、(b2)で表される基がより好ましい。B1、B2が式(b1)、(b2)で表される基であると、ベンゾビスチアゾール構造単位(1)中でS原子とN原子の相互作用が生じ、平面性がさらに向上する。B1、B2としては、具体的には、下記式で表される基が好ましい。ただし、式中、*は結合手を表し、左側の*がベンゾビスチアゾールのベンゼン環に結合するものとする。
【0056】
【化21】
【0057】
また、式(1)で表される構造単位としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−48)で表される基が挙げられる。
【0058】
【化22】
【0059】
【化23】
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
【化27】
式(1)で表される構造単位と組み合わせて、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーを形成する構造単位(ドナー性ユニット、アクセプター性ユニット)としては、従来公知の構造単位を用いることができる。具体的には、以下の構造単位を挙げることができる。
【0064】
【化28】
【0065】
[式(c1)〜(c31)中、R30〜R60は、それぞれ独立に、R13〜R17、R19〜R20、R15'の炭素数6〜30の炭化水素基と同様の基を表し、A30、A31は、それぞれ独立に、T1、T2と同様の基を表す。]
【0066】
なお、上記式(c1)〜(c18)で表される基は、アクセプター性ユニットとして作用する基であり、式(c20)〜(c31)で表される基は、ドナー性ユニットとして作用する基である。式(c19)で表される基は、A30、A31の種類により、アクセプター性ユニットとして作用することもあれば、ドナー性ユニットとして作用することもある。
【0067】
本発明の高分子化合物の重量平均分子量、数平均分子量は、一般に、2,000以上、500,000以下であり、より好ましくは3,000以上、200,000以下である。本発明の高分子化合物の重量平均分子量、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィを用い、ポリスチレンを標準試料として作成した較正曲線に基づいて算出することができる。
【0068】
本発明の高分子化合物のイオン化ポテンシャルは、4eV以上であることが好ましく、より好ましくは4.5eV以上、さらに好ましくは5eV以上、特に好ましくは5.1eV以上である。イオン化ポテンシャルの上限は、特に限定されないが、例えば、7eV以下であり、6.5eV以下であることが好ましく、6.2eV以下であることが好ましい。本発明の高分子化合物のイオン化ポテンシャルが上記の範囲であると、HOMO準位が適度に深くなる(引き下げられる)ため、高い開放電圧(Voc)および短絡電流密度(Jsc)の両方を得ることが可能となり、より高い光電変換効率を得ることが可能となる。
【0069】
2.化合物2−1.式(5)で表される化合物
本発明は、下記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」ということがある。)を含む。
【0070】
【化29】

[式(5)中、T1、T2は、それぞれ独立に、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環、または、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。また、B3、B4は、アルキル基で置換されていてもよいチオフェン環、または、アルキル基で置換されていてもよいチアゾール環を表す。R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M1、M2は、それぞれ独立に、ホウ素原子または錫原子を表す。R1、R2は、M1とともに環を形成していてもよく、R3、R4は、M2とともに環を形成していてもよい。m、nは、それぞれ、1または2の整数を表す。また、m、nが2のとき、複数のR1、R3は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【0071】
式(5)中、B3、B4は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、製造が容易である観点からは、同一であることが好ましい。式(5)においては、B3、B4が、上記式(b1)〜(b2)で表される基であることが好ましい。
【0072】
式(5)中、R1〜R4の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜4である。R1〜R4の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、より好ましくはメチル基、ブチル基である。R1〜R4のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。R1〜R4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。R1〜R4のアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは6〜9であり、より好ましくは6〜8である。R1〜R4のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニレンビス(メチレンオキシ)基等が挙げられる。
【0073】
1、M2がホウ素原子である場合、R1〜R4は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることが好ましく、m、nは1であることが好ましい。M1、M2がホウ素原子である場合の*−M1(R1m2、*−M2(R3n4としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0074】
【化30】
【0075】
1、M2が錫原子である場合、R1〜R4は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、m、nは2であることが好ましい。M1、M2が錫原子である場合の*−M1(R1m2、*−M2(R3n4としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。ただし、*は結合手を表す。
【0076】
【化31】
【0077】
上記化合物(5)は、本発明の高分子化合物の合成に用いる中間化合物である。この化合物(5)は、上記所定の基を有するため、経時安定性が高く、効率的に反応して本発明の高分子化合物を形成できる。化合物(5)としては、例えば、下記式で表される化合物が例示できる。また、式(5−1)〜(5−32)において、錫原子上のメチル基がブチル基に置換された式(5−33)〜(5−64)で表される化合物も、化合物(5)として好ましく例示できる。
【0078】
【化32】
【0079】
【化33】
【0080】
【化34】
【0081】
【化35】
【0082】
【化36】
【0083】
【化37】
【0084】
【化38】
【0085】
【化39】
【0086】
2−2.式(4)で表される化合物
本発明は、下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を含む。
【0087】
【化40】
【0088】
[式(4)中、T1、T2、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0089】
化合物(4)は、上記化合物(5)の原料である。すなわち、化合物(4)は、化合物(5)の中間体に相当する。この化合物(4)は、上記所定の基を有するため、経時安定性が高く、効率的な反応性を有する。化合物(4)としては、例えば、下記の化合物が例示できる。
【0090】
【化41】
【0091】
【化42】
【0092】
【化43】
【0093】
【化44】
【0094】
【化45】
【0095】
【化46】
【0096】
2−3.式(3)で表される化合物
本発明は、下記式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」ということがある。)を含む。
【0097】
【化47】

[式(3)中、T1、T2、X1、X2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0098】
Xのハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。いずれを用いることもできるが、反応性と安定性のバランスの観点からは、ヨウ素が特に好ましい。
【0099】
上記化合物(3)は、前記化合物(4)の原料である。すなわち、化合物(3)は、化合物(6)の中間体に相当する。この化合物(3)は、上記所定の基を有するため、経時安定性が高く、有機溶媒に対する溶解度も高いことから効率的な反応性を有する。さらに、化合物(3)を用いることにより、本発明の高分子化合物に、多様な骨格や置換基を導入できる。化合物(3)としては、例えば、下記の化合物が例示できる。
【0100】
【化48】
【0101】
【化49】
【0102】
また、本発明の製造方法においては、下記式(3’)で表される化合物(以下、「化合物(3’)」ということがある。)も生成する。化合物(3’)を使用することにより、式(1)、(4)、(5)において、ベンゾビスチアゾールのベンゼン環上に存在する2か所の置換可能位置のうち1か所にのみ、B1、B2で表される基が置換した化合物を得ることができる。このような化合物は、例えば、本発明の高分子化合物の末端部分に有用である。
【0103】
【化50】

[式(3’)中、T1、T2、X1は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0104】
化合物(3’)としては、下記式で表される化合物を例示することができる。
【0105】
【化51】
【0106】
【化52】
【0107】
2−4.式(2)で表される化合物
本発明は、下記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ということがある。)を含む。
【0108】
【化53】

[式(2)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
【0109】
上記化合物(2)は、前記化合物(3)の原料である。すなわち、化合物(2)は、化合物(5)の中間体に相当する。この化合物(2)は、上記所定の基を有するため、経時安定性が高く、効率的な反応性を有する。さらに、化合物(2)を用いることにより、本発明の高分子化合物に、多様な骨格や置換基を導入できる。化合物(2)としては、例えば、下記の化合物が例示できる。
【0110】
【化54】
【0111】
【化55】
【0112】
3.製造方法
本発明の式(1)で表される高分子化合物は、2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物を出発原料とし、式(2)で表される化合物、
【0113】
【化56】

[式(2)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
式(3)で表される化合物、
【0114】
【化57】

[式(3)中、T1、T2、X1、X2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
式(4)で表される化合物、
【0115】
【化58】

[式(4)中、T1、T2、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。]
を経ることを特徴とする製造方法により製造される。
【0116】
本発明の高分子化合物の製造方法は、さらに式(5)で表される化合物
【0117】
【化59】

[式(5)中、T1、T2、B3、B4、R1〜R4、M1、M2、m、nは、それぞれ上記と同様の基を表す。]
を経ることが好ましい。
【0118】
本発明の製造方法によれば、ベンゾビスチアゾール骨格に多様な置換基を導入することが可能であり、自由度の高い材料設計が可能となる。その結果、材料の特性(例えば、エネルギー準位、溶解性、結晶性、製膜性、吸収波長)を容易に制御できる。
【0119】
3−1.第一工程
本発明の製造方法は、下記第一工程を含むことが好ましい。
第一工程:2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物に、金属触媒の存在下、式(6)および/または式(7)
【化60】

[式(6)、(7)中、T1、T2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、または、*−M3(R7k8を表す。R7、R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M3は、ホウ素原子または錫原子を表す。*は結合手を表す。R7、R8は、M3とともに環を形成していてもよい。kは1または2の整数を表す。また、kが2のとき、複数のR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
で表される化合物を反応させて、式(2)で表される化合物を得る工程
【0120】
第一工程において、2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物(以下、「2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾール」ということがある。)としては、2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールが好ましい。
また、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと反応させる式(6)および/または(7)で表される化合物(以下、「化合物(6)」、「化合物(7)」ということがある。)としては、T1、T2がそれぞれ前記と同様の基であり、R5、R6が、水素原子、または、*−M3(R7k8である化合物が好ましい。*は結合手を表す。
【0121】
5、R6がM3(R7k8であるときの、R7、R8の脂肪族炭化水素基の炭素数としては、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜4である。R7、R8の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。R7、R8のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。R7、R8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。R7、R8のアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは6〜9であり、より好ましくは6〜8である。R7、R8のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニレンビス(メチレンオキシ)基が挙げられる。
【0122】
5、R6が*−M3(R7k8であり、M3がホウ素原子である場合、R7、R8は、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることが好ましく、kは1であることが好ましい。M3がホウ素原子である場合の*−M3(R7k8としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0123】
【化61】
【0124】
5、R6が*−M3(R7k8であり、M3が錫原子である場合、R7、R8は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、kは2であることが好ましい。M3が錫素原子である場合の*−M3(R7k8としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0125】
【化62】
【0126】
また、R5、R6は、T1、T2の種類に応じて適宜選択できる。例えば、T1、T2が、式(t1)、(t2)で表される基の場合、R5、R6は、水素原子であることが好ましい。また、T1、T2が、式(t3)〜(t5)で表される基の場合、R5、R6は、*−M3(R7k8で表される基であることが好ましく、*−Sn(R728で表される基であることがより好ましい。
【0127】
化合物(6)、(7)としては例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0128】
【化63】
【0129】
【化64】
【0130】
化合物(6)、(7)は、目的とする化合物に応じて、同一でも異なっていてもよいが、副生成物の生成を抑制する観点からは、同一であることが好ましい。
【0131】
第一工程において、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと化合物(6)、(7)の合計とのモル比(2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾール:化合物(6)、(7)の合計)は、一般に1:1〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.5〜1:8が好ましく、1:2〜1:6がより好ましく、1:2〜1:5がさらに好ましい。
【0132】
第一工程において、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと化合物(6)および/または化合物(7)を反応させる際に用いる金属触媒としては、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。中でも、銅系触媒、パラジウム系触媒が好ましい。
なお、パラジウムの価数は特に限定されず、0価であっても2価であってもよい。
【0133】
前記パラジウム系触媒としては、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、テルル化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、セレン化パラジウム(II)、パラジウムシアニド(II)、パラジウムアセテート(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体、ジクロロ[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロ[2,5−ノルボルナジエン]パラジウム(II)、ジクロロビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(II)が挙げられる。これらの触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0134】
前記銅系触媒としては、銅、フッ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、フッ化銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)等のハロゲン化銅化合物;酸化銅(I)、硫化銅(I)、酸化銅(II)、硫化銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。
【0135】
金属触媒は、T1、T2の種類に応じて適宜選択でき、式(6)、(7)において、T1、T2が式(t1)、(t2)で表される基の場合、前記金属触媒としては、銅系触媒が好ましく、ハロゲン化銅化合物がより好ましく、ヨウ化銅(I)が最も好ましい。塩基を共存させることが好ましい。また、式(6)、(7)において、T1、T2が式(t3)〜(t5)で表される基の場合、前記金属触媒としては、パラジウム系触媒が好ましく、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体が特に好ましい。
【0136】
第一工程において、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと金属触媒とのモル比(2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾール:金属触媒)は、一般に1:0.0001〜1:0.5程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:0.001〜1:0.4が好ましく、1:0.005〜1:0.3がより好ましく、1:0.01〜1:0.2がさらに好ましい。
【0137】
第一工程においては、銅系触媒、パラジウム系触媒等の金属触媒に特定の配位子を配位させてもよい。配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニル(メチル)ホスフィン、トリフェニスホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−メチルビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエチレン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、バトフェナントロリンが挙げられる。配位子は、一種のみを用いてもよく、二種以上を用いてもよい。中でも、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィンが好ましい。
【0138】
第一工程において、金属触媒に配位子を配位させる場合、金属触媒と配位子とのモル比(金属触媒:配位子)は、一般に1:0.5〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1〜1:8が好ましく、1:1〜1:7がより好ましく、1:1〜1:5がさらに好ましい。
【0139】
第一工程においては、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールに、金属触媒の存在下、化合物(6)および/または化合物(7)を反応させる際には、塩基を共存させてもよい。特に、式(6)、(7)において、T1、T2が式(t1)、(t2)で表される基である場合、塩基を共存させることが好ましい。また、式(6)、(7)において、T1、T2が式(t3)〜(t5)で表される基である場合、R5、R6の種類により塩基の共存の有無を決定することができる。例えば、R5、R6が*−M3(R7k8で表される基であって、M3がホウ素原子であるときは、塩基を共存させることが好ましく、M3が錫原子であるときは、塩基を共存させなくともよい。
【0140】
塩基としては、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミルアルコキシド、ナトリウムtert−アミルアルコキシド、カリウムtert−アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化金属化合物等が挙げられる。中でも、塩基としては、アルコキシアルカリ金属化合物が好ましく、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムがより好ましい。
【0141】
第一工程において、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと塩基とのモル比(2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾール:塩基)は、一般に1:1〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.5〜1:8が好ましく、1:1.8〜1:6がより好ましく、1:2〜1:5がさらに好ましい。
【0142】
第一工程において、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールに、金属触媒の存在下、化合物(6)および/または化合物(7)を反応させる溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り特に限定されることはなく、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンが挙げられる。前記ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。前記アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル3,4,5,6−テトラヒドロ−(1H)−ピリミジンが挙げられる。また、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒を用いることができる。
これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0143】
第一工程における溶媒の使用量としては、2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールの1gに対して、一般に1mL以上、50mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、40mL以下が好ましく、8mL以上、35mL以下がより好ましく、10mL以上、30mL以下がさらに好ましい。
【0144】
第一工程では、反応温度は特に限定されないが、反応収率を高める観点から0℃以上、200℃以下であることが好ましく、30℃以上、180℃以下であることがより好ましく、40℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
【0145】
3−2.第二工程
本発明の製造方法は、下記第二工程を含むことが好ましい。
第二工程:式(2)で表される化合物に塩基とハロゲン化試薬とを反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程
【0146】
第二工程において、化合物(2)と反応させる塩基としては、例えば、アルキルリチウム、アルキル金属アミド、アルキルマグネシウム、および、マグネシウム錯体、ならびに、水素化アルカリ金属などが挙げられる。
【0147】
前記アルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが挙げられる。前記アルキル金属アミドとしては、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウム−2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドが挙げられる。前記アルキルマグネシウム、および、マグネシウム錯体としては、tert−ブチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルマグネシウムクロリド、リチウムクロリド錯体が挙げられる。前記水素化アルカリ金属としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムが挙げられる。中でも、位置選択性の観点から、アルキル金属アミドであることが好ましく、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドが特に好ましい。
【0148】
第二工程において、化合物(2)と塩基とのモル比(化合物(2):塩基)は、一般に1:1.8〜1:3.0程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.9〜1:2.6が好ましく、1:2.0〜1:2.4がより好ましく、1:2.0〜1:2.2がさらに好ましい。
【0149】
第二工程において、塩基とともに化合物(2)と反応させるハロゲン化試薬としては、ハロゲン分子やN−ハロゲン化スクシンイミドが挙げられる。ハロゲン分子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。N−ハロゲン化スクシンイミドとしては、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドが挙げられる。入手容易性や反応性等の観点から、ハロゲン分子が好ましく、ヨウ素が特に好ましい。
【0150】
第二工程において、化合物(2)とハロゲン化試薬とのモル比(化合物(2):ハロゲン化試薬)は、一般に1:1.5〜1:20.0程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.7〜1:17.0が好ましく、1:1.9〜1:15.0がより好ましく、1:2.0〜1:10.0がさらに好ましい。
塩基とハロゲン化試薬のモル比(塩基:ハロゲン化試薬)は、例えば1:0.5〜1:2.0程度であり、1:0.6〜1:1.7が好ましく、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.8〜1:1.2がさらに好ましい。
【0151】
第二工程において、塩基とハロゲン化試薬は、同時に反応させてもよいが、反応効率の観点から、まず塩基性化合物を反応させ、次いでハロゲン化試薬とを反応させることが好ましい。
【0152】
第二工程において、化合物(2)と塩基とハロゲン化試薬とを反応させる溶媒としては、特に限定されないが、エーテル系溶媒、および、炭化水素系溶媒を用いることができる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられる。中でも、エーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフランが特に好ましい。溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0153】
第二工程における溶媒の使用量としては、化合物(2)の1gに対して、一般に3mL以上、150mL程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、120mL以下が好ましく、8mL以上、100mL以下がより好ましく、10mL以上、80mL以下がさらに好ましい。
【0154】
第二工程において、化合物(2)に塩基とハロゲン化試薬とを反応させる温度は、副生成物の生成を抑制する観点から、室温以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましく、−35℃以下であることがさらに好ましい。
【0155】
3−3.第三工程
本発明の製造方法は、下記第三工程を含むことが好ましい。
第三工程:式(3)で表される化合物に、金属触媒の存在下、下記式(8)および/または式(9)で表される化合物を反応させて、式(4)で表される化合物を得る工程
【0156】
【化65】

[式(8)、(9)中、B1、B2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R9〜R12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M4、M5は、ホウ素原子、錫原子、または、ケイ素原子を表す。R9、R10は、M4とともに環を形成していてもよく、R11、R12は、M5とともに環を形成していてもよい。p、qは1または2の整数を表す。pが2のとき、複数のR9は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。また、qが2のとき、複数のR11は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【0157】
第三工程において、化合物(3)と反応させる式(8)および/または(9)で表される化合物(以下、「化合物(8)」、「化合物(9)」ということがある。)としては、B1、B2がそれぞれ前記と同様の基である化合物が好ましい。また、上記化合物(8)、(9)のうち、*−M4(R9p10、*−M5(R11q12としては、第一工程において用いる化合物(6)、(7)のR11、R12が*−M3(R13k14である場合に例示した基、および、式(1)〜(t5)中、R15〜R17、R15'が*−Si(R183である場合に例示した基と同様の基を好ましく例示することができる。
【0158】
中でも、M4、M5がホウ素原子である場合の*−M4(R9p10、*−M5(R11q12としては、例えば、下記式で表される基を好ましく用いることができる。*は結合手を表す。
【0159】
【化66】
【0160】
また、M4、M5が錫素原子である場合の*−M4(R9p10、*−M5(R11q12としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。*は結合手を表す。
【0161】
【化67】
【0162】
4、M5がケイ素原子である場合、*−M4(R9p10、*−M5(R11q12としては、アルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が特に好ましい。
【0163】
化合物(8)、(9)における*−M4(R9p10、*−M5(R11q12は、式(8)、(9)のB1、B2に応じて適宜選択することができる。B1、B2が、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環(好ましくは、式(b1)で表される基)、または、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環(好ましくは、式(b2)で表される基)である場合、M4、M5は、ホウ素原子または錫原子であることが好ましい。また、B1、B2が、エチニレン基(好ましくは、式(b3)で表される基)である場合、M4、M5は、ケイ素原子であることが好ましい。
【0164】
化合物(8)、(9)としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0165】
【化68】
【0166】
化合物(8)、(9)は、目的とする化合物に応じて、同一でも異なっていてもよいが、副生成物の生成を抑制する観点からは、同一であることが好ましい。
【0167】
第三工程において、化合物(3)と化合物(8)、(9)の合計とのモル比(化合物(3):化合物(8)、(9)の合計)は、一般に1:1〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.5〜1:8が好ましく、1:2〜1:6がより好ましく、1:2〜1:5がさらに好ましい。
【0168】
第三工程において、化合物(3)と化合物(8)および/または(9)を反応させる際に用いる金属触媒としては、第一工程で用いられる金属触媒として例示したものと同様のものを好ましく使用することができ、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。第三工程において、用いられる金属触媒は、パラジウム系触媒が好ましく、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体が特に好ましい。また、金属触媒は、式(8)、(9)のB1、B2が、エチニレン基(好ましくは、式(b3)で表される基)である場合、銅系触媒を用いることも好ましく、銅系触媒の中では、ヨウ化銅(II)が特に好ましい。
【0169】
第三工程において、化合物(3)と金属触媒とのモル比(化合物(3):金属触媒)は、一般に1:0.0001〜1:0.5程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:0.001〜1:0.4が好ましく、1:0.005〜1:0.3がより好ましく、1:0.01〜1:0.2がさらに好ましい。
【0170】
また、第三工程においては、銅系触媒、パラジウム系触媒等の金属触媒に特定の配位子を配位させてもよく、配位子としては、第一工程において用いられる配位子と同様のものを好ましく使用することができ、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィンが好ましい。第三工程において、金属触媒に配位子を配位させる場合、金属触媒と配位子とのモル比(金属触媒:配位子)は、一般に1:0.5〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1〜1:8が好ましく、1:1〜1:7がより好ましく、1:1〜1:5がさらに好ましい。
【0171】
第三工程においては、化合物(3)に、金属触媒の存在下、化合物(8)および/または化合物(9)を反応させる際には、塩基を共存させてもよく、M4、M5の種類により塩基の共存の有無を決定することができる。例えば、M4、M5がホウ素原子、ケイ素原子であるときは、塩基を共存させることが好ましく、M4、M5が錫原子であるときは、塩基を共存させなくともよい。
【0172】
塩基としては、第一工程において用いられる塩基として例示したものと同様のものを好ましく使用することができる。また、塩基としては、第一工程において用いられる塩基のほか、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリアリルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等の3級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジアリルアミン等の2級アミン;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、アリルアミン等の1級アミン;等のアミンが挙げられる。
【0173】
塩基は、M4、M5の種類により選択することができ、M4、M5がホウ素原子であるときは、第一工程において用いられる塩基として例示した塩基が好ましく、より好ましくは、アルコキシアルカリ金属化合物であり、さらに好ましくはリチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムである。またM4、M5がケイ素原子であるときは、塩基としては、アミンが好ましく、第2級アミン、第3級アミンがより好ましく、特に好ましくはジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンである。
【0174】
第三工程において、化合物(3)と塩基とのモル比(化合物(3):塩基)は、一般に1:1〜1:50程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.5〜1:40が好ましく、1:1.8〜1:35がより好ましく、1:2〜1:30がさらに好ましい。また、M4、M5がホウ素原子である場合、化合物(3)と塩基とのモル比(化合物(3):塩基)は、1:1〜1:10が好ましく、1:1.5〜1:8がより好ましく、1:1.8〜1:6がさらに好ましく、1:2〜1:5が特に好ましい。M4、M5がケイ素原子である場合、化合物(3)と塩基とのモル比(化合物(3):塩基)は、1:1〜1:50が好ましく、より好ましくは1:5〜1:40であり、さらに好ましくは1:8〜1:35であり、特に好ましくは1:10〜:35である。
【0175】
第三工程において、化合物(3)に、金属触媒の存在下、化合物(8)および/または化合物(9)を反応させる溶媒としては、第一工程において用いられる溶媒と同様のものを好ましく使用することができる。中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0176】
第三工程における溶媒の使用量としては、化合物(3)の1gに対して、一般に1mL以上、50mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、40mL以下が好ましく、8mL以上、35mL以下がより好ましく、10mL以上、30mL以下がさらに好ましい。
また、M4、M5がケイ素原子である場合、溶媒と塩基(好ましくはアミン)の合計の使用量は、化合物(3)の1gに対して、一般に1mL以上、50mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、40mL以下が好ましく、8mL以上、35mL以下がより好ましく、10mL以上、30mL以下がさらに好ましい。さらに、M4、M5がケイ素原子である場合、溶媒の使用量は、溶媒と塩基の合計100体積%中、例えば100体積%以下であり、より好ましくは80体積%以下、さらに好ましくは60体積%以下である。さらに、溶媒の使用量は、溶媒と塩基の合計100体積%中、40体積%以下であってもよく、より好ましくは20体積%以下であってもよく、0体積%、すなわち、全く使用しなくともよい。
【0177】
第三工程では、反応温度は特に限定されないが、反応収率を高める観点から0℃以上、200℃以下であることが好ましく、30℃以上、180℃以下であることがより好ましく、40℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
【0178】
また、第三工程において、式(8)、(9)のB1、B2がエチニレン基(好ましくは、式(b3)で表される基)であり、M4、M5がケイ素原子である場合、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物には、下記反応式
【0179】
【化69】
[上記反応式中、T1、T2、R9〜R12、X1、X2はそれぞれ上記と同様の基を表す。]
【0180】
に示すように、一般式(8)、(9)で表される化合物における*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来するオルガノシリル基が残存している(*は結合手を表す)。したがって、本発明の製造方法においては、さらに、脱オルガノシリル基工程を含むことが好ましい。脱オルガノシリル基工程としては、以下の脱オルガノシリル基工程1、または、脱オルガノシリル基工程2が好ましい。
脱オルガノシリル基工程1:*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来する基を有する化合物に、アルコール系溶媒中、塩基を反応させて、*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来する基をを脱離する工程
脱オルガノシリル基工程2:*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来する基を有する化合物に、フッ素化合物を反応させて、*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来する基をを脱離する工程
【0181】
本発明の製造方法において、脱オルガノシリル基工程は、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物に対して行ってもよく、また、後述するカップリング工程で得られた高分子化合物に対して行ってもよい。すなわち、脱オルガノシリル基工程は、第三工程とカップリング工程の間で行ってもよく、カップリング工程の後で行ってもよい。なお、B1、B2がエチニレン基(好ましくは、式(b3)で表される基)である場合、本発明の製造方法において、第四工程は行わなくてよい。
【0182】
3−3−1.脱オルガノシリル基工程1
脱オルガノシリル基工程1において用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミルアルコキシド、ナトリウムtert−アミルアルコキシド、カリウムtert−アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物が挙げられる。中でも、塩基としては、アルコキシアルカリ金属化合物が好ましく炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムがより好ましい。
【0183】
脱オルガノシリル基工程1において、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物と塩基のモル比(化合物:塩基)は、一般に1:0.01〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:0.03〜1:8が好ましく、1:0.05〜1:6がより好ましく、1:0.1〜1:5がさらに好ましい。塩基は、触媒と同等のモル量であっても反応が進行する。
【0184】
脱オルガノシリル基工程1において用いられるアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられ、メタノール、エタノールが特に好ましい。脱オルガノシリル基工程1では、必要に応じて、第一工程において用いられる溶媒と同様のものを併用してもよく、このような溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。このような溶媒を使用することで、前記*−Si(R9p10、*−Si(R11q12に由来する基を有する化合物が溶解しやすくなるため好適である。
【0185】
脱オルガノシリル基工程1において、アルコール系溶媒の使用量としては、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物の1gに対して、一般に1mL以上、50mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、40mL以下が好ましく、8mL以上、35mL以下がより好ましく、10mL以上、30mL以下がさらに好ましい。
【0186】
脱オルガノシリル基工程1においては、反応温度は特に限定されないが、反応収率を高める観点から0℃以上、200℃以下であることが好ましく、10℃以上、180℃以下であることがより好ましく、20℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
【0187】
3−3−2.脱オルガノシリル基工程2
脱オルガノシリル基工程2において用いられるフッ素化合物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラペンチルアンモニウムフルオリド、テトラヘキシルアンモニウムフルオリド等が挙げられ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリドが好ましい。
【0188】
脱オルガノシリル基工程2において、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物とフッ素化合物のモル比(化合物:フッ素化合物)は、一般に1:1〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.5〜1:8が好ましく、1:1.8〜1:6がより好ましく、1:2〜1:5がさらに好ましい。
【0189】
脱オルガノシリル基工程2において用いられる溶媒としては、第一工程において用いられる溶媒と同様のものを好ましく使用することができる。中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0190】
脱オルガノシリル基工程2において、溶媒の使用量としては、化合物(3)と化合物(8)、(9)を反応させて得られた化合物の1gに対して、一般に1mL以上、50mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、40mL以下が好ましく、8mL以上、35mL以下がより好ましく、10mL以上、30mL以下がさらに好ましい。
【0191】
脱オルガノシリル基工程2においては、反応温度は特に限定されないが、反応収率を高める観点から0℃以上、200℃以下であることが好ましく、10℃以上、180℃以下であることがより好ましく、20℃以上、150℃以下であることがさらに好ましい。
【0192】
3−4.第四工程
本発明の製造方法は、下記第四工程を含むことが好ましい。
第四工程:式(4)で表される化合物に、塩基とハロゲン化錫化合物とを反応させて、式(5)で表される化合物を得る工程 なお、本発明において、化合物(4)が、式(4)において、B1、B2が炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環(好ましくは、式(b1)で表される基)、または、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環(好ましくは、式(b2)で表される基)である場合、第四工程を含むことが好ましい。
【0193】
第四工程において、化合物(4)と反応させる塩基としては、第二工程で例示した塩基がいずれも使用でき、これらの中でも、アルキル金属アミドが好ましく、リチウムジイソプロピルアミドが特に好ましい。
【0194】
第四工程において、化合物(4)と塩基とのモル比(化合物(4):塩基)は、一般に1:1〜1:5程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.1〜1:4が好ましく、1:1.5〜1:3がより好ましく、1:1.8〜1:2.5がさらに好ましい。
【0195】
第四工程において、塩基とともに化合物(4)と反応させるハロゲン化錫化合物としては、ハロゲン化アルキル錫化合物、ハロゲン化シクロアルキル錫化合物、ハロゲン化アリール錫化合物が挙げられる。ハロゲン化アルキル錫化合物としては、トリエチル錫クロリド、トリプロピル錫クロリド、トリブチル錫クロリド、トリメチル錫ブロミド、トリエチル錫ブロミド、トリプロピル錫ブロミド、トリブチル錫ブロミドが挙げられる。ハロゲン化シクロアルキル錫化合物としては、トリシクロヘキシル錫クロリド、トリシクロヘキシル錫ブロミドが挙げられる。ハロゲン化アリール錫化合物としては、トリフェニル錫クロリド、トリベンジル錫クロリド、トリフェニル錫ブロミド、トリベンジル錫ブロミドが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化アルキル錫化合物が好ましく、トリメチル錫クロリド、トリブチル錫クロリドがより好ましい。
【0196】
第四工程において、化合物(4)とハロゲン化シラン化合物とのモル比(化合物(4):ハロゲン化シラン化合物)は、一般に1:1〜1:5程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1.1〜1:4が好ましく、1:1.5〜1:3がより好ましく、1:1.8〜1:2.5がさらに好ましい。
塩基とハロゲン化錫化合物とのモル比(塩基:ハロゲン化錫化合物)は、例えば1:0.5〜1:2.0程度であり、1:0.6〜1:1.7が好ましく、1:0.7〜1:1.5がより好ましく、1:0.8〜1:1.2がさらに好ましい。
【0197】
塩基とハロゲン化錫化合物とは、同時に化合物(4)と反応させてもよいが、反応収率の観点から、まず化合物(4)に塩基を反応させ、次いでハロゲン化錫化合物を反応させることが好ましい。第四工程において、化合物(4)と塩基を反応させて次いでハロゲン化錫化合物を加える温度は副生成物の生成を抑制する観点から、室温以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。
【0198】
第四工程において、化合物(4)に塩基とハロゲン化錫化合物とを反応させる溶媒としては、特に限定されないが、エーテル系溶媒、および、炭化水素系溶媒などを用いることができる。前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフランが好ましい。溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0199】
第四工程における溶媒の使用量としては、化合物(4)の1gに対して、一般に1mL以上、70mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、60mL以下が好ましく10mL以上、50mLがより好ましく、20mL以上、45mL以下がさらに好ましい。
【0200】
3−5.カップリング反応
さらに、カップリング反応によって、本発明の構造単位と、本発明の構造単位と組合せてドナー−アクセプター型高分子化合物を形成する構造単位とを、交互に配置することによって、本発明の高分子化合物を製造することができる。
【0201】
カップリング反応は、金属触媒の存在下、化合物(4)または化合物(5)と、下記式(C1)〜(C31)で表される化合物のいずれかとを反応させることによって行うことができる。
【0202】
【化70】
[式(C1)〜(C31)中、Rは、R30〜R60は、それぞれ独立に、R13〜R17、R19〜R20の炭素数6〜30の炭化水素基と同様の基を表し、A30、A31は、それぞれ独立に、T1、T2と同様の基を表し、Yはハロゲン原子を表す。]
【0203】
なお、上記式(C1)〜(C18)で表される化合物は、アクセプター性ユニットを形成する化合物であり、式(C20)〜(C31)で表される化合物は、ドナー性ユニットを形成する化合物である。式(C19)で表される化合物は、A30、A31の種類により、アクセプター性ユニットを形成することもあれば、ドナー性ユニットを形成することもある。
【0204】
カップリング反応に供される本発明の化合物は、式(4)、(5)におけるB1、B2の種類に応じて選択でき、B1、B2が、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環(好ましくは、式(b1)で表される基)、または、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環(好ましくは、式(b2)で表される基)である場合、化合物(5)を用いることが好ましく、B1、B2が、エチニレン基(好ましくは、式(b3)で表される基)である場合、化合物(4)を用いることが好ましい。
【0205】
化合物(4)または化合物(5)と、式(C1)〜(C26)で表される化合物のいずれかとのモル比は、1:99〜99:1の範囲であることが好ましく、20:80〜80:20の範囲であることが好ましく、40:60〜60:40の範囲であることが好ましい。
【0206】
カップリング用の金属触媒としては、遷移金属触媒が好ましく、遷移金属触媒としては、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などが挙げられる。中でも、パラジウム系触媒が好ましい。パラジウム系触媒のパラジウムは、0価でも2価でもよい。
【0207】
パラジウム系触媒としては、第一工程で例示したパラジウム系触媒がいずれも使用でき、これらの触媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。これらの中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体が特に好ましい。
【0208】
カップリング工程において、式(4)または(5)で表される化合物と金属触媒とのモル比(化合物(4)または(5):金属触媒)は、一般に1:0.0001〜1:0.5程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:0.001〜1:0.3が好ましく、1:0.005〜1:0.2がより好ましく、1:0.01〜1:0.1がさらに好ましい。
【0209】
カップリング反応の際には、金属触媒に特定の配位子を配位させてもよい。配位子としては、第一工程で例示した配位子がいずれも使用でき、これらの配位子のいずれかが配位した触媒を反応に用いても良い。配位子は一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。中でも、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィンが好ましい。
【0210】
カップリング工程において、金属触媒に配位子を配位させる場合、金属触媒と配位子とのモル比(金属触媒:配位子)は、一般に1:0.5〜1:10程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から1:1〜1:8が好ましく、1:1〜1:7がより好ましく、1:1〜1:5がさらに好ましい。
【0211】
カップリング反応において、化合物(4)または化合物(5)と、式(C1)〜(C26)で表される化合物のいずれかとを反応させる溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができ、例えば、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラリンが挙げられる。前記エステル系溶媒としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリンが挙げられる。前記ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−(1H)−ピリミジノンが挙げられる。その他、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒を用いることができる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、クロロベンゼンが特に好ましい。溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0212】
カップリング工程において、化合物(4)または化合物(5)と式(C1)〜(C26)で表される化合物の合計1gに対する溶媒の使用量は、一般に1mL以上、150mL以下程度であり特に限定されないが、収率や反応効率の観点から5mL以上、100mL以下が好ましく、8mL以上、90mL以下がより好ましく、10mL以上、80mL以下がさらに好ましい。
【0213】
本願は、2014年2月14日に出願された日本国特許出願第2014−026951号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年2月14日に出願された日本国特許出願第2014−026951号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0214】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
実施例で用いた測定方法は、下記の通りである。
【0215】
(NMRスペクトル測定)
ベンゾビスチアゾール化合物について、NMRスペクトル測定装置(Agilent社(旧Varian社)製、「400MR」、および、Bruker社製、「AVANCE 500」)を用いて、NMRスペクトル測定を行った。
【0216】
(高分解能マススペクトル測定)
ベンゾビスチアゾール化合物について、質量分析装置(Bruker Daltnics社製、「MicrOTOF」)を用いて、高分解能マススペクトル測定を行った。
【0217】
(ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC))
ベンゾビスチアゾール化合物について、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、分子量測定を行った。測定に際しては、ベンゾビスチアゾール化合物を0.5g/Lの濃度となるように移動相溶媒(クロロホルム)に溶解して、下記条件で測定を行い、ポリスチレンを標準試料として作成した較正曲線に基づいて換算することによって、ベンゾビスチアゾール化合物の数平均分子量、重量平均分子量を算出した。測定におけるGPC条件は、下記の通りである。
移動相:クロロホルム流速:0.6mL/min
装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel(登録商標)、SuperHM−H’2 + TSKgel(登録商標)、SuperH2000(東ソー社製)
【0218】
IRスペクトル
ベンゾビスチアゾール化合物について、赤外分光装置(JASCO社製、「FT/IR−6100」)を用い、IRスペクトル測定を行った。
【0219】
紫外可視吸収スペクトル
0.03g/Lの濃度になる様に、得られたベンゾビスチアゾール化合物をクロロホルムに溶解し、紫外・可視分光装置(島津製作所社製、「UV−2450」、「UV−3150」)、および、光路長1cmのセルを用いて紫外可視吸収スペクトル測定を行った。
【0220】
融点測定
ベンゾビスチアゾール化合物について、融点測定装置(Buchi社製、「M−560」)を用い、融点測定を行った。
【0221】
イオン化ポテンシャル測定
ガラス基板上にベンゾビスチアゾール化合物を50nm〜100nmの厚みになるように成膜した。この膜について、常温常圧下、紫外線光電子分析装置(理研計器社製、「AC−3」)によりイオン化ポテンシャルを測定した。
【0222】
実施例1
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DMOTH)の合成
【化71】
【0223】
100mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、3g、6.76mmol)、トリブチル[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]スタンナン(DMOT−Sn、12.1g、22.6mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(188mg、0.81mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(420mg、0.41mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(60mL)を加えて120℃で21時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DMOTH)が2.0g、黄色固体として得られた(収率46%)。
【0224】
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.38 (s, 2H), 7.50 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 6.84 (d, J= 3.8 Hz, 2H), 2.89 (m, 4H), 1.76 (m, 2H), 1.54 (m, 6H), 1.33 (m, 6H), 1.15 (m, 6H), 0.92 (d, J= 5.6 Hz, 6H), 0.87 (d, J = 6.4 Hz, 12H).
【0225】
実施例2
2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−EHTH)の合成
【化72】
【0226】
100mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、2.7g、6.03mmol)、トリブチル[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]スタンナン(EHT−Sn、10.2g、21.11mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(140mg、0.60mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(156mg、0.15mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(55mL)を加えて120℃で22時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−EHTH、が1.38g、薄黄色固体として得られた(収率39%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0227】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.39 (s, 2H), 7.53 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 6.83 (d, J= 3.8 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.63 (m, 2H), 1.38 (m, 4H), 1.31 (m, 12H), 0.91 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0228】
実施例3
2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−BOTH)の合成
【化73】
【0229】
50mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、0.86g、1.93mmol)、トリブチル[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]スタンナン(BOT−Sn、3.4g、6.37mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(72mg、0.31mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(8mg、0.08mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を加えて120℃で24時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−BOTH)が0.68g、薄黄色固体として得られた(収率51%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0230】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.42(s, 2H), 7.59 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 6.82 (d, J= 3.8 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.66 (m, 2H), 1.37-1.24 (m, 32H), 0.91 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0231】
実施例4
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH)の合成
【化74】
【0232】
300mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、5.2g、11.7mmol)、トリブチル[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]スタンナン(HDT−Sn、23.2g、38.6mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(443mg、1.87mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(490mg、0.47mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(115mL)を加えて120℃で23時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH)が5.62g、薄黄色固体として得られた(収率60%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0233】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.39 (s, 2H), 7.53 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.66 (m, 2H), 1.37-1.24 (m, 48H), 0.90 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0234】
実施例5
2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TDTH)の合成
【化75】
【0235】
200mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、5.2g、11.6mmol)、トリブチル[5−(2−ドデシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]スタンナン(TDT−Sn、60.8g、38.0mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(448mg、2.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(493mg、0.46mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(112mL)を加えて120℃で23時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TDTH)が6.12g、薄黄色固体として得られた(収率51%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0236】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.40 (s, 2H), 7.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.80 (m, 4H), 1.69 (m, 2H), 1.35-1.20 (m, 80H), 0.87 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.86 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0237】
実施例6
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH)の合成
【化76】
【0238】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DMOTH、1.4g、2.12mmol)およびテトラヒドロフラン(27mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、2.3mL、4.66mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(1.6g、6.36mmol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH)が1.32g、黄色固体として得られた(収率70%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0239】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.51 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 6.83 (d, J= 3.8 Hz, 2H), 2.88 (m, 4H), 1.76 (m, 2H), 1.56 (m, 6H), 1.33 (m, 6H), 1.15 (m, 6H), 0.93 (d, J = 5.6 Hz, 6H), 0.87 (d, J = 6.4 Hz, 12H).
【0240】
実施例7
2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−EHTH)の合成
【化77】
【0241】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−EHTH、1.3g、2.24mmol)およびテトラヒドロフラン(26mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、2.2mL、4.48mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(1.7g、6.72mmol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−EHTH)が0.66g、黄色固体として得られた(収率36%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0242】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.51 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.80 (m, 4H), 1.66 (m, 2H), 1.38 (m, 4H), 1.35-1.25 (m, 12H), 0.91 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0243】
実施例8
2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−BOTH)の合成
【化78】
【0244】
100mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−BOTH、1.5g、2.16mmol)およびテトラヒドロフラン(30mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、2.4mL、4.75mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(1.7g、6.48mmol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−BOTH)が1.15g、黄色固体として得られた(収率56%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0245】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.52 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.80 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.80 (m, 4H), 1.69 (m, 2H), 1.34-1.23 (m, 32H), 0.89 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.86 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0246】
実施例9
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH)の合成
【化79】
【0247】
100mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH、4g、4.97mmol)およびテトラヒドロフラン(80mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、5.5mL、10.9mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(3.8g、14.9mol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH)が2.66g、黄色固体として得られた(収率51%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0248】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.53 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.80 (m, 4H), 1.70 (m, 2H), 1.36-1.24 (m, 48H), 0.89 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.86 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0249】
実施例10
2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TDTH)の合成
【化80】
【0250】
200mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TDTH、4.1g、3.97mmol)およびテトラヒドロフラン(80mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、4.4mL、8.8mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(3.1g、24.0mol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=5/95)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TDTH)が3.98g、黄色固体として得られた(収率69%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0251】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.53 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.80 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.80 (m, 4H), 1.70 (m, 2H), 1.38-1.20 (m, 80H), 0.89 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.86 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0252】
実施例11
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH)の合成
【0253】
【化81】
【0254】
30mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH、335mg、0.38mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(301μL、0.94mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(14mg、60μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(16mg、15μmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(7mL)を加えて80℃で18時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1〜クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH)が248mg、黄色固体として得られた(収率82%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0255】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.00 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.59 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.56 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 7.27 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 2H), 6.85 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 2.90 (m, 4H), 1.76 (m, 2H), 1.53 (m, 6H), 1.34 (m, 6H), 1.16 (m, 6H), 0.95 (d, J = 5.8 Hz, 6H), 0.88 (d, J = 6.4 Hz, 12H).
【0256】
実施例12
2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH)の合成
【化82】
【0257】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−EHTH、657mg、0.78mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(630μL、1.95mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(30mg、0.12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(34mg、0.03mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(12mL)を加えて80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1〜クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH)が525mg、黄色固体として得られた(収率89%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0258】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.00 (dd, J= 4.0, 0.8 Hz, 2H), 7.59 (dd, J = 5.2, 0.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.27 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 2H), 6.82 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.67 (m, 2H), 1.41-1.27 (m, 16H), 0.92 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 12H).
【0259】
実施例13
2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH)の合成
【化83】
【0260】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−BOTH、1.1g、1.16mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(930μL、2.90mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(33mg、0.14mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(36mg、0.03mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(22mL)を加えて80℃で22時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1〜クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH)が0.99g、黄色固体として得られた(収率99%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0261】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.00 (dd, J= 4.0, 0.8 Hz, 2H), 7.58 (dd, J = 5.2, 0.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.27 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 1.35-1.24 (m, 32H), 0.90 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 12H).
【0262】
実施例14
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH)の合成
【化84】
【0263】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH、1.1g、1.04mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(830μL、2.60mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(40mg、0.17mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(45mg、0.04mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(22mL)を加えて80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1〜クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH)が1.01g、黄色固体として得られた(収率100%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0264】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.00 (dd, J= 4.0, 0.8 Hz, 2H), 7.58 (dd, J = 5.2, 0.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.27 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 2.81 (m, 4H), 1.72 (m, 2H), 1.34-1.25 (m, 48H), 0.89 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.87 (t, J = 6.4 Hz, 12H).
【0265】
実施例15
2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH)の合成
【化85】
【0266】
100mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TDTH、2.5g、1.95mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(1.6mL、4.88mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(55mg、0.23mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(62mg、0.06mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)を加えて100℃で23時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=1/9)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−テトラデシルドデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH)が2.21g、黄色固体として得られた(収率95%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0267】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.00 (dd, J= 4.0, 0.8 Hz, 2H), 7.58 (dd, J = 5.2, 0.8 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.27 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 2H), 6.81 (d, J= 4.0 Hz, 2H), 2.82 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 1.39-1.20 (m, 80H), 0.88 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.87 (t, J = 6.4 Hz, 12H).
【0268】
実施例16
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH−DSB)の合成
【0269】
【化86】
【0270】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH、150mg、0.19mmol)およびテトラヒドロフラン(6mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.20mL、0.39mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチル錫クロリド(107μL、0.39mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH−DSB)が163mg、薄褐色油状として得られた(収率63%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0271】
1H NMR (400 MHz, C6D6): δ8.53 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.38 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.55 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.69 (m, 4H), 1.79 (m, 14H), 1.51 (m, 18H), 1.34 (m, 18H), 1.12 (m, 6H), 1.03 (t, J = 6.8 Hz, 18H), 0.96 (d, J = 7.2 Hz, 12H), 0.88 (d, J = 6.4 Hz, 6H).
【0272】
実施例17
2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM)の合成
【化87】
【0273】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH、500mg、0.67mmol)およびテトラヒドロフラン(10mL)を加え−50℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.74mL、1.47mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリメチル錫クロリド(1M溶液、15mL、1.47mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM)が309mg、黄色固体として得られた(収率43%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0274】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.16 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 2.82 (m, 4H), 1.66 (m, 2H), 1.42-1.30 (m, 16H), 0.90 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.46 (s, 18H).
【0275】
実施例18
2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH−DSM)
【化88】
【0276】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH、400mg、0.47mmol)およびテトラヒドロフラン(8mL)を加え−50℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.51mL、1.03mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリメチル錫クロリド(1M溶液、10mL、1.03mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH−DSM)が149mg、黄色固体として得られた(収率27%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0277】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.16 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.82 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.82 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 1.35-1.22 (m, 32H), 0.89 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.47 (s, 18H).
【0278】
実施例19
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM)
【化89】
【0279】
30mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH、700mg、0.72mmol)およびテトラヒドロフラン(14mL)を加え−50℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.79mL、1.58mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリメチル錫クロリド(1M溶液、16mL、1.58mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM)が518mg、黄色固体として得られた(収率55%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0280】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.16 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.82 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.82 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 1.35-1.25 (m, 48H), 0.88 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.87 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.47 (s, 18H).
【0281】
実施例20
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB)
【化90】
【0282】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH、602mg、0.62mmol)およびテトラヒドロフラン(18mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.65mL、1.30mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチル錫クロリド(352μL、1.30mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB)が634mg、薄褐色油状として得られた(収率66%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0283】
1H NMR (400 MHz, C6D6): δ8.47 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.54 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 2.64 (m, 4H), 1.78-1.68 (m, 14H), 1.44 (m, 12H), 1.35-1.22 (m, 60H), 0.97 (t, J= 6.8 Hz, 18H), 0.91 (d, J = 7.2 Hz, 12H), 0.89 (d, J = 6.4 Hz, 6H).
【0284】
実施例21
2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM)
【化91】
【0285】
30mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH、1.5g、1.26mmol)およびテトラヒドロフラン(50mL)を加え−30℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、1.38mL、2.77mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリメチル錫クロリド(1M溶液、3.0mL、3.02mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM)が1.28g、黄色固体として得られた(収率67%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0286】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.15 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.84 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.82 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 1.39-1.20 (m, 80H), 0.88 (t J = 6.4 Hz, 6H), 0.86 (t, J = 6.4 Hz, 12H), 0.47 (s, 18H).
【0287】
実施例22
P−TDMOT−DBTH−O−IMTHの合成
【化92】
【0288】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH−DSB、113mg、0.08mmol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、35mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、3.3μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、13μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TDMOT−DBTH−O−IMTHが71mg(69%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。
イオン化ポテンシャル:5.24eV(HOMO −5.24eV)
【0289】
実施例23
P−THDT−DBTH−EH−IMTHの合成
【化93】
【0290】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB、150mg、0.10mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(EH−IMTH−DB、41mg、0.10mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.9μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(5mg、15.5μmol)およびクロロベンゼン(12mL)を加え120℃で22時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−EH−IMTHが109mg(91%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図2に示す。
イオン化ポテンシャル:5.36eV(HOMO −5.36eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):68000
Mn(数平均分子量):21100
【0291】
光電変換素子の作製・評価
前記のように得られたP−THDT−DBTH−EH−IMTHを
ドナー材料、PCBM(C61)(フェニルC61−酪酸メチルエステル)をアクセプター材料として用いて、ドナー材料:アクセプター材料=1:2(重量)(合計濃度24mg/mL)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させて0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。
ITOが成膜されたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った後に、PEDOT−PSS([ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))をスピンコーターで塗布した。次に、上記のドナー材料・アクセプター材料の混合溶液をスピンコーターで成膜して室温で減圧乾燥した。その上に、オルトチタン酸テトライソプロピルのエタノール溶液(約0.3v%)をスピンコートして雰囲気中の水分により酸化チタンに変換した膜を作製した。その後、電極であるアルミニウムを蒸着してデバイスとした。
得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)=8.64mA/cm2、Voc(開放端電圧)=0.86V、FF(曲線因子)=0.58で変換効率4.34%であることが確認された。
【0292】
実施例24
P−THDT−DBTH−O−IMTHの合成
【化94】
【0293】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM、90mg、0.07mmol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、30mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.8μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、11.1μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−O−IMTHが74mg(87%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図3に示す。
イオン化ポテンシャル:5.25eV(HOMO −5.25eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):34000
Mn(数平均分子量):12700
【0294】
光電変換素子の作製・評価
P−THDT−DBTH−EH−IMTHの代わりに、前記のように得られたP−THDT−DBTH−O−IMTHを用いたこと以外は実施例23と同様にして、デバイスを作製した。得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)=7.51mA/cm2、Voc(開放端電圧)=0.79V、FF(曲線因子)=0.70で変換効率4.13%であることが確認された。
【0295】
実施例25
P−TEHT−DBTH−HD−IMTHの合成
【化95】
【0296】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM、100mg、0.09mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−ヘキシルデシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(HD−IMTH−DB、50mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.7μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6mg、14.9μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TEHT−DBTH−HD−IMTHが39mg(37%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図4に示す。
イオン化ポテンシャル:5.25eV(HOMO −5.25eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):15900
Mn(数平均分子量):8100
【0297】
光電変換素子の作製・評価
P−THDT−DBTH−EH−IMTHの代わりに、前記のように得られたP−TEHT−DBTH−HD−IMTHを用いたこと以外は実施例23と同様にして、デバイスを作製した。得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)=5.55mA/cm2、Voc(開放端電圧)=0.78V、FF(曲線因子)=0.64で変換効率2.81%であることが確認された。
【0298】
実施例26
P−TBOT−DBTH−DMO−IMTHの合成
【化96】
【0299】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH−DSM、100mg、0.09mmol)、1,3−ジブロモ−5−(3,7−ジメチルオクチル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(DMO−IMTH−DB、38mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.6μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5mg、14.4μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TBOT−DBTH−DMO−IMTHが26mg(27%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図5に示す。
イオン化ポテンシャル:5.23eV(HOMO −5.23eV)
【0300】
実施例27
P−TEHT−DBTH−ODD−IMTHの合成
【化97】
【0301】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM、100mg、0.09mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−オクチルドデシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(ODD−IMTH−DB、55mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.7μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6mg、14.9μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TEHT−DBTH−ODD−IMTHが91mg(76%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図6に示す。
イオン化ポテンシャル:5.27eV(HOMO −5.27eV)
【0302】
実施例28
P−TDMOT−DBTH−TDZの合成
【化98】
【0303】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−DMOTH−DSB、122mg、0.09mmol)、4,7−ジブロモベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(TDZ−DB、26mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.5μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、14.0μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TDMOT−DBTH−TDZが31mg(38%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図7に示す。
イオン化ポテンシャル:5.11eV(HOMO −5.11eV)
【0304】
実施例29
P−THDT−DBTH−FFTDZの合成
【化99】
【0305】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB、122mg、0.08mmol)、4,7−ジブロモ−5,6−ジフルオロベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FFTDZ−DB、28mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.4μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、13.4μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で23時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−FFTDZが27mg(29%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図8に示す。
イオン化ポテンシャル:5.55eV(HOMO −5.55eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):4500
Mn(数平均分子量):3300
【0306】
実施例30
P−THDT−DBTH−DMO−DPPの合成
【化100】
【0307】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB、100mg、0.06mmol)、3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−(3,7−ジメチルオクチル)−2,5−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(DMO−DPP−DB、49mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.6μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(3mg、10.4μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で23時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DMO−DPPが26mg(26%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図9に示す。
イオン化ポテンシャル:5.10eV(HOMO −5.10eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):6100
Mn(数平均分子量):3600
【0308】
光電変換素子の作製・評価
前記のように得られたP−THDT−DBTH−DMO−DPPをドナー材料、PCBM(C61)(フェニルC61−酪酸メチルエステル)をアクセプター材料として用いて、ドナー材料:アクセプター材料=1:2(重量)(合計濃度24mg/mL)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をオルトジクロロベンゼンに溶解させて0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。
ITOが成膜されたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った後に、PEDOT−PSS([ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))をスピンコーターで塗布した。次に、上記のドナー材料・アクセプター材料の混合溶液をスピンコーターで成膜して室温で減圧乾燥した。その上に、オルトチタン酸テトライソプロピルのエタノール溶液(約0.3v%)をスピンコートして雰囲気中の水分により酸化チタンに変換した膜を作製した。その後、電極であるアルミニウムを蒸着してデバイスとした。
得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)=6.66mA/cm2、Voc(開放端電圧)=0.45V、FF(曲線因子)=0.62で変換効率2.02%であることが確認された。
【0309】
実施例31
P−THDT−DBTH−EH−OFTTの合成
【化101】
【0310】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM、90mg、0.07mmol)、4,6−ジブロモ−3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボン酸(2−エチルヘキシル)エステル(EH−OFTT−DB、33mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.1μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、8.4μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−EH−OFTTが80mg(87%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図10に示す。
イオン化ポテンシャル:5.10eV(HOMO −5.10eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):6700
Mn(数平均分子量):4800
【0311】
実施例32
P−TTDT−DBTH−EHP−IMTHの合成
【化102】
【0312】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM、100mg、0.07mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシロキシ)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(EHP−IMTH−DB、33mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.6μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、10.5μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TTDT−DBTH−EHP−IMTHが79mg(79%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図11に示す。
イオン化ポテンシャル:5.30eV(HOMO −5.30eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):20200
Mn(数平均分子量):10300
【0313】
実施例33
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH)の合成
【化103】
【0314】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH、250mg、0.28mmol)、2−トリブチルスタンナニルチアゾール(263mg、0.70mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(12mg、11μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(10mg、45μmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)を加えて80℃で24時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH)が208mg、黄色固体として得られた(収率92%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0315】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.17 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.60 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.88 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.92 (m, 4H), 1.80 (m, 2H), 1.53 (m, 6H), 1.34 (m, 6H), 1.18 (m, 6H), 0.96 (d, J = 5.8 Hz, 6H), 0.88 (d, J= 6.4 Hz, 12H).
【0316】
実施例34
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH)の合成
【化104】
【0317】
30mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH、800mg、0.76mmol)、2−トリブチルスタンナニルチアゾール(708mg、1.89mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(29mg、0.12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(32mg、30μmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)を加えて80℃で17時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH)が684mg、黄色固体として得られた(収率94%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0318】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.15 (d, J= 3.46 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.60 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.85 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 2.84 (m, 4H), 1.75 (m, 2H), 1.23-1.37 (m, 48H), 0.89 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0319】
実施例35
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH−DSB)の合成
【化105】
【0320】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH、205mg、0.26mmol)およびテトラヒドロフラン(10mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.27mL、0.54mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチル錫クロリド(145μL、0.54mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH−DSB)が158mg、薄褐色油状として得られた(収率45%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0321】
1H NMR (400 MHz, C6D6): δ8.43 (s , 2H), 7.62 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.58 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 2.72 (m, 4H), 1.77 (m, 14H), 1.53 (m, 18H), 1.34 (m, 18H), 1.13 (m, 6H), 1.04 (t, J = 6.8 Hz, 18H), 0.96 (d, J = 7.2 Hz, 12H), 0.88 (d, J= 6.4 Hz, 6H).
【0322】
実施例36
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH−DSB)の合成
【化106】
【0323】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH、600mg、0.62mmol)およびテトラヒドロフラン(24mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.65mL、1.30mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチル錫クロリド(352μL、1.30mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB)が470mg、薄褐色油状として得られた(収率49%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0324】
1H NMR (400 MHz, C6D6): δ8.36 (s , 2H), 7.60 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 6.56 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 2.68 (m, 4H), 1.81-1.64 (m, 14H), 1.46-1.28 (m, 60H), 1.21-1.15 (m, 12H), 1.13 (m, 6H), 0.97 (t, J = 6.8 Hz, 18H), 0.90 (t, J = 6.4 Hz, 6H), 0.88 (t, J = 6.4 Hz, 6H).
【0325】
実施例37
P−THDMOT−DBTH−O−IMTHの合成
【0326】
【化107】
【0327】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−DMOTH−DSB、88mg、0.06mol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、26mg、0.06mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.5μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(3mg、10μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDMOT−DBTH−O−IMTHが34mg(50%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図12に示す。
イオン化ポテンシャル:5.62eV(HOMO −5.62eV)
【0328】
実施例38
P−THHDT−DBTH−EH−IMTHの合成
【化108】
【0329】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、130mg、0.08mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(EH−IMTH−DB、35mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(4mg、3.4μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、13.4μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で22時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−EH−IMTHが78mg(76%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図13に示す。
イオン化ポテンシャル:5.61eV(HOMO −5.61eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):20300
Mn(数平均分子量):8800
【0330】
実施例39
P−THHDT−DBTH−EH−IMTHT
【化109】
【0331】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、110mg、0.07mmol)、1,3−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシル)−チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(EH−IMTHT−DB、42mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.8μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、11.3μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で22時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−EH−IMTHTが35mg(35%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図14に示す。
イオン化ポテンシャル:5.42eV(HOMO −5.42eV)
【0332】
実施例40
P−THHDT−DBTH−HTTの合成
【化110】
【0333】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、120mg、0.08mmol)、5,5’−ジブロモ−3−ヘキシル[2,2’]ビチオフェニル(HTT−DB、32mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、3.1μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、12.3μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−HTTが72mg(77%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図15に示す。
イオン化ポテンシャル:5.61eV(HOMO −5.61eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):8400
Mn(数平均分子量):1600
【0334】
光電変換素子の作製・評価
P−THDT−DBTH−EH−IMTHの代わりに、前記のように得られたP−THHDT−DBTH−HTTを用いたこと以外は実施例30と同様にして、デバイスを作製した。得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)= 4.67 mA/cm2、Voc(開放端電圧) = 0.59 V、FF(曲線因子) = 0.59で変換効率1.62%であることが確認された。
【0335】
実施例41
P−THHDT−DBTH−EH−BDTの合成
【化111】
【0336】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、120mg、0.08mmol)、2,6−ジブロモ−4,8−ビス(2−エチルヘキシロキシ)−1,5−ジチア−s−インデセン(EH−BDT−DB、47mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、3.1μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、12.3μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で25時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−HTTが70mg(64%)で濃赤色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図16に示す。
イオン化ポテンシャル:5.24eV(HOMO −5.24eV)
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):15200
Mn(数平均分子量):6500
【0337】
光電変換素子の作製・評価
前記のように得られたP−THHDT−DBTH−EH−BDTをドナー材料、PCBM(C61)(フェニルC61−酪酸メチルエステル)をアクセプター材料として用いて、ドナー材料:アクセプター材料=1:2(重量)(合計濃度30mg/mL)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をオルトジクロロベンゼンに溶解させて0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。
ITOが成膜されたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った後に、PEDOT−PSS([ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))をスピンコーターで塗布した。次に、上記のドナー材料・アクセプター材料の混合溶液をスピンコーターで成膜して室温で減圧乾燥した。その上に、オルトチタン酸テトライソプロピルのエタノール溶液(約0.3v%)をスピンコートして雰囲気中の水分により酸化チタンに変換した膜を作製した。その後、電極であるアルミニウムを蒸着してデバイスとした。
得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)= 3.65 mA/cm2、Voc(開放端電圧) = 0.74 V、FF(曲線因子) = 0.47で変換効率1.26%であることが確認された。
【0338】
実施例42
2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH)の合成
【化112】
【0339】
200mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、1.5g、3.38mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−[1,3,2]ジオキサボロラン(TIPSTH−BP、3.1g、8.44mmol)、S−PHOS(2−ジシクロヘキシルホスフィノ2’,6’−ジメトキシビフェニル、111mg、0.27mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(140mg、0.14mmol)、および1,2−ジメトキシエタン(120mL)、水(30mL)を加えて110℃で18時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水およびクロロホルムを加えてセライトろ過をしてからクロロホルムで2回抽出した。有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥して、次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH)が0.83g、黄色固体として得られた(収率38%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0340】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.44 (s, 2H), 7.76 (d, J =3.6 Hz, 2H), 7.30 (d, J=3.6 Hz, 2H), 1.38 (m, 6H), 1.11 (d, J =7.5 Hz, 36H).
【0341】
実施例43
4,8−ジヨード−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TIPSTH)の合成
【化113】
【0342】
50mLフラスコに2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH、600mg、0.90mmol)およびテトラヒドロフラン(20mL)を加えて−30℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(1.5M溶液、1.3mL、1.89mmol)を滴下した。次いで−80℃まで冷却してヨウ素(1.14mg、4.48mmol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。ろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、4,8−ジヨード−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TIPSTH)が579mg(収率70%)、黄色固体として得られた。
1H−NMR測定、高分解能マススペクトル測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0343】
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 7.77 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 2.8 Hz, 2H), 1.40 (sept, J = 7.2 Hz, 6H), 1.14 (d, J = 7.2 Hz, 36H).
【0344】
高分解能マススペクトル分析(APCI:大気圧化学イオン化法)
計算値:C34H46I2N2S4Si2+H: 921.0245
測定値: 921.02444
【0345】
実施例44
4,8−ビス−(チオフェン−2−イル)−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA)の合成
【化114】
【0346】
10mLフラスコに4,8−ジヨード−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TIPSTH、46mg、0.05mmol)、2−トリブチルスタンナニルチアゾール(57mg、0.15mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(2mg、8μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(2mg、2μmol)、およびテトラヒドロフラン(2mL)を加えて加熱還流下、21時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に10%フッ化カリウム水溶液を加えクロロホルムで2回抽出して得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、4,8−ビスチアゾール−2−イル−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA)が22mg(収率45%)、黄色固体として得られた。
1H−NMR測定、13C−NMR測定、IRスペクトル測定、融点測定、高分解能マススペクトル測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0347】
1H NMR (500MHz, CDCl3): δ8.20 (d, J= 3.3 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.67 (d,J = 3.3 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 1.45 (sep, J =7.5 Hz, 6H), 1.19 (d, J=7.5 Hz, 36H).
13C NMR (125MHz, CDCl3): δ165.74, 161.98, 148.32, 142.31, 142.10, 141.29, 136.67, 131.61, 130.24, 122.81, 121.00, 17.85, 4.11.
IR (KBr): 2941, 1864, 1539, 1474, 1460, 1323, 999, 976, 659 cm-1.
融点:285℃で分解
高分解能マススペクトル分析(APCI:大気圧化学イオン化法)
計算値:C405146Si2+H:835.1971
測定値:835.1999
【0348】
実施例45
4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB)の合成
【化115】
【0349】
20mLフラスコに4,8−ビスチアゾール−2−イル−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA、110mg、0.13mmol)およびテトラヒドロフラン(4mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.14mL、0.28mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチル錫クロリド(75μL、0.28mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB)が91mg、薄褐色油状として得られた(収率49%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0350】
1H NMR (400MHz, C6D6): δ8.42 (s, 2H), 7.93 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 1.74 (m, 12H), 1.48 (m, 12H), 1.43 (sep, J =7.5 Hz, 6H), 1.27 (m, 12H), 1.21 (d, J=7.2 Hz, 36H), 0.98 (t, J =6.8 Hz, 18H).
【0351】
実施例46
P−THTIPSTH−DBTH−O−IMTHの合成
【化116】
【0352】
20mLフラスコに、4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB、88mg、0.06mmol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、26mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.5μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、10μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THTIPSTH−DBTH−O−IMTHが34mg(50%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図17に示す。
【0353】
GPC測定結果
Mw(重量平均分子量):31800
Mn(数平均分子量):3300
イオン化ポテンシャル:5.65eV(HOMO −5.65eV)
【0354】
光電変換素子の作製・評価
前記のように得られたP−THTIPSTH−DBTH−O−IMTHをドナー材料、PCBM(C61)(フェニルC61−酪酸メチルエステル)をアクセプター材料として用いて、ドナー材料:アクセプター材料=1:1.5(質量)(合計濃度20mg/mL)、および、1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させて0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。
【0355】
ITOが成膜されたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った後に、PEDOT−PSS([ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))をスピンコーターで塗布した。次に、上記のドナー材料・アクセプター材料の混合溶液をスピンコーターで成膜して150℃でアニールした。その上に、オルトチタン酸テトライソプロピルのエタノール溶液(約0.3体積%)をスピンコートして雰囲気中の水分により酸化チタンに変換した膜を作製した。その後、電極であるアルミニウムを蒸着してデバイスとした。
【0356】
得られたデバイスにソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm2、分光計器製)を用いて特性評価を行った。その結果、Jsc(短絡電流密度)=2.23mA/cm2、Voc(開放端電圧)=0.80V、FF(曲線因子)=0.36であり、変換効率0.64%であることが確認された。
【0357】
実施例47
P−THTIPSTH−DBTH−O−DPPの合成
【化117】
【0358】
20mLフラスコに、4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB、106mg、0.07mmol)、3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ジオクチル−2,5−ジヒドロピローロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(O−DPP−DB、49mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.9μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、11.5μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THTIPSTH−DBTH−O−DPPが10mg(10%)で黒色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図18に示す。
イオン化ポテンシャル:5.13eV(HOMO −5.13eV)
【0359】
実施例48
2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジエチニルベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DY−DBTH−DMOTH)の合成
【化118】
【0360】
10mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH、100mg、0.11mmol)、トリメチルシリルアセチレン(47μL、0.33mmol)、よう化銅(I)(2mg、8.8μmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(7mg、8.8μmol)、テトラヒドロフラン(2mL)、ジイソプロピルアミン(2mL)を加え45℃で44時間反応した。その後、減圧濃縮により揮発成分を留去して炭酸カリウム(15mg、0.11mmol)、メタノール(2mL)を加え室温で更に6時間反応した。反応終了後、水を加えクロロホルムで2回抽出して得られた有機層を水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジエチニルベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DY−DBTH−DMOTH)が32mg(42%)、黄色固体として得られた。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0361】
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.55 (d, J= 3.6 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 3.6 Hz, 2H), 3.89 (s, 2H), 2.89 (m, 4H), 1.78 (m, 2H), 1.53 (m, 6H), 1.34 (m, 6H), 1.18 (m, 6H), 0.96 (d, J = 5.8 Hz, 6H), 0.88 (d, J = 6.4 Hz, 12H).
【0362】
実施例49
P−DMOTH−YDBTH−DMO−IMTHの合成
【化119】
【0363】
20mLフラスコに2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジエチニルベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DY−DBTH−DMOTH、50mg、0.07mmol)、よう化銅(I)(3mg、15μmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(4mg、5.8μmol)、テトラヒドロフラン(2mL)、ジイソプロピルアミン(2mL)を加え70℃で64時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−DMOTH−YDBTH−DMO−IMTHが31mg(43%)で濃赤色固体として得られた。紫外可視吸収スペクトルを図19に示す。
GPC測定結果 Mw(重量平均分子量):8700
Mn(数平均分子量):5700
イオン化ポテンシャル:6.18eV(HOMO −6.18eV)
【産業上の利用可能性】
【0364】
本発明の高分子化合物は、高光電変換効率を有するため、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機薄膜トランジスタ素子等の有機エレクトロデバイス等に有用である。
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