特許第6500988号(P6500988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500988
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20190408BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20190408BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20190408BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20190408BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   H01M10/6568
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/643
   H01M10/647
   H01M10/653
   H01M10/6556
   H01M2/10 E
   H01M10/6551
   H05K7/20 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-526165(P2017-526165)
(86)(22)【出願日】2016年6月21日
(86)【国際出願番号】JP2016002972
(87)【国際公開番号】WO2017002325
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年10月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-130521(P2015-130521)
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/162939(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/171885(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/60−10/667
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組電池と各々の組電池を冷却するための複数の冷却機構とを備える電源装置において、
各々の冷却機構は、対応する組電池に熱的接触する載置面を有する第1プレートと、前記載置面の反対側の面に固定される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートの間に形成される冷却流路と、前記冷却流路を封止するために前記第1プレートと前記第2プレートの間に配置されるシール部と、を含む冷却機構であって、
前記第1プレートが、前記シール部が配置される領域を囲う側壁を有し、かつ、前記側壁の先端が、前記載置面に対して垂直な方向において、前記第2プレートの位置よりも前記対応する組電池から遠ざかる位置まで延在していることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
複数の組電池と各々の組電池を冷却するための複数の冷却機構とを備える電源装置において、
各々の冷却機構は、対応する組電池に熱的接触する載置面を有する第1プレートと、前記載置面の反対側の面に固定される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートの間に形成される冷却流路と、前記冷却流路を封止するために前記第1プレートと前記第2プレートの間に配置されるシール部と、前記側壁と前記第2プレートの間に形成される漏水排出経路と、を含む冷却機構であって、
前記第1プレートが、前記シール部が配置される領域を囲う側壁を有し、かつ、前記側壁の先端が、前記載置面に対して垂直な方向において、前記シール部の位置よりも前記対応する組電池から遠ざかる位置まで延在し、かつ、前記漏水排出経路が、前記載置面に対して垂直方向に延在していることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置において、
前記シール部が、前記第1プレートと前記第2プレートを接合する合金であることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電源装置において、
前記シール部が、前記第1プレートと前記第2プレートの間に介在される弾性部材であることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機構を有する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、推進用の電源装置を使用する電気自動車が普及している。電気自動車は、様々な構成が知られており、例えば、駆動用のモータを搭載する車両(BEV:Battery Electric Vehicle)や、モータに加えてエンジンを搭載しているハイブリッドカー(HEV:Hybrid electric Vehicle)などがある。これらの電気自動車に搭載される電源装置では、複数の電池セルが用いられる。各々の電池セルは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電が可能な二次電池である。
【0003】
典型的な電気自動車用の電源装置は、複数の電池セルからなる複数の組電池を備えている。複数の電池セルを集合化して組電池を形成することで、電源装置の組立性を向上させることができる。組電池の電池セルの数は、組立性や作業性等を考慮して適宜決められる。
【0004】
この分野において、複数の電池セルを冷却するための技術は重要である。例えば、高温の状態で充放電されると、電池セルは電池特性が著しく劣化することが知られている。このような問題に鑑みて、下記の特許文献1に記載の通り、冷却機構を有する電源装置が提案されている。
【0005】
下記特許文献1に開示されている電源装置は、組電池と、冷却機構を備えている。組電池は、集合化された複数の電池セルを含んでいる。冷却機構は、組電池を載置するためのプレートと、熱交換用の冷却パイプを含んでいる。電池セルの温度が上昇すると、電池セルの熱がプレートに伝わる。冷却パイプの内部を流れる冷媒を介して、プレートと冷却パイプの熱交換が行われる。以上の構成により、特許文献1の電源装置は、複数の電池セルを冷却することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−227148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気自動車では、走行に伴う強い衝撃や振動が電源装置に加わる。特許文献1の電源装置に強い衝撃や振動が加わると、冷却パイプが破損するおそれがある。冷却パイプ内の水圧のため、破損した箇所から冷媒が吹き出す。冷媒が組電池に接触すると、組電池が短絡するおそれがある。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、冷媒の吹き出しに起因する組電池の短絡を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電源装置は、複数の組電池と各々の組電池を冷却するための複数の冷却機構とを備える。各々の冷却機構は、対応する組電池に熱的接触する載置面を有する第1プレートと、前記載置面の反対側の面に固定される第2プレートと、前記第1プレートと前記第2プレートの間に形成される冷却流路と、前記冷却流路を封止するために前記第1プレートと前記第2プレートの間に配置されるシール部と、を含んでいる。前記第1プレートは、前記シール部が配置される領域を囲う側壁を有している。前記側壁の先端は、前記載置面に対して垂直な方向において、前記シール部の位置よりも前記対応する組電池から遠ざかる位置まで延在している。
【発明の効果】
【0010】
本発明のある態様の構成によれば、シール部の位置を冷媒が吹き出すおそれのある箇所として特定することができる。シール部から吹き出す冷媒は、側壁を含む第1プレートによってさえぎられる。特に、隣接する組電池とシール部との間に位置する側壁を備えることで、隣接する組電池と冷媒との接触を防止することができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における電源装置の斜視図である。
図2図1の冷却機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図3図1の組電池の一例を示す斜視図である。
図4図3の組電池の分解斜視図である。
図5図1の組電池の他の一例を示す分解斜視図である。
図6図1の組電池の他の一例を示す分解斜視図である。
図7図2の冷却機構の断面を示す電源装置の断面図である。
図8図2の冷却機構の変形例を示す電源装置の断面図である。
図9図2の冷却機構の他の変形例を示す電源装置の断面図である。
図10図9の冷却機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図2に示すように、本発明のある態様の電源装置1は、複数の組電池2と、複数の冷却機構3とを備える。複数の冷却機構3は、フレーム4の上に配置される。複数の組電池2は、それぞれの冷却機構3の上に配置される。フレーム4には、電源装置1の外装ケースや車体フレームが含まれる。また、複数の組電池2は、マトリックス状に並んでいる。このような効率的な配置により、電源装置1の大型化が抑制される。
【0013】
図1および図2には、組電池2が模式的に図示されており、図3から図6に示すように様々な形態をとり得る。一方で、これらの組電池2は、熱交換するための冷却面を共通して有している。組電池2の冷却面は、冷却機構3に熱的に接触している。組電池2と冷却機構3の間の熱交換が組電池の冷却面において行われる。なお、組電池2と冷却機構3の間に絶縁性の熱伝導部材を配置してもよい。具体的には、シートやゲルなどの熱伝導部材が知られている。
【0014】
図3および図4に示すある態様の組電池2は、電池積層体20Aと、締結部25Aと、を有している。電池積層体20Aは、複数の電池セルと、複数の絶縁スペーサ24Aを含んでいる。各々の電池セルは、扁平な直方体形状の外装体22Aと、外装体22Aの一面に設けられる出力端子を有する角形電池21Aである。角形電池21Aの外装体22Aは、金属で形成され、電位を有している。結露水等による短絡を防止するために、外装体22Aの表面を絶縁性のシュリンクチューブ等の絶縁層で覆ってもよい。互いの外装体22Aの幅広面が対向するように、複数の角形電池21Aは一方向に積層される。各々の絶縁スペーサ24Aは、隣接する角形電池21Aの間に介在し、隣接する角形電池21Aの外装体22A同士の接触を防止している。締結部25Aは、一対のエンドプレート26Aと、複数の拘束部材27Aと、を含んでいる。一対のエンドプレート26Aは、積層方向における電池積層体20Aのそれぞれの端面に配置される。各々の拘束部材27Aは、一対のエンドプレート26Aに固定され、電池積層体20Aの積層方向に延在している。
【0015】
上述の構成によると、複数の外装体22Aが組電池2の冷却面に形成される。従って、組電池2の冷却面において行われる組電池2と冷却機構3の間の熱交換により、各々の電池セルを冷却することができる。
【0016】
図5に示すある態様の組電池2は、複数の電池セルと、複数の電池セルを保持する直方体形状の保持部23Bと、電池セルを接続するための一対の接続部24Bを有している。各々の電池セルは、円筒形状の外装体22Bと、外装体22Bの軸方向のそれぞれの端面に設けられる出力端子を有する円筒形電池21Bである。円筒形電池21Bの外装体22Bは、金属で形成され、電位を有している。結露水等による短絡を防止するために、外装体22Bの表面を絶縁性のシュリンクチューブ等の絶縁層で覆ってもよい。保持部23Bは、複数の貫通孔を有する絶縁部材である。複数の円筒形電池21Bは、保持部23Bのそれぞれの貫通孔に挿通される。保持部23Bは、両端の出力端子を露出させた状態でそれぞれの円筒形電池21Bを保持している。
【0017】
各々の接続部24Bは、複数の円筒形電池21Bの出力端子を接続するための導電プレート25Bと、導電プレート25Bを保持するためのバスバーホルダ26Bと、バスバーホルダ26Bに嵌合するカバープレート27Bを含んでいる。バスバーホルダ26Bは、各々の円筒形電池21Bに対応する複数の貫通孔を有している。バスバーホルダ26Bの複数の貫通孔に複数の円筒形電池21Bを挿入するように、バスバーホルダ26Bが保持部23Bの端部に連結される。バスバーホルダ26Bとカバープレート27Bは、導電プレート25Bを収納するための収容空間を区画している。導電プレート25Bを複数の円筒形電池21Bの出力端子に接続した後、収容空間に樹脂(図示せず)が充填される。収容空間に充填される樹脂は、熱伝導性および絶縁性を有している。また、収容空間に充填される樹脂は、複数の円筒形電池21Bおよびカバープレート27Bに熱的に接触している。
【0018】
上述の構成によると、一方のカバープレート27Bが組電池2の冷却面に位置する。上述の通り、収容空間に充填される樹脂を介して、複数の円筒形電池21Bの熱はカバープレート27Bに伝わる。従って、組電池2の冷却面において行われる組電池2と冷却機構3の間の熱交換により、各々の電池セルを冷却することができる。
【0019】
図6に示すある態様の組電池2は、電池積層体20Cと、締結部25Cと、を有している。電池積層体20Cは、複数の電池セルと、複数の伝熱板23Cと、複数の枠体24Cと、を含んでいる。各々の電池セルは、扁平なシート形状の外装体22Cを有するパウチ電池21Cである。パウチ電池21Cの外装体22Cは、ラミネートフィルムで形成されている。ラミネートフィルムは、樹脂層と金属層を組み合わせた複合材料であり、絶縁性を有している。発電要素をラミネートフィルムで包んだ後、ラミネートフィルムの周縁部分を熱溶着する。このようにして、封止部28Cが外装体22Cの周縁に形成される。また、発電要素を収容するための収容部29Cが外装体22Cの中央に形成される。
【0020】
複数の枠体24Cは、一方向に積層されている。一つの伝熱板23Cを挾持する一対のパウチ電池21Cが、隣接する枠体24Cの間に配置される。各々の枠体24Cは中央に開口が形成されている。これにより、一対の枠体24Cが外装体22Cの収容部29Cを避けて封止部28Cを挾持する。伝熱板23Cは、一対のパウチ電池21Cの収容部29Cと当接している。つまり、各々の伝熱板23Cは、対応する一対のパウチ電池21Cに熱的に接触している。
【0021】
締結部25Cは、一対のエンドプレート26Cと、一対の拘束部材27Cとを含んでいる。一対のエンドプレート26Cは、電池積層体20Cの積層方向におけるそれぞれの端部に配置される。各々の拘束部材27Cは、一対のエンドプレート26Cに固定される。図5の組電池2の拘束部材27Cは、金属板で形成されている。各々の伝熱板23Cは、一方の拘束部材27Cに熱的に接触するように、断面がL字の形状に成形されている。
【0022】
上述の構成によると、一方の拘束部材27Cが組電池2の冷却面に位置する。上述の通り、各々の伝熱板23Cを介して、複数のパウチ電池21Cの熱は拘束部材27Cに伝わる。従って、組電池2の冷却面において行われる組電池2と冷却機構3の間の熱交換により、各々の電池セルを冷却することができる。
【0023】
次に、図7から図10に基づいて、いくつかの変形例を含む冷却機構3について説明する。図7から図10に示す冷却機構3はいずれも、第1プレート30と、第2プレート31と、シール部32と、を含んでいる。第1プレート30は、組電池2を載置するための金属板である。組電池2は、第1プレート30に固定してもよい。固定する手段としては、ボルトやナットなどの螺合部材などがある。第1プレート30は、組電池2が載置される載置面と、載置面の反対側に位置する冷却流路34を形成するための流路形成面を有している。また、第1プレート30は、載置面の反対側の面から突出する側壁33を有している。
【0024】
第2プレート31は、第1プレート30の載置面の反対側の面に固定される。第1プレート30と第2プレート31は、内側に冷却流路34が形成されるように、流路形成面に隣接する領域において当接している。シール部32は、第1プレート30と第2プレート31が当接している領域に設けられ、冷却流路34を封止している。
【0025】
なお、図7に示すように、第1プレート30とフレーム4を固定するための貫通孔を側壁33に設けてもよい。側壁33の貫通孔は、フレーム4に向かって延在している。螺合部材39Aが側壁33の貫通孔に挿通され、第1プレート30とフレーム4を固定する。上述の構成によると、第2プレート31は、第1プレート30に固定されることで、フレーム4に間接的に固定される。これにより、車両の振動等が電源装置に加わった場合であっても、シール部32に対する負荷集中が抑制される。なお、上述の冷却機構3の固定構造は、一例に過ぎない。充分な強度が期待できるような場合には、冷却機構3の固定構造が上述の構成とは異なる構成であってもよい。
【0026】
また、流入口と流出口となる一対の配管35が、冷却流路34のそれぞれの端部に取り付けられている。一対の配管35は、第2プレート31の底面から下方へ突出している。それぞれの配管35に接続されるホース(図示せず)を介して、冷却流路34が外部のポンプ(図示せず)に接続される。なお、一対の配管35は、必ずしも第2プレート31の底面に設ける必要はない。
【0027】
図7に示すように、ある態様の冷却機構3では、第2プレート31は、第1プレート30に向かって突出する壁部37Aを有している。壁部37Aは、第2プレート31上に環状に設けられている。壁部37Aが第1プレート30に固定されることで、壁部37Aが流路形成面の領域を囲む。壁部37Aは、第1プレート30にロウ付けされる。具体的には、第1プレート30や第2プレート31よりも融点の低い合金が、第1プレート30と第2プレート31の壁部37Aの間に配置される。合金を溶かすことで第1プレート30および壁部37Aを接合することができる。
【0028】
これにより、第1プレート30と第2プレート31との境界にシール部32が形成される。シール部32は、冷却流路34を封止している。融点の低い合金で形成されるシール部32の剛性は、第1プレート30や第2プレート31と比較して小さい。以上の構成によると、シール部32の位置を冷媒が吹き出す可能性のある箇所として特定することができる。
【0029】
図8に示すように、ある態様の冷却機構3では、第2プレート31は、第1プレート30に向かって突出する壁部37Bを有している。壁部37Bは、第2プレート31上に環状に設けられている。また、壁部37Bは、挿通孔を有するフランジ部38Bを含んでいる。フランジ部38Bの挿通孔に挿通されるボルト等の螺合部材39Bを介して、第1プレート30と第2プレート31が固定される。壁部37Bが第1プレート30に固定されることで、壁部37Bが流路形成面の領域を囲む。また、弾性部材が第1プレート30と第2プレート31の壁部37Bの間に配置される。第1プレート30および第2プレート31は螺合部材39Bを介して固定されることで、弾性部材が第1プレート30と第2プレート31の壁部37Bにより挾持される。
【0030】
これにより、第1プレート30と第2プレート31との境界にシール部32が形成される。シール部32は、冷却流路34を封止している。弾性部材で構成されるシール部32の剛性は、第1プレート30や第2プレート31と比較して小さい。以上の構成によると、シール部32の位置を冷媒が吹き出す可能性のある箇所として特定することができる。なお、弾性部材としては、Oリング等の樹脂部材がある。
【0031】
図9および図10に示すように、ある態様の冷却機構3では、第1プレート30は、第2プレート31に向かって突出する内周壁37Cを有している。内周壁37Cは、環状に設けられた壁であり、側壁33の内側に設けられている。内周壁37Cは、側壁33と同一面から突出している。内周壁37Cの高さは、側壁33の高さよりも小さい。内周壁37Cが第2プレート31に固定されることで、内周壁37Cが流路形成面の領域を囲む。内周壁37Cは、第2プレートにロウ付けされる。具体的には、第1プレート30および第2プレート31よりも融点の低い合金が、第1プレート30の内周壁37Cと第2プレート31の間に配置される。合金を溶かすことで第1プレート30および内周壁37Cを接合することができる。
【0032】
これにより、第1プレート30と第2プレート31との境界にシール部32が形成される。シール部32は、冷却流路34を封止している。融点の低い合金で形成されるシール部32の剛性は、第1プレート30や第2プレート31と比較して小さい。以上の構成によると、シール部32の位置を冷媒が吹き出す可能性のある箇所として特定することができる。
【0033】
図7から図10に示すいずれの態様の冷却機構3においても、側壁33の先端は、シール部32が設けられる位置よりも下方に延在している。なお、側壁33の先端は、第1プレート30に固定されている第2プレート31よりも下方に延在するように構成してもよい。
【0034】
上述の構成によると、シール部32からそれぞれの組電池2を結ぶ直線の方向において、側壁33を含む第1プレート30がシール部32と対応する組電池2の間に介在する。そのため、シール部32の位置から冷媒が吹き出したとしても、第1プレート30が組電池2と冷媒との接触を防止するようになっている。
【0035】
加えて、図7および図8の構成によると、シール部32が側壁の先端よりも組電池2に近い位置に設けられるため、この構成の冷却機構3は、シール部32が確実に第1プレート30によって覆われるという利点がある。一方、図9および図10の構成によると、第2プレート31の形状を平板状とすることができるため、冷却機構3の製造コストが図7の冷却機構3と比べて安くなるという利点がある。
【0036】
また、図7から図10に示すように、冷却機構3は、側壁33と第2プレート31の間に設けられる漏水排出経路36を有していてもよい。図7から図10に例示する冷却機構3は、第2プレート31の寸法が第1プレート30よりも小さい。そのため、第2プレート31は、側壁33に囲われる領域の内側に配置される。この構成によると、第1プレート30の側壁33と第2プレート31の間には空隙が形成される。この空隙は、シール部32が設けられる空間と連通されており、漏水排出経路36として機能する。
【0037】
上述の構成によると、第1プレート30によって遮られた冷媒は、漏水排出経路36を通じて冷却機構3の外部へ速やかに排出される。なお、漏水排出経路36の排出側の経路は、第1プレート30の載置面に対して垂直な方向に延在するように構成することが好ましい。この構成によると、大量の冷媒が漏れ出した場合であっても、漏水排出経路36から排出される冷媒は組電池2から離間する方向に誘導される。
【0038】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各々の構成要素や各々の処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0039】
1 電源装置、2 組電池、3 冷却機構、4 フレーム、20A 電池積層体、21A 角形電池、22A 外装体、24A 絶縁スペーサ、25A 締結部、26A エンドプレート、27A 拘束部材、21B 円筒形電池、22B 外装体、23B 保持部、24B 接続部、25B 導電プレート、26B バスバーホルダ、27B カバープレート、20C 電池積層体、21C パウチ電池、22C 外装体、23C 伝熱板、24C 枠体、25C 締結部、26C エンドプレート、27C 拘束部材、28C 封止部、29C 収容部、30 第1プレート、31 第2プレート、32 シール部、33 側壁、34 冷却流路、35 配管、36 漏水排出経路、37A 壁部、39A 螺合部材、37B 壁部、38B フランジ部、39B 螺合部材、37C 内周壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10