特許第6500995号(P6500995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500995
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20190408BHJP
   B60H 1/08 20060101ALI20190408BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   B60H1/00 101L
   B60H1/00 102M
   B60H1/00 102Q
   B60H1/00 102H
   B60H1/08 621B
   B60H1/22 611D
【請求項の数】10
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-547656(P2017-547656)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2016074963
(87)【国際公開番号】WO2017073154
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-209985(P2015-209985)
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 功治
(72)【発明者】
【氏名】新美 康彦
(72)【発明者】
【氏名】山岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−040916(JP,A)
【文献】 特開2015−116963(JP,A)
【文献】 特開2013−052750(JP,A)
【文献】 特開2013−018420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60H 1/08
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、を備え、
前記ケーシング内には、前記空気導入口から導入された空気流を前記ヒータコアをバイパスして前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)が形成されており、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流のうち、前記ヒータコアを通過して前記車室内に向けて流れる空気流の流量よりも、前記バイパス流路を通過して前記車室内に向けて流れる空気流の流量の方が多く、
前記電気ヒータは、前記ヒータコアの空気流れ下流側において、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱し、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記バイパス流路を通過した空気流が前記電気ヒータによって加熱されて前記車室内に向けて流れる車両用空調装置。
【請求項2】
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記バイパス流路を通過する空気流が前記電気ヒータによって加熱されて前記車室内に向けて流れる請求項に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
回転軸(24a)の回転に伴って回転して、前記空気導入口から前記ケーシング内に導
入されて前記ケーシング内にて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させる複数枚の
ブレード(28)と、導電体を有して構成されて前記複数枚のブレードを支持する支持部
(29)とを備えるファン(22b)と、
前記支持部に対して独立して設けられて、交流電流を出力する交流出力回路(131)
の出力電流に基づいて磁界を発生させるコイル(30)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記ケーシング内には、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)が形成されており、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記電気ヒータは、前記コイルからの磁界に基づいて前記支持部を誘導加熱することによって前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱する車両用空調装置。
【請求項4】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入された前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路と前記ファンとの間の空気流路(162)と前記車室内との間を連通して前記空気流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160)を開閉する内気ドア(161)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記空気流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている車両用空調装置。
【請求項5】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入される前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路と前記車室内との間を連通して前記ケーシングのうち前記バイパス流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160a)を開閉する内気ドア(161a)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている車両用空調装置。
【請求項6】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入される前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路(47d)と前記車室内との間を連通して前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160b)を開閉する内気ドア(161b)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路、前記バイパス流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている車両用空調装置。
【請求項7】
交流電流を出力する交流出力回路(131)の出力電流に基づいて磁界を発生させるコイル(30)を備え、
前記ファンは、回転軸(24a)の回転に伴って回転して、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記ケーシング内にて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させる複数枚のブレード(28)と、前記複数枚のブレードを支持する支持部(29)と、を備えており、
前記コイルは、前記支持部に対して独立して設けられており、
前記電気ヒータは、前記コイルからの磁界に基づいて前記支持部を誘導加熱することによって前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱する請求項4ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記冷却用熱交換器の冷媒出口から冷媒を吸入すると共に圧縮して吐出し、前記冷却用熱交換器とともに前記冷媒を循環させる蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する圧縮機(61)と、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記圧縮機を停止して前記圧縮機から前記冷却用熱交換器に冷媒を供給することを停止する冷却停止部(S150)と、
を備える請求項4ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する前記空気導入口としての内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記内外気切替ドアを制御する切替ドア制御部(S140)と、
前記ケーシング内に配置されているエアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
回転軸(24a)の回転に伴って回転して、前記空気導入口から下側空気流路(47b)内に導入されて前記下側空気流路内にて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させる複数枚のブレード(28)と、前記複数枚のブレードを支持する支持部(29)とを備えるファン(22b)と、
前記支持部に対して独立して設けられて、交流電流を出力する交流出力回路(131)の出力電流に基づいて磁界を発生させるコイル(30)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記ケーシングは、前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流す上側空気流路(47a)と、前記上側空気流路に対して天地方向下側に配置されて前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流す前記下側空気流路とを形成しており、
前記ヒータコアと前記電気ヒータとは、それぞれ、前記下側空気流路内に配置されており、
前記下側空気流路は、前記ヒータコアをバイパスして前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)を有し、
前記エアミックスドアは、前記下側空気流路において前記ヒータコアの空気入口および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、 前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記切替ドア制御部が前記内気導入口および前記外気導入口のうち前記内気導入口からの空気流を前記下側空気流路に導入するように前記内外気切替ドアを制御するとともに、前記エアミックスドア制御部が前記ヒータコアの空気入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御し、
前記切替ドア制御部が前記内外気切替ドアを制御し、かつ前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記内気導入口を介して前記下側空気流路に導入された空気流が、前記下側空気流路のうち前記バイパス流路を通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記下側空気流路に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記電気ヒータは、前記コイルからの磁界に基づいて前記支持部を誘導加熱することによって前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱する車両用空調装置。
【請求項10】
走行用エンジンを冷却する前記熱媒体と前記空気流との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ヒータコアと前記走行用エンジンとの間で前記熱媒体が循環する循環流路(140)を開閉する開閉弁(141)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記循環流路を閉じるように前記開閉弁を制御する弁制御部(S180)と、
を備える請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2015年10月26日に出願された日本特許出願番号2015−209985号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、車両用空調装置用の熱交換器としては、空気流をエンジン冷却水により加熱するコアの一部に、空気流を電力により加熱する電気ヒータを配置したものが知られている。例えば、特許文献1には、そのような熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−69732号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明者等は、上記特許文献1の熱交換器を空調ケース内に配置してコアおよび電気ヒータによって加熱された空気流を空調ケースから車室内に吹き出させることにより、車両用空調装置におけるエンジン始動後の暖房能力を高めることを検討した。
【0006】
コアは、上述の如く、空気流をエンジン冷却水により加熱するものである。したがって、エンジン始動後のエンジン冷却水が低いときには、空気流がコアを通過する際にエンジン冷却水によって空気流が冷却されてコアから冷風が吹き出される。このため、電気ヒータが空気流を加熱しても、エンジン冷却水の温度が低いときには、熱交換器から吹き出される空気流の温度を十分な温度まで上昇させることができない。
【0007】
そこで、電気ヒータで加熱された空気流を空調ケースから車室内に吹き出したのち、空気流を内気導入口を介して空調ケースに導入し、再び空気流を電気ヒータで加熱されることを繰り返すように車両用空調装置を構成することも考えられる。
【0008】
この場合、空調ケースから車室内に吹き出す空気温度を上昇させることができるものの、空調ケースから車室内に吹き出す空気温度を十分な温度まで上昇させるのに長い時間を要することになる。
【0009】
本開示は、エンジン冷却水に相当する熱媒体の温度が低いときでも、温風を車室内に吹き出すようにした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0010】
本開示の1つの観点によれば、車両用空調装置は、空気導入口から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシングと、
ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換よって空気流を加熱するヒータコアと、
空気導入口からケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータと、
熱媒体の温度を検出する温度センサの検出値に基づいて、熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と
回転軸(24a)の回転に伴って回転して、前記空気導入口から前記ケーシング内に導
入されて前記ケーシング内にて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させる複数枚の
ブレード(28)と、導電体を有して構成されて前記複数枚のブレードを支持する支持部
(29)とを備えるファン(22b)と、
前記支持部に対して独立して設けられて、交流電流を出力する交流出力回路(131)
の出力電流に基づいて磁界を発生させるコイル(30)と、を備える。
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記ケーシング内には、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)が形成されており、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記電気ヒータは、前記コイルからの磁界に基づいて前記支持部を誘導加熱することによって前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱する。
本開示の他の観点によれば、車両用空調装置は、
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と、
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入された前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路と前記ファンとの間の空気流路(162)と前記車室内との間を連通して前記空気流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160)を開閉する内気ドア(161)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記空気流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている。
本開示の他の観点によれば、車両用空調装置は、
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と、
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入される前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路と前記車室内との間を連通して前記ケーシングのうち前記バイパス流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160a)を開閉する内気ドア(161a)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている。
本開示の他の観点によれば、車両用空調装置は、空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
エアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と、
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記ケーシング内に配置されて、前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から前記ケーシング内に導入される前記空気流を冷却する冷却用熱交換器(42)と、
前記冷却用熱交換器を通過した空気と前記熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱する前記ヒータコアと、
前記ケーシング内にて前記ヒータコアおよびバイパス流路(52b)に対して空気流れ下流側に配置されて、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入されて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させるファン(22b)と、
前記ケーシングのうち前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路(47d)と前記車室内との間を連通して前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路に前記車室内から空気流を導く前記空気導入口としての内気開口部(160b)を開閉する内気ドア(161b)と、
前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記内気開口部を開けるように前記内気ドアを制御する内気ドア制御部(S140)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記バイパス流路は、前記ケーシング内に形成され、前記ヒータコアをバイパスして前記空気導入口から導入された空気流を前記車室内に向けて流し、
前記エアミックスドアは、前記ヒータコアにおける空気が入る入口(500)および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、
前記エアミックスドア制御部は、前記判定部にて前記熱媒体の温度が所定温度以下であると判定されたとき、前記ヒータコアの前記入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御するものであり、
前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路を通して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記内気ドア制御部が前記内気ドアを制御した際に、前記内気開口部を介して前記ケーシング内に導入された空気流が前記バイパス流路および前記冷却用熱交換器の間の空気流路、前記バイパス流路、および前記ファンを通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記内気開口部から前記ケーシング内に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっている。
本開示の他の観点によれば、車両用空調装置は、
空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、
前記車室内から空気流を前記ケーシング内に導入する前記空気導入口としての内気導入口(10a)と、車室外から空気流を前記ケーシング内に導入する外気導入口(10b)のうち一方を開ける内外気切替ドア(12)と、
前記内外気切替ドアを制御する切替ドア制御部(S140)と、
前記ケーシング内に配置されているエアミックスドア(54b)と、
前記エアミックスドアを制御するエアミックスドア制御部(S160)と、
回転軸(24a)の回転に伴って回転して、前記空気導入口から下側空気流路(47b)内に導入されて前記下側空気流路内にて前記車室内に向けて流通する空気流を発生させる複数枚のブレード(28)と、前記複数枚のブレードを支持する支持部(29)とを備えるファン(22b)と、
前記支持部に対して独立して設けられて、交流電流を出力する交流出力回路(131)の出力電流に基づいて磁界を発生させるコイル(30)と、を備え、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流は、前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れ、さらに前記電気ヒータによって加熱された空気流が前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記ケーシングは、前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流す上側空気流路(47a)と、前記上側空気流路に対して天地方向下側に配置されて前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流す前記下側空気流路とを形成しており、
前記ヒータコアと前記電気ヒータとは、それぞれ、前記下側空気流路内に配置されており、
前記下側空気流路は、前記ヒータコアをバイパスして前記内気導入口および前記外気導入口のうち一方から導入される前記空気流を前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)を有し、
前記エアミックスドアは、前記下側空気流路において前記ヒータコアの空気入口および前記バイパス流路のうち一方を開けて他方を閉じるものであり、 前記熱媒体の温度が前記所定温度以下であると前記判定部が判定したとき、前記切替ドア制御部が前記内気導入口および前記外気導入口のうち前記内気導入口からの空気流を前記下側空気流路に導入するように前記内外気切替ドアを制御するとともに、前記エアミックスドア制御部が前記ヒータコアの空気入口を閉じて前記バイパス流路を開けるように前記エアミックスドアを制御し、
前記切替ドア制御部が前記内外気切替ドアを制御し、かつ前記エアミックスドア制御部が前記エアミックスドアを制御する際に、前記内気導入口を介して前記下側空気流路に導入された空気流が、前記下側空気流路のうち前記バイパス流路を通過して前記車室内に向けて流れることにより、前記空気導入口から前記下側空気流路に導入された空気流が前記ヒータコアを通過することなく、前記車室内に向けて流れるようになっており、
前記電気ヒータは、前記コイルからの磁界に基づいて前記支持部を誘導加熱することによって前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱する
【0012】
これによれば、熱媒体の温度が所定温度以下であるときには、空気導入口からケーシング内に導入された空気流は、ヒータコアが通過することなく車室内に向けて流れ、さらに電気ヒータによって加熱された空気流が車室内に向けて流れるようになっている。このため、熱媒体の温度が低いときでも、ケーシングから車室内に温風を吹き出すことができる。
【0013】
本開示の他の観点によれば、車両用空調装置は、空気導入口(10a、160、160a、160b)から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシング(20、40)と、
前記ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって前記空気流を加熱するヒータコア(45)と、
前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータ(150)と、
前記熱媒体の温度を検出する温度センサ(104)の検出値に基づいて、前記熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部(S110)と、を備える。
【0014】
前記ケーシング内には、前記空気導入口から導入された空気流を前記ヒータコアをバイパスして前記車室内に向けて流すバイパス流路(52b)が形成されている。
【0015】
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流のうち、前記ヒータコアを通過して前記車室内に向けて流れる空気流の流量よりも、前記バイパス流路を通過して前記車室内に向けて流れる空気流の流量の方が多く、
前記電気ヒータは、前記ヒータコアの空気流れ下流側において、前記空気導入口から前記ケーシング内に導入された空気流を加熱し、
前記熱媒体の温度が所定温度以下であると前記判定部が判定したときには、前記バイパス流路を通過した空気流が前記電気ヒータによって加熱されて前記車室内に向けて流れる。
【0016】
これによれば、熱媒体の温度が所定温度以下であるときには、空気導入口からケーシング内に導入された空気流の多くは、ヒータコアが通過することなく車室内に向けて流れ、さらに電気ヒータによって加熱された空気流が車室内に向けて流れるようになっている。このため、熱媒体の温度が低いときでも、ケーシングから車室内に温風を吹き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図2】第1実施形態における車両用空調装置の電気的構成を示す図である。
図3図1のエアコンECUの制御処理を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図5】第3実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図6】第4実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図7】第5実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図8】第5実施形態の第1変形例における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図9】第5実施形態の第2変形例における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
図10】他の実施形態における車両用空調装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
図1に第1実施形態における車両用空調装置1の断面図を示す。本実施形態の車両用空調装置1の通風系は、大別して、空調ユニット2と送風機ユニット3に分かれている。送風機ユニット3は、車室内のインストルメントパネル下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されている。これに対し、空調ユニット2は車室内のインストルメントパネル下方部のうち、左右方向の略中央部に配置されている。
【0020】
送風機ユニット3は、内気導入口(すなわち空気導入口)10aおよび外気導入口10bを有する内外気切替箱11を備える。内気導入口10aは、車室内空気(以下、内気という)を導入する開口部である。外気導入口10bは車室外空気(以下、外気という)を導入する開口部である。車室内の空気とは、車室内のうち空調ユニット2および送風機ユニット3の外側であって、座席が配置されている空間内の空気である。
【0021】
送風機ユニット3には、内外気切替ドア12と仕切りドア13とが設けられている。内外気切替ドア12は、内気導入口10aおよび外気導入口10bのうち一方を開けて他方を開ける。仕切りドア13は、その回転によって、内外気切替箱11内を内気導入口10a側空間11aと外気導入口10b側空間11bとに分離する。
【0022】
内外気切替箱11内には、フィルタ14と仕切り壁15とが設けられている。フィルタ14は、内気導入口10aを介して導入された内気と外気導入口10bを介して導入された外気とを濾過する。仕切り壁15は、仕切りドア13とともに、内外気切替箱11内を内気導入口10a側空間11aと外気導入口10b側空間11bとに分離する。
【0023】
さらに、送風機ユニット3には、送風ケーシング20が設けられている。送風ケーシング20内には、遠心送風機21が配置されている。送風ケーシング20内のうち遠心送風機21の外側には、フィルタ14を通過した空気流をスクロールケーシング23aの空気吸入口25bに導く導入流路26が形成されている。
【0024】
遠心送風機21は、遠心ファン22a、遠心ファン22b、スクロールケーシング23a、スクロールケーシング23b、および電動モータ24を備える。
【0025】
遠心ファン22aおよび遠心ファン22bは、それぞれ、電動モータ24の回転軸24aに支持されている。遠心ファン22aは、遠心ファン22bに対して天地方向上側に配置されている。
【0026】
スクロールケーシング23aは、空気吸入口25aを形成するとともに、遠心ファン22aを収納する。空気吸入口25aは、遠心ファン22aに対してその軸線方向一方側(すなわち、天地方向上側)に形成されている。空気吸入口25aは、内外気切替箱11のうち外気導入口10b側空間11b側に開口している。スクロールケーシング23aは、遠心ファン22aから吹き出される空気流を集めて吹き出す吹出口27aを備える。
【0027】
スクロールケーシング23bは、空気吸入口25bを形成するとともに、遠心ファン22bを収納する。空気吸入口25bは、遠心ファン22bに対してその軸線方向他方側(すなわち、天地方向下側)に形成されている。空気吸入口25bは、導入流路26に開口している。スクロールケーシング23bは、遠心ファン22bから吹き出される空気流を集めて吹き出す吹出口27bを備える。
【0028】
ここで、遠心ファン22bは、軸線を中心として円周方向に並べられている複数枚のブレード28と、主板29とを備える。主板29は、複数枚のブレード28に対して天地方向上側に配置されて複数枚のブレード28を支える支持部である。また主板29は、電動モータ24の回転軸24aに支持されている。
【0029】
本実施形態の遠心ファン22bの主板29および複数枚のブレード28は、鉄等の導電性を有する金属材料(すなわち導電体)から形成されている。スクロールケーシング23b内において、遠心ファン22bの主板29の天地方向上側には、コイル30が配置されている。
【0030】
コイル30は、遠心ファン22bの主板29に対して独立して設けられている。コイル30は、回転軸24aを中心とするリング状に形成されている。
【0031】
本実施形態の遠心ファン22bの主板29とコイル30との間には、例えば約3mm程度の隙間が設けられている。
【0032】
主板29は、コイル30からの交番磁界に基づいて誘導加熱により発熱する。交番磁界は、時間経過に伴って磁界強度が変化する磁界である。
【0033】
本実施形態では、コイル30、遠心ファン22bの主板29、電源回路130、および共振回路(すなわち交流出力回路)131は、空気流を加熱する電気ヒータ150を構成する。
【0034】
空調ユニット2は、空調ケーシング40内にエバポレータ(すなわち、冷却用熱交換器)42、ヒータコア(すなわち、加熱用熱交換器)45を両方とも内蔵している。空調ケーシング40は、内外気切替箱11とともに、内気導入口10aから導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシングを構成する。
【0035】
空調ユニット2は、空調ケーシング40内を上側空気流路47aと下側空気流路47bとに分離する仕切り壁49a、49bを備える。空調ケーシング40のうち仕切り壁49a、49bに対して天地方向上側には、デフロスタ開口部50aとフェイス開口部50bが設けられている。
【0036】
デフロスタ開口部50aは、ダクトおよびデフロスタ吹出口を通してフロントガラスの内表面に空調風を吹き出す。フェイス開口部50bは、ダクトおよびフェイス吹出口を通して乗員の上半身に空調風を吹き出す。
【0037】
空調ケーシング40のうち仕切り壁49a、49bに対して天地方向下側には、フット開口部50cが設けられている。フット開口部50cは、ダクトおよびフット吹出口を通して乗員の下半身に空調風を吹き出す。
【0038】
エバポレータ42は、空調ケーシング40内の上側空気流路47aと下側空気流路47bと跨ぐように配置されている。エバポレータ42は、冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸収してこの空気を冷却するものである。
【0039】
エバポレータ42は、冷凍サイクル装置60の構成要素の一つである。エバポレータ42内の低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより、送風空気が冷却される。冷凍サイクル装置60は周知のものであり、圧縮機61の吐出側から、凝縮器62、受液器63および膨張弁64を介してエバポレータ42に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器62には電動式の冷却ファン62aによって室外空気(すなわち外気)が送風される。この冷却ファン62aはモータ62bによって駆動される。
【0040】
冷凍サイクル装置60において、圧縮機61は電磁クラッチ61aを介して走行用エンジン70により駆動される。従って、電磁クラッチ61aの通電の断続により圧縮機61の作動を断続制御できる。
【0041】
ヒータコア45は、エバポレータ42に対して空気流れ下流側にて、空調ケーシング40内の上側空気流路47aと下側空気流路47bとを跨ぐように配置されている。ヒータコア45は、車両前後方向が薄型で車両左右方向に長手方向が向く扁平形状になっている。ヒータコア45は、エバポレータ42を通過した冷風を再加熱するものである。ヒータコア45は、走行エンジンを冷却水するエンジン冷却水(すなわち温水)を熱源として空気流を加熱するものである。また、ヒータコア45は、図1に示すように、コイル30、主板29、およびブレード28に対して空気流れ下流側に配置されている。
【0042】
空調ユニット2の上側空気流路47aのうちヒータコア45の上側には、バイパス流路52aが設けられている。バイパス流路52aは、エバポレータ42から冷風をヒータコア45をバイパスしてデフロスタ開口部50aおよびフェイス開口部50bに流す流路である。
【0043】
上側空気流路47aにおいてバイパス流路52aおよびヒータコア45の空気流れ上流には、エアミックスドア54aが設けられている。本実施形態のエアミックスドア54aとしては、サーボモータ122によってスライド移動するスライドドアが用いられる。エアミックスドア54aは、上側空気流路47aにおいて、スライド移動によって、バイパス流路52aの開口面積とヒータコア45の空気入口500の開口面積との比率を変える。
【0044】
空調ユニット2の下側空気流路47bのうちヒータコア45の下側には、バイパス流路52bが設けられている。バイパス流路52bは、エバポレータ42から冷風をヒータコア45をバイパスしてフット開口部50c側に流す流路である。
【0045】
本実施形態のエアミックスドア54bは、サーボモータ123によってスライド移動するスライドドアが用いられる。エアミックスドア54bは、スライド移動によって、下側空気流路47bにおいて、バイパス流路52bの開口面積とヒータコア45の空気入口500の開口面積との比率を変える。
【0046】
空調ユニット2は、モードドア56a、56b、56cを備える。モードドア56aは、空調ケーシング40に対して回転自在に支持されて、デフロスタ開口部50aおよびフェイス開口部50bのうち一方を開けて、他方のドアを閉じる。
【0047】
モードドア56bは、空調ケーシング40に対して回転自在に支持されて、フット開口部50cを開閉する。モードドア56cは、仕切り壁49bの連通開口部58を開閉する。
【0048】
次に、本実施形態の車両用空調装置1の電気的構成について図2を参照して説明する。
【0049】
エアコンECU80は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される電子制御装置である。エアコンECU80は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。ROMおよびRAMは、いずれも非遷移的実体的記憶媒体である。
【0050】
エアコンECU80には、周知の空調センサ群100〜104からの検出信号、および空調操作パネル110からの各種操作信号が入力される。
【0051】
空調センサ群としては、具体的には、外気センサ100、内気センサ101、日射センサ102、蒸発器温度センサ103、水温センサ104等が設けられる。外気センサ100は、外気温(すなわち車室外温度)Tamを検出する。内気センサ101は、内気温(すなわち車室内温度)Trを検出する。日射センサ102は、車室内に入射する日射量Tsを検出する。蒸発器温度センサ103は、エバポレータ42の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する。水温センサ104は、走行用エンジン内に配置されて走行用エンジンを冷却するエンジン冷却水の温度Twを検出する。
【0052】
エアコンECU80には、イグニッションスイッチIGが接続されている。イグニッションスイッチIGは、走行用エンジン70に対してバッテリBからの電力の供給を開始、停止する電源スイッチである。
【0053】
また、空調操作パネル110には各種空調操作部材として、温度設定スイッチ111、吹出モードスイッチ112、内外気切替スイッチ113、エアコンスイッチ114、送風機作動スイッチ115、オートスイッチ116等が設けられる。温度設定スイッチ111は、車室内温度Tsetを設定する温度設定部である。吹出モードスイッチ112は、モードドア56a、56bにより切り替わる吹出モードをマニュアル設定する。内外気切替スイッチ113は、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する。エアコンスイッチ114は、圧縮機61の作動指令信号(すなわち、電磁クラッチ40aのON信号)を出す。送風機作動スイッチ115は、送風機37の風量をマニュアル設定する。オートスイッチ116は、オートモードを実施させる指令信号を出す。
【0054】
エアコンECU80の出力側には、圧縮機61の電磁クラッチ61a、サーボモータ120、121、122、123、124、125、126、遠心送風機21の電動モータ24、凝縮器冷却用の冷却ファン62aのモータ62b、電源回路130、開閉弁141、循環ポンプ142等が接続される。これらの機器の作動がエアコンECU80の出力信号により制御される。
【0055】
サーボモータ120は、内外気切替ドア12を回転駆動する。サーボモータ121は、仕切りドア13を回転駆動する。サーボモータ122は、エアミックスドア54aを回転駆動する。サーボモータ123は、エアミックスドア54bを回転駆動する。サーボモータ124は、モードドア56aを回転駆動する。サーボモータ125は、モードドア56bを回転駆動する。サーボモータ126は、モードドア56cを回転駆動する。
【0056】
電源回路130は、共振回路131に電力を供給する。共振回路131は、高周波(例えば、周波数25KHz)の交流電流を誘導加熱用のコイル30に出力する。コイル30は、この出力電流(すなわち交流電流)に基づいて、主板29に交番磁界を与える。
【0057】
開閉弁141は、循環ポンプ142、ヒータコア45、走行用エンジン70とともに、エンジン冷却水を循環させる冷却水循環回路140を構成する。開閉弁141は、ヒータコア45と走行用エンジン70の間を開閉する電磁弁である。循環ポンプ142は、ヒータコア45と走行用エンジン70の間でエンジン冷却水を循環させるポンプである。
【0058】
次に、本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。
【0059】
エアコンECU80は、空調制御処理に先立ってオート即暖制御を実行する。
【0060】
空調制御処理は、吹出開口部50a〜50cから吹き出される空気温度を目標吹出温度TAOに近づけるようにサーボモータ122、123を介してエアミックスドア54a、54bを制御する処理である。目標吹出温度TAOは、外気温Tamや日射量Tsに関わらず、内気温Trが車室内温度Tsetを維持するのに、吹出開口部50a〜50cから吹き出すことが必要になる空気温度である。
【0061】
オート即暖制御の実行は、イグニッションスイッチIGがオンされたときに開始される。オート即暖制御は、内気温Trが車室内温度Tsetになるまで繰り返し実行される。以下、オート即暖制御の詳細について図3を参照して説明する。図3は、エアコンECU80のオート即暖制御を示すフローチャートである。
【0062】
エアコンECU80は、図3のフローチャートにしたがって、オート即暖制御を実行する。
【0063】
エアコンECU80は、まず、ステップS100において、外気センサ100によって外気温Tamを検出し、この検出された外気温Tamが第1閾値以下であるか否かを判定する。
【0064】
外気温Tamが第1閾値以下であるときには、上記ステップS100において、外気温Tamが低温であるとして、YESと判定する。
【0065】
次に、ステップS110において、判定部として、水温センサ104によってエンジン冷却水の温度Twを検出し、この検出された温度Twが第2閾値以下であるか否かを判定する。
【0066】
エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であるときには、上記ステップS110において、エンジン冷却水の温度Twが低温であるとして、YESと判定する。
【0067】
次に、ステップS120において、電気ヒータをオンさせる。具体的には、電源回路130を制御して電源回路130から共振回路131に電力を供給させる。共振回路131は、電源回路130からの電力に基づいて共振して高周波の交流電流を誘導加熱用のコイル30に出力する。コイル30は、主板29に交流電流に基づいて時間経過に伴って交番磁界を与える。
【0068】
このため、主板29には、交番磁界を打ち消すように渦電流が流れる。この渦電流Iと主板29の電気抵抗Rとに基づくジュール熱が発生する。このジュール熱の量は、I×I×Rに比例する。つまり、主板29が誘導加熱により発熱する。このため、主板29からのジュール熱は、複数枚のブレード28に伝わる。これにより、複数枚のブレード28の温度が上昇することになる。このことにより、電気ヒータがその作動を開始することになる。
【0069】
次に、エアコンECU80は、ステップS130において、吹出モードとしてデフロスタモードが設定されているか否かを判定する。
【0070】
ここで、デフロスタモードは、モードドア56aによってデフロスタ開口部50aを開けて、フェイス開口部50bを閉じ、かつモードドア56bによってフット開口部50cを若干開ける吹出モードである。
【0071】
フェイスモードは、モードドア56aによってデフロスタ開口部50aを閉じて、フェイス開口部50bを開け、かつモードドア56bによってフット開口部50cを閉じる吹出モードである。
【0072】
フットモードは、モードドア56aによってデフロスタ開口部50aを開け、フェイス開口部50bを閉じ、かつモードドア56bによってフット開口部50cを全開する吹出モードである。
【0073】
上記ステップS130において、吹出モードスイッチ112によってフェイスモード、或いはフットモードが設定されている場合には、NOと判定する。
【0074】
この場合、エアコンECU80は、ステップS140において、切替ドア制御部として機能し、内気モードを設定する。内気モードは、内気導入口10aからの内気をスクロールケーシング23aの空気吸入口25aとスクロールケーシング23bの空気吸入口25bとに供給するモードである。
【0075】
具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ120を介して内外気切替ドア12制御して内気導入口10aを開けて外気導入口10bを閉じる。これに加えて、エアコンECU80は、サーボモータ121を介して仕切りドア13制御して図1中点線で示すように、内外気切替箱11内を内気導入口10a側空間11aと外気導入口10b側空間11bとに連通させる。
【0076】
次に、エアコンECU80は、ステップS150において、冷却停止部として、圧縮機61の作動を停止させる。このため、エバポレータ42に冷媒が供給されなくなる。
【0077】
次に、エアコンECU80は、ステップS160において、エアミックスドア制御部として、エアミックスドア54a、54bをマックスクールモードに設定する。
【0078】
具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ122を介してエアミックスドア54aを制御してエアミックスドア54aによりバイパス流路52aの空気入口を全開してヒータコア45の空気入口500を全閉する。
【0079】
これに加えて、エアコンECU80は、サーボモータ123を介してエアミックスドア54bを制御してエアミックスドア54bによりバイパス流路52bの空気入口を全開してヒータコア45の空気入口500を全閉する。
【0080】
次に、エアコンECU80は、ステップS170において、吹出モードとしてフットモードを設定する。具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ124を介してモードドア56aを制御してモードドア56aによってデフロスタ開口部50aを開け、フェイス開口部50bを閉じる。これに加えてエアコンECU80は、サーボモータ125を介してモードドア56bを制御してモードドア56bによってフット開口部50cを全開する。
【0081】
次に、エアコンECU80は、ステップS180において、弁制御部として、開閉弁141を制御してヒータコア45と走行用エンジン70の間を閉じる。このため、ヒータコア45と走行用エンジン70の間でエンジン冷却水の循環が停止される。
【0082】
次に、エアコンECU80は、ステップS190において、遠心送風機21の電動モータ24の回転軸24aを回転駆動させる。これに伴い、遠心ファン22aおよび遠心ファン22bは、回転軸24aによって駆動されて回転する。
【0083】
このとき、遠心ファン22aは、内気導入口10aから導入した内気をスクロールケーシング23aの空気吸入口25aを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0084】
スクロールケーシング23aは、遠心ファン22aから吹き出される空気流を集めて吹出口27aから空調ケーシング40上側空気流路47aに吹き出す。
【0085】
上側空気流路47a内において、吹出口27aからの空気流は、エバポレータ42およびバイパス流路52a通過してフェイス開口部50bから車室内に吹き出される。
【0086】
一方、遠心ファン22bは、内気導入口10aから導入した内気をスクロールケーシング23bの空気吸入口25bを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0087】
ここで、上述の如く、主板29が誘導加熱により発熱して、主板29からのジュール熱が複数枚のブレード28に伝わる。このため、遠心ファン22bがスクロールケーシング23bの空気吸入口25bから内気を吸入して吹き出す際に、複数枚のブレード28および主板29が内気を加熱する。これにより、遠心ファン22bは、温風を吹き出すことになる。このように、複数枚のブレード28および主板29は、ヒータコア45の空気流れ上流側において、内気導入口10aから送風ケーシング20内に導入された空気流を加熱する。
【0088】
したがって、スクロールケーシング23bは、遠心ファン22bから吹き出される温風を集めて吹出口27bから空調ケーシング40の下側空気流路47bに吹き出す。
【0089】
このため、下側空気流路47b内において、吹出口27bからの温風は、エバポレータ42およびバイパス流路52bを通過してフット開口部50cから車室内に吹き出される。したがって、内気導入口10aから送風ケーシング20内に導入された空気流のうち、ヒータコア45を通過して車室内に向けて流れる空気流の流量よりも、バイパス流路52bを通過して車室内に向けて流れる空気流の流量の方が多い。そしてさらに、ステップS140〜S190の処理によって、電気ヒータ150によって加熱された空気流がバイパス流路52bを通過して車室内に向けて流れる。
【0090】
その後、エアコンECU80は、ステップS100に戻る。このため、外気温Tamが第1閾値以下であり、かつエンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であり、さらにフェイスモード或いはフットモードが設定されている場合には、複数の処理が繰り返される。これら複数の処理は、ステップS100、S110のYES判定、ステップS120の処理、ステップS130のNO判定、およびステップS140、S150・・・ステップS190の処理である。
【0091】
これにより、遠心ファン22bが内気導入口10aからの内気をバイパス流路52bを通して吸入して加熱して温風としてフット開口部50cから車室内に吹き出す。そして、この吹き出された空気流を遠心ファン22bが内気導入口10aからバイパス流路52bを通して吸入する。このような遠心ファン22bの吹き出しおよび吸い込みが繰り返される。このため、フット開口部50cから車室内に吹き出す温風温度が短期間で上昇させることができる。
【0092】
その後、エアコンECU80は、上記ステップS110において、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値よりも高くなると、NOと判定する。これに伴い、エアコンECU80は、ステップS200において、電源回路130を制御して電源回路130から共振回路131に電力を供給させることを停止させる。このため、共振回路131は、共振して高周波の交流電流を誘導加熱用のコイル30に出力することを停止する。このため、主板29が誘導加熱により発熱することが停止される。
【0093】
次にエアコンECU80は、ステップS210において、外気モードを設定する。外気モードは、外気導入口10bからの外気をスクロールケーシング23aの空気吸入口25aとスクロールケーシング23bの空気吸入口25bとに供給するモードである。
【0094】
具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ120を介して内外気切替ドア12を制御して内気導入口10aを閉じて外気導入口10bを開ける。これに加えて、エアコンECU80は、サーボモータ121を介して仕切りドア13制御して図1中点線で示すように、内外気切替箱11内を内気導入口10a側空間11aと外気導入口10b側空間11bとに連通させる。
【0095】
次に、エアコンECU80は、ステップS220において、圧縮機61を作動させる。このため、圧縮機61は、エバポレータ42の冷媒出口から低圧冷媒を吸入して圧縮して高圧冷媒を吐出する。凝縮器62は、冷却ファン62aからの外気と圧縮機61からの高圧冷媒とを熱交換して高圧冷媒を冷却する。
【0096】
膨張弁64は、凝縮器62によって冷却された高圧冷媒を減圧する。受液器63は、膨張弁64によって減圧された冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して液相冷媒をエバポレータ42に供給する。
【0097】
次に、エアコンECU80は、ステップS230において、エアミックスドア54a、54bをマックスホットモードに設定する。
【0098】
具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ122を介してエアミックスドア54aを制御してエアミックスドア54aによりバイパス流路52aの空気入口を全閉してヒータコア45の空気入口500を全開する。
【0099】
これに加えて、エアコンECU80は、サーボモータ123を介してエアミックスドア54bを制御してエアミックスドア54bによりバイパス流路52bの空気入口を全閉してヒータコア45の空気入口500を全開する。
【0100】
次に、エアコンECU80は、ステップS230において、開閉弁141を制御してヒータコア45と走行用エンジン70の間を開けるとともに、循環ポンプ142を作動させる。このため、ヒータコア45と走行用エンジン70の間でエンジン冷却水が循環される。
【0101】
次に、エアコンECU80は、ステップS240において、遠心送風機21の電動モータ24の回転軸24aを回転駆動させる。これに伴い、遠心ファン22aおよび遠心ファン22bは、回転軸24aによって駆動されて回転する。
【0102】
このとき、遠心ファン22aは、外気導入口10bから導入した外気をスクロールケーシング23aの空気吸入口25aを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0103】
スクロールケーシング23aは、遠心ファン22aから吹き出される空気流を集めて吹出口27aから空調ケーシング40上側空気流路47aに吹き出す。
【0104】
ここで、上側空気流路47aでは、エバポレータ42が吹出口27aからの空気流と受液器63からの液相冷媒と熱交換して吹出口27aからの空気流を冷却する。このため、エバポレータ42が吹出口27aからの空気流を除湿することになる。
【0105】
この除湿された空気流は、ヒータコア45を通過する。この際に、ヒータコア45において空気流とエンジン冷却水とが熱交換されて空気流が加熱される。このため、ヒータコア45から温風がフェイス開口部50bから吹き出されることになる。
【0106】
一方、遠心ファン22bは、内気導入口10aから導入した内気をスクロールケーシング23bの空気吸入口25bを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0107】
したがって、スクロールケーシング23bは、遠心ファン22bから吹き出される空気流を集めて吹出口27bから空調ケーシング40の下側空気流路47bに吹き出す。
【0108】
このため、下側空気流路47b内において、吹出口27bからの空気流は、エバポレータ42を通過する際に冷媒により冷却除湿される。
【0109】
この冷却除湿された空気流は、ヒータコア45を通過する。この際に、ヒータコア45において空気流とエンジン冷却水とが熱交換されて空気流が加熱される。このため、ヒータコア45から温風がフット開口部50cから吹き出されることになる。
【0110】
また、外気温Tamが第1閾値よりも高くなると、エアコンECU80は、上記ステップS100において、NOと判定する。このため、ステップS100のNO判定、ステップS200、210、220、230、240の処理を繰り返す。
【0111】
さらに、吹出モードとしてデフロスタモードが設定されている場合には、エアコンECU80は、上記ステップS100、S110のNO判定後、ステップS120における電気ヒータ150のON処理を経てから、上記ステップS130において、YESと判定する。
【0112】
このため、エアコンECU80は、ステップS100、S110のNO判定、ステップS120、S210、S220、S230、S240の処理を繰り返す。
【0113】
この場合、遠心ファン22aは、外気導入口10bから導入した外気をスクロールケーシング23aの空気吸入口25aを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0114】
スクロールケーシング23aは、遠心ファン22aから吹き出される空気流を集めて吹出口27aから空調ケーシング40上側空気流路47aに吹き出す。
【0115】
ここで、上側空気流路47aでは、エバポレータ42が吹出口27aからの空気流を冷媒によって冷却除湿する。この冷却除湿された空気流は、ヒータコア45を通過する。この際に、ヒータコア45において空気流がエンジン冷却水によって加熱される。このため、ヒータコア45からの温風がフェイス開口部50bから吹き出されることになる。
【0116】
またこの場合、遠心ファン22bは、外気導入口10bから導入した外気をスクロールケーシング23bの空気吸入口25bを介して吸入して、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0117】
ここで、遠心ファン22bがスクロールケーシング23bの空気吸入口25bから外気を吸入して吹き出す際に、複数枚のブレード28および主板29が外気を加熱する。これにより、遠心ファン22bは、温風を吹き出すことになる。このため、遠心ファン22bから空気流がエバポレータ42を通過する。この際に空気流が冷媒により冷却除湿される。
【0118】
この冷却除湿された空気流は、ヒータコア45を通過する。この際に、ヒータコア45において空気流とエンジン冷却水とが熱交換されて空気流が加熱される。このため、ヒータコア45からの温風がフット開口部50cから吹き出されることになる。
【0119】
以上説明した本実施形態によれば、車両用空調装置1は、内外気切替箱11と、内気導入口10a或いは外気導入口10bから導入した空気流を送風する遠心送風機21とを備える。内外気切替箱11は、内気導入口10aおよび外気導入口10bのうち一方を開けて他方を閉じる内外気切替ドア12を有する。
【0120】
遠心送風機21の遠心ファン22bは、コイル30、電源回路130、および共振回路131は、内気導入口10a或いは外気導入口10bから導入した空気流を加熱する電気ヒータ150を構成する。
【0121】
エアコンECU80はエンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、サーボモータ123を介してエアミックスドア54bを制御する。具体的には、エアコンECU80は、エアミックスドア54bによりバイパス流路52bの空気入口を全開してヒータコア45の空気入口500を全閉する。
【0122】
以上により、エンジン冷却水の温度Twが低いときには、内気導入口10aから導入された空気流は、電気ヒータ150によって加熱される。この加熱された空気流はヒータコア45を通過することなく、バイパス流路52bを通過して車室内に向けて流れる。このため、エンジン冷却水の温度Twが低いときでも、車室内に温風を吹き出すことができる。すなわち、車室内に空気流を吹き出す車両用空調装置1の即暖性を向上させることができる。
【0123】
これに加えて、ヒータコア45に空気流を通過させる場合に比べて、圧力損失を低減でき、省電力化、低騒音化を向上することができる。
【0124】
本実施形態では、エアコンECU80は、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、開閉弁141を制御してヒータコア45および走行用エンジン70の間を閉じる。このため、ヒータコア45がエンジン冷却水によって下側空気流路47b内の空気流を冷却することを未然に防ぐことができる。よって、車室内に吹き出す空気流の温度を上昇させるのに要する時間を短くすることができる。
【0125】
本実施形態では、エアコンECU80は、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、圧縮機61の作動を停止させる。このため、エバポレータ42に冷媒が供給されなくなる。このため、電気ヒータ150によって加熱された空気流がエバポレータ42を通過する際に、空気流が冷媒によって冷却されることを防ぐことができる。よって、車室内に吹き出す空気流の温度を上昇させるのに要する時間をより一層短くすることができる。
【0126】
ここで、電気ヒータ150で加熱された空気流がエバポレータ42を通過する際に、当該空気流はエバポレータ42自体によって、冷却される。しかし、上述の如く、エバポレータ42に冷媒が供給されていない。そして、エバポレータ42自体の熱容量も小さい。このため、エバポレータ42を通過する空気流からエバポレータ42が吸熱する熱量は、極めて少ない。
【0127】
本実施形態では、エアコンECU80は、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、内気モードを設定する。このため、内気を電気ヒータ150によって加熱し、この加熱された内気を車室内に吹き出させることができる。
【0128】
よって、電気ヒータ150によって加熱された内気が車室内に吹き出され、この吹き出された空気流が内気導入口10aから導入され、この導入された空気流が電気ヒータ150によって加熱されることが繰り返される。
【0129】
したがって、外気導入口10bから導入した外気を電気ヒータ150によって加熱される場合に比べて、車室内に吹き出す空気流の温度を上昇させるのに要する時間をより一層短くすることができる。
【0130】
本実施形態では、エアコンECU80は、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、開閉弁141を制御してヒータコア45および走行用エンジン70の間を閉じる。このため、ヒータコア45および走行用エンジン70の間でエンジン冷却水の循環が停止される。このため、ヒータコア45の周囲を通過する空気流がヒータコア45によって吸熱されることを未然に防ぐことできる。
【0131】
なお、ヒータコア45の周囲を通過する空気流はヒータコア45内に残留したエンジン冷却水によって冷却されるもの、上述の如く、ヒータコア45と走行用エンジン70の間でエンジン冷却水の循環が停止される。このため、ヒータコア45内に残留したエンジン冷却水の熱容量は極めて小さい。したがって、空気流がヒータコア45内のエンジン冷却水によって吸熱される熱量は極めて少ない。
【0132】
本実施形態では、遠心ファン22bの主板29(すなわち支持部)が電気ヒータ150の構成要素として利用されている。このため、遠心ファン22bに対して独立して電気ヒータ150を設ける場合に比べて、電気ヒータ150の小型化を図ることができる。このため、車両用空調装置1の小型化を図ることができる。
【0133】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、遠心送風機21に対して空気流れの下流側にエバポレータ42を配置した例について説明した。しかし、これに代えて、図4に示すように、遠心送風機21に対して空気流れの上流側にエバポレータ42を配置してもよい。図4において図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0134】
この例においても、図4に示すように、ヒータコア45は、コイル30、主板29、およびブレード28に対して空気流れ下流側に配置されている。したがって、複数枚のブレード28および主板29は、ヒータコア45の空気流れ上流側において、内気導入口10aから送風ケーシング20内に導入された空気流を加熱する。
【0135】
この場合、遠心送風機21の遠心ファン22a、22bは、内外気切替箱11からエバポレータ42を通して吸入した空気流を上側空気流路47aと下側空気流路47bとに吹き出すことになる。そしてさらに、内気モードにおいて電気ヒータ150によって加熱された空気流がバイパス流路52bを通過して車室内に向けて流れる。
【0136】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、仕切り壁49a、49bを用いて空調ケーシング40内に上側空気流路47aと下側空気流路47bとを設けた例について説明した。これに代えて、仕切り壁49a、49bを削除して空調ケーシング40において1つの空気流路を形成した第3実施形態について説明する。
【0137】
図5に第3実施形態の車両用空調装置1の断面図を示す。図5において図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0138】
図5では、図1中の送風機ユニット3のうち、仕切りドア13および仕切り壁15が削除されている。図5では、図1中の遠心送風機21において、遠心ファン22a、およびスクロールケーシング23aが削除されている。
【0139】
このため、本実施形態の遠心送風機21では、遠心ファン22bおよびスクロールケーシング23bが設けられている。スクロールケーシング23bの空気吸入口25bが軸線方向上側に向けて配置されている。
【0140】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、遠心ファン22bによって電気ヒータ150を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、図6に示すように、PCTヒータ等の電気ヒータ150Aをフット開口部50c内に配置してもよい。図6において図5と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0141】
この場合、図6に示すように、ヒータコア45は、電気ヒータ150Aに対して空気流れ上流側に配置されている。したがって、ステップS140〜S190の処理によって、電気ヒータ150Aは、ヒータコア45の空気流れ下流側において、内気導入口10aから送風ケーシング20内に導入された空気流を加熱する。そしてさらに、ステップS140〜S190の処理によって、バイパス流路52bを通過した空気流が電気ヒータ150Aによって加熱されて車室内に向けて流れる。
【0142】
(第5実施形態)
上記第3実施形態では、遠心送風機21をヒータコア45に対して空気流れ上流側に配置した例について説明したが、これに代えて、遠心送風機21をヒータコア45に対して空気流れ下流側に配置した本第5実施形態について説明する。
【0143】
図7は本実施形態の車両用空調装置1の構成を示す断面図である。図7において図5と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
【0144】
図7に示すように、ヒータコア45は、コイル30、主板29、およびブレード28に対して空気流れ上流側に配置されている。
【0145】
本実施形態の空調ケーシング40のうちバイパス流路52bに対して空気流れ下流側(すなわち、遠心送風機21側)には、内気導入口(すなわち空気導入口)160が形成されている。
【0146】
内気導入口160は、空調ケーシング40のうちヒータコア45およびバイパス流路52bに対して空気流れ方向下流側の空気流路162と車室内との間を連通している。空気流路162は、ヒータコア45とスクロールケーシング23bの間に形成されている。空気流路162は、ヒータコア45、或いはバイパス流路52bを通過した空気流を空気吸入口25bに導くための空気流路である。内気導入口160は、車室内と空調ケーシング40内の間を連通している。空気流路162は、内気導入口160から導入された空気流をヒータコア45をバイパスして車室内に向けて流すバイパス流路である。
【0147】
本実施形態の車両用空調装置1には、内気ドアとしての内気導入ドア161が設けられている。内気導入ドア161は、空調ケーシング40に対して回転自在に支持されている。内気導入ドア161は、バイパス流路52bの空気出口および内気導入口160のうち一方を開いて、他方を閉じる。内気導入ドア161は、サーボモータ163により回転駆動される。サーボモータ163は、エアコンECU80によって制御される。
【0148】
次に、本実施形態の作動について図3を用いて説明する。
【0149】
まず、エアコンECU80は、外気温Tamが第1閾値以下であるときには、ステップS100において、YESと判定する。次にエアコンECU80は、エンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であるときには、ステップS110において、YESと判定する。次にエアコンECU80は、ステップS120において、電気ヒータをオンさせる。
【0150】
このとき、吹出モードスイッチ112によってフェイスモード、或いはフットモードが設定されている場合には、エアコンECU80はステップS130においてNOと判定する。この場合、エアコンECU80は、ステップS140において、内気モードを設定する。具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ163を介して内気導入ドア161を制御してバイパス流路52bの空気出口を閉じて内気導入口160を開ける。
【0151】
これに加えてエアコンECU80は、サーボモータ120を介して内外気切替ドア12制御して内気導入口10aを開けて外気導入口10bを閉じる。
【0152】
次にエアコンECU80は、ステップS150において、圧縮機61の作動を停止させる。次に、ステップS160において、エアミックスドア54a、54bをマックスクールモードに設定する。
【0153】
次にエアコンECU80は、ステップS170において、吹出モードとしてフットモードを設定する。次にエアコンECU80は、ステップS180において、開閉弁141を制御してヒータコア45と走行用エンジン70の間を閉じる。
【0154】
次に、ステップS190において、遠心送風機21の電動モータ24の回転軸24aを回転駆動させる。これに伴い、遠心ファン22bは、回転軸24aによって駆動されて回転する。これにより、遠心ファン22bは、空気流路162および内気導入口160を介して導入した内気を吸い込んで、回転軸24aを中心とする径方向外側に吹き出す。
【0155】
これに加えて、遠心ファン22bは、内気導入口10aを介して導入した内気をフィルタ14、エバポレータ42、バイパス流路52a、およびスクロールケーシング23bの空気吸入口25bを通して吸入する。
【0156】
このように遠心ファン22bが内気を吸い込んで吹き出す。この際に、複数枚のブレード28および主板29が内気を加熱する。これにより、遠心ファン22bは、温風を吹き出すことになる。このように、複数枚のブレード28および主板29は、ヒータコア45の空気流れ下流側において、内気導入口10aから送風ケーシング20内に導入された空気流を加熱する。
【0157】
したがって、スクロールケーシング23bは、遠心ファン22bから吹き出される温風を集めて吹出口27bから空調ケーシング40の空気流路47c内に吹き出す。空気流路47cに吹き出される温風はフット開口部50cから車室内に吹き出される。
【0158】
ここで、内気導入口10aからの内気がフィルタ14、エバポレータ42、バイパス流路52aを通して遠心ファン22bに流れる空気流路を第1空気流路とする。内気導入口160からの内気が空気流路162を通して遠心ファン22bに流れる空気流路を第2空気流路とする。第1空気流路は、空気流をエバポレータ42に通過させることになるため、第2空気流路に比べて圧力損失が大きい。このため、第1空気流路を流れる空気量に比べて、第2空気流路を流れる空気量が多い。
【0159】
このため、内気導入口160からの内気が空気流路162を通して遠心ファン22bに流れ、この流れた空気流が電気ヒータ150で加熱されて温風としてフット開口部50cから車室内に吹き出され、この吹き出された空気流が再び内気導入口160に導入されて電気ヒータ150で加熱されることが繰り返される。バイパス流路である空気流路162を通過した空気流が電気ヒータ150によって加熱されて車室内に向けて流れる。
【0160】
また、外気温Tamが第1閾値以上であり、ステップS100でNOと判定したときには、エアコンECU80は、ステップS200において、電源回路130を制御して電源回路130から共振回路131に電力を供給させることを停止させる。次にエアコンECU80は、ステップS210において、外気モードを設定する。具体的には、エアコンECU80は、サーボモータ120を介して内外気切替ドア12を制御して内気導入口10aを閉じて外気導入口10bを開ける。これに加えてエアコンECU80は、サーボモータ163を介して内気導入ドア161を制御してバイパス流路52bの空気出口を開けて内気導入口160を閉じる。
【0161】
次にエアコンECU80は、ステップS220において、圧縮機61を作動させる。次にエアコンECU80は、ステップS230において、エアミックスドア54a、54bをマックスホットモードに設定する。
【0162】
次に、ステップS240において、開閉弁141を制御してヒータコア45と走行用エンジン70の間を開けるとともに、循環ポンプ142を作動させる。このため、ヒータコア45および走行用エンジン70の間でエンジン冷却水が循環される。
【0163】
次に、ステップS240において、遠心送風機21の電動モータ24の回転軸24aを回転駆動させる。これに伴い、遠心ファン22bは、回転軸24aによって駆動されて回転する。
【0164】
このとき、遠心ファン22bは、外気導入口10bから吸い込んで外気を吹き出す空気流を発生させる。このため、外気導入口10bから吸い込んだ空気流は、フィルタ14、およびエバポレータ42を通してヒータコア45に流れる。このため、ヒータコア45から温風が吹き出される。
【0165】
この吹き出される温風は空気流路162を通してスクロールケーシング23bの空気吸入口25b内に流れる。このように空気吸入口25bに吸い込まれた温風は、遠心ファン22bにより吸い込まれて径方向外側に吹き出される。このよう吹き出される温風は、開口部50a、50b、50cのいずれかから吹き出される。
【0166】
以上説明した本実施形態によれば、空調ケーシング40のうちバイパス流路52bに対して空気流れ下流側には、内気導入口160が形成されている。エアコンECU80はエンジン冷却水の温度Twが第2閾値以下であると判定したとき、サーボモータ163を介して内気導入ドア161を制御して内気導入口160を全開してバイパス流路52bの空気出口を全閉する。これにより、内気導入口160を介して導入された内気は、ヒータコア45を避けてスクロールケーシング23bの空気吸入口25b内に流れる。このように空気吸入口25bに吸い込まれた空気流は、遠心ファン22bにより吸い込まれて径方向外側に吹き出される。
【0167】
この際に、遠心ファン22bにより吸い込まれた空気流は、電気ヒータ150によって加熱され、この加熱された空気流はフット開口部50cから吹き出される。このため、エンジン冷却水の温度Twが低いときでも、車室内に温風を吹き出すことができる。
【0168】
(他の実施形態)
(1)上記第5実施形態では、空調ケーシング40のうちバイパス流路52bに対して空気流れ下流側と車室内との間を連通させる内気導入口160を配置した例について説明した。しかし、これに代えて、図8に示す形態も可能である。
【0169】
図8では、空調ケーシング40のうちバイパス流路52bと車室内との間を連通させる内気導入口(すなわち空気導入口)160aが図7の内気導入口160に代えて採用される。また、図8では、内気導入口160aを開閉する内気ドアとしての内気導入ドア161aが、図7の内気導入ドア161に代えて採用されている。
【0170】
この場合、内気導入ドア161aが内気導入口160aを開けた際には、内気導入口160aを介して車室内から導入される内気は、バイパス流路52b、空気流路162、および内気導入口160を介して遠心ファン22bに吸い込まれる。このため、上記第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0171】
(2)上記第5実施形態では、空調ケーシング40のうちバイパス流路52bに対して空気流れ下流側と車室内との間を連通させる内気導入口160を配置した例について説明した。しかし、これに代えて、図9に示す形態も可能である。
【0172】
図9では、空調ケーシング40のうちバイパス流路52bおよびエバポレータ42の間の空間と車室内との間の空気流路47dを連通させる内気導入口(すなわち空気導入口)160bが図7の内気導入口160に代えて採用されている。また、図9では、内気導入口160bを開閉する内気ドアとしての内気導入ドア161bが図7の内気導入ドア161に代えて採用されている。
【0173】
この場合、内気導入ドア161bが内気導入口160bを開けた際には、内気導入口160bを介して車室内から導入される内気は、空気流路47d、バイパス流路52b、空気流路162、および空気吸入口25bを介して遠心ファン22bに吸い込まれる。このため、上記第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0174】
(3)上記第3実施形態では、ヒータコア45の空気入口500およびバイパス流路52bのうち一方を開けて他方を閉じるエアミックスドア54bを用いた例について説明した。しかし、これに代えて、図10に示すように、ヒータコア45の空気出口501およびバイパス流路52bのうち一方を開けて他方を閉じるようにエアミックスドア54bを構成してもよい。
【0175】
この場合、エアミックスドア54bがヒータコア45の空気出口501を閉じて、かつバイパス流路52bを開けた状態で、エバポレータ42を通過した空気流が空気入口500からヒータコア45に流入してヒータコア45を通過しないように構成することが必要になる。
【0176】
また、ヒータコア45の空気出口501およびバイパス流路52aのうち一方を開けて他方を閉じるようにエアミックスドア54aを構成してもよい。
【0177】
さらに、上記第1、第2、第4、第5実施形態において、ヒータコア45の空気出口501およびバイパス流路52bのうち一方を開けて他方を閉じるようにエアミックスドア54bを構成してもよい。また、上記第1、第2、第4、第5実施形態において、ヒータコア45の空気出口501およびバイパス流路52aのうち一方を開けて他方を閉じるようにエアミックスドア54aを構成してもよい。
【0178】
(4)上記第1〜第5実施形態では、ヒータコア45で空気流を加熱するために用いられる熱媒体としてエンジン冷却水を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、熱媒体として蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒を用いてもよい。つまり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて高温高圧冷媒により空気流を加熱する放熱器をヒータコア45としてもよい。
【0179】
(5)上記第1〜第5実施形態では、誘導加熱を行う支持部を主板29としたが、これに代えて、遠心ファン22bのうち主板29以外の部品を、誘導加熱を行う支持部としてもよい。
【0180】
具体的には、複数枚のブレード28を支持するリング部材を誘導加熱を行う支持部としてもよい。リング部材は、回転軸24aの軸線方向を中心としてリング状に形成されている。
【0181】
例えば、主板29が複数枚のブレード28のうち回転軸24aの軸線方向一方側を支持する場合には、リング部材は、複数枚のブレード28のうち回転軸24aの軸線方向他方側を支持することになる。
【0182】
(6)上記実施形態では、ステップS140〜S190の処理によって、エアミックスドアがマックスクールモードに設定された場合、空気導入口からケーシング内に導入された空気流は、ヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れる。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、ステップS140〜S190の処理によって、エアミックスドアがマックスクールモードに設定された場合、空気導入口からケーシング内に導入された空気流の僅かな一部が、ヒータコアを通過した後に車室内に向けて流れてもよい。その場合も、空気導入口からケーシング内に導入された空気流のうち、ヒータコアを通過して車室内に向けて流れる空気流の流量よりも、バイパス流路を通過して車室内に向けて流れる空気流の流量の方が多い。
【0183】
(7)上記第1、第2、第3実施形態では、電気ヒータによって加熱された後の空気流がバイパス流路を通過して車室内に向けて流れる。また、上記第4、第5実施形態では、バイパス流路を通過した後の空気流が電気ヒータによって加熱されて車室内に向けて流れる。したがって、第1〜第5実施形態は、バイパス流路を通過する空気流が電気ヒータによって加熱されて車室内に向けて流れるという点で共通する。また、電気ヒータは、バイパス通路を通過している途中の空気流を加熱してもよい。この場合も、バイパス流路を通過する空気流が電気ヒータによって加熱されて車室内に向けて流れるという点で、第1〜第5実施形態と共通する。
【0184】
(8)なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0185】
(まとめ)
上記1〜5実施形態および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、車両用空調装置において、空気導入口から導入された空気流を車室内に向けて流通させるケーシングと、ケーシング内の空気流と熱媒体との熱交換によって空気流を加熱するヒータコアと、空気導入口からケーシング内に導入された空気流を電力によって加熱する電気ヒータと、熱媒体の温度を検出する温度センサの検出値に基づいて、熱媒体の温度が所定温度以下であるか否かを判定する判定部と、を備え、熱媒体の温度が所定温度以下であると判定部が判定したときには、空気導入口からケーシング内に導入された空気流は、ヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れ、さらに電気ヒータによって加熱された空気流が車室内に向けて流れるようになっている。
【0186】
さらに、第2の観点によれば、エアミックスドア制御部がエアミックスドアを制御する際に、空気導入口からケーシング内に導入された空気流がバイパス流路を通して車室内に向けて流れることにより、空気導入口からケーシング内に導入された空気流がヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0187】
これにより、空気流がバイパス流路を流れることにより圧力損失を低下させることができる。省電力化や省騒音化を図ることができる。
【0188】
第3の観点によれば、切替ドア制御部が内外気切替ドアを制御する際に、内気導入口からケーシング内に導入された空気流が、バイパス流路を通過して車室内に向けて流れることにより、ヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0189】
これにより、内気導入口からケーシング内に導入された空気流が、バイパス流路を通過して車室内に吹き出され、この吹き出された空気流が内気導入口からケーシング内に導入されて電気ヒータで加熱されることが繰り返される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0190】
第4の観点によれば、電気ヒータは、コイルからの磁界に基づいて支持部を誘導加熱することによって空気導入口からケーシング内に導入された空気流を加熱する。
【0191】
これにより、ファンの支持部を利用して電気ヒータを構成することができるので、ファンに対して独立して電気ヒータを設ける場合に比べて電気ヒータの小型化を図ることができる。
【0192】
第5の観点によれば、内気ドア制御部が内気ドアを制御した際に、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流が空気流路、およびファンを通過して車室内に向けて流れることにより、内気開口部からケーシング内に導入された空気流がヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0193】
これにより、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流が空気流路を通過して車室内に吹き出され、この吹き出された空気流が内気開口部を介してケーシング内に導入れて電気ヒータにより加熱されることが繰り返される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0194】
第6の観点によれば、内気ドア制御部が内気ドアを制御した際に、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流がバイパス流路、およびファンを通過して車室内に向けて流れることにより、内気開口部からケーシング内に導入された空気流がヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0195】
これにより、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流がバイパス流路を通過して車室内に吹き出され、この吹き出される空気流が再び内気開口部を介してケーシング内に導入されて電気ヒータで加熱されることが繰り返される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0196】
第7の観点によれば、内気ドア制御部が内気ドアを制御した際に、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流がバイパス流路および冷却用熱交換器の間の空気流路、バイパス流路、およびファンを通過して車室内に向けて流れることにより、内気開口部からケーシング内に導入された空気流がヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0197】
これにより、内気開口部を介してケーシング内に導入された空気流がバイパス流路を通過して車室内に吹き出され、この吹き出される空気流が再びバイパス流路および冷却用熱交換器の間の空気流路、およびバイパス流路を介してケーシング内に導入されて電気ヒータで加熱されることが繰り返される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0198】
第8の観点によれば、電気ヒータは、コイルからの磁界に基づいて支持部を誘導加熱することによって空気導入口からケーシング内に導入された空気流を加熱する。
【0199】
これにより、ファンの支持部を利用して電気ヒータを構成することができるので、ファンに対して独立して電気ヒータを設ける場合に比べて電気ヒータの小型化を図ることができる。
【0200】
第9の観点によれば、熱媒体の温度が所定温度以下であると判定部が判定したとき、圧縮機を停止して前記圧縮機から冷却用熱交換器に冷媒を供給することを停止する冷却停止部を備える。
【0201】
これにより、熱媒体の温度が所定温度以下であると判定部が判定したとき、圧縮機を停止して冷却用熱交換器に冷媒を供給することが停止される。このため、冷却用熱交換器を空気流が通過する際に空気流が冷却用熱交換器によって冷却されることが抑制される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0202】
第10の観点によれば、切替ドア制御部が内外気切替ドアを制御し、かつエアミックスドア制御部がエアミックスドアを制御する際に、内気開口部を介して下側空気流路に導入された空気流が、下側空気流路のうちバイパス流路を通過して車室内に向けて流れることにより、空気導入口から下側空気流路に導入された空気流がヒータコアを通過することなく、車室内に向けて流れるようになっている。
【0203】
これにより、内気開口部を介して下側空気流路に導入された空気流が、下側空気流路のうちバイパス流路を通過して車室内に吹き出され、この吹き出された空気流が内気開口部を介して下側空気流路に導入されて電気ヒータにより加熱されることが繰り返される。このため、ケーシングから車室内に吹き出される空気流の温度をより一層高くすることができる。
【0204】
第11の観点によれば、電気ヒータは、コイルからの磁界に基づいて支持部を誘導加熱することによって空気導入口からケーシング内に導入された空気流を加熱する。
【0205】
これにより、ファンの支持部を利用して電気ヒータを構成することができるので、ファンに対して独立して電気ヒータを設ける場合に比べて電気ヒータの小型化を図ることができる。
【0206】
第12の観点によれば、熱媒体の温度が所定温度以下であると判定部が判定したとき、循環流路を閉じるように前記開閉弁を制御する弁制御部を備える。
【0207】
これにより、熱媒体の温度が所定温度以下であると判定部が判定したとき、循環流路を閉じるように弁制御部が開閉弁を制御する。これにより、ヒータコアに低温の熱媒体に供給されなくなるので、空気流がヒータコアによって冷却されることが抑制される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10