特許第6501071号(P6501071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501071
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/32 20110101AFI20190408BHJP
   F24F 1/30 20110101ALI20190408BHJP
【FI】
   F24F1/32
   F24F1/30
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-255815(P2015-255815)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120135(P2017-120135A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西岡 真吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄太
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−161719(JP,A)
【文献】 特開2003−254563(JP,A)
【文献】 特開2008−175405(JP,A)
【文献】 特開2011−174643(JP,A)
【文献】 特開2012−132640(JP,A)
【文献】 特開2013−231526(JP,A)
【文献】 特開2015−081746(JP,A)
【文献】 実開昭61−195274(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0219803(US,A1)
【文献】 中国実用新案第205227700(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/26−1/34
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシングの側面パネルに複数台の室内機の冷媒配管が接続される分流ユニットがユニット取付具を介して取り付けられ、上記側面パネルの下端側には上記室内機に接続されたケーブルが固定されたコンジットパネルが着脱可能に配置され、上記側面パネルには上記側面パネルの下端縁の一部を切り欠いてなる切欠部が設けられ、上記切欠部は上記本体ケーシング内部から少なくとも上記分流ユニットのガス冷媒配管および液冷媒配管が引き出される配管引出口となる空気調和機の室外機において、
上記配管引出口には上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管の引出部を固定する配管固定具と上記配管固定具を上記配管引出口に固定する配管支持具が設けられていることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
上記配管支持具は、上記切欠部の下端に沿って平行に配置され上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管を支持するベース板と、上記ベース板の先端を上記コンジットパネルに沿って下方に向けて折り曲げてなるフランジ部とを有し、上記フランジ部が上記コンジットパネルの位置決め部となることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
上記配管固定具は上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管が挿通される配管挿通孔を有し上記ベース板に所定の固定手段によって固定されることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
上記配管固定具は、上記側面パネルの上記切欠部と上記コンジットパネルの上端とによって挟持されることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の室内機の冷媒配管が接続される分流ユニットを備えたマルチ式の空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機の1つに、1台の室外機に複数台の室内機が接続されるマルチ式の室外機がある。マルチ式の室外機は、複数台の室内機の冷媒配管を接続するための分流ユニットが本体ケーシングの側面に設けられている(例えば特許文献1の図3参照)。
【0003】
分流ユニットは、ガス側操作弁に接続されるガス冷媒配管と、液側操作弁に接続される液冷媒配管と、複数台の室内機の冷媒配管を個々に接続する分岐管とが設けられている。各冷媒配管は、側面パネルに設けられた配管引出口を通って本体ケーシング内から外側に引き出され、側面パネルに沿って上方に延在したヘッダ部に分岐管が溶接され、分岐管はユニット取付具を介して側面パネルに固定されている。
【0004】
また、本体ケーシングの内部は、仕切板を介して熱交換器および送風ファンを含む熱交換器室と、アキュムレータや圧縮機などの機械ユニットや電装品ユニットを備えた機械室とに区画されている。特許文献2には、電動機室側の底板に断面コ字状のアキュムレータ固定具を配置し、アキュムレータ固定具のコ字状に囲まれた空間に配管とケーブルを通すことが記載されている。(例えば特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載された室外機には、側面パネルの下端の空間を覆うコンジットパネル(側部配管カバー)が着脱可能に取り付けられており、コンジットパネルを取り外すことによって、配管をメンテナンスすることができるようになっている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の室外機は、1台の室外機に対して一対の冷媒配管が接続されるシングル式の室外機であり、このアキュムレータ固定具の空間を配管が通る構造をマルチ式の室外機に適用するには、次のような課題があった。
【0007】
すなわち、マルチ式の場合は、分流ユニットの各冷媒配管が側面パネルの下部に設けられた配管引出口から引き出されたのち、側面パネルに沿って上方に延設され、アキュムレータ固定具の空間には、電源線と接続される室内機の台数分の信号線が挿通される。電源線と信号線(以下ケーブル)はコンジット管で保護されており、コンジット管はコンジット取付具でコンジットパネルに固定されている。
【0008】
分流ユニットは、各冷媒配管が各操作弁に接続され各冷媒配管のヘッダ部がユニット取付具に固定された分岐管に接続された状態でアキュムレータ固定具に取付けられる。しかしこの時は各冷媒配管下端に当たる配管引出口を通る部分はどこにも固定されていないため、各冷媒配管が不安定で組立作業性が悪くなる。
【0009】
また、コンジット管が固定されたコンジットパネルを取り付ける時には、まずケーブルを電装品ユニットに接続するが、この時点で各冷媒配管の下端はまだどこにも固定されていないため、アキュムレータ固定具の空間に下がって飛び出してきて作業の妨げになる。さらにコンジットパネルを固定する時も各冷媒配管下端はコンジットパネルよりも上に位置しなければならないが下がっていると押し上げなければならず、組立安定性が悪いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015−81746号公報
【特許文献2】特開2013−36697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、本体ケーシングの側面パネルに分流ユニットを取り付けたマルチ式の空気調和機の室外機において、配管引出口における分流ユニットの冷媒配管を固定してケーブルの接続およびコンジットパネルの着脱を容易に行うことができる空気調和機の室外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、本体ケーシングの側面パネルに複数台の室内機の冷媒配管が接続される分流ユニットがユニット取付具を介して取り付けられ、上記側面パネルの下端側には上記室内機に接続されたケーブルが固定されたコンジットパネルが着脱可能に配置され、上記側面パネルには上記側面パネルの下端縁の一部を切り欠いてなる切欠部が設けられ、上記切欠部は上記本体ケーシング内部から少なくとも上記分流ユニットのガス冷媒配管および液冷媒配管が引き出される配管引出口となる空気調和機の室外機において、上記配管引出口には上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管の引出部を固定する配管固定具と上記配管固定具を上記配管引出口に固定する配管支持具が設けられていることを特徴としている。
【0013】
より好ましい態様として、上記配管支持具は、上記切欠部の下端に沿って平行に配置され上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管を支持するベース板と、上記ベース板の先端を上記コンジットパネルに沿って下方に向けて折り曲げてなるフランジ部とを有し、上記フランジ部が上記コンジットパネルの位置決め部となるようになっている。
【0014】
さらに好ましい態様として、上記配管支持具には上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管を上記配管支持具に固定する配管固定具が設けられており、上記配管固定具は上記ガス冷媒配管および上記液冷媒配管が挿通される配管挿通孔を有し上記ベース板に所定の固定手段によって固定される。
【0015】
さらに好ましくは、上記配管固定具は、上記側面パネルの上記切欠部と上記コンジットパネルの上端とによって挟持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンジットパネルを取り外した状態で各冷媒配管が切欠部の下側から下に飛び出さないようするための配管支持具を設けることにより、側面パネルの切欠部の下端から冷媒配管が下がって飛び出すことがないため、コンジットパネルに設けられた電源線や信号線の接続作業が容易に行え、コンジットパネルを取り付けることができ、その結果、組立安定性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の室外機の配管カバーを取り外した状態の分解斜視図。
図2】上記室外機の配管カバーを取り外した状態の右側面図。
図3】サービスパネルを取り外し、上記室外機の機械室内の構造を説明する斜視図。
図4】アキュムレータ固定具およびユニット取付具の分解斜視図。
図5】本体ケーシングからコンジットパネルを取り外した状態の部分拡大した分解斜視図。
図6】本体ケーシングから側辺パネルとコンジットパネルの両方を取り外し、配管引出口の周囲を拡大した斜視図。
図7】ユニット取付具のアンカー部に配管支持具が取り付けられた状態を下方から見た部分拡大斜視図。
図8】配管支持具と配管固定具の分解斜視図。
図9】本体ケーシングの配管引出口の周辺の部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1ないし図3に示すように、この空気調和機の室外機1は、直方体形状の本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2は、長方形状に形成された底板21と、熱交換器室HCの前面側に配置され、吹出グリル221を有する吹出パネル22と、機械室MCの前面側に配置されるサービスパネル24と、機械室MCの右側面から背面にかけて配置され、分流ユニット4が取り付けられる側面パネル25と、本体ケーシング2の天面に取り付けられる天板26とを備えている。本体ケーシング2の側面パネル25には分流ユニット4を覆う配管カバー6が着脱可能に取り付けられている。
【0020】
本体ケーシング2の内部は、仕切板20により、熱交換器および送風ファン(共に図示しない)を含む熱交換器室HCと、アキュムレータA(図4参照)および圧縮機Cなどの機械ユニットや電装品ユニットを備えた機械室MCとに区画されている。本発明において、熱交換器室HCの具体的な構成は任意であってよく、その説明は省略する。
【0021】
側面パネル25は、天板26から底板21に向かって延在する金属製パネルであり、その下端部が、側面から背面中程にかけてL字状に切り欠かれており、そのパネル取付部251にコンジットパネル28が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
図2および図5を参照して、コンジットパネル28は、パネル取付部251の形状に合うようにL字状に形成された金属パネルであり、機械室MC上部にある電装品ユニット(図示なし)と接続される複数台の室内機の電源線L1と信号線L2が挿通されたコンジット管281を本体ケーシング2に固定するためのパネルである。
【0023】
この実施形態において、コンジット管281は、室内機からの電源線L1と信号線L2を収容するコンジット管に加え、電源線を収容するコンジット管も含まれる。コンジットパネル28の背面側には、コンジット管281の先端に設けられた接続端子282が係止される複数の接続口283が設けられている。コンジットパネル28は、複数の電気信号線が取り付けられ、メンテナンスできる高さを備える。コンジットパネル28の側面にはさらに、配管カバー6の図示しない排水樋が挿通される樋受け孔284が設けられている。
【0024】
側面パネル25の右側面の下端253には、切欠部252が設けられている。この切欠部252は、側面パネル25の下端253のほぼ中央の部分をアーチ状に切り欠いた切欠であり、分流ユニット4のガス冷媒配管4Gと液冷媒配管4Lと後述する温度センサと電磁弁のケーブルとが引出可能な大きさに形成されている。
【0025】
これによれば、図2に示すように、側面パネル25の下にコンジットパネル28を嵌め合わせることにより、切欠部252の下端252aがコンジットパネル28の上端285によって塞がれて、分流ユニット4のガス冷媒配管4Gと液冷媒配管4Lとが外に引き出される配管引出口Hが形成されるようになっている。
【0026】
図1ないし図3に示すように、機械室MCの前面側(図3では左前面側)には、図示しない四方弁を介して圧縮機CとアキュムレータAに接続される冷媒配管のガス側操作弁VGおよび液側操作弁VLがバルブプレート27を介して取り付けられている。圧縮機Cは、バルブプレート27の後方に取り付けられ、アキュムレータAは、圧縮機Cよりも後方で側面パネル25寄りに配置されている。
【0027】
図4を併せて参照して、アキュムレータAは、専用のアキュムレータ固定具3を介して底板21に取り付けられている。アキュムレータAの具体的な構成や仕様については、本発明において任意的事項である。
【0028】
アキュムレータ固定具3は、本体ケーシング2の底板21に沿わせて固定される基部31と、基部31の一端から垂直に立設される垂直部32と、垂直部32の上端から基部31の他端側に向かって基部31と平行に延在する台座部33とを有し、基部31と台座部33との間の空間が開放された断面コ字状に形成されている。
【0029】
基部31と台座部33との間に形成された空間(空間部34)は、本体ケーシング2の背面側から本体ケーシング2内に引き込まれ、電装品ユニットに接続される電源線L1や信号線L2などのケーブルLを引き回す配線経路の一部となっている。
【0030】
アキュムレータAは、台座部33の上面に専用の取付金具35を介して取り付けられているが、本発明において、取付金具35は任意的事項であるため、その説明は省略する。台座部33の先端にはさらに、後述する分流ユニット4のユニット取付具5の一部がネジ止めされるネジ止め部36が設けられている。
【0031】
アキュムレータ固定具3は、基部31と台座部33の先端(垂直部32との連結端とは反対の自由端)が底板21の側面フランジ211と背面フランジ212とが接続する隅部に配置されている。これにより、アキュムレータ固定具3は、空間部34が本体ケーシング2の側面から背面に向かって開放され、空間部34を配線空間としてケーブルLを配線することができる。
【0032】
本体ケーシング2には、複数台の室内機の冷媒配管(ともに図示しない)が接続される分流ユニット4がユニット取付具5を介して取り付けられている。図2および図3を参照して、分流ユニット4は、ガス側操作弁VGに接続されるガス冷媒配管4Gと、液側操作弁VLに接続される液冷媒配管4Lとを備えている。
【0033】
ガス冷媒配管4Gは、機械室MC内を通って配管引出口Hから外側に至るガス連結部41Gと、配管引出口Hから本体ケーシング2の側面パネル25に沿って上方に延設されたガスヘッダ部42Gとを有し、それらが1本の連続した金属パイプから形成されている。本発明において、ガス連結部41Gについての具体的な説明は特に必要ないため、省略する。ガス連結部41Gとガスヘッダ部42Gとの間には、配管固定具8のガス配管挿通孔81Gに挿通されるガス引出部47Gが形成されている。この実施形態において、ガス引出部47Gは、配管引出口Hを通って側面パネル25の外側に向かって延在する水平部である。
【0034】
ガスヘッダ部42Gには、軸線方向に沿って所定の間隔をもって複数のガス分岐管43Gが配置されている。この実施形態において、ガス分岐管43Gは、1本のガスヘッダ部42Gに6本設けられている。つまり、この例では6台の室内機に接続できるようになっている。
【0035】
ガス分岐管43Gは、基端側がガスヘッダ部42にロウ付けされる。ガス分岐管43には、管内の温度を測定する図示しない温度センサを支持するセンサホルダ46Gが設けられている。ガス分岐管43の先端には、ガス分岐管43と室内機からの冷媒配管を接続するとともに、接続部をユニオン固定部313に固定するためのガス側ユニオン45Gが設けられている。さらにガス側ユニオン45Gの先端には、冷媒配管を固定するガス側フレアナット44Gが設けられている。
【0036】
液冷媒配管4Lは、機械室MC内を通って配管引出口Hから外側に至る液連結部41Lと、配管引出口Hから本体ケーシング2の側面パネル25に沿って上方に延設された液ヘッダ部42Lとを有し、それらが1本の連続した金属パイプから形成されている。液連結部41Lについても具体的な説明は特に必要ないため、省略する。液連結部41Lと液ヘッダ部42Lとの間には、配管固定具8の液配管挿通孔81Lに挿通される液引出部47Lが形成されている。この実施形態において、液引出部47Lは、配管引出口Hを通って側面パネル25の外側に向かって延在する水平部である。
【0037】
液ヘッダ部42Lには、軸線方向に沿って所定の間隔をもって複数の液分岐管43Lが配置されている。この実施形態において、液分岐管43Lは、1本の液ヘッダ部42Lに6本設けられている。つまり、この例では6台の室内機に接続できるようになっている。
【0038】
液分岐管43Lは、基端側が液ヘッダ部42Lにロウ付けされる。液分岐管43Lの先端側には、液分岐管43Lと室内機からの冷媒配管を接続するとともに、接続部をユニオンプレート57に固定するための液側ユニオン45Lが設けられている。さらに液側ユニオン45Lの先端には冷媒配管を固定する液側フレアナット44Lが設けられている。
【0039】
液分岐管43Lには、液分岐管43L内を流れる液冷媒の流量を制御する電磁弁46Lが設けられている。電磁弁46Lは、図示しない制御部により、弁の開度などが制御される。なお、液分岐管43Lにも温度センサが設けられている。
【0040】
次に、図4および図7を参照して、ユニット取付具5の構成を説明する。ユニット取付具5は、鋼板材を折曲加工して形成され、ユニット取付具5を本体ケーシング2に固定するためのアンカー部51と、分流ユニット4を支持する支持部52とを備えている。
【0041】
アンカー部51は、底板21に対して平行に配置される四角形状の第1係合板53と、第1係合板53の一端からほぼ垂直に立設される四角形状の第2係合板54と、第2係合板54の上端から第1係合板53の先端部(第2係合板53との連結端とは反対の自由端)に向けて平行に延在する四角形状の第3係合板55とを有し、アキュムレータ固定具3の内周面に沿って係合可能な断面コ字状に形成されている。
【0042】
アンカー部51の第1係合板53の先端部を正面に見て、第1係合板53は、アキュムレータ固定具3の基部31に係合され、その両端(図5では左右両端)には第1外側フランジ531,531が設けられている。第1外側フランジ531,531は、第1係合板53の両側端部を外側(図5では下側)に向かってほぼ直角に折り曲げた舌片である。第1外側フランジ531,531は、アキュムレータ固定具3に向かう角部が斜めに切りかかれており、この切欠部531aにより、第1係合板53をアキュムレータ固定具3にスムーズに差し込むことができるようになっている。
【0043】
第1係合板53の先端部には、底板21の側面フランジ211にネジ止めされる固定リブ532が設けられている。固定リブ532は、第1係合板53の先端を外側(図5では下側)に向かってほぼ直角に折り曲げた舌片であって、側面フランジ211に沿って突き当てられる。
【0044】
固定リブ532の両側端と第1外側フランジ531,531との突き合わせ部分には、側面フランジ211が挿通される案内溝533,533が形成されている。固定リブ532にはさらに、固定リブ532を底板21の側面フランジ211にネジ止めするためのネジ孔534が、この例では2箇所に設けられている。
【0045】
第2係合板54は、アキュムレータ固定具3の垂直部32に係合され、その両端(図5では左右両端)には第2外側フランジ541,541が設けられている。第2外側フランジ541,541は、第2係合板54の両端を外側(図5では右斜め奥側)に向かってほぼ直角に折り曲げた舌片である。
【0046】
この実施形態において、第2外側フランジ541,541は、先端部541aが外側に拡がるように折り曲げられている。これによれば、アンカー部51をアキュムレータ固定具3に挿入する際、アンカー部51を正確な取付位置にスムーズに案内することができる。
【0047】
第3係合板55は、アキュムレータ固定具3の台座部33の底面に対して係合され、その両端(図5では左右両端)には第3外側フランジ551,551が設けられている。第3外側フランジ551,551は、第3係合板55の両側端部を外側(図5では上側)に向かってに折り曲げた舌片である。
【0048】
この例において、第3外側フランジ551,551は、基端側から先端側に向かって開口幅が漸次拡がるように折り曲げられている。さらに第3外側フランジ551,551の側端(垂直部32に対向する側端)には、基端側から外側に向かって漸次拡がるテーパー部552,552が設けられている。
【0049】
これにより、アンカー部51をアキュムレータ固定具3に挿入する際、第3外側フランジ551,551がアキュムレータ固定具3に引っ掛かることなく、正確な取付位置にスムーズに案内することができる。
【0050】
次に、支持部52は、アンカー部51の第3係止部55の先端部からほぼ垂直に立設され、側面パネル25にネジ止めされるネジ止めプレート56と、ネジ止めプレート56の一端(図5では左端)に一体的に形成され、分流ユニット4が取り付けられるユニオンプレート57とを備えている。
【0051】
ネジ止めプレート56は、第3係止部55の先端を基端とし、そこからほぼ垂直に延在する矩形状のプレートであって、この例では3箇所にネジ止め孔561が等間隔で穿設されている。
【0052】
ユニオンプレート57は、ネジ止めプレート56の一端(図5では左端)を、第3係合板55の先端から離反する方向にほぼ直角に折り曲げた長方形状を呈し、ガス側ユニオン45Gが固定されるガス側ユニオン固定部571と、ガス側ユニオン固定部571に比べて小径で、液側ユニオン45Lが固定される液側ユニオン固定部572とが設けられている。
【0053】
各ユニオン固定部571,572は、それぞれガス側ユニオン45Gと、液側ユニオン45Lが挿通可能な六角形状に打ち抜かれた打ち抜き孔であり、ガス側ユニオン固定部571(下側)と液側ユニオン固定部572(上側)とが上下一対となって、所定の間隔でこの例では6組が設けられている。
【0054】
ユニオンプレート57の先端(図5では左端)にはさらに、配管カバー6を取り付ける際、配管カバー6の取付位置を位置合わせするための位置決めプレート58が設けられている。
【0055】
位置決めプレート58は、ユニオンプレート57の先端を外側(ネジ止めプレート56とは逆方向)にほぼ直角に折り曲げて形成され、そのプレート面581が配管カバー6の一部に当接することにより、配管カバー6の取付位置が位置決めされる。
【0056】
位置決めプレート58にはさらに、配管カバー6を仮止めする際に配管カバー6側に設けられた図示しない係止爪によって係止される係止片582が設けられている。係止片582は、位置決めプレート58のほぼ中央からプレート面581に沿って平行に突設された舌片からなり、その側端(図4では上端)には、係止爪によって係止される係止面583が形成されている。
【0057】
先にも述べたように、分流ユニット4は、各冷媒配管4G,4Lが各操作弁VG,VLに接続され各冷媒配管4G,4Lのヘッダ部42G,42Lがユニット取付具5を介してアキュムレータ固定具3に取付けられる。しかしこの時点では各冷媒配管4G,4Lの下端に当たる配管引出口Hを通る各引出部47G,47Lはどこにも固定されていないため、各冷媒配管4G,4Lが不安定で組立作業性が悪くなる。
【0058】
そこで、本発明では、各冷媒配管4G,4Lが切欠部252の下端252aよりも下側に下がって飛び出さないように冷媒配管4G,4Lの各引出部47G,47Lを支持するための配管支持具7が設けられている。
【0059】
図5図9を参照して、配管支持具7は金属板をプレス加工してなる長方形状を呈し、ガス冷媒配管4Gおよび液冷媒配管4Lを支持するベース板71と、ベース板71の先端(図8では右端)をコンジットパネル28に沿って平行となるように下方に向けてほぼ直角に折り曲げてなるフランジ部72とを備えている。フランジ部72はコンジットパネル28を側面パネル25に取り付ける際の位置決め部である。
【0060】
ベース板71は、長方形の一方の短辺側711(図8では左端側)が斜めに切り欠かれており、中央に補強用の凹溝712が左右両端にかけて連続して形成されている。ベース板71の他方の短辺側(図8では右端側)には、ベース板71をアンカー部51に溶接する際の溶接孔713がこの例では2箇所に設けられている。
【0061】
ベース板71にはさらに、後述する配管固定具8をベース板71に固定する際にバインド線84が装着される装着部714,715が2箇所に設けられている。一方の装着部714は、ベース板71の短辺711寄りに配置された四角い打ち抜き孔であるが、他方の装着部715は、ベース板71の他方の短辺寄りに配置されており、ベース板71からフランジ部72の先端に向かってL字状に切りかかれた切欠溝である。
【0062】
これによれば、ベース板71の上に配管固定具8を載せて固定手段としてバインド線84を装着部714,715に通して巻き付けることにより、ベース板71の上に配管固定具8を強固に固定することができる。
【0063】
配管支持具7は、ユニット取付具5のアンカー部51に取り付けられている。図7に示すように、配管支持具7は、第3係合板55の左端と、装着部715の一端側(図7では右端側)とが重なるように位置合わせされ、ベース板71の上面がアンカー部51の第3係合板55の裏面に当接した状態で溶接される。
【0064】
これによれば、図5に示すように、側面パネル25を正面に見て、配管支持具7が、側面パネル25の切欠部25の下端252aに沿って水平に配置されるため、コンジットパネル28を外した状態において、冷媒配管4G、4Lの各引出部47G,47Lが配管引出口H(切欠部25の下端252a)よりも下側に下がって飛び出すことがなく、コンジットパネル28をスムーズに嵌め込むことができる。
【0065】
配管支持具7にはさらに、ガス冷媒配管4Gと液冷媒配管4Lとが側面パネル25の切欠部252やコンジットパネル28に直接接触しないように固定するための配管固定具8が設けられている。
【0066】
この実施形態において、配管固定具8は、防振性と断熱性を有する材質、好ましくはラバー製の直方体形状であり、ガス冷媒配管4Gが挿通されるガス配管挿通孔81Gと、液冷媒配管4Lが挿通される液配管挿通孔81Lとが設けられている。図9に示すように、各配管挿通孔81G、81Lは、配管固定具8の前面82(図9では右端面)から背面83(図9では左端面)にかけて水平に貫通した貫通孔である。
【0067】
なお、配管固定具8には、ガス冷媒配管4Gおよび液冷媒配管4Lを各配管挿通孔81G、81L内に案内するための図示しない切込みが、各配管挿通孔81G、81Lに沿って設けられている。
【0068】
図9に示すように、配管固定具8は、前面82側が配管支持具7のフランジ部72よりも外側(図9では右側)に向かって突出するように配置されており、配管支持具7のベース板71上にバインド線84によって固定されている。
【0069】
この実施形態において、配管固定具8はバインド線84によって配管支持具7に固定されているが、例えば結束バンドなどで固定されてもよい。配管固定具8の前面82と下面85の交差する角部85aには、コンジットパネル28を取り付ける際、取付位置にスムーズに案内するためテーパー処理が施されている。
【0070】
これによれば、各冷媒配管4G、4Lは配管固定具8によって下支えされ、配管支持具
7に固定されていることでアキュムレータ固定具3の空間部34に下がって飛び出ること
がないため、コンジットパネル28の内面を配管支持具7のフランジ部72に沿って当接
させ、フランジ部72から突出された配管固定具8の下面85にコンジットパネル28の
上端285を当接させることで、コンジットパネル28の取付位置の位置決めを正確かつ
簡単に行うことができる。
【0071】
さらに、コンジットパネル28を取り付けることにより、配管固定具8の上面86側が側面パネル25の切欠部252によって支持され、下面85側がコンジットパネル28の上端285によって挟持されることにより、配管固定具8を介して冷媒配管4G,4Lをより強固に固定することができる。
【0072】
図5に示すように、配管固定具8は配管引出口Hを閉塞するシール部材としての役割も兼ねているが、この実施形態において、配管固定具8は、配管引出口Hに余剰部分(この実施形態では、配管引出口Hの約半分の大きさの余剰部)を残すように配管引出口Hの開口面積よりも小さく形成されている。この配管引出口Hの半分空いているスペースは、分流ユニット4の温度センサ46Gや電磁弁46Lから引き出された図示しない配線を本体ケーシング2内に引き込むスペースである。この場合においても、ベース板71によって切欠部252の下端が塞がれているため、ケーブルが下に飛び出ることがない。
【0073】
以上説明したように、本発明によれば、コンジットパネルを取り外した状態で各冷媒配管が切欠部の下側から下って飛び出さないようにするため、配管引出口にはガス冷媒配管および液冷媒配管の引出部を固定する配管固定具と配管固定具を配管引出口に固定する配管支持具が設られることにより、側面パネルの切欠部の下端よりも下側に冷媒配管が下がって飛び出すことがないため、コンジットパネルに設けられた電源線や信号線の接続作業が容易に行え、コンジットパネルを取り付けることができ、その結果、組立安定性が高められる。
【符号の説明】
【0074】
1 室外機
2 本体ケーシング
21 底板
22 吹出パネル
24 サービスパネル
25 側面パネル
251 パネル取付部
252 切欠部
252a 下端
26 天板
27 バルブプレート
28 コンジットパネル
3 アキュムレータ固定具
31 基部
32 垂直部
33 台座部
34 空間部
4 分流ユニット
4G ガス冷媒配管
41G ガス連結部
42G ガスヘッダ部
43G ガス分岐管
4L 液冷媒配管
41L 液連結部
42L 液ヘッダ部
43L 液分岐管
5 ユニット取付具
51 アンカー部
52 支持部
53 第1係合板
54 第2係合板
55 第3係合板
56 ネジ止めプレート
57 ユニオンプレート
58 位置決めプレート
6 配管カバー
7 配管支持具
71 ベース板
72 フランジ部
8 配管固定具
81G ガス配管挿通孔
81L 液配管挿通孔
A アキュムレータ
VG ガス側操作弁
VL 液側操作弁
H 配管引出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9