(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送用走行体が、走行方向複数のトロリーとこれら各トロリーをつなぐロードバーを備え、この搬送用走行体の走行経路には、当該搬送用走行体を支持案内する左右一対のガイドレールが架設されると共に、前記搬送用走行体を、前記ロードバーの側面に圧接する摩擦駆動輪により推進させる摩擦駆動区間が設けられ、前記各トロリーには、前記左右一対のガイドレールに支持される左右一対の支持用ローラーと、前記左右一対のガイドレール間に嵌合する位置決め用ローラーが設けられている搬送用走行体利用の搬送設備において、前記ロードバーは、前記左右一対のガイドレール間の直下に配置されて、前記摩擦駆動区間における摩擦駆動輪が前記左右一対のガイドレールより下側に配置されている搬送用走行体利用の搬送設備において、
搬送用走行体の走行経路中で搬送用走行体を位置決めする場所には、当該搬送用走行体を前後移動不能にロックするロック手段が設けられ、このロック手段は、前記複数のトロリーの内、1つのトロリーの、前記左右一対のガイドレールより下側で前記ロードバーより上側の部分を、前後両側から挟持する、前後一対の開閉自在なロックレバーと、この前後一対のロックレバーを開閉駆動する駆動手段とから構成されている、搬送用走行体利用の搬送設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された従来の搬送用走行体利用の搬送設備では、例えば3つ又はそれ以上の数のトロリーが必要になる長尺の搬送用走行体として実施する場合、ロードバーの全長も同じ長さが必要であるから、これら全てのトロリーに、左右一対のガイドレール間を通って上方に突出する支柱部材を設けて、ロードバーを支持させなければならず、部品点数が多くなる。しかも、摩擦駆動区間において、摩擦駆動輪を圧接させなければならないロードバーが、各トロリーを支持案内する左右一対のガイドレールよりも上方に位置するので、前記ガイドレールの上側面と略同一高さに作業床を敷設しようとすると、この作業床の上に摩擦駆動輪とその駆動用モーターを配設することになり、非常に大きな設置物が作業床上に設置されることになる。又、ロードバーに圧接する摩擦駆動輪の下側にその駆動用モーターを配設しようとすると、摩擦駆動輪の直下にある左右一対のガイドレールより外側に駆動用モーターを配設する関係で、駆動用モーターの出力軸に摩擦駆動輪を直接取り付ける構成では、大径の摩擦駆動輪と、この大径の摩擦駆動輪を回転駆動するための、駆動トルクの大きな大型の駆動用モーターが必要になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる搬送用走行体利用の搬送設備を提案するものであって、本発明に係る搬送用走行体利用の搬送設備は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、搬送用走行体(1)が、走行方向複数のトロリー(3〜5)とこれら各トロリー(3〜5)をつなぐロードバー(6)を備え、この搬送用走行体(1)の走行経路には、当該搬送用走行体(1)を支持案内する左右一対のガイドレール(8a,8b)が架設されると共に、前記搬送用走行体(1)を、前記ロードバー(6)の側面に圧接する摩擦駆動輪(33)により推進させる摩擦駆動区間(31)が設けられ、前記各トロリー(3〜5)には、前記左右一対のガイドレール(8a,8b)に支持される左右一対の支持用ローラー(9)と、前記左右一対のガイドレール(8a,8b)間に嵌合する位置決め用ローラー(10)が設けられている搬送用走行体利用の搬送設備において、前記ロードバー(6)は、前記左右一対のガイドレール(8a,8b)間の直下に配置されて、前記摩擦駆動区間(31)における摩擦駆動輪(33)が前記左右一対のガイドレール(8a,8b)より下側に配置され
ている搬送用走行体利用の搬送設備において、
搬送用走行体(1)の走行経路中で搬送用走行体(1)を位置決めする場所には、当該搬送用走行体(1)を前後移動不能にロックするロック手段(49)が設けられ、このロック手段(49)は、前記複数のトロリー(3〜5)の内、1つのトロリー(3)の、前記左右一対のガイドレール(8a,8b)より下側で前記ロードバー(6)より上側の部分(3b)を、前後両側から挟持する、前後一対の開閉自在なロックレバー(29a,29b)と、この前後一対のロックレバー(29a,29b)を開閉駆動する駆動手段(シリンダーユニット(51))とから構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、摩擦駆動区間において搬送用走行体を推進させるための摩擦駆動輪は、左右一対のガイドレールより下側に位置するロードバーの高さに配設することになるので、左右一対のガイドレールの上側面と略同一高さに作業床を敷設する場合でも、前記摩擦駆動輪とこれを回転駆動する駆動用モーターを、前記作業床によってカバーすることが出来、作業床の上の作業エリアが、前記摩擦駆動輪とこれを回転駆動する駆動用モーターによって狭められる恐れが無い。又、前記摩擦駆動輪は、例えば減速機付きモーターの上向きに突出する出力軸に直接取り付けるのが最も簡単な構成になるが、摩擦駆動区間においては、前記摩擦駆動輪と同一高さに位置する前記ロードバーより下側には、従来のように左右一対のガイドレールが存在しないので、前記減速機付きモーターは、平面視において、ロードバーの移動経路に接近させるように配設することが出来る。換言すれば、前記減速機付きモーターの上向きに突出する出力軸とロードバー側面との間隔を十分に狭められるので、小径の摩擦駆動輪を使用することが出来る。このように小径の摩擦駆動輪を使用することが出来るので、大径の摩擦駆動輪を使用する場合と比較して、前記減速機付きモーターに必要な駆動トルクが小さくて済み、全体として摩擦駆動区間における所要コストの低減を図ることが出来る。
【0007】
更に上記本発明によれば、走行経路中で推進力を受けないフリーな状態になる搬送用走行体をロック手段により前後移動不能にロックすることが出来る。このロック手段は、前記複数のトロリーの内、1つのトロリーの、前記左右一対のガイドレールより下側で前記ロードバーより上側の部分を、駆動手段で開閉駆動される前後一対の開閉自在なロックレバーで前後両側から挟んでロックすることが出来るが、ロックレバーで挟持するトロリーは、被搬送物を支持しているロードトロリー(複数ある場合はその内の一つのロードトロリー)が好ましい。又、左右一対のガイドレール間に嵌合してトロリーを位置決めする位置決め用ローラーは、当該ガイドレールより上下方向に突出することになるので、当該位置決め用ローラーを、左右一対のガイドレールの上側の内側辺間に嵌合させるように構成すれば、前記ロックレバーが存在する側のガイドレール下側に前記位置決め用ローラーが突出しないので、前記ロックレバーを左右一対のガイドレールの直下に接近させて配置することが出来る。
【0008】
又、搬送用走行体(1)の走行経路中には、前記摩擦駆動区間(31)だけではなく、駆動チエン(24)のプッシャー(25)で搬送用走行体(1)を推進させるチエン駆動区間(39)を設けることも出来る。この場合、搬送用走行体(1)には、前記プッシャー(25)が係合する被動用ドッグ(7)が必要になるが、この被動用ドッグ(7)は、前記ロードバー(6)の下側に設けることが出来る。即ち、従来のように、搬送用走行体を構成する複数のトロリーの内の特定の1つのトロリーにではなく、ロードバーに被動用ドッグが設けられるのであるから、1つの搬送用走行体に必要な複数のトロリーを、全てロードバーを下側に取り付けられる同一構造とすることが出来、従来のように、ロードバーと比較してコスト高になるトロリーを、被動用ドッグが取り付けられたトロリーと被動用ドッグが取り付けられていないトロリーの2種類を設ける必要が無くなり、安価に実施し易い。更に、この場合、ロードバー(6)の両端に、搬送用走行体(1)の前後両端にあるトロリー(4,5)と一体に固着された前後2つの端部ロードバー単体(16,17)の内の何れか一方の下側に被動用ドッグ(7)を設けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、チエン駆動区間で駆動される搬送用走行体とプッシャー付き駆動チエンを示す一部切欠き側面図である。
【
図2】
図2Aは、チエン駆動区間で駆動されている搬送用走行体を定位置で停止させるときの作用を説明する要部の側面図、
図2Bは、チエン駆動区間で駆動されている搬送用走行体が、停止している搬送用走行体に接続状態で自動停止させるときの作用を説明する要部の側面図、
図2Cは、定位置で停止した搬送用走行体がロック手段で位置決めされているときの状態を示す要部の側面図である。
【
図5】
図5は、搬送装置全体のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図6】
図6Aは、摩擦駆動区間において使用される摩擦駆動手段を示す一部切欠き平面図、
図6Bは、その側面図である。
【
図7】
図7は、摩擦駆動区間における摩擦駆動手段設置個所を示す縦断正面図である。
【
図8】
図8Aは、搬送用走行体のロック手段の待機状態を示す平面図、
図8Bは、そのロック手段のロック作用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する本発明の実施例では、搬送用走行体の走行経路中に、摩擦駆動区間とチエン駆動区間の両方を設けたレイアウトとなっている。
図1〜
図4において、この実施例に係る搬送用走行体1は、被搬送物支持部2を支持する前後2つのロードトロリー3,4、前側ロードトロリー3より前方に位置する先頭フリートロリー5、これら前後3つのトロリー3〜5を連結するロードバー6、及びロードバー6の前端下側に付設された被動用ドッグ7から構成されている。この搬送用走行体1の走行経路には、前後3つのトロリー3〜5を支持案内する左右一対のガイドレール8a,8bが架設されている。これら両ガイドレール8a,8bは、2本の溝形鋼を、その溝部が内向きに解放する向きで一定間隔に並設させたものである。而して、搬送用走行体1の側面視において、前記被搬送物支持部2は、ガイドレール8a,8bの上方に位置し、前記ロードバー6は、ガイドレール8a,8bの直下に位置している。
【0014】
前後3つのトロリー3〜5は、全て同一構造のものであって、左右一対のガイドレール8a,8bにそれぞれ嵌合するように同心状の水平支軸で軸支された左右一対の支持用ローラー9と、側面視において前記支持用ローラー9の前後に位置する状態で、左右一対のガイドレール8a,8bの下側辺間に嵌合する左右一対、前後二組の、それぞれ垂直支軸で軸支された位置決め用ローラー10を備えている。前後2つのロードトロリー3,4には、その本体を垂直上方に延出させて構成した、左右一対のガイドレール8a,8b間を通って上方に突出する支柱部材11,12が設けられ、これら前後一対の支柱部材11,12の上側に、この前後一対の支柱部材11,12どうしをつなぐ水平連結部材13の両端部が、それぞれ垂直支軸13a,13bによって水平揺動自在に軸支され、この水平連結部材13の中間部上側に、柱状部材2aを介して被搬送物支持部2が支持されている。
【0015】
ロードバー6は、前後2つのロードトロリー3,4を繋ぐ後ろ側中間長尺ロードバー単体14、前側ロードトロリー3と先頭フリートロリー5を繋ぐ前側中間長尺ロードバー単体15、及び前後両端のトロリー4,5の下側にそれぞれ固着された端部ロードバー単体16,17から構成されている。前側中間長尺ロードバー単体15には、前側ロードトロリー3に接近した位置に、水平支軸の周りで相対回転な上下動関節部15aが設けられている。前後両中間長尺ロードバー単体14,15は、各トロリー3〜5の左右一対の支持用ローラー9間の中央位置を通る垂直軸心3a〜5aの周りに相対回転自在な左右動関節部18〜20を介して、各トロリー3〜5の下側に連結されている。これら4つの関節部15a,18〜20とロードバー単体14〜17から成るロードバー6は、この搬送用走行体1が直線状の走行経路中にあるとき、当該走行経路と平行な一定巾の角柱状となるように構成され、直線状に連続する垂直面となっている左右両側面が、摩擦駆動面6a,6bとなっている。
【0016】
ロードバー6の前後両端に位置する端部ロードバー単体16,17は、搬送用走行体1どうしが前後に互いに隣接したとき、互いに線接触する突曲円弧面16a,17aを備えている。前記被動用ドッグ7は、先頭フリートロリー5と一体化された端部ロードバー単体16の下側に、水平支軸21によって一定範囲内シーソー運動自在に軸支されたものであって、重力により、
図1に示す後ろ下がりの作用姿勢に保持され、水平支軸21より後ろ側(後半部)下側に、下側に開放されたプッシャー係合凹部7aが形成され、水平支軸21より前側(前半部)に、前方に延出する被操作レバー部7bが形成されている。後ろ側ロードトロリー4の下側に固着された端部ロードバー単体17の下側には、
図2Bに仮想線で示すように、後続の搬送用走行体1の被動用ドッグ7を、その被操作レバー部7bを介して上動させて、水平状の非作用姿勢に切り換えるカム部22が一体形成されている。
【0017】
搬送用走行体1をチエン駆動するチエン駆動区間には、
図1及び
図4に示すように、左右一対のガイドレール8a,8b間の中央位置の下方(当然、ロードバー6及び被動用ドッグ7の移動経路よりも下側)に位置する1本の角筒状ガイドレール23が架設され、この角筒状ガイドレール23内を移動する駆動チエン24に、適当間隔おきにプッシャー25が、角筒状ガイドレール23の上側中央のスリット状開口部から上方に突出するように設けられている。前記駆動チエン24は、左右一対の支持用ローラー26が共通水平支軸で軸支されたチエンリンク24aと、1つの位置決め用ローラー27が垂直支軸で軸支されたチエンリンク24bとが交互に、水平方向と垂直方向の何れにも曲がることが出来るように十字形ピンにより連結された、従来周知のものである。前記プッシャー25は、前記左右一対の支持用ローラー26が前後二組設けられたチエンリンク24cに取り付けられて、その上端が、後ろ下がりの作用姿勢にある被動用ドッグ7における前記プッシャー係合凹部7aの移動経路内に上向きに入り込んでいる。
【0018】
搬送用走行体1がチエン駆動区間に入り込むと、駆動されて角筒状ガイドレール23内を移動している駆動チエン24のプッシャー25が、被動用ドッグ7の後端部を押し上げて当該被動用ドッグ7bのプッシャー係合凹部7aに入り込み、この被動用ドッグ7を介して搬送用走行体1を前進走行させることになる。このチエン駆動区間において、搬送用走行体1を停止させる定位置には、
図2Aに示すように、被動用ドッグ7の後半部を押し上げて当該被動用ドッグ7を水平の非作用姿勢に切り換えるストッパープレート28が、被動用ドッグ7の移動経路に対し直交する水平方向に出退自在に配設されている。被動用ドッグ7を水平の非作用姿勢に切り換えたストッパープレート28は、被動用ドッグ7のプッシャー係合凹部7aの直前位置に形成された段部に係合して、搬送用走行体1を定位置で停止させる。この状態では、被動用ドッグ7及びストッパープレート28は、プッシャー25の移動経路から上側に離れて位置している。
【0019】
このようにして、ストッパープレート28を備えた定位置で搬送用走行体1が停止すると、後続のプッシャー25によって前進駆動されている搬送用走行体1が、停止している前側の搬送用走行体1に対して衝突することになるが、このとき、
図2Bに示すように、停止している前側の搬送用走行体1のロードバー6の後端下側に位置するカム部22が、接近移動して来る搬送用走行体1の前端の被動用ドッグ7の被操作レバー部7bを上から下向きに押し下げるので、当該被動用ドッグ7が水平の非作用姿勢に切り換えられる。この結果、接近移動して来る搬送用走行体1は、被動用ドッグ7がプッシャー25から外れて推進力を受けなくなった状態で、ロードバー6の前端の突曲円弧面16aにおいて、停止している前側の搬送用走行体1のロードバー6の後端の突曲円弧面17aに当接する。この作用により、ストッパープレート28を備えた定位置を先頭にして、後続の搬送用走行体1を次々と自動停止させ、ストレージすることが出来る。ストレージされている搬送用走行体1を再び駆動チエン24のプッシャー25で前進移動させるときは、ストッパープレート28を横側方に退出移動させて、先頭の搬送用走行体1の被動用ドッグ7を元の作用姿勢に復帰させれば良い。
【0020】
尚、上記のように定位置で搬送用走行体1をストッパープレート28によって停止させたとき、当該搬送用走行体1は、ストッパープレート28によって前進移動は阻止されているが、当該ストッパープレート28から離れる後方へは遊動可能な状態であるから、この定位置で停止させた搬送用走行体1に対して、例えば被搬送物支持部2に対する被搬送物の積み下ろしなどを行う場合は、当該定位置で搬送用走行体1を前後何れの方向にも遊動出来ない状態にロックすることが出来る。具体構造は後述するが、定位置で搬送用走行体1をロックするロック手段には、
図2Cに示すように、この搬送用走行体1が備えるトロリー3〜5の内の一つ、例えば前側ロードトロリー3の、側面視においてガイドレール8a,8bとロードバー6との中間高さに位置する部分3bを、前後一対のロックレバー29a,29bにより挟み付けて位置決めする構成のロック手段が利用出来る。
【0021】
本発明に係る搬送設備のレイアウトの一例を、
図5に基づいて説明すると、搬送用走行体1の循環走行経路中に、上記の駆動チエン24を備えたチエン駆動区間30と、摩擦駆動区間31とが設定されている。摩擦駆動区間31には、ロードバー6の全長より長くない間隔で、摩擦駆動手段32が搬送用走行体1の走行経路に沿って配設されている。摩擦駆動手段32は、
図6A〜
図7に示すように、摩擦駆動輪33と、この摩擦駆動輪33を回転駆動する減速機付きモーター34、及び摩擦駆動輪33を搬送用走行体1のロードバー6における摩擦駆動面6a,6bの片側に圧接させるための付勢手段35から構成されている。上向きに突出する出力軸33aに摩擦駆動輪33が取り付けられた減速機付きモーター34は、垂直基板36から突設された上下一対の軸受け板37a,37bの間に、垂直支軸38の周りに水平揺動自在に軸支された可動台39に取り付けられ、付勢手段35は、前記垂直基板36に対して直角水平向きに移動自在に支持された可動ロッド40、この可動ロッド40を垂直基板36から引き離す方向に付勢する圧縮コイルスプリング41、及び前記可動ロッド40の内端に一端が係止されると共に他端が前記可動台39に係止された伝動チエン42から構成されている。尚、可動ロッド40の内端と可動台39との間の伝動チエン42は、上側の軸受け板37aに垂直支軸38と同心状に形成されたチエン案内用円弧面に沿って掛張され、前記可動台39には、付勢手段35の付勢力によって搬送用走行体1のロードバー6の移動経路側に移動する摩擦駆動輪33の移動限を、垂直基板36に当接することにより、この摩擦駆動輪32を外に押し出すようにして当該摩擦駆動輪32の内側にロードバー6が進入出来る位置に制限するストッパー43が設けられている。
【0022】
上記構成によれば、
図7に示すように、ロードバー6と同一高さの摩擦駆動輪33は、当該Ρより上側の位置する左右一対のガイドレール8a,8bの内、片側のガイドレール8aの下側に位置し、上向きに突出する出力軸33aに摩擦駆動輪33が取り付けられた減速機付きモーター34は、ロードバーの先端下側に付設された被動用ドッグ7の移動経路脇に接近させるように配置させることが出来る。尚、摩擦駆動手段32の垂直基板36は、左右一対のガイドレール8a,8bや駆動チエン24の案内用の角筒状ガイドレール23などを支持するレール支持部材44に取り付けることが出来る。
【0023】
図5に示すレイアウトでは、チエン駆動区間30に沿って回動するように掛張される駆動チエン24は、チエン駆動区間30の終端から始端に至る戻り経路部45において、駆動手段46によって駆動されると共に、適度な張力を維持するようにテークアップ手段47によって緊張される。又、チエン駆動区間30内には、
図2Aに示したストッパープレート28を備えた定停止位置48a,48bが設定される。このチエン駆動区間30の終端から摩擦駆動区間31に送り出された搬送用走行体1は、摩擦駆動手段32の減速機付きモーター34によって回転駆動されている摩擦駆動輪33がロードバー6の摩擦駆動面6aに圧接することにより、この摩擦駆動輪33の周速度で摩擦駆動区間31を走行する。摩擦駆動手段32は、ロードバー6の全長より長くない間隔で配設されているので、搬送用走行体1のロードバー6に常に1つの摩擦駆動手段32の摩擦駆動輪33が圧接することになるので、摩擦駆動区間31では、摩擦駆動手段32の減速機付きモーター34を制御しない限り、各搬送用走行体1は所定の間隔を保って定速で連続走行することになる。
【0024】
チエン駆動区間30において、駆動チエン24のプッシャー25で駆動される搬送用走行体1は、被搬送物の積み下ろしなどのために、各定停止位置48a,48bにおいてストッパープレート28により自動停止させることが出来るが、
図2Cに基づいて説明したように、定停止位置48a,48bにおいてストッパープレート28により自動停止させた搬送用走行体1を、前後に遊動しないように、前後一対のロックレバー29a,29bによりロックする場合のロック手段の具体例を、
図8及び
図9に基づいて説明する。この図示のロック手段49は、それぞれ垂直支軸50a,50bの周りに水平揺動自在に軸支された前後一対のロックレバー29a,29bの内、一方のロックレバー29aは、シリンダーユニット51によって直接押し引き駆動されて、
図8Aに示す、搬送用走行体1の走行経路と平行な退避姿勢と、
図8Bに示す、搬送用走行体1の走行経路に対し直交する向きの作用姿勢とに切り換えられる。他方のロックレバー29bは、その基部の偏心位置と、前記一方のロックレバー29aの基部の偏心位置とに、両端がそれぞれ垂直支軸52a,52bによって軸支されたリンク52によって、一方のロックレバー29aと連動連結されている。
【0025】
この構成により、一方のロックレバー29aが前記退避姿勢になったとき、他方のロックレバー29bがリンク52によって、一方のロックレバー29aから離れる方向に押されて、
図8Aに示すように、一方のロックレバー29aの退避姿勢に対して前後対称形の退避姿勢に切り換えられ、一方のロックレバー29aが前記作用姿勢になったとき、他方のロックレバー29bがリンク52によって、一方のロックレバー29aに近づく方向に引っ張られて、
図8Bに示すように、一方のロックレバー29aの作用姿勢に対して前後対称形の作用姿勢に切り換えられる。
【0026】
上記のようにロック手段49は、1つのシリンダーユニット51の制御により、前後一対のロックレバー29a,29bを、搬送用走行体1の前側ロードトロリー3のガイドレール8a,8bに対する直下位置を前後から挟持する作用姿勢に切り換えて、当該搬送用走行体1を定位置にロックし、この搬送用走行体1を定位置から再び走行させるときは、ストッパープレート28を退出させる前に、前後一対のロックレバー29a,29bを非作用姿勢に切り換えて、当該搬送用走行体1に対するロックを解除することが出来る。このロック手段49は、
図9に示すように、ガイドレール8a,8bの内、片側のガイドレール、例えばガイドレール8bの下方に、前後一対のロックレバー29a,29bを軸支する軸受け板53や前記シリンダーユニット51を支持する、搬送用走行体1の走行経路と並列する基台54が配設されるので、前後一対のロックレバー29a,29bは、垂直支軸50a,50bで軸支される水平のレバー本体55a,55bの先端に、このレバー本体55a,55bより情報位置で搬送用走行体1の前側ロードトロリー3を挟持する、倒立L形に屈曲した挟持板56a,56bを付設して、構成している。
【0027】
以上のように構成された搬送設備においては、チエン駆動区間30や摩擦駆動区間31に沿って走行する搬送用走行体1を、チエン駆動区間30に設定された定停止位置48a,48bで停止させ、必要に応じてロック手段49によりロックした状態で、被搬送物支持部2に被搬送物を積み込み、又は被搬送物支持部2から被搬送物を降ろし、或いは、被搬送物支持部2上の被搬送物に対して所定の作業を行うことが出来る。この作業を、左右一対のガイドレール8a,8bの上面と略同一高さで架設した作業床の上で立っている作業者が容易に行えるように、
図4に示すように、搬送用走行体1の水平連結部材13上に立設される柱状部材2aを長くして、被搬送物支持部2の高さを高くすることが出来るが、この場合、被搬送物支持部2が左右横方向に揺れ動く恐れが考えられる。しかしながら、各トロリー3〜5は、左右一対、前後二組の位置決め用ローラー10が、左右一対のガイドレール8a,8bそれぞれの内側辺に隣接する構造であって、左右一対の支持用ローラー9の間隔を十分に広げることが出来る構造であるから、特別な揺れ抑止手段を追加しなくとも、被搬送物支持部2の左右横方向の揺れを最小限に抑えることが出来る。