(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つの出入口と換気口とを有する周壁ユニットと、前記周壁ユニットの内側 において排便用の開口を形成した床板の下方に便槽壁を有する便槽ユニットと、を備え、
前記周壁ユニットは、
高さ方向又は高さ方向に垂直な方向に沿って組み付け可能に分割されるとともに、組み付け状態において筒状となる壁面部を備え、
前記便槽ユニットは、前記便槽壁の下端縁で重なって前記便槽壁の下端開口を覆う底板と、 前記便槽壁の上端縁で重なって前記便槽壁の上端開口を覆う前記床板と、
燃焼可能な防水コーティング処理された内壁面と、
前記便槽ユニットは、前記便槽壁の内部に収納可能な蛇腹状の周壁を有する仕切壁と、前記仕切壁の内側に嵌り込んで前記仕切壁の断面形状を維持する補強部材と、を備える簡易型トイレ。
前記底板は、前記便槽ユニットの全体を吊り上げるための起立可能な複数のフランジを一体に備える 、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の簡易型トイレ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、予め災害発生時用に所定の場所に設置したマンホールにあっては、インフラ整備が大変なうえ、限られた場所にしか簡易型トイレを設置することができないという問題があった。
【0008】
一方、専用の便器付き椅子に汚物回収容器を着脱若しくは交換可能としたものにあっては、プライバシーを保てる空間を確保することができないうえ、多くの人が非難するような場所への対応が困難であるという問題が生じていた。
【0009】
また、簡易トイレの便槽ユニットに、汚物回収容器(ビニール袋等を含む)を設けると、当該汚物回収容器を設けるための構造が必要となり、便槽ユニットの構造が複雑化するうえ、汚物回収容器の大きさ分しか汚物を回収できないという問題も生じていた。また、汚物回収容器を便槽ユニットの中に別途設けるため、汚物を保管可能な容量が少なくなるおそれがあり、汚物を大量に保管できないという問題もある。さらに、便槽ユニットの構造が複雑化するため、簡易トイレをコンパクトにすることが難しい場合もあり、当該簡易トイレを倉庫等に備蓄する際にスペースを取るおそれが生じ、その場合、少数の簡易トイレしか備蓄できないという問題もある。
【0010】
ここで、災害発生時におけるプライバシーの保護を可能とする簡易型トイレで問題となっているものは、例えば、建築現場等に作業者用として設置される強固なスチールパネルや樹脂製の公知の仮設トイレである場合がほとんどであり、大型で重く、搬送車が大型トラック(例えば、4t)で現場にたどり着けない、重いために人数を要する、設置が難しい、容量の確保が困難なうえ処分が困難、などの問題が挙げられる。
【0011】
一方、各自治体における災害発生時のインフラ整備において、トイレをめぐる現状に関しては、他のインフラ整備や水・食料の調達等に比べて非常に遅いとも言われている。また、例えば、平成7年の阪神・淡路大震災や平成23年の東日本大震災においては、避難所等で健康を害して死亡するという関連死がみられた。その原因の一つに、トイレ問題があげられている。
【0012】
阪神・淡路大震災では、約900人が震災関連死として認定されている。その死亡原因をみると、3割程度が心筋梗塞や脳梗塞で亡くなっている。また、ストレスの蓄積もあるが、トイレを無理に我慢したことも影響している。トイレを我慢して水を飲まなかったり食事を摂らないために、血液の流れが悪くなり心臓に負担をかけて、死を招いたとも言われている。
【0013】
さらに、東日本大震災では、断水や停電、給排水管の損壊、汚水処理施設の被災により、多くの地域において水洗トイレが使用できなくなった。そのため、災害発生直後のトイレは排泄物で一杯になり、劣悪な衛生状態となったところも少なくない。
【0014】
これらの実際に発生した災害時におけるトイレ事情として、具体的には、平成7年の阪神・淡路大震災の場合、避難所に災害用トイレが設置されたのは早いところでも3日目以降となってしまい、最大で11日目に設置されたという事例もあった。平成16年の新潟中越地震災害用トイレは100人に1基の割合でしか設置できず、数が圧倒的に足りないという問題があった。平成23年の東日本大震災では、トイレの数もバキュームカーの数も不足していたため、使用不可のトイレが多数あった(平成26年 兵庫県 避難所等におけるトイレ対策検討会 発表)。
【0015】
本発明は、上述のような課題を解決するために、プライバシーを確保したものでありながら、軽量且つ組み立て・分解を容易に行うことができ、それによって、倉庫等に数多く備蓄することが可能であり、しかも、汚物収納容量を確保ししつつ汚物を収容したまま保管可能であり、さらに、焼却処分を可能とすることができる簡易型トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る簡易型トイレは、上記目的を達成のため、少なくとも一つの出入口と換気口とを有する周壁ユニットと、周壁ユニットの内側において排便用の開口を形成した床板の下方に便槽壁を有する便槽ユニットと、を備え、周壁ユニットは、高さ方向又は高さ方向に垂直な方向に沿って組み付け可能に分割されるとともに、組み付け状態において筒状となる壁面部を備え、便槽ユニットは、便槽壁の下端縁で重なって便槽壁の下端開口を覆う床板と、便槽壁の上端縁で重なって便槽壁の上端開口を覆う床板と、防水効果のある内壁面と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軽量且つ加工及び強度の確保が容易な段ボールによって周壁ユニットと便槽ユニットとで構成することにより、プライバシーを確保したものでありながら、軽量且つ組み立て・分解を容易に行うことができ、それによって、倉庫等に数多く備蓄することが可能であり、しかも、汚物収納容量を確保しつつ汚物を収容したまま保管可能であり、さらに、焼却処分を可能とすることができる。なお、段ボールとは、紙製又は樹脂製の何れでもよく、再生紙を用いた圧縮シートを重ね合わせたものでもよい。
【0018】
また、本発明によれば、周壁ユニットと便槽ユニットとは、段ボール以外の素材で形成してもよく、軽量且つ加工及び強度の確保が容易な素材によって周壁ユニットと便槽ユニットとで構成することにより、プライバシーを確保したものでありながら、軽量且つ組み立て・分解を容易に行うことができ、しかも、汚物収納容量を確保しつつ汚物を収容したまま保管可能であり、さらに、焼却処分を可能とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
次に、本発明に係る第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1(A)に示すように、簡易型トイレ1は、段ボール製の周壁ユニット10と、段ボール製の便槽ユニット20と、を備える。
【0021】
簡易型トイレ1は、例えば、被災地であれば上述したように強固なスチールパネルや樹脂製の仮設トイレが3〜4日で設置され、野外コンサート等のイベントでは開催期間は1〜2日である。したがって、簡易型トイレ1は、少なくとも、延べ人数で100〜200人分の汚物の収容及び耐久性を有するように設定している。また、簡易型トイレ1は、段ボール製であるために、軽量かつ焼却処分が可能である。さらに、簡易型トイレ1は、例えば、
図1(B)に示すように、段ボール製の箱2に収納可能であり、例えば、トイレットペーパー等の付属品を含めて50〜80kg程度の重量とすることにより、少人数での持ち運び並びに組み立てを可能とする。
【0022】
この際、箱2の大きさは長さ2700mm程度、幅600mm〜700mm程度、厚さ200mm程度(後述する周壁ユニット10の寸法を基準)であるため、小型で足回りの良いトラック(例えば、1t又は2t)等で複数台の搬送を実現することができ、被災地等での汎用性に優れたものとすることができる。ちなみに、公知の1tトラックであっても、荷台長2735mm、荷台幅1600mm、積載量900kg程度の車が数種類あることから、1度に10台程度の輸送が可能となる。したがって、災害備蓄品としての省スペースで大量かつ長期間の備蓄が可能である。以下、詳述する。
【0023】
また、簡易型トイレ1で使用する段ボールシートは、公知の紙製段ボールシート、例えば、原紙を段繰り成形した中芯の両面にライナを貼り合わせたものである。この際、中芯及びライナの撥水度(JISP8137)はR6以上であり、合成樹脂エマルジョン、熱硬化性樹脂及び架橋剤を含む段ボール用接着剤によって中芯とライナとを貼り合わせ、耐水性をある程度確保したうえで、複数枚の段ボールシートを重ね合わせて強度を確保し、便槽ユニット20の潰れや中芯とライナとの剥離が発生しない状態とする。そのうえで、例えば、便槽内の壁面や床板の上面に燃焼可能な防水コーティング処理等を施すのが好ましい。なお、同様の樹脂製段ボールシートのほか、再生紙、或は、その他の化学繊維等を高圧縮して作成したシート材を高圧縮したシート等での代用も可能である。
【0024】
周壁ユニット10は、少なくとも対称形状となるように高さ方向に沿って組み付け可能に二分割した分割体11、12を備え、この分割体11、12を組み付けた状態において断面正六角形の筒体形状となる。分割体11、12は、各三面の壁面部11a、11b、11c及び壁面部12a、12b、12cを備える。周壁ユニット10は、高さ2700mm、各壁面部11a、11b、11c、12a、12b、12cの幅600mm〜700mm、程度の寸法となっている。壁面部11a、11c及び壁面部12a、12cの両端には、分割体11、12を組み付ける際の重ね代11d、11e及び重ね代12d、12eを一体に有している。この際、重ね代11dと重ね代12d及び重ね代11eと重ね代12eとは、例えば、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフック、はと目、各種接着剤、等を用いて重ね合わせることが可能である。なお、分割体11、12は、組み付けの容易性の観点から2分割としているが、分割数は任意である。また、周壁ユニット10の外観を正六面の筒体形状としているが、正六面のほか、正多角形状の筒体或は多角形状の筒体、円筒体とすることも可能である。
【0025】
壁面部11bには、出入口用のドア13を設けている。ドア13は、地上高600mm以上の高さから上端付近の高さを利用している。ドア13は、例えば、高さ1800mm〜2000mm、幅500mm〜600mm程度の出入口を確保し、その開口部分を開閉可能とするのが望ましい。ドア13には、簡易式の内カギや使用・不使用を外部から認識することができるお知らせ窓等を設けることができる。ドア13は、壁面部11bの高さ方向の一辺を除く3辺に切り込みを入れて開閉可能としてもよいし、出入口としての開口を形成したうえで別途の段ボール製のドア13をヒンジを介して開閉可能に設けてもよい。この際、例えば、箱2の一部を容易にくり抜くことによって利用してもよい。また、箱2は出入口までの階段若しくは踏み台を作成するために用いてもよい。ドア13は、延べ100〜200回の開閉操作を許容することができればよいため、周壁ユニット10の焼却処分を考慮すると、可燃性かつ取り付けが容易な簡素な構成で足りる。
【0026】
また、くり抜き若しくは開閉可能な切れ目を入れることによって、壁面部11a、11c、12bの上端付近には上部換気口14、壁面部12a、12cの下方には下部換気口15、を設けることができる。この際、特に下部換気口15は床面付近に形成することによってトイレ内部に悪臭が籠ることを抑制することができる。なお、
図2に示すように、簡易型トイレ1は、使用を開始してから便槽ユニット20にある程度の汚物が溜まるまでの期間は軽量であるため、複数台の簡易型トイレ1を周回状等に隣接させることにより、全体として風対策に対応することができる。したがって、このような配置を考慮して上部換気口14及び下部換気口15は少なくとも一つ以上を有するように選択可能に各壁面部11a、11b、11c、12a、12b、12cに設けることも可能である。
【0027】
周壁ユニット10は、屋根16を有する。屋根16は、分割体11、12を組み付けた後の上部開放端を覆うようになっている。屋根16は、白色透明等の透光性を有するプラスチック製の段ボールを用いて採光可能としてもよい。屋根16は、上部開放端を覆うことができればよいため、重ね合わせをしていない1枚シートで足りる。屋根16は、各辺又は交互の3辺を折り曲げて分割体11、12との重ね代とすることができる。
【0028】
便槽ユニット20は、
図3に示すように、底板21、正六角柱状の便槽壁22、蛇腹状周壁の仕切壁23、等辺六芒星形状の補強部材24、排便用の開口25aを形成した床板25、を有する。
【0029】
底板21は、正六角形状のベース部21aの各辺から重ね代を立ち上げるとともに、そのうちの隣り合わない3辺に起立可能なフランジ21bを一体に備えている。
【0030】
便槽壁22は、折り畳み可能な正六角柱状に形成され、その下端縁を底板21のベース部21aに一致させ、フランジ21bの下端付近を含む底板21の重ね代を外側として接着剤等によって水密性を確保するように底板21と接合される。便槽壁22は、分割体11、12を組み合わせたときの内寸に対して外寸が略一致する寸法形状の正六角柱とするのが望ましい。
【0031】
仕切壁23は、折り畳み可能な筒体形状とされ、便槽壁22の内部に収納可能な断面蛇腹状の周壁を有する。なお、ここでの蛇腹状とは、軸線に対して直交する周壁断面形状が蛇腹状という意味である。仕切壁23の多数の頂点は便槽壁22の内壁面に当接する。糞尿を含む汚物は、この仕切壁23の内側に溜まるようになっている。
【0032】
補強部材24は、正三角形状の枠体24A、24Bを組み合わせて等辺六芒星形状とすることにより、分解状態での折り畳みを可能としており、組み合わせ状態で仕切壁23の内側に嵌り込んで仕切壁23の断面形状を維持するようになっている。
【0033】
床板25は、排便用の開口25aを形成した正六角形状のベース部25bの各辺から重ね代を下向きに立ち上げている。床板25は、便槽壁22の上端縁にベース部25bを一致させ、床板25の重ね代を外側として接着剤等によって水密性を確保するように便槽壁22の上端縁で重なって便槽壁の上端開口を覆う。床板25は、例えば、100kg程度の耐荷重を有する厚さとしたうえで、公知の簡易便座や椅子、或は専用の便器(図示せず)を搭載することができるようになっている。したがって、開口25aの大きさや位置は任意である。また、状況に応じて、囲い等を形成してもよい。この際、囲いは開口25aのくり抜き部分等を利用することができる。また、専用の便器としては、例えば、開口25aを基準として床板25にスライド或は回転可能に取り付けることも可能である。また、専用の便器には、折り畳み、伸縮、組み立て及び分解可能な紙製(段ボール製)とすることも可能である。
【0034】
このような基本構成において、簡易型トイレ1は、
図1(B)に示す箱2の内部に適宜折り畳み状態で収納されている。そして、使用する際には、箱2から各パーツを取り出し、
図4に示すように、底板21に便槽壁22を取り付けて便槽壁22の下端開口を覆い、便槽壁22の内部に仕切壁23を挿入し、補強部材24を組み合わせた状態で仕切壁23の内部に嵌め込み、便槽壁22に床板25を取り付けて便槽ユニット20を組み立てる。
【0035】
この状態から、フランジ21bを立ち上げた状態で便槽ユニット20を取り巻くように分割体11、12を組み付け、最後に屋根16を組み付けて簡易型トイレ1の組み立てが完了する。したがって、特別な技量を有することなく簡易型トイレ1を組み立てることができる。また、組み立て直後(使用前)にあっては、軽量状態を維持しているため、そのまま、或は便槽ユニット20のみを組み立てた状態で配置の調整といった移動も容易に行うことができる。
【0036】
一方、簡易型トイレ1を解体する場合には、上記と逆の手順で周壁ユニット10のみ、すなわち、屋根16と分割体11、12とを分解するだけで、便槽ユニット20は、ユニットごと焼却処分に供することができる。
【0037】
この際、底板21は、便槽ユニット20の全体を小型クレーン等で吊り上げるための起立可能な複数のフランジ21bを一体に備える。これにより、
図5(A)に示すように、簡易型トイレ1の外郭である分割体11、12及び屋根16を分解した状態で、フランジ21bの先端を便槽ユニット20の中心軸側に寄せた状態で小型クレーン等で吊り上げ、
図5(B)に示すように、複数の便槽ユニット20を縦横に段積み積載することができ、一時保管や焼却場等への輸送に供することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、周壁ユニット10が上下方向に分割されており、当該分割された分割体を高さ方向に垂直な方向に沿って組み付ける場合の実施形態である。
【0039】
図6は、簡易型トイレの全体の分解斜視図の他の例である。
図6に示す例では、周壁ユニット10が上下方向に分割されており、当該分割された分割体を高さ方向に垂直な方向に沿って組み付けることで、周壁ユニット10を形成する。
図6に示すように、周壁ユニット10は、例えば、高さ方向に垂直な方向に沿って組み付け可能に二分割した分割体31、32を備え、この分割体31、32の各々は断面正六角形の筒体形状のうちの5面を形成する。分割体31、32は、各五面の壁面部31g、31h、31i、31j、31k及び壁面部32g、32h、32i、32j、32kを備える。周壁ユニット10は、高さ2700mm、各壁面部31g、31h、31i、31j、31k、32g、32h、32i、32j、32kの高さ1350mm、幅600mm〜700mm、程度の寸法となっている。なお、分割体31には、壁面部31lが設けられていてもよい。側面部31lの高さ方向の長さは、他の側面部31g乃至31kの高さ方向の長さよりも短く、例えば300mm程度であり、当該側面部31lの下方にドア13を取り付けることができるように構成される。
【0040】
壁面部31g、31h、31i、31j、31k及び壁面部32g、32h、32i、32j、32kのそれぞれは、互いに結合可能である。この際、壁面部31gと壁面部32g、壁面部31hと壁面部32h、壁面部31iと壁面部32i、壁面部31jと壁面部32j及び壁面部31kと壁面部32kは、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフック、はと目、各種接着剤、等を用いて結合させることが可能である。なお、分割体31、32は、組み付けの容易性の観点から2分割としているが、分割数は任意である。また、周壁ユニット10の外観を正六面の筒体形状としているが、正六面のほか、正多角形状の筒体或は多角形状の筒体、円筒体とすることも可能である。
【0041】
周壁ユニット10には、出入口用のドア13が設けられる。ドア13は、地上高600mm前後の高さから上端付近の高さを利用している。ドア13は、例えば、高さ1800mm〜2000mm、幅500mm〜600mm程度の出入口を確保し、その開口部分を開閉可能とするのが望ましい。ドア13には、簡易式の内カギや使用・不使用を外部から認識することができるお知らせ窓等を設けることができる。ドア13は、分割体31の側面部31gと31kの間、及び、分割体32の側面部32gと32kの間に設けられる。ドア13は、延べ200〜300回の開閉操作を許容することができればよいため、周壁ユニット10の焼却処分を考慮すると、可燃性かつ取り付けが容易な簡素な構成で足りる。なお、ドア13は、地上高600mm前後である必要はなく、どのような高さに設けられていてもよい。また、ドア13の出入り口は、高さ1800mm〜2000mmである必要はなく、どのような高さであってもよい。さらに、ドア13の出入り口は、幅500mm〜600mm程度である必要もなく、どのような幅であってもよい。さらに、ドアの開閉操作は、延べ300回以上の開閉操作に耐えうるものであってもよいことは言うまでもない。
【0042】
また、くり抜き若しくは開閉可能な切れ目を入れることによって、壁面部31には上部換気口14、壁面部32には下部換気口15、を設けることができる。この際、上部換気口14及び下部換気口15を形成することによってトイレ内部に悪臭が籠ることを抑制することができる。
【0043】
周壁ユニット10は、屋根16を有する。屋根16は、分割体31の上部開放端を覆うようになっている。屋根16は、白色透明等の透光性を有するプラスチック製の段ボールを用いて採光可能としてもよい。屋根16は、上部開放端を覆うことができればよいため、重ね合わせをしていない1枚シートで足りる。
【0044】
便槽ユニット20は、
図6に示すように、底板21、正六角柱状の便槽壁22、排便用の開口25aを形成した床板25、を有する。なお、便槽ユニット20は、必ずしも正六角柱状の便槽壁22から構成されるものである必要はなく、どのような形状であってもよい。
【0045】
底板21は、正六角形状のベース部21aの各辺から重ね代を立ち上げる。
【0046】
便槽壁22は、折り畳み可能な正六角柱状に形成され、その下端縁を底板21のベース部21aに一致させ、底板21の重ね代を外側として接着剤等によって水密性を確保するように底板21と接合される。便槽壁22は、分割体11、12を組み合わせたときの内寸に対して外寸が略一致する寸法形状の正六角柱とするのが望ましい。便槽壁22の内面は、便槽内の壁面や床板の上面に燃焼可能な防水コーティング処理等を施すのが好ましい。すなわち、便槽内の壁面や床板の上面は、防水効果のある素材で形成される。なお、便槽内の壁面や床板の上面は、防水コーティングに限らず、防水効果があればどのような処理が施されてもよい。また、樹脂製シートや紙製段ボールシートのほか、再生紙やその他の化学繊維等を高圧縮して作成したシート材を高圧縮したシート等での代用も可能である。
【0047】
床板25は、排便用の開口25aを形成した正六角形状のベース部25bの各辺から重ね代を下向きに立ち上げている。床板25は、便槽壁22の上端縁にベース部25bを一致させ、床板25の重ね代を外側として接着剤等によって水密性を確保するように便槽壁22の上端縁で重なって便槽壁の上端開口を覆う。床板25は、例えば、100kg程度の耐荷重を有する厚さとしたうえで、公知の簡易便座や椅子、或は専用の便器(図示せず)を搭載することができるようになっている。したがって、開口25aの大きさや位置は任意である。また、状況に応じて、囲い等を形成してもよい。この際、囲いは開口25aのくり抜き部分等を利用することができる。また、専用の便器としては、例えば、開口25aを基準として床板25にスライド或は回転可能に取り付けることも可能である。また、専用の便器には、折り畳み、伸縮、組み立て及び分解可能なプラスチック製や紙製、発泡スチロールとテトロンシートとの一体成型、その他の素材とすることが可能である。
【0048】
図7は、簡易型トイレの組み立て手順を示す他の説明図であり、分割体31と分割体32とを結合する場合の例を示す。簡易型トイレ1を使用する際には、箱2から各パーツを取り出し、
図7に示すように、便槽ユニット20に分割体32を組み付け、その後、分割体32に分割体31を組み付ける。この場合、壁面部31gと壁面部32g、壁面部31hと壁面部32h、壁面部31iと壁面部32i、壁面部31jと壁面部32j及び壁面部31kと壁面部32kとを、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフックや、はと目、各種接着剤、等を用いて結合させる。その後、屋根16を組み付ける。そして、最後にドア13を取付けて簡易型トイレ1の組み立てが完了する。したがって、特別な技量を有することなく簡易型トイレ1を組み立てることができる。また、組み立て直後(使用前)にあっては、軽量状態を維持しているため、そのまま、或は便槽ユニット20のみを組み立てた状態で配置の調整といった移動も容易に行うことができる。
【0049】
一方、簡易型トイレ1を解体する場合には、上記と逆の手順で周壁ユニット10のみ、すなわち、屋根16と分割体31、32とを分解するだけで、便槽ユニット20は、ユニットごと焼却処分に供することができる。すなわち、便槽ユニット20は、そのまま汚物を収容することができるので、汚物収納容量を確保しつつ汚物を収容したまま保管可能であり、さらに、焼却処分を可能とすることもできる。
【0050】
図8は、簡易型トイレ1の全体斜視図の他の例である。
図8に例示するように、簡易型トイレ1において、便槽ユニット20は、必ずしも正六角柱状の便槽壁22から構成されるものである必要はなく、どのような形状であってもよい。
図8に例示するように、便槽ユニット20Aは、便槽壁22に凹凸部が設けられていてもよい。便槽壁22に凹凸部が設けられることにより、より大きな荷重を支えることが可能となり、便槽ユニット20Aの耐久性を増すことが可能となる。このように、便槽ユニット20(又は、便槽ユニット20A)の形状は、周壁ユニット10が結合可能なものであれば、どのようなものであってもよい。便槽ユニット20(又は、便槽ユニット20A)の内壁面は、防水効果のある素材で形成される。例えば、便槽ユニット20(又は、便槽ユニット20A)の内壁面は、防水コーティングが施される。なお、便槽ユニット20(又は、便槽ユニット20A)の内壁面は、は、防水コーティングに限らず、防水効果があればどのような処理が施されてもよい。
【0051】
また、
図9は、周壁ユニット10が、高さ方向に垂直な方向に沿って組み付け可能に三分割した分割体41、42、43を備える場合の例を示す。
図9に例示するように、この分割体41、42、43の各々は断面正六角形の筒体形状のうちの5面を形成する。分割体41は、
図9に例示するように、その側面に複数の上部換気口14を備える。複数の上部換気口14を設けることにより、トイレ内部に悪臭が籠ることを抑制することができる。なお、
図9に例示する上部換気口14は、1つの壁面部41に例えば10個設けられる。なお、1つの壁面部41に設けられる上部換気口14の数は、10個に限られず、いくつ設けてもよい。
【0052】
この分割体41、42、43の各々は断面正六角形の筒体形状のうちの5面を形成する。分割体41、42、43は、各五面の壁面部41g、41h、41i、41j、41k、壁面部42g、42h、42i、42j、42k、及び、壁面部43g、43h、43i、43j、43kを備える。周壁ユニット10は、高さ2000〜2700mm、各壁面部41は、高さ650〜900mm、幅600mm〜700mm、程度の寸法となっている。なお、分割体41には、壁面部41lが設けられていてもよい。側面部41lの高さ方向の長さは、他の側面部41g乃至41kの高さ方向の長さよりも短く、例えば300mm程度であり、当該側面部41lの下方にドア13を取り付けることができるように構成される。なお、壁ユニット10は、高さ2000〜2700mmである必要はなく、どのような高さであってもよい。また、各壁面部41は、高さ650〜900mm、幅600〜700mmである必要はなく、高さ、幅ともにどのような長さであってもよい。さらに、側面部41lの長さは、300mm程度に限られず、どのような長さであってもよい。
【0053】
図9(a)に例示するように、壁面部41g、41h、41i、41j、41k及び壁面部42g、42h、42i、42j、42kのそれぞれは、互いに結合可能である。この際、壁面部41gと壁面部42g、壁面部41hと壁面部42h、壁面部41iと壁面部42i、壁面部41jと壁面部42j及び壁面部41kと壁面部42kは、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフック、はと目、各種接着剤、等を用いて重ね合わせることが可能である。また、壁面部42g、42h、42i、42j、42k及び壁面部43g、43h、43i、43j、43kのそれぞれは、互いに結合可能である。この際、壁面部42gと壁面部43g、壁面部42hと壁面部43h、壁面部42iと壁面部43i、壁面部42jと壁面部43j及び壁面部42kと壁面部43kは、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフック、はと目、各種接着剤、等を用いて結合することが可能である。なお、分割体41、42、43は、組み付けの容易性の観点から3分割としているが、分割数は任意である。また、周壁ユニット10の外観を正六面の筒体形状としているが、正六面のほか、正多角形状の筒体或は多角形状の筒体、円筒体とすることも可能である。
【0054】
なお、
図9(a)に例示する便槽ユニットは、
図7に例示する便槽壁22に凹凸部が設けられた便槽ユニット20Aである。なお、便槽ユニットは、正六角柱状の便槽壁22から構成される便槽ユニット20であってもよい。また、
図9(b)に例示するように、壁面部41を結合させた後、屋根16を組み付ける。そして、
図9(c)のように、ドア13を取付けて簡易型トイレ1を組み立てる。また、
図9(c)に例示するように、簡易型トイレ1は、便槽ユニット20Aを囲む外壁26が設けられていてもよい。外壁26は、周壁ユニット10と、上下方向で結合可能な上向き及び下向きのフック、はと目、各種接着剤、等を用いて結合することが可能である。
【0055】
図10は、簡易型トイレ1の簡易型トイレの全体斜視図の例である。
図10に例示するように、簡易型トイレ1は、ステー27を備える。ステー27は、その一端が周壁ユニット10を構成する各壁面部43の下方端に結合され、他端は地面に接するように構成される。ステー27の他端は、地面と少なくとも“面”で接しており、地面と逆側の面には“重し”(例えば、石やブロック、砂袋、水袋など重量のあるもの)を置くことができる。
図10に例示するように、ステー27の形状は、略長方形であり、その短辺の一方が各壁面部43の下方端に結合される。また、ステー27において、他方の短辺側は、地面と“面”で接する部分が設けられている。なお、ステー27の形状は、略長方形に限られず、略三角形や略台形など、どのような形状であってもよい。
【0056】
ステー27は、
図10に示すように、周壁ユニット10において、ドア13が設けられていない壁面部43の各々に設けることができる。
図10の例では、壁面部43g、壁面部43h、壁面部43i、壁面部43j及び壁面部43kの各々の一端に設けられる。なお、
図10の例はあくまでも例示であって、ステー27は、ドア13が設けられている壁面部43に設けられてもよい。また、壁面部43の全てにステー27が設けられてもよいし、壁面部43の一部にステー27が設けられてもよい。また、ステー27は、プラスチック製や紙製、その他の素材とすることが可能である。
【0057】
上記のとおり、ステー27が、その一端が簡易型トイレ1の周壁ユニット10の各々の壁面部43の下端と結合し、他端は地面と接しており“重り”を置くことが可能であるから、簡易型トイレ1に対する横方向からの力(すなわち、周壁ユニット10に垂直な方向からの力)に対する耐久力を担保することができる。例えば、簡易型トイレ1に対して風により、横方向からの力が加わったとしても、ステー27による耐久力があるため、当該簡易型トイレ1が揺れたり、倒れたりする可能性を低減することができる。
【0058】
上記のとおり、簡易型トイレ1は、特別な技量を有することなく簡易型トイレ1を組み立てることができる。また、組み立て直後(使用前)にあっては、軽量状態を維持しているため、そのまま、或は便槽ユニット20のみを組み立てた状態で配置の調整といった移動も容易に行うことができる。
【0059】
一方、簡易型トイレ1を解体する場合には、上記と逆の手順で周壁ユニット10のみ、すなわち、屋根16と分割体31、32とを分解するだけで、便槽ユニット20は、ユニットごと焼却処分に供することができる。すなわち、便槽ユニット20は、そのまま汚物を収容することができるので、汚物収納容量を確保しつつ汚物を収容したまま保管可能であり、さらに、焼却処分を可能とすることもできる。
【0060】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係る簡易型トイレ1は、プライバシーを確保したものでありながら、軽量且つ組み立て・分解を容易に行うことができ、しかも、汚物収納容量を確保しつつ焼却処分を可能とすることができるという効果を有し、災害発生時や屋外イベント開催時等の現場に設置することができる簡易型トイレ全般に有用である。
【0061】
なお、第1の実施形態1及び第2の実施形態において、簡易型トイレ1は、段ボール製に限られず、例えば、樹脂製の素材や板紙、その他の化学繊維等を高圧縮して作成した素材など、どのような素材で形成されていてもよい。例えば、簡易型トイレ1は、プラスチック製の素材で形成されていてもよい。また、簡易型トイレ1の周壁ユニット10は、周壁ユニットは、段ボール製、板紙、又は、プラスチック製のパネル構造により形成されてもよい。
【0062】
また、簡易型トイレ1で使用するシートは、例えば、板紙や樹脂製のシート、紙製段ボールシートである。なお、簡易型トイレ1において、例えば、便槽内の壁面や床板の上面に燃焼可能な防水コーティング処理等を施すのが好ましい。なお、樹脂製シートや紙製段ボールシートのほか、再生紙やその他の化学繊維等を高圧縮して作成したシート材を高圧縮したシート等での代用も可能である。
【0063】
また、便槽ユニット20(又は便槽ユニット20A)の底面は、フォークリフトやハンドトラックパレットの“ツメ”が挿入可能な構造となっている。
【0064】
図11は、便槽ユニット20(又は便槽ユニット20A)の底面の構成例を示す図である。
図11(a)に示す例は、便槽ユニット20Aの底面の一例である。便槽ユニット20Aの底面は、略正六角形であり、当該略正六角形の各々の辺の中央付近に、凸部50が設けられている。また、便槽ユニット20Aの底面の中央部には、当該便槽ユニット20Aを支える支柱の一端51が設けられており、その形状は略正六角形である。そして、
図11(a)に例示するように、便槽ユニット20Aの底面において、底面の一辺の凸部50の位置と、支柱の一端51とは、フォークリフトやハンドトラックパレットの“ツメ”(
図11において点線で示す)が挿入可能な位置関係で配置される。すなわち、便槽ユニット20Aの底面の各辺の凸部50は、フォークリフトやハンドトラックパレットの2つの“ツメ”の間隔以下の大きさであり、当該“ツメ”は底面の各辺から当該底面の下部に挿入可能となる。また、支柱の一端51の大きさも、フォークリフトやハンドトラックパレットの2つの“ツメ”の間隔以下の大きさであり、底面の各辺から挿入された“ツメ”は当該支柱の一端51に当たらずに、当該底面の下部に挿入可能である。
【0065】
また、
図11(b)に例示するように、便槽ユニット20Aの底面には、フォークリフトやハンドトラックパレットの“ツメ”を挿入するための凹部52が設けられていてもよい。この場合、フォークリフトやハンドトラックパレットの“ツメ”は、当該凹部52に沿って、便槽ユニット20Aの底面の下側に挿入可能である。
【0066】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合に、これらの各記載は厳密な意味ではない。すなわち、「垂直」「平行」「平面」とは、設計上や製造上等における公差や誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。なお、ここでの公差や誤差とは、本発明の構成・作用・効果を逸脱しない範囲における単位のことを意味するものである。
【0067】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合に、これらの各記載は厳密な意味ではない。すなわち、「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上や製造上等における公差や誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。なお、ここでの公差や誤差とは、本発明の構成・作用・効果を逸脱しない範囲における単位のことを意味するものである。