(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501101
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】エンジン廃熱を利用したフオークリフト装着の道路融雪装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
E01H5/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-179786(P2014-179786)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-53270(P2016-53270A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年7月7日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】595106936
【氏名又は名称】上田 恭嗣
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭嗣
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−054017(JP,A)
【文献】
特開2013−014986(JP,A)
【文献】
特開平08−232224(JP,A)
【文献】
特開2000−095041(JP,A)
【文献】
米国特許第02474759(US,A)
【文献】
米国特許第02590701(US,A)
【文献】
実開昭63−095729(JP,U)
【文献】
実開昭62−159522(JP,U)
【文献】
特開平04−005304(JP,A)
【文献】
実開昭48−044005(JP,U)
【文献】
実開昭48−093603(JP,U)
【文献】
特開平02−061207(JP,A)
【文献】
特開2001−303527(JP,A)
【文献】
特開2003−147741(JP,A)
【文献】
特開2010−281493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/10
B60R 15/00
E01C 19/22
E01H 3/04
F16M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に湯をたたえるドラムと、そのドラムを回転させる駆動輪と、中空であってそこを貫通する配管を有するそのドラムの軸と、その中空の軸からの水漏れと同時にその中空の軸を通過してそのドラム内に侵入する空気の溜まりを検知して或いはそのドラム内の水位の低下を検知して信号を出す検知部と、その検知部からの信号を受けてドラム内の湯量が一定に保たれるようにドラム内に補水する補水装置と、内蔵する熱交換器を介してエンジン冷却液の熱により加温される湯をポンプで圧送してそのドラムに送り込み又回収して循環させる配管回路と、から構成される融雪装置をフオークリフトの底部に装着して、フオークリフトの走行に伴いそのドラムを接地させて路面の積雪を融かすことを特徴とするエンジン廃熱を利用したフオークリフト装着の道路融雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のエンジンの廃熱を利用し事業所構内道路の融雪に使用する、エンジン廃熱を利用したフオークリフト装着の道路融雪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
北国の事業所構内のフオークリフトの通路の除雪に苦労するが、雪は融かせば水となって排水溝に流出してそれ以上の手間はかからず、融かすのに必要な熱はエンジン廃熱であるから無料で理想的な道路清掃方式であり、更に、フォークリフトは決まった道路を頻繁に往復するから路面に頻繁に廃熱を与えるので融雪に好都合だが、実用化されている車両搭載型の道路融雪装置が存在しない。
【0003】
フオークリフトに排雪板を取り付けてブルドーザの如くに排雪をしても、排雪はどこかにスペースを確保して運搬して雪山として置かねばならず、放置すると氷結して氷山になり除去に苦労するのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3876427号
【特許文献2】特願2014−168339
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、特許文献1では融雪ソリとして具体化しているがソリでは底面の損傷が発生する。スキー場では雪は存在し続けるが融雪ソリは道路上の雪を融かしてしまい、雪が無くなるのでソリの底面は路面にじかに接するからソリの底面の損傷が発生し耐久性が無いので、耐久性を有する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、内部に湯をたたえるドラムと、そのドラムを回転させる駆動輪と、中空であってそこを貫通する配管を有するそのドラムの軸と、その中空の軸からの水漏れと同時にその中空の軸を通過してそのドラム内に侵入する空気の溜まりを検知して或いはそのドラム内の水位の低下を検知して信号を出す検知部と、その検知部からの信号を受けて補水する補水装置と、内蔵する熱交換器を介してエンジン冷却液の熱により加温される湯をポンプで圧送してそのドラムに送り込み又回収して循環させる配管回路と、から構成される融雪装置をフオークリフトの底部に装着して、フオークリフトの走行に伴いそのドラムを接地させて路面の積雪を融かすことを特徴とするエンジン廃熱を利用したフオークリフト装着の道路融雪装置である。
【0007】
係る構成によれば、フオークリフトのような低速車両ではドラムを使用しても作業走行に支障をきたさないことに着目すれば、このドラムをエンジン冷却液の有する熱で熱交換器を介して加温し、加温されたドラムを本装置を装着した車両の走行により連続的に通路に接地させて、ドラム自身の熱容量により雪を融かすことにより、底面の損傷による耐久性が劣るソリを使用せずに、耐久性のある装置により道路上の融雪を行うことができるという効果がある。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、ドラム内に設けた湯槽にエンジン廃熱を利用する熱交換器で加温された湯を循環させて、加温されたドラムを回転させて路面に接地させ通路上の雪を融かす。湯を循環させる配管回路内に内蔵されたポンプ及びエンジン廃熱を利用する熱交換器で湯は循環され加温される。これらにより、底面の損傷による耐久性が劣るソリを使用せずに、路面の雪を確実に融かすという利点がある。
【0009】
始業時には従来通りにブルドーザ等で積雪を除去する必要があるが、上述したように日中の作業時の降雪は本融雪装置により融けて無くなるので、除雪労力や費用の削減と除雪作業時のフオークリフトの運転停止のロスが無くなるという利点がある。
【0010】
例えば、1日に24cmの降雪は1分では0.17mmに過ぎない。例えば、フオークリフトの運転間隔が5分なら0.85mmの積雪を毎回の走行時に融かせばよい。例えば、スキー場の上を走行すれば無限軌道に多量の雪が付着して湯槽がすぐ雪で一杯になるであろうが、本考案ではそういうことは起こらないという利点がある。
【0011】
フオークリフトの1回の走行当りにたかだか1ミリ前後の積雪を処理するのに、排土(雪)板を使用するのは板の底面がじかに路面に接するので、板と路面の損傷が避けられず耐久性に劣るので、耐久性に劣る排土(雪)板を使用せずに、路面の雪を確実に融かすという利点がある。
【0012】
また、雪を融かして路面から無くすという直接の効果の他に、機械除雪とは異なり、雪捨て場の確保とそこ迄の雪の運搬の手間が減少されるというという利点がある。
【0013】
また、雪はタイヤで踏み固められると圧雪から氷盤になり、こうなってはその除去に大変苦労するが雪が多少融けたシャーベット雪は除去の苦労が少ないという利点がある。
【0014】
フオークリフトの車体の底部に装着した本装置により、普段通りにフオークリフトを作業走行させながら自動的に通路上の積雪を融かすので、融けた雪は降雨と同じく排水溝に流れ去り、わざわざ作業を一時中止して通路の積雪を排雪しなくて済み、雪が降ったからと言って作業能率を低下させなくて済むという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は請求項1のドラムを使用する、エンジン廃熱を利用したフオークリフト装着の道路融雪装置の説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0016】
融雪ソリの如く路面との摩擦により底面が損傷する部品を採用せずに、本装置装着車両の走行速度と同じ対地走行速度を与えられことにより摩擦による損傷を防ぐドラムを採用し、そのドラムにエンジン廃熱を無駄なく伝達する伝熱方法を以下のように設計することにより、無料のエンジン廃熱を利用する車両搭載型の道路融雪方法の具体化を実現した。
【0017】
実施形態1については、融雪部品としてドラムを採用してこれをフオークリフトの走行に同期させて回転させて接地させる。内蔵する熱交換器を介してエンジン冷却液の熱により加温されてポンプで圧送される湯を循環させる配管回路を用意する。先のドラムの中空の軸を貫通する、配管回路の給湯端部より湯をドラムに送り込み、又給湯端部の反対側に位置する回収端部よりドラムから湯を取り出す。その中空の軸からの水漏れと同時に空気が外部からその中空の軸を侵入してドラム内に空気溜まりを形成し、又ドラム内の水位が低下するので、先の回収端部から空気が吸い込まれて配管回路内を流れる気泡を検知するか、又は水位の低下を検知する検知部を用意する。その検知部から送られる信号により補水装置を作動させることによりドラム内の水位を一定に保つ。先の配管回路を循環する湯により加温されたそのドラムが駆動輪により回転されて接地されて路面の雪を融かす。この融雪装置をフオークリフトの底部に装着してフオークリフトの走行に伴い路面の積雪を融かす。
【実施例1】
【0018】
図1は本願発明装置の実施形態についての1実施例の断面図であって、回転する10のドラムの中空軸内に伝熱媒体である湯を通過させるための12の配管回路の給湯端部を貫通させて、5の熱交換器を介してエンジン廃熱により加温された湯を12の配管回路の給湯端部から6のドラム内に与える。6のドラムの内部は中空であり密閉された湯槽を形成する。6のドラム内の湯は14の道路面において13の積雪を融かし湯は冷え、冷えた湯は6のドラムの湯の給湯側とは反対側に設置された16の配管回路の回収端部を経由して4のポンプで駆動される湯を循環させる9の配管回路に戻る。
【0019】
また、6のドラム内の湯槽内の湯は5の熱交換器によりエンジン冷却液の熱を貰って加温される。
【0020】
加温された6のドラムと13の積雪の間には必ず雪が融けた水膜が生ずる。これはスケートと同じ原理で摩擦係数が低くなる。よって、回転されないドラムであるとドラムが雪面を滑っていくのでドラムの接地面が固定されてしまう。これでは、ドラムの融雪能力が低下するので、これを防ぐ為に6のドラムを回転させる。
【0021】
また、6のドラムの対地走行速度を車両のそれと一致するように17の駆動輪を駆動することにより6のドラムと14の道路面の間のすべりを無くし6のドラムの損耗を防ぐ。
【0022】
10のドラムの中空の軸からは11の水密シールを設けても(18の水密シールも同じであるが)湯の漏洩は発生し6のドラム内の湯量は減少する。湯が11の水密シールから漏洩すると同時に外部の空気が11の水密シールを逆流して入り込みその空気は7のドラムの上部の空気溜まりに溜まる。6のドラムが回転しても空気は7のドラムの上部の空気溜まりに留まり続けるので、6のドラム内のドラムとは独立の16の配管回路の回収端部から溜まった空気が吸い込まれる。検知部からの信号を受けてドラム内の湯量が一定に保たれるようにドラム内に補水する補水装置として、ここでは、吸い込まれた空気は9の配管回路内に設置した3の気泡検知及び補水装置が気泡を検知すると、1の予備水槽から2の配管を経由して水を補給する。水が補給されると6のドラム内の湯量は増大し7のドラム上部の空気溜まりの空気は減少し、8の湯面は16の配管回路の回収端部より高くなり、16の配管回路の回収端部から7の空気を吸い込まなくなり、9の配管回路内の空気は無くなるので、これを3の気泡検知及び補水装置が検知して水の補給を止めることにより6のドラム内の湯量は一定に保たれる。配管回路内の気泡は3の気泡及び補水装置内の空気抜き孔から排出される。
【0023】
3の気泡検知の代わりに、8のドラム内の湯面位置を検知する15の水位検知部を採用しても良い。この場合は15の水位検知部から送られた信号に基づいて3の補水制御装置は補水を行う。
【0024】
10の中空の軸から漏洩した湯は14の路面に落下して13の積雪を融かすので実用上は熱損失にならない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
フオークリフトの車体の底部に装着した本装置により、普段通りにフオークリフトを作業走行させながら自動的に通路面上の積雪を融かすので、融けた雪は降雨と同じく排水溝に流れ去り、わざわざ作業を一時中止して通路の積雪を排雪しなくて済み、雪が降ったからと言って作業能率を低下させなくて済む。
【符号の説明】
【0026】
1 予備水槽
2 予備水槽からの配管
3 気泡検知及び補水制御装置
4 ポンプ
5 熱交換器
6 ドラム
7 ドラム内部に生じた空気の溜まり
8 ドラム内の湯面
9 配管回路
10 ドラムの中空の軸
11 水密シール
12 10のドラムの中空の軸内を貫通する配管回路の給湯端部
13 積雪
14 道路面
15 8のドラム内の湯面位置を検知する水位検知部
16 10のドラムの中空の軸内を貫通する配管回路の回収端部
17 駆動輪
18 水密シール