(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態を
図1ないし
図19によって説明する。本実施形態の電気接続箱10は、バッテリー等の電源と、ランプ、モータ等の車載電装品との間に配設されて、電源から車載電装品に供給される電力の通電及び断電を実行するものである。以下の説明においては、
図4における上側を表側又は上側とし、下側を裏側又は下側とする。また、
図3における左側を前方(正面)、右側を後方(背面)とし、同図の上下方向を左右方向とする。
【0020】
電気接続箱10は、
図1および
図4に示すように、回路基板11と、回路基板11の裏面(
図4における下面)に配されたヒートシンク20と、回路基板11を内部に収容するケース30と、ケース30をヒートシンク20とは反対側(
図1および
図4における上方)から覆うシールドカバー50と、を備える。
【0021】
(回路基板11)
回路基板11は、絶縁基板の表面にプリント配線技術により図示しない導電回路が形成されたプリント配線基板12の裏面に複数のバスバー13が所定のパターンで配索・接着され(
図16および
図17参照)、導電回路とバスバー13の所定の位置に電子部品が実装されてなる。以下、回路基板11のうち電子部品が実装される面(表側の面)を、実装面11Aとする。
【0022】
プリント配線基板12は、
図10に示すように、4つの角部のうち3つが矩形状に切り欠かれた切欠部12Aとされた略長方形状をなしており、その所定の位置には、複数の接続用貫通孔14が設けられている。これらの接続用貫通孔14は、電子部品をバスバー13上に実装するためのものであり、電子部品は接続用貫通孔14から露出したバスバー13の表面、または図示しない導電回路のランド上に、例えば半田付け等公知の手法により接続される。
【0023】
なお本実施形態においては、複数の電子部品のうち比較的大型のコイル15だけを図示し、他の電子部品は省略する。コイル15は、
図10における一点破線の位置に配される。
【0024】
本実施形態で使用されるコイル15(電子部品の一例)はリード型のコイル15であって、
図5ないし
図8に示すように、略直方体状の本体部16を有し、本体部16の底面からピン状および平板状のリード端子17が互い違いにそれぞれ二本ずつ、下方に向けて突出した形態をなすものである。本実施形態においては、6つのコイル15(以下、区別して記載する際には15A,15B,15C,15D,15E,15Fとする)がプリント配線基板12上に同じ向きで前後方向に一列に並んで配されている(
図10参照)。
【0025】
プリント配線基板12のうちコイル15が実装される部分には、コイル15のリード端子17を貫通させるためのコイル接続用貫通孔14Aが設けられており、バスバー13のうちこのコイル接続用貫通孔14Aに重ねられる位置には、同じく、コイル15のリード端子17を貫通させるためバスバー側貫通孔13Aが形成されている。
【0026】
また、プリント配線基板12の前方側(
図10の左側)の縁部からは、外部端子と接続するための3本の外部接続バスバー13Bが突出しており、先端部がクランク状に屈曲されている。これらの先端部には、接続用のボルト(図示せず)を貫通させるためのボルト孔13Cが形成されている。
【0027】
(ヒートシンク20)
回路基板11の下面側には、ヒートシンク20が配されている。ヒートシンク20は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等の熱伝導性に優れる金属材料からなる放熱部材であり、回路基板11において発生した熱を放熱する機能を有する。
【0028】
ヒートシンク20の上面はほぼ平坦な板状をなしており、
図9に示すように、上述したコイル15が配される領域には、上面から下方に窪んでコイル15のリード端子17を収容可能な逃がし凹部23が設けられている。
【0029】
図10に示すように、ヒートシンク20の上面のうちプリント配線基板12の切欠部12Aが配される領域の付近には、後述するケース30をヒートシンク20に位置決めするためのヒートシンク側位置決め孔21と、ケース30とヒートシンク20とを固定するためのヒートシンク側第1固定孔22と、がそれぞれ対となって左右方向(
図10の上下方向)に並んで設けられている。また、プリント配線基板12のうち切欠部12Aが設けられていない角部が配される領域の付近には、ヒートシンク側第1固定孔22だけが単独で設けられている(以下このヒートシンク側第1固定孔を22Aとする)。
【0030】
後方側(
図10における右側)に配されるヒートシンク側位置決め孔21およびヒートシンク側第1固定孔22(合計4つ)は、全て前後方向における同位置に一列に並んで設けられているのに対し、前方側(
図10における左側)に配されるヒートシンク側位置決め孔21およびヒートシンク側第1固定孔22、22A(合計3つ)は、単独で設けられるヒートシンク側第1固定孔22Aだけ前後方向における位置が異なっている。
【0031】
すなわち、ケース30がヒートシンク20に対して正規とは異なる向きで取り付けられた場合に、ケース側位置決め部41が誤ってヒートシンク側第1固定孔22Aに嵌め込まれないようになっており、これにより、ケース30がヒートシンク20に対して正規の向きで取り付けられているかどうかを検知することができる。
【0032】
また、ヒートシンク20の上面のうち、前後方向(
図9および
図10の左右方向)に延びる長辺の両端部には、左右方向(短辺の延び方向)に沿って延びるヒートシンク側延出部24が設けられており、これらのヒートシンク側延出部24には、後述するシールドカバー50と固定するためのヒートシンク側第2固定孔25が貫通している。
【0033】
また、ヒートシンク20上面の縁部付近には、縁部に沿って環状に延びるヒートシンク側溝部26が上面から下方に窪んで設けられており、ここに後述するケース30のケース側リブ45が嵌め入れられるようになっている。
【0034】
さらに、ヒートシンク20の下面には、下方に向けて延びる多数の板状のフィン27が設けられている(
図1参照)。
【0035】
なお、図示はしないが、ヒートシンク20の上面には、ヒートシンク20と回路基板11(バスバー13)との間の絶縁性を図るための絶縁シートが重ねられる。絶縁シートは、バスバー13およびヒートシンク20に対して固定可能な接着性を有している。なお、絶縁シートのうち逃がし凹部23に対応する位置には、逃がし孔(図示せず)が貫通して設けられている。
【0036】
(ケース30)
ヒートシンク20に絶縁シートを介して重ねられた回路基板11は、ケース30内に収容されている(
図1および
図4参照)。ケース30は合成樹脂製であって、
図11ないし
図15に示すように、回路基板11の周囲を囲む略長方形の枠状のフレーム31(枠体の一例)と、回路基板11の実装面11Aの全体を覆う基板カバー部32と、が一体とされた浅皿状をなしている。
【0037】
ケース30には、フレーム31を構成する4つの側壁のうちの一側壁(
図11の左側の前側壁31A)に沿って、回路基板11と図示しない外部端子と接続するための接続用領域が設けられている。
【0038】
具体的には、
図13および
図15に示すように、ケース30の前側壁31Aの左右方向における中央部付近は外側に向けて開口しており、フレーム31の内側において対向する側壁(後方側の側壁)に向けて延びる角筒状のコネクタフード部33が形成されている。コネクタフード部33は、前側壁31Aから連続して後方側に向けて延びる外側フード部33Aと、外側フード部33Aの後端と連結部33Bを介して連結されて外側フード部33Aの内側において前方に向けて延びる内側フード部33Cと、から構成されている。内側フード部33Cの前端は、前側壁31Aより前方側に僅かに突出している。
【0039】
また、このコネクタフード部33を挟んだ左右方向の両側には、図示しない外部端子と回路基板11の縁部から延出された3つの外部接続バスバー13Bとを接続するための3つの接続端子34が、ケース30の外側に設けられた外側端子台35(
図2および
図11参照)およびケース30の内側に設けられた内側端子台37(
図14および
図15参照)にそれぞれ露出されて各端子台35,37と一体に設けられている。
【0040】
なお、外側端子台35には、外部端子を位置決めするための丸棒状のガイド部36が上方に向けて伸びるように設けられている。また内側端子台37には、接続端子34と外部接続バスバー13Bとを共締めして接続するためのボルト(図示せず)を受け入れるボルト孔38が設けられている。
【0041】
図14ないし
図17に示すように、基板カバー部32の上述した接続用領域を除く領域の四隅のうち三隅には、フレーム31の下端縁まで延びる角筒部40が、フレーム31と一体に設けられている。角筒部40の下面には、ヒートシンク20のヒートシンク側位置決め孔21内に嵌め入れられるケース側位置決め部41と、ヒートシンク側第1固定孔22と重なるケース側固定孔42と、がそれぞれ対となって左右方向(
図14の上下方向)に並んで設けられている。
【0042】
一方、基板カバー部32の上述した接続用領域を除く領域の四隅のうち、角筒部40が設けられていない一隅付近には、フレーム31の下端縁まで延びる角柱部43がフレーム31と一体に設けられており、その下面には、上述した単独で設けられるヒートシンク側第1固定孔22Aと重なるケース側固定孔42が単独で設けられている。
【0043】
また、フレーム31の下縁部には、外側に向けて張り出すフランジ部44が設けられており、このフランジ部44の幅方向の中央部に、ヒートシンク側溝部26内に嵌め入れられる、環状に延びるケース側リブ45が下方に向けて突出している(
図4および
図15参照)。
【0044】
さらに基板カバー部32の上面のうち、上述した接続用領域を除く領域の縁部には、後述するシールドカバー50のカバー側リブ56を嵌め入れるための、環状に延びるケース側溝部46が下方に窪んで設けられている。
【0045】
本実施形態のケース30の基板カバー部32のうち、ケース30が回路基板11を収容した状態においてコイル15に対応する位置には、コイル15の上端部分を内側に嵌め入れる保持部47が設けられている。
【0046】
より詳細には、
図4に示すように、基板カバー部32のうちコイル15に対応する位置には、コイル15の本体部16の上端の外形より僅かに大きい保持孔48が板面を貫通して設けられている。また、これらの保持孔48の周縁部は回路基板11側(下方側)に向けてリブ状に突出しており、コイル15の本体部16の外面(側面)の上端部分に沿う保持壁49とされている。すなわち、保持部47は保持孔48および保持壁49を備えて構成されている。
【0047】
なお、本実施形態においては、6つのコイル15A,15B,15C,15D,15E,15Fが一列に並んで配されているため、隣り合う保持部47の前後方向に延びる保持壁49同士が直線状に連続して設けられている。また、一列に並んだ6つのコイルのうち、両端以外の2つずつ、すなわち、15B,15C、および、15D,15Eは、互いに僅かな隙間を介して接近してプリント配線基板12上に配されているため、これら接近したコイル15B,15C、および、15D,15Eの各保持部47の間は区切られることなく、2つ分が連続する大きさに形成されている(
図14および
図15参照)。換言すると、ひとつの保持部47に2つのコイル15B,15Cまたは15D,15Eが一括に嵌め入れられるようになっている。
【0048】
(シールドカバー50)
さらに、ケース30のうち回路基板11が配される面と反対側の面(上面および外側面)は、シールドカバー50(外側ケースの一例)により覆われている。シールドカバー50は、例えば亜鉛鋼板(金属製)を打ち抜き加工および曲げ加工することにより、天板部51とこの天板部51の縁部から下方に向けて延びる4つの側壁52とを備える、略長方形の浅皿状に形成されている。天板部51は、ケース30の基板カバー部32の上面に重なるように寸法が設定されている。
【0049】
4つの側壁52のうち、前後方向に延びる長尺側の一対の側壁52(左右の側壁52)の両端部には、側壁52の下端縁から左右方向(天板部51の短辺の延び方向)に沿って延びるカバー側延出部54が形成されており、これらのカバー側延出部54にはヒートシンク側第2固定孔25と重なるカバー側固定孔55が貫通している。
【0050】
これらのカバー側固定孔55をヒートシンク側第2固定孔25と重ね合わせ、ボルト60を締結することにより、ヒートシンク20とシールドカバー50とが電気的に接続されるとともに、一体に固定される(
図2および
図4参照)。
【0051】
また、天板部51の下面のうち、ケース30のケース側溝部46に対応する位置には、このケース側溝部46内に嵌め入れられる環状のカバー側リブ56が下方に向けて突出している(
図4参照)。
【0052】
さらに、ケース30の外側端子台35およびコネクタフード部33部に対応する位置には、側壁52から天板部51にかけて開口して外側端子台35およびコネクタフード部33を外部に露出させるための3つの孔部57が設けられている(
図1および
図2参照)。
【0053】
(電気接続箱10の製造方法)
次に、本実施形態の電気接続箱10の製造方法について説明する。まず、絶縁基板の表面側(回路基板11の実装面11A側)にプリント配線技術により導電回路(図示せず)を印刷するとともに、裏面側に所定のパターンで複数のバスバー13を配策・接着する。
【0054】
次に、
図15に示すように、ケース30を裏面側を上方に向けた逆さの状態で図示しない作業台等に載置し、コイル15をリード端子17が上方に向く逆さの状態として各保持部47内に嵌め入れる。これにより、6つのコイル15A〜15Fは所定の位置に配置される。
【0055】
次に、バスバー13が配策されたプリント配線基板12を、バスバー13の裏面側が上方となる逆さの状態として、ケース30内に収容する(
図16参照)。この時、3つの外部接続バスバー13Bがケース30の内側端子台37と重なるように配するとともに、コイル15のリード端子17がプリント配線基板12のコイル接続用貫通孔14Aおよびバスバー13のバスバー側貫通孔13A内に貫通するように、プリント配線基板12をケース30内に収容する。複数のコイル15A〜15Fは、ケース30の保持孔48および保持壁49(保持部47)により予めケース30内の所定の位置、すなわち、プリント配線基板12に対する所定の取付位置に配されているから、各コイル15のリード端子17はプリント配線基板12のコイル接続用貫通孔14Aおよびバスバー13のバスバー側貫通孔13A内に精度よく貫通される。
【0056】
次に、外部接続バスバー13Bのボルト孔13Cおよび内側端子台37のボルト孔38にボルト(図示せず)を締結して、外部接続バスバー13Bと接続端子34とを電気的に接続するとともに、バスバー13のバスバー側貫通孔13Aの周囲、すなわち、リード端子17が貫通された部分にハンダ(図示せず)を塗布し、バスバー13とリード端子17とを電気的に接続する。これにより、コイル15がプリント配線基板12上に実装された回路基板11がケース30内に収容され、ケース30内の所定位置に保持・固定されるとともに、回路基板11とケース30の接続端子34とが電気的に接続された状態とされる。
【0057】
この状態において一体とされた回路基板11およびケース30を上下反転させて正規の向きとすると、
図19に示すように、コイル15の本体部16の上面とケース30の基板カバー部32の上面とは、ほぼ面一な状態とされている。換言すれば、基板カバー部32の上面の高さは、ケース30が回路基板11を収容した状態において、コイル15の本体部16の高さと同一となるように予め設定されている。なお、同一の高さとは、僅かな誤差を含む高さとする。
【0058】
次に、一体とされた回路基板11およびケース30をヒートシンク20の所定位置、すなわち、ケース30がヒートシンク20の上面全体を覆う位置に載置する。なおこの時、ヒートシンク20の上面のうち回路基板11が配される部分には、図示しない絶縁シートが予め配されている。すると、ケース30のケース側位置決め部41がヒートシンク20のヒートシンク側位置決め孔21内に嵌め入れられるとともに、ケース側固定孔42がヒートシンク側第1固定孔22と重ねて配される。また、ケース側リブ45がヒートシンク側溝部26内に嵌め入れられる。これにより、ケース30とヒートシンク20との相対的な位置決めがなされる。また、ケース30内の所定位置に保持・固定された回路基板11とヒートシンク20との相対的な位置決めが同時になされる(
図10参照)。
【0059】
なおこの時、ケース30がヒートシンク20に対して前後方向において反転した間違った方向に取り付けられようとした場合でも、上述したように、単独で設けられるヒートシンク側第1固定孔22Aはケース側位置決め部41が誤って嵌め込まれないようにその位置がずれて配されているから、これにより、ケース30がヒートシンク20に対して正規の向きで取り付けられていないことを検知することができる。
【0060】
また、回路基板11およびケース30がヒートシンク20の所定位置に配された状態において、回路基板11に実装されているコイル15のリード端子17は回路基板11の下面側に突出しているが、ヒートシンク20のうちコイル15が配される位置には逃がし凹部23が設けられているから、リード端子17はヒートシンク20と干渉することなく逃がし凹部23内に収容される(
図4参照)。
【0061】
次に、ヒートシンク20の下面側から、互いに重ねられ連続状態とされたヒートシンク側第1固定孔22およびケース側固定孔42内に例えばネジ部材等の締結部材を螺合し、ヒートシンク20とケース30とを相対的に固定する。これにより、ケース30内の所定位置に保持された回路基板11とヒートシンク20とが間接的に固定された状態とされる。
【0062】
次に、ケース30の上方からシールドカバー50を被せて、シールドカバー50によりケース30を覆う。すると、カバー側リブ56がケース側溝部46内に嵌め入れられるとともに、カバー側固定孔55がヒートシンク側第2固定孔25に重ね合わされる。その後、カバー側固定孔55およびヒートシンク側第2固定孔25にボルト60を通して締結し、シールドカバー50およびヒートシンク20を相対的に固定する。
【0063】
この状態において、
図2に示すように、シールドカバー50の孔部57から、コネクタフード部33および外側端子台35が露出した状態とされる。また、
図4に示すように、シールドカバー50の天板部51は、ケース30の基板カバー部32と重なって(接触して)配されている。すなわち、シールドカバー50の天板部51は基板カバー部32から露出しているコイル15の上面に重なって(接触して)配されている。このようにして、電気接続箱10が完成する。
【0064】
(本実施形態の作用および効果)
本実施形態の電気接続箱10によれば、コイル15の上端付近は、ケース30の基板カバー部32に設けられた保持孔48および保持壁49(保持部47)により、回路基板11の実装面11Aと平行な方向の移動が抑制されるようになっている。また、ケース30の外側にはケース30の基板カバー部32と重なるようにシールドカバー50の天板部51が配されているから、コイル15はこの天板部51により回路基板11の実装面11Aと垂直な方向の移動が抑制されようになっている。すなわち、コイル15は保持部47およびシールドカバー50により回路基板11上において移動しないように保持され、これにより、回路基板11に固定された状態が保たれるようになっているから、プリント配線基板12上にコイル15を固定するための固定手段を設ける領域を新たに設定する必要がない。すなわち、回路基板11ひいては電気接続箱10を小型化することができる。
【0065】
また、このような保持孔48および保持壁49(保持部47)が設けられたケース30(基板カバー部32)は、コイル15をプリント配線基板12上に配置する際の位置決め治具と同様の作用を奏するから、すなわち、保持部47によりコイル15のプリント配線基板12に対する位置決めを行うことができるから、位置決め治具や専用の装置が不要となるとともに、製造時にこれら位置決め治具や専用の装置を使用する工程を省くことができる。すなわち、製造コストを下げることができるとともに、製造方法を簡素化することができる。
【0066】
また、隣り合うコイル15B,15Cおよび15D,15Eは、ひとつの保持部47内に一括に嵌め入れられる構成とされているから、全体をより小型化することができる。
【0067】
さらに、シールドカバー50の天板部51は基板カバー部32から露出しているコイル15の上面に重なって(接触して)配されているから、コイル15で発生した熱をシールドカバー50に速やかに伝達させ、外部に放熱することができる。
【0068】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0069】
(1)上記実施形態では、保持部47を基板カバー部32の保持孔48および保持壁49により構成したが、
参考例として、例えば
図20に示すように、カバー部132に保持孔を設けずにプリント配線基板12側に突出する保持壁149だけを設け、この保持壁149だけで保持部147を構成してもよい。
【0070】
(2)また、保持壁は基板カバー部から必ずしも突出させなくてもよく、
参考例として図21に示すように、基板カバー部232の板厚を厚く形成して、板面から窪む凹状部の内面により保持壁249を構成してもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、ケース30を上下逆さに反転させた状態で保持部47にコイル15を嵌め入れ、その後、コイル15のリード端子17側からプリント配線基板12を取り付ける製造方法としたが、
参考例として図22に示すように、プリント配線基板12上の所定位置にコイル15を配してはんだ付けにより接続した後にケース130を装着し、保持部147内にコイル15を嵌め入れるようにしてもよい。
【0072】
(4)
参考例として図23に示すように、保持部147に接着剤61を塗布し、コイル15を保持部147内に固定することもできる。このようにコイル15を接着剤61により保持部内に固定する場合に、
参考例として図24に示すように、保持部147Aの内径寸法をコイル15の外径寸法よりやや大きめに設定しておき、コイル15の側面に接着剤61を回り込ませるようにしてもよい。このようにすると、コイル15がより安定的に保持部147A内に保持
される。
【0073】
また、上記実施形態のように保持部47が保持孔48を有する場合でも、保持孔48の内側や周縁部に接着剤を塗布して固定することもできる。
【0074】
(5)また、
参考例として図25に示すように、保持部147にばね部材62等の弾性手段を配し、コイル15をプリント配線基板12側に付勢する構成としてもよい。このような構成により、コイル15をさらに安定的にプリント配線基板12上に保持することができる。ばね部材としては、具体的には、板ばねやコイルばね等が挙げられる。
【0075】
(6)例えば
図26に示すように、保持部347は保持壁を有さず、カバー部332に保持孔348だけを備える構成としてもよい。この場合、コイル15の本体部16をカバー部332の上面よりも上方側に突出させ、本体部16の上面にシールドカバー50の天板部51を重ねることにより、コイル15を回路基板11上に保持する構成としてもよい。あるいは、保持部347(保持孔348)の周囲に接着剤を塗布することにより、コイル15を保持部347に固定する構成とすることもできる。
【0076】
(7)上記実施形態では、電子部品としてリード型のコイル15を例示したが、電子部品は上記実施形態に限るものではない。例えば、
図27に示すような表面実装型のコイル115を使用する場合にも、本明細書に開示される技術を適用することができる。
【0077】
(8)基板カバー部は必ずしも回路基板11の全体を覆う必要はなく、少なくともコイル15を覆う領域に設けられていればよい。
【0078】
(9)上記実施形態では、ケース30をシールドカバー50により覆う構成としたが、シールドカバー50は必ずしも必要でなく、省略することもできる。また、シールドカバー50の代わりに合成樹脂製の外側ケースを設ける構成としてもよい。
【0079】
(10)また、上記実施形態のようにケース30をシールドカバー50により覆う場合に、露出されたコイル15の上面に熱伝導性接着剤を塗布しておいてもよい。このような構成によれば、コイル15で発生した熱がよりシールドカバー50に速やかに伝達され、外部に放熱されるから、電気接続箱10が高温化することがより抑制される。