(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501249
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】ボトル容器
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
B65D51/22
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-9173(P2015-9173)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-132478(P2016-132478A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年11月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390024372
【氏名又は名称】竹本容器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】新井 良孝
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−162668(JP,A)
【文献】
特開2007−269403(JP,A)
【文献】
特開2010−235185(JP,A)
【文献】
特開2009−236313(JP,A)
【文献】
特開平09−001413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有する容器本体と、
前記口部を密閉する密閉部を有し、前記口部に設けられる内キャップと、
前記内キャップを覆うように前記口部に装着され、軸方向へ移動することにより、前記密閉部を開封する外キャップと、
前記外キャップの前記軸方向への移動を規制する開封防止体とを備えるボトル容器において、
前記開封防止体は、前記外キャップと別体に形成され、平面視において環状体の周方向一部が開放され、かつ径方向に弾性変形可能なC型形状であり、2つの開放端にはそれぞれ四面体を有し、
前記容器本体の肩部上面には、前記開封防止体を案内するためのガイド部が突設され、
前記ガイド部は、円柱の左右側が垂直並行に切り取られた形状を呈し、2つの平行な垂直ガイド面と、対向する2つの円弧ガイド面を有し、
前記容器本体の肩部上面に形成した突起と前記開封防止体に形成した凹部との凹凸係合による脱落防止機構が設けられ、前記凹部の内側面は前記ガイド部の前記垂直ガイド面に沿う垂直平面であり、前記開封防止体は、前記外キャップが前記容器本体に半係合した状態において、前記外キャップと前記容器本体の肩部との間に着脱自在に装着される、
ことを特徴とするボトル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体などの内容物を充填するボトル容器に関し、特に密閉された口部を開封する機構を備えたボトル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体と、容器本体の口部を密閉する内キャップと、前記内キャップを覆うように前記口部に装着される外キャップとを備えるボトル容器が開示されている(例えば、特許文献1〜13)。このボトル容器は、外キャップが内キャップへ向かって軸方向へ移動することにより、口部を開封する。そして、このようなボトル容器は、口部が不用意に開封されるのを防ぐため、外キャップの軸方向への移動を制限する開封防止体が設けられている。
【0003】
特許文献1〜6には、外キャップと開封防止体が一体に形成され、使用時に開封防止体を外キャップから切り離すことにより、外キャップが移動可能になり、口部を開封することができるボトル容器が開示されている。
【0004】
特許文献7〜13には、外キャップと開封防止体が別体に形成され、使用時に外キャップと開封防止体を容器本体から取り外し、外キャップのみを再度容器本体に装着することにより、口部を開封することができるボトル容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−315821号公報
【特許文献2】特開2012−232775号公報
【特許文献3】特開2013−244965号公報
【特許文献4】特開2013−212876号公報
【特許文献5】特許第2512440号公報
【特許文献6】特許第3024089号公報
【特許文献7】特開平7−112749号公報
【特許文献8】特許第5085986号公報
【特許文献9】特許第5172143号公報
【特許文献10】特許第5432755号公報
【特許文献11】特許第3978224号公報
【特許文献12】特許第4021461号公報
【特許文献13】特許第4846526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1〜6の場合、開封防止体を外キャップから切り離すのに力が必要であり、使用を開始するまでの作業が煩雑であるという問題があった。また上記特許文献7〜13の場合、開封防止体を取り除くために外キャップを一旦取り外す必要があるので、やはり使用を開始するまでの作業が煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明は、容易に使用を開始することができるボトル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るボトル容器は、口部を有する容器本体と、前記口部を密閉する密閉部を有し、前記口部に設けられる内キャップと、前記内キャップを覆うように前記口部に装着され、軸方向へ移動することにより、前記密閉部を開封する外キャップと、前記外キャップの前記軸方向への移動を規制する開封防止体とを備えるボトル容器において、前記開封防止体は、前記外キャップと別体に形成され、平面視において環状体の周方向一部が開放され、かつ径方向に弾性変形可能なC型形状であり、2つの開放端にはそれぞれ四面体を有し、前記容器本体の肩部上面には、前記開封防止体を案内するためのガイド部が突設され、前記ガイド部は、円柱の左右側が垂直並行に切り取られた形状を呈し、2つの平行な垂直ガイド面と、対向する2つの円弧ガイド面を有し、
前記容器本体の肩部上面に形成した突起と前記開封防止体
に形成した凹部との凹凸係合による脱落防止機構が設けられ、
前記凹部の内側面は前記ガイド部の前記垂直ガイド面に沿う垂直平面であり、前記開封防止体は、前記外キャップが前記容器本体に半係合した状態において、前記外キャップと前記容器本体の肩部との間に着脱自在に装着される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開封防止体を弾性変形可能なC型形状とすることにより、外キャップを取り外すことなく開封防止体を抜き取ることができるので、容易に使用を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るボトル容器の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る容器本体の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るボトル容器の全体構成を示す縦端面図である。
【
図4】本実施形態に係る開封防止体の構成を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る容器本体に開封防止体を装着した状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るボトル容器の縦端面図であり、開封防止体を取り除いた状態を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るボトル容器の縦端面図であり、外キャップをねじ込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
(全体構成)
図1に示すボトル容器10は、容器本体12と、容器本体12の上部に設けられている外キャップ14と、容器本体12と外キャップ14の間に装着される開封防止体16とを備える。ボトル容器10は、プラスチックなどの合成樹脂で形成されている。
【0013】
図2に示すように、容器本体12は、内容物を収容する胴部19を有する。胴部19は、底を有する筒状部材で構成される。胴部19の頂には、同軸上に口部17が一体に形成されている。口部17は、胴部19に比べて小径の筒状部材であって、外周面に雄ネジ20が形成されている。
【0014】
胴部19と口部17の間には、肩部21と、当該肩部21から突出するガイド部50とが形成されている。ガイド部50は、開封防止体16を案内するためのものであり、円柱の左右両側を等しく平行垂直に切り取った形状を呈し、口部17を挟んで2つの並行な垂直ガイド面22と、対向する2つの円弧ガイド面51を有する。一方の垂直ガイド面22の下端
の肩部21上面には、開封防止体16が容器本体12から脱落するのを防止するための脱落防止機構の一部を構成する突起24が形成されている。口部17の基端には、停止用突起23が、口部17を挟んで両側にそれぞれ1個ずつ(合計2個)設けられている。
【0015】
口部17には、内キャップ26がはめ込まれている。内キャップ26は、口部17の開口を閉塞する密閉部27を有する。密閉部27は、
図3に示すように、円盤形状の部材からなり、外周縁において薄肉部29を介して内キャップ26の内周面に接続されている。
【0016】
外キャップ14は、キャップ本体28と、キャップ本体28とヒンジ部32を介して一体に形成された上キャップ30とを有する。
【0017】
キャップ本体28は、注ぎ口34と、雌ネジ36と、開封部38とを有する。本図の場合、キャップ本体28は、天井部31と、天井部31の外周縁に一体に形成されたスカート部33とを備える。天井部31には、注ぎ口34が形成されている。注ぎ口34は、容器本体12の開口18に繋がる位置、本実施形態の場合、開口18の同軸上に形成されている。注ぎ口34は、上キャップ30によって閉塞される。
【0018】
天井部31を挟んで注ぎ口34の反対側には、開封部38と、雌ネジ36が形成されている。開封部38は、外形が密閉部27の外径より小さい筒状であって、密閉部27の上方に配置される。開封部38の天井部31側部分には、雄シール部35が形成されている。雄シール部35は、内キャップ26の内径よりやや大きい外径を有するように開封部38を拡径して形成されている。雌ネジ36は、容器本体12の口部17に形成された雄ネジ20(
図2)と締結し得るように形成されている。開封部38及び雌ネジ36は、スカート部33に覆われている。
【0019】
開封防止体16は、スカート部33の下端縁と、容器本体12の肩部21との間に装着されている。
図4に示すように、開封防止体16は、外キャップ14と別体であって、平面視において環状体の周方向一部が開放されたC型形状である。開封防止体16は、環状部40と、環状部40の開放端に形成された四面体42とを有する。環状部40の内周面には、半径方向内側に突出する凸部44と、開封防止体16が容器本体12から脱落するのを防止するため前記突起24との組合せで脱落防止機構を構成する凹部46とが形成されている。開封防止体16は、開放端の距離を広げたり、縮めたりして、径方向に弾性変形し得るように形成されている。本実施形態の場合、開封防止体16は、厚さ方向における表面と裏面で対称となるように形成されている。また、
凹部46の内側面は、ガイド部50の垂直ガイド面22に沿う垂直平面に構成されている。
【0020】
開封防止体16は、環状部40の開放端に形成された2つの四面体42を、容器本体12の径方向からガイド部50に形成された一方の円弧ガイド面51、2つの垂直ガイド面22、他方の円弧ガイド面51の順に沿って差し込むことにより、容器本体12に装着される。この装着された状態において、
図5に示すとおり、四面体42は円弧ガイド面51に密着(弾性圧接)した状態となっている。また開封防止体16は、脱落防止機構を構成する環状部40に形成された凹部46と容器本体12の
肩部21上面に設けられた突起24との嵌合により、容器本体12に固定される(
図5)。次いで、外キャップ14の雌ネジ36を、スカート部33の下端縁が開封防止体16に接触するまで、容器本体12の口部17の雄ネジ20にねじ込む(
図1)。スカート部33の下端縁が開封防止体16に接触したとき、外キャップ14は、開封部38が密閉部27に接触する手前で、保持される。
【0021】
(動作及び効果)
上記のように構成されたボトル容器10は、使用前の状態において、容器本体12と外キャップ14は半係合状態にあり、容器本体12が内キャップ26で密閉されていることにより、容器本体12に収容された内容物が外気に触れることを防止する(
図3)。使用を開始するにあたって、ユーザが、四面体42を押し広げて開封防止体16を径方向に弾性変形させ、脱落防止機構を開放した状態で開封防止体16を外キャップ14と容器本体12の肩部21との間から抜き取る(
図6)。
【0022】
開封防止体16を抜き取ったことにより、半係合状態にあった外キャップ14を容器本体12にさらにねじ込むことができる。外キャップ14は、ユーザがさらにねじ込むことにより軸方向に移動し、開封部38が開口18へ進入していく。開封部38は、外キャップ14がねじ込まれ、さらに軸方向へ移動することにより、密閉部27を押し下げる。外キャップ14は、キャップ本体に形成された停止片25が停止用突起23に接触するまでねじ込まれる。そうすると、密閉部27と内キャップ26の内周面を繋いでいる薄肉部29の一部が切断される。密閉部27は薄肉部29の他の一部において内キャップ26の内周面と接続された状態を維持し、垂れ下がる。開封部38は、開口18の奥へと進み、雄シール部35が内キャップ26の内周面に接触する。このようにして開口18が開封され、注ぎ口34に連結される(
図7)。
【0023】
本実施形態の場合、開封防止体16を弾性変形可能なC型形状としたことにより、外キャップ14を取り外すことなく、開封防止体16を抜き取ることができる。したがってボトル容器10は、外キャップ14を取り外したり、外キャップ14と切断したりする必要がある従来に比べ、開封防止体16を容易に取り除くことができるので、容易に使用を開始することができる。
【0024】
開封防止体16は、環状部40の内周面に径方向内側に突出する凸部44が設けられていることにより、機械的強度を向上することができる。
【0025】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0026】
開封防止体16は、前記環状部40から開放端に向かって厚さが薄くなるように形成してもよい。このように形成することにより、開封防止体16の開放端を小さな力で拡げることができ、外キャップ14と容器本体12の肩部21との間に、より容易に挿入することができる。
【0027】
また脱落防止機構は、容器本体12のガイド部50に設けた突起24と、開封防止体16に形成された凹部46とで構成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。脱落防止機構は、容器本体12のガイド部50に形成された凹部と、開封防止体16に形成された突起とで構成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 ボトル容器
12 容器本体
14 外キャップ
16 開封防止体
17 口部
18 開口
21 肩部
22 垂直ガイド面
23 停止用突起
24 突起(脱落防止機構)
26 内キャップ
27 密閉部
38 開封部
40 環状部
42 四面体
44 凸部
46 凹部(脱落防止機構)
50 ガイド部
51 円弧ガイド面