【文献】
BIO INDUSTRY,2013年 5月12日,Vol. 30, No. 5,p. 47-54
【文献】
CLIN. CHEM.,1992年,Vol. 38, No. 4,p. 512-515
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)の糖質原料、及び該糖質原料を可逆的に加リン酸分解しα−グルコース−1−リン酸を生じる酵素の組合せが、スクロースとスクロースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.7)との組合せ、デンプン若しくはデキストリンとホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)との組合せ、セロビオースとセロビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.20)との組合せ、セロデキストリンとセロデキストリンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.49)及びセロビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.20)との組合せ、ラミナリオリゴ糖とラミナリビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.31)及び/若しくはβ−1,3オリゴグルカンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.30)との組合せ、ソホロオリゴ糖とソホロースホスホリラーゼ及び/若しくはβ−1,2オリゴグルカンホスホリラーゼとの組合せ、並びにトレハロースとトレハロースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.231)との組合せ、よりなる群から選択される1つ以上の組合せである、請求項1に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、安価でかつ選択的にα−グルコシドを製造する汎用的方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、酵素法により安価な糖質原料から選択的にα−グルコシドを生産する汎用的製造法を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下を包含する。
【0008】
(1)リン酸、α−ホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.2)、β−ホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.6)及びそれらの補因子の存在下で、
(i)糖質原料、及び該糖質原料を可逆的に加リン酸分解しα−グルコース−1−リン酸を生じる酵素の組合せ;並びに
(ii)α−グルコシドを可逆的に加リン酸分解してβ−グルコース−1−リン酸を生じる酵素及びその逆反応において糖アクセプターとして作用する物質の組合せを作用させることを特徴とする、α−グルコシドの製造方法。
【0009】
(2)(i)の糖質原料、及び該糖質原料を可逆的に加リン酸分解しα−グルコース−1−リン酸を生じる酵素の組合せが、スクロースとスクロースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.7)との組合せ、デンプン若しくはデキストリンとホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)との組合せ、セロビオースとセロビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.20)との組合せ、セロデキストリンとセロデキストリンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.49)及びセロビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.20)との組合せ、ラミナリオリゴ糖とラミナリビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.31)及び/若しくはβ−1,3オリゴグルカンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.30)との組合せ、ソホロオリゴ糖とソホロースホスホリラーゼ及び/若しくはβ−1,2オリゴグルカンホスホリラーゼとの組合せ、並びにトレハロースとトレハロースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.231)との組合せ、よりなる群から選択される1つ以上の組合せである、上記(1)に記載の方法。
【0010】
(3)(ii)のα−グルコシドを可逆的に加リン酸分解してβ−グルコース−1−リン酸を生じる酵素及びその逆反応において糖アクセプターとして作用する物質の組合せが、ニゲロースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはガラクトース及び/若しくはキシロースとの組合せ、コージビオースホスホリラーゼとグルコースとの組合せ、トレハロースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはガラクトース及び/若しくはキシロース及び/若しくはアラビノース及び/若しくはフコースとの組合せ、グルコシル−α−1,2−グリセロールホスホリラーゼとグリセロールとの組合せ、マルトースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはマンノース及び/若しくはキシロース及び/若しくはフコース及び/若しくはグルコサミン及び/若しくはN−アセチルグルコサミンとの組合せ、よりなる群から選択される1つ以上の組合せである、上記(1)に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価でかつ選択的にα−グルコシドを製造する汎用的方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】デンプンからのニゲロースの製造の概略図である。
【
図2】デンプンからのグルコシル−α−1,3−ガラクトースの製造の概略図である。
【
図3】デンプンからのコージビオースの製造の概略図である。
【
図4】デンプンからのトレハロースの製造の概略図である。
【
図5】デンプンからのグルコシル−α1,α1−ガラクトースの製造の概略図である。
【
図6】デンプンからのグルコシル−α1,α1−キシロースの製造の概略図である。
【
図7】デンプンからのグルコシル−α1,α1−L−アラビノースの製造の概略図である。
【
図8】デンプンからのグルコシル−α1,α1−L−フコースの製造の概略図である。
【
図9】デンプンからのマルトースの製造の概略図である。
【
図10】デンプンからのグルコシル−α1,4−マンノースの製造の概略図である。
【
図11】デンプンからのグルコシル−α1,4−キシロースの製造の概略図である。
【
図12】デンプンからのグルコシル−α1,4−L−フコースの製造の概略図である。
【
図13】スクロースからのニゲロースの製造の概略図である。
【
図14】セロビオースからのニゲロースの製造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、酵素法による、α−グルコシドの製造方法に関する。
【0014】
本発明のα−グルコシドの製造方法は、リン酸、α−ホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.2)、β−ホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.6)及びそれらの補因子の存在下で、(i)糖質原料、及び該糖質原料を可逆的に加リン酸分解しα−グルコース−1−リン酸を生じる酵素の組合せ;並びに(ii)α−グルコシドを可逆的に加リン酸分解してβ−グルコース−1−リン酸を生じる酵素及びその逆反応において糖アクセプターとして作用する物質の組合せを作用させるものである。
【0015】
本発明の酵素法は、主に以下の3つの酵素反応からなる:(A)糖質原料の加リン酸分解反応;(B)α−グルコース−1−リン酸のβ−グルコース−1−リン酸への変換反応、(C)糖アクセプターからのα−グルコシドの合成反応。
【0016】
(A)の糖質原料の加リン酸分解反応は、糖質原料と該糖質原料を加リン酸分解してα−グルコース−1−リン酸を生じる酵素(G1P生成酵素)との組合せが、リン酸の存在下で反応して、α−グルコース−1−リン酸及び還元末糖が生じる反応である。
【0017】
糖質原料とG1P生成酵素の組合せは、これに限定されるものではないが、スクロースとスクロースホスホリラーゼとの組合せ、デンプン若しくはデキストリンとホスホリラーゼとの組合せ、セロビオースとセロビオースホスホリラーゼとの組合せ、セロデキストリンとセロデキストリンホスホリラーゼ及びセロビオースホスホリラーゼとの組合せ、ラミナリオリゴ糖とラミナリビオースホスホリラーゼ及び/若しくはβ−1,3オリゴグルカンホスホリラーゼとの組合せ、ソホロオリゴ糖とソホロースホスホリラーゼ及び/若しくはβ−1,2オリゴグルカンホスホリラーゼとの組合せ、トレハロースとトレハロースホスホリラーゼとの組合せ、のいずれか一つ、あるいはそれらの組合せを含む。より好ましい組合せは、スクロースとスクロースホスホリラーゼとの組合せ、セロビオースとセロビオースホスホリラーゼとの組合せ、セロデキストリンとセロデキストリンホスホリラーゼ及びセロビオースホスホリラーゼとの組合せ、デンプン又はデキストリンとホスホリラーゼとの組合せ、のいずれ一つ、あるいはそれらの組合せである。
【0018】
糖質原料の使用濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜1000g/Lであり、より好ましくは10〜1000g/Lである。
【0019】
G1P生成酵素は、いかなる起源の酵素を用いることも可能であり、その使用形態は特に限定されるものではなく、菌体抽出液、精製酵素、固定化酵素など種々のものを利用することができる。その使用量も特に限定されないが、例えば糖質原料1gあたり0.1〜1000mgのG1P生成酵素を使用することができる。
【0020】
また、この反応に関わるリン酸は、いかなる起源のものであっても良い。反応系に加えるリン酸濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜1000mM、より好ましくは1〜100mMである。
【0021】
上記(B)のα−グルコース−1−リン酸のβ−グルコース−1−リン酸への変換反応は、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ及びそれらの補因子の組合せによって、上記(1)の糖質原料の加リン酸分解反応で生じたα−グルコース−1−リン酸をグルコース6−リン酸に、グルコース−6−リン酸をβ−グルコース−1−リン酸へ変換する反応である。
【0022】
これらの酵素は、特定のものに限定されるものではなく、いかなる起源の酵素を用いることも可能である。これらの酵素の使用形態は特に限定されるものではなく、菌体抽出液、精製酵素、固定化酵素など種々のものを利用することができる。その使用量も特に限定されないが、例えば糖質原料1gあたり0.1〜1000mgの酵素を使用することができる。また、補因子としては、塩化マグネシウム、グルコース−1,6−ビスリン酸などが用いられる。補因子の使用濃度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜100mM、より好ましくは0.01〜100mMである。
【0023】
上記(C)の糖アクセプターからのα−グルコシドの合成反応は、α−グルコシドを可逆的に加リン酸分解してβ−グルコース−1−リン酸を生じる酵素(α−グルコシドホスホリラーゼ)の存在下で、糖アクセプターを出発原料として、上記(B)のα−グルコース−1−リン酸のβ−グルコース−1−リン酸への変換反応によって生じたβ−グルコース−1−リン酸からα−グルコシドを合成する反応である。
【0024】
α−グルコシドホスホリラーゼと糖アクセプターの組合せは、これに限定されるものではないが、ニゲロースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはガラクトース及び/若しくはキシロースとの組合せ、コージビオースホスホリラーゼとグルコースとの組合せ、トレハロースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはガラクトース及び/若しくはキシロース及び/若しくはアラビノース及び/若しくはフコースとの組合せ、グルコシル−α−1,2−グリセロールホスホリラーゼとグリセロールとの組合せ、マルトースホスホリラーゼとグルコース及び/若しくはマンノース及び/若しくはキシロース及び/若しくはフコース及び/若しくはグルコサミン及び/若しくはN−アセチルグルコサミンとの組合せ、のいずれか一つ、あるいはそれらの組合せである。
【0025】
α−グルコシドホスホリラーゼは、いかなる起源の酵素を用いることも可能であり、その使用形態は特に限定されるものではなく、菌体抽出液、精製酵素、固定化酵素など種々のものを利用することができる。その使用量も特に限定されないが、例えば糖質原料1gあたり0.1〜1000mgのα−グルコシドホスホリラーゼを使用することができる。
【0026】
糖アクセプターの濃度は、特に限定されないが、好ましくは10mM〜2M、より好ましくは100mM〜1Mである。
【0027】
上述した本発明において用いられる酵素は、任意の起源のものでよく、例えば細菌等の原核生物、酵母、菌類、動物等の真核生物由来のものであってもよく、組換え酵素であってもよい。また、上述した酵素は、市販のものを使用することができるほか、当業者に周知の方法、例えば天然からの精製や遺伝子組換え法によって取得することができる。
【0028】
例えば、上述した酵素は、文献に記載されている該酵素遺伝子の塩基配列、若しくは公知の核酸又はタンパク質配列データベースに登録されている該酵素遺伝子の塩基配列を基に作製したプライマーを用いたPCRによって、適当なライブラリー中の該酵素遺伝子に対応するmRNAから作製したcDNAを増幅した後に、該cDNAを市販の遺伝子発現ベクターに組込み、該発現ベクターで大腸菌等の菌体を形質転換することによって、菌体中で生成される。生成された酵素は、硫安分画等の粗分画又は各種のカラムクロマトグラフィーなど、当業者に周知のタンパク質精製法によって精製できる。また、酵素をGSTやHis−tagとの融合タンパク質として発現させることにより、その後の精製を容易にすることができる。
【0029】
また、上述した酵素は、上記の原核生物細胞又は真核生物細胞から直接精製してもよい。細胞破壊液を調製し、遠心分離、硫安分画、透析、各種クロマトグラフィー(例えばゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなど)、電気泳動、限外ろ過、結晶化などの酵素精製のための一般的な技術を適宜組合せて、目的の酵素を精製することができる。本発明において使用可能な酵素の形態は、精製酵素の他に、粗製酵素(例えば菌体抽出液、凍結乾燥体など)でもよい。粗製酵素を使用する場合には、上記反応を妨害する因子を含むべきではない。
【0030】
反応形態は、特に限定されるものではないが、通常は水溶液又は緩衝液中で行われる。反応液のpHは、好ましくは5〜9である。反応温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは5℃〜80℃、より好ましくは20℃〜80℃である。また、反応時間は、特に限定されるものではないが、0.1〜3000時間であることが好ましい。
【0031】
本発明の一つの利点は、上記全ての酵素反応を、一容器中で又はバイオリアクターを用いて簡便かつ容易に実施できる点にある。
【0032】
本発明により得られるα−グルコシドは、任意の方法で精製することができる。例えば、本発明により得られるα−グルコシドは、カラムクロマトグラフィーや結晶化により単離することが可能である。カラムクロマトグラフィーとしては、これに限定されるものではないが、サイズ排除クロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、限外濾過膜分離、逆浸透膜分離が含まれる。結晶化方法としては、これに限定されるものではないが、濃縮、温度低下、溶媒添加(エタノール、メタノール、アセトンなど)が含まれる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0034】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
デンプンを糖質原料としてニゲロース(グルコシル−α−1,3−グルコース)への変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度100mg/mL デンプン、0.5M
グルコース、10mM 塩化マグネシウム、75mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、ニゲロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.02mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で216時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを分解した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりニゲロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりニゲロース標品27mgを得た。(
図1)
【実施例2】
【0036】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α−1,3−ガラクトースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度100mg/mL デンプン、0.5M ガラクトース、10mM 塩化マグネシウム、50mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、ニゲロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.02mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で168時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを分解した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりニゲロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりニゲロース標品33mgを得た。(
図2)
【実施例3】
【0037】
デンプンを糖質原料としてコージビオース(グルコシル−α−1,2−グルコース)への変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、1M グルコース、10mM 塩化マグネシウム、25mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、コージビオースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.27mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で240時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを分解した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりコージビオース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりコージビオース標品12mgを得た。(
図3)
【実施例4】
【0038】
デンプンを糖質原料としてトレハロース(グルコシル−α1,α1−グルコース)への変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、1M グルコース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、トレハロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.21mg、0.0085mg、0.208mg、0.33μg加え、30℃で240時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、有機溶媒沈殿および遠心分離処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりトレハロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりトレハロース標品18mgを得た。(
図4)
【実施例5】
【0039】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α1,α1−ガラクトースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M ガラクトース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、トレハロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.21mg、0.0085mg、0.208mg、0.33μg加え、30℃で264時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりトレハロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α1,α1−ガラクトース標品34mgを得た。(
図5)
【実施例6】
【0040】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α1,α1−キシロースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M キシロース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、トレハロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.21mg、0.0085mg、0.208mg、0.33μg加え、30℃で216時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりトレハロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α1,α1−キシロース標品37mgを得た。(
図6)
【実施例7】
【0041】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α1,α1−L−アラビノースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M L−アラビノース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、トレハロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.21mg、0.0085mg、0.208mg、0.33μg加え、30℃で120時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりトレハロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α1,α1−L−アラビノース標品38mgを得た。(
図7)
【実施例8】
【0042】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α1,α1−L−フコースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M L−フコース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、トレハロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.21mg、0.0085mg、0.208mg、0.33μg加え、30℃で72時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりトレハロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α1,α1−L−フコース標品21mgを得た。(
図8)
【実施例9】
【0043】
デンプンを糖質原料としてマルトース(グルコシル−α−1,4−グルコース)への変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、1M グルコース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH6.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.13mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で240時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、有機溶媒沈殿および遠心分離処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりマルトース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりマルトース標品9mgを得た。(
図9)
【実施例10】
【0044】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α−1,4−マンノースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M マンノース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH6.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.13mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で216時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりマルトース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α−1,4−マンノース標品44mgを得た。(
図10)
【実施例11】
【0045】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α−1,4−キシロースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M キシロース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH6.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.13mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で72時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、有機溶媒沈殿および遠心分離処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりマルトース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α−1,4−キシロース標品23mgを得た。(
図11)
【実施例12】
【0046】
デンプンを糖質原料としてグルコシル−α−1,4−L−フコースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度50mg/mL デンプン、0.5M L−フコース、10mM 塩化マグネシウム、100mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH6.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、イソアミラーゼを1ミリリットル当たり0.96mg、0.13mg、0.0085mg、0.21mg、0.33μg加え、30℃で24時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを7.0に調整後、グルコアミラーゼ処理を行うことにより残存デンプンを除去した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりマルトース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりグルコシル−α−1,4−L−フコース標品11mgを得た。(
図12)
【実施例13】
【0047】
スクロースを糖質原料としてニゲロースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度0.5M スクロース、10mM 塩化マグネシウム、25mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにスクロースホスホリラーゼ、ニゲロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼ、キシロースイソメラーゼを1ミリリットル当たり0.033mg、0.02mg、0.0085mg、0.21mg、0.33mg加え、30℃で216時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを4.5に調整後、インベルターゼ処理を行うことにより残存スクロースを分解した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりニゲロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりニゲロース標品79mgを得た。(
図13)
【実施例14】
【0048】
セロビオースを糖質原料としてニゲロースへの変換反応を行った。反応液量は1mLとし、終濃度0.25M セロビオース、10mM 塩化マグネシウム、25mM リン酸−ナトリウム緩衝液(pH7.0)、59μM グルコース−1,6−ビスリン酸からなる基質溶液を調製し、そこにセロビオースホスホリラーゼ、ニゲロースホスホリラーゼ、α−ホスホグルコムターゼ、β−ホスホグルコムターゼを1ミリリットル当たり2.3mg、0.02mg、0.0085mg、0.21mg加え、30℃で216時間反応を行った。反応を0.15mLの6N 塩酸を添加することで反応を停止し、反応液のpHを5.0に調整後、β−グルコシダーゼ処理を行うことにより残存セロビオースを分解した。反応液をTOYOPEARL HW−40Sカラムに供し、ゲル濾過によりニゲロース画分を単離、回収した。回収した画分をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥によりニゲロース標品26mgを得た。(
図14)