特許第6501332号(P6501332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6501332ブリスターパックからの収容物の取出しを検出する検出装置、その検出方法および服薬管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501332
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】ブリスターパックからの収容物の取出しを検出する検出装置、その検出方法および服薬管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20190408BHJP
   A61J 7/00 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G01B11/00 Z
   A61J7/00 L
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-511566(P2018-511566)
(86)(22)【出願日】2017年4月17日
(86)【国際出願番号】JP2017015502
(87)【国際公開番号】WO2017179741
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年3月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515349733
【氏名又は名称】株式会社日本未来医療研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】平泉 一城
(72)【発明者】
【氏名】福井 準一
(72)【発明者】
【氏名】武蔵 国弘
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/004212(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/023430(WO,A1)
【文献】 特開2007−093586(JP,A)
【文献】 特開平10−201827(JP,A)
【文献】 特開平07−050569(JP,A)
【文献】 特開2014−038055(JP,A)
【文献】 特開2012−119448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に収容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で前記収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックにおける、前記収容物の有無を検出する検出装置であって、
前記ブリスターパックを配置するプレートと、
前記ブリスターパックを前記プレートに向けて押さえる機能を有するカバーと、
前記プレートに配置された前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって光を射出する複数の光源と、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する複数のセンサと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記カバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出手段と、
を備え、
各一対の前記光源および前記センサを、前記プレートに配置される前記ブリスターパックの前記収容部のそれぞれを挟む位置に備えた検出装置。
【請求項2】
閉じた状態のときに、前記ブリスターパックを前記プレートに向けて押さえる機能を有するカバーをさらに備えた請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記収容物が取り出されていない状態においては、前記光源から射出され前記収容物の表面で反射した光が、前記収容部に対向する前記プレートの表面で吸収され、前記シートが破れて前記収容物が取り出された状態においては、前記光源からの光が前記カバーの内面で反射されるように、前記カバーの内面が、前記プレートの前記表面に比較して、光の反射率の高い色で構成されている請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記カバーの開閉検知手段をさらに備え、
前記光源は、前記カバーが閉じられたことを検知したことをトリガーとして発光し、前記センサによって受光して、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する請求項2または3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記プレートは、前記ブリスターパックの各収容部を挿入するため前記収容部に対応する数、位置および大きさに設けられた凹部を有し、
前記光源および前記センサは、前記凹部内に設けられた、互いに対向する切り欠き部に配置され、
前記光源は、前記シートの方向に向けて光を射出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記ブリスターパックの一部を挿入固定するためのスリットをさらに有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記複数の光源を、全てばらばらのタイミングで発光させる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に収容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックから、前記収容物がどのようなタイミングで取り出されたかを検出する検出方法であって、
前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって光を射出する複数の光源を発光させる発光ステップと、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を複数のセンサが受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する信号出力ステップと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記収容部のカバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出ステップと、
を含む検出方法。
【請求項9】
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に薬が収容され、破れやすいシートで覆った上で前記収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックから、前記薬がどのようなタイミングで取り出されたかを管理する服薬管理システムであって、
前記ブリスターパックを配置するプレートと、
前記ブリスターパックを前記プレートに向けて押さえる機能を有するカバーと、
前記プレートに配置された前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって斜めに光を射出する複数の光源と、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する複数のセンサと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記カバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を表示する表示手段と、
を備え、
各一対の前記光源および前記センサを、前記プレートに配置される前記ブリスターパックの前記収容部のそれぞれを挟む位置に設けた服薬管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパックからの収容物の取出しを検出する検出装置、その検出方法および服薬管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、ブリスターパックに収容された薬の服用を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−62438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、服薬を管理するために非常に特殊なブリスターパックを用意する必要があった。さらに、一般的に、ブリスターパック内の収容物の取り出しを簡便に検出する技術が待たれていた。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にかかる検出装置は、
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に収容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で前記収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックにおける、前記収容物の有無を検出する検出装置であって、
前記ブリスターパックを配置するプレートと、
前記ブリスターパックを前記プレートに向けて押さえる機能を有するカバーと、
前記プレートに配置された前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって光を射出する複数の光源と、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する複数のセンサと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記カバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出手段と、
を備え、
各一対の前記光源および前記センサを、前記プレートに配置される前記ブリスターパックの前記収容部のそれぞれを挟む位置に備えた。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかる検出方法は、
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に収容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックから、前記収容物がどのようなタイミングで取り出されたかを検出する検出方法であって、
前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって光を射出する複数の光源を発光させる発光ステップと、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を複数のセンサが受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する信号出力ステップと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記収容部のカバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出ステップと、
を含む検出方法である。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明にかかる服薬管理システムは、
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に薬が収容され、破れやすいシートで覆った上で前記収容部の周辺部と前記シートとが固着されたブリスターパックから、前記薬がどのようなタイミングで取り出されたかを管理する服薬管理システムであって、
前記ブリスターパックを配置するプレートと、
前記ブリスターパックを前記プレートに向けて押さえる機能を有するカバーと、
前記プレートに配置された前記ブリスターパックの前記複数の収容部の外側から前記シートに向かって斜めに光を射出する複数の光源と、
前記光源から射出され、前記樹脂を透過して前記シートで反射した光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する複数のセンサと、
前記収容部に前記収容物が入っている状態では、前記光源から射出された光は前記収容物によって遮断され、前記複数のセンサに入射せず、前記収容物が入っていない状態では、前記光源から射出された光は、前記カバーの内面又は破かれた前記シートに反射して前記複数のセンサに入射することにより、前記複数のセンサから出力された電気信号に基づいて、前記収容部のそれぞれにおける収容物の有無を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果を表示する表示手段と、
を備え、
各一対の前記光源および前記センサを、前記プレートに配置される前記ブリスターパックの前記収容部のそれぞれを挟む位置に設けた服薬管理システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブリスターパックに収容された収容物の取り出しを簡易に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る検出装置のカバーを閉じた状態の斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る検出装置のカバーを開いた状態の斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る検出装置にブリスターパックをセットした状態の図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る検出装置の分解図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る検出装置の凹部の拡大図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る検出装置の収納物の検出原理を説明する図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る検出装置の回路図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る検出装置の利用方法を説明する図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る検出装置の利用方法を説明する図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る検出装置の利用方法を説明する図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る検出装置の利用方法を説明する図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る検出装置の利用方法を説明する図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る服薬管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る検出装置の処理の流れを説明するフローチャートである。
図16】本発明の第2実施形態に係る服薬管理システムの利用方法を説明する図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る服薬管理システムの利用方法を説明する図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る服薬管理システムの利用方法を説明する図である。
図19】本発明の第3実施形態に係る検出装置の構成を示すブロック図である。
図20】本発明の第4実施形態に係る検出装置のカバーを開いた状態の斜視図である。
図21】本発明の第5実施形態に係る検出装置のカバーを外した状態の平面図である。
図22図21のV−V位置における拡大断面図である。
図23】収容部材の内壁面によって画定される収容空間にブリスターパックの収容部が収容された状態を説明するための図である。
図24図23のVIII−VIII位置における断面図であって、収容物が収容部に収容されている状態の断面図である。
図25図23のVIII−VIII位置における断面図であって、収容物が収容部から押し出された状態の断面図である。
図26図23のVIII−VIII位置における断面図であって、収容物が収容部から押し出された他の状態の断面図である。
図27】本発明の第6実施形態に係る検出装置の収容空間の断面図および斜視図である。
図28】本発明の第7実施形態に係る検出装置を説明する図である。
図29】本発明の第8実施形態に係る検出装置について説明するための図である。
図30】本発明の第9実施形態に係る検出装置について説明するための図である。
図31】本発明の第10実施形態に係る検出装置を説明するための図である。
図32】本発明の第10実施形態に係る検出装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての検出装置100について、図1を用いて説明する。
【0013】
検出装置100は、複数の収容部121と該複数の収容部121を連結する板状部122とを備えたブリスターパック120から、収容物130がどのようなタイミングで取り出されたかを検出する。
【0014】
検出装置100は、プレート101と複数の光源102と複数のセンサ103と検出部104とを含む。
【0015】
プレート101は、ブリスターパック120を配置する。
【0016】
複数の光源102は、プレート101に配置されたブリスターパック120の複数の収容部121に光を射出する。
【0017】
複数のセンサ103は、複数の光源102から射出された光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する。
【0018】
検出部104は、複数のセンサ103から出力された電気信号に基づいて、収容部121のそれぞれにおける収容物130の有無を検出する。
【0019】
本実施形態によれば、ブリスターパックに収容された複数の収容物がどのようなタイミングで取り出されたかを簡易に検出できる。
【0020】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る検出装置について、図2以降を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る検出装置200の外観を説明するための図である。図2に示すように、検出装置200は、ブリスターパックの大きさに対応するA7サイズ程度の厚板形状であり、大きく分けて、本体201と、ヒンジ(不図示)によって開閉可能に設けられ本体201の一方の面の一部を覆うカバー202とを備える。
【0021】
図3は、ブリスターパック320を検出装置200内に配置、装着するため、検出装置200のカバー202を開いた状態の斜視図である。
【0022】
ブリスターパック320は、いわゆるPTP(press through pack)シートであり、複数の凸状収容部321と複数の凸状収容部321を連結する板状部322とを有する。
【0023】
図3では複数の凸状収容部321が下向きになる状態のブリスターパック320を示しているため、複数の凸状収容部321は点線で描かれている。複数の凸状収容部321は、それぞれ収容物330(図では例として円盤状の錠剤)を収容可能である。
【0024】
ブリスターパック320は、透明な樹脂成形体323で作った凸状収容部321のそれぞれに収容物330を入れ、アルミ箔等の比較的破れやすいシート324を凸状収容部321の周辺部と接着または熱圧着させることにより形成されている。
【0025】
人の手により、図中下方向から、凸状収容部321を形成する透明または半透明な樹脂成形体323を図中上方に押し込むことにより、板状部322の上面に貼着されたシート324が破れて、収容物330が外に取り出される。
【0026】
ブリスターパック320の収容物330としては、例えば、医薬品や、医薬部外品や、サプリメント等が挙げられ、経口服薬剤以外の座薬などでもよい。形状も、錠剤、カプセル剤、トローチ剤の他、座薬などであってもよく、ブリスターパックからの取り出しを検出したいものであれば、その用途、形状を限定されるものではない。
【0027】
本体201は、ブリスターパック320を配置し、装着するための配置ユニット301を備えている。配置ユニット301は、複数の凸状収容部321に対応する数、位置および大きさの複数の凹部311を備えており、ブリスターパック320のXY方向の位置決め機能を有する。
【0028】
一方、カバー202は、裁置されたブリスターパック320を配置ユニット301に向けて押圧するものであり、配置ユニット301と共に、ブリスターパック320のZ方向の位置決め機能を有する。ここでは例として、X方向に7行、Y方向に4列の計21個の凸状収容部321を備えたブリスターパック320を図示しているが、本発明の検出対象となるブリスターパックは、これに限定されるものではない。2行5列や、1行8列と行った種々のタイプのブリスターパック320に対応可能な配置ユニット301であってもよい。
【0029】
さらに、本体201は、配置ユニット301の側方に、マイクロコントローラ302を内蔵しており、マイクロコントローラ302は、複数の凹部311における収容物330の検出処理の一部を担っている。
【0030】
図4は、ブリスターパック320を配置ユニット301に載置した状態を示す図である。カバー202は、マグネットプレート401を内蔵しており、開閉検知手段としての磁気型近接センサ402が、カバー202の開閉を検出し、マイクロコントローラ302に伝える。マイクロコントローラ302は、カバー202が閉められたことを検知したことをトリガーとして、ブリスターパック320の収容物330の検出処理を開始する。なお、ここでは、カバー202の開閉検知に、マグネットと磁気型近接センサの組合せを用いているが本発明はこれに限定されるものではなく、機械的なスイッチで開閉(特に閉)を検知してもよい。
【0031】
《分解図》
図5は、検出装置200の分解図である。本体201は、多孔プレート501と基盤502と筐体503とマイコンカバー504とを含む。多孔プレート501と基盤502とにより配置ユニット301が構成されている。
【0032】
多孔プレート501は、複数の貫通孔により凹部311の側壁面511を構成し、基盤502は、凹部311の底面を構成する。
【0033】
基盤502上には、発光部としてのLED(light emitting diode)521、センサ522、およびマイクロコントローラ302が設けられ、それぞれ電子回路(裏面)で接続されている。さらに、基盤502上には、ボタン電池523、Bluethooth(登録商標)通信用の通信モジュール524、および通信中であることを通知する通知用LED525が設けられ、それぞれ電子回路(裏面)で接続されている。マイクロコントローラ302、ボタン電池523、Bluethooth(登録商標)通信用の通信モジュール524、および通信中であることを通知する通知用LED525は、マイコンカバー504内に収容されて組み付けられる。
【0034】
多孔プレート501と基盤502とを組み付けてユニット化した際には、全てのLED521とセンサ522は、凹部311内(側壁面511内)に配置される。LED521は、配置ユニット301に配置されたブリスターパック320の複数の収容部321の一つ一つに光を射出する。
【0035】
多孔プレート501は、ブリスターパック320のXY方向の位置決め以外に、LED521から照射した光をセンサ522以外が受光することを防ぐ機能を有する。つまり、光が凹部311から漏れでないようにしている。
【0036】
つまり、LED521から照射した光は、収容物330が存在する場合には、確実に、収容物330に遮られ、センサ522に到達しないことが望ましい。例えば、多孔プレート501が透過性を有してまうと、隣の凹部311に設けられたLED521からの光がセンサ522に届いてしまうため、多孔プレート501は、できるだけ透過性の低い材料で形成されることが望ましい。また、LED521は、センサ522以外の方向に向けて光を照射することが望ましく、本実施形態では、上方(カバー202方向あるいはシート324方向)に向けて照射する。センサ522についても同様に上方(カバー202方向あるいはシート324方向)からの光を受光しやすい向きに設置される。
【0037】
また、LED521から照射した光が基盤502で反射して、センサ522に到達することを防ぐため、基盤502の上面は反射率の低い色あることが望ましく、本実施形態では黒色になっている。
【0038】
LED521から照射される光は、直線光でよく、凹部311内で拡散される必要は無い。そのため、側壁面511が黒色であってもよい。
【0039】
センサ522は、LED521から射出された光を受光すると共に受光強度に応じた電気信号を出力する。
【0040】
マイクロコントローラ302は、複数のLED521を時分割で駆動し、全てバラバラのタイミングで発光させる。一方、マイクロコントローラ302は、複数のセンサ522から受信した電気信号の強度が所定の閾値を超えるか否かでブリスターパック320の収容部321のそれぞれにおける収容物330の有無を検出する。
【0041】
通信モジュール524は、検出結果を、スマートフォン等の外部機器に向けて電波により出力する。スマートフォン等に所定の服薬管理用のソフトをインストールしておくことで、検出結果を受信したスマートフォンで、服薬管理を行うことができる。即ち、ブリスターパック320のいずれの収容部321からどのようなタイミングで収容物330が取り出されたかを検出でき、例えば、毎日、決められた時間に所定個数の錠剤を服薬したか否かや、所定時間ごとに錠剤を服薬したか否か等の服薬管理を行うことができる。
【0042】
筐体503は、多孔プレート501と基盤502とを収容する大きさおよび形状に形成されており、上方からマイコンカバー504が取り付けられる。
【0043】
図6は、凹部311の拡大図である。凹部311は、側壁面511の他に、LED521およびセンサ522が配置される2つの切り欠き部601、602を備えている。LED521およびセンサ522は、共に上向き(閉じた状態のカバー202内面向き)に取り付けられており、ブリスターパック320に向けて光を射出する一方、LED521から射出された光が直接はセンサ522に入射しないように配置されている。
【0044】
《光路》
図7は、LED521からセンサ522までの光路について説明するための凹部311の断面図である。上側に示したように収容物330が入っている状態701では、収容物330によって、LED521から射出された光が遮断され、センサ522に入射しない。収容物330の表面や樹脂成形体323で反射した光は、基盤502の黒色表面によって吸収され、センサ522まで到達しない。
【0045】
一方、下側に示したように収容物330が入っていない状態702、703では、LED521から射出された光が、カバー202の内面704や、内側に垂れ下がったシート324などに反射してセンサ522に入射する。ここで、収容物330が入っていない状態702、703で確実に光がセンサ522側に反射されるように、カバー202の内面704は、反射率の高い色(白色や金属色)であることが望ましい。
【0046】
《回路》
図8は、基盤502に設けられた回路の概略構成を示すための図である。図8に示すとおり、マイクロコントローラ302は、全てのLED521は独立にマイクロコントローラ302に接続され、バラバラに制御されている。一方、センサ522については、1行に含まれる4つのセンサ522が同時にアクティブになり、4つのうちいずれかのセンサ522に光が入射したことを検知できる。このように、センサ522を4つずつまとめて制御する構成にすれば、マイクロコントローラ302の端子数を少なくすることができ、より小型のマイクロコントローラ302を用いることが可能となる。一方、装置の大きさやコストに制限がなければ、全てのセンサ522をバラバラに制御してもよい。その場合、28対のLED521およびセンサ522をそれぞれ同じタイミングで制御すればよい。
【0047】
マイクロコントローラ302において、28個のセンサ522のそれぞれの検出結果情報としての28ビットのデータは、相対時刻を示すデータ(32ビットのタイムスタンプ)と組み合わされて、1回分の検出結果情報とされる。そして、所定回数分(例えば20回分)の検出結果情報がマイクロコントローラ302内に記憶される。これにより、外部機器との通信がうまくいかない場合でも、ブリスターパック320内の各凸状収容部321のそれぞれにおける収容物330の有無についての情報は、一時的にマイクロコントローラ302に記憶され、次回外部機器と通信に成功した際に、まとめて送られる。例えば、外部機器は、新しい回の検出情報から順番に受け取り、外部機器内に記憶している記憶情報のタイムスタンプと順次比較することで、余すところ無く、過去の収容物330の取り出し履歴を受信することができる。なおマイクロコントローラ302のタイムスタンプは、外部機器との通信ごとに外部機器の時刻によって上書きされる。
【0048】
《使用方法》
図9図17を用いて、検出装置200の使用方法について、詳しく説明する。
【0049】
図9に示すように薬局において、患者920は、薬剤師910から、検出装置200と共に薬を受け取り、使用方法について説明を受ける。また、患者920が所有するスマートフォンなどのユーザ端末902に対して所定のアプリケーションプログラムをダウンロードする。
【0050】
ここでは例としてウォレットパッケージ901と呼ばれる、ブリスターパック320を内蔵する3つ折りのシートを受け取り、定期的に錠剤を服用する場合について説明する。ウォレットパッケージ901では、パッケージの内側と外側の表面を、情報表示用の追加印刷面として使用でき、さらに、子供やお年寄りが誤飲することを防止できる機能を有している。
【0051】
図10に示すように、ブリスターパック320を内蔵したウォレットパッケージ901を開くと、連続した3つのシート1011〜1013となる。ウォレットパッケージ901を受け取った患者は、3つのシート1011〜1013のうち、ブリスターパック320が内蔵されていないシート1011、1012を、カバー202を開けた状態の本体201の配置ユニット301の下側に設けられたスリット1001に挿入する。
【0052】
スリット1001は、カバー202側まで貫通しているため、ウォレットパッケージ901を押し込んでいくと、図11の状態1101のようにシート1011がカバー202手前に現われる。
【0053】
次に、状態1102のように、ブリスターパック320を内蔵するシート1013を折りたたみ、ブリスターパック320を配置ユニット301上の所定の位置に配置する。
【0054】
さらに、図12の状態1201のように、シート1011を折りたたみ、シート1011の上に重ねた後、状態1202に示すように、カバー202を閉めて上からカバー202を指で押し込み、ブリスターパック320のZ方向の位置決めを行なう。
【0055】
錠剤を服用する場合には、図13の状態1301のように、シート1011、1013を開き、ブリスターパック320を押し込んで下側へ錠剤を取り出す。その後、再度、シート1011、1013を畳み、カバー202を閉めてブリスターパック320を配置ユニット301に押し込む。カバー202が閉められたことを検知すると、マイクロコントローラ302、LED521、センサ522などの内部機器において、残った錠剤の検出処理が行なわれ、外部機器に対して、残りの錠剤位置に関する情報を送信する。通信中は通知用LED525が点灯する。
【0056】
以上のように、本体201にスリット1001を設け、ウォレットパッケージ901を挿入できる構成としたので、服薬時にブリスターパック320が検出装置200から離脱することを防止できる。さらに配置ユニット301に対して正確にブリスターパック320を位置決めすることができ、検出精度を高めることができる。
【0057】
《服薬管理システム》
図14は、検出装置200を利用した服薬管理システム1400の機能構成を示すブロック図である。制御部としてのマイクロコントローラ302は、カバー202が閉められたことを検知すると、ブリスターパック320における収納物の有無を、通信部としての通信モジュール524を介して、ユーザ端末902の通信部1402に送信する。ユーザ端末902は、通信部1402以外に、操作部1401、記憶部1403および表示部1404を有しており、検出結果を記憶し、ユーザ操作に応じて様々な形態で表示する。
【0058】
検出装置200からの検出情報を受信するユーザ端末902は、スマートフォンに限定されず、PDA等の携帯端末、PC、服薬管理専用端末等でもよい。また、ユーザ端末902の代わりに、検出装置200の使用場所から離れた場所においてLANやインターネット等を経由して接続されるサーバに情報を送信し、医療機関において検出情報を利用してもよい。また、本実施形態の検出装置200とユーザ端末902とを有線接続して、錠剤等の収容物の有無についての情報を出力する構成でもよい。
【0059】
図15は、検出装置200のマイクロコントローラ302で行なわれる処理の流れを説明するフローチャートである。マイクロコントローラ302は、ステップS1501においてカバー202が閉められたことを検知すると、ステップ1503において、1行分(ここでは4列)のLED521を順番に発光させ、同時に、その1行のセンサ522を駆動して、受光強度を測定する。ステップS1505において、受光強度と閾値とを比較し、受光強度が閾値より大きければ、ステップS1507に進み収納物なしと判定する。受光強度が閾値以下であれば、ステップS1509に進み収納物ありと判定する。
【0060】
ステップS1511で、全てのLED521を発光させていないと判定すると、ステップS1513において、次の行に進んでLED521およびセンサ522を駆動させる。全てのLED521の発光が終われば、ステップS1515に進んで、収納物の有無を表わす判定結果をLED521(つまり収納部)の数だけ並べた検出結果情報を、タイムスタンプと組み合わせて記憶する。最後にステップS1517に進み、通信モジュール524を駆動して、ペアリング済みの外部機器との通信を確立した場合に、外部機器からの要求に応じて、マイクロコントローラ302内の記憶情報を送信する。このとき、図16に示すように、同時に通知用LED525を点灯する。
【0061】
外部機器としてのユーザ端末902では、図17のような表示が行なわれ、ブリスターパック320のどの位置の収容物(錠剤)が取り出されたかが表示される。カレンダー表示を選択すれば、図18に示す画面に移行し、どの日にどれだけその収容物(錠剤)が取り出されたかを表示する。
【0062】
以上、本実施形態によれば、ブリスターパックに収容されたどの収容物がどのようなタイミングで取り出されたかを簡易に検出できる。
【0063】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る検出装置について、図19を用いて説明する。図19は、本実施形態に係る検出装置の機能構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る検出装置は、上記第2実施形態と比べると、表示部1901を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0064】
表示部1901では、図17図18に示した画像の表示が可能であり、検出装置1900単体で、ブリスターパックに収容されたどの収容物がどのようなタイミングで取り出されたかを簡易に確認できる。
【0065】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る検出装置について、図20を用いて説明する。図20は、本実施形態に係る検出装置2000のカバー202を開いた状態を示す外観斜視図である。本実施形態に係る検出装置2000は、上記第2実施形態と比べると、配置ユニット301に形成された凹部2011の形状が、カプセル剤2030の形状に合わせて長円形状であり、その数が、ブリスターパック2020の構成に合わせて2行5列である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0066】
このとき、凹部2011内には2つのLEDと2つのセンサを配置して、カプセル剤の取り出しを検出することにより、誤検出を回避することが可能である。
【0067】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係る検出装置について、図21図26を用いて説明する。図21は、本実施形態に係る検出装置2100のカバーを外した状態の平面図である。本実施形態に係る検出装置2100は、上記第2実施形態と比べると、光源2123から射出された光を拡散させる拡散部を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0068】
検出装置は、図21図26に示すように、検知対象物であるブリスターパック320の収容部321の容積(体積)に応じた電気信号を出力する容積検知部(容積検知装置)と、容積検知部からの電気信号を受信してブリスターパック320の収容部321内の収容物330の有無を検出する検出部2105と、を備える。
【0069】
容積検知部は、ブリスターパック320の収容部321が収容される収容空間Sを画定する内壁面2120を有する収容部材2122と、収容空間Sに光を射出する光源2123と、光源2123から射出された光を拡散させる拡散部と、収容空間S内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部2124と、を備える。本実施形態の拡散部は、内壁面2120を含む。
【0070】
本体2102は、筐体2221と、内壁面2120を有する収容部材2122と、光源2123と、受光部2124と、検出部2105と、を有する。本実施形態の本体2102には、複数(ブリスターパック320の収容部321の数に対応した数)の収容空間Sが形成されている。即ち、収容部材2122は、複数の内壁面2120を有する。複数の内壁面2120のそれぞれは、ブリスターパック320の複数の収容部321と対応する位置に配置されている。
【0071】
収容部材2122は、矩形の板状であり、かつ厚さ方向に貫通する複数(ブリスターパック320の収容部321の数に対応した数)の貫通孔を有する画定部材本体2226と、貫通孔の一方の開口を塞ぐ基盤2227と、を有する。本実施形態の収容部材2122では、貫通孔を画定する筒状の周面部2162と、基盤2227における貫通孔の一方の開口を塞ぐ部位(閉塞部)2171と、によって内壁面2120が構成されている。即ち、複数の内壁面2120のそれぞれは、周面部2162と閉塞部2171とを有する。本実施形態の内壁面2120は、開口を有すると共に、ブリスターパック320の収容部321が開口から収容空間S内に挿入された状態で内壁面2120の開口周縁部2223がブリスターパック320の収容部321の周囲に当接することで該収容空間Sが閉じた空間となる形状を有する(図24参照)。
【0072】
また、収容部材2122は、各内壁面2120と隣接する位置における画定部材本体2226と基盤2227との間に、光源2123が配置される配置部2228と、受光部2124が配置される配置部2229と、を有する(図22参照)。これら配置部2228と配置部2229とは、収容空間Sとそれぞれ連通し、周面部2162を仮想軸2260を中心軸とした円柱面とみなしたときの径方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。光源2123と受光部2124とは、基盤2227に実装された状態で、配置部2228と配置部2229とに配置される。
【0073】
複数の周面部2162のそれぞれは、画定部材本体2226の厚さ方向(所定方向)に延びる仮想軸2260を囲う筒状(円柱面状)であり、周方向の全域に凸部および凹部の少なくとも一方を複数有する。本実施形態の周面部2162は、複数の凸部2163を有する(図23参照)。
【0074】
複数の凸部2163のそれぞれは、仮想軸2260と同方向に延び、かつ周面部2162の周方向に並んでいる。各凸部2163の仮想軸2260と直交する断面形状は、三角形状である。即ち、周面部2162の仮想軸2260と直交する断面形状では、鋸刃状に凹凸が交互に並んでいる(図23参照)。また、複数の周面部2162のそれぞれは、鏡面である。本実施形態の周面部2162は、銀蒸着によって鏡面となっている。
【0075】
なお、周面部2162の形状である「円柱面状」とは、本実施形態のように仮想軸2260と直交する断面が周方向に小さな凹凸を繰り返す形状以外に、扁平率の小さな楕円や、円に近い多角形等の大凡円形に見える形状を含む。
【0076】
このような形状の周面部2162によって、光源2123から射出された光が、収容空間S内において、種々の方向に反射を繰り返して拡散する。
【0077】
光源2123は、配置部2228から収容空間S内に光(赤外領域から紫外領域までの波長のうちの所定の波長の光)を射出する。この光源2123は、単波長の光を射出する。このように、収容空間Sに射出される光の波長域を狭くすることで、受光部2124で受光したときの外乱光の影響を除去し易くなる。本実施形態の光源2123は、赤外領域の波長の光を射出する。この光源2123は、周面部2162の所定位置から、該周面部2162を仮想軸2260を中心軸とした円柱面とみなしたときの前記所定位置における法線方向と交差する方向に、光を射出する。具体的に、本実施形態の光源2123は、発光面2231が仮想軸2260に対して周面部2162の開口側(基盤2227と反対側)に傾斜した姿勢となるように配置されている(図22参照)。本実施形態の光源2123は、LEDである。
【0078】
受光部2124は、いわゆる受光素子であり、受光面2241で受光した光の強度に応じた強度の電気信号を出力する。本実施形態の受光部2124は、光源2123から収容空間S内に射出され、かつ、周面部2162と、収容空間S内に収容された検知対象物(本実施形態の例では、ブリスターパック320の収容部321)と、の間で反射を繰り返して十分に拡散された光を受光する。この受光部2124は、周面部2162における光源2123と対向する位置に配置されている。本実施形態の受光部2124は、受光面2241が仮想軸2260に対して周面部2162の開口部側に傾斜した姿勢となるように配置されている(図22参照)。
【0079】
検出部2105は、基盤2227に実装されている。この検出部2105は、受光部2124から受信した電気信号の強度が所定の閾値を超えるか否かでブリスターパック320の収容部321内の収容物330の有無を検出する。本実施形態の検出部2105は、一つの内壁面2120と、この内壁面2120に対応する光源2123および受光部2124とを一つの検知ユニットとしたときに、複数の検知ユニットのそれぞれから電気信号を受信すると共に、検知ユニット毎の収容部321内の収容物330の有無を検出する。
【0080】
検出部2105は、検出結果を、スマートフォン等の外部機器に向けて電波により出力する。このスマートフォン等に所定の服薬管理用のソフトをインストールしておくことで、検出結果を受信したスマートフォンで、服薬管理を行うことができる。即ち、ブリスターパック320の複数の収容部321のうちのいずれの収容部321内の収容物330が無いかが検出できるため、例えば、毎日所定個数の錠剤を服薬したか否かや、所定時間ごとに錠剤を服薬したか否か等の管理を行うことができる。
【0081】
なお、検出装置2100からの出力情報を受信する前記の外部機器は、スマートフォンに限定されず、PDA等の携帯端末、PC、服薬管理専用端末等でもよい。また、外部機器は、検出装置2100の使用場所から離れた場所に設置されてLANやインターネット等を経由して接続されるサーバ等であってもよい。即ち、外部機器は、収容部321毎の収容物330の有無についての情報を利用する機器であればよい。また、本実施形態の検出装置2100は、無線接続によって、外部機器に収容部321毎の収容物330の有無についての情報を出力しているが、有線接続によって、外部機器に収容部321毎の収容物330の有無についての情報を出力する構成でもよい。
【0082】
カバー202は、板状の部材であり、矩形板状の本体2102の長辺に、該長辺に沿った軸を回動軸として回動可能に取り付けられている。カバー202は、本実施形態では、閉じた状態(図1参照)では、収容部材2122の各収容空間S(内壁面2120)の開口を塞ぎ、開いた状態(図2参照)では、各収容空間S(内壁面2120)の開口が開放された状態となる。カバー202は、閉じた状態のときに、収容部材2122の一方の面に沿って該面の略全体を覆う形状である。このため、本実施形態のカバー202は、閉じた状態のときに、ブリスターパック320を内壁面2120の開口周縁部2223に向けて、即ち、収容部材2122に向けて押さえる機能に加え、外部から収容空間Sに向かう光を遮光する機能も有する。
【0083】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態に係る検出装置について、図27を用いて説明する。第5実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0084】
本実施形態の検出装置は、図27に示すように、検知対象物2750が収容される収容空間Sを画定する内壁面2720を有する収容空間画定部材2722と、収容空間Sに光を射出する光源2723と、光源2723から射出された光を拡散させる拡散部と、収容空間S内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部2724と、を備える。また、本実施形態の検出装置は、受光部2724からの電気信号を受信して検知対象物の容量を検出する検出部2730を備える。本実施形態の検出装置では、拡散部は、内壁面2720を含む。
【0085】
収容空間画定部材2722は、閉じた収容空間Sを画定する内壁面2720を有する。即ち、第5実施形態の収容部材は、ブリスターパックと共同して閉じた収容空間Sを形成しているが、本実施形態の収容空間画定部材2722は、収容空間画定部材2722の内壁面2720のみで閉じた収容空間Sを形成(画定)する。この収容空間画定部材2722では、蓋2725が開閉されることで、検知対象物2750の収容空間S内への出し入れが行われる。本実施形態の検知対象物2750は、例えば、透明な容器2751に入れられた粉体である。
【0086】
内壁面2720は、複数の凹部2726(図27に示す例では、ディンプル状の凹部)を有している。本実施形態の内壁面2720は、検知対象物2750(詳しくは、容器2751)が配置される面を除いた全面に、複数の凹部2726を有している。また、内壁面2720の全域が鏡面である。即ち、本実施形態の収容空間Sは、全方向において鏡面に囲まれている。
【0087】
検出部2730は、例えば、電気信号の強度と検知対象物2750の容積とを対応させたテーブルを有し、該テーブルに基づいて受光部2724から受信した電気信号の強度と対応する検知対象物2750の容積を出力する。このテーブルは、閉じた空間(本実施形態の例では収容空間S)において光源2723から射出された光を種々の方向に反射させて十分に拡散し、この拡散された光を受光部2724が受光したときの受光強度が、前記閉じた空間の容積に応じて変化することに基づいて、計算や実測等によって作成されている。具体的に、テーブルは、検知対象物2750が大きい(即ち、検知対象物2750と内壁面2720との間の隙間空間が小さい)程、光が反射する回数が増加するため減衰し、これにより、拡散光の受光強度が小さくなる一方、検知対象物2750が小さい(即ち、隙間空間が大きい)程、光が反射する回数が抑えられることで拡散光の受光強度が大きくなることに基づいて作成されている。なお、検出部2730は、前記テーブルを用いず、受信した電気信号の強度に基づいて、演算等によって検知対象物2750の容積を求めてもよい。即ち、検出部2730は、受光部2724からの電気信号の強度に基づいて検知対象物2750の容積を導出する構成であればよい。
【0088】
検出部2730は、電波によって検出結果(検知対象物の容積)をスマートフォン等に出力する構成でもよく、検出装置に設けられた画面等に出力する構成等でもよい。
【0089】
以上のように構成される検出装置は、以下のように使用される。
【0090】
収容空間画定部材2722の蓋2725が開かれ、検知対象物2750の入った容器2751が収容空間Sに入れられ、その後、蓋2725が閉じられる。この蓋2725が閉じたことを検出装置が検知することで、または、スイッチ等が操作されることで、光源2723が光を射出すると共に、受光部2724が収容空間S内で反射を繰り返して十分に拡散された光を受光する。受光部2724は、受光強度に応じた強度の電気信号を検出部2730に出力する。検出部2730は、受光部2724から受信した電気信号の強度とテーブルとに基づいて検知対象物2750の容積を求め(検出し)、検出結果を電波で出力する。
【0091】
以上の検出装置では、収容空間S内に射出された光が収容空間S内で拡散されると、収容空間Sにおける検知対象物2750を除いた空間(内壁面2720と検知対象物2750の表面との間の隙間空間)の容積に応じて受光部2724での受光強度(光量)が変化する。このため、本実施形態の検出装置によれば、光源2723から収容空間S内に光が射出されることで、検知対象物2750と内壁面2720とによって反射が繰り返されて十分に拡散された光を受光した受光部2724から検知対象物2750の容積に応じた強度の電気信号が出力され、この電気信号に基づくことで、検出部2730が検知対象物2750の容積を導出する。
【0092】
本実施形態の検出装置では、鏡面加工された内壁面2720が、複数の凹部2726を有し、拡散部を構成している。かかる構成によれば、光源2723からの光や、検知対象物2750等で反射した光が内壁面2720の複数の凹部2726によって、さらに種々の方向に反射される(拡散する)。このため、光源2723から収容空間S内に射出された光が隙間空間(内壁面2720と検知対象物2750の表面との間の空間)においてより拡散され、これにより、受光部2724から出力される電気信号の強度が、隙間空間の大きさに対して精度よく対応するようになる。その結果、受光部2724から出力される電気信号に基づくことで、検知対象物2750の容積が精度よく導出される。
【0093】
なお内壁面2720の凸部または凹部の具体的な形状は、限定されない。例えば、内壁面が凸部と凹部との両方を有してもよく、凸部および凹部は、円錐状、柱状等でもよい。即ち、凸部および凹部は、収容空間S内で、光を種々の方向に乱反射させる形状であればよい。
【0094】
第5,第6実施形態において内壁面2120の全面が鏡面で無くてもよい。即ち、内壁面2120の一部が鏡面でもよい。また、光が効率よく反射される構成(壁面)であれば、内壁面2120は鏡面でなくてもよい。
【0095】
光源2123が光を射出する具体的な方向は、限定されない。第5実施形態の光源2123は、周面部2162の所定位置から、該周面部2162を仮想軸2260を中心軸とした円柱面とみなしたときの所定位置における法線方向と交差する方向に光を射出するが、法線方向に光を射出してもよい。即ち、光源2123は、内壁面2120と、検知対象物(第5実施形態では収容物、第6実施形態では検知対象物2750)との間で反射を繰り返すような向きに光を射出できればよい。
【0096】
また、光源2123、2723が射出する光は、赤外領域の波長に限定されない。紫外領域の波長でもよく、可視光領域の波長でもよい。即ち、光源2123、2723が射出する光は、赤外光と可視光と紫外光とを含む波長領域のうちのいずれかの波長の光であればよい。
【0097】
なお、赤外光(赤外領域の波長の光)の場合、連続して射出することによって検知対象物の容積の検出や、収容物の有無の検出が精度よく行われるが、紫外光(紫外領域の波長の光)の場合、パルス状に射出することが好ましい。これは、外乱光とし収容空間S内に侵入する可能性のある外部の光に、紫外光(紫外領域の波長の光)が多く含まれるため、受光部2124、2724から出力される電気信号からこの外乱光の影響を除去し易くするためである。即ち、強度が一定のパルス光(パルス状の紫外光)を光源2123、2723が射出することで、光源2123、2723が発光しているときの受光部2124、2724での受光強度(受光部2124、2724から出力される電気信号の強度)と、光源2123、2723が発光していないときの受光部2124、2724での受光強度(受光部2124、2724から出力される電気信号の強度)とから、外乱光(詳しくは、外乱光に含まれる紫外光)の強度が得られるため、受光部2124、2724から出力される電気信号から外乱光の影響を容易に除去することができる。
【0098】
[第7実施形態]
次に本発明の第7実施形態に係る検出装置について、図28を用いて説明する。第5実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0099】
第5および第6実施形態の検出装置では、一つの検知ユニットに一つの光源2123、2723と一つの受光部2124、2724とが配置されているが、この構成に限定されない。一つの検知ユニットに少なくとも一つの光源と、少なくとも一つの受光部とが配置されていればよい。
【0100】
この場合、例えば、図28に示す例において、異なる位置に配置された二つの光源2823のうちの一方の光源2823が光を射出し、この一方の光源2823と収容空間Sを挟んで対向する受光部2824が散乱光を受光した後、一方の光源2823が光の射出を止めた状態で他方の光源2823が光を射出し、この他方の光源2823と収容空間Sを挟んで対向する受光部2824が散乱光を受光する構成でもよい。即ち、一つの光源2823と、この光源2823から射出されて散乱された光を受光する一つの受光部2824と、を一組とし、この組が複数配置される構成でもよい。また、複数の光源2823が同時に光を射出し、一つの受光部2824が散乱光を受光してもよく、一つの光源2823が光を射出し、複数の受光部2824が同時に散乱光を受光する構成でもよい。また、複数の光源2823が同時に光を射出し、複数の受光部2824が同時に散乱光を受光する構成でもよい。これらの場合、全ての光源2823が同じ波長域の光を射出する構成でなくてもよい。
【0101】
第5および第6実施形態の内壁面2120には、凸部および凹部の少なくとも一方が複数配置されているが、この構成に限定されない。本実施形態の内壁面2820は、局所的な凹凸のない、例えば、球面や、円柱面等であってもよい。また、内壁面2820は、正多面体等であってもよい。これらの場合、内壁面2820が、鏡面によって構成され、光源2823が内壁面2820の所定位置から径方向(球の中心や、円柱の中心軸、正多面体の中心に向かう方向)と交差する方向に射出する構成であれば、射出された光が乱反射し易く(種々の方向に反射を繰り返し易く)、これにより、十分に拡散する。
【0102】
第5乃至第7実施形態の拡散部は、内壁面を含むが、この構成に限定されない。拡散部は、収容空間S内に配置された複数の反射板等によって構成され、光源から射出された光を種々の方向に反射して拡散する構成でもよい。また、拡散部は、内壁面と、収容空間S内に配置された反射板等とによって構成されてもよい。
【0103】
光源の発光面は、平面に限定されない。例えば、光源は、発光面を凸面等にすることで、光源から種々の方向に光が射出される構成でもよい。かかる構成によれば、光源から射出された光が収容空間S内においてより拡散され易くなる。
【0104】
また、受光部の受光面も、平面に限定されない。例えば、受光部は、受光面をパラボラ状にした構成でもよい。かかる構成によれば、収容空間S内の拡散光(種々の方向に進む光)を受光し易くなり、これにより、受光面での受光強度を確保し易くなる。
【0105】
第5実施形態の検出装置は、収容部毎の収容物の有無についての情報を、外部機器に出力しているが、この構成に限定されない。検出装置は、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示部を備え、この表示部に、収容物の有無についての情報、または前記情報に基づいた画像等が表示される構成でもよい。また、検出装置は、収容物の有無についての情報を、文字や画像等として紙面等に出力(プリントアウト)する構成でもよい。
【0106】
第5実施形態のブリスターパックの検出装置では、ブリスターパックの収容部が透明であるが、この構成に限定されない。収容部は不透明でもよい。
【0107】
(第5〜7実施形態の概要)
以上説明した通り、本実施形態は、閉じた空間において光源から射出された光を種々の方向に反射させて十分に拡散された光を受光素子等(受光部)によって受光したときに、閉じた空間の容積に応じて受光強度が変化することに依拠している。即ち、閉じた空間内に検知対象物を配置し、この閉じた空間内で光源から射出された光を種々の方向に反射させて十分に拡散した場合、この拡散された光を受光部で受光したときの受光強度が、閉じた空間の容積から検知対象物の容積を除いた容積(換言すると、閉じた空間を画定する内壁面と検知対象物の表面との間の隙間空間の容積)に対応する。具体的には、検知対象物が大きい(即ち、隙間空間が小さい)程、光が反射する回数が増加するため減衰し、これにより、拡散光の受光強度が小さくなる。一方、検知対象物が小さい(即ち、隙間空間が大きい)程、光が反射する回数が抑えられることで拡散光の受光強度が大きくなる。
【0108】
そこで、これらの知見に基づいて、閉じた空間で光を十分に拡散させたときの拡散光の受光部での受光強度と、隙間空間の容積との対応関係に着目し、検出装置を第5〜第7実施形態とした。
【0109】
第5〜第7実施形態に係る検出装置は、
検知対象物が収容される収容空間を画定する内壁面と、
収容空間内に光を射出する光源と、
光源から射出された光を拡散させる拡散部と、
収容空間内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部と、を備える。
【0110】
収容空間内に射出された光が収容空間内で拡散されると、収容空間における検知対象物を除いた空間(内壁面と検知対象物の表面との間の隙間空間)の容積に応じて受光部での拡散された光の受光強度(光量)が変化するため、上記の構成によれば、光源から射出された光が収容空間内で拡散部によって拡散されることで、拡散された光を受光した受光部から検知対象物の容積に応じた強度の電気信号が出力される。この受光部から出力される電気信号に基づくことで、検知対象物の容積が検知可能となる。
【0111】
第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
内壁面は、凸部および凹部の少なくとも一方を有し、
拡散部は、内壁面を含んでもよい。
【0112】
かかる構成によれば、光源からの光や、検知対象物等で反射した光が内壁面の凸部および凹部の少なくとも一方によって、さらに種々の方向に反射される(拡散する)ため、光源から収容空間内に射出された光が隙間空間においてより拡散され、これにより、拡散された光を受光した受光部から出力される電気信号の強度が、隙間空間の大きさに対してより精度よく対応するようになる。このため、受光部から出力される電気信号に基づくことで、検知対象物の容積がより精度よく検知可能となる。
【0113】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
内壁面は、凸部および凹部の少なくとも一方を複数有し、かつ所定方向に延びる仮想軸を囲う筒状の周面部を含み、
凸部および凹部の少なくとも一方は、周面部における周方向の全域に配置されてもよい。
【0114】
かかる構成によれば、周面部の周方向の全域において光が種々の方向に反射される(拡散する)ため、光源から射出された光が収容空間内で十分に拡散され、これにより、拡散された光を受光した受光部から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対し、より精度よく対応するようになる。
【0115】
この場合、
凸部および凹部の少なくとも一方は、仮想軸と同方向に延びてもよい。
【0116】
このように一方向(仮想軸方向)に延びる凸部や凹部といった簡素な構成によって、周面部の周方向の全域において光を種々の方向に反射することができる。
【0117】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
光源は、周面部の所定位置から、該周面部の所定位置における法線方向と交差する方向に、光を射出してもよい。
【0118】
かかる構成によれば、周面部の所定位置近傍に検知対象物がある場合に、光源が光を所定位置の法線方向に射出する場合に比べ、検知対象物で反射して光源(発光面等)に戻る光の量が抑えられ、これにより、検知対象物の容積の検知に必要な隙間空間での拡散光の減少が抑えられる。
【0119】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
周面部は、円柱面状であり、
光源と受光部とは、周面部において、該周面部の径方向に対向する位置に配置されてもよい。
【0120】
かかる構成によれば、受光部が周面部の周方向において光源から最も離れた位置に配置されるため、光源の近くに配置される場合に比べ、十分に反射を繰り返して拡散された光を受光し、これにより、受光部から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対し、より精度よく対応するようになる。
【0121】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
内壁面において少なくとも周面部は、鏡面であってもよい。
【0122】
かかる構成によれば、周面部での周方向の全域において反射による光の減衰が抑えられ、これにより、受光部での受光強度が増大するため、受光部から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対し、さらに精度よく対応するようになる。
【0123】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置は、
検知対象物が収容される収容空間を画定する内壁面と、
収容空間内に光を射出する光源と、
収容空間内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部と、を備え、
内壁面は、鏡面であり、かつ所定方向に延びる仮想軸を囲う円筒状の周面部を含み、
光源は、周面部の所定位置から、該周面部の所定位置における法線方向と交差する方向に、光を射出し、
受光部は、周面部における光源と該周面部の径方向に対向する位置に配置される。
【0124】
かかる構成によれば、光源から射出された光が検知対象物や内壁面での反射を繰り返して十分に拡散した状態で受光部に到達するため、受光部から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対して精度よく対応することになる。
【0125】
また、第5〜第7実施形態に係る検出装置では、
光源は、赤外領域の波長の光を射出することが好ましい。
【0126】
外乱光として収容空間に入ってくる可能性のある外部からの光には波長の短い光(例えば、紫外領域の波長の光)が多く含まれている。このため、検知対象物の検知に波長の長い赤外領域の波長の光を用いることで、検知の際の外乱光の影響を抑えることができる。
【0127】
また、第5〜第7実施形態に係るブリスターパックの収容物検知装置は、
上記のいずれかの検出装置と、
検出装置からの電気信号を受信してブリスターパックの収容部内の収容物の有無を検出する検出部と、を備え、
内壁面は、開口を有すると共に、検出装置の検知体対象物である収容部が開口から収容空間内に挿入された状態で内壁面の開口周縁部がブリスターパックの収容部の周囲に当接することで該収容空間が閉じた空間となる形状を有し、
検出部は、電気信号の強度に基づいてブリスターパックにおける収容物の有無を検出する。
【0128】
かかる構成によれば、拡散光によって収容空間内の検知対象物の容積をセンシング可能な検出装置を用いることによって、光源と受光部との間にブリスターパックの一部(例えば、収容物を押し出した後の潰れた状態の収容部や、収容部の開口を塞いでいた台紙やアルミ箔等のシート)があっても、収容部内の収容物の有無を検知することができる。具体的には、拡散光を用いて検出した収容空間内の検知対象物の容積、即ち、受光部から出力される電気信号の強度に対する適切な閾値を設定し、検出部において受光部から受信した電気信号の強度がこの閾値を超えるか否かでブリスターパックの収容部内の収容物の有無を検出する構成とすることで、光源と、この光源から射出された光を受光する受光部との間、即ち、光源から受光部に直接向かう光の軌道上に物体(ブリスターパックの一部)があったとしても、収容部内の収容物の有無を検知することができる。
【0129】
また、ブリスターパックの収容物検知装置では、
検出装置は、内壁面と光源と受光部とを一つの検知ユニットとしたときに、複数の検知ユニットを有し、
複数の検知ユニットのそれぞれは、複数の収容部を有するブリスターパックの各収容部と対応する位置に配置され、
検出部は、複数の検知ユニットのそれぞれから電気信号を受信すると共に、検知ユニット毎の収容物の有無を検出してもよい。
【0130】
かかる構成によれば、複数の収容部を有するブリスターパックの収容部毎の収容物の有無を検知することができる。
【0131】
また、ブリスターパックの収容物検知装置では、
ブリスターパックの収容部が収容空間に収容された状態でブリスターパックを内壁面の開口周縁部に向けて押さえる押圧部を備えてもよい。
【0132】
かかる構成によれば、収容部内の収容物の有無の検知の際に、押圧部によってブリスターパックが押さえられて内壁面の開口周縁部とブリスターパックの収容部の周囲とが密接する、即ち、開口周縁部と収容部の周囲とに隙間が生じ難くなるため、外部からの光(外乱光)の収容空間内への侵入が防がれる。
【0133】
また、第5〜第7実施形態に係る収容部材は、
検知対象物が収容される収容空間を画定する内壁面と、
収容空間内に光を射出する光源を配置可能な第一配置部と、
収容空間内の光を受光する受光部を配置可能な第二配置部と、を備え、
内壁面は、鏡面であり、かつ凸部および凹部の少なくとも一方を有する。
【0134】
かかる構成によれば、光源および受光部を第一配置部および第二配置部に配置することで、光源から射出された光を受光部で受光することで行われるセンシングによって検知対象物の容積を検知可能な検出装置が得られる。
【0135】
[第8実施形態]
次に本発明の第8実施形態に係る検出装置について、図29を用いて説明する。図29は、本実施形態に係る検出装置の周面部2162について説明するための図である。本実施形態に係る周面部2162は、上記第5実施形態と比べると、テーパおよびC面を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0136】
図29において、断面2901に示すとおり、周面部2162には、テーパーが設けられ、ブリスターパック入り口には、面とりがされている。これにより、ブリスターパックが挿入しやすく確実に奥まで配置できる。
【0137】
[第9実施形態]
次に本発明の第9実施形態に係る検出装置について、図30を用いて説明する。図30は、本実施形態に係る検出装置の構成を説明するための図である。本実施形態に係る検出装置は、上記第2実施形態と比べると、複数のタイプのブリスターパック3021〜3023のそれぞれを配置するための複数の配置ユニット3011〜3013を交換可能に接続する異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0138】
ここでの配置ユニット3011〜3013は、多孔プレートとLEDおよびセンサを取り付けた基盤とを含み、マイコンカバー504内に収容されるマイクロコントローラ302やボタン電池523や通信モジュール524は、含まない。
【0139】
使用時には、いずれかの配置ユニット3011〜3013に設けられた端子3031〜3033を、本体3001に差し込み、筐体3003にセットする。これにより、配置ユニット3011〜3013に設けられたLEDやセンサが、本体3001のマイクロコントローラ(不図示)に接続され、収容物の検出処理が行なわれる。
【0140】
本実施形態によれば、1つの検出装置で、様々なタイプのブリスターパックの収容物を検出することができる。薬局において、ブリスターパックのタイプに応じた配置ユニットを選択して検出装置にセットすれば、共通の本体を用いて、複数種類の錠剤やカプセル剤など服用を簡易に管理することが可能となる。
【0141】
[第10実施形態]
次に本発明の第10実施形態に係る検出装置について、図31図32を用いて説明する。図31は、本実施形態に係る検出装置3100の使用時の構成を説明するための図であり、図32は検出装置3100の内部の状態を示す図である。本実施形態に係る検出装置3100は、上記第9実施形態と比べると、箱形の筐体3103を有し、複数の配置ユニット3011〜3013を重ねて(ここでは例として3段)同時に接続可能である点で異なる。その他の構成および動作は、第9実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0142】
本体3101は、複数段の接続部(不図示)を備え、複数の配置ユニット3011〜3013を重ねて同時に接続可能な構成となっている。それらの配置ユニット3011〜3013のそれぞれに、複数のタイプのブリスターパック3021〜3023を配置、取り付けた上で、本体3101に接続して、蓋3102を閉めると、ブリスターパック3021〜3023内の全ての収容物の検出を開始する。
【0143】
本実施形態によれば、1つの検出装置で、様々なタイプのブリスターパックの収容物を同時に検出することができる。例えば、共通の本体を用いて、複数種類の錠剤やカプセル剤など服用を簡易に管理することが可能となり、装置の汎用性を実現することができる。
【0144】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範疇で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0145】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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