(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の装置では、構造が複雑で小型化が難しく、例えば、手袋内に指動作補助装置を収納してなり、当該手袋を嵌めるまたは外すだけで装置の着脱を可能とする手袋型の指動作補助装置への適用には不向きであった。
【0005】
それゆえ本発明は、構造が簡単でかつ小型化が可能な指動作補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1発明に係る指動作補助装置は、人の手の指の背側の面に配置され、手の指の屈伸動作を補助する指動作補助装置であって、指の先端部に対応配置される先端部材と、前記指の先端部よりも指の付け根側の指部分または手の甲に対応配置される基端部材と、前記基端部材と前記先端部材との間に指の長手方向に沿って配列された複数のリンク部材と、前記基端部材、前記リンク部材および前記先端部材を相互に揺動可能に連結する複数の連結軸と、前記連結軸よりも指の背側で、前記長手方向に沿って、前記基端部材、前記リンク部材を経て前記先端部材まで
連続して延びるとともに末端が該先端部材に固定または係止された少なくとも一本の第1の線状部材、および前記連結軸を挟んで前記第1の線状部材の反対側で、前記長手方向に沿って、前記基端部材、前記リンク部材を経て前記先端部材まで
連続して延びるとともに末端が該先端部材に固定または係止された少なくとも一本の第2の線状部材
の双方と、前記第1の線状部材および前記第2の線状部材
の張力を調整して、前記基端部材に対して前記リンク部材および前記先端部材を前記連結軸周りに、指を屈曲させる方向である内側方向または指を展開させる方向である外側方向に揺動させる駆動部と、を備え
、前記リンク部材は、指の幅方向で互いに対向配置された第1のリンク部材と、前記第1のリンク部材間に配置された第2のリンク部材とを含み、前記第1のリンク部材は、前記連結軸よりも指の背側に形成された、前記第1の線状部材を挿通させる第1のガイド孔を有し、前記第2のリンク部材は、前記連結軸を挟んで前記第1のガイド孔の反対側に形成された、前記第2の線状部材を挿通させる第2のガイド孔を有することを特徴とするものである。
【0007】
なお、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記第1の線状部材および前記第2の線状部材の双方を備えることが好ましい。
【0008】
また、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記駆動部は、前記第1の線状部材の張力を強めるときには前記第2の線状部材の張力を緩めることで、前記基端部材に対して前記
第1のリンク部材および
第2のリンク部材ならびに前記先端部材を前記連結軸周りに、指を屈曲させる方向である内側方向に揺動させ、逆に前記第2の線状部材の張力を強めるときには前記第1の線状部材の張力を緩めることで、前記
第1のリンク部材および
第2のリンク部材ならびに前記先端部材を前記連結軸周りに、指を展開させる方向である外側方向に揺動させることが好ましい。
【0009】
さらに、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記リンク部材は、指の幅方向で3列にわたって設けられており、該リンク部材は、前記幅方向で隣り合う列間で長手方向に交互に配置されていることが好ましい。
【0010】
さらに、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記基端部材、前記リンク部材および前記先端部材は、前記第1の線状部材および前記第2の線状部材の少なくとも一方を案内するガイド部をそれぞれ有することが好ましい。
【0011】
さらに、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記基端部材、前記
第1のリンク部材および前記先端部材の、前記長手方向で互いに対向する面には、前記
第1のリンク部材および前記先端部材の、前記内側方向への所定の揺動角にて互いに当接して、該所定の揺動角を超える前記内側方向への揺動を阻止する傾斜面が形成されていることが好ましい。
【0012】
加えて、第1発明に係る指動作補助装置にあっては、前記基端部材、前記リンク部材および前記先端部材の、前記長手方向で互いに対向する面には、相互に噛み合う部分歯車が形成されていることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するため、第2発明に係る指動作補助装置は、人の手の指の背側に配置され、手の指の屈伸動作を補助する指動作補助装置であって、指の先端部に対応配置される先端部材と、前記指の先端部よりも指の付け根側の指部分または手の甲に対応配置される基端部材と、前記基端部材と前記先端部材との間に指の長手方向に沿って配列された複数のリンク部材であって、指の幅方向で少なくとも2列にわたって設けられ、幅方向で隣り合う列間で長手方向に交互に配置されているリンク部材と、前記基端部材、前記リンク部材および前記先端部材を相互に揺動可能に連結する複数の連結軸と、前記基端部材に対して少なくとも1つのリンク部材を前記連結軸周りに、指を屈曲させる方向である内側方向または指を展開させる方向である外側方向に揺動させる駆動部と、を備え、前記基端部材、前記リンク部材および前記先端部材の、前記長手方向で互いに対向する面には、相互に噛み合うことで前記少なくとも1つのリンク部材の揺動運動を前記長手方向で隣接する他のリンク部材および前記先端部材に伝達する部分歯車が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
なお、第2発明に係る指動作補助装置にあっては、前記駆動部は、前記少なくとも1つのリンク部材に連結されたロッドを有し該ロッドの前記長手方向に沿う進退運動に基づき該リンク部材を前記連結軸周りに揺動させるアクチュエータを有することが好ましい。
【0015】
また、第2発明に係る指動作補助装置にあっては、前記リンク部材は、指の幅方向で3列にわたって設けられていることが好ましい。
【0016】
さらに、第2発明に係る指動作補助装置にあっては、前記リンク部材および前記先端部材を前記内側方向または前記外側方向に常時付勢する付勢手段を備えることが好ましい。
【0017】
加えて、第2発明に係る指動作補助装置にあっては、前記付勢手段は、前記基端部材から前記リンク部材を経て前記先端部材まで、前記長手方向に沿って延びる板ばねであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
第1発明の指動作補助装置によれば、指動作補助装置を手の指に装着し、駆動部によって、末端が先端部材に固定または係止された第1の線状部材または第2の線状部材を指の根元側に引っ張ると、先端部材およびリンク部材が基端部材に対して、連結軸周りに内側方向または外側方向に揺動するので、当該揺動に伴い、先端部材およびリンク部材が装着された手の指が折り曲げられまたは伸ばされる。したがって、第1発明によれば、第1の線状部材または第2の線状部材を引っ張るだけで、指の屈伸動作を行わせることができるため、構造が簡単であり且つ小型化可能である。
【0019】
また、第2発明の指動作補助装置によれば、駆動部によって、少なくとも1つのリンク部材を連結軸周りに基端部材に対して揺動させると、該揺動運動が、リンク部材および先端部材の部分歯車を介して他のリンク部材および先端部材に伝達されてそれらの部材が揺動するので、当該リンク部材および先端部材の揺動に伴い、先端部材およびリンク部材が装着された手の指が折り曲げられまたは伸ばされる。したがって、リンク部材自体が揺動運動を伝達するので、構造が簡単であり且つ小型化可能である。さらに、揺動運動の伝達が部分歯車を介して行われ、すべての揺動箇所において揺動角が等しくなるため、指の屈伸を指全体で均一に行わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて第1発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、第1発明の一実施形態に係る指動作補助装置を人の手の人差し指に装着し、作動部を屈曲させた様子を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す指動作補助装置における作動部(第1および第2の線状部材は省略する。)の分解斜視図であり、
図3、4は、
図1に示す指動作補助装置における展開された作動部を示し、
図3(a)は平面図、
図3(b)は底面図、
図4(a)は右側面図、
図4(b)は正面図、
図4(c)は背面図であり、
図5は、
図1に示す指動作補助装置における作動部および駆動部を示し、(a)は駆動部により第2の線状部材を引っ張った状態における平面図、(b)は駆動部により第1の線状部材を引っ張った状態における平面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の指動作補助装置10は、人の指fの背側に指の長手方向に沿って設置されるものであり、該指fの屈伸動作を補助する作動部12と該作動部12を駆動する駆動部14とを備える。作動部12は、主として、被装着者(被補助者)からみて最近位の基端部材16と、最遠位の先端部材18と、先端部材16と基端部材18との間で指の長手方向に沿って配列された複数のリンク部材20と、指の幅方向にみて互いに重なり合う、基端部材16とリンク部材20間、リンク部材20、20間、およびリンク部材20と先端部材18間をそれぞれ互いに揺動可能に連結する連結軸としてのピン22と、一端が上記駆動部14に接続され、他端(末端)が該先端部材18に固定または係止された第1の線状部材24および第2の線状部材26とからなる。
【0023】
以下、各構成部品の詳細を説明する。なお、以下の説明において「前」というときには、先端部材18と基端部材16との関係において先端部材18がある側を指し、「後」というときには、先端部材18と基端部材16との関係において基端部材16がある側を指すものとする。また、「下」というときには、指fの背の上に配置される指動作補助装置10と該指fの背との関係において指fの背がある側を指し、「上」というときには、指fの背の上に配置される指動作補助装置10と該指fの背との関係において指動作補助装置10がある側を指すものとする。よって、「前後方向」とは、指の長手方向と同義であり、「左右方向」または「横方向」とは指の幅方向と同義である。
【0024】
まず、先端部材18は、指fの先端部f
tの背に宛がわれるとともに基端部材16およびリンク部材20に対してピン22周りに揺動し、該先端部f
tを内側に屈曲させるまたは外側に展開させるものである。なお、指fの先端部f
tとは、手の指fの末節骨に対応する部分を少なくとも含み、遠位指節間関節および中節骨に対応する部分を含んでもよい。
【0025】
先端部材18は、
図2〜4に示すように、正面視で高さが幅よりも小さい偏平な略台形形状をなし、指fの長手方向(前後方向)に所定の長さを有している。また、先端部材18の上面には前後方向に延びる湾曲凸部18aが形成され、先端部材18の下面には前後方向に延びる湾曲凹部18bが形成されている。この湾曲凹部18bにより、先端部材18と指fの先端部ftとの間で安定した接触を確保することができるとともに、先端部材18を指に載置したときの低背化にもなる。
【0026】
先端部材18の後端部には、左右両端位置から後方に向けて2つの脚部18c、18dが突設されており、各脚部18c、18dには、連結軸としてのピン22が左右方向に挿通されるピン収容孔28が形成されている。装置装着時のピン収容孔28の、前後方向おける位置は、指fの遠位指節間関節上またはその近傍とするのが好ましい。さらに各脚部18c、18dの後縁部には、後方に隣接するリンク部材20に形成された後述の部分歯車と噛み合う部分歯車30が一体に形成されており、各部分歯車30は、ピン22の軸心周りに先端部材18と一緒に回動する。また、各脚部18c、18dの後縁部の、ピンよりも下側の部分には、上から下にみて前方に向けて傾斜した傾斜面31が形成されている。
【0027】
また、ピン22よりも指fの背側(ピン22よりも下側)である、先端部材18の下面近傍かつ左右両端近傍には、第1の
線状部材24が前後方向に挿通、案内されるガイド部としてのガイド孔32がそれぞれ貫通、形成されており、ピン22よりも上側である、先端部材18の上面近傍の中央付近には、第2の
線状部材26が前後方向に挿通、案内されるこれもガイド部としての2つのガイド孔34が貫通、形成されている。
【0028】
基端部材16は、指fの先端部ftよりも指の付け根側の指部分f
b(
図1)または手の甲(例えば中手骨の、中手指節間関節近傍)上に配置されて、リンク部材20および先端部材18を支持するものであり、
図2〜4に示すように、背面視で高さが幅よりも小さい偏平な略台形形状をなし、指fの長手方向(前後方向)に所定の長さを有している。また、基端部材16の上面には前後方向に延びる湾曲凸部16aが形成され、基端部材16の下面には前後方向に延びる湾曲凹部16bが形成されている。この湾曲凹部16bにより、基端部材16と上記指部分fbまたは手の甲との間で安定した接触を確保することができるとともに、基端部材16を指または手の甲に載置したときの低背化にもなる。
【0029】
また、基端部材16の前端部には、左右両端位置から前方に向けて2つの脚部16c、16dが突設されており、各脚部16c、16dには、連結軸としてのピン22が左右方向に挿通されるピン収容孔36が形成されている。装置装着時のピン収容孔36の、前後方向における位置は、中手指節間関節上またはその近傍とするのが好ましい。各脚部16c、16dの前縁部には、前後方向に隣接するリンク部材20に形成された後述の部分歯車と噛み合う部分歯車38が一体に形成されている。各部分歯車38の軸心は、連結軸としてのピン22の軸心と一致する。
【0030】
また、ピン22よりも指fの背側(ピン22よりも下側)である、基端部材16の下面近傍かつ左右両端近傍には、第1の
線状部材24が前後方向に挿通、案内されるガイド部としてのガイド孔40がそれぞれ貫通、形成されており、ピン22よりも上側である、基端部材16の上面近傍の中央付近には、第2の
線状部材26が前後方向に挿通、案内されるこれもガイド部としての2つのガイド孔41が貫通、形成されている。さらに、各脚部16c、16dの前縁部の、ピンよりも下側の部分には、上から下にみて後方に向けて傾斜した傾斜面42が形成されている。
【0031】
リンク部材20は、先端部材18と基端部材16との間の指部分の背に宛がわれるとともに、基端部材16に対して揺動して該指部分を内側に屈曲させまたは外側に展開させるものである。リンク部材20は、前後方向(指の長手方向)に沿って列をなすよう複数配置され、さらに左右方向(指の幅方向)に2列以上、ここでは3列にわたって設けられている。左右方向で隣接する列間で、リンク部材20は前後方向において交互に配置され、つまり左右方向に隣接するリンク部材20は互いに半ピッチ分、前後方向にずらされている。そして、半ピッチ分ずらされたリンク部材20同士は、リンク部材20の前後に形成されたピン収容孔44に挿通されたピン22を介して相互に揺動可能に連結されている。同様にして、最も後方に位置するリンク部材20は、ピン22を介して基端部材16の脚部16c、16dに相互に揺動可能に連結され、最も前方に位置するリンク部材20は、ピン22を介し先端部材18の脚部16c、16dに相互に揺動可能に連結されている。
【0032】
また本実施形態では、相互に幅が異なる2つのリンク部材20が用いられており、一方は、横方向の中央に配置された幅広のリンク部材20であり、他方は、該中央のリンク部材を側方から挟み込むようにして配置された幅狭のリンク部材20である。このように中央のリンク部材20を幅広に形成することで、リンク部材20の屈伸動作を安定して指に伝えることができる。
【0033】
中央のリンク部材20の上面は、先端部材18および基端部材16と同様に、正面視で前後方向に延びる湾曲凸部20aが形成され、中央のリンク部材20の下面には前後方向に延びる湾曲凹部20bが形成されている。この湾曲凹部20bにより、中央のリンク部材20と指fとの間で安定した接触を確保することができるとともに、中央のリンク部材20を指に載置したときの低背化にもなる。
【0034】
また、ピン22よりも上側である、中央のリンク部材20の上面近傍の中央付近には、第2の
線状部材26が前後方向に挿通、案内されるガイド部としての2つのガイド孔46が貫通、形成され、さらに各ガイド孔46の前後には第2の
線状部材26を前後方向に案内するこれもガイド部としてのガイド溝48がガイド孔46に続いて形成されている。また、前後方向で互いに隣り合う中央のリンク部材20の、互いに対向する面には、相互に噛み合うことで一方の中央のリンク部材20の揺動運動を他方の中央のリンク部材20に伝達する部分歯車50が一体に形成されている。各部分歯車50は、連結軸としてのピン22の軸心周りにリンク部材20と一緒に回動する。
【0035】
側方のリンク部材20は、高さ寸法が中央のリンク部材20よりも大きく、中央のリンク部材20にピン22を介して連結した際に下端部が中央のリンク部材20の下面よりも下方に突出する。当該突出した下端部には、第1の
線状部材24が前後方向に挿通、案内されるガイド部としてのガイド孔52が貫通、形成されている。
【0036】
また、各側方のリンク部材20の前面および後面の、ピン22よりも下側の部分には、
図4(a)に示すように、下方に向かうにつれて側方のリンク部材20の前後方向長さを減少させる方向に所定の斜度で傾斜した傾斜面54がそれぞれ形成されている。つまり、側方のリンク部材20の前面の、上記下側の部分は後方に傾斜し、側方のリンク部材20の後面の、上記下側の部分は前方に傾斜している。側方のリンク部材20の傾斜面54、基端部材16の傾斜面42および先端部材18の傾斜面31は、指fの屈曲動作補助に際してリンク部材20および先端部材18を、基端部材16に対して各ピン20周りに内側(掌側)に揺動させた際、所定の揺動角にて互いに当接し、その揺動角を超える揺動を阻止するものである。そして、当該所定の揺動角は、作動部12を真っ直ぐに展開させた状態(
図4(a))において、前後方向に隣接する傾斜面54、31、42同士がなす角θと等しく、この角を変更することで所望の揺動角規制を行うことができる。なお、図示例では当該角は概ね40°である。
【0037】
さらに、前後方向で互いに隣り合う側方のリンク部材20の、互いに対向する面には、相互に噛み合うことで一方の側方のリンク部材20の揺動運動を他方の側方のリンク部材20に伝達する部分歯車56が一体に形成されている。また、最後尾の側方のリンク部材20の後面には、基端部材16の部分歯車38と噛み合う部分歯車56が形成され、最前位の側方のリンク部材20の前面には、先端部材18の部分歯車30と噛み合う部分歯車56が形成されている。各部分歯車56は、連結軸としてのピン22の軸心周りに側方のリンク部材20と一緒に回動する。
【0038】
第1の
線状部材24および第2の
線状部材26は、
図1および
図5に示すように、一端が駆動部14に連結され、そこから基端部材16およびリンク部材20を経由して先端部材18まで、それぞれのガイド孔40、52、32、41、46、34およびガイド溝48を通って延び、他端(末端)が先端部材18のガイド孔32、34の前方開口端に係止され抜け止めされている。第1および第2の
線状部材24、26としては、例えばパラ系アラミド繊維からなるコードや金属製ワイヤ等を用いることができる。アラミド繊維としては、例えばケブラー(登録商標)を用いることできる。なお、図示例では、第1の
線状部材24および第2の
線状部材26は各2本設けているが、所定の引張強度を発揮する限り各1本としてもよく、各3本以上設けてもよい。
【0039】
駆動部14は、本実施形態では、第1の
線状部材24および第2の
線状部材26の張力を調整して、基端部材16に対してリンク部材20および先端部材18をピン22周りに、指を屈曲させる方向である内側方向と、指を展開させる方向である外側方向とに揺動させるものである。
図5に示すように、駆動部14は、基端部材16の後方に配置され、後方から第1および第2の線状部材24、26を引っ張るための駆動力を発生させるアクチュエータ58を備えており、アクチュエータ58としては、モータ駆動式や油圧駆動式、エア駆動式等のリニアアクチュエータやモータ駆動式のロータリアクチュエータを用いることができ、本実施形態では一例としてリニアアクチュエータ58を用いている。
【0040】
また、駆動部14は、必要に応じて、アクチュエータ58からの駆動力を第1および第2の
線状部材24、26に伝達する伝達機構を有していてよい。伝達機構としては、プーリ機構、歯車機構、リンク機構等の既知の様々な伝達機構を用いることができ、本実施形態では、一例としてラック・ピニオン伝達機構60を用いている。具体的には、ラック・ピニオン伝達機構60は、リニアアクチュエータ58の、第2の
線状部材26の後端が固定されたロッド58aに設けられた第1のラックギヤ61と、前後方向に移動可能であり第1の
線状部材の後端24が固定された第2のラックギヤ63と、第1および第2のラックギヤ61、63間に配置され、これらのラックギヤ61、63間で動力を伝達するピニオンギヤ65とから構成される。この伝達機構60において、ロッド58aを第1のラックギヤ61とともに後退させると(
図5(a))、第2のラックギヤ63が前方に移動するので、第2の
線状部材26の張力が高められるとともに、第1の
線状部材24の張力が緩められ、反対に、ロッド58aを第1のラックギヤ61とともに前方に進出させると(
図5(b))、第2のラックギヤ63が後方に移動するので、第1の
線状部材24の張力が高められるとともに、第2の
線状部材26の張力が緩められる。
【0041】
なお、本実施形態の指動作補助装置10は、駆動部14を制御する図示しない制御手段を備えていてよい。制御手段は、例えば、生体信号を検出するセンサと、センサにより検出された生体信号に基づいてアクチュエータ58へ制御信号を出力する演算部を有し、被補助者が指を動作させる際に筋に生じる筋電位信号に基づき、該筋に対応する指の屈伸動作を補助するようにしてもよい。あるいは、図示しないコントローラを用いて指動作補助装置10を直接操作するようにしてもよい。
【0042】
次に、上記の指動作補助装置10を用いて、人の指fの屈伸動作を補助する方法について説明する。まず、リンク部材20および先端部材18の下面に形成された湾曲凹部18b、20bが指fの背に対向する姿勢で指動作補助装置10を手の甲側に設置し、リンク部材20および先端部材18を、ピン22の領域を避けるように面ファスナ等の固定具で数箇所にわたって指fに結束、固定する。基端部材16および駆動部14も同様の固定具で手の甲に対して固定することができる。あるいは、図示しない手袋型の指動作補助装置を構成する場合には、各指袋内に、人が指fを挿入したときに上記姿勢になるよう指動作補助装置10を予め指袋内に固定しておくことができ、この場合には、各指袋内に指fを挿入するだけで、指動作補助装置10と指fとの位置決めを行うことができる。なお、いずれの場合においても、初期状態として、作動部12を予め外側に展開させ真っ直ぐ伸びた姿勢(
図5(a))にしておくと、指動作補助装置10を指fへ装着するのが容易である。この初期状態において、リニアアクチュエータ58のロッド58aは後方に退去した位置にある。
【0043】
そして、指動作補助装置10を指fに装着し作動部12が真っ直ぐ伸びた状態から、駆動部14のリニアアクチュエータ58のロッド58aを前方に進出させると、ピン22の上側に延びる第2の線状部材26の張力が緩められるとともに、ピン22の下側に延びる第1の線状部材24の張力が高められるので(
図5(b))、
図6および
図7に示すように、先端部材18およびリンク部材20の前部は、基端部材16に対して、各ピン22周りに下向き(内側)に揺動し、その結果、指fを屈曲させることができる。このとき、本実施形態の指動作補助装置10では、基端部材16、リンク部材20および先端部材18の、前後方向に互いに対向する面には、互いに噛み合いピン22周りに回動可能な部分歯車38、56、30、50が形成されているため、対向する部材16、20、18間の相対的な揺動角は、すべての箇所で等しくなる。これにより、指fの根元部から先端部に至る屈曲を均一に行うことができる。そして、基端部材16、リンク部材20および先端部材18間の相対的な揺動角が所定の角度θに達すると、基端部材16、リンク部材20および先端部材18の、前後方向に対向する面に形成された傾斜面31、54、42同士が当接し、それ以上の指の屈曲が阻止される。
【0044】
指fが屈曲された状態から指fを展開させる場合には、駆動部14のリニアアクチュエータ58のロッド58aを後退させる(
図5(a))。これにより、第1の線状部材24の張力が緩められるとともに、第2の線状部材26の張力が高められるので、先端部材18およびリンク部材20の前部が基端部材18に対して、各ピン22周りに上向き(外側)に揺動し(引き起こされ)、その結果、指fを展開させることができる。このときも、基端部材16、リンク部材20および先端部材18に形成された部分歯車38、56、30、50が互いに噛み合いながら回動するため、対向する部材16、20、18間の相対的な揺動角は、すべての箇所で等しくなる。
【0045】
したがって、本実施形態の指動作補助装置10によれば、ピン22の下側に架設した第1の線状部材24とピン22の上側に架設した第2の線状部材26を交互に引っ張るだけで、指の屈伸動作を行わせることができるため、構造が簡単であり且つ小型化可能である。
【0046】
また、本実施形態の指動作補助装置10によれば、リンク部材20が指fの幅方向で3列にわたって設けられているため、横方向(幅方向)の剛性を高めることができ、より安定した指fの屈伸動作補助が可能である。
【0047】
さらに、本実施形態の指動作補助装置10によれば、基端部材16、リンク部材20および先端部材18に、第1の線状部材お24よび第2の線状部材26を案内するガイド孔40、52、32、41、46、34が設けられているため、指fの屈伸動作をスムーズに行わせることができる。
【0048】
さらに、本実施形態の指動作補助装置10によれば、基端部材16、リンク部材20および先端部材18の、前後方向で互いに対向する面には、リンク部材20および先端部材18の、内側方向への所定の揺動角にて互いに当接して、該所定の揺動角を超える内側方向への揺動を阻止する傾斜面31、54、42が形成されているため、指fの過度な屈曲を防止することができる。
【0049】
加えて、本実施形態の指動作補助装置10によれば、基端部材16、リンク部材20および先端部材18の、前後方向で互いに対向する面には、相互に噛み合う部分歯車38、56、30、50が形成されているため、前後方向で対向する部材16、20、18間でその揺動角を等しくすることができ、指fを指全体で均一に屈伸させることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、ピン22の上側および下側にそれぞれ、線状部材24、26を架設する例を示したが、作動部12は、第1の線状部材24および第2の線状部材26のうちの一方と、作動部12を展開方向または屈曲方向に常時付勢する板ばねやコイルばね、ゴム等の付勢部材とを備えるものでもよい。具体的には、ピン22の下側に第1の線状部材24のみ設ける場合には、作動部12を展開方向に常時付勢する付勢部材を設け、ピン22の上側に第2の線状部材26のみ設ける場合には、作動部12を屈曲方向に常時付勢する付勢部材を設けることができ、このようにすれば駆動部14の構造を簡素化することができる。
【0051】
次いで、第2発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここで
図8は、第2発明の一実施形態の指動作補助装置を人の手の人差し指に装着し、展開させた様子を示す斜視図であり、
図9および
図10は、
図8に示した指動作補助装置を示し、
図9(a)は平面図、
図9(b)は側面図、
図10(a)は
図9(a)におけるA−A線に沿う断面図、
図10(b)は正面図、
図10(c)は背面図である。
【0052】
図8に示すように、本実施形態の指動作補助装置70は、人の指fの背側に指の長手方向に沿って設置されるものであり、該指fの屈伸動作を補助する作動部72と該作動部72を駆動する駆動部74とを備える。作動部72は、主として、被装着者(被補助者)からみて最近位の基端部材76と、最遠位の先端部材78と、先端部材76と基端部材78との間で指の長手方向に沿って配列された複数のリンク部材80と、指の幅方向でみて互いに重なり合う、基端部材76とリンク部材80間、リンク部材80、80間、およびリンク部材80と先端部材78間をそれぞれ互いに揺動可能連結する連結軸としてのピン82と、作動部72、指を展開させる方向である外側方向または指を屈曲させる方向である内側方向に常時付勢する付勢手段とを備えている。
【0053】
以下、各構成部品の詳細を説明する。なお、以下の説明において「前」というときには、先端部材78と基端部材76との関係において先端部材78がある側を指し、「後」というときには、先端部材78と基端部材76との関係において基端部材76がある側を指すものとする。また、「下」というときには、指fの背の上に配置される指動作補助装置70と該指fの背との関係において指fの背がある側を指し、「上」というときには、指fの背の上に配置される指動作補助装置70と該指fの背との関係において指動作補助装置70がある側を指すものとする。よって、「前後方向」とは、指の長手方向と同義であり、「左右方向」または「横方向」とは指の幅方向と同義である。
【0054】
まず、先端部材78は、指fの先端部f
tの背に宛がわれるとともに基端部材76およびリンク部材80に対してピン82周りに揺動し、該先端部f
tを内側(掌側)に屈曲させるまたは外側(手の甲側)に展開させるものである。なお、指fの先端部f
tとは、手の指fの末端骨に対応する部分を少なくとも含み、遠位指節間関節および中節骨に対応する部分を含んでもよい。
【0055】
先端部材78は、
図9および
図10に示すように、正面視で高さが幅よりも小さい偏平な略矩形形状をなし、指の長手方向に所定長さを有している。また、先端部材78の下面には、前後方向に延びる湾曲凹部78bが形成されている。この湾曲凹部78bにより、先端部材78と指fの先端部f
tとの間で安定した接触を確保することができるとともに、先端部材78を指fに搭置したときの低背化にもなる。
【0056】
先端部材78の後端部には、左右両端位置から後方に向けて2つの脚部78c、78dが突設されており、各脚部78c、78dには、連結軸としての上記ピン82が左右方向に挿通されるピン収容孔88が形成されている。装置装着時のピン収容孔88の、前後方向における位置は、指の遠位指節間関節上またはその近傍とするのが好ましい。各脚部78c、78dの後縁部には、後方にリンク部材80に形成された後述の部分歯車と噛み合う部分歯車90が一体に形成されており、各部分歯車90は、ピン22の軸心周りに先端部材78と一緒に回動する。
【0057】
基端部材76は、指fの先端部f
tよりも指の付け根側の指部分f
bまたは手の甲(例えば中手骨の、中手指節間関節近傍)上に配置されて、リンク部材80および先端部材78を支持するものであり、
図9および
図10に示すように、背面視で高さが幅よりも小さい偏平な略矩形形状をなし、指の長手方向で所定長さを有している。また、基端部材76の下面には、前後方向に延びる湾曲凹部76bが形成されている。この湾曲凹部76bにより、基端部材76と上記指部分fbまたは手の甲との間で安定した接触を確保することができるとともに、基端部材76を指または手の甲に載置したときの低背化にもなる。
【0058】
また、基端部材76の前端部には、左右両端位置から前方に向けて2つの脚部76c、76dが突設されており、各脚部76c、76dには、連結軸としてのピン82が左右方向に挿通されるピン収容孔92が形成されている。装置装着時のピン収容孔92の、前後方向における位置は、中手指節間関節上またはその近傍とするのが好ましい。各脚部76c、76dの前縁部には、前後方向に隣接するリンク部材80に形成された後述の部分歯車と噛み合う部分歯車94が一体に形成されている。各部分歯車94の軸心は、連結軸としてのピン82の軸心と一致する。
【0059】
リンク部材80は、先端部材78と基端部材76との間の指部分の背に宛がわれるとともに、基端部材76に対して揺動して該指部分を内側に屈曲させまたは外側に展開させるものである。リンク部材80は、前後方向(指の長手方向)に沿って列をなすよう複数配置され、さらに左右方向(指の幅方向)にも2列以上、ここでは3列にわたって設けられている。左右方向で隣接する列間で、リンク部材80は前後方向において交互に配置され、つまり左右方向に隣接するリンク部材80は互いに半ピッチ分、前後方向にずらされている。そして、半ピッチ分ずらされたリンク部材80同士は、リンク部材80の前後に形成されたピン収容孔96に挿通されたピン82を介して相互に揺動可能に連結されている。同様にして、最も後方に位置するリンク部材80は、ピン82を介して基端部材76の脚部76c、76dに相互に揺動可能に連結され、最も前方に位置するリンク部材80は、ピン82を介して先端部材78の脚部78c、78dに相互に揺動可能に連結されている。
【0060】
また本実施形態では、相互に幅が異なる2つのリンク部材80が用いられており、一方は、横方向の中央に配置された幅広のリンク部材80であり、他方は、該中央のリンク部材80を側方から挟み込むようにして配置された幅狭のリンク部材80である。このように中央のリンク部材80を幅広に形成することで、リンク部材80の屈伸動作を安定して指に伝えることができる。
【0061】
中央のリンク部材80の下面には、先端部材78および基端部材76と同様に、前後方向に延びる湾曲凹部80bが形成されていてよく、これにより、リンク部材80と指fとの間で安定した接触を確保することができるとともに、リンク部材80を指に搭置したときの低背化を図ることができる。
【0062】
また、前後方向で互いに隣り合う中央のリンク部材80の、互いに対向する面(前面および後面)には、相互に噛み合うことで一方の中央のリンク部材80の揺動運動を他方の中央のリンク部材80に伝達する部分歯車98が形成されている。各部分歯車98は、連結軸としてのピン82の軸心周りに回動する。
【0063】
同様に、前後方向で互いに隣り合う側方のリンク部材80の、互いに対向する面には、相互に噛み合うことで一方の側方のリンク部材80の揺動運動を他方の側方のリンク部材80に伝達する部分歯車99が一体に形成されている。また、最後方の側方のリンク部材80の後面には、基端部材76の部分歯車94と噛み合う部分歯車99が形成され、最前方の側方のリンク部材80の前面には、先端部材78の部分歯車90と噛み合う部分歯車99が形成されている。各部分歯車99は、連結軸としてのピン82の軸心周りに側方のリンク部材80と一緒に回動する。
【0064】
付勢手段は、リンク部材80および先端部材78を、指fを展開させる方向である外側方向または指fを屈曲させる方向である内側方向に常時付勢するものであり、図示例では、付勢手段として、基端部材76、リンク部材80および先端部材78の下面の湾曲凹部76b、80b、78b内に、基端部材76からリンク部材80を経て先端部材78まで前後方向に沿って延設された、指を屈曲させる方向である内側方向に常に付勢する板ばね101が設けられている。なお、板ばねに代えて、コイルばねやゴムを用いてもよい。
【0065】
駆動部84は、少なくとも1つのリンク部材80(ここでは基端部材76に最も近い中央リンク部材80)に駆動力を与えて、基端部材16に対してリンク部材80および先端部材78をピン82周りに、指fを屈曲させる方向である内側方向または指fを展開させる方向である外側方向に揺動させるものである。駆動部74は、基端部材76の上面上に配置され、中央、最後尾のリンク部材80に駆動力を与えるアクチュエータ103を備えており、アクチュエータ103としては、モータ駆動式や油圧駆動式、エア駆動式等のリニアアクチュエータやモータ駆動式のロータリアクチュエータを用いることができ、本実施形態では一例としてリニアアクチュエータ103を用いている。
【0066】
また、駆動部84は、必要に応じて、アクチュエータ103からの駆動力をリンク部材80に伝達する伝達機構を備えていてよい。伝達機構としては、プーリ機構、歯車機構、リンク機構等の既知の様々な伝達機構を用いることができ、図示例では、アクチュエータ103のロッド103aの進退運動をリンク部材80の揺動運動に変換するリンク機構105を用いている。
【0067】
なお、本実施形態の指動作補助装置70は、駆動部84を制御する図示しない制御手段を備えていてよい。制御手段は、例えば、生体信号を検出するセンサと、センサにより検出された生体信号に基づいてアクチュエータ103へ制御信号を出力する演算部を有し、被補助者が指を動作させる際に筋に生じる筋電位信号に基づき、該筋に対応する指の屈伸動作を補助するようにしてもよい。あるいは、図示しないコントローラを用いて指動作補助装置70を直接操作するようにしてもよい。
【0068】
次に、本実施形態の指動作補助装置70を用いて、人の指fの屈伸動作を補助する方法について説明する。本実施形態では、リンク部材80および先端部材78は板ばね101により内側方向に常時付勢されているため、該板ばね101の付勢力に抗してリニアアクチュエータ103のロッド103aを後退させて、基端部材76、リンク部材80および先端部材78を板ばね101の付勢力に抗して真っ直ぐ伸びた姿勢にしておくのがよい(
図8)。なお、リニアアクチュエータ103は、無給電時においてロッド103aの位置が保持されるセルフロック機能を有することが好ましく、これによれば無給電下においても、リンク部材80および先端部材78を真っ直ぐ伸びた姿勢に維持することができる。この状態で、リンク部材80および先端部材78の下面に形成された湾曲凹部80b、78bが指fの背に対向する姿勢で、指動作補助装置70を手の甲側に設置し、リンク部材80および先端部材78を、ピン82の領域を避けるように面ファスナ等の固定具で数箇所にわたって指に結束、固定する。基端部材76および駆動部74も同様の固定具で手の甲に対して固定することができる。
【0069】
そして、指動作補助装置70を指fに装着し作動部72が真っ直ぐ伸びた状態から、駆動部74のリニアアクチュエータ103のロッド103aを前方に徐々に進出させると、
図11に示すように、ロッド103aに伝達機構105を介して連結された中央、最後尾のリンク部材80が前方下向きに揺動する。この揺動運動は、該リンク部材の前方に隣接する中央のリンク部材80に部分歯車98を介して伝達されるとともに、横方向に隣接する側方、最後尾のリンク部材80にも連結軸としてのピン82を介して伝達される。このようにして、中央、最後尾のリンク部材80の揺動運動は、リンク部材80の部分歯車98、98とピン82を介して前方に伝達され、最終的には先端部材78が、脚部78c、78d間を延びるピン82周りに前方下向きに揺動するので、指fを屈曲させ、例えば球体を把持させることができる。
【0070】
指fが屈曲された状態から、指を展開させる場合には、板ばね101の付勢力に抗してリニアアクチュエータ103のロッド103aを後退させる。そうすると、リニアアクチュエータのロッド103aに連結されたリンク部材80が基端部材76の脚部76c、76dに挿通されたピン82周りに揺動して引き起こされ、この揺動動作が部分歯車98、99およびピン82を介して他のリンク部材80および先端部材78に順次伝達され、先端部材78およびリンク部材80が外側に引き起こされるので、指fを展開させることができる。
【0071】
したがって、本実施形態の指動作補助装置70によれば、基端部材76と先端部材78との間の複数のリンク部材80を設けるとともに、基端部材76、先端部材78およびリンク部材80に部分歯車90、94、98、99を形成し、少なくとも1つのリンク部材80を揺動させるだけで、指の屈曲動作を行わせることができるため、構造が簡単であり且つ小型化可能ある。さらに、部分歯車90、94、98、99を介して揺動を伝達させることで、すべての揺動箇所で揺動角を等しくすることができ、指fを指全体で均一に屈伸させることができる。
【0072】
また、本実施形態の指動作補助装置70によれば、リンク部材80が指fの幅方向で3列にわたって設けられているため、横方向(幅方向)の剛性を高めることができ、より安定した指fの屈伸動作補助が可能である。
【0073】
なお、本実施形態では、作動部72を屈曲方向に常時付勢する板ばね101を設け、屈曲方向への指の動作補助を板ばね101の付勢力により行う例を示したが、作動部72を展開方向に常時付勢する板ばねをピン82よりも上側に設け、該板ばねの付勢力に抗してアクチュエータにより作動部72を屈曲させるようにしてもよい。あるいは、
図12に示すように、板ばねを用いず、電気モータMおよび該モータの回転軸先端に固定された歯車Gにより少なくとも1つのリンク部材、好ましくは最後尾のリンク部材80を正逆方向に回動させることで、作動部72を屈伸させるようにしてもよい。
【0074】
以上、図示例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態で示したものに限定されず、特許請求の範囲の開示内で適宜に変更することができる。例えば、上記実施形態では、連結軸はピンであったが横方向に突出する突起でもよい。また、図示例では、リンク部材の前後に形成された2つピン収納孔は独立しているが、該2つのピン収容孔は前後方向で互いに繋がったものでもよい。さらに、第1発明では、部分歯車30、38、50、56を省略することもできる。