(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の導電領域は、前記第1端子に接続される第1導電領域と、前記第2端子又は前記第4端子のいずれか一方の端子に接続される第2導電領域と、前記第3端子に接続される第3導電領域とを含む
請求項8に記載のモジュール。
前記上側スイッチング素子は、前記第1導電領域を介して前記第1端子に接続される上側ドレインと、前記第3導電領域を介して前記第3端子に接続される上側ソースとを有し、
前記下側スイッチング素子は、前記第4端子に接続される下側ドレインと、前記第2端子に接続される下側ソースとを有し、前記第2導電領域が前記第4端子に接続される場合には、前記下側ドレインが前記第2導電領域を介して前記第4端子に接続され、前記第2導電領域が前記第2端子に接続される場合には、前記下側ソースが前記第2導電領域を介して前記第2端子に接続され、
前記上側ダイオード素子は、前記第3導電領域を介して前記第3端子に接続される上側アノードと、前記第2端子に接続される上側カソードとを有し、
前記下側ダイオード素子は、前記第4端子に接続される下側アノードと、前記第1導電領域を介して前記第1端子に接続される下側カソードとを有する
請求項10に記載のモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な一実施形態のモジュールを、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態のモジュール10の回路構成を示した図である。モジュール10は、ひとつのハーフブリッジ回路を構成している。モジュール10は、回路要素と複数の端子とを有する。回路要素は、上側スイッチング素子Q1、下側スイッチング素子Q2、上側ダイオード素子D1、及び下側ダイオード素子D2、を有する。この好ましい実施形態において、上側スイッチング素子Q1及び下側スイッチング素子Q2には、それぞれ、トランジスタが用いられている。なお、上側及び下側スイッチング素子Q1,Q2に用いられる素子は、トランジスタに限定されるものではない。また、モジュール10の複数の端子は、第1端子A、第2端子B,第3端子C、第4端子D,第6端子F、第7端子G、第8端子H、及び第9端子Eを有する。
【0010】
上側スイッチング素子Q1は、上側ドレインQ1D、上側ゲートQ1G及び上側ソースQ1Sを有する。上側ダイオード素子D1は、上側アノードD1Aと上側カソードD1Kとを有する。下側スイッチング素子Q2は、下側ドレインQ2D、下側ゲートQ2G及び下側ソースQ2Sを有する。下側ダイオード素子D2は、下側アノードD2Aと下側カソードD2Kとを有する。
【0011】
上側ドレインQ1Dは、第1端子Aに接続される。好ましくは、第1端子Aは、電源(図示省略)の正極につながる。上側ゲートQ1Gは、第7端子Gに接続される。上側ソースQ1Sは、第8端子H、第3端子C及び下側カソードD2Kに接続される。下側ドレインQ2Dは、第4端子D及び上側アノードD1Aに接続される。下側ゲートQ2Gは、第9端子Eに接続される。下側ソースQ2Sは、第2端子B及び第6端子Fに接続される。第2端子Bは、電源の負極につながる。上側アノードD1Aは、第4端子D及び下側ドレインQ2Dに接続される。上側カソードD1Kは、第1端子Aに接続される。なお、上側カソードD1Kは、第5端子A’に接続されてもよい。
図1を用いて説明する実施形態においては、第1端子A及び第5端子A’は同一の端子である。下側アノードD2Aは、第2端子B及び第6端子Fに接続される。下側カソードD2Kは、第3端子C、第8端子H及び上側ソースQ1Sに接続される。なお、第6端子Fと第8端子Hとは、例えば、ケルビン接続用の端子として用いることができる。この場合、ケルビン接続により、ゲートとソース間の電圧を高精度に検査することができる。
【0012】
ここで、上側スイッチング素子Q1、下側スイッチング素子Q2、上側ダイオード素子D1及び下側ダイオード素子D2は、スイッチング素子である。それぞれの素子は、SiC(炭化珪素)により構成される素子であることが好ましい。従来のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)は、オン(ON)抵抗が高いといった特性がある。また、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)は、高周波数領域においてテール電流が発生しやすいという特性がある。これらの特性は、例えば、永久磁石同期モータが高速回転状態となり、各素子のスイッチング回数が増える場合及びスイッチング周波数が高くなる場合などに、より顕著となる。スイッチング回数の増加及びスイッチング周波数が高くなると、スイッチング損失が増えてしまう。一方で、SiC素子は、MOS−FETと比較してON抵抗が低く、IGBTのようなテール電流も発生しない。そのため、回路素子における発熱も少なくなる。したがって、SiC素子は、高速スイッチングを行うことが求められる高回転領域でのモータの駆動、高電圧や高温での使用に適する。なお、上側スイッチング素子Q1、下側スイッチング素子Q2、上側ダイオード素子D1及び下側ダイオード素子D2には、SiCに代えて、例えば、GaN(窒化ガリウム)により構成された素子が用いられてもよく、IGBTやMOS−FETが用いられてもよい。
【0013】
図2は、実施形態のハーフブリッジ回路のモジュール10の構造を示した図である。
図2に示すように、モジュール10は、第1端子A、第2端子B,第3端子C、第4端子D,第6端子F、第7端子G、第8端子H、第9端子E、回路要素11、及びパッケージ12を備える。
図2において、各端子はパッケージ12の表面から突出する。回路要素11は、パッケージ12の内部に配置される。この好ましい実施形態において、第1端子A、第2端子B、第3端子C、及び第4端子Dは、それぞれ、板形状である。第1端子A、第2端子B、第3端子C、及び第4端子Dは、板厚方向に貫通する貫通孔を、それぞれ有する。貫通孔は、例えば、各端子とパッケージ12の外部へとつながる導電線とを接続する。
図2に示すように、パッケージ12は、平面視において、略矩形である。第1端子A及び第2端子Bは、パッケージ12の一辺から、パッケージ12の外部である一方側(
図2中の上側)に向かって、それぞれ伸びる。第3端子C及び第4端子Dは、パッケージ12の他の一辺から、パッケージ12の外部である他方側(
図2中の下側)に向かって伸びる。なお、第3端子C及び第4端子Dは、パッケージ12の他の一辺(図中の左辺)から、パッケージ12の外部である他方側(
図2中の左側)に向かって伸びる構成であってもよく、特に限定されるものではない。第7端子Gと第8端子Hは、パッケージ12の一辺から、
図2中の右側に向かって伸びる。第9端子Eと第6端子Fは、第7端子Gと第8端子Hの少なくとも一部配置されるパッケージ12の一辺から、
図2中の右側に向かって伸びる。第6端子F、第7端子G、第8端子H、及び第9端子Eの長手方向の寸法は、互いに、ほぼ等しい。なお、
図2において、各端子は突出するように示しているが、露出していればよく、各端子の少なくとも一部がパッケージ12の表面または内部に嵌め込まれていてもよい。
【0014】
ここで、第3端子Cと第4端子Dとは、パッケージ12の外部において短絡可能なように配置される。この好ましい実施形態においては、上述のように、第3端子C及び第4端子Dは、平面視において、パッケージ12における同一の一辺に、それぞれ配置される。すなわち、第3端子Cと第4端子Dとが、パッケージ12の一辺からパッケージ12の外部に同一方向に延びる。第3端子Cは、第4端子Dに隣り合って配置される。
第3端子Cと第4端子Dとの間には、間隙がある。第3端子Cの長手方向(
図2中の上下方向)の長さは、第4端子Dの長手方向の長さと、等しい。これにより、第3端子Cと第4端子Dとを導電線などにより電気的に接続することを容易に行うことができる。
また、第3端子Cと第4端子Dとを電気的に接続されている状態から、接続を切断することも容易に行うことができる。
図3に示すように、モジュール10が、第3端子Cと第4端子Dとが短絡されない場合は、集中巻き3相SRモータに使用可能になる。一方、
図4に示すように、モジュール10が、第3端子Cと第4端子Dとが短絡される場合は、3相同期モータに使用可能になる。以上のように、モジュール10は、簡単な構成を追加することで、集中巻き3相SRモータ及び3相同期モータのいずれにも使用可能な電力変換装置となる。したがって、モジュール10は、広範なモータに適用できるため、量産に向いている。そのため、モジュール10は、量産によるコスト低減の効果を得られやすい。また、好ましい実施形態においては、第3端子Cと第4端子Dは、板厚方向の高さが同じ高さに配置される。これにより、第3端子Cと第4端子Dとをつなげる導電線を、板厚方向に折り曲げることなく配置することができる。よって、第3端子Cと第4端子Dとを電気的に接続することを容易に行うことができる。また、好ましい実施形態においては、第3端子Cの貫通孔と第4端子Dの貫通孔とは、パッケージ12の一辺からの距離が等しい。これにより、第3端子Cと第4端子Dとをつなげる導電線を、平面方向に折り曲げることなく配置することができる。よって、第3端子Cと第4端子Dとを電気的に接続することを容易に行うことができる。
【0015】
また、
図2においては、第1端子Aと第2端子Bとが、パッケージ12の一辺からパッケージ12の外部に同一方向に伸びる。第1端子Aと第2端子Bとの間には、例えば、バイパスコンデンサを配置することができる。バイパスコンデンサは、第1端子Aと第2端子Bに、それぞれ接続される。この構成により、回路要素11が動作する際に、直流電源の電圧が変動するのを避けることができる。その結果、ノイズ輻射を抑制することができる。
【0016】
続いて、上述のモジュール10が用いられる電力変換装置及びその電力変換装置に接続されるモータについて、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、集中巻き3相SRモータ100の構成を示す図である。集中巻き3相SRモータ100は、電力変換装置50を有する。電力変換装置50は、3つのモジュール10(すなわち、第1、第2、第3モジュール10A、10B、10C)を有する。それぞれのモジュール10において、第1端子Aは、電源70の正極につながる配線15に、接続される。第2端子Bは、電源70の負極につながる配線16に接続される。電力変換装置50において、3つのモジュール10は、互いに並列に接続される。すなわち、電力変換装置50は、3つのハーフブリッジ回路を並列に接続した構成である。
【0017】
集中巻き3相SRモータ100は、ステータ20、ロータ30及び回路基板40を有する。ロータ30は、ステータ20に対して、中心軸を中心として相対的に回転可能である。回路基板40は、ステータ20に接続される。ステータ20は、中心軸を規準とする径方向内側に突出した3n(nは自然数)個のティース部と、それぞれのティース部に導線が集中巻きによって巻回されて構成される複数のコイルと、を有する。ロータ30は、径方向外側に突出した2n個の突極部を有する。各突極部は、ティース部と、径方向に対向する。この好ましい実施形態においては、ティース部の数は3個であり、突極部の数は4個である。しかしながら、ティース部の数および突極部の数は、これらに限定されるものではない。
【0018】
回路基板40は、複数の端子P1〜P6を有する。各端子P1〜P6は、電力変換装置50の各端子に、それぞれ接続される。この好ましい実施形態においては、端子P1と端子P2はU相のコイルに接続される。端子P3と端子P4は、V相のコイルに接続される。端子P5と端子P6は、W相のコイルに接続される。より詳細には、U相のコイルの巻き終わりの部位は、端子P1に接続される。U相のコイルの巻き始めの部位は、端子P2に接続される。V相のコイルの巻き終わりの部位は、端子P3に接続される。
V相のコイルの巻き始めの部位は、端子P4に接続される。W相のコイルの巻き終わりの部位は、端子P5に接続される。W相のコイルの巻き始めの部位は、端子P6に接続される。なお、端子P1〜P6には、それぞれ他の相のコイルが接続されてもよい。
【0019】
上述のように、電力変換装置50は、3つのモジュール10を有する。モジュール10は、第1モジュール10A、第2モジュール10B、及び第3モジュール10Cを有する。第1モジュール10A、第2モジュール10B、及び第3モジュール10Cは、集中巻き3相SRモータ100の3相(U,V,W相)に、それぞれ対応する。第1、第2、第3モジュール10A、10B、10Cは、それぞれ回路要素11を含み、同一の構成である。第1モジュール10Aは、第4端子Dが端子P1に接続される。第3端子Cが端子P2に接続される。すなわち、第1モジュール10Aの第3端子Cは、回路基板40を介して、対応するU相のコイルの巻き始めの部位に接続される。第4端子Dは、回路基板40を介して、対応するU相のコイルの巻き終わりの部位に接続される。第2モジュール10Bでは、第4端子Dが回路基板40の端子P3に接続され、第3端子Cが端子P4に接続される。すなわち、第2モジュール10Bの第3端子Cは回路基板40を介して、対応するV相のコイルの巻き始めの部位に接続される。第4端子Dは、回路基板40を介して、V相のコイルの巻き終わりの部位に接続される。第3モジュール10Cでは、第4端子Dが回路基板40の端子P5に接続され、第3端子Cが端子P6に接続される。すなわち、第3モジュール10Cの第3端子Cは回路基板40を介して、対応するW相のコイルの巻き始めの部位に接続され、第4端子Dは回路基板40を介して、W相のコイルの巻き終わりの部位に接続される。すなわち、電力変換装置50が備える3つのモジュール10のそれぞれの第3端子Cは、回路基板40を介して対応する相のコイルの巻き始めの部位に接続される。また、モジュール10のそれぞれの第4端子Dは、回路基板40を介して対応する相のコイルの巻き終わりの部位に接続される。
【0020】
以上説明したように、
図3に示される構成においては、第1、第2、第3モジュール10A、10B、10Cがそれぞれ並列接続される。並列接続されたモジュール10各々において、第3端子Cと第4端子Dとの間に、ステータ20の対応するコイルをつなぐことができる。第3端子Cと第4端子Dとが接続されることにより3相ハーブリッジ回路の一部が構成され、この3相ハーブリッジ回路を有する電力変換装置50へ用いることができる。その結果、電力変換装置50を集中巻き3相SRモータ100へ適用することが可能となる。
【0021】
図4は、3相同期モータ200の構成を示す図である。本実施形態によると、3相ブリッジ回路を構成する電力変換装置50を構成する。本実施形態では、モジュール10における第3端子Cと第4端子Dとが接続されることにより、電力変換装置50は、3相ブリッジ回路の一部を構成する。3相同期モータ200は、電力変換装置50を有する。電力変換装置50は、3つのモジュール10(すなわち、第1、第2、第3モジュール10A、10B、10C)を有する。それぞれのモジュール10において、第1端子Aは、電源70の正極につながる配線15に接続される。第2端子Bは、電源70の負極につながる配線16に接続される。3つのモジュール10は、並列に接続される。また、3つのモジュール10のそれぞれの第3端子Cは、回路構成の外部、すなわちモジュール10のパッケージ12の外部で、各モジュールの第4端子Dに接続される。
【0022】
3相同期モータ200は、ステータ25、ロータ35及び回路基板45を有する。ステータ25は3相のコイルを含むステータである。ステータ25は、複数のコイルを有する。回路基板45は、ステータ25に電気的に接続される。ロータ35は、ステータ25に対して、中心軸を中心として、相対的に回転可能である。ロータ35は、ステータ25と、中心軸を規準とする径方向に対向して配置される。
【0023】
回路基板45は、複数の端子P11、P12、P13を有する。
この好ましい実施形態においては、端子P11は、U相のコイルに接続される。端子P12は、V相のコイルに接続される。端子P13は、W相のコイルに接続される。回路基板45の各端子P11、P12、P13は、それぞれ、電力変換装置50の各端子に接続される。そのため、例えば、コイルがスター結線の場合、U相のコイルの中性点の反対側は、端子P11に接続される。V相のコイルの中性点の反対側は、端子P12に接続される。W相のコイルの中性点の反対側は、端子P13に接続される。
【0024】
また、コイルがデルタ結線の場合、U相のコイルとW相のコイルとの結合点は、回路基板45の端子P11に接続される。V相のコイルとU相のコイルとの結合点は、端子P12に接続される。W相のコイルとV相のコイルとの結合点は、端子P13に接続される。
【0025】
上述のように、電力変換装置50は、3つのモジュール(第1、第2、第3モジュール10A、10B、10C)を有する。第1、第2、第3モジュール10A、10B、10Cは、3相同期モータ200の3相(U,V,W相)に対応する。第1、第2、第3モジュール10A、10B、10Cは、それぞれ回路要素11を含み、同一の構成である。第1モジュール10Aでは、第3端子C及び第4端子Dが第1モジュール10Aの外部で接続される。第3端子Cと第4端子Dとの接続点が、端子P11に接続される。すなわち、第1モジュール10Aの第3端子C及び第4端子Dは、回路基板45を介して、対応するU相のコイルに接続される。第2モジュール10Bでは、第3端子C及び第4端子Dがモジュール10の外部で接続される。第2モジュール10Bの第3端子Cと第4端子Dの接続点が、端子P12に接続される。すなわち、第2モジュール10Bの第3端子C及び第4端子Dは、回路基板45を介して、V相のコイルに接続される。第3モジュール10Cでは、第3端子C及び第4端子Dがモジュール10の外部で接続される。第3モジュール10Cの第3端子Cと第4端子Dの接続点が、端子P13に接続される。すなわち、第3モジュール10Cの第3端子C及び第4端子Dは、回路基板45を介して、対応するW相のコイルに接続される。すなわち、電力変換装置50が備える3つのモジュール10のそれぞれの第3端子Cは、各モジュールの第4端子Dにそれぞれ接続される。それぞれの第3端子C及び第4端子Dは、回路基板45を介して対応する相のコイルと接続される。
【0026】
以上説明したように、
図4に示される構成においては、第1、第2、第3モジュール10A、10B、10Cがそれぞれ並列接続される。各モジュール10各々の外部において、各第3端子C及び各第4端子Dが接続される。各第3端子Cと各第4端子Dとは、それぞれリード線または導電性を有する金属部材等を用いて、電気的に接続される。
各第3端子Cと各第4端子Dとの各接続点は、ステータ25の対応するコイルと電気的に接続する。各接続点からコイルの電気的な接続は、リード線またはコネクタ線等が用いられる。モジュール10において、第3端子Cと第4端子Dとが接続されることにより、3相ブリッジ回路の一部が構成される。第3端子Cと第4端子Dとが接続されたモジュール10を3つ用いることで、3相ブリッジ回路を有する電力変換装置50を構成することできる。その結果、電力変換装置50を3相同期モータ200へ適用することが可能となる。
【0027】
以上説明した例示的な一実施形態によれば、第3端子Cと第4端子Dとを短絡しない場合、第3端子Cと第4端子Dとの間にコイルをつなぐことができるため、集中巻き3相SRモータ100に使用可能なモジュール10を提供することができる。また、第3端子Cと第4端子Dとを短絡する場合、3相同期モータ200に使用可能なモジュール10を提供することができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
図5は、実施形態のモジュール10’の回路構成を示した図である。
図1で示された構成と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。モジュール10’においては、
図5に示すように、上側ドレインQ1Dは第1端子Aに接続される。しかしながら、上側カソードD1Kは、第1端子Aとは別の第5端子A’に接続される。すなわち、第1端子A及び第5端子A’は互いに別の端子である。第5端子A’はコンデンサに接続される。この構成により、上側ダイオード素子D1を通る還流電流が、配線15に悪影響を与えることを避けることができる。
【0029】
図5に対して、
図1に示したモジュール10においては、上側ドレインQ1D及び上側カソードD1Kは、同一の第1端子Aに接続されている。
すなわち、第1端子A及び第5端子A’は同一の端子である。
【0030】
モジュール10では、上側ダイオード素子D1を通る還流電流が、電源70の正極につながる配線15に帰還する場合、配線15と上側スイッチング素子Q1との間に負荷がかかる。モジュール10’では、上側ダイオード素子D1が配線15から離れ、コンデンサにつながる。これにより、上側ダイオード素子D1を通る還流電流が、配線15に悪影響を与えることを避けることができる。また、上記構成により、還流電流のノイズを除去することができる。なお、この変形例のように構成した場合には、第1端子Aと第5端子A’とを短絡させることにより、モジュール10と同じ回路構成にすることもできる。
【0031】
[モジュール内部の部品配置]
以下、
図6から
図8を参照して、モジュール10のパッケージの内部構造について説明する。
図6は、実施形態のハーフブリッジ回路のモジュール10の部品配置を示した図である。
図7は、モジュール10の断面を示した図である。
図8は、モジュール10の回路構成と部品配置との関係を示した図である。
【0032】
図6に示すように、上述した各素子は、モジュール10のパッケージの内部に配置される。このパッケージの内部には、絶縁部INS1と、導電領域PCA1〜PCA4とが配置される。導電領域PCA1〜PCA4とは、例えば、銅箔やアルミ箔などの金属箔である。なお、導電領域PCA1〜PCA4を、第1導電領域〜第4導電領域とも称する。
【0033】
図7に示すように、導電領域PCA1〜PCA4は、絶縁部INS1上に積層される。絶縁部INS1は、セラミックスなどの絶縁物であり、導電領域PCA1〜PCA4どうしを絶縁する。すなわち、導電領域PCA1〜PCA4は、絶縁部INS1によって相互に絶縁されている。なお、以下の説明において、導電領域PCA1〜PCA4を区別しない場合には、導電領域PCAと総称する。また、導電領域PCA1〜PCA4のうち、導電領域PCA4は、必須ではない。例えば、パッケージの内部の各部と、第2端子Bとの接続が、導電領域PCA4を介さない他の構成によって可能であれば、導電領域PCA4は、必須ではない。
【0034】
絶縁部INS1には、導電領域PCAが積層される面の裏面に、導電領域PCBが積層される。すなわち、導電領域PCB、絶縁部INS1及び導電領域PCAは、この記載順に積層される。導電領域PCB、絶縁部INS1及び導電領域PCAには、セラミックスの表裏面に銅箔やアルミ箔が接着された、セラミックス両面基板が用いられてもよい。
さらに、導電領域PCBには、冷却部材HSが付されてもよい。冷却部材HSとは、例えばヒートシンクやペルチェ素子などの吸熱を行う部材である。この冷却部材HSを備えることにより、モジュール10は、スイッチング素子やダイオード素子などから発生する熱を吸収して、モジュール10の温度を低減することができる。
なお、この冷却部材HSは、導電領域PCBに絶縁性接着剤や、はんだ又は焼結性金属を介して付される。絶縁性接着剤や、はんだ又は焼結性金属の熱伝導率が比較的高い場合には、モジュール10の温度をさらに低減することができる。
【0035】
図6に示すように、上側スイッチング素子Q1及び上側ダイオード素子D1は、導電領域PCA1に配置される。第1端子Aは、導電領域PCA1に接続される。下側スイッチング素子Q2は、導電領域PCA2に配置される。第4端子Dは、導電領域PCA2に接続される。下側ダイオード素子D2は、導電領域PCA3に配置される。第3端子Cは、導電領域PCA3に接続される。また、第2端子Bは、導電領域PCA4に接続される。つまり、導電領域PCA1〜PCA3のうち、導電領域PCA2及び導電領域PCA3には、スイッチング素子及びダイオード素子のうち、いずれか一種類の素子が配置される。
【0036】
上側スイッチング素子Q1は、複数のスイッチング素子が並列に接続された構成であってもよい。
図6に示す具体例では、上側スイッチング素子Q1において、3つのスイッチング素子が並列に接続されている。上側スイッチング素子Q1を構成する複数のスイッチング素子は、ジャンパ線JP1によって相互に接続される。また、上側スイッチング素子Q1は、ジャンパ線JP13によって導電領域PCA3に接続される。
【0037】
下側スイッチング素子Q2も、上側スイッチング素子Q1と同様に、複数のスイッチング素子が並列に接続された構成であってもよい。下側スイッチング素子Q2を構成する複数のスイッチング素子は、ジャンパ線JP2によって相互に接続される。また、下側スイッチング素子Q2は、ジャンパ線JP24によって導電領域PCA4に接続される。
【0038】
上側ダイオード素子D1及び下側ダイオード素子D2も、複数のダイオード素子が並列に接続された構成であってもよい。
下側ダイオード素子D2を構成する複数のダイオード素子は、ジャンパ線JP3によって相互に接続される。また、下側ダイオード素子D2は、ジャンパ線JP23によって下側スイッチング素子Q2に接続される。
上側ダイオード素子D1は、ジャンパ線JP12によって導電領域PCA2に接続される。すなわち、上側ダイオード素子D1を構成する複数のダイオード素子は、導電領域PCA2を介してジャンパ線JP12によって相互に接続される。
【0039】
図7に示すように、上側スイッチング素子Q1は、はんだや焼成銀などの接合部材SLDによって、導電領域PCA1に接合される。なお、上側ダイオード素子D1、下側ダイオード素子D2、及び下側スイッチング素子Q2も、上側スイッチング素子Q1と同様に、はんだや焼成銀などの接合部材SLDによって、各導電領域に接合される。
【0040】
図8に示すように、導電領域PCA1には、上側スイッチング素子Q1の上側ドレインQ1Dが接続される。また、導電領域PCA1には、上側ダイオード素子D1の上側カソードD1Kが接続される。
導電領域PCA2には、下側スイッチング素子Q2の下側ドレインQ2Dが接続される。また、導電領域PCA2には、ジャンパ線JP12を介して上側ダイオード素子D1の上側アノードD1Aが接続される。
導電領域PCA3には、下側ダイオード素子D2の下側カソードD2Kが接続される。また、導電領域PCA3には、ジャンパ線JP13を介して上側ソースQ1Sが接続される。
導電領域PCA4には、ジャンパ線JP24及びジャンパ線JP2を介して下側スイッチング素子Q2の下側ソースQ2Sが接続される。また、導電領域PCA4には、ジャンパ線JP23及びジャンパ線JP3を介して、下側ダイオード素子D2の下側アノードD2Aが接続される。
【0041】
ここで、モジュール10の端子と、導電領域PCAとの関係について説明する。上述したように、導電領域PCA2は、第4端子Dに接続されている。また、導電領域PCA3は、第3端子Cに接続されている。また、導電領域PCA2と導電領域PCA3とは、絶縁部INS1によって相互に絶縁されている。つまり、モジュール10のパッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとは、導電領域PCAによっては接続されていない。
【0042】
仮に、モジュールのパッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとが、導電領域PCAによって接続されている場合には、
図4に示す3相同期モータ200を構成することは可能である。しかしながら、モジュールのパッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとが、導電領域PCAによって接続されている場合には、
図3に示す集中巻き3相SRモータ100を構成することはできない。つまり、モジュールのパッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとが、導電領域PCAによって接続されている場合には、集中巻き3相SRモータ100と、3相同期モータ200とに使用可能なモジュールを提供することができない。
【0043】
一方、上述したモジュール10は、モジュール10のパッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとが、導電領域PCAによって接続されていない。このような構成により、モジュール10は、集中巻き3相SRモータ100と、3相同期モータ200とに使用可能なモジュールを提供することができる。
すなわち、上述した例示的な一実施形態によれば、パッケージの外部において第3端子Cと第4端子Dとを短絡しない場合、第3端子Cと第4端子Dとの間にコイルをつなぐことができるため、集中巻き3相SRモータ100に使用可能なモジュール10を提供することができる。また、パッケージの外部において第3端子Cと第4端子Dとを短絡する場合、3相同期モータ200に使用可能なモジュール10を提供することができる。
【0044】
以下、
図9及び
図10を参照して、モジュール10の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上述したモジュール10と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
図9は、実施形態の第1の変形例であるハーフブリッジ回路のモジュール210の部品配置を示した図である。
モジュール210は、導電領域PCA3に代えて、導電領域PCA3aを備えている。導電領域PCA3aは、第3端子Cに接続されている。また、導電領域PCA3aは、導電領域PCA2上に、絶縁部INS2を介して積層されている。すなわち、導電領域PCA2と、導電領域PCA3aとは、モジュール210のパッケージの内部において、絶縁されている。
すなわち、モジュール210が備える複数の導電領域PCAのうち少なくとも2つの導電領域PCAは、一方の導電領域PCAの一部に、他方の導電領域PCAが、絶縁部INS2を介して積層されることにより、互いに絶縁される構成である。
【0046】
ここで、3相同期モータ200を構成するモジュールは、パッケージの内部において、第3端子Cと、第4端子Dとが、導電領域PCA2によって接続されている場合がある。
3相同期モータ200を構成するモジュールを基にしてモジュール210を作成する場合、導電領域PCA2に絶縁部INS2及び導電領域PCA3aを積層し、第3端子Cを導電領域PCA3aに接続すればよい。つまり、モジュール210によれば、3相同期モータ200を構成するモジュールを、簡易な手順によって集中巻き3相SRモータ100に使用可能なモジュールに変更することができる。
【0047】
図10は、実施形態の第2の変形例であるハーフブリッジ回路のモジュール310の部品配置を示した図である。このモジュール310は、導電領域PCA2及び導電領域PCA4に代えて、導電領域PCA2a及び導電領域PCA5を備える点で、上述したモジュール10と異なる。
導電領域PCA2が第4端子Dに接続されるのに対し、導電領域PCA2aは、第2端子Bに接続される。また、導電領域PCA2には、下側スイッチング素子Q2の下側ドレインQ2Dが接続されるのに対し、導電領域PCA2aには、下側スイッチング素子Q2の下側ソースQ2Sが接続される。
導電領域PCA5は、第4端子Dに接続される。また、導電領域PCA5には、下側スイッチング素子Q2の下側ドレインQ2Dが、ジャンパ線JP2及びジャンパ線JP25を介して接続される。
このように構成しても、モジュール310は、集中巻き3相SRモータ100と、3相同期モータ200とに使用可能なモジュールを提供することができる。
【0048】
上記実施形態及び各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。