(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501369
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】内燃機関用のプラズマ点火プラグ
(51)【国際特許分類】
H01T 13/39 20060101AFI20190408BHJP
C22C 28/00 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
H01T13/39
C22C28/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-549200(P2016-549200)
(86)(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公表番号】特表2016-537800(P2016-537800A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014060816
(87)【国際公開番号】WO2015057915
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2017年5月31日
(31)【優先権主張番号】61/891,551
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/515,332
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516114743
【氏名又は名称】エスブイエムテック,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】モンロス,サージ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ユルス,デビッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】セゴタ,ダルコ
【審査官】
杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第95/004884(WO,A1)
【文献】
実開昭50−152020(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/00−13/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のプラズマ点火プラグであって、
近位端と遠位端を有する全体として円筒状の絶縁体、
絶縁体内に同軸で配置されるとともに、軸方向の長さが絶縁体と全体として等しい、中央の陽極、
絶縁体の遠位端に配置されるとともに、中央の陽極に電気的に接続される全体として半球形のエミッタ、
絶縁体の近位端に配置されるとともに、中央の陽極に電気的に接続される端子、および、
絶縁体の遠位端のまわりに同軸で配置され且つエミッタを囲むと共にその真隣にあるトーラス形の陰極リングを画定する、全体として円筒状の陰極スリーブであって、陰極リング及びエミッタは、絶縁体の遠位端から閉塞することなく開口する環状のスパーク間隙を形成する、全体として円筒状の陰極スリーブを備え、
エミッタはチタンを含み、中央の陽極上でプレス嵌めされる、ことを特徴とするプラズマ点火プラグ。
【請求項2】
絶縁体はガラス質のマシナブルセラミック粉末を含む、請求項1に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項3】
ガラス質のマシナブルセラミック粉末は、窒化ホウ素の圧縮されたマシナブル組成物を含む、請求項2に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項4】
中央の陽極はトリウム合金タングステンを含む、請求項1に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項5】
陰極スリーブはベリリウム合金銅、またはバナジウム合金銅を含む、請求項1に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項6】
エミッタの赤道直径は絶縁体の内径とほぼ等しい、請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項7】
陰極スリーブは、内燃機関上のねじ山が刻設されたポートとの互換性のために、ねじ山を刻設される、請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項8】
半球形のエミッタのアークは陰極スリーブの遠位端を越えて広がる、請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項9】
絶縁体はその長さに沿って陰極スリーブから中央の陽極を電気的に絶縁する、請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項10】
内燃機関用のプラズマ点火プラグであって、
近位端と遠位端を有する窒化ホウ素のセラミックの絶縁体、
絶縁体内に同軸で配置されるトリウム合金タングステンの中央の陽極、
絶縁体の遠位端に配置されるとともに、中央の陽極に電気的に接続されるチタンの半球形のエミッタ、
絶縁体の近位端に配置されるとともに、中央の陽極に電気的に接続される端子、および、
絶縁体の遠位端のまわりに同軸で配置され且つエミッタを囲むと共にその真隣にあるトーラス形の陰極リングを画定する、ベリリウム合金銅またはバナジウム合金銅の陰極スリーブであって、陰極リング及びエミッタは、絶縁体の遠位端から閉塞することなく開口する環状のスパーク間隙を形成する、ベリリウム合金銅またはバナジウム合金銅の陰極スリーブを備え、
エミッタはチタンを含み、中央の陽極上でプレス嵌めされる、ことを特徴とするプラズマ点火プラグ。
【請求項11】
絶縁体は全体として円筒状の中空の形状を含む、請求項10に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項12】
エミッタの赤道直径は絶縁体の内径とほぼ等しい、請求項10に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項13】
中央の陽極は全体として絶縁体と同一の広がりを持つ、請求項10に記載のプラズマ点火プラグ。
【請求項14】
陰極スリーブは、内燃機関上のねじ山が刻設されたポートとの互換性のために、ねじ山を刻設される、請求項10記載のプラズマ点火プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2013年10月16日に出願された米国仮出願第61/891,551号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は内燃機関とともに使用される点火源を対象としている。特に、本発明はスパークプラグに取って代わるように設計されたプラズマ点火プラグを対象とする。この革新的な点火プラグにより生成されるプラズマは、事実上100%の燃焼が達成されるように、燃料の分子解離を増加させるとともに、熱発生を減少させ、馬力を増大させ、排気プロファイル(exhaust profile)をほぼ完全に改善する。
【0003】
本発明の目的は、プラズマ伝播により石油ベースの燃料の燃焼を引き起こす内燃機関で使用されるデバイスを作り出すことである。プラズマ点火特性は、スパークプラグなどの従来のスパーク式点火デバイスによって現在のところ提供されていない。スパーク式デバイスの分野は、1,000を超える特許となったスパークエミッタおよびプラズマ伝播デバイスが非常に溢れている。さらに、プラズマアーク点火装置システムの分野も同様に飽和状態であるが、大部分は内燃機関に関連のない用途に分類される。こうしたデバイスはすべて、様々なタイプのガラス質のセラミックまたはグラシンセラミック(glassine ceramic)から構成される(b)絶縁性の磁器材料の中心を通って長手方向に挿入される(a)陽極棒、様々な材料から構成される(c)ぴったり合うように作られた(fitted)金属性の陰極材料であって、様々な戦略と手法を駆使してセラミック製の絶縁材料に貼られる陰極材料から一般的に構成され、(d)戦略や技術はすべて、陽極棒の先端から分離した単純なスパーク棒から、様々なケージ、プレート、層状材料、および、点火サイクル中にエンジンのシリンダに放射されたスパークの効果を増幅または増強することを意図した他の戦略に至るまでの多種多様な火花ギャップの形状を組み込む。
【0004】
本発明は、(a)その設計に組み入れられた材料、(b)その点火チップの形状、および(c)その電子的および電気的な性質により、同じ種類のすべての従来のデバイスとは区別される。点火プラグの独特な欠点と普遍的な欠点は一般に、その製造に組み入れられる金属要素が、異常爆発段階の間にシリンダ内に圧縮される大気と燃料の液滴を、有限の限界を超えて効率的に点火する点火ギャップにわたってスパークを放射することができないということである。現在の「スパークエミッタ」デバイスの制限は、(a)金属要素の十分とは言えない導電性、(b)金属要素によって実証された電気的な持久性、および(c)磁器セラミック絶縁材料によって提供される電気的な飽和に対する有限限界の製品である。
【0005】
従来のデバイスにより支持される正常な空気対燃料の比は一般に14.7:1であると認められる。22:1のより高い比で作動する新しいエンジンが最近製造されている。空気対燃料の混合のこの高いレベルは、従来の内燃エンジンデバイスにおける操作性の上限を表わす。なぜなら、従来の点火プラグで許容可能な電流の量(多くの可変入力特性を含む)が、パフォーマンスのこのレベルを超えることができないからである。より高い比で燃料空気混合気を効率的に爆発させるために、点火源は、任意の現在利用可能なデバイスにより支持することができるよりもはるかに高い電流レベル、速い切り替え時間、および、高いピーク振幅を許容するように設計されなければならない。
【0006】
本発明はこれらのニーズを満たし、他の関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0007】
革新的なプラズマ点火プラグはその設計に以下の要素を組み入れる:
【0008】
電気的な飽和:現在の製品のスパークプラグで使用される従来の磁器グラシンセラミック絶縁材料は、窒化ホウ素などのガラス質のマシナブルセラミックと取り替えられる。窒化ホウ素などのガラス質のマシナブルセラミックスは、様々な製剤で利用可能であり、適切な適用温度および圧力にさらされると、一般にグラシンセラミック結晶絶縁体を還元する。他の例としては、Catronics社によって提供されるRESCOR(登録商標)アルミナとアルミナシリケートのマシナブルセラミックスが挙げられる。こうしたマシナブルセラミック絶縁体材料は、従来の磁器点火プラグ絶縁材料を1800倍も上回るというメーカーの仕様によって示される高い電気的な飽和限界を提供する。こうした材料を使用することで、本発明は最大7.5アンペアで直流75,000ボルトの範囲で電流の入力レベルを支持することができる。複数のテストにより、このレベルで流された電流は最も高度な従来のデバイスの耐性を破り、15秒未満以内で同一のテストプロトコルで破滅的な故障をもたらすことが実証された。本発明に関するテスト結果は、損傷または劣化なく無期限にこのレベルでの切り替え入力と維持入力を収容する能力を実証する。
【0009】
切り替え時間:本製品のスパーク式点火デバイスの性質は、それが点火コイルとディストリビュータ装置によって伝えられると各電気インパルスの残りの持続性を誘発する。最も優れた市販のレーシングタイプの点火プラグのメーカーによって5ミリ秒未満であると示されている切り替え閾値を越えて、各点火事象時に陽極から陰極まで通過するスパークアークは、連続的なアーキングシーケンス(arcing sequence)になる。この材料に基づいた制限の結果は、誘発された著しい量のスパークインパルスが点火プラグの金属材料によって保持され、シリンダ中の気体には送達されないということである。点火システム中の燃焼効率は、(a)切り替え時間、(b)振幅ピーク、(c)パルス持続時間、(d)パルス弁別器カーブ勾配、(e)アーク・エミッタ中の共振、静電容量、およびインピーダンス、ならびに(f)断熱性能を含む、多くの組み合わされた変数の関数であることが繰り返し示された。本発明は、(a)に陽極材料としてトリウム合金タングステン、(b)プラズマエミッタチップとしてチタン、(c)セラミックの絶縁材料としてガラス質のマシナブルセラミックス、および(d)カソードハウジングベリリウム合金銅を、その製品に含めることにより、従来のスパークエミッタデバイスの性能を制限する問題を解決する。こうした材料は、5×10
−8弁別器持続時間で5×10
−7秒の間隔で切り替えられると、6.5アンペアにおいて75,000ボルトで1パルス当たり2.1×10
−6ワット未満の放電持続性を実証する。この性能水準はこれまでに製造された任意の従来の製造品のスパークエミッタよりも優に1000倍は優れている。
【0010】
燃焼効率:内燃機関中の点火サイクルの性質は、(a)空気がシリンダ内部の細かな霧状の燃料蒸気と混じり合う比と効率、(b)点火の前にシリンダ中の空気燃料混合物に加えられる熱と圧力の量、(c)点火源の特性、および(d)燃料が消費される物理的な装置の形状に依存している。本発明は、30:1〜40:1の範囲の空気対燃料の混合物の燃焼を使用可能にすることにより、燃焼効率を増大させ、使用可能な馬力の形態の実際の出力を結果として増やし、付随して出力の1単位当たりの燃料消費量を減少させ、エンジンの運転温度を低下させ、および排気成分を1.0ppmから2.5PPBまで大幅に改善する。本発明は、(a)従来の点火プラグよりも振幅が少なくとも1000倍大きな点火源を送達することによって、および、(b)石油ベースの燃料を特徴とする長鎖炭化水素分子を完全に分離する役割を果たす点火事象に先立って解離プラズマ場(dissociating plasma field)を導入することにより、これを実現する。分子鎖中で保持された事実上すべての炭素イオンを空気燃料混合物の大気成分により運ばれる遊離酸素分子に暴露することによって、効果的に酸化される炭素イオンの割合は、点火圧力出力の大幅な上昇と排気プロファイル中の点火されていない炭素微粒子の事実上の除去をもたらす。
【0011】
プラズマ誘起点火:石油ベースの燃料と空気の圧縮した混合物のプラズマ誘起点火は、(a)燃焼効率を上げ、(b)燃焼効果を高め、(c)仕事関数出力を増加させ、(d)運転温度を低下させ、および(e)排気ガスプロファイルを軽減することが示されている。これまで従来の内燃機関に効果的なプラズマベースの点火構成要素を導入することはできなかった。なぜなら、従来の点火プラグを製造するために用いられた材料は、十分に高密度で、適切に増幅可能で、かつ、長期の運転で切り替えることが可能なプラズマ場を作り出すことが必要な電気および信号入力レベルを収容することができない。
【0012】
1つの特別の実施形態では、本発明に係るプラズマ点火プラグは、近位端と遠位端を有する一般に円筒状の絶縁体を含む。中央の陽極は絶縁体内に同軸で配置され、一般にそれと同一の広がりを持つ。一般に半球形または半球のエミッタは絶縁体の遠位端に配置され、中央の陽極に電気的に接続される。端子は絶縁体の近位端に配置され、中央の陽極に電気的に接続される。一般に環状体の陰極スリーブは、絶縁体の遠位端のまわりに同軸で配置され、陰極スリーブとエミッタの間に環状の間隙を形成する。
【0013】
エミッタの赤道直径は中空の絶縁体の内径とほぼ等しい。陰極スリーブは好ましくはねじ山を刻設され、内燃機関上のねじ山が刻設されたポートと互換性を有するように構成される。絶縁体は好ましくは、ガラス質のマシナブルセラミックから作られる。こうした材料の好ましい例は、マシナブル組成物で圧縮した窒化ホウ素セラミックス粉末であり、これはその後加熱され、圧縮されてグラシン結晶構造にされる。
【0014】
中央の陽極は好ましくは、トリウム合金タングステンから作られる。エミッタは好ましくは、チタンから作られ、中央の陽極上でプレス嵌めされる。陰極スリーブは好ましくは、ベリリウム合金銅、またはバナジウム合金銅から作られる。
【0015】
エミッタは好ましくは、陰極スリーブの遠位端を越えて広がる。絶縁体はその長さに沿って陰極スリーブから中央の陽極を電気的に絶縁する。エミッタと陰極スリーブの遠位端上のトーラスとの間で形成された環状の間隙は絶縁体によって遮断されない。
【0016】
プラズマ点火プラグは、上に記載された一般的な形状と構造、上に記載された材料、または両方の組み合わせを使用して構築されることもある。
【0017】
本発明の他の特徴と利点は、例として本発明の原則を例証する添付の図面と共に得られる、以下の詳細な記載から明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付図面は本発明を例証する。
【0019】
【
図1】本発明のプラズマ点火プラグの斜視図である。
【
図2】本発明のプラズマ点火プラグの正面図である。
【
図3】本発明のプラズマ点火プラグの分解組立図である。
【
図4】本発明のプラズマ点火プラグの環状の間隙のクローズアップ図である。
【
図5】創造性のあるプラズマ点火プラグを含むOEMシステムの概略図である。
【
図6】創造性のあるプラズマ点火プラグと共に使用される、一体型のプラグとワイヤの組み込み部品(retrofit)の概略図である。
【
図7】創造性のあるプラズマ点火プラグとともに使用される組み込みシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のプラズマ点火プラグ(10)は、適切に設計された電力供給及び切り替えのシステムに施される場合に高エネルギー化されたアーク駆動式プラズマ場を放射するために別個の試験において示される、特別に設計されたプラズマエミッタを収容するように設計される。
図1乃至4に示されるようなデバイスは、(a)トリウム合金タングステン棒材で作られる陽極(12)、(b)窒化ホウ素などのガラス質のマシナブルセラミック材料で作られる絶縁体(14)、(c)チタンで作られる半球状のフィールドエミッタ(16)、及び(d)ベリリウム合金銅又はバナジウム合金銅の何れかで作られる陰極スリーブ(18)で構成される。陰極(18)は、エミッタ(16)付近にトーラス形のリング(20)を有する。陰極(18)の本体は、典型的な内燃機関において点火プラグを受けるように構成されたエンジンポートに適合するように、好ましくは加工され(tooled)且つねじ山が刻設される(22)。端子又は点火入力用のキャップ(24)は、陰極(18)に対向する陽極(12)の端部にプレス嵌めされる。
【0021】
本発明のプラズマ点火プラグは、ナノ秒のバーストの点火サイクルにかなり高い電流を送る。単に点火アークを生成する代わりに、本発明のプラズマプラグは、大気中で水分子を分離し、且つ光り輝く(brilliant)アークでそれらを燃焼させるほどの、非常に強力なプラズマを生成する。本発明のプラズマ点火プラグのプラズマ場に晒されると、ガソリン分子は、単一のイオンのラジカルに分解され、その後、等しく強力なアークにより点火される。その結果、10億分の2.5未満の量で事実上除去されている炭化水素粒子により、燃料分子が完全に燃焼される。加えて、一酸化炭素は完全に除去され、全体の排気プロファイルは改善される。2ストロークのオイル添加式自動車(oil additive vehicles)に使用されると、前記エンジンにより典型的に生成される、6つの発癌性の排気汚染物質は完全に除去される。本発明に係るプラズマ点火プラグで試験された自動車は、馬力出力と燃費効率が著しく増加することを実証する。前記自動車に行なわれたエミッションテストは、最も危険な排気汚染物質が著しく減少したか、又は完全に除去されたことを実証する。付加的な構成要素が、放電の大きさを増加し、切り替え速度を制御し、点火のタイミングを再調整し、そして燃料空気比を再調整するために、本発明のプラズマ点火プラグに使用され得る。
【0022】
本発明は、以下の設計特徴(distinctions)の採用により、先行技術の点火プラグの根本的な問題を解決する:
【0023】
トリウム合金タングステン陽極:トリウム−232は、精細に制御された電子システムを伝播するデバイスにおける合金として有用であり、なぜならば、トリウムの232同位体が、原子核崩壊に関連した他の排出生成物の何れかの放出を示すことなく、自由電子(平方cm/秒当たり6.02×10
17)を連続的に排出するからである。本発明のプラズマ点火プラグ(10)において、トリウム−232により供給された自由電子は、エミッタにより実際の電子出力の量を73.91%まで増加させる。この増幅機能は、本発明を、同様の構造又は用途の任意の既知のデバイスよりも機能的に優れたものにする。陽極(12)は、好ましくはトリウム合金タングステン(3%)で作られる。トリウム合金タングステン陽極のロッドは、非常に低い抵抗での非常に速い切り替えを可能にする。この材料は、残留電荷の持続が事実上0である、自由電子場の飽和を可能にする。
【0024】
ベリリウム合金銅陰極:従来の鉄ベースの金属は、130年以上の間、スパークプラグ陰極システムに使用されてきた。鋼陰極が頑丈であり、比較的低コストであり、且つ普遍的に利用可能有効であるため、この従来品(convention)が採用されてきた。スパークプラグの用途における鉄材料の短所は、所望の入力値がこの種の材料により許容され得る許容閾値を超える場合にのみ、重要になる。本発明は、従来の鉄陰極材料の代わりにベリリウム合金銅を用いることにより、この問題を解決する。ベリリウムを備えた銅の合金は、(a)銅の引張り強度を高め、(b)銅の軟化点を高くし、並びに(c)高温の環境での銅の伝導性を増幅させる効果を持つ。陰極(18)は、好ましくはベリリウム合金銅又はバナジウム合金銅で作られる。ベリリウム合金銅陰極は、増幅された誘電電位、並びに銅と比較して優れた引張り強度により、非常に高い導電率を提供する。
【0025】
チタンプラズマエミッタ:どのスパークエミッタ型デバイスにおいても最も劣化を受ける部分は、スパーク放出陽極の先端部である。近年の材料の技術における進歩により、白金やイリジウムなどの材料で薄くコーティングされる陽極先端部が作り出されてきた。そのようなコーティング材料の試験データを調べると、使用可能なエネルギーの形態にある仕事関数の実出力は、これらコーティング材料の追加により改善されないことが明らかである。加えて、従来の入力放電の衝撃に晒された陽極先端部の平均寿命は、この改善により延ばされたかもしれない一方、白金又はイリジウムでコーティングされた従来の陽極先端部は、プラズマバーストの連続系列を作成及び伝播するのに必要な入力レベルに晒された場合に、破局的に15秒以内又は15秒未満で崩れる(fail)。
【0026】
本発明は、球状の伝播要素を、高純度のチタンで構成されるエミッタ(16)に置き換えることにより、この問題を解決する。エミッタ(16)は、好ましくは直径約1/4インチであり、球状又は半球状の何れかとして提示される。トリウム合金タングステン陽極のロッド(12)は、プラズマ生成のために考慮されるレベルにおける連続操作の下での劣化に対して根本的に耐性がある、頑丈な高導電性部材を構成するために、チタンエミッタ(16)にプレス嵌めされる。陰極(18)と共に組み立てられると、エミッタ(16)のアークは、球状又は半球状であろうと、トーラス(20)の端部を越えて突出する。チタンが残留電荷の持続という形で非常に低い静電容量を示すという事実は、チタンをこの特異的な用途にとって理想的なものにする。チタンはまた、高電圧陽極として使用されると、劣化に対して根本的に耐性がある。チタンプラズマエミッタは、非常に低い残留電荷の持続による高電圧/高アンペア数の劣化に対する非常に高い抵抗、非常に低い抵抗、高表面積の形状、並びに非常に高い許容温度/圧力を提供する。
【0027】
フィールド伝播マッピング:内燃機関型デバイスにおける点火源としての電気的アークの十分性は、(a)ソース電荷の振幅、(b)ソース電荷の持続時間、(c)エミッタの先端部の形状、並びに(d)陽極要素と陰極要素の間に作用する表面積の機能である。従来の点火プラグデバイスにおいて、直径約0.125”の単一棒は、典型的に0.030”+/−の範囲にある間隙により、陰極要素から分離される。最も高い効率のデバイス(例えば、NASCARとFormula 1 racing organizationにより承認されるようなもの)は、3つ以上の陰極先端部に囲まれた単一の白金コーティングを施したスパークバー先端部から成る。この構成は、スパークアークが作用し得る表面積を効果的に増加させるため、採用されてきた。
【0028】
本発明は、約0.030インチの間隙によりベリリウム合金銅又はバナジウム合金銅の陰極(18)のトーラス(20)から分離される、球状の陽極エミッタ(16)を使用することにより、幾何学的な構成要素と表面積構成要素の両方の関係を最適化する。半球状のエミッタの先端は、約0.020インチまで、トーラス(20)の端部を越えて突出する。ガラス質のマシナブルセラミック絶縁体(14)は、陰極トーラス(20)の露出面の0.030インチ内に置かれる。材料のこの組み合わせは、湾曲した幾何学的セクション及び密に固定された絶縁床と共に、高機能NASCARレーシング型スパークプラグより少なくとも25倍大きな導電性表面積を提供する。加えて、プラズマ点火プラグ(10)の構成は、プラズマ場を伝播デバイスの先端部からピストンのヘッドの方へと遠ざける。増大した表面積の組み合わせは、典型的な4サイクルのガソリン燃焼内燃機関システムの下での同じ試験的応用において、NASCAR型スパークプラグと比較した場合、燃焼の効果と効率を68%以上改善すると示されてきた。
【0029】
高振幅のパルスが陽極(12)に駆動されると、結果として生じるアークは、同時に24より多くの場所にある環状の間隙(26)に及ぶ。標準のオルタネータ及び点火システム(直流13.5ボルト及び30アンペアにおいて2500rpm、直流50,000ボルト及び0.0036アンペアに変換される)からの従来の入力の下では、本発明のプラズマ点火プラグ(10)は、従来のスパークプラグより25倍多くの点火の火炎前面をもたらす。点火レベルが1,800倍(直流75,000ボルト及び6.5アンペア)に増幅されると、スパーク前面はプラズマに置き換えられる。従来のスパークプラグは、このような電流入力レベルに耐えることができない。これらの状態で、本発明のプラズマ点火プラグ(10)は、熱の減少、馬力の増加、並びに排気プロファイルの完全な改善により、分子解離を100%近くの燃焼に増加させる。
【0030】
燃焼効率:ガソリンベースの混合気は、プラズマ場と比較して、従来のスパークプラグの存在下で点火されると、根本的に異なる排気プロファイルを作り出す。燃焼ダイナミックスに対する、プラズマ場により及ぼされる効果の増加は、主に、プラズマにより燃料を含む長鎖炭化水素分子に誘発される分子解離から結果として生じる。従来の燃焼は、燃焼により炭化水素分子を酸化させるために(a)熱、(b)圧力、(c)燃料と空気分子の有効で均一な混合、並びに(d)点火源の組み合わせに依存する。加圧環境における石油ベースの燃料の燃焼は典型的に、従来の内燃機関の動作中に450−550psiの範囲にあるシリンダヘッド圧力を作り出す。対照的に、プラズマに誘発された燃料燃焼は、同じ条件下で1120psiの範囲にあるシリンダヘッド圧力を作り出すと、Russian Academy of Scienceにより示された。
【0031】
プラズマに誘発された燃焼サイクルの使用の利点は、典型的な内燃機関システム中で通常消費される燃料質量の半分が、同じ仕事関数の出力値を作り出すために酸化され得、他の全ての変化し得るものが変わらないままであるということである。
【0032】
本発明のプラズマ点火プラグはまた、エミッタ内に単原子の金の超電導体、又は、軌道的に再整理された単調要素(ORME)を備えてもよい。そのようなORMEは、単原子の遷移元素第11族の金属粉末、即ち銅、銀、及び金を含んでもよい。これら粉末は、EM場において高電圧の存在下で2種類の超電導性を示し、且つ、接触する銅及び銅合金において1種類の超電導性を誘発する。
【0033】
切り替え速度の制御は、1つのパルス当たり600ナノ秒において、10万までの毎分サイクル数の最大切り替えスピードに依存する。好ましくは、達成可能な切り替え速度は、50ナノ秒の立ち上り時間のプラズマ場の伝播、200ナノ秒のプラズマ場の持続、50ナノ秒の立下り(shutoff)弁別器、50ナノ秒の立ち上り時間の燃焼アーク、100倍の表面積における200ナノ秒の燃焼アーク持続時間、及び50ナノ秒の立下り弁別器を含む。増大した放電レベルは、好ましくは100アンペアで直流13.5ボルトから、7.5アンペアで直流75000ボルトまでの操作範囲を有する。プラズマ場は、好ましくは200ナノ秒でパルスされた41660アンペアで直流13.5ボルト未満であるか、又はそれに等しい。燃焼アークは、好ましくは200ナノ秒でパルスされた7.5アンペアで直流75000ボルト未満であるか、又はそれに等しい。大気:燃料の比率は、好ましくは14:7−1から14:40−1まで調整される。点火タイミングの調整は、好ましくは上死点で40度になるようにデジタル制御される。
【0034】
本発明のプラズマ点火プラグと併せて、放電サイクルも、点火の切り替え、変圧器コイル、並びにスパークプラグのワイヤハーネスの進歩により、改善される。変圧器コイルは、ナノ結晶の電磁心材で作られた、新規な電磁コアを備えている。そのようなナノ結晶材料は、電流の大きさにかかわらず、0パーセントの機械ヒステリシスを示す。ドイツのハーナウにおけるVacuum Schmelze GmbH & Co.により製造されたVitroperm(商標)は、使用されるナノ結晶材料の好ましい例である。
【0035】
ナノ結晶の電磁心材と組み合わせて、本発明のプラズマ点火プラグと組み合わせた放電サイクル用に設計されたシステムは、交流と直流の両方を伝えるように設計された、特殊な型のケーブル又はワイヤを使用する。ワイヤは、約1メガヘルツまでの周波数で使用される導体における「表皮効果」又は「近接効果」を少なくするように構築される。そのような二重の電流ワイヤは、個々に絶縁され且つ撚り合わせられるか、又は、大抵は幾つかの層又はレベル(level)を含む様々な特異的に規定されたパターンの1つにおいて共に織り合わせられる、多くの薄いワイヤーストランドから成る。ワイヤーストランドの幾つかのレベル又は層は、撚り合わされたワイヤの群を指し、それら自体が共に撚り合わされる。そのような特異的な巻線パターンは、各ストランドが導体の外表面の全域に置かれる全長の割合を等しくする。そのような二重の電流ワイヤは、超伝導ではないが、本明細書に議論される範囲でVDC電流の迅速なパルスに対する非常に低い抵抗で作動する。一次巻線材料として変圧器コイルに使用されると、この二重の電流ワイヤは、抵抗損、逆渦流電流、及びVDC回路の変形に関係する他の損失を、ほぼ完全に除去する。そのような二重の電流ワイヤは大抵、リッツ線と称され、主に交流を伝えるために電子機器に使用される。
【0036】
放電サイクルに影響を与える本発明のシステムに使用される別の新規な材料は、高純度の銅の巻線に介在テルル(128)を組み込んだ、密な心線(合金ソリッドコア・テルル−銅ワイヤ(alloyed solid core Tellurium−Copper wire))である。この製品の特定のバージョンは、英国のTellurium−Q Ltd.により製造された、商品名Tellurium−Q(登録商標)の名で通っている。この密な心線は本来、増幅器とスピーカの構成要素間の位相歪みを除去するために、高機能のオーディオファイルシステムにおける使用のために開発された。スパークプラグの代わりとして使用された場合、そのような密な心線は、変換器と切り替えシステムから、本発明のプラズマ点火プラグまで、抵抗性は事実上0であり、位相歪みは事実上完全に存在しない、電流送達を提供する。このことは、ソースにおいて生成された信号が、劣化することなく、継続的にプラズマ点火プラグへ送達され得ることを意味する。
【0037】
Vitroperm(商標)などのナノ結晶の電磁心材及びリッツ線が、オルタネータにより送達された電流を変換するために組み合わせられると、各ワイヤに点火変圧器コイルを直接組み込むように設計された一体型ワイヤハーネスを作り出すことが可能となる。各ワイヤは、各プラズマ点火プラグに接続される直前に、その端部に直接付けられた別個の点火コイルと切り替えモジュールを有する。これら一体型ワイヤハーネス構成要素は、抵抗とヒステリシスの効果による熱損失が構成要素自体によって事実上除去されるので、単に可能である。同様のものに行おうとする前述の試み、即ち、Formula 1(登録商標)にドラッグレーサーと高機能エンジンを使用とする試みは、時々、出力パラメータがスパークプラグに過負荷を確実にかけないようにするためにデジタル出力コントローラを使用して、別個の点火コイルに各スパークプラグワイヤを接続する。それらはまた、無線の監視システムに繋がれたフィードバック回路及びセンサを備える。本発明のシステムにおいて、各プラズマ点火プラグは、それ自体の変圧器に付けられ、切り替えモジュールは、ワイヤ自体に正確に構築された。
【0038】
加えて、新規なワイヤハーネス被覆材が、ワイヤハーネス、直列変圧器、及び直列切り替えシステムを覆うために本発明のシステムに利用される。直径断面が0.5ミクロンである、溶岩(玄武岩)から押出し加工された繊維は、スプールに集められ、共に織り合わされ、そして様々な先端技術の用途に使用される。玄武岩繊維材の利点は、溶岩の融点である摂氏1200度の軟化温度を有しているということである。そのような材料は、同じ直径のホウ素ドープ炭素繊維よりも3倍頑丈であり、及び柔軟な絶縁材料を作り出すために共に結合され得、電気飽和に対する非常に高い抵抗を示し、及び熱により劣化することがない。そのような材料はまた、完全に非伝導性であり、磁場に晒された場合に0の静電気を示す。そのような玄武岩繊維の覆いは、密な心線、直列変圧器、及びデジタル切り替えモジュールを含むワイヤハーネス構成要素を、持続的な使用において事実上壊れにくくし、且つ非常に長持ちするようにする。
【0039】
図5は、本発明のプラズマ点火プラグ(10)を使用する、相手先商標製品製造(OEM)エンジン上のシステムを概略的に示す。OEMシステム(30)は、ヒューズ(34)に電気接続された自動車バッテリ(32)を含み、ヒューズ(34)は次に点火スイッチ(36)に電気接続される。点火スイッチ(36)は、ディストリビュータモジュール(40)に電力を供給するオルタネータ(38)に接続される。この時点まで、OEMシステム(30)は、先行技術設計に非常によく類似している。ディストリビュータモジュール(40)からの出力は、スパークコントローラ(42)に接続し、次にスパークコントローラ(42)はタイミングコントローラ(44)に接続し、プラグワイヤ(46)を経由してプラズマ点火プラグ(10)に進む。スパークコントローラ(42)、タイミングコントローラ(44)、及びプラグワイヤ(46)は、本明細書に記載される通りのものである。このOEMシステム(30)の構成要素は全て、示されるように適切なアース接続部(48)を有する。
【0040】
図6は、本発明のプラズマ点火プラグ(10)と共に使用するための、一体型プラグ及びワイヤ組み込みシステム(50)を概略的に示す。この組み込みシステム(50)において、プラグワイヤ(46)は、ディストリビュータモジュール(40)から延びている。プラグワイヤ(46)は、集積回路板(ICB)切り替え要素(52)及び変圧器(54)と一体である。ICB切り替え要素(52)は、変圧器(54)に接続される、高速でデジタル制御されたスイッチである。変圧器(54)は、ナノ結晶材料EMトーラス(56)、及び、二重の電流ワイヤの第1及び第2の巻線(58)(即ちリッツ線)から成る。切り替え要素(52)と変圧器(54)は、最初に高アンペア数でありその後高電圧に切り替えられる、パルスを出力するように組み合わさる。変圧器(54)からの出力部は、プラズマ点火プラグ(10)に直接接続するように構成されたプラグキャップ(60)に接続する。再度、構成要素の各々は、示されるように適切なアース接続部(48)を有する。好ましくは、ICB切り替え要素(52)は、プログラム可能なマイクロプロセッサにより制御可能である。プログラム可能なマイクロプロセッサは、ICB切り替え要素(52)、又は、ICB切り替え要素(52)に接続され且つそれを制御することが可能な別個の構成要素に統合されてもよい。
【0041】
典型的に、上記で議論されるパルスの切り替えは、200ナノ秒の総パルス持続時間により、ディストリビュータモジュール(40)からの出力を最初に高アンプ数のパルス(即ち、30アンペアで直流13.5ボルト)に変換し、次に高電圧のパルス(即ち、0.0036アンペアで直流50,000−75,000)に変換することになる。切り替えられたパルスの目的は、プラズマ点火プラグ(10)を十分に利用することである。プラズマ点火プラグ(10)が、高アンペア数(200ナノ秒の持続時間の方形波)の非常に速い(50ナノ秒)ハイライズのバースト(high−rise burst)でパルス化されると、空気と燃料の混合物は、プラズマ場において個々のラジカル及びイオンへと分子解離される。電荷のソースが終了した場合でさえ、プラズマ場は持続する。ソース電荷が完全に終了する速度は、分離機能の効果に重要であり、そのため、スイッチは、プラズマ場を点火フィールドへと、非常に迅速に(50−100n秒)変換しなければならない。構成分子のラジカル及び個々のイオンが未だに分離されたプラズマ状態である一方、高電圧点火源の導入は、非常に高効率で酸化反応を刺激する役目を行う。このことは、全体のフィールドが現在プラズマにおける単一の点火点として作動するので、火炎前面無しで作動する。
【0042】
全ての構成要素がプラズマ場において一時的に停止されることにより、独特の状況が作り出される。細かく分けた燃料小滴を、定義によれば圧縮中に二桁のミクロン範囲にある距離だけ離れている損傷の無い空気分子と単に混合する代わりに、構成要素のイオンとラジカルを、原子の付近に保持する。その後、これにより、先行技術の燃料/空気の混合物よりも5桁と6桁の間で接近している空間的関係に至り、その一方で同時に、同様に指数関数的な増加による表面積の接触を増加させる。このことは、完全燃焼のための条件に起因する、1つの要因である(即ち、全ての構成物質の全てのイオン及びラジカル)。これは、プラズマ場が持続し続ける間、高電圧の導入後に瞬間的に反応するこれらの構成要素の全てに結果として生じる。構成物質が燃料を酸化させるために相互に作用する場合、点火条件が根本的に変更されたため、放出エネルギーの量は、先行技術のスパークプラグ及び点火システムのものよりも高い。これらの改善により、負荷を駆動する燃料の量の68%−73%の軽減、80
oFものエンジン動作温度の低下、排気プロファイルの根本的な変更、及びプラズマ点火プラグ(10)の高耐久性が、実験的に実証された。
【0043】
代替的な組み込みシステム(62)が
図7に示される。この代替的な組み込みシステム(62)は、バッテリ(32)、ヒューズ(34)、点火スイッチ(36)、オルタネータ(38)、及びディストリビュータモジュール(40)を含む初期のシステムにおいて示されるものと同様の構造を持つ。このシステムは、オルタネータ(38)に電気接続された点火モジュール(64)も含む。点火モジュール(64)はパワートランジスタとして作用する。代替的な組み込みシステム(62)において、プラグワイヤ(46)は、ディストリビュータモジュール(40)から直接延びており、直列スパーク変圧器(66)、及び本発明のプラズマ点火プラグ(10)に接続された直列デジタルスイッチ(68)を含む。再度、適切な構成要素は、示されるようにアース接続部(48)を有する。この組み込みは、元のスパークプラグワイヤを、プラズマ点火プラグ(10)に加えて直列変圧器(66)及びデジタルスイッチ(68)を含む、新規なプラグワイヤ(46)に取って代える。
【0044】
特に好ましい実施形態において、4サイクルエンジンに使用される本発明のプラズマ点火プラグは、以下の原動力を提供する。燃料は、0.056センチメートルの燃料噴射器/キャブレータの吐出径で、空気と混合される0.4マイクロメートルの液滴径へと噴霧化される。空気と燃料はシリンダに噴出され、14:7−1の比率で混合される。プラズマ伝播が、41660アンペアで直流13.5ボルトにおいて、50ナノ秒の立ち上り時間、200ナノ秒の持続時間、及び50ナノ秒の立下り持続時間において伝播されたプラズマ場と共に、上死点で22度の点火点において生じる。これらの値において、プラズマ場は、長鎖炭化水素分子を分離して別個のイオンとし、圧力下で原子スケールにおいて近接して均一に分散する。以下の点火アークは、200ナノ秒、そして50ナノ秒の立下り持続時間の間、7.5アンペアで直流75000ボルトにおいて、直噴点火の衝撃によるプラズマ場の崩壊後に、50ナノ秒生じる。パワーストロークは、従来の燃焼よりも60パーセントまで高い炭素燃料及び酸素イオンの再結合と酸化により、駆動される。排気行程の排出は、42パーセントまでの低炭素(2.5PPM)、規則化したNO2、規則化したSO2、及び一酸化炭素と二酸化炭素の実質的な除去を示す。このプラズマ点火プラグは、華氏約80〜120度にシリンダヘッドの温度を下げ、且つ華氏約60〜80度に排気温度を下げるために、ナノ秒のタイミングの間隔による、より完全な燃焼を生成する。点火タイミングが上死点で35度乃至38度の間に調整される場合、馬力は、エンジンの型と混合燃料に依存して、約15乃至22パーセント増加する。空気対燃料の比率が40:1に調整される場合、ブレーキ(break)馬力出力は、燃料消費量が全体として62.1パーセントまで減少することで、増加する。
【0045】
本発明のプラズマ点火プラグは、2ストロークエンジンにおいて同様の利点を生み出す。2ストローク排気ガス(exhaust emissions)は典型的に、ベンゼン、1,3−ブタジエン、ベンゾ(a)ピレン、ホルムアルデヒド、アクロレイン、及び他のアルデヒドを含む。発癌物質は、そのような排出物に関連する刺激作用と健康リスクを悪化させる。2ストロークエンジンは、より短いデューティサイクルと平均寿命を結果としてもたらす燃料と共に潤滑剤が混合されるような、専用の潤滑システムを持たない。本発明のプラズマ点火プラグを使用すると、2ストロークエンジンは、通常のマグネト出力(10アンペアで直流15000ボルト)がトリウム合金タングステン陽極によって、約4倍に増幅して14アンペアで6万ボルトになる、点火増幅を経験する。プラズマ放電表面積は、1つのスパークバー(0.0181平方インチ)からハロエミッタ(halo emitter)(0.0745平方インチ)まで増加される(4.169倍の増加)。合計のプラズマ放電密度の増加は23.251倍である。2ストロークエンジンにおける排気ガスプロファイルは、約87パーセントの炭化水素粒子の減少、一酸化炭素の除去、NOXのNO2への変換、SOXのSO2への変換、ベンゼンの除去、84パーセントの1,3−ブタジエンの減少、ホルマリンの除去、及びアルデヒドの除去を示す。馬力は、12.4パーセント増加され、エンジン温度は、6000RPMにおいて華氏260度から華氏約187度まで下がる。
【0046】
本発明のプラズマ点火プラグのテスト系列は、(a)慎重に誘発された特質により制御された真空を作り出し、(b)試験結果を視覚的に観察且つ経験的に測定し、(c)蒸発した水の漸増的に制御された量に基づき一連のテストを行ない、及び(d)各セグメントにおける試験結果をデジタル記録するように、設計される。プラズマ点火プラグ(10)のデザインと一致する試験リグが構築された。原型のプラズマ点火プラグの試験において、3.0アンペアで交流75,000ボルトを生成するフライバック式変圧器は、明らかに視認可能なプラズマ場を作り出した。従来の噴霧器により生成された、冷たいイオン化された水蒸気が、空気中のプラズマ場に放出された。水蒸気は空気中で分離され、イオン化されて、爆発した。
【0047】
実施形態が図面の目的を詳細に記載してきたが、様々な修正が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく行われてもよい。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外には、限定されない。