【実施例1】
【0018】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1におけるスイッチング電源装置を示す概略の構成図である。
【0019】
このスイッチング電源装置は、例えば、電流共振型コンバータ(これは「LLCコンバータ」とも言う。)であり、太陽電池等の直流電源から供給される直流の入力電圧Vinを入力する正側入力端子1aとグランドGND側の負側入力端子1bとを有している。入力端子1a,1bには、コンバータ主回路10を介して、直流の出力電圧Voutを出力する正側出力端子17aとグランドGND側の負側出力端子17bとが接続されている。
【0020】
コンバータ主回路10は、直流の入力電圧Vinを平滑する入力コンデンサ11と、平滑された電圧をスイッチングするフルブリッジ型のスイッチング回路12と、スイッチングされた電圧により共振する直列の共振回路13と、この共振回路13の出力側に接続された入出力端子間絶縁用の変圧器(以下「トランス」という。)14と、このトランス14の出力電圧を全波整流するフルブリッジ型の整流回路15と、全波整流された電圧を平滑して直流の出力電圧Voutを出力する出力コンデンサ16と、により構成されている。
【0021】
スイッチング電源装置には、更に、コンバータ主回路10を周波数制御するために複数(例えば、4つ)の制御信号S25−1〜S25−4を出力する制御回路20と、共振回路13を流れる共振電流Irの位相進み(即ち、電圧に対して共振電流Irの位相進み)を検出する位相検出回路30と、その共振電流Irを検出する変流器31と、が設けられている。位相検出回路30は、制御回路20及び変流器31に接続されている。
【0022】
前記コンバータ主回路10において、正側入力端子1a及び負側入力端子1bには、入力コンデンサ11を介して、スイッチング回路12が接続されている。スイッチング回路12は、スイッチング素子である4つの電界効果トランジスタ(以下「FET」という。)12−1〜12−4を有し、正側入力端子1aと負側入力端子1bとの間に、FET12−1、ノードN1及びFET12−2が直列に接続されると共に、FET12−3、ノードN2及びFET12−4が直列に接続されている。ノードN1,N2には、直列の共振回路13、及びトランス14が接続されている。
【0023】
FET12−1,12−2は、制御信号S25−1,S25−2により相補的にオン/オフ動作し、更に、FET12−3,12−4も、制御信号S25−3,S25−4により相補的にオン/オフ動作する。各FET12−1,12−2,12−3,12−4のドレイン・ソース間には、それぞれボディダイオード12−1a,12−2a,12−3a,12−4aが逆並列に接続されている。
【0024】
例えば、制御信号S25−1〜S25−4により、FET12−1,12−4がオン状態、FET12−2,12−3がオフ状態の場合、入力端子1aから入力された直流の入力電流は、オン状態のFET12−1→ノードN1→共振回路13及びトランス14の1次側→ノードN2→オン状態のFET12−4→入力端子1bへ流れる。
【0025】
ノードN1に接続された共振回路13は、キャパシタンスCrの共振用コンデンサ13aと、インダクタンスLrの共振用インダクタ13bと、を有し、これらが直列に接続されている。共振回路13は、共振用コンデンサ13aのキャパシタンスCrと共振用インダクタ13bのインダクタンスLrとで決まる固有の共振周波数frを有し、例えば、コンデンサ13a及びインダクタ13bに共振電流Irが流れると、このコンデンサ13a及びインダクタ13bの両端電極間に、共振電圧が生じる。インダクタ13bの一端の電極側には、トランス14が接続されている。
【0026】
トランス14は、インダクタ13bの一端の電極とノードN1との間に接続された1次巻線14aと、この1次巻線14aに対して絶縁された2次巻線14bとを有している。1次巻線14aと2次巻線14bとの巻数比Nは、N1:N2である。1次巻線14aには、これと並列に、トランス14の励磁インダクタンスLmであるインダクタ14cが存在している。例えば、コンデンサ13a及びインダクタ13bに共振電流Irが流れると、この共振電流Irは、インダクタ14cに流れる励磁電流Imと、1次巻線14aに流れる1次電流Itとに分流する(即ち、Ir=Im+It)。この時のインダクタ14cの両端電極間に生じる励磁電圧と、1次巻線14aの両端電極間に生じる1次電圧とは、等しい。1次巻線14aに1次電流が流れると、2次巻線14bの両端電極間に交流の2次電圧が生じる。この2次巻線14bの両端電極には、整流回路15が接続されている。
【0027】
整流回路15は、2次巻線14bに発生する2次電圧を全波整流する回路であり、例えば、4つのダイオード15−1〜15−4からなるダイオードブリッジ回路により構成されている。この整流回路15の出力側には、平滑用の出力コンデンサ16を介して、正側出力端子17aとグランドGND側の負側出力端子17bとが接続されている。出力端子17aから直流の出力電流が出力されると、出力端子17a,17b間には直流の出力電圧Voutが現れる。
【0028】
前記制御回路20は、出力端子17a,17bからの出力電圧Voutと、位相検出回路30からの進相検出信号S40と、を入力し、FET12−1〜12−4をオン/オフ動作させるための制御信号S25−1〜S25−4を出力すると共に、デッドタイム期間に相当する2つのパルス波形信号S24a,S24bを位相検出回路30へ出力する機能を有している。各パルス波形信号S24a,S24bは、貫通電流防止のために、2つのFET12−1及びFET12−2が同時にオフ状態になると共に、2つのFET12−3及びFET12−4が同時にオフ状態になるデッドタイムDTに、予め定められた調整時間α(例えば、数百nS)を延ばした波形の信号である。この制御回路20は、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサ(以下「マイコン」という。)であるデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の制御マイコンや、或いは、実回路により構成されている。
【0029】
前記位相検出回路30は、共振電流Irを検出して低電流の検出電流Ictを出力する変流器31に接続されている。前記位相検出回路30は、変流器31からの検出電流Ictと、制御回路20からのパルス波形信号S24a,S24bと、に基づき、共振回路13を流れる共振電流Irの位相進みを検出して、進相検出信号S40を制御回路20へ出力する回路である。
【0030】
図1は、
図2中の制御回路20及び位相検出回路30の構成例を示す機能ブロック図である。
【0031】
制御回路20は、例えば、中央処理装置(CPU)によりコンバータ主回路10をプログラム制御するための制御マイコンにより構成されており、出力電圧検出手段21を有している。出力電圧検出手段21は、出力端子17a,17bから出力される直流の出力電圧Voutを検出して検出信号S21を出力する機能を有し、この出力側に、誤差増幅手段22が接続されている。誤差増幅手段22は、目標出力電圧Vthと検出信号S21との誤差を増幅してその誤差を減少させるような誤差信号S22を出力するものであり、この出力側に、パルス生成手段23が接続されている。
【0032】
パルス生成手段23は、誤差増幅手段22から出力される誤差信号S22の電圧を周波数変換して複数対(例えば、2対)のスイッチングパルスS23を生成して駆動手段25へ出力すると共に、その各対内のスイッチングパルスS23が共にオフ状態になるデッドタイムDTの信号を生成してパルス幅調整手段24へ出力する機能を有している。パルス幅調整手段24は、デッドタイムDTに、予め定められた調整時間αを延ばした2つのパルス波形信号S24a,S24bを生成して位相検出回路30へ出力するものである。駆動手段25は、2対のスイッチングパルスS23を駆動して、4つの制御信号S25−1〜S25−4を生成するものであり、ドライバにより構成されている。
【0033】
位相検出回路30は、変流器31の2次側である出力側に接続された矩形波変換手段を有している。矩形波変換手段は、変流器31で検出された検出電流Ictを電圧に変換した後に第1の矩形波信号S36と第2の矩形波信号S37とに変換して出力するものであり、例えば、整流部としての正側の第1整流回路32及び負側の第2整流回路33と、電流/電圧変換部としての第1、第2抵抗34,35と、コンパレート部としての正側の矩形波変換用の第1コンパレータ36及び負側の矩形波変換用の第2コンパレータ37と、により構成されている。
【0034】
正側の第1整流回路32は、変流器31の一方の電極に接続され、その変流器31から出力された正の検出電流Ictを半波整流する回路であり、例えば、整流ダイオードにより構成されている。第1抵抗34は、第1整流回路32の出力側及び第1コンパレータ36の入力側間と、グランドGNDと、の間に接続され、第1整流回路32の出力電流を第1出力電圧に変換するものである。第1コンパレータ36は、第1抵抗34で変換された第1出力電圧を基準電圧と比較して第1の矩形波信号S36を出力するものである。
【0035】
負側の第2整流回路33は、変流器31の他方の電極に接続され、変流器31から出力された負の検出電流Ictを半波整流する回路であり、例えば、整流ダイオードにより構成されている。第2抵抗35は、第2整流回路33の出力側及び第2コンパレータ37の入力側間と、グランドGNDと、の間に接続され、第2整流回路33の出力電流を第2出力電圧に変換するものである。第2コンパレータ37は、第2抵抗35で変換された第2出力電圧を基準電圧と比較して第2の矩形波信号S37を出力するものである。
【0036】
これらの第1、第2整流回路32,33、第1、第2抵抗34,35、及び第1、第2コンパレータ36,37により構成される矩形波変換手段の出力側には、比較判定手段が接続されている。
【0037】
比較判定手段は、第1、第2コンパレータ36,37から出力される矩形波信号S36,S37と、パルス幅調整手段24から出力されるパルス波形信号S24a,S24bと、を比較し、そのパルス波形信号S24a,S24bと矩形波信号S36,S37とが重なったら、電圧に対して電流位相進みと判定して進相検出信号S40を出力するものであり、ゲート回路により構成されている。
【0038】
ゲート回路は、例えば、パルス波形信号S24aと矩形波信号S36との論理積を求める第1アンドゲート38と、パルス波形信号S24bと矩形波信号S37との論理積を求める第2アンドゲート39と、第1アンドゲート38の出力信号と第2アンドゲート39の出力信号との否定論理和を求めて進相検出信号S40を出力するノアゲート40と、により構成されている。
【0039】
(実施例1の動作)
スイッチング電源装置の全体の動作(I)と、デッドタイム領域で電流位相進みが発生した場合の動作(II)と、を説明する。
【0040】
(I) スイッチング電源装置の全体の動作
図3(a)〜(d)は、
図2中のコンバータ主回路10の動作を示す波形図であり、同図(a)はFET12−1,12−4のオン/オフ状態の波形図、同図(b)はFET12−2,12−3のオン/オフ状態の波形図、同図(c)はスイッチング回路12及び共振回路13を流れる電流の波形図、更に、同図(d)はスイッチング回路12及び共振回路13を流れる電流が電圧より進み位相の場合の電流の波形図である。
【0041】
図3(a)〜(c)に示すように、2つのFET12−1,12−2間、及び2つのFET12−3,12−4間、にそれぞれ貫通電流が流れないように、制御回路20から出力される制御信号S25−1〜S25−4により、FET12−1とFET12−2とが、更に、FET12−3とFET12−4とが、それぞれ同時にオフ状態になるデッドタイムDTを介して、それぞれ相補的にオン/オフ動作する。
【0042】
例えば、制御信号S25−1〜S25−4により、FET12−1,12−4がオン状態、FET12−2,12−3がオフ状態になると、
図2の入力端子1aに入力された直流の入力電流により、オン状態のFET12−1のドレイン・ソース間にドレイン電流が流れる。このドレイン電流は、ノードN1を介して、共振回路13へ流れる。共振回路13へ流れた電流は、インダクタ14cへ励磁電流Imとして分流すると共に、トランス14の1次巻線14aへ1次電流Itとして分流する。分流した励磁電流Imと1次電流Itとは合流し、スイッチング回路12内のノードN2へ流れる。ノードN2へ流れた電流は、オン状態のFET12−4のドレイン・ソース間を介して入力端子1bへ流出する。
【0043】
トランス14の1次巻線14aに1次電流Itが流れると、その1次巻線14aの両端電極間に1次電圧が生じる。すると、トランス14の2次巻線14bに2次電流(=It*(N)=It*(N1/N2))が誘起され、この2次巻線14bの両端電極間に2次電圧(=1次電圧*(1/N)=1次電圧*(N2/N1))が発生する。2次電流は、整流回路15にて全波整流され、全波整流された電流が出力コンデンサ16にて平滑され、平滑された直流の出力電圧Voutが出力端子17a,17bら出力される。
【0044】
例えば、出力端子17a,17bに接続された負荷の変動等によって出力電圧Voutが変動した場合、この出力電圧Voutが
図1中の制御回路20内の出力電圧検出手段21により検出される。出力電圧検出手段21により検出された検出信号S21は、誤差増幅手段22により、目標出力電圧Vthと比較され、検出信号S21と目標出力電圧Vthとの誤差が増幅されてその誤差が減少するような誤差信号S22が、誤差増幅手段22から出力される。
【0045】
誤差信号S22の電圧は、パルス生成手段23により、周波数に変換されて2対のスイッチングパルスS23が生成される。生成された2対のスイッチングパルスS23は、駆動手段25によって駆動され、スイッチング周波数fsが制御された4つの制御信号S25−1〜S25−4が生成される。この4つの制御信号S25−1〜S25−4により、FET12−1〜12−4のスイッチング周期が変更されて出力電圧Voutの変動が抑制され、出力電圧Voutが一定になる定電圧制御が行われる。
【0046】
ここで、FET12−1〜12−4をオン/オフするスイッチング周波数fsが、共振回路13の共振周波数frより低い場合、
図3(d)に示すように、スイッチング回路12及び共振回路13に流れる電流が電圧より進み位相となる。
【0047】
例えば、FET12−1,12−4がオン状態であるとする。この時、共振回路13及びトランス14の1次巻線14aには、直流の入力電圧Vinが印加され、FET12−1、共振回路13、トランス14の1次巻線14a、及びFET12−4には、
図3(d)に示す電流が流れる。
【0048】
この電流は、スイッチング周波数fsより周波数が高いため、FET12−1,12−4がオフする以前に位相が反転し、FET12−1,12−4がオフする時点では、FET12−1,12−4のボディダイオード12−1a,12−4aを通じて、共振回路13及び1次巻線14aから入力端子1aへ電流が流れる。即ち、共振回路13及び1次巻線14aには、直流の入力電圧Vinが印加されたままの状態であるが、電流の位相が反転しているので、その結果、共振回路13及び1次巻線14aに印加された電圧に対して電流の位相が進んでいる。
【0049】
この状態で、FET12−2,12−3がオンする。この時、FET12−1,12−4のボディダイオード12−1a,12−4aは、電流が流れている状態で電圧が印加されることになり、そのボディダイオード12−1a,12−4aには、オフまでの間、大きなリカバリ電流が流れる。このリカバリ電流は、FET12−1,12−4には大きなストレスとなり、その繰り返しによってFET12−1,12−4が劣化する恐れがある。又、リカバリ電流は、出力とは無関係に、入力端子1a,1bに接続された直流電源を短絡する形で流れるため、コンバータ主回路10の全体としては損失の原因になる、といった問題がある。
【0050】
このような電流が進み位相になることによる問題を解決するために、本実施例1の制御回路20及び位相検出回路30では、以下の(II)のように動作する。
【0051】
(II) デッドタイム領域で電流位相進みが発生する直前の動作
図4Aは、
図1及び
図2中の制御回路20及び位相検出回路30において電流位相進みが発生していない場合の動作を示す模式的な波形図である。更に、
図4Bは、
図1及び
図2中の制御回路20及び位相検出回路30において電流位相進みが発生する直前の場合の動作を示す模式的な波形図である。
【0052】
図4A及び
図4Bにおいて、上側の幅の広い矩形波は、FET12−1,12−4の制御信号S25−1,S25−4、下側の幅の広い矩形波は、FET12−2,12−3の制御信号S25−2,S25−3である。上側の幅の広い矩形波及び下側の幅の広い矩形波は、説明の便宜上、正負逆向きに図示されている。交流波形は、共振電流Irである。又、パルス波形信号S24a,S24bは、説明の便宜上、正負逆向きに図示されている。
【0053】
図4Aに示すように、デッドタイム領域において共振電流Irに電流位相進みが発生していない場合、
図1中の制御回路20内のパルス生成手段23は、デッドタイムDTの信号を生成し、パルス幅調整手段24へ出力する。パルス幅調整手段24は、デッドタイムDTに、調整時間α(例えば、数百nS)を延ばしたパルス波形信号S24a,S24bを生成し、位相検出回路30へ与える。
【0054】
図2中の共振回路13、インダクタ14c、及びトランス14の1次巻線14aを流れる交流の共振電流Irは、変流器31で検出され、この変流器31から交流の検出電流Ictが出力されて、位相検出回路30へ送られる。正の検出電流Ictは、位相検出回路30内の整流回路32で半波整流され、抵抗34によって電圧に変換された後、コンパレータ36により、基準電圧と比較されて矩形波信号S36に変換される。同様に、負の検出電流Ictは、位相検出回路30内の整流回路33で半波整流され、抵抗35によって電圧に変換された後、コンパレータ37により、基準電圧と比較されて矩形波信号S37に変換される。
【0055】
変換された矩形波信号S36とパルス波形信号S24aとは、アンドゲート38により、論理積が取られる。同様に、変換された矩形波信号S37とパルス波形信号S24bとは、アンドゲート39により、論理積が取られる。共振電流Irには、位相進みが発生していないので、各アンドゲート38,39により取られた論理積が論理“0”となる。そのため、ノアゲート40により、否定論理和が取られと、その否定論理和が論理“1”となり、その結果、ノアゲート40から、進相検出信号S40が出力されない。
【0056】
これに対し、
図4Bに示すように、デッドタイム領域において共振電流Irに電流位相進みが発生している場合、コンパレータ36,37で変換された矩形波信号S36,S37とパルス波形信号S24a,S24bとが、アンドゲート38,39により、それぞれ論理積が取られる。共振電流Irには、位相進みが発生する直前になっているので、パルス波形信号S24aとFET12−1,12−4の制御信号S25−1,S25−4とが重なると共に、パルス波形信号S24bとFET12−2,12−3の制御信号S25−2,S25−3とが重なる。そのため、各アンドゲート38,39により取られた論理積が論理“1”となるので、ノアゲート40により、否定論理和が取られと、その否定論理和が論理“0”となる。その結果、ノアゲート40から、進相検出信号S40が出力される。
【0057】
ノアゲート40から進相検出信号S40が出力されると、制御回路20内のパルス生成手段23は、電流位相進みを改善するような2対のスイッチングパルスS23を生成する。この2対のスイッチングパルスS23は、駆動手段25により駆動されて制御信号S25−1〜S25−4が生成されるので、FET12−1〜12−4のオン/オフ動作により、電流位相進みの改善されたスイッチング動作が行われる。
【0058】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(1)、(2)のような効果がある。
【0059】
(1) デッドタイム領域で電流位相進みが発生すると、FET12−1及びFET12−2間に貫通電流が発生すると共に、FET12−3及びFET12−4間に貫通電流が発生するので、それを防止する必要がある。そこで、本実施例1では、デッドタイムDTに、調整時間αを延ばしたパルス波形信号S24a,S24bを生成し、このパルス波形信号S24a,S24bの幅を調整可能にして余裕を持たせている。そのため、位相検出回路30は、パルス波形信号S24a,S24bを用いて、安全且つ早めに、電流の位相進みを検出することができる。
【0060】
(2) その他の一般的な効果としては、次のようなものがある。共振電流Ir(励磁電流Imを含む)を変流器31で検出するため、フルブリッジ型のスイッチング回路12のみならず、ハーフブリッジ型のスイッチング回路等、電位の制約を受けずに対応が可能である。変流器31で、高電圧電位を低電圧電位に変換できるため、ノイズの影響を受けにくく、制御回路20が2次側にある場合にも対応が可能である。共振電流Ir(励磁電流Imを含む)を変流器31で直接検出しているため、電流検出精度を高くできる。更に、電流検出用の抵抗を共振回路に挿入する必要が無いため、効率低下の影響を受けにくい。
【0061】
(変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0062】
(a) コンバータ主回路10の回路構成は、
図2のものに限定されない。例えば、トランス14の1次側に設けられるフルブリッジ型のスイッチング回路12は、2つのFETを直列接続したハーフブリッジ型のスイッチング回路に変更しても良い。トランス14の2次側に設けられるフルブリッジ型の整流回路15は、センタータップ型の整流回路に変更しても良い。直列の共振回路13は、2次側に設けても良い。トランス14を設けない回路構成に変更しても良い。更に、FET12−1〜12−4は、絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)等の他のスイッチング素子を使用しても良い。
【0063】
(b)
図1中の制御回路20は、定電圧制御を行う構成になっているが、定電流制御を行う構成に変更しても良い。又、制御回路20は、制御マイコンで構成されているが、半導体素子等を用いた実回路で構成しても良い。
【0064】
(c)
図1中の位相検出回路30は、他の回路構成に変更しても良い。例えば、アンドゲート38,39及びノアゲート40は、他のゲート回路で構成しても良い。