(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
  以上および以下の記載に係る構成ないし方法は、本発明にかかる「打撃工具」の製造および使用、当該「打撃工具」の構成要素の使用を実現せしめるべく、他の構成ないし方法と別に、あるいはこれらと組み合わせて用いることができる。本発明の代表的実施形態は、これらの組み合わせも包含し、添付図面を参照しつつ詳細に説明される。以下の詳細な説明は、本発明の好ましい適用例を実施するための詳細情報を当業者に教示するに留まり、本発明の技術的範囲は、当該詳細な説明によって制限されず、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。このため、以下の詳細な説明における構成や方法ステップの組み合わせは、広義の意味において、本発明を実施するのに全て必須であるというものではなく、添付図面の参照番号とともに記載された詳細な説明において、本発明の代表的形態を開示するに留まるものである。
【0026】
(第1実施形態)
  本発明に係る実施形態は、打撃工具の一例としてバッテリ式ハンマドリルを用いて説明する。以下、本発明の第1実施形態につき、
図1〜
図7を参照して説明する。
図1に示すように、ハンマドリル100は、ハンマビット119をハンマビット119の長軸方向に直線動作及び長軸回りに回転動作させて、被加工材に対して穴明けやハツリ等の加工を行う打撃工具である。このハンマビット119が、本発明における「先端工具」に対応する実施構成例である。
【0027】
  ハンマドリル100は、ハンマドリル100の外郭を形成する本体部101およびハンドル部109を主体として構成される。本体部101の先端領域には、ハンマビット119が筒状のツールホルダ159を介して取り外し可能に取付けられる。ハンマビット119は、ツールホルダ159に対して長軸方向へ相対的な往復動が可能であり、かつツールホルダ159に対して周方向への相対的な回動が規制された状態で、ツールホルダ159に保持される。
【0028】
[本体部の構成]
  本体部101は、モータハウジング103およびギアハウジング105を主体として構成されている。モータハウジング103は、電動モータ110を収容している。ギアハウジング105は、運動変換機構120、打撃要素140及び動力伝達機構150を収容している。ハンマビット119の長軸方向に関して本体部101のハンマビット119と反対側には、ハンドル部109が配置されている。なお、説明の便宜上、ハンマビット119の長軸方向(本体部101の長軸方向)に関して、ハンマビット119側(
図1の右側)を「ハンマドリルの前側」と規定し、ハンドル部109側(
図1の左側)を「ハンマドリルの後側」と規定する。また、
図1の上側を「ハンマドリルの上側」と規定し、
図1の下側を「ハンマドリルの下側」と規定する。
【0029】
  電動モータ110は、電動モータ110の回転軸がハンマビット119の長軸方向と交差する(傾斜する)ように配置されている。この電動モータ110が、本発明における「電動モータ」に対応する実施構成例である。また、電動モータ110を収容するモータハウジング103を備えた本体部101が、本発明における「工具本体」に対応する実施構成例である。
【0030】
  電動モータ110の回転出力は、運動変換機構120によって直線動作に変換された上で打撃要素140に伝達される。これにより、打撃要素140を介してハンマビット119が、ハンマビット119の長軸方向(
図1の左右方向)の衝撃力を発生する。
【0031】
  運動変換機構120は、ベベルギア121、第1中間軸123、揺動部材125、シリンダ保持部127を主体として構成されている。ベベルギア121は、電動モータ110の回転軸に設けられた駆動ギア111に係合して駆動される。第1中間軸123は、ハンマビット119の長軸方向と平行に配置され、ベベルギア121と一体に回転する。電動モータ110の回転出力は、駆動ギア111およびベベルギア121を介して減速されて第1中間軸123に伝達される。揺動部材125の下端部は中間軸123に係合しており、これにより揺動部材125は、第1中間軸123の回転によってハンマビット119の長軸方向に揺動される。シリンダ保持部127は、揺動部材125の上端部に連結されている。したがって、シリンダ保持部127は、揺動部材125の揺動によってハンマビット119の長軸方向に直線状に移動される。
【0032】
  打撃要素140は、ピストンシリンダ141、ストライカ143、インパクトボルト145を主体として構成されている。ピストンシリンダ141は、後端部が閉じられ、前端部が開放された円筒状部材である。このピストンシリンダ141は、シリンダ保持部127に連結されており、ハンマビット119の長軸方向に直線状に移動される。ストライカ143は、ピストンシリンダ141内を摺動可能に配置されている。このストライカ143とピストンシリンダ141によってピストンシリンダ141内に空気室142が形成される。
【0033】
  インパクトボルト145は、ストライカ143の前方に配置されており、ツールホルダ159によって前後方向に移動可能に保持されている。ピストンシリンダ141の前後方向の移動に伴う空気室142の空気バネの作用によって、ストライカ143が摺動することで、ストライカ143がインパクトボルト145に衝突する。これにより、インパクトボルト145がハンマビット119に衝突し、ハンマビット119が前方に移動され被加工材に対して打撃作業を行う。
【0034】
  さらに、電動モータ110の回転出力は、動力伝達機構150によって減速された上でツールホルダ159に伝達され、ツールホルダ159に保持されたハンマビット119が周方向に回転される。動力伝達機構150は、第2中間軸151、第1中間ギア153、第2中間ギア155を主体として構成されている。第2中間軸151は、第1中間軸123と同軸状に配置され、第1中間軸123と一体に回転する。第1中間ギア153は、第2中間軸151に取り付けられており、第2中間軸151と一体に回転する。第2中間ギア155は、ツールホルダ159に連結されている。また、第2中間ギア155は、第1中間ギア153に係合し、第1中間ギア153に駆動される。以上の構成により、運動伝達機構150は、ツールホルダ159に電動モータ110の回転を伝達し、ハンマビット119が回転される。これにより、ハンマビット119が被加工材に対して回転作業(穴あけ作業)を行う。
【0035】
[ハンドル部の構成]
  ハンドル部109は、ハンドグリップ180、トリガ181、トリガスイッチ182、第1摺動ガイド185、第2摺動ガイド186、第3摺動ガイド187を主体として構成されている。ハンドグリップ180は、ハンマビット119の長軸方向に交差し、ハンマドリル100の上下方向に延在するように配置される。ハンドグリップ180のうち作業者に把持される一部の領域は、ハンマビット119の長軸線(打撃軸線)上に配置されており、この領域にトリガ181が設けられている。これにより、被加工材に対して作業を行う際に、作業者が打撃軸線上に設けられたハンドグリップ180に力が付与される。その結果、ハンドグリップ180に付与された作業者の力が被加工材まで合理的に伝達される。このハンドル部109およびハンドグリップ180がそれぞれ、本発明における「ハンドル構成部材」および「ハンドル」に対応する実施構成例である。
【0036】
  トリガ181は、トリガスイッチ182に接続されており、作業者がトリガ181を操作することで、トリガスイッチ182のON/OFFが切り替えられる。トリガスイッチ182がONに切り替えられることで、バッテリ装着部160に装着されたバッテリパック170から電流が供給されて電動モータ110が駆動される。
【0037】
  第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186は、ハンドル部109の前方側に形成された長穴185a,186aとして構成されている。この長穴185a,186aは、ハンマビット119の長軸方向に延在するように形成されている。第1摺動ガイド185は、ハンドル部109の上部側に設けられ、第2摺動ガイド186は、ハンドル部109の下部側に設けられている。
【0038】
  第1および第2摺動ガイド185,186の長穴185a,186aは、ギアハウジング105に固定されたガイド軸106にそれぞれ係合し、これにより、第1および第2摺動ガイド185,186がガイド軸106(ギアハウジング105)に対して前後方向に摺動する。なお、ガイド軸106は、ハンマビット119の長軸方向とハンドグリップ180が延在する方向の両方の方向に交差するハンマドリル100の左右方向に延在するように配置されている。ハンドル部109とギアハウジング105の間にはコイルバネ107が配置されている。なお、コイルバネ107は、第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186に対応して、上下2か所に配置されている。このコイルバネ107が、本発明における「弾性部材」に対応する実施構成例である。
【0039】
  第3摺動ガイド187は、ハンドル部109の後方側であって、ハンドグリップ180の下方に形成されたガイド軸187aを有する。すなわち、第3摺動ガイド187は、ハンドル部109のハンドグリップ180とバッテリ装着部160の間に設けられている。一方、ハンドル部109の第3摺動ガイド187が形成された領域を覆うように形成されたモータハウジング103は、ガイド軸187aに係合する長穴103aを有する。これにより、第3摺動ガイド187が、長穴103a(モータハウジング103)に対して前後方向に摺動する。このガイド軸187aは、ハンマビット119の長軸方向とハンドグリップ180が延在する方向の両方の方向に交差するハンマドリル100の左右方向に延在するように配置されている。なお、第3摺動ガイド187は、本体部101に対するハンドル部109の摺動をサポートするように構成されており、第3摺動ガイド187に対応する領域には、コイルバネ107は配置されていない。
【0040】
  以上の構成により、ハンドル部109は、
図1に示す位置(後方位置)と、
図2に示す位置(前方位置)の間を、ギアハウジング105(本体部101)に対してコイルバネ107の付勢力が作用した状態で摺動する。これにより、被加工材に対する加工作業時に生じる振動のハンドル部109への伝達を抑制する。したがって、以下においては、ハンドル部109は、防振ハンドルとも称する。
【0041】
[バッテリ装着部の構成]
  
図1および
図2に示すように、バッテリ装着部160は、ハンドル部109の下部に、当該ハンドル部109と一体に設けられている。すなわち、バッテリ装着部160は、ハンドル部109に連結されている。したがって、ハンドル部109がギアハウジング105(本体部101)に対して摺動する際に、バッテリ装着部160(バッテリパック170)も前後方向に移動する。バッテリ装着部160は、前後方向に並んで配置された2つの装着部160a,160bを有している。それぞれの装着部160a,160bは、同一の構造を有しており、それぞれの装着部160a,160bに対してバッテリパック170が取り外し可能に装着される。装着部160a,160bは、ハンマドリル100の前後方向に交差するハンマドリル100の左右方向(
図3の左右方向)に延在するガイドレール161を備えている。これにより、
図3に示すように、バッテリパック170は、ハンマドリル100の左右方向に移動されて、バッテリ装着部160に着脱される。このバッテリ装着部160が、本発明における「バッテリ装着部」に対応する実施構成例である。
【0042】
  図1に示すように、それぞれの装着部160a,160bに装着されるバッテリパック170(170a,170b)は、説明の便宜上、同一形状として図示されている。すなわち、バッテリパック170a,170bは、いずれの装着部160a,160bにも装着可能である。このバッテリパック170が、本発明における「バッテリ」に対応する実施構成例である。
【0043】
[バッテリパックの構成]
  
図4〜
図7に示すように、バッテリパック170は、略直方体形状のバッテリケース171と、バッテリケース171内に収容される複数の電池セル(図示省略)を主体として構成されている。
図4に示すように、バッテリケース171の上面側には、バッテリパック170の長手方向に沿って直線状に延びる一対の装着ガイド173が設けられている。この装着ガイド173は、装着部160a,160bのガイドレール161と係合するように構成されている。
【0044】
  また、
図4〜
図7に示すように、バッテリケース171の上面中央部には、バッテリパック170をバッテリ装着部160に対してロックするためのフック175とロックを解除するための押しボタン177が設けられている。フック175は、バッテリケース171の上面から突出するように、バネ(図示省略)によって上方に向かって付勢されている。また、押しボタン177は、バッテリケース171の長手方向の一端側に配置されており、フック175と機械的に連結されている。これにより、押しボタン177が押されたときに、フック175がバッテリケース171の上面から引っ込むように移動する。
【0045】
  図1〜
図3に示すように、バッテリパック170a,170bは、装着部160a,160bに装着される。このとき、バッテリパック170a,170bのフック175が装着部160a,160bの係止部(図示省略)と係合して、バッテリパック170a,170bが装着部160a,160bに固定される。さらに、バッテリパック170a,170bのターミナル179は、装着部160a,160bのターミナル(図示省略)と電気的に接続される。これにより、ハンマドリル100に対して電流を供給可能となる。
【0046】
  例えば、ハンマドリル100が、36V仕様の場合であれば、18Vのバッテリパック170a,170bがそれぞれ装着されて、電気的に直列に接続される。18Vのバッテリパックは、36Vのバッテリパックに比べて軽いため、作業者は、バッテリパック170a,170bの着脱作業を容易に行うことができる。一方、例えば、ハンマドリル100が、18V仕様の場合であれば、2つのバッテリパック170a、170bは電気的に並列に接続される。なお、この場合、一方のバッテリパック170a,170bが装着された状態でハンマドリル100を駆動することもできる。さらに、ハンマドリル100が、36Vと18Vのどちらの電圧でも駆動可能である場合には、バッテリパック170a,170bの接続態様を直列と並列との間で切り替えるように構成されていてもよい。この場合には、作業者によってバッテリパック170a,170bの接続態様を切り替えるように、装着部160a,160bのターミナル同士の接続を切替可能な切替スイッチが設けられていることが好ましい。
【0047】
  以上の第1実施形態によれば、バッテリパック170は、ハンドル部109と一体にギアハウジング105(本体部101)に対して相対移動する。これにより、バッテリパック170に対する振動の伝達が抑制される。したがって、作業時にバッテリパック170がバッテリ装着部160から脱落することが抑制される。さらに、それぞれの装着部160a,160bのガイドレール161が、ハンマビット119の長軸方向に交差するように設けられており、バッテリパック170は、ハンマビット119の長軸方向に交差する方向に摺動することで、装着部160a,160bにそれぞれ装着される。そのため、打撃作業時に主として発生する前後方向(ハンマビット119の長軸方向)の振動に対して、バッテリパック170の着脱方向が交差する。そのため、作業時にバッテリパック170がバッテリ装着部160から脱落することがさらに効果的に抑制される。
【0048】
  また、第1実施形態によれば、バッテリパック170は、ハンドル部109のハンドグリップ180の下部においてハンドグリップ180に近接して装着される。そのため、ハンマビット119の長軸方向に関して、バッテリパック170の重心位置がハンドグリップ180に近接する。これにより、バッテリパック170の重心位置がハンドグリップ180から離れて配置される構成に比べて、作業時において、ハンドグリップ180を把持する作業者に対する負荷が低減される。
【0049】
(第2実施形態)
  次に、第2実施形態につき、
図8および
図9を参照して説明する。第2実施形態におけるハンマドリル100は、第1実施形態のハンマドリル100に対して、主として電動モータ110の配置、およびハンドル部109の形状が異なる。電動モータ110およびハンドル部109以外の構成については、第1実施形態のハンマドリル100と同様の構成であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
  ハンドル部109は、ハンドグリップ180に連接するサポート部109aを有している。ハンドグリップ180は、ハンマビット119の長軸方向に交差する方向(
図8の上下方向)に延在するように構成されている。ハンドグリップ180の基端部(
図8の上側)は、ハンマビット119の軸線に近接し、ハンドグリップ180の先端部(
図8の下側)は、サポート部109aに連接している。したがって、作業者は、複数の把持態様でハンマドリル100を把持することができる。すなわち、第1の把持態様として、作業者は、ハンドグリップ180のうち、ハンマビット119の長軸方向に交差する方向(
図8の上下方向)に関して、電動モータ110より下部の領域を把持する態様が想定される。一方で、第2の把持態様として、作業者は、ハンドルグリップ180のうち、ハンマビット119の長軸方向に関して、電動モータ110の後方におけるハンマビット119の長軸線(打撃軸線)上の領域を把持する態様が想定される。第2の把持態様においては、被加工材に対して作業を行う際に、作業者の手が打撃軸線上に配置され、これによりハンドグリップ180に付与された作業者の力が被加工材まで合理的に伝達される。
【0051】
  サポート部109aは、ハンドル部109のうち、ハンマビット119の長軸方向に関して、ハンドグリップ180の基端部よりもハンマビット119側(ハンマドリル100の先端側)の領域と連接されている。これにより、ハンドル部109がループ状に形成され、ハンドグリップ180をサポートする。ハンドル部109がループ状に形成されることで、ハンドル部109の強度が高まる。このサポート部109aが、本発明における「連結部」に対応する実施構成例である。
【0052】
  サポート部109aには、バッテリ装着部160が形成されており、複数のバッテリパック170a,170bが装着される。このバッテリパック170a、170bは、バッテリ装着部160に対して、ハンマビット119の長軸方向とハンドグリップ180が延在する方向の両方の方向に交差するハンマドリル100の左右方向に摺動されて装着される。したがって、サポート部109aは、ハンドル部109の強度を高める機能と、バッテリ装着部160を保持する機能を有する。なお、バッテリ装着部160に装着されるバッテリパック170の構成や、バッテリパック170の接続態様は、第1実施形態と同様である。
【0053】
  ハンドル部109は、モータハウジング103を覆うように配置されており、第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186を有する。第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186は、ハンドル部109の内部のリブをハンマビット119の長軸方向に貫通する貫通孔として構成されている。
【0054】
  モータハウジング103は、ハンマビット119の長軸方向に延在する2つのガイド軸106を有している。このガイド軸106は円筒状に形成されており、ガイド軸106の外周部にコイルバネ107が配置されている。コイルバネ107は、一端がモータハウジング103に当接し、他端がハンドル部109に当接している。ガイド軸106は、第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186の貫通孔に摺動可能に挿通されている。なお、ガイド軸106には、ネジ106aが嵌入されている。これにより、ネジ106aのネジ頭によって、ガイド軸106が第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186から抜けることが抑制される。
【0055】
  以上の構成により、ハンドル部109は、
図8に示す位置(後方位置)と、
図9に示す位置(前方位置)の間を、モータハウジング103(本体部101)に対してコイルバネ107の付勢力が作用した状態で摺動する。これにより、被加工材に対する加工作業時に生じる振動のハンドル部109への伝達を抑制する。
【0056】
(第3実施形態)
  次に、第3実施形態につき、
図10および
図11を参照して説明する。第3実施形態におけるハンマドリル100は、第2実施形態のハンマドリル100に対して、主としてハンドル部109の形状が異なる。ハンドル部109以外の構成については、第1および第2実施形態のハンマドリル100と同様の構成であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
  ハンドル部109のハンドグリップ180およびトリガ181は、第1実施形態と同様にハンマビット119の長軸線(打撃軸線)上に配置されている。一方、第3実施形態のハンドル部109は、第2実施形態と同様に、サポート部109aを有する。
【0058】
  バッテリ装着部160は、ハンドグリップ180とサポート部109aの連接領域に設けられている。すなわち、バッテリ装着部160は、ハンドル部109の下端領域に設けられている。バッテリ装着部160には、複数のバッテリパック170a,170bが装着される。このバッテリパック170a、170bは、バッテリ装着部160に対して、ハンマビット119の長軸方向とハンドグリップ180が延在する方向の両方の方向に交差するハンマドリル100の左右方向に摺動されて装着される。したがって、ハンドル部109の先端領域(下端領域)を利用して、バッテリ装着部160が合理的に配置される。なお、バッテリ装着部160に装着されるバッテリパック170の構成や、バッテリパック170の接続態様は、第1実施形態と同様である。
【0059】
  なお、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、ハンドル部109は、モータハウジング103を覆うように配置され、第1摺動ガイド185および第2摺動ガイド186を介して、モータハウジング103に対して摺動可能に形成されている。したがって、ハンドル部109は、
図10に示す位置(後方位置)と、
図11に示す位置(前方位置)の間を、モータハウジング103(本体部101)に対してコイルバネ107の付勢力が作用した状態で摺動する。これにより、被加工材に対する加工作業時に生じる振動のハンドル部109への伝達を抑制する。
【0060】
  以上の第1〜第3実施形態によれば、ハンドル部109にバッテリ装着部160が連結されている。これにより、ハンドル部109とともにバッテリ装着部160は、本体部101に対して相対移動する。したがって、バッテリ装着部160および当該バッテリ装着部160に装着されるバッテリパック170によって、本体部101に対して相対移動するハンドル部109側の質量を大きくなる。質量が大きい部品を振動させるためには大きな運動エネルギが必要となる。そのため、加工作業時にハンマビット119および本体部101から、ハンドル部109側への振動の伝達が低減される。また、ハンドル部109側の質量が大きくなるため、バッテリパック170が装着されたハンマドリル100の重心が、ハンドグリップ180に近接した位置に設定される。そのため、加工作業時にハンドグリップ180を把持する作業者の負担が軽減される。
【0061】
  特に、第1および第3実施形態においては、ハンドグリップ180が延在するハンマドリル100の上下方向に関して、ハンマドリル100の上側に本体部101が配置され、ハンマドリル100の下側に配置される。これにより、本体部101とバッテリパック170によってハンマドリル100のバランスがとられる。その結果、ハンマドリル100の操作性が向上する。
【0062】
  また、第1〜第3実施形態によれば、複数のバッテリパック170がバッテリ装着部160に装着されて、ハンマドリル100が駆動される。比較的大きな大容量バッテリパックが装着される構成に比べて、比較的小さいバッテリパック170が装着されるため、バッテリパック170の交換作業(着脱作業)の作業性が向上する。また、複数のバッテリパック170が電気的に並列に接続される場合においては、ハンマドリル100の駆動時間が長くなる。一方、複数のバッテリパック170が電気的に直列に接続される場合には、ハンマドリル100の出力が大きくなる。さらに、複数のバッテリパック170の接続態様が直列と並列で切り替え可能である場合には、ハンマドリル100の負荷が異なる作業態様に応じて作業者によって選択される。これにより、ハンマドリル100の駆動が合理化される。
【0063】
  また、第1〜第3実施形態によれば、ハンマドリル100には、ハンマビット119の長軸方向に打撃力が発生する。これにより、ハンマドリル100には、主として長軸方向の振動が発生する。一方で、バッテリパック170は、ハンマビット119の長軸方向に交差する方向に移動されてバッテリ装着部160に装着される。したがって、バッテリパック170の移動方向と振動の方向が異なる。その結果、加工作業(打撃作業)時におけるバッテリパック170の脱落が抑制される。また、バッテリパック170の移動方向と振動の方向が異なるため、バッテリパック170の装着ガイド173とバッテリ装着部160のガイドレール161の間における、バッテリパック170の移動方向に関する振動が比較的小さい。これにより、装着ガイド173とガイドレール161がバッテリパック170の移動方向に摺動することに起因する摩耗が低減される。同様に、バッテリパック170のターミナル179とバッテリ装着部160のターミナル(図示省略)の間における、バッテリパック170の移動方向に関する振動が比較的小さい。これにより、ターミナルの間に生じるチャタリングが抑制される。
【0064】
  また、第1〜第3実施形態によれば、バッテリパック170の装着ガイド173をバッテリ装着部160のガイドレール161に沿って摺動させることで、バッテリパック170をバッテリ装着部160に装着する装着作業が容易に行われる。
【0065】
  以上においては、バッテリパック170は、ハンマビット119の長軸方向とハンドグリップ180が延在する方向の両方の方向に交差するハンマドリル100の左右方向に摺動してバッテリ装着部160に装着されるように構成されていたが、これには限られない。例えば、バッテリパック170がハンマドリル100の前後方向、または上下方向に摺動されてバッテリ装着部160に装着されるように構成されていてもよい。
【0066】
  また、以上においては、2つのバッテリパック170a,170bがハンドル部109に保持されるように、バッテリ装着部160が設けられていたが、これには限られない。例えば、バッテリ装着部160のうち一方の装着部160aが本体部101に設けられており、他方の装着部160bがハンドル部109に設けられていてもよい。すなわち、ハンマドリル100に装着される複数のバッテリパックのうち少なくとも1つのバッテリパックがハンドル部109に保持されるように構成されていればよい。
【0067】
  また、以上においては、ハンマドリル100に対して2つのバッテリパック170が装着されるように構成されていたが、これには限られない。すなわち、1つ、または3つ以上のバッテリパック170がハンマドリル100に装着されるように構成されていてもよい。
【0068】
  なお、以上においては、揺動部材125を備えた運動変換機構120について説明したが、これには限られない。運動変換機構120としてクランク機構が設けられていてもよい。
【0069】
  また、以上においては、打撃工具の一例として、ハンマビット119が打撃動作と回転動作を行うハンマドリル100として説明したが、これには限られない。例えば、打撃工具としてハンマビット119が打撃動作のみを行う電動ハンマに本発明を適用することも可能である。その他にも、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動レシプロソー、電動ジグソーに本発明を適用することも可能である。
【0070】
  上記発明の趣旨に鑑み、本発明に係る打撃工具は、下記の態様が構成可能である。なお、各態様は、単独で、あるいは互いに組み合わされて用いられるだけでなく、請求項に記載された発明と組み合わされて用いられる。
(態様1)
  電動モータに駆動され、先端工具を駆動する駆動機構を有する。
(態様2)
  ハンドル構成部材は、工具本体に対して前記所定の長軸方向に相対移動する。
(態様3)
  バッテリ装着部は、バッテリが摺動する摺動部を有し、
  当該摺動部は、前記所定の長軸方向に交差する方向に延在する。
(態様4)
  2つの弾性部材は、ハンドル延在方向に関して、先端工具の長軸線を挟んで配置されている。
(態様5)
  2つの弾性部材は、長軸方向に関して、ほぼ同じ位置に配置されている。
【0071】
(本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
  本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下の通り示す。なお、本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものであり、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
  本体部101が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
  モータハウジング103が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
  ギアハウジング105が、本発明の「工具本体」に対応する構成の一例である。
  ハンマビット119が、本発明の「先端工具」に対応する構成の一例である。
  電動モータ110が、本発明の「電動モータ」に対応する構成の一例である。
  バッテリ装着部160が、本発明の「バッテリ装着部」に対応する構成の一例である。
  装着部160a,160bが、本発明の「バッテリ装着部」に対応する構成の一例である。
  バッテリパック170(170a、170b)が、本発明の「バッテリ」に対応する構成の一例である。
  ハンドル部109が、本発明の「ハンドル構成部材」に対応する構成の一例である。
  サポート部109aが、本発明の「連結部」に対応する構成の一例である。
  ハンドグリップ180が、本発明の「ハンドル」に対応する構成の一例である。
  コイルバネ107が、本発明の「弾性部材」に対応する構成の一例である。
  コイルバネ107が、本発明の「弾性要素」に対応する構成の一例である。