特許第6501419号(P6501419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6501419延伸型中間案内アセンブリを具備する制御棒案内管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501419
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】延伸型中間案内アセンブリを具備する制御棒案内管
(51)【国際特許分類】
   G21C 7/14 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   G21C7/14 200
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-569075(P2016-569075)
(86)(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公表番号】特表2017-516997(P2017-516997A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】US2015022967
(87)【国際公開番号】WO2015187236
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】14/295,521
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ミクウス、ヴィータウタス、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】エッズィ、イブラヒム、エム
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02630854(FR,A1)
【文献】 特開2014−098596(JP,A)
【文献】 実開昭59−117993(JP,U)
【文献】 特表2013−543125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0099691(US,A1)
【文献】 米国特許第03915793(US,A)
【文献】 特開平04−232895(JP,A)
【文献】 米国特許第05098647(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 7/14
G21C 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核分裂性物質を含む炉心(14)及び当該炉心を実質的に覆う上部炉心板(40)を収容する圧力容器(10)と、制御棒集合体(80)を炉心の内外へ案内するための、延伸した軸方向の長さを有する制御棒案内管(54)とより成り、当該制御棒案内管が上部炉心板と当該上部炉心板の上方に支持された上部支持板(46)との間を延びる原子炉であって、当該制御棒案内管は、
第1の端部が当該上部炉心板(40)に連結され、第2の端部が中間連結具(86)のところで終端する案内管下部(78)と、
第1の端部が当該上部支持板(46)に連結され、第2の端部が当該中間連結具(86)のところで終端する案内管上部(84)と、
実質的に当該中間連結具(86)のところで支持され、当該案内管下部(78)または当該案内管上部(84)の少なくとも一方の内部へ有限な距離だけ軸方向に延入する延伸型制御棒案内アセンブリ(90)と
から成ることを特徴とする原子炉。
【請求項2】
前記制御棒集合体(80)が複数の制御棒(28)から成り、当該制御棒の少なくとも一部が前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される、請求項1の原子炉。
【請求項3】
前記制御棒(28)の残りの少なくとも一部が、前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向長さに沿う不連続な、離隔した軸方向の高さ(98、108)のところで案内される、請求項2の原子炉。
【請求項4】
前記制御棒案内アセンブリ(90)の基軸(110)に沿って延びる前記制御棒(28)が、前記制御棒案内アセンブリの軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される、請求項の原子炉。
【請求項5】
前記制御棒(28)の全てが前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される、請求項2の原子炉。
【請求項6】
前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の長さが約1.6〜23インチ(4.1〜58.4cm)の範囲である、請求項5の原子炉。
【請求項7】
前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の長さが約1.6〜7インチ(4.1〜17.8cm)の範囲である、請求項6の原子炉。
【請求項8】
前記制御棒案内アセンブリ(90)が第1の軸方向に延びるセグメント(94)と第2の軸方向に延びるセグメント(92)とから成り、当該第1のセグメントは前記案内管下部(78)内へ延入し、当該第2のセグメントは前記案内管上部(84)内へ延入することを特徴とする、請求項1の原子炉。
【請求項9】
前記第1のセグメント(94)の上端部は第1の案内板(98)で終端し、前記第2のセグメント(92)の下端部は第2の案内板(96)で終端し、当該第1および第2の案内板は前記中間連結具(86)のところで結合されることを特徴とする、請求項8の原子炉。
【請求項10】
前記第1および第2の案内板(98、96)は全ての前記制御棒が通過する孔(72)を有し、前記第1の案内板の孔と前記第2の案内板の対応する孔とを整列させるために、前記第1および第2の案内板はそれぞれ位置決め孔(100)または位置決めピンを有することを特徴とする、請求項9の原子炉。
【請求項11】
前記第1の案内板(98)および前記第2の案内板(96)はそれぞれ縁辺部に半径方向に延びるフランジを有し、各々のフランジは前記中間連結具(86)の半径方向内側上の凹部内へ延入し、前記中間連結具によって締め付けられることを特徴とする、請求項9の原子炉。
【請求項12】
前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の長さが約0.9〜23インチ(2.3〜58.4cm)の範囲である、請求項1の原子炉。
【請求項13】
前記制御棒案内アセンブリ(90)の軸方向の長さが約0.9〜7インチ(2.3〜17.8cm)の範囲であることが望ましい、請求項12の原子炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して原子炉に関連し、具体的には、制御棒が上部に取り付けられた原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水で冷却される原子力発電システムの一次側は、有用エネルギーを発生させるための二次側から隔離されるものの当該二次側と熱交換関係にある閉回路を構成する。一次側は、核分裂性物質を含む複数の燃料集合体を支持する炉心内部構造を収容する原子炉容器、熱交換蒸気発生器内の一次回路、加圧器の内部空間、加圧水を循環させるポンプおよび配管類を含み、これらの配管類は蒸気発生器およびポンプをそれぞれ独立に原子炉容器に接続する。原子炉容器と接続する蒸気発生器、ポンプおよび配管系から成る一次側の各部は、一次側ループを形成する。
【0003】
説明の目的のために、図1は炉心14を包む蓋体12を備えた概して円筒形の原子炉圧力容器10を有する原子炉一次系を簡略化して示す。水などの原子炉冷却材は、ポンプ16により容器10内に圧入され、炉心14を通過する際に熱エネルギーを吸収した後、一般的に蒸気発生器と呼ばれる熱交換器18へ運ばれ、その熱エネルギーは蒸気駆動タービン発電機のような利用回路(図示せず)へ送られる。その後、原子炉冷却材はポンプ16へ還流して、一次ループが完成する。一般的に、上述したような複数のループが、原子炉冷却材配管20を介して単一の原子炉容器10に接続されている。
【0004】
原子炉設計の例をさらに詳細に図2に示す。互いに平行で垂直に延びる複数の燃料集合体22から成る炉心14に加えて、その他の容器内部構造物を、説明の目的で、下部炉内構造物24と上部炉内構造物26とに分けることができる。従来設計では、下部炉内構造物は、炉心コンポーネントおよび計装体を支持し、整列させ、案内するとともに、容器内の流れの方向を定める機能を有する。上部炉内構造物は、燃料集合体22(簡略化のため2つだけ図2に示す)を拘束し、あるいは燃料集合体に二次的拘束手段を提供し、計装体と例えば制御棒28のようなコンポーネントを支持し、案内する。図2に例示する原子炉の場合、冷却材は1つまたは2つ以上の入口ノズル30から原子炉容器10に流入し、原子炉容器と炉心槽32との間に画定される環状部を流下し、下部プレナム34において180°方向転換し、下部支持板37および燃料集合体22が着座する下部炉心板36を上向きに貫流し、当該集合体の中および周りを流動する。下部支持板37および下部炉心板36の代わりに、37と同じ高さで単一構造の下部炉心支持板を配置する設計もある。炉心とその周辺領域38を貫流する冷却材の流量は通常、毎秒約20フィートの流速で毎分400,000ガロン級の大きなものである。その結果生じる圧力降下および摩擦力が、燃料集合体を上昇させようとするが、この動きは円形の上部炉心板40を含む上部炉内構造物により制限される。炉心14を出た冷却材は、上部炉心板の下側に沿って流れ、複数の孔42を上方に流れる。冷却材はその後、上方および半径方向に流れて1つ以上の出口ノズル44へ到達する。
【0005】
上部炉内構造物26は、容器10または容器蓋体12により支持することが可能であり、上部支持集合体46を含む。荷重は、主として複数の支柱48により、上部支持集合体46と上部炉心板40との間を伝達される。支柱は、所定の燃料集合体22および上部炉心板40の孔42の上方で整列関係に配置される。
【0006】
詳細を後述するように、原子炉炉内構造物はまた、炉心内の核反応を制御するために直線的に移動可能な制御棒28を含んでいる。一般に棒クラスタ制御機構と呼ばれる制御棒集合体は、典型的には駆動シャフト50および中性子毒物棒のスパイダ集合体52から成り、それらは、制御棒案内管54により上部炉内構造物26を通り抜けて、整列関係にある燃料集合体22内へ案内される。制御棒案内管は上部支持集合体46に固定的に取り付けられており、さらに上部炉心板40の頂部に割ピン56の圧力ばめによって連結されている。このピン構成により、必要が生じた際の案内管の組立および交換が容易となり、特に地震や他の高負荷事故条件下では炉心の荷重が案内管54ではなく主として支柱48に確実にかかるようになっている。この支持構成は、制御棒挿入能力に悪影響を与えかねない事故状況下での案内管の変形の抑制に寄与する。
【0007】
図3は、参照数字22で総括表示する燃料集合体を垂直方向に短縮した形で示す立面図である。燃料集合体22は加圧水型原子炉に用いるタイプであり、下端部に下部ノズル58を備えた構造躯体を有する。下部ノズル58は、原子炉炉心領域の下部炉心板36の上に燃料集合体22を支持する。燃料集合体22の構造躯体は、下部ノズル58に加えて、上端部の上部ノズル62と、多数の案内管またはシンブル54とを有し、当該案内管またはシンブルは、下部ノズル58と上部ノズル62との間を縦方向に延び、両端部はそれらのノズルに剛性的に固着されている。
【0008】
燃料集合体22はさらに、案内シンブル54(案内管ともいう)に沿う軸方向離隔位置に取り付けられた複数の横方向グリッド64と、当該グリッド64により横方向に離隔して支持された細長い燃料棒66の整列アレイとを有する。図3には示されていないが、従来型のグリッド64は、卵箱パターンを形成するように相互に差し込まれた直交ストラップから成り、4つのストラップの隣接界面がほぼ正方形の支持セルを画定する。燃料棒66は支持セルを貫通し、互いに横方向に離隔した関係で支持される。多くの従来型設計において、支持セルを形成するストラップの対向壁には、ばねおよびディンプルが打抜き加工により形成されている。ばねおよびディンプルは支持セルの半径方向内方に延びてそれらの間に燃料棒を捕捉し、燃料棒の被覆に圧力をかけて燃料棒を定位置に保持する。また、燃料集合体22の中心部には、下部ノズル58と上部ノズル62に取り付けられ、それらの間に延びる計装管68が配置されている。このような部品の配置構成により、燃料集合体22は、部品の全体構成を壊すことなく容易に取り扱うことができる一体的なユニットを形成する。
【0009】
核分裂プロセスを制御するために、多数の制御棒28が、燃料集合体22の所定位置にある案内シンブル55内を往復移動可能である。具体的には、上部ノズル62の上方に位置する棒クラスタ制御機構80が、制御棒28を支持する。この制御機構80は、内部にねじ溝がある円筒状のハブ部材82と、そこから放射状に延びる複数の鉤またはアーム52とを有する。各アーム52は1本以上の制御棒28に相互接続されており(中央ハブおよび半径方向に延びる鉤から成る構成はスパイダ機構とも呼ばれる)、これにより、制御棒機構80は、全て公知の態様で、制御棒ハブ80に結合された制御棒駆動シャフト50の駆動力により制御棒を案内シンブル55内で垂直方向に移動させて、燃料集合体22内の核分裂プロセスを制御する。制御棒は、上方に案内されて炉心から引き抜かれた位置に来ると、上部炉心板40の上方の制御棒案内管55内に収まる。また、完全挿入位置では、制御棒は、図3に示すように、実質的に燃料集合体内の案内シンブル54の全長を占める。上部炉内構造物26を貫通する制御棒の、燃料集合体内の案内シンブル55との整列関係は、制御棒案内管54の長さに沿って縦列に離間支持される案内カード70によって保たれる。
【0010】
図4に示すのは、図2に示す上部支持集合体46と上部炉心板40との間の制御棒集合体案内管54の拡大図である。案内管54は、案内管下部78および案内管上部84の2つのセクションより成る。案内管下部78は概して四角形の断面を有し、案内管上部84は概して円形の断面を有する。案内管下部78は、中間連結具86を介して案内管上部84に結合される。案内管上部84および下部78は、案内管54の長さ方向に縦列で離間支持される複数の案内カード70を有し、制御棒が連続して案内される部分88は案内管54の最下部から上方へ案内カード70の間隔にほぼ等しい距離だけ延びている。
【0011】
図5は、連続して案内される部分88、案内カード70および中間連結具86に位置する案内板の孔のパターンを表しており、制御棒集合体80が上部炉内構造物26の中を移動する際これらの孔を通過する。四分の三円形の孔72はそれぞれ別々の制御棒28を案内し、この円形孔72と、ハブ82が通過する中央孔76とをつなぐ直線部74を鉤52が通過する。図5に示す案内カードは案内管54の上部84のものであるが、この孔のパターンは、他の案内具の孔のパターンをも表している。相違点として、案内管54の上部84から下部78へ移行するにつれて外周の形状が円形から正方形へ徐々に変化する。
【0012】
稼働中の原子力発電所の一部で、案内カードに著しい摩耗の痕跡が認められている。摩耗量が許容範囲内の一連の案内カード70の間の中間連結具86のところに特製の案内板が配置されており、この案内板が著しく摩耗している場合、運転停止期間中に案内管下部アセンブリ78を交換する代わりに当該案内板を交換することにより案内管の寿命を延ばすことができる。この非抜本的手法は、段取り、費用および放射性廃棄物発生量を減らしながら、プラントの残存寿命のうちの限られた割合にせよ、発電所を引き続き安全に運転できるようにする。
【0013】
したがって、中間連結具86のところの案内板の交換に要するのと同様の作業スケジュールで、摩耗した案内カードのより恒久的な修理を行えることが望ましい。
【0014】
また、修理において追加的な放射性廃棄物が発生せず、案内板の交換と実質的に同等の費用で修理を実施できることが望ましい。
【発明の概要】
【0015】
上記およびその他の目的は、核分裂性物質を含む炉心及び当該炉心を実質的に覆う上部炉心板を収容する圧力容器を有する原子炉において達成される。かかる原子炉は、制御棒集合体を炉心の内外へ案内するための、延伸した軸方向長さを有する制御棒案内管を具備し、当該案内管は、上部炉心板と当該上部炉心板の上方に支持された上部支持集合体との間に延びる。当該制御棒案内管は、第1の端部が上部炉心板に連結され、第2の端部が中間連結具のところで終端する案内管下部を有する。当該制御棒案内管はまた、第1の端部が上部支持集合体に連結され、第2の端部が中間連結具のところで終端する案内管上部を有する。本発明の改良部分は、実質的に中間連結具のところで支持され、案内管下部または案内管上部の少なくとも一方の内部へ有限な距離だけ軸方向に延入する延伸型制御棒案内アセンブリから成る。
【0016】
制御棒集合体は複数の制御棒から成るが、少なくとも或る1つの実施態様では、少なくとも一部の制御棒が、制御棒案内アセンブリの軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される。好ましくは、一部の制御棒は、制御棒案内アセンブリの軸方向の長さに沿う不連続の、離隔した軸方向高さのところで案内される。また望ましくは、制御棒案内アセンブリの基軸に沿って延びる制御棒は、制御棒案内アセンブリの軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される。また別の実施態様では、全ての制御棒が前記制御棒案内アセンブリの軸方向の実質的に全長にわたり連続的に案内される。
【0017】
一実施態様において、制御棒案内アセンブリは第1の軸方向に延びるセグメントと、第2の軸方向に延びるセグメントとから成り、当該第1のセグメントは案内管下部内へ延入し、当該第2のセグメントは案内管上部内へ延入している。この後者の実施態様では、当該第1のセグメントの上端部は第1の案内板で終端し、当該第2のセグメントの下端部は第2の案内板で終端し、当該第1および第2の案内板は中間連結具のところで結合するのが好ましい。当該第1および第2の案内板は全ての制御棒が通過する孔を有し、当該第1の案内板の孔と当該第2の案内板の対応する孔とを整列させるために、当該第1および第2の案内板はそれぞれ位置決め孔または位置決めピンを有するのが好ましい。当該第1の案内板および当該第2の案内板はそれぞれ縁辺部に半径方向に延びるフランジを有し、各々のフランジは当該中間連結具の半径方向内側上の凹部内へ延入し、当該中間連結具によって締め付けられるのが望ましい。
【0018】
別の実施態様において、制御棒案内アセンブリの長さは約0.9〜23インチ(2.3〜58.4cm)の範囲とすることができる。制御棒案内アセンブリは、軸方向の長さが約0.9〜7インチ(2.3〜17.8cm)の範囲であるのがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0020】
図1】本発明を適用できる原子炉の単純化した概略図である。
【0021】
図2】本発明を適用できる原子炉容器および内部構成機器の部分断面立面図である。
【0022】
図3】図示を明瞭にするために垂直方向に短縮し、部品を破断して示す燃料集合体の部分断面立面図である。
【0023】
図4図2に示す制御棒案内管54の拡大等角図である。
【0024】
図5図4に示す上部案内管84の案内カードの1つを示す平面図である。
【0025】
図6】摩耗した案内板に代えて中間連結具の中に挿入される、本発明の一実施態様に基づく延伸型制御棒案内アセンブリの斜視図である。
【0026】
図7図6に示す延伸型制御棒案内アセンブリの上部セグメントの斜視図である。
【0027】
図8図6に示す延伸型制御棒案内アセンブリの下部セグメントの斜視図である。
【0028】
図9】本発明の一実施態様の延伸型制御棒案内アセンブリを含む、中間連結具位置における上部炉内構造物案内管54の断面図である。
【0029】
図10】下部案内管78に取り付けられた、本発明の一実施態様の延伸型制御棒案内アセンブリの斜視図である。
【0030】
図11】本発明の第2の実施態様の制御棒案内アセンブリの上部を示す平面図である。
【0031】
図12図11に示す第2の実施態様の制御棒案内アセンブリの下部を示す平面図である。
【0032】
図13】案内管上部および案内管下部が中実な部材として構成されている、制御棒案内アセンブリの別の実施態様の断面図である。
【0033】
図14図13に示す実施態様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
燃料交換のための運転停止時に、中間連結具86の案内板を本発明の延伸型制御棒案内アセンブリ(その一実施態様を図6に示す)に置き換えることによって、案内管54の耐用寿命を実質的に延ばすことができる。本発明は、中間連結具86のところで実質的に支持され、案内管下部78または案内管上部84の少なくとも一方の内部へ有限な距離だけ軸方向に延入する延伸型制御棒案内アセンブリ90を提供する。図6に示す実施態様は、下部セグメント94と上部セグメント92とから成り、それらは案内管上部84および案内管下部78内へ延入する。上部セグメント92の下端部には、案内カード70の孔に実質的に符合する孔72が開いている案内板114があり、また上部セグメントの上端部106は、外側列の制御棒28の外周の一部を支持する孔72が縁辺部に設けられた案内リングで終端する。さらに、下部支持板114と上部支持リング106との間を制御棒集合体の基軸沿いの制御棒支持チャンネル110が連続的に支持する。したがって、一部の制御棒28は軸方向に離間したところで支持され、その他の制御棒28は、延伸型制御棒案内アセンブリ90の上部セグメント92の全体にわたり連続的に支持される。
【0035】
本実施態様の延伸型制御棒案内アセンブリの下部セグメント94の上端部は孔の開いた案内板116で終端し、この孔は上部セグメント92の案内板114の孔に符合する。図8に示すように、下部セグメント94の下端部は案内リング108で終端し、当該案内リングは連続的な支持チャンネル110を介して案内板116に結合している。上部案内板114と下部案内板116はボルト104によって連結するが、いずれか一方の案内板にある位置決めピンをもう一方の案内板にある位置決め孔100に嵌合させることにより、案内板114、116の孔72を整列させる。
【0036】
図9に示す延伸型制御棒案内アセンブリ90のフランジ96、98は、ボルト112によって定位置に固定される中間連結具86の凹部に据えられる。図10は、案内管下部78内に取り付けられた延伸型制御棒案内アセンブリ90の上部セグメント92の斜視図であり、当該上部セグメントのフランジ96は中間連結具86のところで下部フランジの上に載っている。全ての制御棒が延伸型制御棒案内アセンブリの全長にわたり連続的に支持されている訳ではない本実施態様の制御棒案内アセンブリの長さは約0.9〜23インチ(2.3〜58.4cm)の範囲とすることができる。このタイプの制御棒案内アセンブリは、軸方向の長さが約0.9〜7インチ(2.3〜17.8cm)の範囲であるのがより好ましい。
【0037】
いくつかの図にわたって、同じ構成要素に対して同様の参照符号が付されている。図11〜14に示す別の実施態様において、延伸型制御棒案内アセンブリ90の上部セグメント92および下部セグメント94はいずれもステンレス鋼などの中実な連続的な材料から成り、孔72、74、76は、延伸型制御棒案内アセンブリの実質的に全長にわたり、全ての制御棒を連続的に案内する。上述の場合のように、上部セグメント92および下部セグメント94は、それぞれのフランジ96、98を拘束する中間連結具86のところで結合する。あるいは、上部セグメント92および下部セグメント94を、フランジ96、98が中間連結具のところで拘束されるように、中間の高さのところで半径方向に延伸する一体的な部品として構成することができる。この後者の実施態様において、制御棒案内アセンブリの長さは約1.6〜23インチ(4.1〜58.4cm)の範囲とすることができる。制御棒案内アセンブリは、軸方向の長さが約1.6〜7インチ(4.1〜17.8cm)の範囲であるのがより好ましい。
【0038】
したがって、本発明の延伸型制御棒案内アセンブリを取り付けると、制御棒集合体の支持範囲が拡張されることにより、案内カード70の摩耗がある程度補償される一方で、制御棒の移動路に新たにかかる摩擦が最小限に抑えられ、案内管54の上部および下部のいずれも交換することなしに制御棒案内管の寿命を実質的に延ばすことができる。
【0039】
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。
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