(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501423
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】インダクタの製造方法及びインダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 41/04 20060101AFI20190408BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20190408BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
H01F41/04 C
H01F17/00 D
H01F17/04 F
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-159573(P2017-159573)
(22)【出願日】2017年8月22日
(65)【公開番号】特開2018-37652(P2018-37652A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0110571
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0009248
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジョン ユン
(72)【発明者】
【氏名】アン、セオク フヮン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン、ジン グル
(72)【発明者】
【氏名】ペン、セ ウン
【審査官】
秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−059821(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/133839(WO,A1)
【文献】
特開2014−036094(JP,A)
【文献】
特開2009−278060(JP,A)
【文献】
特開2015−084420(JP,A)
【文献】
特開2017−183529(JP,A)
【文献】
特開2011−199077(JP,A)
【文献】
特開2013−58539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 17/00
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタの本体を形成する段階を備えるインダクタの製造方法であって、
前記インダクタの本体を形成する段階は、
ベース基板上に高剛性絶縁材を塗布して第1高剛性絶縁層を形成する段階と、
前記高剛性絶縁層上にコイルパターンを形成する段階と、
前記高剛性絶縁層及びコイルパターンを覆うように、ビルドアップ絶縁材を塗布してビルドアップ絶縁層を形成する段階と、
前記ビルドアップ絶縁層の内部に形成されたコイルパターンの上面に接続するようにビアを形成し、前記ビルドアップ絶縁層上にコイルパターンを形成する段階と、
前記コイルパターン、ビルドアップ絶縁層、及びビアを形成する工程を繰り返し行って積層体を形成する段階と、
前記積層体の上部に高剛性絶縁材を塗布して第2高剛性絶縁層を形成する段階と、を含み、
前記インダクタの本体は、ガラスセラミック(Glass Ceramic)、Al2O3、およびフェライト(Ferrite)の少なくとも1つを含む
インダクタの製造方法。
【請求項2】
前記ビアを形成し、前記ビルドアップ絶縁層上にコイルパターンを形成する段階において、上部コイルパターンと下部コイルパターンが前記ビアを介して接続される、請求項1に記載のインダクタの製造方法。
【請求項3】
ベース基板上に高剛性絶縁材を塗布して第1高剛性絶縁層を形成する段階の前に、前記ベース基板上に、切断するための内層回路層(Dicing key)パターンを形成する段階をさらに含む、請求項1または2に記載のインダクタの製造方法。
【請求項4】
前記第1高剛性絶縁層上にコイルパターンを形成する段階の前に、前記第1高剛性絶縁層の表面に粗さを形成するためのデスミア(Desmear)処理を行う段階をさらに含む、請求項1から3の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項5】
前記第1高剛性絶縁層及びコイルパターンを覆うように、ビルドアップ絶縁材を塗布してビルドアップ絶縁層を形成する段階の後に、前記ビルドアップ絶縁層の表面に粗さを形成するためのデスミア処理を行う段階をさらに含む、請求項1から4の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項6】
前記積層体の上部に高剛性絶縁材を塗布して第2高剛性絶縁層を形成する段階の後に、前記積層体を前記ベース基板から分離する段階をさらに含む、請求項1から5の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項7】
前記第1高剛性絶縁層上にコイルパターンを形成する段階の前に、前記第1高剛性絶縁層上にビルドアップ絶縁材を塗布してプライマー層を形成する段階をさらに含む、請求項1から6の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2高剛性絶縁層は、ヤング率(Young's Modulus)が7GPa以上である、請求項1から7の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項9】
前記ビルドアップ絶縁層は、ヤング率が前記高剛性絶縁層のヤング率の80%以下である、請求項1から8の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項10】
前記ビルドアップ絶縁層は、熱硬化性樹脂または感光性材料で形成される、請求項1から9の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項11】
前記第1及び第2高剛性絶縁層は、熱硬化性樹脂または感光性材料で形成される、請求項1から10の何れか1項に記載のインダクタの製造方法。
【請求項12】
複数のコイル層、及び前記複数のコイル層の上部及び下部に配置された高剛性絶縁層を含む本体と、前記本体の外側に配置され、前記コイル層と接続された外部電極と、を含み、
前記高剛性絶縁層の間には、前記コイル層を覆うように、ビルドアップ絶縁層が配置され、
前記ビルドアップ絶縁層は、ヤング率が前記高剛性絶縁層のヤング率の80%以下であり、
前記本体は、ガラスセラミック(Glass Ceramic)、Al2O3、およびフェライト(Ferrite)の少なくとも1つを含む、
インダクタ。
【請求項13】
前記高剛性絶縁層は、ヤング率が7GPa以上である、請求項12に記載のインダクタ。
【請求項14】
インダクタであって、
互いに交互に積層された複数のコイル層及び複数のビルドアップ絶縁層を含み、且つ前記複数のコイル層が複数のビルドアップ絶縁層内に配置されるビアを介して互いに接続され、
前記複数のコイル層、及び複数のビルドアップ絶縁層が積層された積層体の向かい合う側面上に配置される第1及び第2高剛性絶縁層を含み、
前記第1及び第2高剛性絶縁層は、複数のビルドアップ絶縁層よりも剛性がさらに大きく、
複数のビルドアップ絶縁層のうち一つと前記第1及び第2高剛性絶縁層のうち一つとの界面には複数の凹凸が形成され、
前記インダクタの本体は、前記複数のコイル層及び前記第1及び第2高剛性絶縁層を含み、前記本体は、ガラスセラミック(Glass Ceramic)、Al2O3、およびフェライト(Ferrite)の少なくとも1つを含む、
インダクタ。
【請求項15】
前記第1及び第2高剛性絶縁層は、ヤング率が7GPa以上である、請求項14に記載のインダクタ。
【請求項16】
前記ビルドアップ絶縁層は、ヤング率が前記第1及び第2高剛性絶縁層のヤング率の80%以下である、請求項14または15に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装型(SMD Type)インダクタ、その中でも特に100MHz以上の高周波帯域で用いられるインダクタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子製品の小型化、薄板化、高密度化、パッケージ(Package)化、及び個人携帯化による軽薄短小化に伴い、設計が複雑となり微細化している。これにより、素子の特性も複雑となるため、製作に高度技術が求められている。
【0003】
かかる素子に新しい工法を適用して、新しい構造を有するようにする。また、性能及び機能を向上させる一方でコストは逆に減少しなければならない。そして、製作時間の短縮も重要イシューとなっている。
【0004】
特に、素子が次第に小型化するにつれて、機械的特性(Young's Modulus)をさらに向上させることが求められている。
【0005】
チップインダクタとは、回路基板に実装されるSMD(Surface Mount Device)型のインダクタ部品のことである。
【0006】
その中で、高周波用インダクタは、100MHz以上の高周波で用いられる製品を指す。
【0007】
高周波インダクタの製作工法は薄膜型、巻線型、及び積層型に分けられる。薄膜型の場合は、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ工程を適用することでコイルを形成するため小型化に有利である。
【0008】
しかし、巻線型の場合は、コイルワイヤを巻いて製作するため、小さいサイズの素子製作には限界を有するという短所がある。
【0009】
また、積層型の場合は、シートにペーストを印刷して、印刷と積層を繰り返す工程を用いるため、小型化には有利であるが特性が相対的に低いという問題がある。
【0010】
最近、薄膜型インダクタを製作するにあたり、基板工法及び基板用材料を適用して、SAP(Semi Additive Process)工法でコイルを形成し、ビルドアップフィルム(Build−up Film)を用いて絶縁層を順次積層することによりインダクタを製造する方法が知られている。
【0011】
しかし、基板工法を適用する場合、セラミック誘電体で製作されたチップに比べて相対的に剛性が足りないため、これを改善するための新しい方法が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−217550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、インダクタ、特に高周波用インダクタに関するものである。
【0014】
上述のとおり、従来の基板工法を適用してインダクタを製造すると、セラミック誘電体で製作されたチップに比べて剛性が足りなくなる。
【0015】
本発明は、基板工法を適用して薄膜型インダクタを製作するにあたり、剛性の不足を補完して機械的特性に優れたチップインダクタ、特に高周波用チップインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明で提案するいくつかの解決手段の一つは、複数のコイルパターンがビアを介して接続されて形成されたコイルを内部に配置し、且つコイルの上部及び下部の少なくとも一方に高剛性を有する高剛性絶縁層を挿入した本体を含むインダクタを提供することである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によるインダクタは、本体内に挿入し、且つコイルの上部及び下部の少なくとも一方に高剛性を有するカバー層を含ませることにより、高い機械的特性を有するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1b】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1c】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1d】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1e】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1f】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1g】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1h】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1i】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1j】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1k】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図1l】本発明の一実施形態によるインダクタの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示すものである。
【
図2】本発明の一実施形態によるインダクタを切断した面を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるインダクタを切断した面を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0020】
以下、本発明の一実施形態によるインダクタを製作する実施形態について説明する。しかし、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1a〜
図1lは、本発明の一実施形態によるインダクタの製造工程図である。
【0022】
インダクタの製造方法
本発明の一実施形態によると、複数のコイルパターンがビアを介して接続されて形成されたコイルを内部に配置し、且つコイルの上部及び下部の少なくとも一方に高剛性を有するカバー層を挿入した本体を含むインダクタの製造方法を提供する。
【0024】
1.取り外し可能なベース基板を設ける段階
図1aを参照すると、取り外し可能なベース基板10を設ける。上記ベース基板10は、中心部10aを熱硬化性樹脂で形成し、シード銅層(Seed Cu layer)10bを外側に露出するように構成する。
【0025】
また、18μm以上のキャリア銅箔を含む形態のCCL(Copper Clad Laminate)を用いる。
【0026】
積層体を製作するにあたり、工程完了後に18μm以上の厚さを有する銅箔と厚さ2〜5μmの銅箔を分離して、互いに離れている2つのシード銅層10bを有する積層体を設ける。
【0027】
2.切断のための内層回路層(Dicing key)パターンを製作する段階
図1bを参照すると、切断のための内層回路層パターン11を製作する。
【0028】
MSAP(Modified Semi Additive Process)工法を用いて、積層体を切断する際の切断位置を表示する内層回路層パターン11を形成する。
【0029】
シード銅層10b上にDFR(Dry Film Resist)をラミネートしてから露光及び現像し、電気めっきを行ってダイシングキーパターンを形成した後、DFRを剥離することで所望の厚さ及び高さを有する内層回路層パターン11を実現する。
【0030】
3.ラミネート工法で高剛性絶縁層を塗布し硬化する段階
図1cを参照すると、内層回路層パターン11が形成されたベース基板10の表面をCz処理により前処理して銅(Cu)からなる内層回路層パターン11の表面に厚さ0.1〜2.0μmの粗さを形成した後、その上に高剛性絶縁材料としての熱硬化性材料または感光性材料を厚さ10〜80μmとなるように、真空ラミネーターで塗布して高剛性絶縁層20を形成する。
【0031】
次に、コンベクションオーブン(convection oven)で熱硬化を行う。または、感光性絶縁材の場合はUV照射またはオーブンを用いた熱硬化工程など2種類以上の複合工程を行ってもよい。
【0032】
上記高剛性絶縁材料は、目的に応じて、金属またはセラミックフィラーを含有した材料を用いることができる。
【0033】
また、熱硬化性絶縁材と感光性絶縁材を2種以上混合して用いることもできる。
【0034】
一方、本発明の他の実施形態によると、上記高剛性絶縁材料の場合、化学銅めっきとの密着力が悪いため、高剛性絶縁層20上に一般のビルドアップ(Build−up)絶縁材を再び厚さ3〜10μmを有するように塗布してプライマー(Primer)層を形成した後、上記3.の工程であるラミネート工法で高剛性絶縁層を塗布し硬化する段階を繰り返すことで回路を形成することができる。
【0035】
4.デスミア(Desmear)処理により、絶縁層の粗さを形成し化学銅めっきを行う段階
図1dを参照すると、高剛性絶縁層20またはプライマー層が形成された積層体をデスミア処理して、上記高剛性絶縁層20またはプライマー層の表面に厚さ0.1〜3.0μmの粗さを形成する。
【0036】
5.SAP工法を用いてコイルパターンを形成する段階
図1eを参照すると、SAP工法を用いてパターンを形成する。まず、化学銅で約1μmの厚さとなるように上記積層体の全体面をめっき形成した後、ドライフィルムをラミネートして露光及び現像工程を用いてコイルパターン30を形成する。
【0037】
次に、電気めっきを行ってパターン内にコイル回路を形成し、ドライフィルムを剥離した後、パターンの間に残っている化学銅めっき層をフラッシュエッチング(Flash Etching)処理して除去すると、高剛性絶縁層20またはプライマー層上にコイルを形成することができるようになる。
【0038】
6.上記コイルパターン上にビルドアップ絶縁層を形成する段階
図1fを参照すると、上記コイルパターン30を形成した後、再びCzを用いて前処理し、銅(Cu)からなるコイルパターンの表面に粗さを形成し、その上にビルドアップ絶縁層40を真空ラミネーターを用いて塗布する。
【0039】
次に、熱硬化性材料の場合は熱硬化工程を行い、感光性絶縁材の場合は露光を介して現像されるビア(Via)パターンVを形成する。
【0040】
7.レーザーまたはフォトリソグラフィー工程によりビアホールを形成する段階
図1gを参照すると、ビルドアップ絶縁層40が熱硬化材料で形成される場合は、CO
2レーザーを用いてビアホールVを形成し、感光性材料で形成される場合は、現像によりビアホールVを現像した後、UV硬化及び追加熱硬化などを行って材料を完全に硬化させる。
【0041】
8.ビルドアップ絶縁層をデスミア処理する段階
図1hを参照すると、ビアホールを形成する工程を行った後、ビアホールV内の残渣を除去し、化学銅との密着力を確保するために、ビルドアップ絶縁層40の表面に粗さを形成し、上記ビルドアップ絶縁層40の表面粗さを形成するためにデスミア工程を行う。
【0042】
9.SAP工法を用いてビア及びコイルパターンを形成する段階
図1iを参照すると、上記5.の工程と同一に、SAP工法を用いてコイルパターン30を形成し、ビアVを形成する。
【0043】
10.所望の層数となるまで、上記6.の工程から上記9.の工程を繰り返す段階
図1jを参照すると、上記6.の工程から上記9.の工程により、コイルパターン30及びビアVを形成し、所望の層数を得るために、上記6.の工程から上記9.の工程を繰り返し行う。
【0044】
11.上記10.の工程により製作された積層体の最外層に高剛性絶縁材をラミネートする段階
図1kを参照すると、上記の10.の工程により製作された積層体の最外層に高剛性絶縁材をラミネートして硬化し、高剛性絶縁層20を形成した後、順次積層することで工程を完了する。
【0045】
12.ベース基板から順次積層された基板を分離する段階
図1lを参照すると、上記ベース基板10の上下両面に形成された積層体100を分離し、シード銅層10bをエッチングして除去する。
【0046】
インダクタ
本発明の他の実施形態によるインダクタは、コイル層を含む本体100と、上記本体100の外側に配置された外部電極(図示せず)と、を含む。
【0047】
インダクタの本体100は、ガラスセラミック(Glass Ceramic)、Al
2O
3、フェライト(Ferrite)などのセラミック材料で形成される。但し、これに限定されるものではなく、有機成分を含むこともできる。
【0048】
上記コイルパターン30及び導電性ビアVは、銀(Ag)からなることができる。
【0049】
一方、上記コイル層30は、インダクタの実装面に平行した形で配置されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態によるインダクタを切断した面を概略的に示す断面図である。
【0051】
図2を参照すると、上記本体は、コイル層30及び高剛性絶縁層20が配置される構造であって、全体の層数は2層〜12層であり、本体内部のコイル層30は、コイル部と電極部に分けられる。
【0052】
高剛性絶縁層20は、60〜90%の含有量を有するフィラーをさらに含み、ヤング率(Young's Modulus)が12GPa以上の熱硬化性または感光性絶縁膜を用いて製作する。厚さは約10〜50μmとすることができる。
【0053】
コイル層30は、熱硬化性または感光性絶縁材で覆われており、コイル部及び電極部の回路が銅(Cu)で形成された構造を有する。
【0054】
設計に応じて、各層のコイル部及び電極部は、両方存在してもよく、選択的に1つだけ存在してもよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、ビルドアップ絶縁層40のヤング率は、上記高剛性絶縁層20のヤング率の80%以下であり、例えば、5GPa程度であってもよい。また、フィラーの含有量は約42%以下程度である。
【0056】
一方、コイル層30の上部及び下部に配置される高剛性絶縁層20は、ヤング率が12GPa程度であり、約7GPa以上であってもよい。また、フィラーの含有量は、60〜90%程度である。
【0057】
一般の有機材料で積層した基板には剛性が足りなくなるという問題がある。しかし、高剛性材料だけで積層すると、剛性はよくなるが、銅(Cu)と絶縁材料の密着力が低下して熱衝撃が弱くなり、その結果、信頼性に問題が生じる可能性がある。
【0058】
本発明の一実施形態によると、高剛性材料を有する高剛性絶縁層20を、製品の最外層にのみ導入して、目的の強度を確保するとともに製品の信頼性を確保することができるという効果を奏する。
【0059】
図3は、本発明の他の実施形態によるインダクタを切断した面を概略的に示す断面図である。
【0060】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態によるインダクタは、下部の高剛性絶縁層の表面にコイルパターンを直接形成せずに、めっき密着力に優れたビルドアップ絶縁材を、3〜20μmの厚さとなるように下部の高剛性絶縁層20の表面に形成したプライマー層40'を有するようにして、上記プライマー層40'の上部にコイルパターン30を形成した構造を有する。
【0061】
下部の高剛性絶縁層20とコイルパターン30の間にめっき密着力に優れたビルドアップ絶縁材としてのプライマー層40'を挿入することにより、コイル層30と高剛性絶縁層20の間の接着力を優れるようにすることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0063】
100 積層体(本体)
10 ベース基板
11 内層回路層パターン
20 高剛性絶縁層
30 コイルパターン(コイル層)
40 ビルドアップ絶縁層
40' プライマー層