特許第6501468号(P6501468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6501468-粘着シート 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501468
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/50 20180101AFI20190408BHJP
【FI】
   C09J7/50
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-176948(P2014-176948)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2015-83660(P2015-83660A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2017年7月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-192678(P2013-192678)
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 喬久
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−545874(JP,A)
【文献】 特開平10−268105(JP,A)
【文献】 特表2008−545876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と粘着剤層とを備え、
前記基材は、プラスチック基材と、プライマー層と、着色層とをこの順に積層した積層基材であり、
前記着色層の総厚さは1〜7μmであり、
前記プライマー層の厚み精度は0.5μm〜10μmの範囲内であり、
前記プライマー層が着色剤を含むことを特徴とする、粘着シート。
【請求項2】
前記プライマー層における着色剤の含有量が0.01〜60重量%である、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記着色層が黒色である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記着色剤が黒色である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤から形成された粘着剤層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やタッチパネル等の液晶表示装置においては、表示画面に関する液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットとの間に、遮光性層を有する粘着シートが用いられている。上記遮光性層はバックライト光が液晶表示モジュール側に漏れることを防ぎ、視認性を向上する効果を発揮する。
【0003】
このような遮光性層を備えた粘着シートとして、プラスチック基材上に黒色の印刷層を設けた積層基材に粘着剤層を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参考)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−197124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような粘着シートに用いられる積層基材では、通常、印刷層とプラスチック基材との接着性を向上させるため、印刷層とプラスチック基材との間にプライマー層を設ける。しかし、プライマー層は、その表面が平滑ではないため、その上に積層される印刷層の厚さにバラツキが生じ得る。このため、使用形態によっては、印刷層が薄い部分から光が漏れる場合がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、プライマー層を設けた場合であっても、粘着特性を悪化させることなく、遮光性により優れた粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粘着シートは、上記課題を解決するために、基材と粘着剤層とを備え、上記基材は、プラスチック基材と、プライマー層と、着色層とをこの順に積層した積層基材であり、上記プライマー層が着色剤を含むことを特徴としている。
【0008】
ここに開示される粘着シートにおいては、上記プライマー層における着色剤の含有量が0.01〜60重量%であることが好ましい。
【0009】
また、ここに開示される粘着シートにおいては、上記着色層が黒色であることが好ましい。
【0010】
さらには、ここに開示される粘着シートにおいては、上記着色剤が黒色であることが好ましい。
【0011】
また、ここに開示される粘着シートにおいては、上記粘着剤層が、アクリル系粘着剤から形成された粘着剤層であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、プライマー層を設けた場合であっても、粘着特性を悪化させることなく、遮光性により優れた粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る粘着シートの概略構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0015】
本発明に係る粘着シートは、基材と粘着剤層とを備える。
【0016】
なお、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りのない限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」等における「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。さらには、本明細書において「粘着シート」には、テープ状の構成、すなわち「粘着テープ」も含まれる。
【0017】
また、本明細書における「主成分」とは、その組成において重量基準で最も含有割合が高い成分を意味し、通常は50重量%以上であることを意味する。
【0018】
(I)基材
上記基材は、プラスチック基材(プラスチック基材層)と、プライマー層と、着色層とをこの順に積層した積層基材である。基材の総厚さは、例えば、0.1〜100μmとすることができ、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
【0019】
(プラスチック基材)
上記プラスチック基材は、特には限定されない。プラスチック基材の材質または素材としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン等)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。なかでも、コスト、強度等の観点から、ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらの材質は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、また、単層、多層のいずれの形態を有していてもよい。
【0020】
上記基材中には、必要に応じて、例えば、充填剤、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の公知の添加剤等が含まれていてもよい。
【0021】
プラスチック基材の厚さ(プラスチック基材層が複数ある場合には総厚さ)は、例えば、1〜50μmであり、好ましくは1μm〜30μmであり、より好ましくは2〜20μmである。
【0022】
基材の形成方法は、特に制限されず、例えば、プラスチック基材を構成する樹脂組成物を用いて、押出成型、インフレーション成型、カレンダ成型等の成型方法を利用してシート状に成型させる方法等が挙げられる。強度の観点から、延伸配向させることが好ましい。
【0023】
(プライマー層)
上記プライマー層は、着色剤を含む。プライマー層としては、従来公知の構成が挙げられ、特には限定されず、例えば、ウレタン(ポリイソシアネート)系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、イソシアヌレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。なかでも、プラスチック基材(例えばPET基材)と印刷層との接着性を向上させる観点から、両者と相性の良い、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。これらプライマー層の形成材料としては、ガラス転移点20℃以上、さらには20〜120℃のものが好ましく用いられる。
【0024】
また、上記プライマー層に用いられる樹脂は、架橋硬化、重合、縮合等の反応性を有し、反応させることで上記物性を発現するようなものでもよい。架橋硬化等には架橋剤を適宜に添加することができる。さらには、プライマー層中に、帯電防止剤等の機能性添加剤を添加して、他の機能を付与することもできる。
【0025】
上記プライマー層の形成材料の好適例としては、アクリル系樹脂が挙げられる。当該アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルを主成分とし、これにメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや共重合性モノマーを共重合した共重合体が用いられる。
【0026】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキルエステル等が挙げられる。
【0027】
上記共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸や無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチル=アクリレート、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート、t −ブチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルエステル等のエポキシ基含有モノマー;その他(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等;が挙げられる。上記メタクリル酸メチルと共重合する上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルや共重合性モノマーの使用量は、全モノマー成分の50重量%以下が好ましい。
【0028】
さらに、プライマー層の形成材料として用いるアクリル系樹脂は、上記共重合性モノマーとしてカルボキシル基含有モノマー、酸無水物モノマーを用いた場合には、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物により変性したものや、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン等の一級または二級アミンによりアミド化したものを用いることもできる。さらには、エチレンイミン等をグラフト化させポリエチレンイミンのグラフト化物とすることもできる。
【0029】
プライマー層は、上記プラスチック基材上に、上記例示したプライマー層の形成材料からなるフィルムを圧着する方法、形成材料の溶融物を塗布して冷却する方法、または形成材料の溶液を塗布し乾燥する方法、によって、形成することができる。塗布方法は、適宜に選択できるが厚み精度を0.5μm〜10μmに調整するためグラビアコーティング、リバースロールコーティング、スプレイコーティング等が好ましく用いられる。
【0030】
着色剤としては、従来公知の顔料または染料を用いることができる。顔料としては、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、リン酸カルシウム等の無機顔料や、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、カーボンブラック系等の有機顔料が挙げられる。
【0031】
染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン、キノンフタロン、スチリル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンタン、メタン、アゾメチン、アクリジン、ジアジンが挙げられる。
【0032】
プライマー層における着色剤の含有量は、特には限定されず、例えば、0.01〜60重量%とすることができ、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%である。
【0033】
(着色層)
上記着色層としては、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色等の各色を示す層が挙げられるが、遮光性の観点から黒色が好ましい。
【0034】
上記着色層は、インク組成物により形成し得る。上記インク組成物は、黒色等の各色を呈する色材(着色剤)を必須の成分とし、必要に応じてバインダー、分散剤や溶剤等を含んで構成される。上記インク組成物を支持体上に塗工、必要に応じて、乾燥、硬化させることにより着色層を形成することができる。
【0035】
上記色材としては、顔料、染料等のいずれの色材(着色剤)であってもよいが、顔料を好適に用いることができる。具体的には、例えば、黒系色材としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等が挙げられる。なかでも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。黒系色材は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
上記黒色を呈する色材としては、黒系色材の他、黒系色材、シアン系色材(青緑系色材)、マゼンダ系色材(赤紫系色材)およびイエロー系色材(黄系色材)から選ばれた複数の色材が混合された色材混合物を用いることもできる。
【0037】
黒以外の他の色の着色層についても同様に形成することができる。
【0038】
上記着色層の形成方法としては、公知慣用のコーティング方法や、各種印刷法(グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法等)を利用した方法等が挙げられる。
【0039】
上記インク組成物における色材の総含有量は、インク組成物の固形分(色材およびバインダー等の不揮発成分)に対して、20〜60重量%が好ましく、より好ましくは30〜50重量%である。色材の含有量が20重量%未満では、厚さに対する遮光性が低く着色層(例えば遮光性印刷層)を薄膜化することが困難となる場合がある。また、含有量が60重量%を超えると、色材の定着性が低下する場合がある。
【0040】
着色層は、単層、多層のいずれの形態を有していてもよいが、多層の形態を有していることが好ましい。したがって、ここに開示される粘着シート(例えば両面粘着テープ)は、着色層として多層構造の遮光性印刷層を有していることが好ましい。このように、遮光性印刷層を多層構造とすることにより、より一層遮光性を高めることができ、加えてピンホール低減の効果も得られる。なお、着色層(例えば遮光性印刷層)の層数は、1層あたりの層厚さや遮光性の度合いによって異なり得るため特に限定されず、例えば1〜5程度であり、好ましくは2〜5、さらに好ましくは3〜5(特に3または5)である。
【0041】
上記着色層の総厚さ(多層構造の場合は着色層全体の厚さ)は、特に限定されず、遮光性と薄膜化の両立の観点から、1〜7μmが好ましく、より好ましくは1〜6μm、さらに好ましくは1〜5μmである。
【0042】
(II)粘着剤層
上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤等の公知の粘着剤が挙げられる。粘着剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、粘着剤は、いずれの形態を有していてもよい。粘着剤は、例えば、エマルション型粘着剤、溶剤型粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)等であり得る。
【0043】
粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとしてアクリル系重合体を含む(典型的には主成分として含む)。アクリル系重合体としては、特に制限されないが、主構成単量体成分(モノマー主成分)として、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル)が用いられていることが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
アクリル系重合体を構成するモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー主成分としていれば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合が可能な他のモノマー成分(「共重合性モノマー成分」と称する場合がある)が用いられていてもよい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル系重合体を構成するモノマー成分全量に対して50重量%以上の割合で用いることが好ましい。
【0045】
共重合性モノマー成分は、アクリル系重合体に架橋点を導入させるためや、アクリル系重合体の凝集力を高めるために用いることができる。共重合性モノマー成分は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
具体的には、共重合性モノマー成分としては、アクリル系重合体に架橋点を導入させるために、官能基含有モノマー成分(特に、アクリル系重合体に熱架橋する架橋点を導入させるための熱架橋性官能基含有モノマー成分)を用いることができる。このような官能基含有モノマー成分としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合が可能であり、かつ架橋点となる官能基を有しているモノマー成分であれば特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーおよびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イコタン酸等);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの他、ビニルアルコール、アリルアルコール等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー;等が挙げられる。官能基含有モノマー成分としては、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーまたはその酸無水物を好適に用いることができる。
【0047】
また、共重合性モノマー成分としては、アクリル系重合体の凝集力を高めるために、他の共重合性モノマー成分を用いることができる。他の共重合性モノマー成分としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート等]や、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニル等]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー;等が挙げられる。
【0048】
ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー等のゴム成分をベースポリマーとするゴム系粘着剤等が挙げられる。
【0049】
なお、粘着剤中には、必要に応じて、例えば、架橋剤、交叉結合剤、粘着付与樹脂、充填剤、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等の公知の添加剤等が含まれていてもよい。
【0050】
粘着剤層は、単層、多層のいずれの形態を有していてもよい。
【0051】
粘着剤層(両面粘着シートの場合、片面側)の厚さとしては、特に限定されず、粘着シート(例えば両面粘着テープ)の薄膜化の観点等から、例えば1〜200μmが好ましく、より好ましくは3〜100μmである。
【0052】
粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、例えば、所定の面上に粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥、硬化させる方法や、セパレータ(剥離ライナー)上に粘着剤を塗布し、必要に応じて乾燥、硬化させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を所定の面上に貼り合わせて転写させる方法等が挙げられる。なお、粘着剤の塗布に際しては、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等)を用いることができる。
【0053】
好ましい一実施形態では、上記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50〜99重量%と、カルボキシル基含有モノマー1〜10重量%とをモノマー成分として含むアクリル系重合体を80〜100重量%含有するアクリル系粘着剤(A)から形成される。より好ましい実施形態では、当該アクリル系粘着剤(A)は、アクリル系重合体100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤等の架橋剤を0.01〜5重量部含む。
【0054】
(III)粘着シート
図1は、本実施の形態に係る粘着シートの一例の概略構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る粘着シート10は、基材5と粘着剤層3とを備え、基材5は、プラスチック基材4と、プライマー層2と、着色層1とこの順に積層した積層基材である。
【0055】
なお、図1に示す実施形態では、基材5の両面に粘着剤層3を備えた構成であるが、基材5の片面のみに粘着剤層3を備えた構成であってもよい。また、基材5と粘着剤層3との間に下塗り層等の他の層を備えていてもよい。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
【0057】
〔実施例1〕
(アクリル系粘着剤)
温度計、攪拌機、窒素導入管および環流冷却管を備えた反応器に、アクリル酸n−ブチル70重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル27重量部、アクリル酸3重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および重合溶媒として酢酸エチル235重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このように、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液100重量部(固形分換算)に4官能エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製「テトラッドC」)0.05重量部を加え、透明なアクリル系粘着剤を調製した。
【0058】
(両面粘着テープ)
透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「ルミラー」)(厚さ:4.5μm)の一方の面に、着色プライマー組成物(黒色インク(大日精化工業社製「NB−300墨」)とウレタン系樹脂とを30:70の混合比で混合したもの)をグラビア印刷法により塗布してプライマー層を形成した。
【0059】
上記プライマー層の上に、黒色インク(大日精化工業社製「NB−300墨」)を、グラビア印刷法により5回重ね塗りして、総厚さ5μmの黒色印刷層(5層)を着色層として形成し、透明PET基材/プライマー層/黒色印刷層(5層)の積層構成の積層体(厚さ:10μm)を得た。
【0060】
この積層体の両面に上記アクリル系粘着剤を粘着剤層の厚さが10μmとなるように塗布し、厚さ30μmの両面粘着テープを得た。
【0061】
〔比較例1〕
プライマーに顔料を添加していないこと以外は実施例1と同様の操作を行い、両面粘着テープを得た。
【0062】
(光漏れ評価)
実施例1、比較例1で得た両面粘着テープについて、下記のように評価を行った。
評価方法:暗室でLEDランプ(20W)を高さ20cmの筒(直径75mm)の下部にセットし、筒上部に得られた両面粘着テープを置く。LEDランプを照射した際に両面粘着テープから光漏れが発生しないかどうかを目視で確認する。
【0063】
その結果、比較例1で得られたテープでは、直径約0.5mm以上の光漏れが肉眼で確認されたが、実施例1で得られたテープでは、肉眼で判断できる光漏れはなかった。
【0064】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 着色層
2 プライマー層
3 粘着剤層
4 プラスチック基材
5 基材
10 粘着シート
図1