(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液ハネについて言及すると、飲料の充填中に液ハネが生じるのに加えて、飲料の充填が完了した後に液ハネが生じることもある。この充填完了後の液ハネは、飲料の充填が途切れることにより、充填されてきた飲料の表面で跳ね返りが生じることが要因である。この液ハネが容器の口部から飛び出して口部の周囲に付着したり、飲料を充填するノズルに付着したりするのは、衛生上好ましくない。よって、充填完了の際にも液ハネが生じないように、充填の終盤において、充填速度を落とす必要がある。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、充填速度を遅くすることなく、充填完了の際に生じる液ハネが、容器及び飲料の充填ノズルに付着するのを防止できる飲料の充填方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもとなされた、本発明の飲料充填方法は、充填ノズルから容器の口部を介して容器に所定量の飲料を供給する飲料充填ステップと、所定量の飲料を供給し終えた後に、容器の口部と充填ノズルの間に、一方から他方に向かう空気流からなるエアカーテンを、所定時間だけ形成する液ハネ遮蔽ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明の飲料充填方法によると、エアカーテンを形成して液ハネが容器の外部に漏れ出るのを防ぐか、または、エアカーテンにより液ハネを運び去ることができる。したがって、充填完了後の液ハネにより容器及び充填ノズルが汚染するのを避けることができる。
【0006】
本発明の飲料充填方法において、エアカーテンは、周囲が閉じられた領域で形成されることが好ましい。周囲が閉じられた領域にエアカーテンを形成できるので、空気流が離散するのを防止して、液液ハネが容器外に飛び出るのを防ぐのに必要な領域に確実にエアカーテンを形成することができる。
【0007】
特に、エアカーテンを形成する空気流は、容器を通過するまでは、水平方向が案内され、容器を通過した後は、鉛直方向の下向きに案内されることが好ましい。これにより、空気流が常に整流又は整流に近い状態に制御されるので、液ハネが容器の外に飛び出すのを確実に阻止することができる。
【0008】
本発明に係る飲料充填装置は、容器の口部を介して容器に所定量の飲料を供給する充填ノズルと、所定量の飲料を供給し終えた後に、容器の口部と充填ノズルの間に、一方から他方に向かう空気流からなるエアカーテンを、所定時間だけ形成するエアカーテン形成器と、を備えることを特徴とする。
本発明の飲料充填装置によると、エアカーテンを形成して液ハネが容器の外部に漏れ出るのを防ぐか、または、エアカーテンにより液ハネを運び去ることができる。したがって、充填完了後の液ハネにより容器及び充填ノズルや周辺装置が汚染されるのを避けることができる。
【0009】
本発明の飲料充填装置において、エアカーテン形成器は、圧縮空気の供給源と、供給源からの圧縮空気の供給を受けて、空気流を吐出するノズルが、内周面に開口する円筒状の形成器本体と、を備えることが好ましい。
このエアカーテン形成器によると、周囲が閉じられた領域にエアカーテンを形成できるので、空気流が離散するのを防止して、液液ハネが容器外に飛び出るのを防ぐのに必要な領域に確実にエアカーテンを形成することができる。
【0010】
本発明の飲料充填装置において、形成器本体は、複数のノズルが、一方の側に周方向に間隔をあけて配列され、一方の側に対向する他方の側に、空気流を鉛直方向の下向きに案内するガイドが設けられることが好ましい。
これにより、空気流が常に整流又は整流に近い状態に制御されるので、液ハネが容器の外に飛び出すのを確実に阻止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エアカーテンを形成して液ハネが容器の外部に漏れ出るのを防ぐか、または、エアカーテンにより液ハネを運び去ることができるので、充填完了後の液ハネにより容器及び充填ノズルが汚染するのを避けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における飲料充填システムは、供給コンベア01、転送ホイール02、飲料充填装置03、転送ホイール04、キャッパ05、排出ホイール06、排出コンベア07を構成要素として備えてなる。
この飲料充填システムでは、容器PB(例えばペットボトル)を把持しつつ搬送することができるように、転送ホイール02、飲料充填装置03、転送ホイール04、キャッパ05、排出ホイール06のそれぞれは、外周部分に円周方向に沿い等間隔でホルダを備えている。これにより、転送ホイール02〜排出ホイール06は回転しつつ、容器PBを把持して搬送し受け渡しするようになっている。
【0014】
供給コンベア01により搬送されてきた容器PBは、位置Aにて転送ホイール02のホルダにより把持されて、位置Aから位置Bにまで搬送される。位置Bでは、容器PBは転送ホイール02から飲料充填装置03に受け渡され飲料充填装置03のホルダで把持されて位置Bから位置Cにまで搬送される。位置Bから位置Cにまで搬送される際に、飲料充填装置03が備える充填ノズルを介して容器PBには飲料が充填される。
【0015】
更に、容器PBは位置Cにて飲料充填装置03から転送ホイール04に、位置Dにて転送ホイール04からキャッパ05に、位置Eにてキャッパ05から排出ホイール06に、位置Fにて排出ホイール06から排出コンベア07に受け渡されて搬送される。キャッパ05では、容器PBに蓋をするキャッピングが行われる。
【0016】
以下、本実施形態の飲料充填システムの特徴部分である飲料充填装置03について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2に示す飲料充填装置03は、旋回テーブルTが旋回軸心C1を中心として水平面内で回転する。この旋回テーブルTの外周縁には、周方向に沿って等間隔に、複数の充填ノズル1と複数のホルダ20とが対になって配置されている。
充填ノズル1の上方位置には、貯液タンク30が配置されている。この貯液タンク30は、充填ノズル1及び旋回テーブルTと一体となって同期回転する。貯液タンク30と各充填ノズル1は、飲料供給管40により接続されている。充填ノズル1は、容器PBに対する飲料Lの充填方向、つまり鉛直方向の相対的な位置関係が維持されながら、その下端から流下する飲料Lを容器PB内に注ぐ。貯液タンク30の配置は任意であり、本発明は、旋回テーブルTと分離された位置に置くことを許容する。
【0017】
ホルダ20は旋回テーブルTに固定されており、容器PBを充填ノズル1の下方の所定位置に保持する。ホルダ20には、ロードセル21が組み付けられており、充填される飲料Lの重量を計測することができる。飲料Lの重量の測定は、容器PBの重量をキャリブレーションによりゼロリセットして行なうことができる。ロードセル21で得られた計測データ(飲料重量データW)は、制御部50に向けて出力される。なお、ロードセル21を用いて飲料Lの充填量を計測するのは一例であり、本発明は、他の方法、例えば通過する飲料Lの体積を計測する流量計41により充填量を計測することを許容する。
【0018】
貯液タンク30の内部には、容器PBに充填すべき飲料等の飲料Lが貯留されている。また貯液タンク30の内部のうち、貯留している飲料Lの上側の空間には、炭酸飲料であれば炭酸ガス、非炭酸飲料であれば窒素ガスなどの気体を貯え、飲料Lの劣化を防止することができる。
飲料供給管40は、その上端が貯液タンク30に連通しており、その下流端が充填ノズル1に連通して、貯液タンク30と充填ノズル1とを接続している。
【0019】
飲料充填装置03は、
図2に示すように、エアカーテン形成器10を備えている。
エアカーテン形成器10は、充填ノズル1の先端と飲料Lが充填される容器PBの口部に亘って設けられており、飲料Lの充填が完了すると、充填ノズル1の先端と容器PBの口部の間に、空気流を生じさせることで、エアカーテンを形成させる。エアカーテン形成器10は、飲料Lの充填の完了に伴って液ハネが生じても、エアカーテンにより液ハネが容器PBの外に漏れだすのを防止する。
エアカーテン形成器10は、供給管18を介してエア供給源19と接続されている。エア供給源19は、後述するように制御部50からの指示に基づいて、エアカーテン形成器10に向けて圧縮エアを供給する。
【0020】
エアカーテン形成器10は、
図3に示すように、円筒状の形成器本体11を有している。
形成器本体11は、中心軸C2を境にして一方の側に複数(ここでは三つ)のエアノズル12が設けられている。エアノズル12は、形成器本体11の内周面11Aから所定の長さだけ外周面11Bに向けて穿孔して形成されものであり、その吐出口が内周面11Aに開口している。
形成器本体11は、エアノズル12が設けられている側に、エア通路13が設けられている。エア通路13は、中心軸C2方向に沿って真っ直ぐに延びる鉛直通路13Aと、周方向に円弧状に形成される水平通路13Bとを備える。鉛直通路13Aは、一端(図中の上端)が形成器本体11の上端において供給管18に接続され、他端(図中の下端)が水平通路13Bに繋がっている。水平通路13Bは、周方向の中央部分で鉛直通路13Aと連通するとともに、三つのエアノズル12の後端(吐出口とは逆側)に連通している。したがって、エア供給源19から供給される圧縮エアは、供給管18、鉛直通路13A及び水平通路13Bを通って、それぞれのエアノズル12から吐出される。なお、エアカーテン形成器10を平面視した場合に、エアノズル12から吐出される圧縮エアが流れる向きを基準にして、上流及び下流を定義する。
【0021】
形成器本体11は、内周面11Aがエアノズル12から突出される圧縮エアが下流に流れる過程で、主に水平方向の周囲に離散させないための第一ガイド14として機能する。つまり、エアノズル12から吐出される圧縮エアは、水平方向に閉じられた領域内を上流側から下流側に向けて流れる。
形成器本体11は、エアノズル12が設けられる上流側に対向する下流側に第二ガイド15が設けられている。第二ガイド15は、形成器本体11の下方に向けて肉厚が連続的に薄くなることで、上流側に対向する側が傾斜面をなしている。上流側から流れる圧縮エアは、第二ガイド15が抵抗となり、鉛直方向の下向きに案内される。
なお、
図3(d)に示すように、形成器本体11を複数に分割することもできる。
【0022】
飲料充填装置03は、
図2に示すように、制御部50を備えている。
制御部50は、充填ノズル1から容器PBに充填する飲料Lの供給の開始及び停止を制御する。また、制御部50は、エアカーテン形成器10における圧縮エアの供給の開始及び停止を制御する。そのために、制御部50は、演算部51と、データ保持部52と、指示部53と、を備えている。
【0023】
演算部51は、ロードセル21から出力される容器PBの重量に関するデータ(飲料重量データW)を取得する。
データ保持部52は、容器PBの種類ごとの容器仕様データを保持する。容器仕様データは、容器PBの種類ごとに定められる飲料Lの充填重量Wfと、当該容器PBの識別情報IDと、が対応付けられたデータである。演算部51は、容器PBに飲料Lを充填する際には、データ保持部52から容器仕様データを取得する。
演算部51は、データ保持部52から容器仕様データを取得するとともに、ロードセル21から飲料重量データWを取得し、飲料重量データWが容器仕様データの充填重量Wfに達するか否かを逐次判定する。演算部51は、飲料重量データWが充填重量Wfに達したならば、その旨を指示部53に通知し、指示部53はこの通知を受けて、充填ノズル1を閉じて飲料Lの供給を停止するように指示する。
【0024】
本実施形態の飲料充填システムが、異なる仕様を有する複数種の容器PBに飲料Lを充填する場合には、容器PB毎の容器仕様データをデータ保持部52に保持させておく。そして、飲料Lの充填を行なうのに先立って、飲料Lが充填される容器PBに対応する容器仕様データを選択することで、演算部51は当該容器仕様データをデータ保持部52から取得する。
【0025】
次に、飲料充填装置03による容器PBへの飲料Lの充填の手順を説明する。
飲料充填装置03の所定の充填位置(
図1 位置B)に容器PBが搬送されことを条件に、飲料Lの充填が開始される。
飲料Lの充填が始まると、制御部50の演算部51は、ロードセル21から出力される飲料重量データWを取得するとともに、データ保持部52から容器仕様データを取得する。
演算部51は、取得した充填重量データと容器仕様データ(充填重量Wf)を比較し、充填重量データが充填重量Wfに達したならば、その旨を指示部53に通知する。指示部53は、指示部53はこの通知を受けて、充填ノズル1を閉じて飲料Lの供給を停止するように指示する。指示部53は、同時に、エアカーテン形成器10に対して、エアカーテンを形成するように指示する。
こうして飲料充填装置03の所定の充填位置まで飲料Lが充填された容器PBが搬送されると、飲料Lの充填処理が終了する。
【0026】
次に、本実施形態の特徴であるエアカーテン形成器10の動作を、
図4を参照して説明する。
いま、
図3(b)及び
図4(a)に示すように、容器PBに図に対して、充填ノズル1から飲料Lを充填していたが、必要な充填量に達したために、充填を停止し、完了したものとする。そうすると、飲料Lは充填ノズル1から途切れるが、
図4(b)に示すように、その直後にエアカーテン形成器10を起動してエアカーテンACを形成する。エアカーテンACは、容器PBの口部分の上方を覆うように形成される。したがって、液ハネが生じて口部から外部に漏れ出そうになっても、エアカーテンACに遮られて、容器PBの中に逆戻りする。また、仮に、液ハネがエアカーテンACに巻き込まれたとしても、液ハネを巻き込んだエアカーテンACは口部の上方を通過して、さらに第二ガイド15に案内されて容器PBから遠ざかる。
【0027】
ここで、
図4(b)に示すように、容器PBの口部Mの先端からエアカーテンACまでの距離Dは、5mm〜100mmの範囲で設定することが好ましい。距離Dが小さすぎると、空気流が口部に衝突して流れに乱れが生じ、また、距離Dが大きすぎると、液ハネがエアカーテンACに達することなく漏れ出る恐れがあるからである。好ましい距離Dは10〜40mm、さらに好ましい距離Dは20〜30mmである。
また、エアノズル12から吐出される空気流の吹き出し速度vは、数m/s〜数10m/sとすることが好ましい。速度vが小さすぎると、液ハネの噴出を抑えられず、また、速度vが大きすぎると、渦が発生しエアカーテンの機能を阻害しかねないからである。そのため、好ましい速度vは1〜25m/s、さらに好ましい距離Dは10〜40mmである。
【0028】
以上説明した通りであるから、本実施形態の飲料充填システムによると、エアカーテンACを形成して液ハネが容器PBの外部に漏れ出るのを防ぐか、または、エアカーテンACにより液ハネを運び去る。したがって、充填停止後の液ハネにより容器PB及び充填ノズル1が汚染するのを避けることができる。
【0029】
また、本実施形態によると、形成れたエアカーテンACは、上流から下流へと一方向に流れる圧縮エアにより形成されるので、容器PBに充填された飲料Lに悪影響を与えない。例えば、径方向の外側から円の中心に向けて圧縮エアを供給させたとすると、エアカーテンACを形成することはできるが、円の中心で衝突した圧縮エアは、鉛直方向の上向き及び下向きに流れを変える。この下向きに流れる圧縮エアは、容器PBの内部に進入して充填済みの飲料Lに衝突して、飲料Lを波立たせて泡立ちの原因になり得る。これに対して、本実施形態は、上流から下流へと一方向に流れる圧縮エアによりエアカーテンACを形成するので、容器PBに進入することは、ほとんどない。
【0030】
また、本実施形態によると、形成れたエアカーテンACは、形成器本体11に設けられる第一ガイド14及び第二ガイド15により流れが常に整流又は整流に近い状態に制御されるので、液ハネが容器PBの外に飛び出すのを確実に阻止することができるとともに、容器PBに充填されている飲料Lを波立たせることもない。
【0031】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。