特許第6501510号(P6501510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501510
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】盤用電子除湿器
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20190408BHJP
   F25B 21/02 20060101ALI20190408BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   B01D53/26 100
   F25B21/02 A
   H05K7/20 H
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-252737(P2014-252737)
(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-112500(P2016-112500A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 範幸
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐司
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−061803(JP,A)
【文献】 特開昭60−086338(JP,A)
【文献】 実開平02−121118(JP,U)
【文献】 実開平02−117021(JP,U)
【文献】 特開2010−075854(JP,A)
【文献】 実開平04−070122(JP,U)
【文献】 特開2005−042975(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/072077(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26
F25B 21/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子冷却素子と、その吸熱面と放熱面にそれぞれ取付けられた冷却体及び放熱体と、電子冷却素子に通電する電源装置と、ファンとを筐体内に備えた盤用電子除湿器であって、筐体の内部に、盤内空気を吸引して放熱体に上向きに通流させる流路と、盤内空気を吸引して冷却体に上向きに通流させる流路とを形成し、冷却体によって冷却された空気の流路に前記電源装置を配置したことを特徴とする盤用電子除湿器。
【請求項2】
筐体の内部に、電源装置に通流する流路と冷却体に通流する流路とを隔てる第一仕切板を設け、この第一仕切板に冷却体によって冷却された空気を電源装置に通流する第1通流部を形成したことを特徴とする請求項1記載の盤用電子除湿器。
【請求項3】
冷却体の上方に、冷却体によって冷却された空気を第1通流部へ案内する第2仕切板を設けたことを特徴とする請求項2記載の盤用電子除湿器。
【請求項4】
冷却体によって冷却された空気を電源装置に通流する第1通流部と、冷却体によって冷却された空気を放熱体に通流する第2通流部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の盤用電子除湿器。
【請求項5】
冷却体の一方に放熱体を配置し、他方に電源装置を配置したことを特徴とする請求項4記載の盤用電子除湿器。
【請求項6】
冷却体の上方に、放熱体と電源装置とを並列配置したことを特徴とする請求項1記載の盤用電子除湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤、制御盤などに取付けられ、盤内空気を除湿する盤用電子除湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電盤、制御盤などでは、内部の環境によって筐体内部に結露が発生すると内部機器に悪影響が及ぶおそれがあるため、結露を防止するために盤内空気を除湿する盤用除湿器が設けられることがある。
【0003】
盤用除湿器としては、例えば特許文献1に示すように、ペルチェ素子を用いた電子式の除湿器が広く用いられている。この特許文献1の電子除湿器は、ペルチェ素子の冷却体によって冷却された空気をペルチェ素子の放熱体に送り、放熱効果を高めることによって除湿能力を向上させる工夫がなされている。
【0004】
しかしこの盤用除湿器のペルチェ素子に通電するための電源装置は、外気あるいは盤内空気をファンで吸引することによって冷却されているだけである。このため外気温が高い場合には電源装置に搭載される電子部品が十分に冷却されず、電源装置の寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0005】
また、放熱体を冷却した空気を電源装置に導いて電源装置を冷却する盤用除湿器もあるが、放熱体により加熱された空気で電源装置を冷却することとなるため、外気温が高い場合には上記と同様、電源装置を十分に冷却できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−75854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、除湿能力に優れ、しかも電源装置を効率よく冷却することができる盤用電子除湿器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、電子冷却素子と、その吸熱面と放熱面にそれぞれ取付けられた冷却体及び放熱体と、電子冷却素子に通電する電源装置と、ファンとを筐体内に備えた盤用電子除湿器であって、筐体の内部に、盤内空気を吸引して放熱体に上向きに通流させる流路と、盤内空気を吸引して冷却体に上向きに通流させる流路とを形成し、冷却体によって冷却された空気の流路に前記電源装置を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
なお請求項2のように、筐体の内部に、電源装置に通流する流路と冷却体に通流する流路とを隔てる第一仕切板を設け、この第一仕切板に冷却体によって冷却された空気を電源装置に通流する第1通流部を形成することができる。また請求項3のように、冷却体の上方に、冷却体によって冷却された空気を第1通流部へ案内する第2仕切板を設けることができる。
【0010】
また本発明においては、請求項4のように、冷却体によって冷却された空気を電源装置に通流する第1通流部と、冷却体によって冷却された空気を放熱体に通流する第2通流部とを備えた構造とすることができ、この場合、請求項5のように、冷却体の一方に放熱体を配置し、他方に電源装置を配置することができる。さらに請求項6のように、冷却体の上方に、放熱体と電源装置とを並列配置することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の盤用電子除湿器は、冷却体によって冷却された空気の流路に電源装置を配置したので、電源装置を効率よく冷却することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、電源装置に通流する流路と冷却体に通流する流路とを隔てる第一仕切板に、冷却体によって冷却された空気を電源装置に通流する第1通流部を形成したので、これらの流路を接続することができ、電源装置を冷却することができる。また請求項3の発明によれば、第2仕切板によって冷却体によって冷却された空気を第1通流部へ案内することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、冷却体によって冷却された空気を放熱体に送り、放熱体を冷却して除湿能力を向上させつつ、電源装置も効率よく冷却することができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、冷却体によって冷却された空気を放熱体と電源装置とに容易に分流することができる。また請求項6の発明によれば、放熱体を冷却して除湿能力を向上させつつ、電源装置を効率よく冷却することができる。また電源装置を冷却体の上方に配置できる分だけ、筐体の左右幅を小さくすることができる。さらに、単一の流路で放熱体と電源装置を冷却することができるので、装置構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態を示す縦断面図である。
図2】第1の実施形態を示す外観斜視図である。
図3】内部構造を示す断面斜視図である。
図4】内部構造を示す断面斜視図である。
図5】第2の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を説明する。本発明の盤用電子除湿器は、制御盤や分電盤などの盤内に取付けられ、結露を防止するものである。
【0017】
図1図4は本発明の第1の実施形態を示す図であり、1は盤用電子除湿器の筐体、2はその内部に設けられたペルチェ素子からなる電子冷却素子2である。電子冷却素子2の吸熱面にはフィン形状の冷却体3が取付けられており、放熱面にはフィン形状の放熱体4が取付けられている。これらのフィン形状は、上下方向の流路を備えた形状とすることが好ましい。この実施形態では冷却体3は筐体1の中央部に位置している。
【0018】
筐体1の天井部には強制排気用の排気ファン5が設けられている。これらの排気ファン5は、図2に示された筐体1の下部前面に形成された第1吸引口7から盤内空気を吸引し、フィン形状の冷却体3に上向きに通流させ、また図2に示された筐体1の下面に形成された第3吸引口8から盤内空気を吸引し、フィン形状の放熱体4に上向きに通流させる役割を持つ。なお排気ファン5からの排気は筐体1の天井面に形成された排気口から盤内に戻される。
【0019】
冷却体3と接触した盤内空気は冷却されて含有する水分を凝縮させ、結露水は筐体1の下部の水受部9、ドレンパイプ10を通じて盤外に排出される。また放熱体4は第3吸引口8から吸引された盤内空気によって冷却される。
【0020】
筺体1の内部には、第1仕切板11が設けられており、その片側に電子冷却素子2に給電するための電源装置6が配置され、その反対側に上記した冷却体3が配置されている。このため筐体1の内部はこの第1仕切板11によって、電源装置6に通流する流路12と冷却体3に通流する流路13とに区画されていることとなる。この電源装置6に通流する流路12の下部には図2に示す第2吸引口14が形成されている。
【0021】
また電子冷却素子2と放熱体4との間にも隔壁15が形成されており、この隔壁15の上部と第1仕切板11の上部との間には、第2仕切板16が設けられている。そしてこの第2仕切板16よりもやや下方の第1仕切板11には、冷却体3によって冷却された空気を電源装置6に通流する第1通流部17が形成されている。このため、電源装置6は流路12を流れる盤内空気によって冷却されるうえ、第1通流部17から流入する冷却された空気によっても冷却される。このように、第2仕切板16は冷却体3によって冷却された空気を第1通流部17へ案内する役割を持つ。なお電源装置6を冷却した盤内空気は、第2仕切板16の上側の第3流通部18を経由して排気ファン5に吸引され、盤内に排気される。
【0022】
またこの実施形態では、第2仕切板16よりもやや下方の隔壁15にも、第2流通部19が形成されている。この第2流通部19は冷却体3によって冷却された空気を放熱体4に送るためのものである。この結果、放熱体4は第3吸引口8から吸引された盤内空気のほか、冷却体3によって冷却された空気によっても冷却されるので放熱効果が高まり、電子冷却素子2の除湿能力を向上させることが可能となる。
【0023】
このように構成された盤用電子除湿器は、盤内から吸引した空気を冷却体3に接触させて空気中の水分を凝縮させ、結露水としてドレンパイプ10を通じて盤外に排出するものであり、冷却されて水分が除去された空気の一部は第1通流部17を通じて電源装置6が設置された流路12に流入し、電源装置6を冷却したうえで、第2仕切板16の上側の第3流通部18を経由して、排気ファン5によって盤内に戻される。これによって盤内空気の湿度を低下させることができる。また電源装置6を効率よく冷却することができる。
【0024】
また冷却体3により冷却された空気の残部は第2流通部19を通じて放熱体4に流れ、放熱体4を冷却したうえで排気ファン5によって、筐体1の天井面の排気口から盤内に戻される。これによって放熱体4の放熱効率が高まり、除湿能力を向上させることができる。
【0025】
このように第1の実施形態では、冷却体3の一方に放熱体4を配置し、他方に電源装置6を配置した。このため冷却体3によって冷却された空気を容易に分流させることができる。
【0026】
なお、第2仕切板16の一部に穴をあけて空気の通流部を形成し、冷却された空気を、その通流部と電源装置6側に流すようにしてもよい。そうすれば、冷却された空気の流れの抵抗を減少させ、効率よく盤内空気を筐体1内に取り込むことができるので、除湿能力を高めることができる。またこの実施形態では筐体1の天井部に排気ファン5を配置したが、吸気ファンと排気ファンとを組み合わせてもよく、吸気ファンだけを単独で用いることもでき、ファンの台数も特に限定されるものではない。
【0027】
図5は本発明の第2の実施形態を示す図である。この第2の実施形態では、放熱体4の一部が冷却体3の上方に位置するように張出部20を形成するとともに、電源装置6も冷却体3の上方に位置させ、冷却体3の上方に放熱体4の張出部20と電源装置11とを並列配置した。
【0028】
排気ファン21が筐体1の天井部に設けられており、筐体1の下部の図示しない第1吸引口から吸引した盤内空気を冷却体3に通し、冷却された空気で放熱体4と電源装置6とを冷却する。また第1の実施形態と同様、放熱体4にも盤内空気が吸引される。冷却体3の下部には水受部9とドレンパイプ10が設けられており、結露水を排出する。
【0029】
この第2の実施形態の盤用電子除湿器も、盤内空気を除湿して結露を防止できるとともに、電源装置6も冷却することができる。また放熱体4に冷却された空気を送って冷却し、除湿能力を向上させることができる。このようなレイアウトを採用すれば、電源装置6を冷却体3の上方に配置できるので、筐体の左右幅を小さくすることができる。しかも単一の流路で放熱体4と電源装置6を冷却することができる利点がある。
【0030】
以上に説明したように、本発明の盤用電子除湿器は除湿能力に優れ、しかも電源装置を効率よく冷却することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 筐体
2 電子冷却素子
3 冷却体
4 放熱体
5 排気ファン
6 電源装置
7 第1吸引口
8 第3吸引口
9 水受部
10 ドレンパイプ
11 第1仕切板
12 流路
13 流路
14 第2吸引口
15 隔壁
16 第2仕切板
17 第1通流部
18 第3流通部
19 第2流通部
20 張出部
21 排気ファン
図1
図2
図3
図4
図5