【文献】
Mohammad Reza Badroossamay, Holly Alice McIIwee, Josua a. Goss and Kevin Kit Parker:"Nanofiber Assembly by Rotary Jet-Spinning", NANO LETTERS, Vol 10, No. 6, 9 June 2010, pages 2257-2261,DOI: 10.1021/nl101355x [非特許],NANO LETTERS
【文献】
J. Biomater. Sci. Polym. Ed., 2001, Vol.12, No.3, pp.317-336
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの合成および生体吸収性(bioabsorbable)ポリマー、ならびに、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性(tissue−adhesive)ポリマーを含む、回転紡糸繊維(rotospun fibers)を含む、不織布の創傷被覆剤としての(in the form of a non−woven wound dressing)医療器具であって、
前記医療器具が、少なくとも1つの合成および生体吸収性(bioabsorbable)ポリマー、および/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性(tissue−adhesive)ポリマーの繊維割合に関して(in relation to the fiber fraction)、相互間で相違する、回転紡糸繊維層を含む、ことを特徴とする、医療器具。
前記器具は、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを、両者間で相違する割合(mutually different fractions)で含む回転紡糸繊維を、含むことを特徴とする、請求項1の医療器具。
前記器具が、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含み、その繊維が、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーよりも、より高い、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合を含む、ことを特徴とする、請求項1または2に記載された医療器具。
前記器具が、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含み、その繊維は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性のポリマーよりも、より少ない、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合を含む、ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載された医療器具。
前記器具は、少なくとも1つの回転紡糸繊維層(rotospun fibrous layer)を含み、その繊維は、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含むが、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性のポリマーを含まないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載された医療器具。
前記器具は、少なくとも1つの回転紡糸繊維層(rotospun fibrous layer)を含み、その繊維は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含むが、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含まないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載された医療器具。
前記器具が、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーに関して、および、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーに関して、繊維割合勾配(fiber fraction gradient)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載された医療器具。
繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合が、徐々に、前記器具の最初の外側の表面から、前記器具の2番目の反対側の外側表面方向の方向に(in the direction of a second opposite outer surface of the device)変化する、ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載された医療器具。
前記器具が、回転紡糸線維層のシーケンス(sequence)を含み、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの繊維割合が、層のシーケンス(sequence)に沿って、徐々に、変化することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載された医療器具。
少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε−カプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ−4−ヒドロキシ酪酸、ポリ−パラ−ジオキサノン、それらの共重合体、それらの誘導体、それらの立体異性体及び、それらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載された医療器具。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具に関し、特に、回転紡糸繊維(rotospun fibers)を含む、不織布の創傷被覆(nonwoven wound dressing)形態のものであり、そして、また、当該医療器具の製造方法に関する。
【0002】
回転紡糸ゼラチン繊維(rotospun gelatin fibers)を含む、不織布(nonwoven fabrics)またはランダムウェブ(random-laid webs)の形態の医療器具、および、また、創傷治癒や傷のカバーにおける、それらの使用は、印刷された刊行物、WO 2008/107126A1およびWO 2009/036958A2から公知である。そのような回転紡糸繊維を生産する装置は、DE 10 2005 048 939 A1に記載されている。
【0003】
WO2012/022422 A1は、ヒドロキシプロピルセルロース繊維を含む不織布、とりわけ、創傷ケア、または、創傷被覆としての使用を開示する。
【0004】
止血(hemostasis)用に、化工澱粉を使用することは、WO 2009/091549 A1から公知である。
【0005】
複合澱粉の溶融紡糸繊維(melt-spun composite starch fiber)を含む、個人衛生用品は、US 2012/0216709 A1に開示されている。
【0006】
コラーゲンに基づく、代替硬膜の増殖(Multi-ply dural substitutes based on collagen)は、印刷された刊行物、US 5,997,895 A、WO 2007/082295 A2およびEP 2 147 687 A2から公知である。EP 1 025 870 A1は、さらに、カプロラクトンと乳酸(lactide)から形成される共重合体に基づく、代替硬膜(dural substitute)を記載する。
【0007】
DE 196 54 884 A1は、合成材料と天然材料、特に、コラーゲンから成る組織再生被覆被膜(a tissue regeneration cover membrane)を開示する。
【0008】
組織のシーリングに使用される器具のカテゴリーは、原則として以下を含む:
【0009】
最初のカテゴリーは、多糖類に基づく、シーリング器具に関する。それは、短時間の間に、大量の液体を吸収でき、血小板を集中することによって、血液凝固を早める(hastening blood clotting)ことができる。このタイプのシーリング器具は、例えば、Tabotamp
(R),Surgicel
(R),ChitoFlex
(R)またはPerclot
(R)の名称で市場から入手できる。
【0010】
シーリング器具の2番目のカテゴリーは、最初のカテゴリーのシーリング器具と同様の作用に加えて、XIIa因子の活性化によって、凝固カスケードを刺激すると考えられているコラーゲン器具に関連する。対応する器具は、例えば、Spongostan
(R)(豚ゼラチン)、Lyostypt
(R)およびDuraGen
(R)(各場合で牛コラーゲン)の名称で市場から入手できる。
【0011】
3番目のカテゴリーは、液体シーリング器具に関し、それは、通常、合成ポリマーに基づく。その例は、たとえば、Coseal
(R), Progel
(R), Duraseal
(R), Focalseal
(R)またはBioglue
(R)という名称で、市場から入手できる、ポリエチレングリコール誘導体に基づく、ハイドロゲルである。
【0012】
最後のカテゴリーは、フィブリン接着剤のそれである。上記シーリング器具とは異なり、フィブリン接着剤は、凝固カスケードに積極的に介入し、コンポーネントである、血液凝固を引き起こす、フィブリン、トロンビンおよびアプロチニンの複合作用に基づく。対応する器具は、たとえば、Evicel
(R), Tissucol
(R), Quixil
(R)またはBeriplast
(R)という名称で、市場から入手できる。
【0013】
問題の型の組織シーリング器具は、原則的に、満足のいく結果を提供するが、いくつかの問題がある。
【0014】
酸化セルロースに基づく、シーリング器具の場合、たとえば、感染症や組織炎症の発生と、また、酸性タイプの分解物(breakdown products)の形成は、治癒のプロセスのためには、問題で、不利益となり得る。さらに不利な点は、一般に、非常に煩わしく(burdensome)、かつ、また、繊維性不織布セルロースウェブは、毒性および発癌性のある二酸化窒素で処理されるので、環境に有害な製造工程であることである。ほんのわずかな逸脱(excursions)が、いくつかの過酸化につながり、そして、それゆえ、機械的安定性の完全な損失につながる.
【0015】
キトサンに基づく、シーリング器具は、基本的に、キトサンは、製造工程を高価にする、海洋甲殻類の殻から派生しなければならない、という不利益を有する。さらに、キトサンには、生体内で、限られた分解のみを有する。
【0016】
粉末止血剤(hemostyptics)は、止血剤(hemostyptic)の連続層の不在において、傷口から、特に、強い出血(particularly strong bleeding)の場合、洗い流され、不利になる。しかも、血管の圧縮は、一般に、粉末の単独使用では不可能である。
【0017】
コラーゲン器具は、一般的に、煩わしい、精製方法、およびウイルスやプリオンの完全な不活性化を検出する方法を必要とする。さらに、タンパク質に基づくアレルギーの危険がある。さらに、コラーゲンのインプラントは、時々、石灰化(calcifications)の原因になる可能性がある。
【0018】
液体の組織シーリング器具は、通常、製造コストを高くする、煩わしい合成で、製造されなければならない。さらに、これらのシーリング器具は、一般的に、冷温で保管しなければならず、マルチチャンバシステムを介して、排出(discharged via multi-chamber systems)されなければならない。これは、外科医の仕事と時間の負担に追加される。さらに、多くの液体のシーリング器具は、治療後、引張強度(tensile strength)を欠く。
【0019】
フィブリン接着剤は、一般的に、高価である。特に、HIV、C型肝炎、またはクロイツフェルト・ヤコブの感染症のリスクを最小限に抑えるために、ヒトの血液に基づいてそれらを得るための手順について、通常、特別に、検証される。フィブリン接着剤は、マルチチャンバシステムを介して、同様に、排出され、したがって、前項で説明したような同じ欠点を持つ。また、フィブリン接着剤の品質保証期間は、非常に制限されている。
【0020】
[問題と解決策]
本発明によって、対処される問題は、したがって、先行技術から知られている問題を回避し、そして、特に、傷のシーリングに有用な、医療器具を提供することである。
【0021】
その問題は、独立クレーム1の要素を有する医療器具、および、クレーム18の要素を有する、そのような器具の製造方法により解決される。2乃至17の従属クレームは、医療器具の好ましい実施形態を定義する。すべてのクレームの文言は、ここで、明示的に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、回転紡糸、すなわち、回転または回転紡糸、繊維、を含む医療器具を提案する。当該医療器具は、特に、不織布として構成できる。
【0023】
当該繊維は、少なくとも、2つの異なるポリマーを含む。すなわち、少なくとも1つの、好適には、また、疎水性である、合成および生体吸収性ポリマーと、また、少なくとも1つの更なる、親水性および/または組織接着性のポリマーを含む。
【0024】
発明者は、驚いたことに、合成および生体吸収性ポリマーは、親水性および/または組織接着性のポリマーと一緒に、回転紡糸性(rotospinnable)があり、多機能、特に、二機能性の医療器具になり、その医療器具は、原則、医療/薬用の適用の幅広い分野で使用できるが、しかし、本発明に従って提供されるポリマーのおかげで、傷のシーリングに特に適していることを見出した。
【0025】
すなわち、親水性ポリマーの使用は、特に、迅速な止血に関して、有利である、液体吸収性の開発を許容した。それらに加えてまたは代替として、組織接着性を有するポリマーの使用は、転位耐性(dislocation-resistant)、封止(obturating)、機械的に安定である、器具の形成を推進し、そして、また、特に、細菌バリアーとして機能する。これは、今度は、しっかりして(tight)、丈夫な(durable)創傷封鎖、および、また、手術後の感染症の回避に関して、特に有利である。
【0026】
合成の、まださらに生体吸収性ポリマーの使用は、本発明の器具が、少なくとも、部分的に、生体内で吸収性であることを、さらに、保証する。
【0027】
上記ポリマーは、加えて、特定の利点を持って、より詳しく、以下に記載されるように、医療器具のさらなる用途を可能にする。
【0028】
回転紡糸(Rotospinning)は、さらに、繊維の組成、そして、それゆえ、医療器具の性質を、精密に設計するために、多くのさらなるパラメーターを提供する利点がある。例えば、回転数、空気および/または材料勾配、回転容器(receptacle)(the rotospinneret)の底の排出穴のサイズを特定することによって、そして、また、電界を加える(applying an electric field)ことによって、一般的に、従来の溶融紡糸プロセスを用いた場合より、遥かに大きな範囲の繊維直径を実用化することが可能になる。変えることができるパラメーターの数が多いおかげで、本発明による医療器具は、特定の適用について、特注可能な(custom-tailorable)特定の利点を有する。それゆえ、たとえば、高いレベルの引張強さ(終局引張応力)と、特に、高弾性を有する医療器具を生産することができる。
【0029】
さらなる利点は、回転紡糸プロセスが、管理するのに、比較的簡単であることである。繊維の形成を担う求心力を含む物理法則は、常に、再現可能な製造条件を保証する。これらの製造条件は、たとえば、より大きな回転容器(rotospinnerets)の使用へと、さらに容易にスケールアップ可能である。
【0030】
最後に、本発明に従った器具の操作性は、特に、前のセクションで説明した性質のおかげで、顕著であることは、特に優位である。
【0031】
「合成」という表現は、そう呼ばれるポリマーは、本発明の目的のためには、天然物ではなく、一般に、化学合成、特に、産業または技術的、または組換え(すなわち、組換え生物によって齎された)合成の製造品である、という意味として、理解されるべきである。
【0032】
「生体吸収性」という表現は、そう呼ばれるポリマーは、体内で分解され、吸収される、という意味として、本発明の目的のために、理解されるべきである。この分解は、好ましくは、免疫原性または有毒な分解生成物の形成なしで進行する。
【0033】
「親水性」という表現は、本発明の目的ため、そう呼ばれるポリマーは、一般的に、水を好む、すなわち、水と強い相互作用に入る、特に、水素結合を介して、したがって、当業者の間における通常の理解に沿って、そういう意味として理解されるべきである。さらにとりわけ、「親水性」という表現は、そう呼ばれるポリマーは、水溶性または水で膨張可能であるという定義として、本発明において、理解されるべきである。
【0034】
同様に、「疎水性」という表現は、本発明の目的ためには、そう呼ばれるポリマーは、水を拒絶する、という意味として理解されるべきであり、したがって、当業者の間での、通常の意味(usual connotation)と調和して、同様である。
【0035】
「組織接着性」という表現は、そう呼ばれるポリマーは、生物、特に、人間または動物、組織層、たとえば、粘膜の粘液層(mucin layer of mucosae)、と接着結合(adhesive bond)を形成できる、という意味として、本発明の目的のために、理解されるべきである。接着結合は、好ましくは、ファン・デル・ワールス相互作用、静電相互作用および/または双極子−双極子相互作用にのみに依存する。言い換えれば、本発明の意味において、組織接着性ポリマーは、好適には、共有結合の形成に依存できない組織との接着結合を形成できるものである。
【0036】
好ましい実施形態では、前記医療器具は、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの相互に異なる割合(fraction)を含む、回転紡糸繊維(rotospun fibers)を含む。上述した、器具の多機能性は、結果として大きな利点を発揮する。
【0037】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、さらに、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーよりも、少なくとも1つ合成および生体吸収性ポリマーのより高い割合を有する回転紡糸繊維を含む。
【0038】
追加または代替の実施態様では、前記医療器具は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーよりも、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーが、より小さい割合を有する回転紡糸繊維を含む。
【0039】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、さらに、本発明の意味における、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含み、本発明の意味における、親水性および/または組織接着性ポリマーを含まない、回転紡糸繊維を含む。この項に記載されている実施形態の繊維は、好適には、本発明に従った、器具の外側の表面層を形成する。
【0040】
さらなる実施形態では、医療装置は、さらに、本発明の意味における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない、回転紡糸線維を含む。本パラグラフに記載されている実施形態の繊維は、好適には、本発明に従って、器具の外側の表面層、特に、前のセクションに説明されていた外側の表面層の反対側の外側の表面層を、同様に形成する。
【0041】
前記医療器具は、好ましくは、回転紡糸線維割合(rotospun fibrous fractions)、特に、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの繊維含有率(fiber fraction)に関して、お互いに相違する、線維層を含む。
その分別(fractionation)のため、特に、それらの層(layering)のため、そのような繊維は、器具の多機能の性質を、より以上に発揮する。特に、機能的に区別できる、線維の割合、特に、繊維層を有する、医療器具は、それにより実現される。
【0042】
更なる実施形態では、前記医療器具は、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含む。そして、その繊維は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーより、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーのより高い割合を含む。少なくとも1つの線維層(fibrous layer)は、好適には、器具の外側の表面層を含む。
【0043】
追加または代替の実施態様では、前記医療器具は、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含む。そして、その繊維は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーより小さい、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合を含む。少なくとも1つの線維層は、好適には、器具の外側の表面層、特に、前のセクションに記載されている外側の表面層の反対側にある外側の表面層、を含む。
【0044】
本発明は、さらに、前記医療器具は、さらに、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含み、その繊維は、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含むが、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性のポリマーを含まない、医療器具を提供する。言い換えれば、本発明は、本発明の意味における、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含むが、本発明の意味における、親水性および/または組織接着性ポリマーを含まない、繊維の少なくとも1つの回転紡糸繊維層をさらに含む医療器具を、提供する。
少なくとも1つの線維層は、好適には、同様に、器具の外側の表面層、特に、前のセクションに記載されている外側の表面層の反対側の、外側の表面層、を含む。
【0045】
さらなる実施態様では、器具は、さらに、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含み、その繊維は、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、少なくとも1つの合成および生体吸収性のポリマーを含まない。換言すれば、さらなる実施形態では、器具は、さらに、少なくとも1つの回転紡糸繊維層を含み、その繊維は、本発明の意味における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含むが、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない。少なくとも1つの線維層は、好適には、器具の外側の表面層を、特に、前のセクションに記載されている外側の表面層の反対側である、外側の表面層、好適には、前のセクションに記載されている外側の表面層を同様に含む。
【0046】
特に好ましい実施形態では、前記医療器具は、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーに関連して、および/または、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーに関連して、繊維割合勾配(fiber fraction gradient)を含む。より好適には、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーに関連して、および、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーに関連して、繊維割合勾配(fiber fraction gradient)を含む。これは、特定の利点として(to particular advantage)、好適には、たとえば、生体吸収性(bioabsorbability)、引張強度、液体吸液容量、組織接着能力のような、器具の機能性能の段階的な注入(instillation)を可能にする。
【0047】
さらなる実施態様において、繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、器具の最初の外面から、2番目の、好適には、器具の反対の外側の表面、の方向に、好適には、徐々に、すなわち、勾配に沿って、変化してもよい。換言すれば、繊維割合勾配(fiber fraction gradient)は、好適には、器具の厚さに沿って拡張する(extends)。これは、たとえば、生体吸収性(bioabsorbability)、引張強度、液体吸収容量、組織接着能力などの、器具の機能的性質を、好適には、器具の厚さに沿って、徐々に変化させることができる。
【0048】
好ましくは、繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合は、器具の最初の外面から、2番目の、好適には、器具の反対の外側の表面、の方向に、好適には、徐々に、増加し、および/または、繊維において、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、器具の最初の外側表面から、2番目の、好適には、器具の反対の外側表面、の方向に、好ましくは、徐々に,減少する。
【0049】
より好ましくは、繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合は、器具の最初の外面から、2番目の、好適には、器具の反対の外側の表面、の方向に、好適には、徐々に、増加する。そして、対応して、繊維において、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、器具の最初の外側表面から、2番目の、好適には、器具の反対の外側表面の方向に、好ましくは、徐々に,減少する。
【0050】
さらなる実施態様において、繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、好適には、徐々に、すなわち、勾配に沿って、器具の、最初の外側表面層と2番目の、好適には、器具の、反対の外側表面層の間で、変化する。
【0051】
さらに開発された実施形態では、繊維において、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合は、好適には、段階的に、器具の最初の外側層と、2番目の、好適には、2番目の外側表面層の方向で、器具の反対側の、外側の表面層の間で、増加し、および/または、繊維における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、好適には、段階的に、器具の最初の外側表面層と、2番目の、好適には、2番目の外側表面層の方向で、器具の反対側の、外側の表面層の間で、減少する。最初の外側の表面層は、好ましくは、本発明の意味における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない、回転紡糸で形成される。2番目の外側の表面層は、対照的に、好適には、本発明の意味における、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含み、本発明の意味における、親水性および/または組織接着性ポリマーを含まない、回転紡糸繊維により、成形される。
【0052】
より好ましくは、繊維における、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの割合は、好適には、段階的に、器具の最初の外側表面層と、2番目の、好適には、器具の反対側の外側表面層の間で、2番目の外側表面層の方向で、増加し、そして、対応して、繊維における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、好適には、段階的に、器具の最初の外側表面層と、2番目の、好適には、器具の、反対側の、外側の表面層の間で、2番目の外側表面層の方向で、減少する。最初の外側の表面層は、好ましくは、本発明の意味における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない、回転紡糸繊維で形成される。2番目の外側の表面層は、対照的に、本発明の意味における、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーを含み、本発明の意味における、親水性および/または組織接着性ポリマーを含まない。回転紡糸繊維により、好適に、成形される。
【0053】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、前記少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの繊維割合は、好適には、徐々に、層のシーケンス(sequence)に沿って、すなわち、回転紡糸線維層のシーケンスに沿って、変化する、回転紡糸線維層のシーケンス(sequence)を含む。
【0054】
好ましくは、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの繊維割合は、層のシークエンスに沿って、好適には、徐々に増加し、および/または、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性のポリマーの繊維割合は、好適には、層のシーケンスに沿って、徐々に、減少する。
【0055】
より好ましくは、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの繊維割合は、層のシーケンスに沿って、好適には、徐々に、増加し、それに対応して、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性のポリマーの繊維割合は、好適には、徐々に、層シーケンスに沿って、減少する。
【0056】
好ましい実施形態では、前記医療器具は、最初の外側の表面層と2番目の、好ましくは、反対側の外側表面層の間に、回転紡糸線維層のシーケンスを含む。その層のそれぞれにおいて、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの繊維割合は、好適には、2番目の外側の表面層の方向で、層のシーケンスに沿って、徐々に、増え、および/または、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの繊維割合は、好ましくは、2番目の外側の表面層の方向において、層のシーケンスに沿って、徐々に、減少する。より好適には、少なくとも1つの合成および生体吸収性ポリマーの繊維割合は、好適には、2番目の外側の表面層の方向において、層のシーケンスに沿って、段階的に増え、そして、対応して、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの繊維割合は、好ましくは、2番目の外側の表面層の方向において、層のシーケンスに沿って、徐々に、減少する。
最初の外側の表面層は、好ましくは、本発明の意味における、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない、回転紡糸繊維によって形成される。2番目の外側の表面層は、対照的に、好適には、本発明の意味における、少なくとも1つの、合成および生体吸収性ポリマーを含み、本発明の意味における、水性および/または組織接着性ポリマーは含まない、回転紡糸繊維によって形成される。
【0057】
前のセクションに記載されている、勾配は、連続または不連続、特に、ステップグラディエント(stepped, gradient)であってよい。
【0058】
上記実施態様に記載されている層は、厚さにおいて、10μmから4000μm、特に、100μΜから4000μm、そして、好ましくは、500μmから2000μmであってよい。
【0059】
繊維は、個々の繊維の総重量に基づいて、1重量%から99重量%、特に、20重量%から99重量%、好適には、50重量%から99重量%の割合で、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーを含むことができる。
【0060】
繊維は、個々の繊維の総重量に基づいて、1重量%から99重量%、特に、1重量%から80重量%、好適には、1重量%から50重量%の割合で、さらに、少なくとも、1つの、親水性および/または組織接着性ポリマーを、含むことができる。
【0061】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーに関連して、個々の繊維当たり、100重量%から30重量%、特に、100重量%から50重量%、そして、好適には、100重量%から70重量%の繊維割合勾配を有する。前記医療器具は、より特異的には、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーに関して、個々の繊維当たり、90重量%から30重量%、そして、好適には、80重量%から60重量%の繊維割合勾配を有する。
【0062】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーに関して、個々の繊維当たり、100重量%から30重量%、特に、100重量%から50重量%、そして、好適には、100重量%から70重量%の繊維割合勾配を有する。前記医療器具は、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーに関して、個々の繊維当たり、90重量%から30重量%、そして、好適には、80重量%から60重量%の繊維割合勾配を有する。
【0063】
少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーは、好ましくは、ポリ乳酸(polylactide)、ポリグリコール酸(polyglycolide)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ−4−ヒドロキシ酪酸、ポリ−パラ−ジオキサノン、それらの共重合体、それらの誘導体、それらの立体異性体及びそれらの混合物(ブレンド)を含む群から選択される。
【0064】
少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーは、好ましくは、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリジドン、タンパク質、多糖類、特に、セルロース、ムコ多糖、これらの共重合体、これらの誘導体、これらの立体異性体、これらの塩及びこれらの混合物(ブレンド)を含む群から選択される。
【0065】
少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーは、より特に、セルロース、メチルセルロース(E461の番号で、食品添加物として使用許可]、エチルセルロース[E462の番号で、食品添加物として使用許可]、ヒドロキシプロピルセルロース[E463の番号で、食品添加物として使用許可]、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[E464の番号で、食品添加物として使用許可]、メチルエチルセルロース[E465の番号で、食品添加物として使用許可]、カルメロースナトリウム[E466の番号で、食品添加物として使用許可]、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトマレエート、セルロース アセトフタレート、セルロース アセトトリメリテート、セルロース脂肪酸エステル(特に、セルロース ジラウレート、セルロース ジパルミテート、セルロース ジステアレート、セルロース モノパルミテート、セルロース モノステアレート、セルロース トリラウレート、セルロース トリパルミテートおよび/またはセルロース トリステアレート)、寒天、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、セルロースカルボキシメチルエーテルのカルシウムおよびナトリウム塩、カラギーナン、i−カラギーナン、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、澱粉、アセチル化澱粉、ジスターチリン酸塩(distarch phosphate)、特に、アセチル化ジスターチリン酸、アルファ化澱粉(pregelatinized starch)、キャロブ豆粉、トウモロコシ(トウモロコシ)澱粉、膨張澱粉、プルラン、デキストリン、セルロース 2−ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシエチルメチルセルロース、セルロース 2−ヒドロキシプロピルエーテル、セルロース 2−ヒドロキシプロピルエーテル(低置換度)、ヒドロキシプロピル澱粉、エタノール ホモポリマー、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ゼラチン、それらの共重合体、それらの誘導体、それらの立体異性体、それらの塩及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0066】
さらなる実施形態では、繊維は、好ましくは、可塑剤、充填剤、架橋剤、染料、医薬活性物、およびこれらの混合物を含む群から選択される、少なくとも、1つの添加剤を含むことができる。
【0067】
特に、繊維は、個々の繊維の総重量に基づいて、0重量%から10重量%、特に、0.05重量%から10重量%、好ましくは、0.1重量%から5重量%、そして、より好適には、1重量%から5重量%の少なくとも、1つの添加剤を含んでよい。
【0068】
適切な可塑剤は、アルコール、糖アルコール、ポリアルコール、ポリエーテル、ナトリウムセルロースグリコレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリジンおよびこれらの混合物を含む群から選択されてもよい。
【0069】
適切な充填剤は、架橋され、そして、特に低分子量のポリビニルアルコール、架橋ポリ酢酸ビニル、架橋ポリビニルピロリドン(たとえば、Polyblasdone
TMの名称で入手可能)、ポリビニルウレア、デキストラン、セルロースナトリウム、グリコール酸、クロスカルメロース(たとえば、Ac-Die-Sol
TMの名称で入手可能)、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、たとえば、ヒドロキシエチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、たとえば、メチルセルロースのようなアルキルセルロース、マイクロセルロース(たとえば、アビセル
TMの名称で入手可能)、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸塩、たとえば、ジビニルベンゼンを有する、メタクリル酸共重合体の担体の(たとえば、Tulsion
TMの名称で入手可能)イオン交換体、及びそれらの混合物を含む群から選択されてよい。
【0070】
最適な染料は、原則として、医療品、化粧品または食品分野から承認された染料である。染料は、たとえば、クルクミン、リボフラビン、キノリンイエロー、タートラジン、黄色オレンジS、カーマイン、アゾルビン、Ponceau 4R、エリスロシン、赤2G、Allulared AC、パテントブルー V、インジゴチン、ブリリアントブルー FCF、クロロフィル、キャラメル、ブラウン FK、ブリリアントブラック BN、アントシアニン、キサントフィル、カロテノイド、D&C染料及びそれらの混合物を含む群から選択できる。
【0071】
好適な医学活性物は、抗菌、特に抗生物質、消毒剤、抗炎症剤、止血剤、消臭剤およびこれらの混合物を含む群から選択できる。
【0072】
好ましい実施形態では、前記医療器具は、少なくとも1つの添加物に関連して、繊維割合勾配を含む。これは、たとえば、柔軟性、機械的安定性、着色および/または医薬活性のような、追加の機能性を、徐々に、当該器具に設計する、特に有利な方法である。
【0073】
少なくとも1つの添加物の割合は、好ましくは、徐々に、すなわち、勾配に沿って、特に、器具の最初の外面から、2番目、好適には、器具の反対側の外側の表面の方向に、変わってもよい。つまり、少なくとも1つの添加物に関して、繊維割合勾配は、好適には、器具の厚さに沿って確立される。
【0074】
問題の変化は、繊維における、少なくとも1つの添加物の割合の形態、好適には、器具の最初の外面から、2番目の、好適には、器具の反対側の外側の表面、の方向に、徐々に、増加または減少させてもよい。
【0075】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、少なくとも1つの添加物の繊維割合が、変化、特に、層のシーケンスに沿って、増加または減少、する、回転紡糸線維層のシーケンスを含む。
【0076】
前記医療器具は、少なくとも1つの添加物の繊維割合が、層のシーケンスに沿って、徐々に、変更、特に、増加または減少する、回転紡糸線維層のシーケンスを含む。
【0077】
前のセクションに記載されている勾配は、同様に、連続または不連続、特に、ステップグラディエント(stepped, gradient)であってよい。
【0078】
医療器具の機械的安定性を高めるために、前記繊維は、機械的に一体化(mechanically consolidated)された状態であることができる。機械的一体化は、たとえば、湿った状態で、器具の拡張性を、さらに改善するのに役立つ、繊維のランダムなもつれ(entanglements)またはねじれ(twists)に基づいてよい。または、それに加えて、前記繊維は、水流交絡法(hydroentangling)、加圧(pressing)および/またはカレンダ成形(calendaring)によって、機械的に一体化されてもよい。
【0079】
前記医療器具は、好ましくは、少なくとも、0.15N/mm
2の引張強度(終局引張応力)を有する。器具は、特に、0.15N/mm
2から3N/mm
2、好ましくは、0.5N/mm
2から2N/mm
2、より好ましくは、1N/mm
2の引張強度を有することができる。
【0080】
更なる実施形態で、繊維は、50nmから200μmの直径、特に、100nmから150μm、好適には、200nmから100μm(50の個々の繊維の平均として、走査電子顕微鏡観察によって決定した)。
【0081】
さらなる実施形態では、器具の反対側の外側表面層における、繊維は、直径が異なる。
【0082】
繊維の直径は、好適には、徐々に、すなわち、勾配に沿って、特に、器具の最初の外面から、2番目の、好ましくは、器具の反対側の外表面、の方向に、変わることができる。換言すれば、繊維直径勾配は、好適には、器具の厚さに沿って確立される。
【0083】
問題の変化は、好ましくは、徐々に、器具の最初の外面から、2番目の、好ましくは、器具の反対側の外表面、の方向で、繊維の直径を増加または減少の形をとることができる。
【0084】
さらなる実施形態では、前記医療器具は、繊維の直径が変化する、好適には、層のシーケンスに沿って(along the layer sequence)、増加または減少する、回転紡糸線維層のシーケンスを含む。
【0085】
前記医療器具は、繊維の直径が変化、特に、徐々に、層のシーケンスに沿って(along the layer sequence)、増加または減少する、回転紡糸線維層のシーケンスを、好適には、含む。
【0086】
前のセクションに記載されている、勾配は、同様に、連続または不連続、特に、ステップトグラディエント(stepped gradient)を含んでよい。
【0087】
湿った状態での、医療器具の拡張性は、その器具の元の長さを基準(乾燥され、拡張されていない状態)として、50%から400%、特に、100%から300%、そして、好ましくは、150%から200%である。
【0088】
医療器具は、さらに、0.1mmから10mm、特に、0.2mmから6mm、好適には、0.5mmから3mm(ISO 9073−2により決定された)の厚さを有することができる。
【0089】
医療器具は、さらに、10g/m
2から300g/m
2、特に、20g/m
2から250g/m
2、好ましくは、40g/m
2から250g/m
2の坪量(basis weight)を有することができる。
【0090】
更なる実施形態の医療器具は、乾燥状態で、オープンセル(open-cell)の状態(configuration)を有する。
【0091】
特に、乾燥状態における、医療器具の空気透過性(EN ISO9237で決定された)は、0.1 l/[分・cm
2]から1 l/[分・cm
2]、特に、0.3 l/[分・cm
2]から0.8 l/[分・cm
2]、好ましくは、0.3 l/[分・cm
2]から0.7 l/[分・cm
2]であることができる。
【0092】
医療器具は、好適には、2年の期間内、好適には、一年で、特に、6ヶ月で、生体内吸収性(生体吸収性)である。
【0093】
前記医療器具は、好ましくは、さらに、階層化された配置または構造(layered configuration or construction)を有する。
【0094】
前記医療器具は、原則として、織物の構造、特に、織物布の形態を含み、または採用することができる。
【0095】
前記医療器具は、たとえば、ニット、織りまたは編みこみ生地(knitted, woven or braided fabric)の形態を含み、または採用することができる。
【0096】
前記医療器具は、さらに、含まれてまたは偽モノフィラメント(pseudomonofil)または他フィラメント(multifil)の形態、特に、編込みまたはねじれ糸(braided or twisted, thread)の形状を含むか、採ることができる。
【0097】
しかし、前記医療器具が、非織物構造、特に、非織物繊維の形態を含むか、採る場合、それは、本発明の目的のために望ましい。
【0098】
前記医療器具は、好ましくは、線維性不織布ウェブの形態を含み、採用する。
【0099】
前記医療器具は、より好ましくは、不織布の形態を含み、または採用する。
【0100】
本医療器具が、インプラントを含み、または、インプラントとして使用することを意図されることは、さらに望ましい。
【0101】
本医療器具は、より好ましくは、好ましくは、人間または動物、組織および/または傷、特に、内部の傷のような、生物をシーリングまたは接着することを意図する。本器具は、たとえば、手術後に、それぞれ分離された約半分の組織において(in the approximation of tissue halves)、特に、使用できる。.
【0102】
前記医療器具は、さらに、止血剤(hemostyptic)としての使用に非常に適している。特に、それは、重度の出血を停止するため、たとえば、肺、腎臓、脾臓および/または肝臓などの柔臓器(parenchymatous organs)からの出血において、特に適している。
【0103】
本医療器具は、さらに、特に、血、滲出液、膿、汁(liquor)および/またはリンパ液の、体液の吸収として、想定される。
【0104】
前記医療器具は、さらに、人間または動物の患者の体内の液体および/またはガスの漏れのシーリングでの適用のために、提供できる。液漏れは、特に、血液、滲出液、膿、汁(liquor)および/またはリンパ液の漏れを含むことができる。ガス漏れは、好適には、特に、肺に関連して、空気漏れを含む。
【0105】
さらに好ましい適応は、癒着防止剤として、すなわち、術後組織癒着(adhesions/adherences)の防止および/または予防剤としての、前記医療器具の使用に関連する。
【0106】
医療用具は、さらに、細菌障壁として使用可能であり、特に、術後感染予防のためである。
【0107】
さらなる適応は、硬膜の欠陥(dural defect)をカバーするために、傷の裂開(dehiscences)を避けるための、傷の橋(wound bridge)として、筋膜(fascial)の代替として、管の圧縮および/または組織の重複のためのスポンジ状の形態として、生体外でおよび/または生体内での細胞の植民地化(colonization)のためのマトリックスとして、および/あるいは内因性組織のプレースホルダーとしての、本医療用具の有用性に関する。
【0108】
2番目の側面は、本発明は、医療用具、特に、本発明の最初の側面の文脈に記載されている医療用具を製造する方法を提供することである。
【0109】
本発明の方法で、本方法は、少なくとも、1つの、最初の合成および生体吸収性ポリマーと、少なくとも、1つの、2番目の親水性および/または組織接着性ポリマーを含む、繊維原料から、繊維を製造するために、回転紡糸(rotospinning)を使用することを含む。
【0110】
更なる実施形態では、本方法は、本発明の意味における、少なくとも、1つの、合成および生体吸収性ポリマーを含み、本発明の意味における、親水性および/または組織接着性ポリマーを含まない、繊維原料から、繊維を製造するために、回転紡糸(rotospinning)を含む。
【0111】
更なる実施形態では、本方法は、本発明の意味における、少なくとも、1つの、親水性および/または組織接着性ポリマーを含み、本発明の意味における、合成および生体吸収性ポリマーを含まない、繊維原料から、繊維を製造するために、回転紡糸(rotospinning)を含む。
【0112】
繊維原料は、便利な、流体または流動の泡である。原則として、繊維原料は、融解、溶液、懸濁液または分散液として提供されうる。
【0113】
繊維原料は、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーを、繊維原料の全体の重量に基づき、1重量%から99重量%、特に、20重量%から99重量%、そして、好適には、50重量%から99重量%で含んでもよい。
【0114】
繊維原料は、さらに、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを、繊維原料の全体の重量に基づいて、1重量%から99重量%、特に、1重量%から80重量%、そして、好ましくは、1重量%から50重量%を含んでもよい。
【0115】
好ましい実施形態では、繊維原料は、供給容器を導入され、そして、コンテナーを回転させ、求心力(centripetal forces)を使用して、繊維の形で、容器から、繊維原料を取り出すことによって、繊維を製造するように使用される。
【0116】
排出される繊維(emerging fibers)は、非接触の指示方法で、導かれてもよい。レイダウン手段(laydown means)に到達する(land)前に、繊維と接触せずに、規定された誘導(guidance)は、繊維の変更を許容する、特定の利点がある。誘導期間や誘導の方向性だけでも、繊維長、繊維直径、および、また、繊維構造に影響を与えることができる。指示された、非接触誘導(Directed no-contact guidance)は、誘導のない生産プロセスよりも、より均一な繊維スペクトルを作成する。特別の利点は、誘導(guidance)だけで、すべての繊維特性の分布曲線の幅を確立するために、使用できるということです。これは、不要なジオメトリ(geometry)を有する繊維の量を、かなり削減する、1つの方法である。
【0117】
さらなる実施形態では、繊維は、上記供給容器から、その容器の床領域に、好適には、通路として構成した出口領域を介して、排出される。出口領域は、直径で、0.1mmから2mm、好適には、0.3mmから1mm、そして、特に好ましくは、0.3mmから0.7mmである。
【0118】
供給容器からの出口領域は、たとえば、お互いに、10mmの間隔で離れていてもよい。
【0119】
便利な実施形態では、供給容器は、20℃から180℃、特に、20℃から100℃、好適には、30℃から60℃、より好ましくは、45℃までの温度で加熱される。
【0120】
供給容器(supply container)は、1rpmから25000rpm、特に、2000rpmから10000rpmで、好適には、3000rpmから7000rpmのスピードで回転することができる。
【0121】
繊維直径勾配(fiber diameter gradient)を確立するため、更なる実施形態は、供給容器の回転数の段階的な変化を提供する。
【0122】
便利な実施形態では、繊維は、レイダウン手段(laydown means)で収集される。
【0123】
さらなる実施形態では、繊維の生産は、たとえば、レイダウン手段と回転式供給容器の間に、電界(electric field)を適用することによって、特に、前記実施形態に記載したように、支援される。
【0124】
有利である実施形態において、繊維は、吸引手段によって導かれてもよい。これにより、繊維の追加のドローイング(drawing)またはねじれ、および、それゆえ、個々の繊維強度の向上を提供する。本発明に従って、繊維が、ガスの流れによって運ばれることが考えられる。空気は、使用可能なガスの一例である。たとえば、窒素のような、不活性ガスは、代替や追加のガスとして、使用可能である。
【0125】
特に好ましい実施形態では、繊維原料の、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーおよび/または少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーの割合は、回転紡糸の工程の間に、徐々に、特に、連続または不連続な方法で、たとえば、段階的に、変更される。
【0126】
これは、たとえば、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーを含む最初の液体と、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含む、2番目の液体との、異なった送り速度による、回転式供給容器により、実現可能である。相違する送り速度は、最初の液体の送り速度を、徐々に増加し、対応する方法で、2つ目の液体の送り速度を、徐々に、減らした結果、またはその逆、であってよい。代替では、他の液体の送り速度を、徐々に、増加または減少する一方、2つの液体の1つの送り速度を、一定に保ってもよい。
【0127】
本発明は、さらに、最初は、2つの液体の1つだけを、回転式供給容器に供給し、一時的に定義されたギャップの後のみに、他の液体の供給容器への送りが起こる方法を提供する。この実施形態では、他の液体の送り速度を、好適には、対応するように、増加する一方、1つの液体の送り速度は、徐々に短縮し、特に、カットバックして、ゼロにしてもよい。これは、最初の外側の表面層の繊維が、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーを含むが、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含まず、そして、2番目の外側の表面層の繊維は、少なくとも、1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含むが、少なくとも、1つの合成および生体吸収性のポリマーを含まない、最初の外側の表面層と、2番目の、好適には、反対側の、外側の表面層を有する、医療器具を製造するには、特に、優れた方法である。
【0128】
前2つのセクションで説明されている液体は、原則として、溶融、溶液、分散液、および/または懸濁液を含む。
【0129】
繊維原料は、さらに、少なくとも、1つの添加物を、特に、繊維原料の全体の重量に基づいて、0重量%から10重量%、特に、0.05重量%から10重量%、好適には、0.1重量%から5重量%、もっと好適には、1から5重量%の割合で含んでよい。
【0130】
少なくとも、1つの添加剤に関する、繊維勾配を確立するためには、回転紡糸の工程の間、繊維原料に、少なくとも、1つの添加剤の割合が、徐々に、特に、連続または不連続な方法で、たとえば、段階的に、変更される。
【0131】
これは、たとえば、少なくとも、1つの合成および生体吸収性ポリマーを含む最初の溶液、および/または、すくなくとも、1つの添加剤と混合され、回転式供給容器に、異なった送り速度で供給される、少なくとも1つの親水性および/または組織接着性ポリマーを含む2番目の液体によって達成される。異なる送り速度は、最初の液体の送り速度を徐々に増加し、対応する方法で、2つ目の液体の送り速度を徐々に減らした、又は、その逆の、結果である。他の方法は、また、2つの液体の1つの送り速度を一定に保ち、他の液体の送り速度を、徐々に、増加または減少する。このセクションで説明されている液体は、原則的に、同様に、溶融、溶液、分散液および/または懸濁液を含んでよい。
【0132】
特に有利である実施形態では、回転紡糸繊維は、好適には、不織布を形成する過程で、機械的に圧縮または一体化される。機械的圧縮または一体化は、たとえば、水流交絡法(hydroentangling)および/または加圧によって、影響を受ける場合がある。繊維を押圧する工程は、特に、サンドプレス(Sandt press)またはカレンダ成形(a calender)の手段によって、影響を受ける場合がある。
【0133】
本方法のさらなる特徴および利点に関して、本発明の第1の態様を記述する文脈においてなされた、見解は、繰り返しを避けるために、その全体で引用される。
【0134】
本発明のさらなる特徴と利点は、実施例の形の好ましい実施形態の以下の説明、および、また、従属クレームから明らかになるであろう。好ましい実施の形態は、それに制限されることなく、本発明の理解を支援するためのみに提供される。
【0135】
実施例
実施例1:ポリカプロラクトンとアセチル化リン酸架橋デンプン(acetylated distarch phosphate)から、繊維不織布ウェブの製造
【0136】
最初の溶液は、20gのポリカプロラクトン(PCL)と、80gのアニソールを、80℃で、超音波および時々の撹拌によって製造した。2番目の溶液は、3gのアセチル化リン酸架橋デンプン(6345 Spezialstarke、Sudstarkeから)と、5gのジメチルスルホキシド(DMSO)を、80℃で攪拌下、調製した。
【0137】
両方の溶液を、室温(約25℃)まで冷却し、回転容器(rotospinneret)に、2つのシリンジポンプ(ハーバード シリンジ ポンプ 11)を経由して供給し、回転容器で、スタティックミキサーの援助を得て、ホモゲナイズした。回転紡糸(Rotospinning)工程の、回転容器(rotospinneret)の設定温度は、35℃であった。回転容器(Rotospinneret)の回転数は、3000rpmだった。回転容器(Rotospinneret)のフロアは、350μmの直径を有し、52mmの相互分離されている、12個の出口穴を有する。出口の穴から出て来た繊維は、吸引手段(750m
3/分)の支援を受けて、回転容器(rotospinneret)の下のレイダウンサポートに、室温で、収集された。ポリカプロラクトンと澱粉に関して、繊維割合勾配を確立するために、デンプン溶液のポンプ速度を、10分間にわたって、徐々に、0から7.5ml/分に上げながら、最初の溶液を、10ml/分の一定のポンプ速度で、回転容器に供給した。
【0138】
得られた繊維不織布ウェブは、ポリカプロラクトンについて、個々の繊維当たり、100重量%から70重量%の繊維割合勾配だけでなく、90μm(ISO 9073−2)の厚さ、75g/m
2(ISO 9073−1)の坪量を有した。繊維不織布ウェブは、乾燥状態において、高レベルの引張強度を示し、ウェット状態では、安定しており、また、容易に位置決め可能(positionable)であった。
実施例2:ポリカプロラクトンとアセチル化リン酸架橋デンプン(acetylated distarch phosphate)から、繊維不織布ウェブの製造
【0139】
2番目の溶液は、得られた分散液を安定させるために、0.5gのポリビニルアルコール(Mowiol(R) 20−98)と追加で混ぜたことを除いて、別の繊維不織布ウェブを製造するために、実施例1を繰り返した。
【0140】
得られた繊維不織布ウェブは、乾燥状態で、引張強度はを有し、湿潤状態で、同様に安定で、また、位置決め可能(positionable)であった。
実施例3:ポリカプロラクトンと冷水可溶性澱粉から、繊維不織布ウェブの製造
【0141】
6345 Spezialstarke澱粉を、Zulkowsky澱粉(シグマ−アルドリッチより入手)に置き換えたことを除いて、別の繊維不織布ウェブを製造するために、実施例1を繰り返した。
【0142】
得られた繊維不織布ウェブは、乾燥状態で、同様の引張強度を有し、湿潤状態で、安定しており、また、位置決め可能(positionable)であった。
実施例4:ポリカプロラクトンと冷水可溶性澱粉から、繊維不織布ウェブの製造
【0143】
6345 Spezialstarke澱粉とDMSOの代わりに、Zulkowsky澱粉(シグマ−アルドリッチから)と水を使用したのを除き、別の繊維不織布ウェブを製造するために、実施例1を繰り返した。
【0144】
得られた繊維不織布ウェブは、乾燥状態で、同様の引張強度を有し、湿潤状態で安定しており、また、位置決め可能(positionable)であった。
実施例5:ポリラクチド−コ−グリコリド(polylactide-co-glycolide)と冷水可溶性澱粉(cold-water-soluble starch)から、繊維不織布ウェブの製造
【0145】
最初の溶液は、超音波処理により、25gのZulkowsky澱粉(シグマ−アルドリッチから)と27.5gのDMSO(48%)から、60℃で、調製した。2番目の溶液は、13gのポリ乳酸グリコール酸共重合体(Resomer RG 504H ベーリンガーインゲルハイムから)から、再び、60℃で、超音波処理により、製造した。
【0146】
両方の溶液を、60℃の液温で、回転容器(rotospinneret)に、両方の場合に、2つのシリンジポンプ(ハーバード シリンジ ポンプ 11)を経由して供給した。回転紡糸(Rotospinning)工程の、回転容器(rotospinneret)の設定温度は、59℃であった。回転容器(Rotospinneret)の回転数は、15分間かけて、1500rpmから4000rpmに徐々に上げた。回転容器のフロアは、350μmの直径と52mmで相互分離されている、12個の出口穴を有した。出口穴から出て来た繊維は、吸引手段(750m
3/分)の支援を受けて、回転容器の下のレイダウンサポートに、室温で、収集された。
【0147】
得られた繊維不織布ウェブは、厚さ30μm(ISO 9073−2)と、また、20g/m
2の坪量(ISO 9073−1)を有する。レイダウンされた繊維不織布ウェブの繊維は、底の外側の表面に、1μmの平均直径と、反対側の上の外側の表面に、平均直径値200nmを有した。線維性の不織布ウェブは、引張強度を有し、ウェット状態で、安定しており、容易に位置決め可能であった。
【0148】
実施例6:澱粉とポリカプロラクトンから、繊維不織布ウェブの製造
6gの澱粉(Spezialstarke 6345)と90gのアニソールから、撹拌下、分散液を調製した。この分散液に、24gのポリカプロラクトン(80kDa シグマ−アルドリッチから)を、80℃で、撹拌下、2時間かけて加えた。次に、得られた溶液は、室温にまで冷却すべく、放置した。
【0149】
溶液は、45℃の温度設定されている、回転容器(DE 10 2005 048 939 A1に記載されているように)に、2ml/分で、シリンジポンプされた。回転数は、3000rpmだった。回転容器のフロアは、800μmの直径を有し、26mm間隔で相互分離されている、24個の出口穴を有した。
【0150】
得られた繊維不織布ウェブは、厚さ30μm(ISO 9073−2)、平均繊維直径400nm、および、また、20g/m
2の坪量(ISO 9073−1)を有した。線維性不織布ウェブは、弱親水性で、数分以内に、その最大吸水能力を達成した。それは、湿潤状態で、さらに安定で、容易に位置決めできた。
【0151】
実施例7:澱粉とポリカプロラクトンから、繊維不織布ウェブの製造
混合物は、81gのアニソールとDMSOの9gから調製した。混合物に、6gのデンプンを、撹拌下、加え、分散液を得た。分散液に、その後、24gのポリカプロラクトン(80kDa シグマ−アルドリッチから)を、2時間かけて、80℃で、撹拌下、加えた。得られた溶液は、室温に冷却すべく、放置された。
【0152】
使用された、回転紡糸(rotospinning)プロセスは、実施例6で説明したのと同じであった。
【0153】
得られた、繊維不織布ウェブは、25μm(ISO 9073−2)の厚さ、平均繊維直径400nm、および、また、20g/m
2の坪量(ISO 9073−1)を有した。線維性不織布ウェブは、弱親水性であり、数分以内に最大吸水能力が発揮された。ウェットの状態で安定しており、容易に位置決め可能だった。
【0154】
実施例8:澱粉/プルラン/ポリカプロラクトンから、繊維不織布ウェブの製造
最初の溶液は、19gの澱粉(Zulkowskyの片栗粉(potato starch) シグマ−アルドリッチから)、1gのプルラン(林原株式会社から USP−NF)および蒸留水30gを、60℃で、1時間、攪拌することにより、製造した。2番目の溶液は、10gのポリカプロラクトンとアニソール40gから、80℃で、2時間攪拌によって、調製した。
【0155】
2つの溶液を混合し、その後、45℃の温度設定の回転容器に、4ml/分でシリンジポンプで注入された。、回転数は3000rpmであった。
【0156】
得られた、繊維不織布ウェブは、25μmの厚さ(ISO 9073−2)と30g/m
2の坪量(ISO 9073−1)を有した。平均繊維直径は、500nmであった。線維不織布ウェブは、弱親水性で、丁度数分以内で、最大吸水容量に達した。繊維不織布ウェブは、湿った状態で、また、安定であった。
実施例9:ポリカプロラクトンのみの、1つの外側表面層と、ポリカプロラクトンと澱粉の反対側の外側表面層を有する、勾配型繊維不織布ウェブの製造
【0157】
使用した材料は、実施例6で使用された出発材料に対応した。最初の溶液は、実施例6に記載されているように調整された。一方、2番目の溶液は、25gのポリカプロラクトンを100gのアニソールに、80℃で、撹拌下、溶かすことにより、製造された。両方の溶液は、その後、室温まで、放置して、冷却された。45℃の温度設定の回転容器に、2つの溶液を供給するために、2つのシリンジポンプが使用された。回転数は、3000rpmであった。素材型勾配を確立するために、回転容器への送り速度は、第1の溶液については、0〜2ml/分で、3時間かけて、2番目の溶液については、2から0ml/分で、3時間かけてであった。
【0158】
得られた繊維不織布ウェブは、厚さ15μm、そして、また、20g/m
2の坪量であった。平均繊維直径は、400nmであった。線維性不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を持っていた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別可能な外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層が疎水性を有する一方、反対側の外側表面層は、その澱粉の割合のせいで、それは、とりわけ、わずか1分間までに達成される最大吸水能力からあきらかである、親水性特性を有していた。
【0159】
実施例10:ポリカプロラクトン/デンプン/プルランから、勾配型繊維不織布ウェブの製造。
実施例8のように、同じ材料が使用された。
【0160】
最初の溶液は、19gのデンプンと1gのプルランを、30gの蒸留水に、60℃で、1時間、攪拌による溶解により製造された。2番目の溶液は、20gのポリカプロラクトンを80gのアニソールに、80℃で、2時間、攪拌による溶解により製造された。
【0161】
この場合に、回転紡糸プロセスは、2つの工程で行われた。最初は、2番目の溶液の、丁度50gを、実施例1で使用されたプロセス条件に従っって紡糸された。そして、最初の溶液と2つ目の溶液は、45℃の温度設定の回転容器に、シリンジポンプされた。回転数は、3000rpmだった。回転容器に送る速度は、最初の溶液は、1:0.2から1.8ml/分で、そして、2番目の溶液に対して、2:0.2ml/分であった。
【0162】
得られた繊維不織布ウェブは、厚さ30μm、500μmの平均繊維直径、そして、また、40g/m
2の坪量であった。。線維性不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を持っていた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別可能な外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層が疎水性を有する一方、反対側の外側表面層は、その高い澱粉の割合のせいで、それは、とりわけ、わずか1分間で達成される最大吸水能力から明らかである、親水性特性を有していた。
【0163】
実施例11:ポリカプロラクトンの1つの外側の表面層と、ポリカプロラクトン、カルボキシメチルセルロースおよびポリエチレングリコールから成る1つの外側の表面層を有する繊維不織布ウェブの製造。
使用したカルボキシメチルセルロースは、Herkulesの7H4XF Blanose(CAS ナンバー:9004−32−4)であった。置換度は(MA 304.1506 Aに関して)、0.65から0.9へ変化し、ナトリウムの割合は、7.0%と8.9%の間であり、硫黄灰の割合は、21.6%と27.9%の間だった。
【0164】
最初の溶液は、ポリエチレンオキシド(分子量:1 000 000g/mol)の1gを、水に、溶解することにより調製した。その溶液に、7H4XF Blanoseの7.5グラムを追加した。次いで、混合物は、溶液を得るために、24時間、室温で攪拌した。
【0165】
2番目の溶液は、25gのポリカプロラクトンを、100gのアニソールに、80℃の温度で、攪拌による溶解により、製造した。次いで、溶液は、その後、室温まで冷却された。
【0166】
その後、2つの溶液は、2つのシリンジポンプを経由して、45℃で温度設定された、回転容器に供給された。回転数は、3000rpmだった。最初の溶液が、3時間かけて、1:0から2ml/分の速度で、回転容器に供給された一方、2番目の溶液は、2:2から0ml/分の速度で、再び3時間かけて、回転容器に供給された。
【0167】
得られた繊維不織布ウェブは、20μmの厚さ、200nmの平均繊維直径、および、また、20g/m
2の坪量を有した。線維性不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を持っていた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別しうる外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層が、疎水性を有する一方、反対側の外側の表面層は、カルボキシメチルセルロースの割合のせいで、親水性を有した。これは、それ自身、とりわけ、ちょうど1分以内に、最大の給水能力を示し、そして、様々な組織、たとえば、皮膚、肝臓、骨その他、への良好な接着性を示した。
【0168】
実施例12:ポリカプロラクトンの1つ外側の表面層とポリカプロラクトン/ポビドンの1つ外側の表面層を持つ勾配型繊維不織布ウェブの製造。
最初の溶液は、ガラス製のビーカーに、40gのポリビニルピロリドン(Kollidon F90、BASF AG、ドイツ)を導入することによって調整された。その後、160gの水を追加した。混合物は、次いで、24時間、室温で、攪拌され、その後、1時間以上、80℃で加熱された。最後に、溶液は、60℃に冷却される前に、1時間、超音波処理された。
【0169】
2番目の溶液は、25gのポリカプロラクトンを、100gのアニソールに、80℃で、撹拌しながら溶解することによって、調整された。溶液は、次いで、室温まで放置され、冷却された。
【0170】
2つの溶液は、45℃で温度設定された、回転容器に、2つのシリンジポンプを介して供給された。回転数は、3000rpmだった。最初の溶液は、3時間かけて、1:0から2ml/分の速度で、回転容器に供給された一方、2番目の溶液は、2:2から0ml/分の速度で、再び3時間をこえて、回転容器に供給された。
【0171】
得られた繊維不織布ウェブは、50μmの厚さ、600nmの平均繊維直径、および、また、40g/m
2の坪量を有した。線維性不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を持っていた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別しうる外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層は、疎水性を有する一方、反対側の外側の表面層は、そのポリビニルピロリドン割合のおかげで、親水性を有した。これは、最大吸水能力において、丁度1分以内に達成し、そして、様々な組織、たとえば、皮膚や粘膜への、良好な接着を示した。
【0172】
実施例13:ポリカプロラクトンの1つ外側の表面層とポリカプロラクトン/ポリビニルアルコールの反対側の外側の表面層を持つ繊維不織布ウェブの製造。
最初の溶液は、ポリビニルアルコール(Mowiol 20‐98;分子量:125 000g/mol)を、蒸留水に、60℃で、撹拌しながら6時間かけて、溶解によって調製された。次いで、溶液は、室温に冷却された。
【0173】
2番目の溶液は、ポリカプロラクトン25gを、100gのアニソールに、80℃で、攪拌によって溶解して、調製した。溶液は、同様に、その後、室温に冷却された。
【0174】
2つの溶液は、45℃の温度設定された、回転容器に、2つのシリンジポンプを介して供給された。回転数は、3000rpmだった。最初の溶液は、3時間で、1:0から2ml/分の速度で、回転容器に供給した一方、2番目の溶液は、2:2から0ml/分の速度で、再び3時間超えて、回転容器に供給された。
【0175】
得られた、繊維不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を有していた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別しうる外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層が疎水性を有する一方、反対側の外側の表面層は、その高いポリビニルアルコールの割合のせいで、親水性を有した。これは、とりわけ、わずか1分で達成された、最大吸水能力を示す。
【0176】
実施例14:ポリカプロラクトンの外側の表面層とポリカプロラクトン/ヒアルロン酸の反対側の外側の表面層を持つ勾配型繊維不織布ウェブの製造。
66重量%のレノビアル(renovhyal)ヒアルロン酸(分子量20kDaと50kDaの間の分子量;Solianceから)と34重量%のクリスタリアル(cristalhyal)ヒアルロン酸(1 000 000g/molと1 400 000g/molの間の分子量;Solianceから)の混合物12gを、88gの水に、室温で、24時間撹拌して、溶解することにより調整された。
【0177】
2番目の溶液は、25gのポリカプロラクトンを、アニソール100g中の、80℃で撹拌することにより、溶解して調製した。溶液は、その後、室温に冷却された。
【0178】
2つの溶液は、その後、45℃の温度設定の回転容器に、2つのシリンジポンプを介して供給された。回転数は、3000rpmだった。最初の溶液は、3時間で、1:0から2ml/分の速度で、回転容器に供給された一方、2番目の溶液は、2:2から0ml/分で、再び3時間かけて、回転容器に供給された。
【0179】
得られた、繊維不織布ウェブは、15μmの厚さ、250nmの平均繊維直径、および、また、10g/m
2の坪量を有した。線維性不織布ウェブの繊維は、素材型勾配を持っていた。繊維不織布ウェブは、2つの機能的に区別しうる外側表面層を持っていた。ポリカプロラクトンの外側の表面層は、疎水性を有する一方、反対側の外側の表面層は、そのヒアルロン酸の高い割合のおかげで、親水性であった。これは、とりわけ、最大の吸水能力は、丁度1分以内に達成し、そして、様々な組織、たとえば、皮膚、軟骨(cartilage)、骨その他への、良好な接着を示した。